JPH07112699A - オートパイロットによる蛇行を防止する方法 - Google Patents
オートパイロットによる蛇行を防止する方法Info
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- JPH07112699A JPH07112699A JP29235893A JP29235893A JPH07112699A JP H07112699 A JPH07112699 A JP H07112699A JP 29235893 A JP29235893 A JP 29235893A JP 29235893 A JP29235893 A JP 29235893A JP H07112699 A JPH07112699 A JP H07112699A
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- autopilot
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Abstract
(57)【要約】
【目 的】 船がオートパイロットで航行中、風浪によ
りローリング等その姿勢に急激な変化があるとき、蛇行
を起こしてきた。しかし熟練した乗員が操舵するときこ
の蛇行は起こらない。それは人間は傾きを感じたときす
でに進路逸脱を予知しており、船が変針する前から当て
舵を切っていたからである。もしオートパイロットがこ
の船の傾きを感じることが出来れば、そして早めに当て
舵を取っていればこの蛇行は防げるはずである。このこ
とより傾斜センサーをオートパイロットに組み合わせ蛇
行しにくいオートパイロットを発明した。 【構 成】 従来のオートパイロットに傾斜センサー1
を取付ける。船が傾くと傾斜センサー1が傾き角度ベク
トルhを感知し、これをオートパイロットに伝える。オ
ートパイロットはベクトルhに応じて舵角補正量を決定
し、舵角補正用ドライブ2に伝えベクトルtだけ舵を動
かす。
りローリング等その姿勢に急激な変化があるとき、蛇行
を起こしてきた。しかし熟練した乗員が操舵するときこ
の蛇行は起こらない。それは人間は傾きを感じたときす
でに進路逸脱を予知しており、船が変針する前から当て
舵を切っていたからである。もしオートパイロットがこ
の船の傾きを感じることが出来れば、そして早めに当て
舵を取っていればこの蛇行は防げるはずである。このこ
とより傾斜センサーをオートパイロットに組み合わせ蛇
行しにくいオートパイロットを発明した。 【構 成】 従来のオートパイロットに傾斜センサー1
を取付ける。船が傾くと傾斜センサー1が傾き角度ベク
トルhを感知し、これをオートパイロットに伝える。オ
ートパイロットはベクトルhに応じて舵角補正量を決定
し、舵角補正用ドライブ2に伝えベクトルtだけ舵を動
かす。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】船がオートパイロットで航行中、
風浪によりピッチング、ローリング等その姿勢の傾きに
急激な変化がある場合、従来のオートパイロットではそ
の進路保持は困難となり、船は蛇行を起こしてくる。こ
の蛇行を防止する方法である。
風浪によりピッチング、ローリング等その姿勢の傾きに
急激な変化がある場合、従来のオートパイロットではそ
の進路保持は困難となり、船は蛇行を起こしてくる。こ
の蛇行を防止する方法である。
【0002】
【従来の技術】一般に船舶は風浪によりその姿勢に傾き
を生じてくると殆どの船が程度の差こそあれ元の進路か
ら逸脱しようとする。これがどちらの方向に逸脱するか
は、一般船舶やヨットの様な排水型船型と、モーターボ
ートの様な滑走型では反対であり、中間型ではその時の
スピードにより異なる。また同じ船、同じスピードでも
海の状況により異なる場合もある。そこで状況説明を簡
単にするため、また海が荒れた状況ではどんな船も高速
では走れなくなり排水型に似た傾向を示してくるため、
本文では一般的な排水型船型について述べる事とする。
さて、船がその進路を逸脱したとき、オートパイロット
が働き設定進路に戻してくれるのであるが、例えば荒天
下ヨットが激しくその傾きを増減させたり、一般船舶が
追波を受けて大きくローリングを繰り返すときには、た
とえ蛇行を防止すると云われている自動舵角補正装置が
付加されていても、どうしてもオートパイロットは対応
が遅れ、船は蛇行を余儀なくされていた。この原因は次
の理由による。状況設定は左に傾くと右に回頭するクセ
がある船が、右舷後尾から波を受け左に傾いた場合とす
る。 (イ)従来のオートパイロットの進路保持機能は方位
(磁気または一部のヨットでは風向、高級機にはジャイ
ロ)センサーに頼っていた。 (ロ)この方位センサーに変化を感じた時にオートパイ
ロットが働くのであるが、これは反対にこのセンサーに
変化がなければ、つまり船が傾くだけでは、いくら大き
く傾こうと何等働かないことを意味している。 (ハ)船が右に回頭し出してから初めてオートパイロッ
トが働くのであれば、荒天下激しく回頭変針しようとす
る船の動きに対して、どうしても対応が遅れる結果とな
らざるをえなかった。 (ニ)この一瞬の遅れにより、船は僅かでも右に回頭す
るとその傾きを更に増大させる。排水型船の場合回頭す
ると、外傾斜といいその回頭する反対方向へ傾く性質が
あり、この場合左に傾くことになり元の傾きを増やすこ
とになってしまう。この傾きの増大はまた更に船を右に
回頭させてしまう。 (ホ)この為大きく変針してしまった船を元の進路に戻
すためオートパイロットは大きく左へ舵を切らざるをえ
なくなり、これは反対方向の右側への過大なローリング
を発生させ、元の進路に戻ったときには、右側へ大きく
傾くことになってしまう。この新たな傾きと、舵の戻し
遅れにより今度はこの設定進路を越えて反対側左方向へ
と変針してしまい結局のところ蛇行を余儀なくされる訳
である。 このことは舵角補正装置がついていても同じである。舵
角補正とは船の進路を変える為ではなく、変えない為
に、つまり進路を保持する為に舵を切る、あるいは切っ
たままでいることを云い、俗に云う「当て舵」のことで
ある。この装置を説明する。例えばヨットが風を受けて
傾き、その進路を外した場合、オートパイロットが働い
て進路を元に戻す。進路が戻ると舵を中立に戻そうとす
る。すると風を受け傾いたままのヨットはまた進路を外
す、それではいけないとオートパイロットはまた働かな
ければならず、連続使用の為モーターが焼き付いてしま
い、船も蛇行を起こす。ヨットの場合舵を全部戻しては
いけない。一般の船においても風や潮流により横流れが
あるとき、舵を少し引いたままでなければならない。そ
の状態を維持するのがこの装置であり、手動であれ自動
であれ最初の進路逸脱を防止するものではない。その意
味では現在の舵角補正装置とは真の意味の舵角補正にな
っていない。だから荒天下特に追波によるローリングに
は何の役にも立たないばかりか、反って危険な場合も起
こる恐れすらある。実際海に出て、オートパイロットを
使用してみると人間が操舵するのとズレがあることに気
が付く。これは船に慣れぬ初心者のジグザグ操舵と同じ
で、このズレの為に小さな蛇行で済んだものをわざわざ
大きくしている。こう考えてくるとこの蛇行はオートパ
イロットにより作り出されたものとも云える。そのため
蛇行が大きくなるとブローチングの危険があり、オート
パイロットの使用をあきらめ、人間が直接操舵しなけれ
ばならなかった。ヨット雑誌「舵」1993年8月号1
40頁にはオートパイロットの持つこうした欠点に何ら
本質的な解決法を見いだせないまま、様々な警告を発し
ている。例えば「余裕のあるパワーを選ぶ」「オートパ
イロットを過信しない」「荒天時には人間が舵を持つ」
といたずらに反応速度を早く、パワーを大きくする事で
対応しようとした。これは高い出費を強いられることに
なり、電力消費も、小型船特にヨットにとっては馬鹿に
はならず、それでいて最終的には不信感さえ持たれるも
のであった。
を生じてくると殆どの船が程度の差こそあれ元の進路か
ら逸脱しようとする。これがどちらの方向に逸脱するか
は、一般船舶やヨットの様な排水型船型と、モーターボ
ートの様な滑走型では反対であり、中間型ではその時の
スピードにより異なる。また同じ船、同じスピードでも
海の状況により異なる場合もある。そこで状況説明を簡
単にするため、また海が荒れた状況ではどんな船も高速
では走れなくなり排水型に似た傾向を示してくるため、
本文では一般的な排水型船型について述べる事とする。
さて、船がその進路を逸脱したとき、オートパイロット
が働き設定進路に戻してくれるのであるが、例えば荒天
下ヨットが激しくその傾きを増減させたり、一般船舶が
追波を受けて大きくローリングを繰り返すときには、た
とえ蛇行を防止すると云われている自動舵角補正装置が
付加されていても、どうしてもオートパイロットは対応
が遅れ、船は蛇行を余儀なくされていた。この原因は次
の理由による。状況設定は左に傾くと右に回頭するクセ
がある船が、右舷後尾から波を受け左に傾いた場合とす
る。 (イ)従来のオートパイロットの進路保持機能は方位
(磁気または一部のヨットでは風向、高級機にはジャイ
ロ)センサーに頼っていた。 (ロ)この方位センサーに変化を感じた時にオートパイ
ロットが働くのであるが、これは反対にこのセンサーに
変化がなければ、つまり船が傾くだけでは、いくら大き
く傾こうと何等働かないことを意味している。 (ハ)船が右に回頭し出してから初めてオートパイロッ
トが働くのであれば、荒天下激しく回頭変針しようとす
る船の動きに対して、どうしても対応が遅れる結果とな
らざるをえなかった。 (ニ)この一瞬の遅れにより、船は僅かでも右に回頭す
るとその傾きを更に増大させる。排水型船の場合回頭す
ると、外傾斜といいその回頭する反対方向へ傾く性質が
あり、この場合左に傾くことになり元の傾きを増やすこ
とになってしまう。この傾きの増大はまた更に船を右に
回頭させてしまう。 (ホ)この為大きく変針してしまった船を元の進路に戻
すためオートパイロットは大きく左へ舵を切らざるをえ
なくなり、これは反対方向の右側への過大なローリング
を発生させ、元の進路に戻ったときには、右側へ大きく
傾くことになってしまう。この新たな傾きと、舵の戻し
遅れにより今度はこの設定進路を越えて反対側左方向へ
と変針してしまい結局のところ蛇行を余儀なくされる訳
である。 このことは舵角補正装置がついていても同じである。舵
角補正とは船の進路を変える為ではなく、変えない為
に、つまり進路を保持する為に舵を切る、あるいは切っ
たままでいることを云い、俗に云う「当て舵」のことで
ある。この装置を説明する。例えばヨットが風を受けて
傾き、その進路を外した場合、オートパイロットが働い
て進路を元に戻す。進路が戻ると舵を中立に戻そうとす
る。すると風を受け傾いたままのヨットはまた進路を外
す、それではいけないとオートパイロットはまた働かな
ければならず、連続使用の為モーターが焼き付いてしま
い、船も蛇行を起こす。ヨットの場合舵を全部戻しては
いけない。一般の船においても風や潮流により横流れが
あるとき、舵を少し引いたままでなければならない。そ
の状態を維持するのがこの装置であり、手動であれ自動
であれ最初の進路逸脱を防止するものではない。その意
味では現在の舵角補正装置とは真の意味の舵角補正にな
っていない。だから荒天下特に追波によるローリングに
は何の役にも立たないばかりか、反って危険な場合も起
こる恐れすらある。実際海に出て、オートパイロットを
使用してみると人間が操舵するのとズレがあることに気
が付く。これは船に慣れぬ初心者のジグザグ操舵と同じ
で、このズレの為に小さな蛇行で済んだものをわざわざ
大きくしている。こう考えてくるとこの蛇行はオートパ
イロットにより作り出されたものとも云える。そのため
蛇行が大きくなるとブローチングの危険があり、オート
パイロットの使用をあきらめ、人間が直接操舵しなけれ
ばならなかった。ヨット雑誌「舵」1993年8月号1
40頁にはオートパイロットの持つこうした欠点に何ら
本質的な解決法を見いだせないまま、様々な警告を発し
ている。例えば「余裕のあるパワーを選ぶ」「オートパ
イロットを過信しない」「荒天時には人間が舵を持つ」
といたずらに反応速度を早く、パワーを大きくする事で
対応しようとした。これは高い出費を強いられることに
なり、電力消費も、小型船特にヨットにとっては馬鹿に
はならず、それでいて最終的には不信感さえ持たれるも
のであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題点】こうしたオートパイ
ロットに対し、熟練した乗員が直接操舵を行なう場合、
この蛇行は極めて少なくなる。これは熟練した乗員は、
船の傾きを感じたとき、すでに進路逸脱を予知してお
り、船が変針する前からその方向とは反対方向にあらか
じめ少し舵を切り進路逸脱を予防している。これが真の
意味の舵角補正であり、当て舵である。従来のオートパ
イロットのそれと区別するため、この場合の舵角補正を
以後「当て舵」と称する。またこの当て舵には普通元の
傾斜と反対舷へのローリング作用を生み出し、船を正立
の位置に戻す働きがある。この一見かえって蛇行するの
ではないかと思われる早めの当て舵により、結果として
船は安定した姿勢を保ち、それ以上に大きく舵を引くこ
ともなく、蛇行する事もなくその進路保持が出来るので
ある。この当て舵は慣れてくると殆ど無意識に反射的に
行なわれ、夜間船の周囲が良く見えないときでもほゞ的
確に行なわれている。人間がオートパイロットと決定的
に違うことは、船が変針してから舵を切っている訳では
なく、船の傾きを感じたときから行なっていることであ
る。人間であれば出来ることがオートパイロットでは何
故出来ないのか。これはオートパイロットがその進路保
持を方位角のみに頼っているからである。また傾斜を感
知して何とか対応するどころかむしろ反対に、方位セン
サーが傾斜によってその働きが影響されないようにセン
サー部はジンバル(水平維持装置)にさえなっている。
世界中の関心はいかにローリングやピッチングによる動
揺からこのセンサーを保護するかに集まっており、高級
機ではジャイロコンパスを持つものもある。しかし折角
ジャイロを持ちながらそれは如何に精確に方位を知るか
という目的でしか利用されていない。あるいはローリン
グ防止の為にしか使われていない。船の進路保持の目的
の為に傾斜を利用するという事は、この考え方そのもの
が存在しなかった。もしオートパイロットが人間と同じ
く船の傾きを感じることが出来たら、そして感じたとき
から、傾きに応じて素早く当て舵を取ってくれたら、こ
の蛇行は防げるはずである。
ロットに対し、熟練した乗員が直接操舵を行なう場合、
この蛇行は極めて少なくなる。これは熟練した乗員は、
船の傾きを感じたとき、すでに進路逸脱を予知してお
り、船が変針する前からその方向とは反対方向にあらか
じめ少し舵を切り進路逸脱を予防している。これが真の
意味の舵角補正であり、当て舵である。従来のオートパ
イロットのそれと区別するため、この場合の舵角補正を
以後「当て舵」と称する。またこの当て舵には普通元の
傾斜と反対舷へのローリング作用を生み出し、船を正立
の位置に戻す働きがある。この一見かえって蛇行するの
ではないかと思われる早めの当て舵により、結果として
船は安定した姿勢を保ち、それ以上に大きく舵を引くこ
ともなく、蛇行する事もなくその進路保持が出来るので
ある。この当て舵は慣れてくると殆ど無意識に反射的に
行なわれ、夜間船の周囲が良く見えないときでもほゞ的
確に行なわれている。人間がオートパイロットと決定的
に違うことは、船が変針してから舵を切っている訳では
なく、船の傾きを感じたときから行なっていることであ
る。人間であれば出来ることがオートパイロットでは何
故出来ないのか。これはオートパイロットがその進路保
持を方位角のみに頼っているからである。また傾斜を感
知して何とか対応するどころかむしろ反対に、方位セン
サーが傾斜によってその働きが影響されないようにセン
サー部はジンバル(水平維持装置)にさえなっている。
世界中の関心はいかにローリングやピッチングによる動
揺からこのセンサーを保護するかに集まっており、高級
機ではジャイロコンパスを持つものもある。しかし折角
ジャイロを持ちながらそれは如何に精確に方位を知るか
という目的でしか利用されていない。あるいはローリン
グ防止の為にしか使われていない。船の進路保持の目的
の為に傾斜を利用するという事は、この考え方そのもの
が存在しなかった。もしオートパイロットが人間と同じ
く船の傾きを感じることが出来たら、そして感じたとき
から、傾きに応じて素早く当て舵を取ってくれたら、こ
の蛇行は防げるはずである。
【0004】
【課題を解決するための手段】船が傾斜したときその傾
きに応じて、自動的に方向舵の舵角を補正する。
きに応じて、自動的に方向舵の舵角を補正する。
【0005】
【作用】船が傾斜すると、方向舵が作動する。これは船
の進路の変化とは関係なく行なわれる。傾斜と回頭変針
との間にはタイムラグがあり、一般には船が未だ回頭変
針する前に、つまり方位センサーがそのズレを感知する
前から行なわれる。この事により傾斜に引き続き発生し
てくる回頭変針を未然に防止する。また傾斜した反対側
へのローリング作用を発生させ、元の傾斜と拮抗し、船
の傾斜を軽減させ、回頭変針させる原因そのものを除去
し、船の進路保持を助ける。こうして蛇行の原因である
最初の回頭そのものを防止し、あるいは軽減して蛇行を
防止する事が出来る。
の進路の変化とは関係なく行なわれる。傾斜と回頭変針
との間にはタイムラグがあり、一般には船が未だ回頭変
針する前に、つまり方位センサーがそのズレを感知する
前から行なわれる。この事により傾斜に引き続き発生し
てくる回頭変針を未然に防止する。また傾斜した反対側
へのローリング作用を発生させ、元の傾斜と拮抗し、船
の傾斜を軽減させ、回頭変針させる原因そのものを除去
し、船の進路保持を助ける。こうして蛇行の原因である
最初の回頭そのものを防止し、あるいは軽減して蛇行を
防止する事が出来る。
【0006】
【実施例】この方法、装置については色々なやりかたが
考えられるが、基本的には次の様な方法が考えられる。
(図1) (イ)従来のオートパイロットに傾斜センサー1を組合
せる。 (ロ)この傾斜センサーつきオートパイロットは傾斜に
応じた舵角補正ベクトルtを行なう。 この作動を図1を用い説明する。図1はその作用を分か
り易くするため模式的に描かれたものであり、オートパ
イロットは基本的にはセンサー部、コントロール部、ド
ライブ部の三部に別れており、これに傾斜センサー1が
加わった。傾斜センサーからの回路は操舵系では無く、
従来のほとんどのオートパイロットに既についている舵
角補正系に接続される。ただドライブはこの図のように
ふたつに別れている訳でなく、実際は一つである。また
方位センサーは一般には磁気が用いられておりそれにつ
いて述べる。船が傾いたとき、オートパイロットは傾き
具合ベクトルhを傾斜センサー1で感知し、それに応じ
て補正用ドライブ2をベクトルtだけ動かす。これによ
りドライブユニット全体が動かされ、舵が動かされる。
これはその進路の変化に関係なく行なわれている。つま
り当て舵が行なわれていることになる。オートパイロッ
ト本来の自動操舵機能は磁気センサー3で方位角のズレ
をベクトルmとして感知し、それに応じて操舵用ドライ
ブ4をベクトルaだけ動かし舵を取る。この補正機能
(ベクトルhをベクトルtに変換)とオートパイロット
本来の自動操舵機能(ベクトルmをベクトルaに変換)
とは独立している。もし舵角補正ベクトルtが行きすぎ
れば自動操舵機能ベクトルaが拮抗して、行きすぎを防
ぎ(ベクトルt−ベクトルa)、もし足らなければ共同
して助けてくれる(ベクトルt+ベクトルa)。人間が
操舵する場合においても、身体で船の傾きを感じ、目で
景色やコンパスを見て、その両者を勘案し加減して舵を
操作している。方位センサーと傾斜センサーの両方を持
つこの新たなオートパイロットはより人間に近い働きを
持つことになる。ただ、海の状況は様々であり、波の状
態その方向、風の具合によって対処する方法はそれぞれ
異なる。また船も一隻ずつクセが違い、特に排水型と滑
走型は当て舵の方向は反対であり、中間型はスピードに
よって変わったりとこれまた様々である。そうしたとき
最低限次の配慮が必要である。 (a)舵角補正は、傾斜に応じどちらに、どれだけ行な
うかは調節できなければならない。 (b)舵角補正と自動操舵両者の力関係も、どちらを優
先させるか調節出来たほうが良い。 (一般的には波が非常に大きくなると自動操舵による進
路保持よりも、波にあわせて走る事が大事となり舵角補
正が優先される。この場合船の航跡は実際は蛇行するこ
とになるが、これは正しい蛇行で船に取ってこれが進路
であり、直進する事だけが正しい進路保持ではない。従
来のオートパイロットは如何に直進するかだけを考えて
いるがそれは明かに間違いである。) この図1の説明で補正機能と操舵機能は独立していると
書いたが、オートパイロットを狭義の意味で解釈すると
操舵機能のみをオートパイロットと呼ぶことになるから
である。この図のように、あるいは補助舵を使ってドラ
イブを別々に持ち独立した装置としてもこの事は可能で
ある。その意味では上記(ロ)においてオートパイロッ
トが舵角補正をするという書き方は正しくないかもしれ
ない。しかしコンピューターの時代においてこのふたつ
が独立して働くというのは現実的でなく、どこかで関連
して制御されるべきもので、そうした場合補正機能はや
はりオートパイロットの一部とみなすべきであり、また
そうあるべきである。傾斜センサーであるが、これには
色々考えられ、それを規定するものではない。重力式で
あれ、ジャイロの様なものであれそれで船の傾斜を感知
できるものであれば良い。最も安価に作ろうと思えば可
変抵抗器に重りを付けるだけで出来る。ただこれは1つ
とは限らない。この方式を発展させていこうと思えば、
左右の傾きだけではなく、前後の傾きも知る必要がある
からである。海はその極限状態においては、進路には関
係なく追波であれ、向かい波であれ船は波頭に直角でな
ければならないからである。傾斜に応じて、とは単にそ
の角度だけでなく、角速度つまり傾斜する速さ、ローリ
ング速度も考慮に入れなければならない。これも早すぎ
るときは、単に傾いてから舵角補正をしても間に合わな
い。ただこれは単に角度に応じることと違いコンピュー
ターの助けなしでは難しく高級機にしか採用できない。
しかしこの状態は如何に熟練した乗組員でも対応は難し
く、この原因となるハイスピードを止めるべきである。
舵は方向舵と規定しているが、フィンスタビライザーの
類では無いという意味である。現在最も進んだローリン
グ減衰装置がフィンスタビライザーであり、これが蛇行
の防止にも素晴らしい効果がある事も事実である。しか
しフィンスタビライザーが一般に普及してないのは多く
の欠点を抱えているからであり、この発明はそのような
複雑な方法や装置を必要としない、普通の舵を利用する
方法を提唱するものである。勿論予算さえ許せば舵角補
正とフィンスタビライザーを組合せれば更なる効果が上
がる。この舵角補正はオートパイロットよりむしろフィ
ンスタビライザーと組合すべきもので、その場合フィン
は現在のものよりはるかに小さくて良く、フィンが小さ
ければ現在ある多くの欠点を減ずる事が出来るはずであ
る。方向舵そのものについてであるが、これは何も1つ
とは限らない。また後ろだけとも限らない。例えば前に
あっても、特に前後にある場合これまた素晴らしい効果
が期待できる。しかしあまり一般的でない事も事実であ
る。 実験例。 ところで、現行のほとんどのオートパイロットには舵角
補正装置はすでについている訳で、このなかでマニュア
ル操作のものを選びそのダイアルを振子の原理を利用
し、船の傾きに応じて動かすだけの改造をしてみた。使
用したオートパイロットはフソ−FP−2800であ
る。これを図2を用い説明する。このオートパイロット
の舵角補正ダイアル5を本体から取り外し、これをプラ
スチックの箱に固定した。このツマミの軸に小さな滑車
6を固定し、この下方に大きな滑車7を固定した。この
ふたつの滑車はヒモ8で連動して動き、その比率は下の
大きな滑車が約30度回ると上の小さな滑車が約140
度回転する。そして大きな滑車にアーム9を固定しその
下端に重り10を取付けた。そしてこの箱を船体に固定
し、延長コード11でオートパイロット本体と結んだ。
これにより船が傾くと、箱も傾き、中の重り10が動き
それに応じて舵角補正ダイアル5が動き、オートパイロ
ットを通じて舵が動かされる仕組みである。つまりこの
箱が図1における傾斜センサー1にあたる。舵角補正量
(ベクトルt)はこの箱の傾く角度(ベクトルh)に応
じて決定され、傾きが大きければ大きく、小さければ小
さく、反対側に傾けば舵も反対に動く。実験に使った船
は9mの小型ヨットであり、例えば左に傾くと右に変針
するクセがあり、これは一般の排水型の船と同じ傾向を
示す。ちなみにこのダイヤルの実体は双方向性のただの
可変抵抗器(500オーム)であったこの実験の結果は
次の通りである。 (イ)風速4〜5mの順風で帆走中、これに突然7〜8
mのブロー(突風)を受ける。従来であれば一旦風上に
20〜30度回頭し、その後オートパイロットが働いて
元に戻すのであるが、実際は戻りきらず元の進路から約
10度風上に向いた状態で落ち着いていた。これを元の
進路に戻すためには従来は設定進路を10度元の角度よ
り落とすか、それとも舵角補正をしておかねばならなか
った(このオートパイロットの舵角補正はマニュア
ル)。この調整を行なった後で風が元の4〜5mに戻る
と、進路が今度は10度落ちたところで安定し、また調
整しなければならず、これはかなり煩わしいものであっ
た。風速にムラがある場合付きっきりでその操作に当ら
ねばならず実際はこの蛇行を傍観するしかなかった。と
ころがこの傾斜センサーつきオートパイロットは素晴ら
しい性能を発揮した。傾くと同時にドライブが作動し、
舵を引いてくれその進路は全く変わることはなかった。
それは風速が落ち傾きが元に戻れば、傾きに応じて舵を
戻してくれる。また風が強くなり傾きが増せばそれに応
じ舵を引いてくれる。これでしばらく、かなりムラのあ
る風の中を走ったがその進路は5度も変わらない。この
事は真の意味での舵角補正、つまりその進路が変わる前
から舵を切る当て舵が行なわれていることを示す。この
10数年前の古いオートパイロットが最先端の自動舵角
補正装置つきのオートパイロットを追い越したことにな
る。 (ロ)波による影響であるが、波高の小さい、周期の短
い波には、ほとんど効果は無く、反って接続コードを外
してこの機能が働かないようにしたほうがましであっ
た。周期があまり短いとこのオートパイロットの作動ス
ピードでは全く間に合わず、また振子自体の動きそのも
のがこうしたやり方では円滑に動いてくれない事も原因
であった。しかしこの波の状態ではどんな熟練した人間
が操舵してもこれを防ぐことは出来ないのであれば何等
欠点とは云えないのではないか。それより少し周期が長
くなってくると、これは波で揺られるままに作動してく
れた。特にほとんどの船が苦手な追波のなかで、この装
置は熟練した人間が操舵するのと変わらない程の操舵ぶ
りを見せてくれた。あまりうまく作動するもので分から
なかったが、これは接続コードを外してみると、とたん
に蛇行とローリングが起こってくることより従来のもの
との性能の差を知る事が出来た。ただこのオートパイロ
ットの感度調整は自動操舵系と舵角補正系が連動してお
り、折角傾斜センサーが働き舵角補正をして波にあわそ
うとしているものを自動操舵系が干渉して舵を戻してし
まう事がある。やはり独立した感度調節を出来る事が必
要である。 全体としての評価をすると次のようになる。 (ハ)波がない状況では従来風速6〜7mで蛇行が始ま
っていたものが、9〜10mまではほとんど蛇行はしな
くなった。 (ニ)従来このヨットでこのオートパイロットの場合、
その使用限度が風速12〜3mであったものが現在のと
ころ15m以上の風に出会わないので不明であるがそれ
までは十分使用できた。 (ホ)波の悪い状態で激しくピッチングを起こすときは
こうした力学的な伝達方式ではものは2mほどの波でも
誤作動が起こる事があった。 (ヘ)全体としてこのオートパイロットの作動量は極端
に少なく、わずかの当て舵動作だけで、ほとんど大舵を
取るようなことはなかった。これはオートパイロットに
過大な負担をかける事がなく、一般に云われているよう
な余裕あるパワーはあまり必要でなく、それよりも波の
周期にあわせられるようなスピードが望まれた。 (ト)蛇行防止の実験であり、予期していないことであ
ったが、このオートパイロットには相当なローリング減
衰効果があった。 この結果からして、こんな幼稚で簡単な改造だけでこの
オートパイロットは傾斜感応自動舵角補正装置を得たこ
とになる。それも単なる実験だけで無く取付けて以来、
週1回のピッチではあるが既に数か月にわたり使用して
何等問題はなかった。ただこれは素人の改造であり一つ
の実験であって、実用化するためにはさらなる改良が必
要であることは勿論であるが、本発明の有効性を証明す
るものとしては十分であると確信する。
考えられるが、基本的には次の様な方法が考えられる。
(図1) (イ)従来のオートパイロットに傾斜センサー1を組合
せる。 (ロ)この傾斜センサーつきオートパイロットは傾斜に
応じた舵角補正ベクトルtを行なう。 この作動を図1を用い説明する。図1はその作用を分か
り易くするため模式的に描かれたものであり、オートパ
イロットは基本的にはセンサー部、コントロール部、ド
ライブ部の三部に別れており、これに傾斜センサー1が
加わった。傾斜センサーからの回路は操舵系では無く、
従来のほとんどのオートパイロットに既についている舵
角補正系に接続される。ただドライブはこの図のように
ふたつに別れている訳でなく、実際は一つである。また
方位センサーは一般には磁気が用いられておりそれにつ
いて述べる。船が傾いたとき、オートパイロットは傾き
具合ベクトルhを傾斜センサー1で感知し、それに応じ
て補正用ドライブ2をベクトルtだけ動かす。これによ
りドライブユニット全体が動かされ、舵が動かされる。
これはその進路の変化に関係なく行なわれている。つま
り当て舵が行なわれていることになる。オートパイロッ
ト本来の自動操舵機能は磁気センサー3で方位角のズレ
をベクトルmとして感知し、それに応じて操舵用ドライ
ブ4をベクトルaだけ動かし舵を取る。この補正機能
(ベクトルhをベクトルtに変換)とオートパイロット
本来の自動操舵機能(ベクトルmをベクトルaに変換)
とは独立している。もし舵角補正ベクトルtが行きすぎ
れば自動操舵機能ベクトルaが拮抗して、行きすぎを防
ぎ(ベクトルt−ベクトルa)、もし足らなければ共同
して助けてくれる(ベクトルt+ベクトルa)。人間が
操舵する場合においても、身体で船の傾きを感じ、目で
景色やコンパスを見て、その両者を勘案し加減して舵を
操作している。方位センサーと傾斜センサーの両方を持
つこの新たなオートパイロットはより人間に近い働きを
持つことになる。ただ、海の状況は様々であり、波の状
態その方向、風の具合によって対処する方法はそれぞれ
異なる。また船も一隻ずつクセが違い、特に排水型と滑
走型は当て舵の方向は反対であり、中間型はスピードに
よって変わったりとこれまた様々である。そうしたとき
最低限次の配慮が必要である。 (a)舵角補正は、傾斜に応じどちらに、どれだけ行な
うかは調節できなければならない。 (b)舵角補正と自動操舵両者の力関係も、どちらを優
先させるか調節出来たほうが良い。 (一般的には波が非常に大きくなると自動操舵による進
路保持よりも、波にあわせて走る事が大事となり舵角補
正が優先される。この場合船の航跡は実際は蛇行するこ
とになるが、これは正しい蛇行で船に取ってこれが進路
であり、直進する事だけが正しい進路保持ではない。従
来のオートパイロットは如何に直進するかだけを考えて
いるがそれは明かに間違いである。) この図1の説明で補正機能と操舵機能は独立していると
書いたが、オートパイロットを狭義の意味で解釈すると
操舵機能のみをオートパイロットと呼ぶことになるから
である。この図のように、あるいは補助舵を使ってドラ
イブを別々に持ち独立した装置としてもこの事は可能で
ある。その意味では上記(ロ)においてオートパイロッ
トが舵角補正をするという書き方は正しくないかもしれ
ない。しかしコンピューターの時代においてこのふたつ
が独立して働くというのは現実的でなく、どこかで関連
して制御されるべきもので、そうした場合補正機能はや
はりオートパイロットの一部とみなすべきであり、また
そうあるべきである。傾斜センサーであるが、これには
色々考えられ、それを規定するものではない。重力式で
あれ、ジャイロの様なものであれそれで船の傾斜を感知
できるものであれば良い。最も安価に作ろうと思えば可
変抵抗器に重りを付けるだけで出来る。ただこれは1つ
とは限らない。この方式を発展させていこうと思えば、
左右の傾きだけではなく、前後の傾きも知る必要がある
からである。海はその極限状態においては、進路には関
係なく追波であれ、向かい波であれ船は波頭に直角でな
ければならないからである。傾斜に応じて、とは単にそ
の角度だけでなく、角速度つまり傾斜する速さ、ローリ
ング速度も考慮に入れなければならない。これも早すぎ
るときは、単に傾いてから舵角補正をしても間に合わな
い。ただこれは単に角度に応じることと違いコンピュー
ターの助けなしでは難しく高級機にしか採用できない。
しかしこの状態は如何に熟練した乗組員でも対応は難し
く、この原因となるハイスピードを止めるべきである。
舵は方向舵と規定しているが、フィンスタビライザーの
類では無いという意味である。現在最も進んだローリン
グ減衰装置がフィンスタビライザーであり、これが蛇行
の防止にも素晴らしい効果がある事も事実である。しか
しフィンスタビライザーが一般に普及してないのは多く
の欠点を抱えているからであり、この発明はそのような
複雑な方法や装置を必要としない、普通の舵を利用する
方法を提唱するものである。勿論予算さえ許せば舵角補
正とフィンスタビライザーを組合せれば更なる効果が上
がる。この舵角補正はオートパイロットよりむしろフィ
ンスタビライザーと組合すべきもので、その場合フィン
は現在のものよりはるかに小さくて良く、フィンが小さ
ければ現在ある多くの欠点を減ずる事が出来るはずであ
る。方向舵そのものについてであるが、これは何も1つ
とは限らない。また後ろだけとも限らない。例えば前に
あっても、特に前後にある場合これまた素晴らしい効果
が期待できる。しかしあまり一般的でない事も事実であ
る。 実験例。 ところで、現行のほとんどのオートパイロットには舵角
補正装置はすでについている訳で、このなかでマニュア
ル操作のものを選びそのダイアルを振子の原理を利用
し、船の傾きに応じて動かすだけの改造をしてみた。使
用したオートパイロットはフソ−FP−2800であ
る。これを図2を用い説明する。このオートパイロット
の舵角補正ダイアル5を本体から取り外し、これをプラ
スチックの箱に固定した。このツマミの軸に小さな滑車
6を固定し、この下方に大きな滑車7を固定した。この
ふたつの滑車はヒモ8で連動して動き、その比率は下の
大きな滑車が約30度回ると上の小さな滑車が約140
度回転する。そして大きな滑車にアーム9を固定しその
下端に重り10を取付けた。そしてこの箱を船体に固定
し、延長コード11でオートパイロット本体と結んだ。
これにより船が傾くと、箱も傾き、中の重り10が動き
それに応じて舵角補正ダイアル5が動き、オートパイロ
ットを通じて舵が動かされる仕組みである。つまりこの
箱が図1における傾斜センサー1にあたる。舵角補正量
(ベクトルt)はこの箱の傾く角度(ベクトルh)に応
じて決定され、傾きが大きければ大きく、小さければ小
さく、反対側に傾けば舵も反対に動く。実験に使った船
は9mの小型ヨットであり、例えば左に傾くと右に変針
するクセがあり、これは一般の排水型の船と同じ傾向を
示す。ちなみにこのダイヤルの実体は双方向性のただの
可変抵抗器(500オーム)であったこの実験の結果は
次の通りである。 (イ)風速4〜5mの順風で帆走中、これに突然7〜8
mのブロー(突風)を受ける。従来であれば一旦風上に
20〜30度回頭し、その後オートパイロットが働いて
元に戻すのであるが、実際は戻りきらず元の進路から約
10度風上に向いた状態で落ち着いていた。これを元の
進路に戻すためには従来は設定進路を10度元の角度よ
り落とすか、それとも舵角補正をしておかねばならなか
った(このオートパイロットの舵角補正はマニュア
ル)。この調整を行なった後で風が元の4〜5mに戻る
と、進路が今度は10度落ちたところで安定し、また調
整しなければならず、これはかなり煩わしいものであっ
た。風速にムラがある場合付きっきりでその操作に当ら
ねばならず実際はこの蛇行を傍観するしかなかった。と
ころがこの傾斜センサーつきオートパイロットは素晴ら
しい性能を発揮した。傾くと同時にドライブが作動し、
舵を引いてくれその進路は全く変わることはなかった。
それは風速が落ち傾きが元に戻れば、傾きに応じて舵を
戻してくれる。また風が強くなり傾きが増せばそれに応
じ舵を引いてくれる。これでしばらく、かなりムラのあ
る風の中を走ったがその進路は5度も変わらない。この
事は真の意味での舵角補正、つまりその進路が変わる前
から舵を切る当て舵が行なわれていることを示す。この
10数年前の古いオートパイロットが最先端の自動舵角
補正装置つきのオートパイロットを追い越したことにな
る。 (ロ)波による影響であるが、波高の小さい、周期の短
い波には、ほとんど効果は無く、反って接続コードを外
してこの機能が働かないようにしたほうがましであっ
た。周期があまり短いとこのオートパイロットの作動ス
ピードでは全く間に合わず、また振子自体の動きそのも
のがこうしたやり方では円滑に動いてくれない事も原因
であった。しかしこの波の状態ではどんな熟練した人間
が操舵してもこれを防ぐことは出来ないのであれば何等
欠点とは云えないのではないか。それより少し周期が長
くなってくると、これは波で揺られるままに作動してく
れた。特にほとんどの船が苦手な追波のなかで、この装
置は熟練した人間が操舵するのと変わらない程の操舵ぶ
りを見せてくれた。あまりうまく作動するもので分から
なかったが、これは接続コードを外してみると、とたん
に蛇行とローリングが起こってくることより従来のもの
との性能の差を知る事が出来た。ただこのオートパイロ
ットの感度調整は自動操舵系と舵角補正系が連動してお
り、折角傾斜センサーが働き舵角補正をして波にあわそ
うとしているものを自動操舵系が干渉して舵を戻してし
まう事がある。やはり独立した感度調節を出来る事が必
要である。 全体としての評価をすると次のようになる。 (ハ)波がない状況では従来風速6〜7mで蛇行が始ま
っていたものが、9〜10mまではほとんど蛇行はしな
くなった。 (ニ)従来このヨットでこのオートパイロットの場合、
その使用限度が風速12〜3mであったものが現在のと
ころ15m以上の風に出会わないので不明であるがそれ
までは十分使用できた。 (ホ)波の悪い状態で激しくピッチングを起こすときは
こうした力学的な伝達方式ではものは2mほどの波でも
誤作動が起こる事があった。 (ヘ)全体としてこのオートパイロットの作動量は極端
に少なく、わずかの当て舵動作だけで、ほとんど大舵を
取るようなことはなかった。これはオートパイロットに
過大な負担をかける事がなく、一般に云われているよう
な余裕あるパワーはあまり必要でなく、それよりも波の
周期にあわせられるようなスピードが望まれた。 (ト)蛇行防止の実験であり、予期していないことであ
ったが、このオートパイロットには相当なローリング減
衰効果があった。 この結果からして、こんな幼稚で簡単な改造だけでこの
オートパイロットは傾斜感応自動舵角補正装置を得たこ
とになる。それも単なる実験だけで無く取付けて以来、
週1回のピッチではあるが既に数か月にわたり使用して
何等問題はなかった。ただこれは素人の改造であり一つ
の実験であって、実用化するためにはさらなる改良が必
要であることは勿論であるが、本発明の有効性を証明す
るものとしては十分であると確信する。
【0007】
【発明の効果】この実験結果からも明らかなように、傾
斜を考えるだけで簡単な装置でも相当の改善が出来た。
それも船のなかで最もクセのあるヨットでの実験であ
る。このことからすれば傾斜センサーをもつオートパイ
ロットはほとんど人間に近い効果が期待できる。単に蛇
行を防止できるばかりでなく、ローリングをも減衰で
き、快適な乗り心地さえ約束してくれることになる。こ
れはなりよりも安全につながり、全ての船乗りが待ち望
んでいたものである。それも複雑で、高価な装置を必要
とする訳ではなく、現在のものに小さなセンサーを組み
込むだけで良く、安価で高性能なオートパイロットが世
にでてくるはずであるこの発明はもともと蛇行を防止す
ることから始まった。しかしこれは現実的にはローリン
グ防止装置とよんでもおかしくない効果があった。これ
は考えてみると、ローリングするから蛇行が起こるので
あれば、蛇行を防止するためにはローリングを解消しな
いことには出来ない訳で、当て舵を取ることは実はロー
リングを防止していたことに他ならない。たしかに、熟
練した乗員が操舵すると、蛇行だけでなくローリングも
少なく、乗客は安心して乗っていられる。ローリング防
止の為にどれだけの努力が払われたか知れない。それが
船に何の改造も必要とせず、こんなにも簡単な方法で解
決できることは、本発明には大きな意義があると思われ
る。
斜を考えるだけで簡単な装置でも相当の改善が出来た。
それも船のなかで最もクセのあるヨットでの実験であ
る。このことからすれば傾斜センサーをもつオートパイ
ロットはほとんど人間に近い効果が期待できる。単に蛇
行を防止できるばかりでなく、ローリングをも減衰で
き、快適な乗り心地さえ約束してくれることになる。こ
れはなりよりも安全につながり、全ての船乗りが待ち望
んでいたものである。それも複雑で、高価な装置を必要
とする訳ではなく、現在のものに小さなセンサーを組み
込むだけで良く、安価で高性能なオートパイロットが世
にでてくるはずであるこの発明はもともと蛇行を防止す
ることから始まった。しかしこれは現実的にはローリン
グ防止装置とよんでもおかしくない効果があった。これ
は考えてみると、ローリングするから蛇行が起こるので
あれば、蛇行を防止するためにはローリングを解消しな
いことには出来ない訳で、当て舵を取ることは実はロー
リングを防止していたことに他ならない。たしかに、熟
練した乗員が操舵すると、蛇行だけでなくローリングも
少なく、乗客は安心して乗っていられる。ローリング防
止の為にどれだけの努力が払われたか知れない。それが
船に何の改造も必要とせず、こんなにも簡単な方法で解
決できることは、本発明には大きな意義があると思われ
る。
【図1】傾斜センサー付きオートパイロットを模式的に
表したものである。
表したものである。
【図2】実験に用いた機器とその作動図。
1 傾斜センサー 2 舵角補正用ドライブ 3 磁気センサー 4 操舵用ドライブ 5 舵角補正ダイヤル 6 小滑車 7 大滑車 8 ヒモ 9 アーム 10 重り 11 延長コード
Claims (1)
- 【請求項1】船の傾斜に応じて自動的に方向舵の舵角を
補正し、これをもって船の蛇行やローリングを防止する
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29235893A JPH07112699A (ja) | 1993-10-18 | 1993-10-18 | オートパイロットによる蛇行を防止する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29235893A JPH07112699A (ja) | 1993-10-18 | 1993-10-18 | オートパイロットによる蛇行を防止する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07112699A true JPH07112699A (ja) | 1995-05-02 |
Family
ID=17780773
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29235893A Pending JPH07112699A (ja) | 1993-10-18 | 1993-10-18 | オートパイロットによる蛇行を防止する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07112699A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107655438A (zh) * | 2017-09-13 | 2018-02-02 | 北京安达维尔测控技术有限公司 | 一种飞机舵面角的测量装置及其测量方法 |
CN109238231A (zh) * | 2018-08-17 | 2019-01-18 | 国营芜湖机械厂 | 一种飞机舵面角度测量装置及其测量方法 |
WO2019146798A1 (ja) * | 2018-01-29 | 2019-08-01 | 株式会社 商船三井 | 操船制御装置 |
-
1993
- 1993-10-18 JP JP29235893A patent/JPH07112699A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107655438A (zh) * | 2017-09-13 | 2018-02-02 | 北京安达维尔测控技术有限公司 | 一种飞机舵面角的测量装置及其测量方法 |
WO2019146798A1 (ja) * | 2018-01-29 | 2019-08-01 | 株式会社 商船三井 | 操船制御装置 |
CN109238231A (zh) * | 2018-08-17 | 2019-01-18 | 国营芜湖机械厂 | 一种飞机舵面角度测量装置及其测量方法 |
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