JPH07116245A - 血液ポンプ - Google Patents

血液ポンプ

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Publication number
JPH07116245A
JPH07116245A JP5263920A JP26392093A JPH07116245A JP H07116245 A JPH07116245 A JP H07116245A JP 5263920 A JP5263920 A JP 5263920A JP 26392093 A JP26392093 A JP 26392093A JP H07116245 A JPH07116245 A JP H07116245A
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JP
Japan
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chamber
blood
pump
purge
rotary shaft
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Pending
Application number
JP5263920A
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English (en)
Inventor
Michiharu Nakao
通治 中尾
Yuuki Miyasoi
雄貴 宮副
Takeshi Aizawa
猛 相澤
Takeo Matsumoto
竹男 松本
Yasuyoshi Koinuma
康美 鯉沼
Shinji Nakada
伸治 中田
Norio Nakabayashi
宣男 中林
Kazuhiko Ishihara
一彦 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikkiso Co Ltd
NOF Corp
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nikkiso Co Ltd, Nippon Oil and Fats Co Ltd filed Critical Nikkiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶血、血液凝固等を起こすことなく長期間連
続使用に耐える血液ポンプの提供。 【構成】 回転式血液ポンプにおいて、血液接触面に
(メタ)アクリロイルオキシ低級アルキルホスホリルコ
リン共重合体のコーティングを施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、血液ポンプに関し、
更に詳しくは、開心術(心臓切開術とも称される。)時
の体外循環や、術中または術後の心原性ショック及び急
性心筋梗塞などに対する補助循環用として使用する血液
ポンプに関するものであり、ポンプ室からの血液の漏出
およびポンプ室内での溶血や血栓形成を起こすことがな
く、長期間に渡って使用可能な血液ポンプに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】補助循環
用として使用される血液ポンプは、拍動ポンプと無拍動
ポンプとに大別されるが、構造が簡単で高信頼性である
こと、および制御が簡単であることなどの理由により無
拍動ポンプが近年注目されている。中でも遠心ポンプは
小型、軽量化が容易であること、および操作性が簡易で
あること等から開心術時の体外循環への使用例が急激に
増加しつつある。
【0003】従来、血液ポンプとして使用されている遠
心ポンプとしては、次の構造を有するものが知られてい
る。すなわち、頂部に血液導入管を有し、前記血液導入
管の軸線に対して直交する方向に設けられた血液導出管
を有するポンプ室と、回転台座にインペラーブレードを
放射状に立設してなり、ポンプ室内で回転軸により回転
可能に支持されてなる羽根車(インペラーとも称され
る。)とを有する血液ポンプが知られている。
【0004】この種の血液ポンプによると、血液導入管
を通じてポンプ室内に供給された血液が、羽根車の回転
により、血液導出管から導出される。
【0005】しかしながら、この種の血液ポンプにおい
ては、回転台座を軸支する回転軸は、ポンプ室内の底面
に設けられた回転軸穴に対して、メカニカルなシール手
段によってシールされているので、回転軸の高速回転に
よりポンプ室内の底面とシール手段との間に摩擦熱が発
生し、この摩擦熱によって溶血(血球破壊とも称され
る。)が著しく促進されるという欠点を有していた。
【0006】この種の血液ポンプにおいては、回転軸の
周囲が血液滞留部になり易く、この血液滞留部分で血栓
形成が促進され、そのために、この種の血液ポンプを長
時間に渡って使用することは非常な危険を伴い、通常の
使用時間はせいぜい12〜24時間に限られていた。し
たがって、この種の血液ポンプを使用できる症例は事実
上開心術時の体外循環に限定されていた。
【0007】これに対し、開心術中および術後の心原性
ショックや急性心筋梗塞などに使用される補助循環用血
液ポンプは、患者がその心機能の回復に要する期間に渡
る、通常1週間〜2週間の連続運転が要求される。
【0008】換言すると、血液ポンプの使用時間が約2
4時間であれば十分にその血液ポンプを開心術の使用に
供することができるのであるが、補助循環用血液ポンプ
としては、使用可能期間が24時間では使用に供するこ
とができず、最低2週間の使用が保証されねばならな
い。その根拠としては、国内外の補助循環症例に見るこ
とができる。
【0009】我が国の補助人工心臓を適用した症例に対
する調査では、その殆どが10日以内の使用となってお
り、またそれ以上の使用での予後は極めて悪くなってい
る(岩谷ら、人工臓器,19(3),997−1001
(1990))。また米国での調査においても、使用期
間が10日を経過すると離脱率、生存率は極めて低くな
ると言う報告がなされている(アメリカ人工臓器学会
(1990))。
【0010】これらの理由により、補助循環用として使
用するための血液ポンプとして長時間に渡って、初期の
性能を継続的に維持することのできる、高信頼性の非拍
動血液ポンプが必要とされていた。換言すれば、2週間
以上もの長期に渡って、溶血や血栓形成等の問題がな
く、安全に運転することのできる血液ポンプの開発が待
ち望まれていた。
【0011】かかる問題を解消するものとして、特開昭
61−500058号公報に記載された凝血抑制血液ポ
ンプが知られている。
【0012】この凝血抑制血液ポンプにおいては、羽根
車チャンバー内に回転可能に配置された羽根車を軸支す
る回転軸の軸受けが流体力学的タイプで形成されてい
る。そして、この凝血抑制血液ポンプにおいては、回転
軸とその周囲の固定部との間にパージ流体が流れ、その
パージ流体が羽根車チャンバー内に滲出することによ
り、羽根車チャンバーから血液が漏出するのを防止しよ
うとするのである。しかしながら、羽根車チャンバー内
における圧力とパージ流体の圧力とが逆転したり、パー
ジ流体が不足したりしたときには回転軸とその周囲の固
定部との間から羽根車チャンバー内の血液が漏出する。
その結果、羽根車チャンバー内の血液をシールするとい
う目的を達成することができないばかりか、漏出した血
液が羽根車回転機構内で凝固することにより、羽根車内
の円滑な回転が阻害される事態も発生し、凝血抑制血液
ポンプにおける正常な運転を継続することができないと
いう問題が生じる。
【0013】しかもこの問題と共に、溶血や血栓の形成
が促進されて、血液ポンプとしては甚だ不都合な問題も
生じる。
【0014】これに加えて、ポンプ室内の血液接触部は
生体適合性を有していないため、血液接触部材料自体が
血液との接触時間の経過により血液中の凝固因子を活性
化させ、血栓を生じさせるという問題があった。さらに
は、ポンプ室内の流速の遅い部分、特に羽根車の回転軸
付近には血液が滞留しやすく、この部分において特に短
期間のうちに血栓形成が促進されるという問題があっ
た。血栓形成が起こると、一方では、血栓が部分的に剥
がれて患者体内に入って毛細血管を塞ぐなど患者の生命
に関わる問題を引き起こす可能性があり、他方、ポンプ
室内では、大きく成長した血栓が軸回転の負荷となりポ
ンプの回転運動を妨げるという大きな問題を引き起こす
可能性があった。
【0015】この発明は前記問題点を解決するためにな
されたものである。すなわち、この発明の目的は、開心
術中または術後の心原性ショックや急性心筋梗塞などに
補助循環用として使用可能な2週間という長期間に渡っ
て、血液漏洩、溶血、血栓形成などが無く、安全に連続
運転可能な血液ポンプを提供することである。さらに具
体的には、ポンプ室内の急激な圧力上昇や何らかの原因
によるポンプ室内の圧力とパージ室内の圧力との逆転時
においても、ポンプ室からの血液の漏洩がなく、さらに
血液適合性を持った材料をポンプ室内面の全血液接触部
に塗布することで溶血や血栓の無い血液ポンプを提供す
ることにある。
【0016】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ための請求項1に記載の発明は、導入口と導出口とを有
するポンプ室、該ポンプ室の下方に隣接して設けられ、
かつパージ液を充填してなるパージ室、該パージ室の下
方に隣接して設けられた回転駆動源室、および、回転駆
動源室の底部中央に回転可能に支持され、パージ室の底
部とポンプ室の底部との各中央部に設けられた軸穴を通
じて延びる回転軸と該回転軸の先端に取り付けられたそ
の表面に放射状に立設された複数個のインペラーブレー
ドを有する回転台座からなる羽根車を有し、その血液全
接触部にリン脂質高分子からなる血液適合性材料をコー
ティングしてなることを特徴とする血液ポンプであり、
請求項2に記載の発明は、前記血液適合性材料がメタ
(アクリロイルオキシ)低級アルキルホスホリルコリン
共重合体である前記請求項1に記載の血液ポンプであ
り、請求項3に記載の発明は、前記血液適合性材料が2
−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン共重合
体である請求項1に記載の血液ポンプであり、請求項4
に記載の発明は、前記羽根車の回転軸が、前記ポンプ室
の底の上面側に設けられ、少なくともその下縁部が弾性
材料で造られ、回転軸とポンプ室底部の軸穴との間隔を
覆うように延びる第1環状シール部材と、前記パージ室
の底の上面側に設けられ、その下縁部が弾性材料で造ら
れ回転軸とパージ室の底の軸穴との間隔を覆うように延
びる第2環状シール部材を有してなる前記請求項1〜3
のいずれかに記載の血液ポンプであり、請求項5に記載
の発明は、前記回転源駆動室は、その内部に、血液ポン
プ外の回転磁石に磁気的に対応する磁石を前記回転軸に
設けてなる前記請求項1に記載の血液ポンプであり、請
求項6に記載の発明は、前記パージ液が抗凝固剤または
血栓溶解剤含有の生理液である前記請求項1〜5のいず
れかに記載の血液ポンプである。
【0017】本発明において、血液適合性材料として
は、リン脂質高分子からなり、血液と接触しても血小板
等の血液凝固因子を活性化させない機能を有する限り、
特に制限がない。このような血液適合性材料の好適例と
して、たとえばメタ(アクリロイルオキシ)低級アルキ
ルホスホリルコリン共重合体、好ましくは2−メタクリ
ロイルオキシエチルホスホリルコリン共重合体を挙げる
ことができる。
【0018】このメタ(アクリロイルオキシ)低級アル
キルホスホリルコリン共重合体として、メタ(アクリロ
イルオキシ)低級アルキルホスホリルコリンと他のモノ
マーとの共重合体を挙げることができる。そのモノマー
としては、メタ(アクリル酸メチル)、メタ(アクリル
酸エチル)、メタ(アクリル酸n−プロピル)、メタ
(アクリル酸イソプロピル)、メタ(アクリル酸n−ブ
チル)、メタ(アクリル酸イソブチル)、メタ(アクリ
ル酸セカンダリ−ブチル)、メタ(アクリル酸n−ペン
チル)、メタ(アクリル酸n−ヘキシル)、メタ(アク
リル酸ヘプチル)、メタ(アクリル酸n−オクチル)、
メタ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタ(アクリ
ル酸トリデシル)、メタ(アクリル酸2−エトキシエチ
ル)、メタ(アクリル酸2−エトキシプロピル)、メタ
(アクリル酸2−フェノキシエチル)、メタ(アクリル
酸ブトキシエチル)、メタ(アクリル酸2−ヒドロキシ
エチル)、スチレン等を挙げることができる。
【0019】前記リン脂質高分子は、その分子量が1,
000〜1,000,000の範囲内にあるのが好適で
ある。
【0020】血液ポンプにおける血液全接触部にコーテ
ィングされる血液適合性材料のコーティング厚さは、通
常0.1〜100μm程度である。
【0021】コーティングする方法としては、適当な溶
媒、たとえばアルコール、水、ケトン、ハロゲン化炭化
水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等
にリン脂質高分子たとえば2−メタクリロイルオキシエ
チルホスホリルコリン共重合体を0.01〜20%の濃
度に溶解した溶液に接液部を有するポンプの部品を一定
時間浸漬し、風乾後、真空乾燥する方法などが挙げられ
る。これでコーティングの厚さは0.1〜100μmで
ある。
【0022】その他のコーティング方法としては、(1)
血液適合性材料の希薄溶液を循環し、液を排除した後に
風乾する、(2) 濃厚溶液を刷毛塗りし、またはスプレー
し、その後に乾燥する、などを挙げることができる。
【0023】必要に応じて、ホルムアルデヒドその他の
架橋剤により、血液適合性材料を血液ポンプの内表面に
化学結合させても良い。
【0024】
【作用】この発明によればパージ室内にはポンプ室内の
流体圧よりも高い圧力のパージ液が充填されているの
で、第1回転軸穴と回転軸との間隔から滲出したパージ
液により、第1シール部材における環状片が浮き上が
り、環状片の先端部がポンプ室の底面に接触することが
ない。したがって、この第1シール部材における環状片
の先端部がポンプ室の底面に接触しながら回転軸が回転
することにより生じる発熱および発熱による溶血の発生
が防止される。
【0025】さらに、第1回転軸穴と回転軸との間隔か
ら滲出したパージ液が、ポンプの回転軸の周りに滞留し
ている血液に作用し、回転軸の周りでの血液滞留が軽減
され血栓形成が緩和される。
【0026】また特に、パージ液として抗凝固剤含有生
理食塩水を用いると、第1回転軸穴と回転軸との間隔か
ら滲出した抗凝固剤含有生理食塩水が直接シール部材お
よびその周囲の血液に作用し、一層血栓防止効果が促進
される。加えて本願発明では、ポンプ室内のすべての血
液接触部にリン脂質高分子たとえば(メタ)アクリロイ
ルオキシ低級アルキルホスホリルコリン共重合体をコー
ティングしているので、これにより、血液接触面での血
液凝固因子の活性化が著しく抑制され、血液接触部材に
おける血栓形成の可能性が大幅に低減される。
【0027】パージ室内にはパージ液が圧入されている
のであるが、何らかの原因でポンプ室内の流体圧がパー
ジ液の圧力よりも大きくなった場合には、第1シール部
材における環状片の下縁部がポンプ室内の底面に押圧さ
れるから、第1回転軸穴との間隔を通じてパージ室内に
血液の漏出するのが防止される。パージ室内において
は、パージ液の圧力によって、第2シール部材の環状片
がパージ室内の底面に押圧されるので、第2回転軸穴と
回転軸との間隔を通じてパージ液が駆動源室内に漏出す
るのが防止される。すなわち、本発明においては、血液
ポンプにおいて、ウォーターパージシステム(パージ
系)により、シール部材とシール面との接触による発熱
に起因する溶血を低減すると共に、回転軸周りの血液滞
留を防止することにより血栓形成を低減する。さらに、
全血液接触面にリン脂質高分子たとえば(メタ)アクリ
ロイルオキシ低級アルキルホスホリルコリン共重合体を
コーティングすることにより血液接触部での血栓形成の
可能性を大幅に低減する。このウォーターパージシステ
ムと血液適合性材料たとえば(メタ)アクリロイルオキ
シ低級アルキルホスホリルコリン共重合体の組み合わせ
により、初めて溶血および血栓形成が長期的に抑制可能
となりポンプの回転運動は、2週間以上の長期間に渡っ
て機能し続けることが可能となる。このため、従来技術
では達成できなかった、開心術中、術後の心原性ショッ
クや急性心筋梗塞などの補助循環用として使用可能な2
週間以上の長期にわたって使用可能な血液ポンプを安価
な信頼性の高いシステムで供給可能となる。
【0028】
【実施例】この発明の一実施例について図面を参照しな
がら説明する。尚、この発明はこの実施例に限定される
ものではなく、この発明の要旨の範囲内で適宜に設計変
更する事ができるのは言うまでもない。
【0029】図1はこの発明の一実施例である血液ポン
プを示す断面図である。
【0030】図1に示すように、この血液ポンプ1は、
ポンプ室2とパージ室3と駆動源室(以下においてマグ
ネット室と称することがある。)4とを有する。
【0031】ポンプ室2との内壁は、漏斗を逆さにした
形状を有し、ポンプ室2の頂部には血液を導入する血液
導入管5が設けられている。ポンプ室2の側方には血液
導出管6が設けられている。ポンプ室2の底部7は略円
形をなし、その中心にはパージ室に連通する第1回転軸
穴8が開設されている。
【0032】パージ室3は、ポンプ室2の底部を介して
ポンプ室2に隣接する状態で設けられている。このパー
ジ室3には二つのパージ液導入口9、10が設けられ、
パージ室3内にパージ液が圧入される。このパージ室3
は液密に構成されている。このパージ室3の底部11は
略円形をなし、その中心にはマグネット室4に連通する
第2回転軸穴12が開設されている。
【0033】マグネット室4は、パージ室3の底部11
を介してパージ室3に隣接する状態で設けられている。
マグネット室4内は略円筒形をなし、その底面の中心に
は第1軸受け13が配置されている。この第1軸受け1
3に対応して、マグネット室4の天井部に当たる第2回
転軸穴12にも第2軸受け14が取り付けられている。
【0034】そして、この第1軸受け13に一端を軸支
される回転軸15が、前記第2軸受け14を貫通し、第
2回転軸穴12を貫通し、第1回転軸穴8を貫通して回
転自在に挿通配置されている。この回転軸15のポンプ
室2内における先端部には、傘状の回転台座16が装着
されている。この回転台座16の上面には、上端がポン
プ室2の内壁に沿うように成形された複数のインペラー
ブレード17が放射状に立設されている。また、この回
転台座16には、立設されるインペラーブレード17間
に貫通孔18が設けられている。回転軸15の、ポンプ
室2の底面近傍の周囲には、ポンプ室2の底面に向かっ
て斜め下方に向かって延び下縁部がポンプ室2の底面に
わずかに接触する状態になっている環状片19を有する
環状の第1シール部材20が装着されている。この第1
シール部材20は、回転軸15を挿通する貫通孔を有す
る円筒状のシール本体下端面において斜めに延びる環状
片19とを有し、血液に対して悪影響を与えることのな
い柔軟な部材などで形成される。この回転軸15に支持
された傘状の回転台座16とインペラーブレード17と
で羽根車が形成される。
【0035】回転軸15の、パージ室3の底面近傍の周
囲には、パージ室3の底面に向かって斜めに下方に延
び、下縁部がパージ室3の底面に接触する状態になって
いる環状片21を有する環状の第2シール部材22が装
着されている。この第2シール部材22は、回転軸15
を挿通する貫通孔を有する円筒状のシール本体とシール
本体の下端面において斜めに延びる環状片19を有し、
血液に対して悪影響を与えることのない柔軟な部材など
で形成される。
【0036】回転軸15の、マグネット室4内における
部分には、磁石23が装着された円盤24が装着されて
いる。この血液ポンプ1は、その羽根車を回転させるに
は、この血液ポンプ1の底面に図示しない回転磁石装置
が装着される。回転磁石装置は、前記円盤24における
磁石23に対応する磁石を設けた回転体を有し、図示し
ない駆動源によってこの回転体を回転駆動するようにな
っている。この磁石を装着した回転体が回転することに
よって、回転体の磁石に対する磁石23を有する前記円
盤24が回転する。
【0037】ポンプ室2の全血液接触部には血液適合性
材料である2−メタクリロイルオキシエチルホスホリル
コリンとメタクリル酸ブチルの重量モル比3:7の共重
合体がコーティングされている。
【0038】以上構成の血液ポンプ1は次のような動作
を行なう。
【0039】すなわち、この血液ポンプ1の底面に装着
された回転磁石装置を駆動して、回転磁石装置内の回転
体を回転させ、この回転体に設けられた磁石に対応する
磁石23を有する円盤24を回転させる。円盤24の回
転により、回転軸15の先端に設けられた羽根車が回転
する。
【0040】血液導入管5からポンプ室2内に血液が導
入され、導入された血液は羽根車の高速回転により遠心
力を受けて血液導出管6からポンプ室2外に排出され
る。
【0041】一方、パージ室3内にはパージ液導入口9
からパージ液が圧入される。尚、パージ室3内にパージ
液を圧入する際、2基のパージ液導入口9、10のいず
れかからパージ液を導入すると共に他方のパージ液導入
口をエアー抜きとして開放しておく。エアー抜きが完逐
されると共にパージ室3内にパージ液が充填されるとエ
アー抜きのためのパージ導入口10は封鎖される。そし
て、適宜の注入ポンプによりパージ室3内にパージ液を
導入し続ける。
【0042】これによって、パージ液が所定の圧力でパ
ージ室3内に圧入されているので、第1回転軸穴8と回
転軸15との間隙を通ってパージ液がポンプ室2内に滲
出する。ポンプ室2内に滲出することによりパージ室3
内から失われたパージ液は前記した適宜の注入ポンプに
よりパージ室3内に補充される。したがって、このパー
ジ室3内には終始パージ液が圧入されていることにな
る。しかも、ポンプ室2にパージ液が滲出するので、こ
のパージ液の流出に逆らってポンプ室2内の血流がパー
ジ室3内に滲出することはない。しかも第1転軸穴8と
回転軸15との間隙を通ってパージ液がポンプ室2内に
滲出しているから、滲出するパージ液がポンプ室2内の
第1シール部材20の環状片19を押し上げる。その結
果、環状片19の下縁部はポンプ室2内の底面とは接触
するかしないかの微妙な状態となっている。
【0043】換言すると、回転する回転軸15に装着さ
れた第1シール部材20も回転するのであるが、環状片
19が前記間隙から滲出するパージ液によって浮き上が
った状態になっているから、環状片19の先端部とポン
プ室2の底面との摺動接触による発熱が極めて少なくな
る。発熱が極めて少なくなるから、環状片19がポンプ
室2の底部に接触回転することにより発生する溶血が防
止される。
【0044】さらに、ポンプ室2の全内面には血液適合
性材料である2−メタクリロイルオキシエチルホスホリ
ルコリン共重合体がコーティングされている。血液の淀
みが大きく、その付近に血栓の生じやすい回転軸15の
周り、特に第1回シール部材の周りにおいて、血液凝固
因子の活性化が抑制され血栓の発生が防止される。
【0045】また突発的にポンプ室2内の血流の圧力が
異常に高まったり、あるいは、何らかの原因でパージ室
3内のパージ液の圧力が異常に低下しても、ポンプ室2
内の血流圧により環状片19がポンプ室2の底面に押圧
されて第1回転軸穴8と回転軸15との間隙を封鎖す
る。したがって、ポンプ室2内の血液がパージ室3内に
漏出することが防止される。
【0046】このように、この第1シール部材と圧入さ
れたパージ液とにより、ポンプ室内の圧力変動あるいは
パージ室内の圧力変動があったとしても、ポンプ室から
パージ室内への血液の漏出が確実に防止される。
【0047】パージ室3内では、パージ液が圧入されて
いるので、その圧力によって、第2シール部材22にお
ける環状片21がパージ室の底面に押圧され、これによ
って環状片21が、第2回転軸穴12と回転軸15との
間隙を封鎖する。したがって、第2回転軸穴12と回転
軸15との間隙からマグネット室4内にパージ液が漏出
することはない。
【0048】この血液ポンプ1においては、ポンプ室2
とパージ室3とマグネット室4とに分割されているの
で、万一ポンプ室2内の血液がパージ室3内に漏出する
ことがあったとしても、マグネット室4内にまで血液が
漏出することはない。したがって、マグネット室4内に
血液が漏出し、それが凝固するなどの原因によって駆動
不能になる状態が回避される。
【0049】以上の実施例においては、羽根車の回転駆
動源は、血液ポンプ1の底面に装着される回転磁石装置
によって回転する磁石23を装着する円盤24であった
が、これ以外の回転駆動源であってもよい。
【0050】また、前記実施例に示される以外の回転駆
動源を、たとえば、遠隔の場所に配置された駆動装置た
とえばモータと、このモータの回転シャフトに結合され
たフレキシブルシャフトと、このフレキシブルシャフト
の先端部で回転軸15を結合する自在継ぎ手とによって
構成してもよい。
【0051】パージ液は血液に対する悪影響を与えるこ
とのない液体であれば良く、中でも抗凝固剤もしくは血
栓溶解剤含有生理食塩水が好ましい。この抗凝固剤は、
血液に対し凝固を抑制する作用を有し、血栓溶解剤は出
来てしまった血栓を溶解する作用を有する。このような
抗凝固剤、たとえばストレプトキナーゼ含有生理食塩
水、あるいは血栓溶解剤含有生理液、たとえばヘパリン
含有生理食塩液を使用すると、パージ室からポンプ室へ
と滲出するパージ液により血栓形成がさらに有効に防止
される。
【0052】本発明の血液ポンプは2週間連続使用して
も溶血または血栓形成を起こさなかった。
【0053】
【発明の効果】以上に記述したこの発明によると、第1
シール部材と圧入されるパージ液とによってポンプ室内
の血液がパージ室内に漏出するのが防止され、第2シー
ル部材と圧入されるパージ液とによってパージ室内のパ
ージ液が駆動源室に漏出することも防止される。また、
ポンプ室内における回転軸近傍でのシール部材の回転に
よる溶血および血栓の発生も防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の血液ポンプの一実施態様の構
造を示す立面断面図である。
【符合の説明】
1・・・血液ポンプ、2・・・ポンプ室、3・・・パー
ジ室、4・・・駆動源室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相澤 猛 静岡県榛原郡榛原町静谷498−1 日機装 株式会社静岡製作所内 (72)発明者 松本 竹男 茨城県つくば市東2−14−9 (72)発明者 鯉沼 康美 茨城県つくば市東新井32−16 ライフ開所 1棟202 (72)発明者 中田 伸治 茨城県つくば市春日2−26−2 苅間ハイ ツC−103 (72)発明者 中林 宣男 千葉県松戸市小金原5−6−20 (72)発明者 石原 一彦 東京都小平市上水本町6−5−9−201

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導入口と導出口とを有するポンプ室、該
    ポンプ室の下方に隣接して設けられ、かつパージ液を充
    填してなるパージ室、該パージ室の下方に隣接して設け
    られた回転駆動源室、および、回転駆動源室の底部中央
    に回転可能に支持され、パージ室の底部とポンプ室の底
    部との各中央部に設けられた軸穴を通じて延びる回転軸
    と該回転軸の先端に取り付けられたその表面に放射状に
    立設された複数個のインペラーブレードを有する回転台
    座からなる羽根車を有し、その血液全接触部にリン脂質
    高分子からなる血液適合性材料をコーティングしてなる
    ことを特徴とする血液ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記血液適合性材料がメタ(アクリロイ
    ルオキシ)低級アルキルホスホリルコリン共重合体であ
    る前記請求項1に記載の血液ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記血液適合性材料が2−メタクリロイ
    ルオキシエチルホスホリルコリン共重合体である請求項
    1に記載の血液ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記羽根車の回転軸が、前記ポンプ室の
    底の上面側に設けられ、少なくともその下縁部が弾性材
    料で造られ、回転軸とポンプ室底部の軸穴との間隔を覆
    うように延びる第1環状シール部材と、前記パージ室の
    底の上面側に設けられ、その下縁部が弾性材料で造られ
    回転軸とパージ室の底の軸穴との間隔を覆うように延び
    る第2環状シール部材を有してなる前記請求項1〜3の
    いずれかに記載の血液ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記回転源駆動室は、その内部に、血液
    ポンプ外の回転磁石に磁気的に対応する磁石を前記回転
    軸に設けてなる前記請求項1に記載の血液ポンプ。
  6. 【請求項6】 前記パージ液が抗凝固剤または血栓溶解
    剤含有の生理液である前記請求項1〜5のいずれかに記
    載の血液ポンプ。
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