JPH07113801A - ステンレス鋼の鋭敏化度評価方法 - Google Patents

ステンレス鋼の鋭敏化度評価方法

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JPH07113801A
JPH07113801A JP5258031A JP25803193A JPH07113801A JP H07113801 A JPH07113801 A JP H07113801A JP 5258031 A JP5258031 A JP 5258031A JP 25803193 A JP25803193 A JP 25803193A JP H07113801 A JPH07113801 A JP H07113801A
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JP
Japan
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stainless steel
sensitization
degree
replica film
thermal desorption
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Pending
Application number
JP5258031A
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English (en)
Inventor
Masako Mizuno
昌子 水野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】被検査体表面を研磨後、エッチングし、レプリ
カフィルムに金属組織を転写,抽出する。このレプリカ
フィルムにガスまたはイオンを注入し、トラップされた
量を昇温脱離ガス分析法にて測定し、鋭敏化の程度を判
定する。 【効果】微小領域の鋭敏化の程度を非破壊で高感度に検
出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオーステナイトステンレ
ス鋼の鋭敏化の程度を測定して、応力腐食割れ感受性を
評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイトステンレス鋼の応力腐食
割れ感受性を測定する従来の方法は、電気化学的再活性
化法(EPR法)が知られている。しかし、EPR法に
より、既設の金属構造物の狭い空間内の金属組織を調べ
る場合、その狭い空間内に挿入できるような小型の装置
を開発する必要があり、このような装置を開発すること
は困難である。
【0003】また、これとは別の方法として、被検査対
象の鑑属の表面を研磨し、さらにしゅう酸で電解エッチ
ングし、この金属表面の画像を光学顕微鏡を通して画像
処理装置に取り込み、取り込んだ画像の輝度分布から粒
界の幅(みかけの値)を求め、予め求めておいた粒界の
幅(みかけの値)と鋭敏化の程度との関係から鋭敏化の
程度を判定する方法がある(特開平4−290959 号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−290959 号公
報に記載のステンレス鋼の鋭敏化検出方法では、鋭敏化
の初期の段階は、評価が難しい。また、粒界の幅の測定
領域の選択のしかたによって、測定値に違いが生じる。
特に、鋭敏化の初期の段階では誤差が大きい。さらに、
鋭敏化の程度を粒界の幅(みかけの値)で評価してお
り、鋭敏化されている部分のトータルの面積に関しては
明らかではない。
【0005】本発明の目的は、オーステナイトステンレ
ス鋼の応力腐食割れ感受性を非破壊的に評価する方法を
提供することにある。特に、鋭敏化の初期の状態を検出
するための高感度な測定方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、溶接等の熱
影響を受けたオーステナイトステンレス鋼の表面を研磨
してから、しゅう酸により電解エッチングし、その表面
の金属組織をレプリカフィルムで転写し、そのレプリカ
フィルムに水素等のガスまたはイオンを注入したもの
を、昇温脱離ガス分析装置を用いて分析し、予め求めて
おいた金属組織と昇温脱離スペクトルとの関係より、鋭
敏化の程度を判定することで達成される。
【0007】
【作用】オーステナイトステンレス鋼の表面を研磨して
から、しゅう酸によって電解エッチングし、その表面を
レプリカフィルムで転写すると、クロム炭化物が析出し
ている部分のみがフィルムに転写される。このレプリカ
フィルムに水素等のガスまたはイオンを注入すると、ク
ロム炭化物の析出部に水素がトラップされる。トラップ
される水素の量はクロム炭化物の析出量に応じて変化す
る。水素等のガスまたはイオンを注入したレプリカフィ
ルムについて、昇温脱離ガス分析装置を用いて、昇温脱
離スペクトルを測定し、予め求めておいた金属組織と昇
温脱離スペクトルとの関係を照合することにより、鋭敏
化の程度を判断できる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0009】一般に、オーステナイトステンレス鋼は、
550℃〜850℃の温度範囲に加熱されると、クロム
炭化物が結晶粒界に析出し、耐食性が低下する。この状
態を“鋭敏化”という。
【0010】鋭敏化を模擬するための熱処理法として、
溶体化処理後、621℃で数時間保持するという熱処理
方法が行われている。この鋭敏化のための熱処理の時間
が短いと粒界の炭化物はそれほど析出せず、島状に互い
に独立している。しかし、処理時間が長くなると、島状
の炭化物が成長して合体し、粒界全体がクロム炭化物で
つながるようになる。さらに、熱処理時間が長くなる
と、炭化物は粒界の幅方向に広がっていく。なお、粒界
の整合性によって、炭化物の成長のしやすさが異なる。
整合性の悪い粒界の方がクロム炭化物が析出,成長しや
すい。
【0011】図1に、粒界近傍のクロム濃度分布を示
す。粒界にクロム炭化物が析出すると、それに伴って、
粒界近傍に、クロム濃度が合金の平均的な濃度よりも低
い領域(クロム欠乏層)が生じる。そして、クロム欠乏
層のクロム濃度が12%以下になると、耐食性が低下
し、応力腐食割れ感受性が高まる。なお、耐食性は、ク
ロム欠乏層のクロム濃度と欠乏層の幅とに依存する。
【0012】図2に、鋭敏化度評価方法の操作手順を示
す。まず、実機供試材の溶接継手部などの組織を観察す
るために、供試材の表面を鏡面研磨した後、しゅう酸で
電解エッチングする。エッチングされた部分にレプリカ
フィルムを押貼し、組織を転写,抽出する。転写された
レプリカフィルムは、薄いため、台板にレプリカフィル
ムの転写した面を上にして貼りつけてもよい。転写した
レプリカフィルムに高温高圧中のガス雰囲気中で加熱、
またはイオン照射などにより水素,重水素,ヘリウムな
どを注入する。その後、レプリカフィルムを昇温脱離ガ
ス分析法にて分析し、得られた昇温脱離スペクトルを解
析することにより、鋭敏化度を判定する。
【0013】(実施例1)供試材には、オーステナイト
ステンレス鋼SUS304を用いた。その炭素含有量は0.0
6% であり、十分に鋭敏化を生じるものである。SUS30
4を1150℃で30分保持した後、水冷して、溶体化
処理を行った。鋭敏化させるための熱処理は、621℃
で(a)0時間,(b)0.5 時間,(c)2時間及び
(d)24時間保持することにより行う。その後、試料
表面を鏡面仕上げし、10%のしゅう酸で電解エッチン
グを行う。
【0014】電解エッチング後の試料(a)〜(d)
に、レプリカフィルムを押貼して、組織を転写,抽出し
た。図3ないし図6に、(a)〜(d)の試料での、金
属組織が転写されたレプリカフィルムの光学顕微鏡写真
を模式的に示す。試料(a)では、結晶粒界1が観察さ
れるだけで、クロム炭化物の析出がほとんどみられな
い。試料(b)では、粒界上に島状のクロム炭化物2が
観察される。試料(c)では、島状のクロム炭化物が成
長して、ほぼつながった状態になっている(つながった
状態のクロム炭化物3)。試料(d)では、クロム炭化
物がつながった状態になっており、その幅は試料(c)
に比べて広い。
【0015】金属組織が転写されたレプリカフィルム
(a)〜(d)に、水素を注入した。水素の注入にはオ
ートクレーブを用い、80℃,0.6MPa の水素雰囲
気中に120時間さらすことにより行った。
【0016】水素を注入したレプリカフィルム(a)〜
(d)について、昇温脱離ガス分析装置を用いて、昇温
脱離スペクトルを測定した。昇温速度は0.5℃/min,
分析チャンバ内の真空度は1×10-9Torrである。な
お、本手法では、10mm×10mm×0.1mm 大きさの試
料を用いた場合、ppb オーダの水素の測定が可能であ
り、非常に感度が高い。
【0017】図7に、昇温脱離ガス分析装置を用いて測
定した、水素を注入したレプリカフィルム(a)〜
(d)についての昇温脱離スペクトルを示した。標準試
料を用いて、検量線を作成し、ステンレス鋼中の水素量
を定量した。レプリカフィルム(a)〜(d)中の水素
量は各々0.03ppm,1.20ppm,2.25ppm及び2.68
ppm であり、レプリカフィルムにトラップされる水素の
量は、クロム炭化物の析出量に応じて増加する。なお、
ステンレス鋼の応力腐食割れは、621℃,90〜12
0分の熱処理、すなわち、水素濃度2ppm 以上で発生す
ることが知られている。
【0018】このようにレプリカフィルムにトラップさ
れる水素の量はクロム炭化物の析出量に依存するので、
水素量を測定することにより、鋭敏化の程度、すなわ
ち、応力腐食割れ感受性を評価することができる。
【0019】本発明の鋭敏化度評価方法は、狭い領域の
クロム炭化物の析出量を非常に高感度に分析することが
できる。
【0020】
【発明の効果】本発明では、非常に狭い領域(局所領
域)のクロム炭化物の析出量を高感度に分析できるとい
う効果がある。このため、腐食を初期の状態で検出でき
るという効果がある。したがって、ステレンス鋼の腐食
割れ感受性のモニタ法として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒界近傍のクロム濃度の分布の特性図。
【図2】鋭敏化度評価方法の操作手順の一例を示すフロ
ーチャート。
【図3】試料(a)の金属組織を模式的に示した説明
図。
【図4】試料(b)の金属組織を模式的に示した説明
図。
【図5】試料(c)の金属組織を模式的に示した説明
図。
【図6】試料(d)の金属組織を模式的に示した説明
図。
【図7】昇温脱離スペクトル測定結果の一例を示す特性
図。
【符号の説明】
1…結晶粒界、2…島状に析出したクロム炭化物、3…
つながって析出したクロム炭化物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 1/32 B 21/84 Z 8304−2J 21/88 J 8304−2J G06T 7/00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶接等の熱影響を受けたオーステナイトス
    テンレス鋼の表面の金属組織から鋭敏化の程度を測定す
    る方法において、前記オーステナイトステンレス鋼の表
    面を研磨してから、しゅう酸によって電解エッチング
    し、その表面の金属組織をレプリカフィルムで転写,抽
    出し、前記レプリカフィルムにガスまたはイオンを注入
    したものを、昇温脱離ガス分析装置を用いて、昇温脱離
    スペクトルを測定し、予め求めておいた金属組織と昇温
    脱離スペクトルとの関係を照合することにより、鋭敏化
    の程度を判定することを特徴とするステンレス鋼の鋭敏
    化度評価方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記オーステナイトス
    テンレス鋼に注入するガスまたはイオンが水素,重水素
    またはヘリウムであるステンレス鋼の鋭敏化度評価方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記レプリカフィルム
    に転写,抽出されたクロム炭化物の析出量と、昇温脱離
    スペクトルのピーク面積との関係より、鋭敏化の程度を
    判定するステンレス鋼の鋭敏化度評価方法。
JP5258031A 1993-10-15 1993-10-15 ステンレス鋼の鋭敏化度評価方法 Pending JPH07113801A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013053983A (ja) * 2011-09-06 2013-03-21 Hitachi Metals Ltd Cr蒸発試験方法
JP2021018158A (ja) * 2019-07-22 2021-02-15 東京電力ホールディングス株式会社 シグマ相の観察方法

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