JPH07119548A - 固体ロケットモータ推進薬の成形方法 - Google Patents

固体ロケットモータ推進薬の成形方法

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JPH07119548A
JPH07119548A JP26521993A JP26521993A JPH07119548A JP H07119548 A JPH07119548 A JP H07119548A JP 26521993 A JP26521993 A JP 26521993A JP 26521993 A JP26521993 A JP 26521993A JP H07119548 A JPH07119548 A JP H07119548A
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野 雅 弘 高
Kazunari Kato
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Haruki Maruizumi
泉 春 樹 丸
Shigefumi Miyazaki
崎 繁 文 宮
Mitsuhiro Sasaki
円 裕 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体ロケットモータ推進薬の内孔形状に対応
した形状を有する中子を用いて固体ロケットモータ推進
薬を成形するに際し、推進薬構成材料が硬化した後の中
子の引き抜きを容易なものとする。 【構成】 固体ロケットモータ推進薬の内孔形状に対応
した形状における軸方向の一端1c側で開口すると共に
他端1d側でも開口する気体孔1eを形成した中子1を
用い、成形型ないしは容器3と中子1との間に形成した
注型空間に推進薬構成材料5を充填したのち硬化させ、
中子1の一端1c側で開口する気体孔1eより空気もし
くは窒素を吹き込ませて推進薬の内孔面と中子1の外面
とを空気もしくは窒素により離間させて、推進薬の内孔
部分から中子1を引き抜いて固体ロケットモータ推進薬
に成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体ロケットの推力源
として用いられる推進薬を成形するのに好適な固体ロケ
ットモータ推進薬の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体ロケットは、その推力源として固体
の推進薬を用い、その燃焼反応によって発生する高温・
高圧のガスを排出することによって推力を発生するよう
にしたものである。
【0003】このような固体ロケットは、構造が簡単で
部品点数が少なく、とくに可動部分がないため高信頼度
を得やすいこと、取扱いが簡単であること、推進薬を充
填したままで長期保存できそしてまた即時発射も可能で
あること、ロケット重量に比べて大きな推力を得やす
く、大きな初期加速度が出しやすいこと、小型のものは
液体ロケットよりも大きな質量比が得られること、など
の利点を有している。
【0004】このような固体ロケットモータ推進薬に
は、ダブルベース系推進薬やコンポジット系推進薬など
があり、端面燃焼方式を採用する場合のように、内孔を
有しない構造のものとするほか、内面燃焼方式を採用す
る場合のように、内孔を有する構造のものとする場合が
ある。
【0005】そして、後者の内孔を有する構造のものと
する場合において、このような推進薬を成形するに際し
ては、図8に示すように、固体ロケットモータ推進薬の
内孔形状に対応した形状を有する中子51を用い、成形
型ないしは容器53と中子51との間に形成された注型
空間54内に推進薬構成材料55を充填したのち硬化さ
せ、推進薬の内孔部分から中子51を引き抜いて固体ロ
ケットモータ推進薬に成形するようにしていた。
【0006】このとき、中子51と推進薬との間での接
着を防ぎ、推進薬の硬化後において中子51の引き抜き
が容易なものとなるように、例えば、図9に示すよう
に、中子51の表面に樹脂コーティング(例えば、テフ
ロン(ポリ4フッ化エチレンの商品名)のコーティン
グ)56を施したのちさらに表面にグリース等の離型剤
57を塗布するようにしていた。
【0007】なお、このような固体ロケットモータ推進
薬に関しては、『増補版 航空宇宙工学便覧』(昭和5
8年4月25日増補版発行 社団法人 日本航空宇宙学
会編者 の第641頁〜第654頁 「10・3 固体
ロケット・エンジン」に説明がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の固体
ロケットモータ推進薬の成形方法において、推進薬構成
材料を充填したのち硬化させ、推進薬の内孔部分から中
子を引き抜く際に、中子と推進薬とが接着していたとき
には、中子の引き抜きに大きな力を必要としたり、固体
推進薬を破損させることがあったりするため、中子の表
面に樹脂コーティングを行うと共に離型剤を塗布するよ
うにしているが、樹脂コーティングの表面粗さや、離型
剤の塗布量によって、中子の所要引き抜き力に大きなば
らつきを伴うことがあり、引き抜き力が小さいと引き抜
くことができず、一方引き抜き力を大きくしすぎると推
進薬を破損させてしまうことがあるという問題点があっ
た。
【0009】また、離型剤の塗布量を多くしたときに
は、中子の引き抜き力のばらつきは小さくなるものの、
充填後の推進薬構成材料の硬化を阻害してしまうことが
あるという問題点があった。
【0010】そして、とくに大型のロケットモータの場
合には中子の引き抜きに要する力がさらに大きくなって
しまうと共に、高性能化のために充填率を上げたときに
も中子の引き抜きに要する力がさらに大きくなってしま
うという問題点もあった。
【0011】したがって、推進薬構成材料の硬化後に中
子を容易にそしてまた推進薬を破損させることなく引き
抜くことができるようにすることが課題であった。
【0012】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、固体ロケットモータ推進
薬の内孔形状に対応した形状を有する中子を用いて固体
ロケットモータ推進薬を成形するに際し、推進薬構成材
料が硬化したのちの中子の引き抜きを容易なものとする
ことが可能であり、推進薬の破損を防止することが可能
である固体ロケットモータ推進薬の成形方法を提供する
ことを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体ロケット
モータ推進薬の内面燃焼用内孔形状に対応した形状を有
する中子を用い、成形型ないしは容器(ロケットモータ
ケーシング自体である場合をも含む。)と中子との間に
形成した注型空間に推進薬構成材料を充填したのち硬化
させ、推進薬の内孔部分から中子を引き抜いて固体ロケ
ットモータ推進薬に成形するに際し、内孔形状に対応し
た形状における軸方向の一端側で開口する気体孔を形成
した中子を用い、成形型ないしは容器と中子との間に形
成した注型空間に推進薬構成材料を充填したのち硬化さ
せ、中子の一端側で開口する気体孔より空気や窒素等の
気体を吹き込んで推進薬の内孔面と中子の外面とを前記
気体により離間させて、推進薬の内孔部分から中子を引
き抜いて固体ロケットモータ推進薬に成形する構成とし
たことを特徴としている。
【0014】本発明に係わる固体ロケットモータ推進薬
の成形方法において、推進薬構成材料としては、例え
ば、コンポジット推進薬である場合に、酸化剤,バイン
ダー(燃料),硬化剤あるいは架橋剤,結合剤,可塑
剤,燃焼触媒,金属燃料,振動燃焼抑制剤等を適宜配合
させたものが用いられ、ダブルベース推進薬である場合
に、可塑剤(燃料または酸化剤兼用),バインダー,安
定剤,燃焼触媒,高エネルギ添加剤,冷却剤,消炎剤,
振動燃焼抑制剤,物性向上剤等を適宜配合させたものが
用いられるが、特に限定はされない。
【0015】また、固体ロケットモータ推進薬の内孔形
状としては、単孔内面燃焼方式,スター内面燃焼方式,
内外面燃焼方式等々に対応した形状をなすものが採用さ
れるが、これもまた特に限定はされない。
【0016】そして、このような固体ロケットモータ推
進薬の内孔形状に対応した形状を有する中子が用いられ
るが、このような中子としては、アルミニウム合金など
の軽金属ないしは非鉄金属材料や、鉄などの鉄鋼系材料
により製作したものが用いられ、とくに、内孔形状に対
応した形状における軸方向の一端側で開口する気体孔を
形成した中子を用いる。また、中子の表面に樹脂コーテ
ィングを施したり、離型剤ないしは離型補助剤を塗布し
たりしたものを用いることも場合によっては可能であ
る。
【0017】そして、このような中子を成形型ないしは
容器(モータケーシングである場合をも含む。)に配設
して、中子と成形型ないしは容器との間で推進薬形状に
対応した注型空間を形成し、次いで、この注型空間に推
進薬構成材料を充填したのち硬化させ、中子の他端側で
開口する気体孔より空気,窒素等の気体を送給して、中
子の一端側で開口する気体孔より気体を吹き込んで推進
薬の内孔面と中子の外面とを前記気体により離間させ
て、推進薬の内孔部分から中子を引き抜くことにより、
固体ロケットモータ推進薬に成形する。
【0018】
【発明の作用】本発明に係わる固体ロケットモータ推進
薬の成形方法では、上述した構成としたから、中子の他
端側で開口する気体孔から気体を供給し、中子の一端側
で開口する気体孔か気体を吹き込ませることによって、
推進薬の内孔面と中子の外面とが前記気体によって離間
することとなるので、推進薬の内孔部分から中子を引き
抜く際に必要とする力が小さなもので済むこととなり、
また、推進薬に破損を生ずるおそれがなくなる。
【0019】
【実施例】図1に示すように、固体ロケットモータ推進
薬の内孔形状に対応する形状を有する内孔形成部1a
と、把持部1bと、一端1c側で開口し且つ他端1d側
でも開口するこの実施例では真直状の気体孔1eを形成
したアルミニウム合金製の中子1を用意した。この場
合、気体孔1eの下端側の内径は、若干細径状としてあ
る。
【0020】そして、図2に示すように、中子1に形成
した気体孔1eのうち、一端1c側の若干細径状とした
開口部分に、引抜用ロッド2dを備えた栓(電気絶縁材
料よりなるものとすることが望ましい。)2をした状態
にして、この中子1を成形型ないしは容器3に配設し、
中子1と成形型ないしは容器3との間で推進薬形状に対
応した注型空間4を形成し、次いで、図3に示すよう
に、注型空間4内に推進薬構成材料5を充填したのち硬
化させる。
【0021】続いて、推進薬構成材料5の硬化後に、引
抜用ロッド2aを引き抜くことによって栓2を除去した
のち、図4に示すように、中子1に形成した気体孔1e
から空気を流し、図5に示すように、中子1の表面と推
進薬構成材料5との界面で空気を矢印A方向に通過させ
ることによって、中子1の表面と推進薬構成材料5とを
離間させ、この状態で中子1を引き抜くことにより、図
6に示すような十字形状の内孔6aを有する固体ロケッ
トモータ推進薬6に形成する。
【0022】この実施例において、固体ロケットモータ
推進薬6の内孔6aの形状によって、中子1の表面に付
加される平均締付力(F)は、推進薬5の長さ(L),
直径(D),リリーフブーツの長さ(BL)をパラメー
タとして、図7の線Aで示すものとなる。
【0023】また、気体孔1eより空気を吹き込んだ時
の破壊限界圧力(P)は、図7の線Bで示すものとな
る。
【0024】したがって、中子1の気体孔1eから送給
した空気による加圧力として、平均締付力(F)を上回
りかつ破壊限界圧力(P)を下回る範囲、すなわち、図
7における線Aと線Bとの間に設定することによって、
推進薬構成材料5に損傷を与えることなく中子1の引き
抜きを容易に行うことが可能となる。
【0025】
【発明の効果】本発明は、固体ロケットモータ推進薬の
内孔形状に対応した形状を有する中子を用い、成形型な
いしは容器と中子との間に形成した注型空間内に推進薬
構成材料を充填したのち硬化させ、推進薬の内孔部分か
ら中子を引き抜いて固体ロケットモータ推進薬に成形す
るに際し、前記内孔形状に対応した形状における軸方向
の一端側で開口する気体孔を形成した中子を用い、成形
型ないしは容器と中子との間に形成した注型空間内に推
進薬構成材料を充填したのち硬化させ、中子の一端側で
開口する気体孔より気体を吹き込んで推進薬の内孔面と
中子の外面とを前記気体により離間させて、推進薬の内
孔部分から中子を引き抜いて固体ロケットモータ推進薬
に成形する構成としたから、中子の引き抜き力をより小
さなものにし、そしてまた推進薬に破損を生じさせるこ
となく固体ロケットモータ推進薬を成形することが可能
であり、より大型の固体ロケットモータ推進薬の成形
や、高性能化のためにより充填率を向上させた固体ロケ
ットモータ推進薬の成形を容昜にかつ精度良く行うこと
が可能になると共に、離型剤を使用しないか使用すると
しても極く少量ですむため硬化工程への悪影響をなくす
ことが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる固体ロケットモータ推進薬の成
形方法の実施例において用いられる中子の断面説明図で
ある。
【図2】図1の中子を成形型ないしは容器に配設して注
型空間を形成した状態を示す断面説明図である。
【図3】図2の注型空間に推進薬構成材料を充填したの
ちの状態を示す断面説明図である。
【図4】推進薬の硬化後に中子の気体孔より空気を吹き
込む初期の状態を示す断面説明図である。
【図5】推進薬の硬化後に中子の気体孔より空気を吹き
込んで中子の外面と推進薬の内孔部分とを離間させた状
態を示す断面説明図である。
【図6】中子を引き抜いた後における固体ロケットモー
タ推進薬の縦断面説明図および水平断面説明図である。
【図7】中子の表面に付加される平均締付力(F)およ
び気体孔より空気を吹き込んだ時の破壊限界圧力を示す
グラフである。
【図8】従来における固体ロケットモータ推進薬の成形
方法を示す縦断面説明図および水平断面説明図である。
【図9】中子の表面に樹脂コーティングおよび離型剤塗
布を行う様子を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 中子 1a 内孔形成部 1b 把持部 1c 中子の一端 1d 中子の他端 1e 気体孔 3 成形型ないしは容器 4 注型空間 5 推進薬構成材料 6 固体ロケットモータ推進薬 6a 固体ロケットモータ推進薬の内孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加 藤 一 成 愛知県知多郡武豊町字北小松谷61−1 日 本油脂株式会社愛知事業所内 (72)発明者 丸 泉 春 樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 宮 崎 繁 文 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 佐々木 円 裕 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体ロケットモータ推進薬の内孔形状に
    対応した形状を有する中子を用い、成形型ないしは容器
    と中子との間に形成した注型空間内に推進薬構成材料を
    充填したのち硬化させ、推進薬の内孔部分から中子を引
    き抜いて固体ロケットモータ推進薬に成形するに際し、
    前記内孔形状に対応した形状における軸方向の一端側で
    開口する気体孔を形成した中子を用い、成形型ないしは
    容器と中子との間に形成した注型空間内に推進薬構成材
    料を充填したのち硬化させ、中子の一端側で開口する気
    体孔より気体を吹き込んで推進薬の内孔面と中子の外面
    とを前記気体により離間させて、推進薬の内孔部分から
    中子を引き抜いて固体ロケットモータ推進薬に成形する
    ことを特徴とする固体ロケットモータ推進薬の成形方
    法。
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