JPH07118712A - 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製造方法 - Google Patents

鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製造方法

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JPH07118712A
JPH07118712A JP5291456A JP29145693A JPH07118712A JP H07118712 A JPH07118712 A JP H07118712A JP 5291456 A JP5291456 A JP 5291456A JP 29145693 A JP29145693 A JP 29145693A JP H07118712 A JPH07118712 A JP H07118712A
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particle powder
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邦生 池本
Toshishige Kakumitsu
敏成 角光
Kazuyuki Hayashi
一之 林
Keisuke Iwasaki
敬介 岩崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微粒子であると共に針状性が良好であって、
高い保磁力と大きな飽和磁化とを有し、しかもビヒクル
中における分散性が良好なため、磁気記録媒体用材料と
して好適である鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
を提供する。 【構成】 硼素分を含有する鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末を、不活性ガス雰囲気下、且つ100℃未
満の温度においてアルコール蒸気による通気処理を残存
する硼素分がB換算で1重量%以下に減少するまで行
い、次いで、不活性ガス雰囲気下で水蒸気による通気処
理を行うことにより、該磁性粒子粉末のビヒクル中にお
ける分散性を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体用材料と
して好適な鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製
造方法に関するものであり、詳しくは、微粒子であると
共に針状形状が良好であって、高い保磁力と大きな飽和
磁化とを有し、しかもビヒクル中における分散性が良好
な鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を提供するこ
とを目的とする。
【0002】
【従来の技術】磁気記録再生用機器の小型軽量化が進む
につれて、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体
に対する高性能化の必要性が益々高まってきた。即ち、
高密度記録、高出力特性、殊に周波数特性の向上が要求
されている。このような諸特性を有する磁気記録媒体を
得るためには、使用される磁性粒子粉末が、高い保磁力
と大きな飽和磁化とを有し、しかもビヒクル中における
分散性の良好なことが要求される。
【0003】近年、高出力並びに高密度記録に適する磁
性粒子粉末、即ち、高い保磁力と大きな飽和磁化とを有
する磁性粒子粉末の開発が盛んであり、このような特性
を有する磁性粒子粉末として、針状含水酸化鉄粒子粉末
又は針状酸化鉄粒子粉末を出発原料粒子とし、該出発原
料粒子を還元性ガス中で加熱還元して得られる鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末が実用されている。
【0004】そして、近時、磁気記録媒体の特性向上へ
の要求は高まる一方であり、これにともなって、鉄を主
成分とする針状合金磁性粒子粉末の諸特性をより向上さ
せることが強く要求されている。
【0005】即ち、磁気記録媒体のノイズレベルは、磁
気記録媒体の製造に際して使用される鉄を主成分とする
針状合金磁性粒子粉末の粒子サイズや1個の粒子を構成
する一次粒子径、換言すればX線粒径の大きさと密接な
関係があって、粒子サイズやX線粒径の大きさが小さく
なればなる程ノイズレベルは低くなる傾向にあり、ま
た、針状形状の良好なものがより高い保磁力を有するこ
とから、微粒子であると共に針状形状の良好な鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末が求められている。
【0006】しかし、微細な鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末を得る為に、微細な針状含水酸化鉄粒子粉
末又は針状酸化鉄粒子粉末を出発原料粒子として用い、
該出発原料粒子を加熱還元すると、微粒子であることに
よって表面活性が大きいため、加熱還元中において焼結
の発生や形状の崩れが生じて針状形状の良好な鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末を得ることは困難とな
る。
【0007】従来、加熱還元中における粒子の焼結や形
状の崩れを防止して、微粒子であると共に針状形状の良
好な鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得ること
を目的とする種々の技術手段が提案されているが、その
内でも、針状含水酸化鉄粒子粉末又は針状酸化鉄粒子粉
末をあらかじめ硼素化合物で被覆した後、加熱還元する
方法(例えば、特開昭54−57459号公報、特公昭
54−42832号公報、特開昭58−48611号公
報、特開昭58−46607号公報、特開昭59−56
03号公報、特開昭61−174304号公報、特公昭
59−32881号公報、特開昭61−186410号
公報、特開平2−197503号公報、特開平2−25
0902号公報、特開平3−12902号公報、特開平
3−232201号公報等)が有効とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】微粒子であると共に針
状形状が良好であって、高い保磁力と大きな飽和磁化と
を有し、しかもビヒクル中における分散性の良好な鉄を
主成分とする針状合金磁性粒子粉末は現在最も要求され
ているところであるが、前掲各公知方法によって得られ
るものには、後出参考例にも示す通り、ビヒクル中にお
ける分散性が不十分という問題点がある。
【0009】そこで、本発明は、微粒子であると共に針
状形状が良好であって、高い保磁力と大きな飽和磁化と
を有し、しかもビヒクル中における分散性の良好な鉄を
主成分とする針状合金粒子粉末を提供することを技術的
課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0011】即ち、本発明は、針状含水酸化鉄粒子粉末
又は針状酸化鉄粒子粉末の粒子表面を硼素化合物で処理
した後に加熱還元することにより得られた硼素分を含有
する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を、不活性
ガス雰囲気下、且つ100℃未満の温度においてアルコ
ール蒸気による通気処理を残存する硼素分がB換算で1
重量%以下に減少するまで行い、次いで、不活性ガス雰
囲気下で水蒸気による通気処理を行うことを特徴とする
鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の製造方法であ
る。
【0012】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて説明する。
【0013】針状含水酸化鉄粒子粉末は、α−FeOO
H、β−FeOOH、γ−FeOOH等が使用できる。
α−FeOOHは、第一鉄塩と水酸化アルカリ又は炭酸
アルカリとの混合によって生ずる中和沈殿物懸濁液を湿
式酸化することによって得ることができる。ここで針状
とは、軸比(長軸径/短軸径)が4以上の粒子をいい、
常法によって得られる針状はもちろん紡錘状、短冊状、
米粒状等のものが使用できる。また、長軸径0.05〜
0.3μmの粒子であって、軸比(長軸/短軸)の大き
な、殊に5以上のものが好ましい。
【0014】針状酸化鉄粒子粉末は、α−Fe2 3
γ−Fe2 3 、Fe3 4 、ベルトライド化合物(
eO X ・Fe2 3 (0<x<1))等が使用できる。
α−Fe2 3 は針状含水酸化鉄α−FeOOHを加熱
脱水して得ることができ、また、Fe3 4 はα−Fe
2 3 を加熱還元して得ることができる。γ−Fe2
3 はFe3 4 を加熱酸化して得ることができる。そし
て、ベルトライド化合物は、Fe3 4 を加熱酸化して
γ−Fe2 3 を得る途中で完全に酸化しない状態で得
るか、またはα−Fe2 3 を加熱還元してFe3 4
を得る途中で得ることができる。ここで針状とは、軸比
(長軸径/短軸径)が4以上の粒子をいい、常法によっ
て得られる針状はもちろん紡錘状、短冊状、米粒状等の
ものが使用できる。また、長軸径0.05〜0.3μm
の粒子であって、軸比(長軸/短軸)の大きな、殊に5
以上のものが好ましい。
【0015】針状含水酸化鉄粒子粉末又は針状酸化鉄粒
子粉末には、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
諸特性を向上させる為に通常使用されるAl、Ni、C
o、Zn、P、Nd、Si、Ca等のFe以外の異種元
素を存在させてもよい。
【0016】本発明において使用する硼素化合物は、酸
化硼素、硼酸、メタ硼酸、メタ硼酸カリウム、硼酸アン
モニウム、硼酸亜鉛等である
【0017】硼素化合物の被覆処理方法は、例えば、硼
素を含む水溶液と針状含水酸化鉄粒子粉末又は針状酸化
鉄粒子粉末とを混合攪拌した後、濾別、乾燥する所謂湿
式法(特開平2−197503号公報等)、針状含水酸
化鉄粒子粉末又は針状酸化鉄粒子粉末と酸化硼素又は硼
酸塩とをらいかい機等により混合分散する所謂乾式法
(特開昭58−48611号公報等)のいずれによって
行ってもよい。
【0018】硼素化合物による被覆処理における硼素の
添加量は、Feに対し、B換算で1.5〜10モル%程
度である。
【0019】本発明における加熱還元は、常法によれば
よく、その還元温度は、300〜500℃である。30
0℃未満である場合には、還元反応が不十分であり、大
きな飽和磁化を有する鉄を主成分とする針状合金磁性粒
子粉末を得ることができない。500℃を越える場合に
は、粒子及び粒子間で焼結が発生し、また粒子の形状が
崩れるため、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
保磁力が低下する。
【0020】本発明における加熱還元を行った後の鉄を
主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、針状または紡錘
状で、長軸径0.05〜0.3μm、軸比(長軸/短
軸)5〜20の範囲のものである。また、含有される硼
素分は約5重量%程度以下である。
【0021】本発明において用いるアルコールとして
は、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブ
チルアルコール、アミルアルコール等の100℃未満で
揮発性を有するアルコール化合物が使用できる。
【0022】本発明のアルコール蒸気による通気処理に
おいて使用する不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴ
ンガス、ヘリウムガス等がある。本発明のアルコール蒸
気による通気処理時の温度は100℃未満である。10
0℃以上となると、保磁力の低下などの磁気特性に悪影
響を及ぼす。なお、温度が低くなるにつれて、硼素分を
除去するために長時間を要するため、工業的見地から、
50℃以上で行うことが好ましい。
【0023】本発明における不活性ガス雰囲気下でのア
ルコール蒸気による通気処理は、粒子表面に残存する硼
素分が1重量%程度以下になるまで行う。
【0024】本発明の水蒸気による通気処理において使
用する不活性ガスにも前記の不活性ガスを用いればよ
い。通気処理の温度は磁気特性への悪影響を抑えるため
に100℃未満が好ましい。
【0025】本発明の水蒸気による通気処理において水
蒸気の濃度は、1g/Nm3 以上50g/Nm3 以下の
範囲が好ましい。(ここで、g/Nm3 とは標準状態
(0℃、1気圧)における濃度g/m3 に換算したもの
である。)
【0026】本発明における不活性ガス雰囲気下での水
蒸気による通気処理は、粒子表面に残存する炭素分が
0.1重量%程度以下になるまで行うことが好ましい。
さらに、粒子表面に残存する炭素分が0.05重量%程
度以下になるまで行うことがより好ましい。
【0027】本発明における不活性ガス雰囲気下でのア
ルコール蒸気による通気処理及び不活性ガス雰囲気下で
の水蒸気による通気処理は、加熱還元後、還元容器をそ
のまま使用して行うか、または、還元した鉄を主成分と
する針状合金磁性粒子粉末を不活性ガス雰囲気中で、別
の反応器内に移して行うことができる。
【0028】本発明における不活性ガス雰囲気下でのア
ルコール蒸気による通気及び不活性ガス雰囲気下での水
蒸気による通気は、アルコール蒸気又は水蒸気を発生さ
せる装置から、アルコール蒸気又は水蒸気を導き、不活
性ガスとともに反応器内へ導入することによって行うこ
とができる。
【0029】各通気処理後の鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末を空気中に取り出すにあたっては、常法に
より、該鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末表面に
酸化被膜を形成する。即ち、酸化被膜の形成は、不活性
ガス雰囲気下でのアルコール蒸気による通気処理及び水
蒸気による通気処理後、雰囲気を再び不活性ガスに置換
した後、不活性ガス中の酸素含有量を序々に増加させな
がら最終的には空気によって徐酸化する方法等により行
うことができる。但し、酸化被膜を形成する場合、空気
含有量、通気量、及び通気時間を制御してできるだけ穏
やかな酸化条件で行うことが好ましい。発熱最高温度が
200℃を越える場合には、飽和磁化、保磁力が著しく
低下する。
【0030】尚、還元後直ちに酸化被膜の形成を行った
後、各通気処理を行うこともできる。
【0031】本発明における各通気処理を行った後の鉄
を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は、針状または紡
錘状で、長軸径が0.05〜0.3μmで、軸比(長軸
/短軸)が5〜20である。また、残存する硼素分は約
1重量%程度以下であり、残存する炭素分は0.1重量
%程度以下である。
【0032】
【作用】本発明における最も重要な点は、硼素分を含有
する鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を、不活性
ガス雰囲気下、且つ100℃未満の温度においてアルコ
ール蒸気による通気処理を残存する硼素分がB換算で1
重量%以下に減少するまで行い、次いで、不活性ガス雰
囲気下で水蒸気による通気処理を行った場合には、ビヒ
クル中における分散性が良好な鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末が得られるという事実である。この現象
について、本発明者は以下のように考えている。
【0033】本発明者は、鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末の硼素含有量を変えるため、硼素化合物の被
覆処理における添加量を種々変えて実験したところ、含
有する硼素分が少ないほどビヒクル中における分散性が
相対的に良いことを見出した。しかし、被覆処理する硼
素分を少なくしたものは、加熱還元中において粒子の焼
結や、形状の崩れ等が発生して、磁気特性は良くなく、
磁気特性とビヒクル中における分散性がともに優れた鉄
を主成分とする針状合金磁性粒子粉末は得られなかっ
た。
【0034】本発明者は、鉄を主成分とする針状合金磁
性粒子粉末の表面に残存する硼素分は、酸化硼素あるい
は硼酸の形態で存在しているものと考えている。そして
本発明者は、この残存する硼素分が鉄を主成分とする針
状合金磁性粒子粉末を磁気記録媒体とする際、ビヒクル
中における分散性を悪くする要因であることを見出し、
この現象は、酸性を示す硼素分の存在によって鉄を主成
分とする針状合金磁性粒子粉末の表面の酸性度が上昇す
るため、該磁性粒子粉末を磁性塗料とする際、一般的に
使用されているスルホン酸基等を有する酸性樹脂との間
で、同じ極性を有するため反発力が生じるためと考えて
いる。
【0035】本発明者は、硼素分を含有する鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末に、不活性ガス雰囲気下、
且つ100℃未満の温度においてアルコ−ル蒸気による
通気処理を行ったところ、処理前に含まれていた硼素分
が、処理後に減少していることを確認した。
【0036】本発明者は、酸化硼素や硼酸といった形態
で鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の表面に存在
すると考えられる硼素分が、上記アルコール蒸気による
通気処理によって、硼酸エステルを形成し、これが揮発
性であるため蒸散してしまうことによって硼素分の除去
が成されると考えている。
【0037】しかし、上記アルコール蒸気による通気処
理によって硼素分を除去した鉄を主成分とする針状合金
磁性粒子粉末のビヒクル中における分散性はいまだ充分
なものではなかった。そこで、該処理後の粒子粉末につ
いて検討したところ、処理前にくらべ、炭素量が増加し
ていることを確認した。この理由について本発明者は、
増加した炭素分は該硼酸エステル生成の際、鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末の表面に生成されるアルコ
キシル基によるものと考えている。そして、この粒子表
面に生成したアルコキシル基がビヒクル中における分散
性に悪影響を及ぼしていることを見出した。
【0038】本発明者は、鋭意検討した結果、アルコー
ル蒸気による通気処理を行った後、続けて不活性ガス雰
囲気下での水蒸気による通気を行うことにより、粒子表
面が改質されビヒクル中における分散性が顕著に良くな
ることを見出した。また、該処理前に鉄を主成分とする
針状合金磁性粒子粉末に残存した炭素量が処理後にはか
なり減少することを確認した。
【0039】本発明者は、ビヒクル中における分散性が
良くなる理由について、ビヒクル中における分散性に悪
影響を及ぼす粒子表面のアルコキシル基が加水分解され
ることによって、ビヒクル中における分散性に好適なヒ
ドロキシル基が形成されることで、アルコキシル基が蒸
散して、アルコキシル基による炭素量の減少となり、ビ
ヒクル中における分散性を良くすることができたものと
考えている。
【0040】上記の両処理は、鉄を主成分とする針状合
金磁性粒子粉末の磁気特性にはなんら影響を及ぼさな
い。
【0041】なお、前出特開平3−232201号公報
に記載の方法は、還元後の空気中取り出しにおける安全
性と、貯蔵時の耐酸化性の確保を目的として、硼素分含
有の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末に水酸基含
有有機化合物を加熱接触処理することにより硼素分を除
去するものであり、ビヒクル中における分散性を改良す
るものではない。
【0042】
【実施例】以下に実施例を示すことにより、本発明の効
果をさらに詳しく説明する。
【0043】尚、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉
末の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−1
5」(東英工業(株)製)を使用し、外部磁場10kO
eまで印加して測定した。
【0044】また、比表面積は、「モノソーブMS−1
1」(カンタクロム(株)製)を使用し、窒素ガスを用
いるBET法で測定した。
【0045】X線粒径(D110 )はX線回折法で測定さ
れる結晶粒子の大きさを、(110)結晶面に垂直な方
向における結晶粒子の厚さを表したものであり、(11
0)結晶面の回折ピーク曲線から、下記のシェラーの式
を用いて計算した値で示したものである。
【0046】D110 =Kλ/βcosθ 但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピ
ークの半値幅(ラジアン単位) K=シェラー定数(0.9) λ=X線の波長(1.935Å) θ=回折角
【0047】さらに、硼素残存量は、「高周波プラズマ
発光分光分析装置ICAP−575」(日本ジャーレル
・アッシュ(株)製)を使用し測定し、炭素残存量は、
炭素を酸素気流中で燃焼させ、赤外線分光計により検出
する「金属中炭素・硫黄分析装置EMIA−2200」
(堀場製作所(株)製)を使用して測定した。
【0048】鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末の
ビヒクル中における分散性の評価は、次の手法によって
行った。
【0049】まず、該磁性粒子粉末と結合剤樹脂及び溶
剤とを混合し、固形分率76重量%でプラストミルを用
いて30分間混練した。しかる後、所定量の混練物を取
り出し、ガラス瓶に研磨剤、ガラスビーズ及び溶剤とと
もに添加し、ペイントコンディショナーで3時間混合・
分散を行った。その際、分散性を評価するために、分散
途中の0.5時間、1時間及び3時間の各時点で塗料の
抜き取りを行った。
【0050】各分散時間での抜き取られた磁性塗料を厚
さ14μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に
アプリケータを用いて55μmの厚さに塗布し、次い
で、10kOeの磁場で配向させた後、乾燥させること
によりシート試料片(1)を得た。分散性は該シート試
料片(1)の表面光沢を測定することによって行い、表
面光沢の上昇速度及び3時間の時点での表面光沢の値が
大きいもの程、分散性が良好であると評価した。なお、
塗布膜の表面光沢はグロスメータ「UGV−5D」(ス
ガ試験器(株)製)で入射角45°で測定した値であ
り、標準板光沢を86.3%とした時の値を%表示で示
したものである。
【0051】次に、3時間混合・分散を行った磁性塗料
は磁気テープを作成するために、その後、潤滑剤及び硬
化剤とを加え、さらに15分間混合・分散した。このと
きの磁性塗料の組成は下記のとおりであった。 磁性粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 研磨剤 10重量部 潤滑剤 2.5重量部 硬化剤 5重量部 シクロヘキサノン 52.5重量部 メチルエチルケトン 130.5重量部 トルエン 78.3重量部 得られた磁性塗料を、厚さ14μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルム上にアプリケータを用いて55μm
の厚さに塗布し、次いで、10kOeの磁場で配向させ
た後、乾燥させることにより、シート試料片(2)を得
た。得られたシート試料片にカレンダー処理を行った
後、60℃で24時間硬化反応して0.5インチ幅にス
リットして磁気テープを得た。
【0052】この磁気テープの表面粗度Raを「Sur
fcom−575A」(東京精密(株)製)を用いて測
定した。表面粗度の値は、より小さいものほど磁性粒子
粉末のビヒクル中における分散性が良好であると評価で
きる。
【0053】また、該磁気テープの磁気特性は磁性粒子
粉末の場合と同様に、「振動試料型磁力計VSM−3S
−15」(東英工業(株)製)を使用して外部磁場10
kOeまで印加して測定した。
【0054】実施例1 針状α−FeOOH粒子粉末(長軸径0.21μm、軸
比11.0)にアルミニウム化合物及びコバルト化合物
を被着させた後、濾過・水洗し、得られた針状α−Fe
OOHのケーキを1.5wt%の硼酸水溶液中にて混合
・攪拌し、ろ別して、針状α−FeOOH固形分に対し
てB換算で0.7wt%の硼酸を含有した針状α−Fe
OOHのケーキを得た。次いで、得られた針状α−Fe
OOHのケーキを直径2〜3mm、長さ4〜8mmの円
柱状に成形し、乾燥した。さらに、これを加熱脱水して
針状α−Fe2 3 粒子粉末からなる成形物とした。
【0055】前記α−Fe2 3 成形物を固定層反応器
に仕込み、水素気流中において400℃の温度で3.5
時間加熱還元して、硼素分を含有する鉄を主成分とする
針状合金磁性粒子粉末からなる成形物を得た。
【0056】得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒
子粉末を窒素気流中で冷却した後、30℃のメタノール
蒸気及び窒素ガスを固定層反応器に導いて窒素ガス雰囲
気下、70℃で2時間メタノール蒸気による通気処理を
行った。次いで、水蒸気と窒素ガスとを反応器に導いて
露点が9℃の水蒸気により、窒素ガス雰囲気下、95℃
で2時間水蒸気による通気処理を行った。
【0057】その後、反応器内を窒素で十分置換した
後、窒素ガス中の酸素含有量を徐々に増加させながら最
終的には空気によって徐酸化することにより、粒子表面
に酸化被膜を形成させた。
【0058】得られた鉄を主成分とする磁性粒子粉末の
各特性は、長軸径0.16μm、軸比10.1、比表面
積53m2 /g、X線粒径162Å、硼素残存量0.9
5wt%、炭素残存量0.024wt%、保磁力160
9Oe、飽和磁化130emu/gであった。
【0059】また、シート試料片(1)の3時間の時点
での表面光沢は142.2%であった。さらに、得られ
た鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を用いて作成
した磁気テープの各特性は、表面粗度Ra10.4n
m、保磁力1606Oe、角型比0.75、配向度1.
60であった。
【0060】実施例2 窒素ガス雰囲気下、メタノール蒸気による通気処理を行
う際の処理温度を90℃に変えた以外は、実施例1と同
様の方法によって、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子
粉末を得た。
【0061】前記磁性粒子粉末の各特性は、長軸径0.
14μm、軸比8.7、比表面積53m2 /g、X線粒
径161Å、硼素残存量0.93wt%、炭素残存量
0.032wt%、保磁力1606Oe、飽和磁化13
0emu/gであった。
【0062】また、実施例1と同様の方法で作成したシ
ート試料片(1)の3時間の時点での表面光沢は14
2.5%であった。さらに、前記磁性粒子粉末を用いて
作成した磁気テープの各特性は表面粗度Ra10.4n
m、保磁力1598Oe、角型比0.74、配向度1.
55であった。
【0063】比較例1 窒素ガス雰囲気下、水蒸気による通気処理を行わなかっ
た以外は、実施例1と同様の方法によって、鉄を主成分
とする針状合金磁性粒子粉末を得た。
【0064】前記磁性粒子粉末の各特性は、長軸径0.
16μm、軸比9.2、比表面積52m2 /g、X線粒
径161Å、硼素残存量0.98wt%、炭素残存量
0.337wt%、保磁力1610Oe、飽和磁化13
1emu/gであった。
【0065】また、実施例1と同様の方法で作成したシ
ート試料片(1)の3時間の時点での表面光沢は84.
0%であった。さらに、前記磁性粒子粉末を用いて作成
した磁気テープの各特性は表面粗度Ra18.8nm、
保磁力1597Oe、角型比0.70、配向度1.38
であった。
【0066】比較例2 窒素ガス雰囲気下、メタノール蒸気による通気処理の処
理温度を150℃とし、その後の水蒸気含有窒素ガスに
よる通気処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の
方法によって、鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
を得た。
【0067】前記磁性粒子粉末の各特性は、長軸径0.
15μm、軸比8.3、比表面積50m2 /g、X線粒
径161Å、硼素残存量0.86wt%、炭素残存量
0.398wt%、保磁力1588Oe、飽和磁化12
7emu/gであった。
【0068】また、実施例1と同様の方法で作成したシ
ート試料片(1)の3時間の時点での表面光沢は10
6.0%であった。さらに、前記磁性粒子粉末を用いて
作成した磁気テープの各特性は表面粗度Ra16.4n
m、保磁力1584Oe、角型比0.70、配向度1.
37であった。
【0069】参考例 不活性ガス雰囲気下、メタノール蒸気による通気処理、
並びに不活性ガス雰囲気下、水蒸気による通気処理を行
わなかった以外は実施例1と同様の方法によって、鉄を
主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得た。
【0070】前記磁性粒子粉末の各特性は、長軸径0.
16μm、軸比8.5、比表面積52m2 /g、X線粒
径161Å、硼素残存量1.23wt%、炭素残存量
0.034wt%、保磁力1608Oe、飽和磁化12
9emu/gであった。
【0071】また、実施例1と同様の方法で作成したシ
ート試料片の3時間の時点での表面光沢は128.7%
であった。さらに、前記磁性粒子粉末を用いて作成した
磁気テープの各特性は表面粗度Ra18.0nm、保磁
力1610Oe、角型比0.71、配向度1.46であ
った。
【0072】表1は上掲の実施例、比較例及び参考例に
おいて得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末
の各特性、及び該磁性粒子粉末を用いて作成した磁気テ
ープの各特性をまとめたものである。
【0073】
【表1】
【0074】表1より、実施例1及び2は、比較例1、
2及び参考例に比べて表面粗度の値が非常に低くなって
いることから、本発明により得られた該磁性粒子粉末は
ビヒクル中における分散性が顕著に改善されていること
がわかる。また、実施例1及び2は、比較例1、2及び
参考例に比べてテープ特性における角型比及び配向度が
明らかに向上していることからもビヒクル中における分
散性が顕著に改善されていることがわかる。
【0075】実施例1及び2、比較例1及び2、参考例
において得られた鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉
末をビヒクル中に混合・分散させた時の表面光沢度の時
間変化を示したものである。図1中、○は実施例1のビ
ヒクル中における表面光沢度の時間変化を、△は実施例
2を、■は比較例1を、▲は比較例2を、●は参考例を
それぞれ表している。
【0076】図1より、実施例1及び2は、比較例1、
2及び参考例に比べて表面光沢度の上昇速度が大きく、
また3時間後の表面光沢の値も大きくなっていることか
ら、本発明により得られた該磁性粒子粉末はビヒクル中
における分散性が顕著に改善されていることがわかる。
【0077】
【効果】本発明によれば、前出実施例に示した通り、微
粒子であって、高い保磁力と大きな飽和磁化とを有し、
しかもビヒクル中における分散性の良い磁気記録媒体用
の鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末を得ることが
できるので、現在最も要求されている高密度記録用、高
出力用、低ノイズレベル用磁性粒子粉末として好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉄を主成分とする針状合金磁性粒子粉末をビ
ヒクル中に混合・分散させた時の表面光沢度の時間変化
を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 敬介 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号戸 田工業株式会社創造センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針状含水酸化鉄粒子粉末又は針状酸化鉄
    粒子粉末の粒子表面を硼素化合物で処理した後に加熱還
    元することにより得られた硼素分を含有する鉄を主成分
    とする針状合金磁性粒子粉末を、不活性ガス雰囲気下、
    且つ100℃未満の温度においてアルコール蒸気による
    通気処理を残存する硼素分がB換算で1重量%以下に減
    少するまで行い、次いで、不活性ガス雰囲気下で水蒸気
    による通気処理を行うことを特徴とする鉄を主成分とす
    る針状合金磁性粒子粉末の製造方法。
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