JPH07111892A - 非水系バイオリアクター用固定化担体 - Google Patents
非水系バイオリアクター用固定化担体Info
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- JPH07111892A JPH07111892A JP28398693A JP28398693A JPH07111892A JP H07111892 A JPH07111892 A JP H07111892A JP 28398693 A JP28398693 A JP 28398693A JP 28398693 A JP28398693 A JP 28398693A JP H07111892 A JPH07111892 A JP H07111892A
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- Japan
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- carrier
- microorganism
- substrate
- organic solvent
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- Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 固定化増殖微生物を用いた非水もしくは有機
溶媒系の微生物変換反応を実施せしめるための固定化担
体を提供する。 【構成】 内部が吸水性多孔質であり、表面に微生物の
付着性、増殖性及び微生物に対する基質及び産生物の毒
性遮蔽性にすぐれた親水性樹脂の被覆層を有する二相構
造の担体であって、該担体表面に微生物を吸着させ、該
担体内部に該微生物の栄養源を含む水性媒体を保持さ
せ、担体内部より該微生物に栄養源及び水を供給しつ
つ、基質としての有機化合物を含む有機溶媒を該担体表
面の該微生物と接触させて、担体と有機溶媒との接触界
面で該微生物を増殖させつつ有機化合物の微生物変換を
行なわせるに適した非水系バイオリアクター用固定化担
体。
溶媒系の微生物変換反応を実施せしめるための固定化担
体を提供する。 【構成】 内部が吸水性多孔質であり、表面に微生物の
付着性、増殖性及び微生物に対する基質及び産生物の毒
性遮蔽性にすぐれた親水性樹脂の被覆層を有する二相構
造の担体であって、該担体表面に微生物を吸着させ、該
担体内部に該微生物の栄養源を含む水性媒体を保持さ
せ、担体内部より該微生物に栄養源及び水を供給しつ
つ、基質としての有機化合物を含む有機溶媒を該担体表
面の該微生物と接触させて、担体と有機溶媒との接触界
面で該微生物を増殖させつつ有機化合物の微生物変換を
行なわせるに適した非水系バイオリアクター用固定化担
体。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固定化増殖微生物を用
いた非水もしくは有機溶媒系の微生物変換反応を実施せ
しめるための固定化担体に関する。
いた非水もしくは有機溶媒系の微生物変換反応を実施せ
しめるための固定化担体に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、水に不溶性もし
くは難溶性の有機化合物を酵素的あるいは微生物的に変
換するバイオコンバージョン技術について種々の検討が
なされてきた。両者とも、水系で反応を実施した場合に
は、基質が水溶性に乏しいために、基質が油滴となる、
いわゆるエマルジョン状態を来し、低反応速度、低収
率、反応後の酵素あるいは微生物菌体の除去困難、ある
いは強烈な撹拌混合操作を要するといったような多くの
問題点があった。このようなエマルジョン反応の欠陥を
克服するために、生体触媒として酵素を用いる場合に
は、酵素を含む水性反応溶媒中にヘキサン等の有機溶媒
を添加する方法(S. Mukataka, et al., J. Ferment. T
echnol., 63, 461 (1985))あるいはリパーゼ等の有機溶
媒に安定な酵素そのものを有機溶媒中に投入して反応さ
せる方法(A. Zaks and A. M. Klivanov, Science, 22
4, 1249 (1984); S. Koshiro, et al., J. Biotechno
l., 2, 47 (1985) )、酵素表面を脂質で被覆して有機
溶媒中で反応させる方法(居城、岡畑、化学と生物、3
0、77 (1992) )等の多くの方法が提示されている。
くは難溶性の有機化合物を酵素的あるいは微生物的に変
換するバイオコンバージョン技術について種々の検討が
なされてきた。両者とも、水系で反応を実施した場合に
は、基質が水溶性に乏しいために、基質が油滴となる、
いわゆるエマルジョン状態を来し、低反応速度、低収
率、反応後の酵素あるいは微生物菌体の除去困難、ある
いは強烈な撹拌混合操作を要するといったような多くの
問題点があった。このようなエマルジョン反応の欠陥を
克服するために、生体触媒として酵素を用いる場合に
は、酵素を含む水性反応溶媒中にヘキサン等の有機溶媒
を添加する方法(S. Mukataka, et al., J. Ferment. T
echnol., 63, 461 (1985))あるいはリパーゼ等の有機溶
媒に安定な酵素そのものを有機溶媒中に投入して反応さ
せる方法(A. Zaks and A. M. Klivanov, Science, 22
4, 1249 (1984); S. Koshiro, et al., J. Biotechno
l., 2, 47 (1985) )、酵素表面を脂質で被覆して有機
溶媒中で反応させる方法(居城、岡畑、化学と生物、3
0、77 (1992) )等の多くの方法が提示されている。
【0003】しかしながら、酵素を用いる生体反応で
は、酸化還元反応のような補酵素要求反応やリン酸化反
応のような吸エネルギー反応を安定に実施することは不
可能であり、また、反応中もしくは反応後の酵素の損失
を免れないといった問題点があった。
は、酸化還元反応のような補酵素要求反応やリン酸化反
応のような吸エネルギー反応を安定に実施することは不
可能であり、また、反応中もしくは反応後の酵素の損失
を免れないといった問題点があった。
【0004】一方、上記エマルジョン反応の欠点を克服
すべく、生きた微生物菌体を用いる方法も種々提示され
ている。例えば、界面活性剤を水性の微生物反応系に添
加する方法(T. Nakahara, et al., J. Ferment. Techn
ol., 59, 415 (1981); 61, 19 (1983))、水溶性もしく
は水混和性有機溶媒を添加する方法(A. Freeman andM.
D. Lilly, Appl. Microbiol. Biotechnol., 25, 495
(1987); B. Mattiasson, Trends Biotechnol., 1, 16
(1983) )、微生物と基質との同時包括固定化(R. Kau
l, et al., in: "Biocatalysisin Organic Media," ed.
by C. Laane, etal., Elsevier, Amsterdam, 1986, p
p. 107-114)、あるいは包括固定化休止菌体を有機溶媒
中で反応させる方法(S. Fukui, et al., Eur. J. App
l. Biotechnol., 10, 289 (1980))が考案されている。
すべく、生きた微生物菌体を用いる方法も種々提示され
ている。例えば、界面活性剤を水性の微生物反応系に添
加する方法(T. Nakahara, et al., J. Ferment. Techn
ol., 59, 415 (1981); 61, 19 (1983))、水溶性もしく
は水混和性有機溶媒を添加する方法(A. Freeman andM.
D. Lilly, Appl. Microbiol. Biotechnol., 25, 495
(1987); B. Mattiasson, Trends Biotechnol., 1, 16
(1983) )、微生物と基質との同時包括固定化(R. Kau
l, et al., in: "Biocatalysisin Organic Media," ed.
by C. Laane, etal., Elsevier, Amsterdam, 1986, p
p. 107-114)、あるいは包括固定化休止菌体を有機溶媒
中で反応させる方法(S. Fukui, et al., Eur. J. App
l. Biotechnol., 10, 289 (1980))が考案されている。
【0005】しかしながら、界面活性剤や有機溶媒を水
性の反応系に添加する方法では、多くの場合それら添加
物の毒性が発現し、結果として低成績を免れない。ま
た、微生物と基質との同時固定化は繰り返し反応性がな
いためにコスト高となる。さらに、休止菌体を用いた際
にも、補酵素再生系が作動しないために、長期安定性に
劣るという問題点や菌体酵素の損失といった問題点があ
った。
性の反応系に添加する方法では、多くの場合それら添加
物の毒性が発現し、結果として低成績を免れない。ま
た、微生物と基質との同時固定化は繰り返し反応性がな
いためにコスト高となる。さらに、休止菌体を用いた際
にも、補酵素再生系が作動しないために、長期安定性に
劣るという問題点や菌体酵素の損失といった問題点があ
った。
【0006】上述の種々の方法の欠点を克服する方法と
して、我々はすでに、水および栄養源を含む親水性固定
化担体とパラフィン類等の微生物にとって無害な疎水性
有機溶媒の固/液界面で微生物を安定に増殖させつつ、
有機溶媒層に溶解した高濃度の有機化合物の毒性を著し
く回避しつつ高い成績で微生物変換反応を実施させる方
法(界面バイオリアクター)を提示した(S. Oda and
H. Ohta, Biosci. Biotech. Biochem., 56, 2041 (199
2);特開平5−91878号公報参照)。
して、我々はすでに、水および栄養源を含む親水性固定
化担体とパラフィン類等の微生物にとって無害な疎水性
有機溶媒の固/液界面で微生物を安定に増殖させつつ、
有機溶媒層に溶解した高濃度の有機化合物の毒性を著し
く回避しつつ高い成績で微生物変換反応を実施させる方
法(界面バイオリアクター)を提示した(S. Oda and
H. Ohta, Biosci. Biotech. Biochem., 56, 2041 (199
2);特開平5−91878号公報参照)。
【0007】しかしながら本法では、多くの場合、寒天
や合成高分子、セルロース材、あるいはシリカゲル等含
水性無機物そのものを使用しており、高分子そのものを
担体として用いた場合には、担体内の物質移動が律速と
なり、場合によっては微生物に悪影響を及ぼす場合が認
められた。また、セルロース材や含水性無機物そのもの
を用いた場合には、微生物細胞の増殖および有機溶媒中
の基質の毒性を回避するに十分なだけの付着のための足
場を提供することが不十分であることが判明した。
や合成高分子、セルロース材、あるいはシリカゲル等含
水性無機物そのものを使用しており、高分子そのものを
担体として用いた場合には、担体内の物質移動が律速と
なり、場合によっては微生物に悪影響を及ぼす場合が認
められた。また、セルロース材や含水性無機物そのもの
を用いた場合には、微生物細胞の増殖および有機溶媒中
の基質の毒性を回避するに十分なだけの付着のための足
場を提供することが不十分であることが判明した。
【0008】一般に、細胞が増殖し、様々な生理的機能
を発現するためには、細胞付着のための足場を多く提供
することが必要であり(H. Morisaki, J. Gen. Appl. M
icrobiol., 29, 195 (1983);丹沢宏、表面、23、53 (19
85) )、固定化増殖菌体を用いる微生物変換反応を効率
よく実施するためには、担体における菌体増殖のための
足場の増加と、担体内部の物質移動の促進という相反す
る両条件を満足させなければならないという問題点があ
った。
を発現するためには、細胞付着のための足場を多く提供
することが必要であり(H. Morisaki, J. Gen. Appl. M
icrobiol., 29, 195 (1983);丹沢宏、表面、23、53 (19
85) )、固定化増殖菌体を用いる微生物変換反応を効率
よく実施するためには、担体における菌体増殖のための
足場の増加と、担体内部の物質移動の促進という相反す
る両条件を満足させなければならないという問題点があ
った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は固定化増殖菌
体を用いる微生物変換反応における固定化担体に関し、
微生物菌体の付着、増殖、さらには生理的機能の発現上
重要な担体自体の足場の確保と、担体内部における物質
の拡散の促進の2つの相異なる条件を調和させるべく、
鋭意検討を重ねた結果、吸水性多孔質の基材の表面を親
水性樹脂で被覆した二相構造の担体が、前記した問題点
を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
体を用いる微生物変換反応における固定化担体に関し、
微生物菌体の付着、増殖、さらには生理的機能の発現上
重要な担体自体の足場の確保と、担体内部における物質
の拡散の促進の2つの相異なる条件を調和させるべく、
鋭意検討を重ねた結果、吸水性多孔質の基材の表面を親
水性樹脂で被覆した二相構造の担体が、前記した問題点
を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】かくして、本発明に従えば、内部が吸水性
多孔質であり、表面に微生物の付着性、増殖性及び微生
物に対する基質及び産生物の毒性遮蔽性にすぐれた親水
性樹脂の被覆層を有する二相構造の担体であって、該担
体表面に微生物を吸着させ、該担体内部に該微生物の栄
養源を含む水性媒体を保持させ、担体内部より該微生物
に栄養源及び水を供給しつつ、基質としての有機化合物
を含む有機溶媒を該担体表面の該微生物と接触させて、
担体と有機溶媒との接触界面で該微生物を増殖させつつ
有機化合物の微生物変換を行なわせるに適した非水系バ
イオリアクター用固定化担体が提供される。
多孔質であり、表面に微生物の付着性、増殖性及び微生
物に対する基質及び産生物の毒性遮蔽性にすぐれた親水
性樹脂の被覆層を有する二相構造の担体であって、該担
体表面に微生物を吸着させ、該担体内部に該微生物の栄
養源を含む水性媒体を保持させ、担体内部より該微生物
に栄養源及び水を供給しつつ、基質としての有機化合物
を含む有機溶媒を該担体表面の該微生物と接触させて、
担体と有機溶媒との接触界面で該微生物を増殖させつつ
有機化合物の微生物変換を行なわせるに適した非水系バ
イオリアクター用固定化担体が提供される。
【0011】本発明の有意な特徴は、微生物菌体の付
着、増殖、生理的機能の発現を促進させ得る緻密なゲル
マトリクスを表面に有し、なおかつ、担体内部での有害
物質の拡散を妨げないような粗い多孔質構造を内部に有
する二相構造を有していることである。このような細胞
付着安定性と物質拡散のための多孔構造という相反する
構造条件を同時に満たすような固定化担体はこれまでに
報告はなく、特開平5−91878号公報で提示した、
親水性固定化担体と疎水性有機溶媒界面での増殖微生物
による物質変換反応法の適用範囲をさらに広げることが
可能であり、特開平5−91878号公報で提示した発
明では実施困難であった、水混和性の有害物質の変換反
応すらも実施可能となった。
着、増殖、生理的機能の発現を促進させ得る緻密なゲル
マトリクスを表面に有し、なおかつ、担体内部での有害
物質の拡散を妨げないような粗い多孔質構造を内部に有
する二相構造を有していることである。このような細胞
付着安定性と物質拡散のための多孔構造という相反する
構造条件を同時に満たすような固定化担体はこれまでに
報告はなく、特開平5−91878号公報で提示した、
親水性固定化担体と疎水性有機溶媒界面での増殖微生物
による物質変換反応法の適用範囲をさらに広げることが
可能であり、特開平5−91878号公報で提示した発
明では実施困難であった、水混和性の有害物質の変換反
応すらも実施可能となった。
【0012】本発明で使用可能な担体内部の基材として
は、物質の内部拡散性が良好なものであれば何でもよ
く、上述の濾過板等のセルロース材、シリカゲルや泡ガ
ラス、あるいは不織布のような多孔性の含水性基材であ
れば特に制約はない。一方、担体表面を被覆するゲル状
物質としては、親水性であり、微生物の増殖に害を及ぼ
さないものであれば何でもよく、特開平5−91878
号公報で示したような寒天、アルギン酸、カラギーナ
ン、デンプンマトリクスのような天然高分子やポリビニ
ルアルコールやウレタンポリマー、ポリアクリルアミド
やポリアクリル酸のような合成高分子であり、なおか
つ、微生物に阻害作用を及ぼさないものであれば何でも
よい。該固定化担体の形状についても特に制約はなく、
板状、布状、紐状、粒状等の任意の形状に成形されてい
ることができる。
は、物質の内部拡散性が良好なものであれば何でもよ
く、上述の濾過板等のセルロース材、シリカゲルや泡ガ
ラス、あるいは不織布のような多孔性の含水性基材であ
れば特に制約はない。一方、担体表面を被覆するゲル状
物質としては、親水性であり、微生物の増殖に害を及ぼ
さないものであれば何でもよく、特開平5−91878
号公報で示したような寒天、アルギン酸、カラギーナ
ン、デンプンマトリクスのような天然高分子やポリビニ
ルアルコールやウレタンポリマー、ポリアクリルアミド
やポリアクリル酸のような合成高分子であり、なおか
つ、微生物に阻害作用を及ぼさないものであれば何でも
よい。該固定化担体の形状についても特に制約はなく、
板状、布状、紐状、粒状等の任意の形状に成形されてい
ることができる。
【0013】多孔性の基材表面への高分子の被覆法につ
いては、特殊な処理を施す必要はなく、例えば寒天の場
合には、水および栄養源を含んだ多孔性基材を寒天温溶
液内へ浸漬し、冷却することによってゲル化させるだけ
で十分である。この際、被覆薄膜の剥離が心配な場合に
は、水および栄養源を含んだ基材表面あるいは多孔性基
材内部の浅い領域の過剰な水を乾燥もしくは拭き取りに
より除いてやり、その後に寒天温溶液内に浸漬してやれ
ば、寒天は多孔性基材内部へ浅く浸透し、そこで温度低
下によってゲル化して内部基材と密に結合した状態をつ
くることができる。
いては、特殊な処理を施す必要はなく、例えば寒天の場
合には、水および栄養源を含んだ多孔性基材を寒天温溶
液内へ浸漬し、冷却することによってゲル化させるだけ
で十分である。この際、被覆薄膜の剥離が心配な場合に
は、水および栄養源を含んだ基材表面あるいは多孔性基
材内部の浅い領域の過剰な水を乾燥もしくは拭き取りに
より除いてやり、その後に寒天温溶液内に浸漬してやれ
ば、寒天は多孔性基材内部へ浅く浸透し、そこで温度低
下によってゲル化して内部基材と密に結合した状態をつ
くることができる。
【0014】合成高分子の場合にも同様な方法で浸漬も
しくは含浸させた後、適当なゲル化法、例えば重合開始
温度以上での放置、水中への浸漬、あるいは光照射によ
ってゲル化させてやればよい。
しくは含浸させた後、適当なゲル化法、例えば重合開始
温度以上での放置、水中への浸漬、あるいは光照射によ
ってゲル化させてやればよい。
【0015】ゲルの厚さは物質の透過拡散上、なるべく
薄い方がよいが、膜厚の調節は、用いる多孔性基材の孔
径やその内部水含量、あるいは被覆用高分子溶液の粘度
や浸漬時間によって適当に制御可能である。
薄い方がよいが、膜厚の調節は、用いる多孔性基材の孔
径やその内部水含量、あるいは被覆用高分子溶液の粘度
や浸漬時間によって適当に制御可能である。
【0016】微生物の増殖上、水および栄養源を被覆ゲ
ル内部ならびに内部多孔性基材に保持しておく必要があ
るが、これらを被覆前の高分子溶液に混入しておく必要
は必ずしもなく、被覆後に液体培地に該固定化担体を浸
漬し、ゲルおよび多孔性基材内部をこれで置換してやれ
ばよい。もちろん、寒天を用いる場合のように、被覆前
の高分子溶液中に培養基を混入しておくことも可能であ
る。多孔性基材表面への高分子溶液の塗装およびゲル状
物の被覆法は上述の浸漬法に限られるものではなく、高
分子溶液をハケやスプレー等で塗装したのちに同様にし
てゲル化させてやってもよい。
ル内部ならびに内部多孔性基材に保持しておく必要があ
るが、これらを被覆前の高分子溶液に混入しておく必要
は必ずしもなく、被覆後に液体培地に該固定化担体を浸
漬し、ゲルおよび多孔性基材内部をこれで置換してやれ
ばよい。もちろん、寒天を用いる場合のように、被覆前
の高分子溶液中に培養基を混入しておくことも可能であ
る。多孔性基材表面への高分子溶液の塗装およびゲル状
物の被覆法は上述の浸漬法に限られるものではなく、高
分子溶液をハケやスプレー等で塗装したのちに同様にし
てゲル化させてやってもよい。
【0017】かくして得られる本発明の二相構造の担体
は、該担体表面に微生物を吸着させ、該担体内部に該微
生物の栄養源及び水を供給しつつ、基質としての有機化
合物を含む有機溶媒を該担体表面の該微生物と接触させ
て、担体と有機溶媒との接触界面で該微生物を増殖させ
つつ有機化合物の微生物変換を行なわせることができ
る。
は、該担体表面に微生物を吸着させ、該担体内部に該微
生物の栄養源及び水を供給しつつ、基質としての有機化
合物を含む有機溶媒を該担体表面の該微生物と接触させ
て、担体と有機溶媒との接触界面で該微生物を増殖させ
つつ有機化合物の微生物変換を行なわせることができ
る。
【0018】本発明の固定化担体を用いれば、基質とし
ての有機化合物が微生物によって毒性を示す場合であっ
ても、微生物にとっての有害物質の毒性を回避すること
ができ、有害物質による微生物阻害から保護できるた
め、基質を固定化担体に高濃度で接触させることができ
る。
ての有機化合物が微生物によって毒性を示す場合であっ
ても、微生物にとっての有害物質の毒性を回避すること
ができ、有害物質による微生物阻害から保護できるた
め、基質を固定化担体に高濃度で接触させることができ
る。
【0019】なお、この固定化担体に接触させる有機溶
媒及び基質又はその有機溶媒溶液を、以下、有機液相と
いうことがある。
媒及び基質又はその有機溶媒溶液を、以下、有機液相と
いうことがある。
【0020】上記固定化担体に接触する有機液相におけ
る有機溶媒又は基質溶液調製用の有機溶媒は、付着微生
物菌体に対して実質的に毒性を示さないものが好まし
く、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナ
ン、デカン等の炭素数6〜20のメタン系炭化水素に代
表されるノルマルパラフィン類又は流動パラフィン類;
イソオクタン等のイソパラフィン類;ペンチルベンゼ
ン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベ
ンゼン等の脂肪族鎖の炭素数が5〜15のノルマルアル
キルベンゼン類;キユメン等のイソアルキルベンゼン
類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;ジエチルエ
ーテル等のエーテル類などを例示することができる。
る有機溶媒又は基質溶液調製用の有機溶媒は、付着微生
物菌体に対して実質的に毒性を示さないものが好まし
く、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナ
ン、デカン等の炭素数6〜20のメタン系炭化水素に代
表されるノルマルパラフィン類又は流動パラフィン類;
イソオクタン等のイソパラフィン類;ペンチルベンゼ
ン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベ
ンゼン等の脂肪族鎖の炭素数が5〜15のノルマルアル
キルベンゼン類;キユメン等のイソアルキルベンゼン
類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;ジエチルエ
ーテル等のエーテル類などを例示することができる。
【0021】上記固定化担体に付着させ、担体と有機液
相との界面で増殖させ得る微生物は、細菌類、カビ類、
酵母、放線菌類等のいずれの微生物であってもよくま
た、好気性、嫌気性のいずれでもよい。具体的には例え
ば、シュードモナス(Pseudomonas)属、グルコノバクタ
ー(Gluconobacter)属、アセトバクター(Acetobacter)
属、アリスロバクター(Arthrobactor)属、コリネバク
テリウム(Corynebactrium) 属、ロドコッカス(Rhodoc
occus )属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、カンジ
ダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、アルペル
ギルス(Aspergillus)属等に属する微生物が挙げられ
る。
相との界面で増殖させ得る微生物は、細菌類、カビ類、
酵母、放線菌類等のいずれの微生物であってもよくま
た、好気性、嫌気性のいずれでもよい。具体的には例え
ば、シュードモナス(Pseudomonas)属、グルコノバクタ
ー(Gluconobacter)属、アセトバクター(Acetobacter)
属、アリスロバクター(Arthrobactor)属、コリネバク
テリウム(Corynebactrium) 属、ロドコッカス(Rhodoc
occus )属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、カンジ
ダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、アルペル
ギルス(Aspergillus)属等に属する微生物が挙げられ
る。
【0022】本発明の固定化担体を用いて、基質として
の実質的に水に不溶性ないしは難溶性の有機化合物又は
その有機溶媒溶液を有機液相として、固定化増殖菌体と
有機液相との界面で基質の有機化合物を微生物変換する
場合、上記担体に付着固定しうる微生物は、基質として
の有機化合物を所望の生成物に転換しうる能力を有する
ものであれば特に制約はなく、好気性、嫌気性のいずれ
でもよく、また、細菌類、カビ類、酵母、放線菌類等の
いずれであってもよい。具体的には前述した属に属する
微生物、より具体的には有機カルボン酸エステルの加水
分解能をもつシュードモナス・フラジ(Ps. fragi)、ミ
クロコッカス・バリアンス(Mi. varians)、有機カルボ
ン酸とアルコールとのエステル合成能をもつシュードモ
ナス・フルオレッセンス(Ps. fluorescence)、カルビ
ノール基をカルボニル、カルボキシル基へ酸化する酸化
菌のグルコノバクター・オキシダンス(Gl. oxydans)、
ロドコッカス・エクイ(Rh. equi)、アルデヒド基のカ
ルボキシル基への酸化反応を行なうグルコノバクター・
グルコニカス(Gl. glucnicus)、2級アルコールの酸化
反応が可能なアセトバクター・アセチゲナス(Ac. acet
igenus)、同じく、2級アルコールの酸化反応を行ない
得るアセトバクター・アセトサス(Ac. acetosus)、グ
リコール類の1−位の水酸基を選択的に酸化するアリス
ロバクター・パッセンス(Ar. pascens)、同じく、グリ
コール類の1−位の水酸基を選択的に酸化するアルカリ
ゲネス・フェカリス(Al. faecalis)、アルデヒド、ケ
トンをアルコールに還元する還元能を有するカンジダ・
ウチリス(Ca. utilis)、アルデヒド、ケトンの還元能
と二重結合の水素化能をもつハンゼヌラ・アノマラ(H
a. anomala)、二重結合の水酸化が可能なアスペルギル
ス・オリゼ(As. oryzae)、コレステロールの酸化的側
鎖切断能を有するアリスロバクター・シンプレックス
(Ar. simplex)、ロドコッカス・エクイ(Rh. equi)、
ノカルディア・トランスバレンシス(No. transbalensi
s)等を挙げることができる。
の実質的に水に不溶性ないしは難溶性の有機化合物又は
その有機溶媒溶液を有機液相として、固定化増殖菌体と
有機液相との界面で基質の有機化合物を微生物変換する
場合、上記担体に付着固定しうる微生物は、基質として
の有機化合物を所望の生成物に転換しうる能力を有する
ものであれば特に制約はなく、好気性、嫌気性のいずれ
でもよく、また、細菌類、カビ類、酵母、放線菌類等の
いずれであってもよい。具体的には前述した属に属する
微生物、より具体的には有機カルボン酸エステルの加水
分解能をもつシュードモナス・フラジ(Ps. fragi)、ミ
クロコッカス・バリアンス(Mi. varians)、有機カルボ
ン酸とアルコールとのエステル合成能をもつシュードモ
ナス・フルオレッセンス(Ps. fluorescence)、カルビ
ノール基をカルボニル、カルボキシル基へ酸化する酸化
菌のグルコノバクター・オキシダンス(Gl. oxydans)、
ロドコッカス・エクイ(Rh. equi)、アルデヒド基のカ
ルボキシル基への酸化反応を行なうグルコノバクター・
グルコニカス(Gl. glucnicus)、2級アルコールの酸化
反応が可能なアセトバクター・アセチゲナス(Ac. acet
igenus)、同じく、2級アルコールの酸化反応を行ない
得るアセトバクター・アセトサス(Ac. acetosus)、グ
リコール類の1−位の水酸基を選択的に酸化するアリス
ロバクター・パッセンス(Ar. pascens)、同じく、グリ
コール類の1−位の水酸基を選択的に酸化するアルカリ
ゲネス・フェカリス(Al. faecalis)、アルデヒド、ケ
トンをアルコールに還元する還元能を有するカンジダ・
ウチリス(Ca. utilis)、アルデヒド、ケトンの還元能
と二重結合の水素化能をもつハンゼヌラ・アノマラ(H
a. anomala)、二重結合の水酸化が可能なアスペルギル
ス・オリゼ(As. oryzae)、コレステロールの酸化的側
鎖切断能を有するアリスロバクター・シンプレックス
(Ar. simplex)、ロドコッカス・エクイ(Rh. equi)、
ノカルディア・トランスバレンシス(No. transbalensi
s)等を挙げることができる。
【0023】上記担体表面の微生物増殖において使用し
うる微生物の栄養源は、使用菌体の種類に応じて、その
菌体に最適のものを選択することができ、例えば、グル
コース等の炭素源、尿素等の窒素源、硫酸マグネシウム
等の微量金属塩、酵母エキス等の微量栄養源よりなる一
般的なものであることができる。
うる微生物の栄養源は、使用菌体の種類に応じて、その
菌体に最適のものを選択することができ、例えば、グル
コース等の炭素源、尿素等の窒素源、硫酸マグネシウム
等の微量金属塩、酵母エキス等の微量栄養源よりなる一
般的なものであることができる。
【0024】培養は一般に、恒温槽、インキュベーター
等の培養装置中で行なうことができ、或いは担体を基質
を含むか含まない有機溶媒中に浸漬し、場合によっては
さらに栄養源を含む水性媒体を加えた反応容器中で温度
調節しながら行なってもよい。培養温度、培養時間等の
培養条件は使用微生物の種類に応じて各微生物に適合し
た条件を選択することができる。
等の培養装置中で行なうことができ、或いは担体を基質
を含むか含まない有機溶媒中に浸漬し、場合によっては
さらに栄養源を含む水性媒体を加えた反応容器中で温度
調節しながら行なってもよい。培養温度、培養時間等の
培養条件は使用微生物の種類に応じて各微生物に適合し
た条件を選択することができる。
【0025】反応基質としての有機化合物は、上記培養
の初期から添加してもよく、又は微生物が十分に増殖し
て固定化菌体相を形成した後に添加してもよく、或いは
培養初期から固定化菌体相形成までの間の任意の時点で
加えてもよい。また、基質としての有機化合物が菌体に
対して実質的に毒性を示さない場合には、前記有機溶媒
の代りに該有機化合物を有機液相として使用することが
できる。
の初期から添加してもよく、又は微生物が十分に増殖し
て固定化菌体相を形成した後に添加してもよく、或いは
培養初期から固定化菌体相形成までの間の任意の時点で
加えてもよい。また、基質としての有機化合物が菌体に
対して実質的に毒性を示さない場合には、前記有機溶媒
の代りに該有機化合物を有機液相として使用することが
できる。
【0026】かくして、担体上の固定化菌体相を、基質
としての有機化合物又はその有機溶媒溶液からなる有機
液相との接触状態で培養をつづけることにより、該有機
化合物の微生物変換反応を行なわせることができる。
としての有機化合物又はその有機溶媒溶液からなる有機
液相との接触状態で培養をつづけることにより、該有機
化合物の微生物変換反応を行なわせることができる。
【0027】この微生物変換反応に基質として供しうる
実質的に水に難溶性ないし不溶性の有機化合物として
は、固定化微生物の変換能力等に応じて各種のものが使
用することができ、特に制限はなく、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、
ナフタレン、フェナントレンなどの芳香族系炭化水素;
トリデカン、テトラデカンなどの脂肪族系炭化水素;シ
クロヘキサノール、シクロヘキサノンなどの脂環式系化
合物;メチルイミダゾール、コリジン、ピコリンなどの
複素環式系化合物;ラウリン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸などの高級脂肪酸;オ
クチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコ
ール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの
高級アルコール類;カプリル酸エチル、カプロン酸エチ
ルなどの脂肪酸エステル類等が挙げられる。
実質的に水に難溶性ないし不溶性の有機化合物として
は、固定化微生物の変換能力等に応じて各種のものが使
用することができ、特に制限はなく、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、
ナフタレン、フェナントレンなどの芳香族系炭化水素;
トリデカン、テトラデカンなどの脂肪族系炭化水素;シ
クロヘキサノール、シクロヘキサノンなどの脂環式系化
合物;メチルイミダゾール、コリジン、ピコリンなどの
複素環式系化合物;ラウリン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸などの高級脂肪酸;オ
クチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコ
ール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの
高級アルコール類;カプリル酸エチル、カプロン酸エチ
ルなどの脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0028】一方、これら有機化合物を溶解するための
有機溶媒は、付着菌体に対して実質的に毒性を示さない
ものが好ましく、具体的には、前記したノルマルパラフ
ィン類、アルキルベンゼン類、脂環式炭化水素類エーテ
ル類などが挙げられる。
有機溶媒は、付着菌体に対して実質的に毒性を示さない
ものが好ましく、具体的には、前記したノルマルパラフ
ィン類、アルキルベンゼン類、脂環式炭化水素類エーテ
ル類などが挙げられる。
【0029】有機溶媒中の基質濃度は特に制限されるも
のではなく、菌体に対する毒性に応じて決めることがで
きる。例えば基質が毒性の強い上記芳香族炭化水素類の
場合は炭素数10〜15のメタン系炭化水素であるノル
マルパラフィンに対して5%〜30%程度までの濃度で
添加することができる。また、基質が比較的毒性の弱い
脂肪酸エステル類の場合はノルマルパラフィンに対して
50%以上添加することができる。
のではなく、菌体に対する毒性に応じて決めることがで
きる。例えば基質が毒性の強い上記芳香族炭化水素類の
場合は炭素数10〜15のメタン系炭化水素であるノル
マルパラフィンに対して5%〜30%程度までの濃度で
添加することができる。また、基質が比較的毒性の弱い
脂肪酸エステル類の場合はノルマルパラフィンに対して
50%以上添加することができる。
【0030】基質の中でも特に毒性の弱い高級脂肪酸エ
ステル類はノルマルパラフィンと混和することなく、1
00%濃度、すなわち、それ自体が固定化担体上の菌体
相と接触させる有機溶媒かつ、変換基質として用いるこ
とができる。
ステル類はノルマルパラフィンと混和することなく、1
00%濃度、すなわち、それ自体が固定化担体上の菌体
相と接触させる有機溶媒かつ、変換基質として用いるこ
とができる。
【0031】脂肪族炭化水素も高級脂肪酸エステル類と
同様に基質として使用する場合特に毒性の弱い部類に入
り、それ自体が固定化担体上の菌体相と接触させる有機
溶媒かつ、変換基質として用いられる。
同様に基質として使用する場合特に毒性の弱い部類に入
り、それ自体が固定化担体上の菌体相と接触させる有機
溶媒かつ、変換基質として用いられる。
【0032】以上に述べた本発明の固定化担体を用いれ
ば、脂肪族、芳香族、脂環式、複素環式化合物等の有機
化合物のエステル化、加水分解、エステル変換、酸化還
元、アミノ化、脱アミノ化反応等を、固定化微生物を用
いて極めて効率よく行なうことができる。その際、副反
応が生ずる可能性がある場合には、適当な代謝あるいは
変換阻害剤の添加によってそれを遮断するか、あるいは
そのような副反応が生じないように育種改良した微生物
を用いることができる。
ば、脂肪族、芳香族、脂環式、複素環式化合物等の有機
化合物のエステル化、加水分解、エステル変換、酸化還
元、アミノ化、脱アミノ化反応等を、固定化微生物を用
いて極めて効率よく行なうことができる。その際、副反
応が生ずる可能性がある場合には、適当な代謝あるいは
変換阻害剤の添加によってそれを遮断するか、あるいは
そのような副反応が生じないように育種改良した微生物
を用いることができる。
【0033】本発明に従う固定化増殖菌体相に基質とし
ての有機化合物を接触せしめる微生物変換反応は、従来
の基質をエマルジョン系にした微生物変換反応に比し、
基質濃度を10倍以上、場合によっては100倍以上に
設定することが可能であり、基質分散と酸素供給のため
にはげしい通気と撹拌を行なう必要もなく、高い反応速
度と高収量で反応生成物を得ることができる等、工業的
に有利な種々の利点が得られる。
ての有機化合物を接触せしめる微生物変換反応は、従来
の基質をエマルジョン系にした微生物変換反応に比し、
基質濃度を10倍以上、場合によっては100倍以上に
設定することが可能であり、基質分散と酸素供給のため
にはげしい通気と撹拌を行なう必要もなく、高い反応速
度と高収量で反応生成物を得ることができる等、工業的
に有利な種々の利点が得られる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、%表示は全て重量/容量表示である。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、%表示は全て重量/容量表示である。
【0035】実施例1 メチルセルロース製の濾過板(No. 800、アドバンテ
ック−東洋(株))を65mmφの円形に切り抜き、オー
トクレーブで121℃、20分間高圧蒸気滅菌した。こ
れを滅菌済の培養基(ペプトン5%、麦芽エキス3%、
酵母エキス3%、グルコース10%、蒸留水1リット
ル、pH6.0)中に浸漬し、濾過板内部に溶媒基を浸透
させた。滅菌済濾紙で軽く押さえつけることにより、表
面および濾過板内部の表層部の培養基を除いた後、寒天
を2%レベルで含む同様の組成の寒天温溶液中に10秒
間浸漬し、冷却後、寒天ゲル被覆濾過板を調製した。こ
れに標準酵母であるピシア・パストリスIFO 094
8(Pic-hia pastoris IFO 0948)の懸濁液を塗沫し、表
面乾燥後、n−ウンデカン20ml中に浸漬し、25℃で
2日間培養した。培養終了後、目視により、本株のコロ
ニー形成を多数確認した。
ック−東洋(株))を65mmφの円形に切り抜き、オー
トクレーブで121℃、20分間高圧蒸気滅菌した。こ
れを滅菌済の培養基(ペプトン5%、麦芽エキス3%、
酵母エキス3%、グルコース10%、蒸留水1リット
ル、pH6.0)中に浸漬し、濾過板内部に溶媒基を浸透
させた。滅菌済濾紙で軽く押さえつけることにより、表
面および濾過板内部の表層部の培養基を除いた後、寒天
を2%レベルで含む同様の組成の寒天温溶液中に10秒
間浸漬し、冷却後、寒天ゲル被覆濾過板を調製した。こ
れに標準酵母であるピシア・パストリスIFO 094
8(Pic-hia pastoris IFO 0948)の懸濁液を塗沫し、表
面乾燥後、n−ウンデカン20ml中に浸漬し、25℃で
2日間培養した。培養終了後、目視により、本株のコロ
ニー形成を多数確認した。
【0036】実施例2 実施例1と同様にして調製した二相構造固定化担体をピ
シア・パストリスIFO 0948の1日培養液中に浸
漬することにより植菌した。この状態で1日増殖させる
ことにより微生物フィルムを形成させた後、1%の1−
オクタノールをふくむデカン溶液20ml中に浸漬した。
なお、担体裏側も利用するため、直径1cmのテフロン板
(厚さ3mm)1個をスペーサーとして担体裏中央に置
き、30℃で2日間静置培養した。培養終了後、デカン
層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、静置培養
にもかかわらず酸化反応が効率的に進行し、8.0g/l
のオクタン酸を蓄積していた。
シア・パストリスIFO 0948の1日培養液中に浸
漬することにより植菌した。この状態で1日増殖させる
ことにより微生物フィルムを形成させた後、1%の1−
オクタノールをふくむデカン溶液20ml中に浸漬した。
なお、担体裏側も利用するため、直径1cmのテフロン板
(厚さ3mm)1個をスペーサーとして担体裏中央に置
き、30℃で2日間静置培養した。培養終了後、デカン
層をガスクロマトグラフィーで分析した結果、静置培養
にもかかわらず酸化反応が効率的に進行し、8.0g/l
のオクタン酸を蓄積していた。
【0037】実施例3 分取用薄層クロマトグラフィー用のシリカゲルプレート
(5×5cm)にポリペプトン10%、酵母エキス2%、
硫酸マグネシウム1%、蒸留水1リットル(pH7.0)
よりなる培養基を含浸させた後、5%アルギン酸ナトリ
ウム溶液中に10秒間浸漬した。その後ただちに2%塩
化カルシウム溶液中に浸漬させることにより、アルギン
酸カルシウムとしてゲル化させた。この担体をロドコッ
カス・エクイIFO 3730(Rhodococcus equi IFO
3730)の1日培養液に浸漬させることにより植菌した。
2日間増菌後、10%2−オクタノールを含むヘキサデ
カン溶液中に浸漬し、30℃で静置培養した。培養終了
後、ヘキサデカン層をガスクロマトグラフィーで分析
し、23.2g/l の2−オクタノンの蓄積を認めた。
(5×5cm)にポリペプトン10%、酵母エキス2%、
硫酸マグネシウム1%、蒸留水1リットル(pH7.0)
よりなる培養基を含浸させた後、5%アルギン酸ナトリ
ウム溶液中に10秒間浸漬した。その後ただちに2%塩
化カルシウム溶液中に浸漬させることにより、アルギン
酸カルシウムとしてゲル化させた。この担体をロドコッ
カス・エクイIFO 3730(Rhodococcus equi IFO
3730)の1日培養液に浸漬させることにより植菌した。
2日間増菌後、10%2−オクタノールを含むヘキサデ
カン溶液中に浸漬し、30℃で静置培養した。培養終了
後、ヘキサデカン層をガスクロマトグラフィーで分析
し、23.2g/l の2−オクタノンの蓄積を認めた。
【0038】実施例4 実施例1と同じ円形濾過板に光硬化性樹脂(ENTV−
500、光硬化性ポリビニルアルコール、関西ペイント
(株)製)をハケで薄く塗装し、近紫外線を担体両面に
照射することによって光硬化させた。1日間実施例3と
同じ培養基に浸漬させることにより、担体内部に培養基
を浸透させた後、シュードモナス・フラジIFO 12
049(Pseudomonas fragi IFO 12049)の1日培養液に
浸漬した。表面乾燥後、直ちに酢酸2−エチルヘキシル
中に浸漬し、30℃で4日間静置培養した。培養終了
後、酢酸2−エチルヘキシル層をガスクロマトグラフィ
ーにより分析したところ、効率的に加水分解反応が進行
しており、72.6g/l の2−エチルヘキサノールの蓄
積を認めた。
500、光硬化性ポリビニルアルコール、関西ペイント
(株)製)をハケで薄く塗装し、近紫外線を担体両面に
照射することによって光硬化させた。1日間実施例3と
同じ培養基に浸漬させることにより、担体内部に培養基
を浸透させた後、シュードモナス・フラジIFO 12
049(Pseudomonas fragi IFO 12049)の1日培養液に
浸漬した。表面乾燥後、直ちに酢酸2−エチルヘキシル
中に浸漬し、30℃で4日間静置培養した。培養終了
後、酢酸2−エチルヘキシル層をガスクロマトグラフィ
ーにより分析したところ、効率的に加水分解反応が進行
しており、72.6g/l の2−エチルヘキサノールの蓄
積を認めた。
【0039】比較例1 実施例1と同サイズの濾過板を寒天で被覆することな
く、培養基含浸後ただちに実施例2と同様にしてピシア
・パストリスIFO 0948を植菌し、1日間、乾燥
を防いで増殖させた。増殖後、実施例2と同様にして1
%1−オクタノールの酸化を行ったが、反応終了後、デ
カン酸層にはわずか0.9g/l のオクタン酸しか蓄積さ
れていなかった。
く、培養基含浸後ただちに実施例2と同様にしてピシア
・パストリスIFO 0948を植菌し、1日間、乾燥
を防いで増殖させた。増殖後、実施例2と同様にして1
%1−オクタノールの酸化を行ったが、反応終了後、デ
カン酸層にはわずか0.9g/l のオクタン酸しか蓄積さ
れていなかった。
【0040】比較例2 実施例3と同じアルギン酸で被覆していない含培養基シ
リカゲルプレートに同様にしてロドコッカス・エクイI
FO 3730を植菌した。2日間増菌させた後、実施
例3と同様の2−オクタノールの酸化反応を実施した。
反応終了後、ヘキサデカン層中の2−オクタノン濃度は
ガスクロマトグラフィーによる分析により、わずか0.
2g/l であった。
リカゲルプレートに同様にしてロドコッカス・エクイI
FO 3730を植菌した。2日間増菌させた後、実施
例3と同様の2−オクタノールの酸化反応を実施した。
反応終了後、ヘキサデカン層中の2−オクタノン濃度は
ガスクロマトグラフィーによる分析により、わずか0.
2g/l であった。
Claims (1)
- 【請求項1】 内部が吸水性多孔質であり、表面に微生
物の付着性、増殖性及び微生物に対する基質及び産生物
の毒性遮蔽性にすぐれた親水性樹脂の被覆層を有する二
相構造の担体であって、該担体表面に微生物を吸着さ
せ、該担体内部に該微生物の栄養源を含む水性媒体を保
持させ、担体内部より該微生物に栄養源及び水を供給し
つつ、基質としての有機化合物を含む有機溶媒を該担体
表面の該微生物と接触させて、担体と有機溶媒との接触
界面で該微生物を増殖させつつ有機化合物の微生物変換
を行なわせるに適した非水系バイオリアクター用固定化
担体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28398693A JPH07111892A (ja) | 1993-10-18 | 1993-10-18 | 非水系バイオリアクター用固定化担体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28398693A JPH07111892A (ja) | 1993-10-18 | 1993-10-18 | 非水系バイオリアクター用固定化担体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07111892A true JPH07111892A (ja) | 1995-05-02 |
Family
ID=17672807
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28398693A Pending JPH07111892A (ja) | 1993-10-18 | 1993-10-18 | 非水系バイオリアクター用固定化担体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07111892A (ja) |
-
1993
- 1993-10-18 JP JP28398693A patent/JPH07111892A/ja active Pending
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