JPH06197773A - 固定化微生物によるエステル類の加水分解方法 - Google Patents

固定化微生物によるエステル類の加水分解方法

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JPH06197773A
JPH06197773A JP21730192A JP21730192A JPH06197773A JP H06197773 A JPH06197773 A JP H06197773A JP 21730192 A JP21730192 A JP 21730192A JP 21730192 A JP21730192 A JP 21730192A JP H06197773 A JPH06197773 A JP H06197773A
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microorganism
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Shinobu Oda
忍 小田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エステル類の加水分解能を有する微生物の固
定化増殖菌体を用いて、反応速度と収率の高い微生物的
エステル加水分解方法を提供する。 【構成】 親水性固定化担体にエステル結合を加水分解
する能力を有する微生物を付着固定化し、該微生物の栄
養源を含む水性媒体の存在下に、エステル類を含む実質
的に水に不溶性ないしは難溶性の有機溶媒を該担体上の
固定化菌体相と接触せしめることを特徴とするエステル
類の加水分解方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固定化微生物を用いる
エステル類の加水分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、エステル類、た
とえばグリセリドのような天然エステル類の化学的加水
分解法により、工業上重要なアルコール類、カルボン酸
類が大量に製造されている。これら化学的加水分解方法
では、酸類あるいはアルカリを用いて加熱する酸あるい
はアルカリ加水分解法や無触媒下で加熱、加圧するColg
ate-Emery 法があるが、これら厳しい反応条件では、加
水分解反応以外の副反応、例えばアルコール類あるいは
カルボン酸類の分解反応や酸化反応、あるいは縮合反応
などの副反応が生ずるのが一般的である。また、高温、
高圧反応の故に、エネルギー消費、安全性の面でも問題
がある。
【0003】一方、リパーゼやエステラーゼのような加
水分解酵素あるいはその供給源たる微生物菌体を用いた
エステル類の加水分解法も、特に光学分割による光学活
性アルコールないしはカルボン酸の製造の領域で活用さ
れてきた。例えば、非ステロイド系抗炎症剤の原料であ
る2−アリルプロピオン酸(Q.M. Gu, et al., Tetrahe
dron letter, Vol. 27, 1763 (1986) 参照)、除草剤原
料である2−クロロフェノキシプロピオン酸(B. Cambo
u, A.M. Klibanov, Biotechnol. Bioeng., Vol26, 1449
(1984)参照)、メントール(諸江辰男ら、特開昭46
−27352号公報、特開昭47−22276号公報参
照)などの加水分解的光学分割がある。
【0004】また、グリセリドの加水分解による脂肪酸
およびグリセロールの製造についてもリパーゼの使用が
試みられており(G. Benzonana, S. Esposito, Bioche
m. Biophys, Acta, Vol. 231, 12 (1971)参照)、また
固定化リパーゼの使用(T. Yamanae, et al., J. Ferme
nt. Technol., Vol. 60, 517 (1982) 参照)や有機溶媒
の添加(K.H. Kim, et al., Lipids, Vol. 19, 975 (19
84) 参照)などの改良法も種々検討されてきた。
【0005】しかしながら、これら酵素的あるいは微生
物的加水分解反応の多くはエマルジョン反応として行わ
れるため、大きな撹拌動力を要する、固体脂のままでは
撹拌不能、エマルジョンからの産物の分離に強力な遠心
分離を必要とする、酵素の消失を避けられない、連続運
転が困難等の問題点がある。また、固定化リパーゼを用
いる方法では、連続運転性や繰り返し反応の安定性に欠
けるといった問題点が存在する(Y. Kimura, et al., E
ur. J. APPL. Microbiol. Biotechnol., Vol.17, 107
(1983)参照)。さらに有機溶媒添加法では添加溶媒の阻
害作用の問題があり、実用上適用困難である(H. Brock
erhoff, Arch. Biochem. Biophys. Vol.134, 366 (196
9)参照)。
【0006】したがって、上述のエステル類の化学的加
水分解法の欠点を克服し、なおかつ既存の生物的加水分
解法の欠陥を補うような新規なエステル類の生物的加水
分解方法の開発が強く望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、上記
したような微生物菌体を用いた有機溶媒中でのエステル
類の加水分解を、有機溶媒中で微生物を増殖させ、その
生命活動を維持させつつ、且つ加水分解に必要な水分を
供給しつつ行なわせる技術について鋭意検討を重ねた結
果、栄養源及び水を含む親水性固定化担体に微生物を植
菌し、これに微生物に対して毒性を発現しない有機溶媒
を接触させると、有機溶媒と固定化担体との界面で微生
物菌体が旺盛に増殖して担体上に菌体相を形成し、この
菌体相が有機溶媒中に添加したエステル類を水を含む担
体と有機溶媒との界面で高い反応速度と収量で加水分解
することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】かくして、本発明に従えば、親水性固定化
担体にエステル結合を加水分解する能力を有する微生物
を付着固定化し、該微生物の栄養源を含む水性媒体の存
在下に、エステル類を含む実質的に水に不溶性ないしは
難溶性の有機溶媒を該担体上の固定化菌体相と接触せし
めることを特徴とするエステル類の加水分解方法が提供
される。
【0009】本発明の第1の特徴は、脂肪族炭化水素に
代表される有機溶媒と親水性固定化担体との界面で、微
生物の栄養源を含む水性媒体を供給しつつ微生物を増殖
させて形成された菌体相を触媒として利用できる点にあ
る。これによりエステル類を実質的に水に不溶性もしく
は難溶性の有機溶媒に溶解した形で該菌体相に接触させ
てエステル類の加水分解を行なわせることが可能とな
り、その結果、高い反応速度と触媒の長期安定性が得ら
れ、撹拌動力が事実上不要であるといった利点が得られ
る。
【0010】また、本発明の第2の特徴は、基質である
エステル類が微生物に対して毒性を示す場合でも、これ
を高い濃度で有機溶媒に添加でき、また菌体相に接触し
得る点にある。例えば、炭素数6から20までの脂肪族
エステル類については、直鎖状あるいは分岐状エステル
を問わず非常に高い濃度で微生物に接触させることが可
能である。また、エステル類の微生物に対する毒性が非
常に弱い場合は、実質的に溶媒中に100%濃度、つま
り該エステル類をそのまま溶媒相として使用することが
できる。このように微生物菌体相に対して高濃度のエス
テル類を接触し得ることの長所として、高い反応速度と
高い収量が得られ、エステル類を低いコストで加水分解
し得るという点が挙げられる。
【0011】さらに、本発明の第3の特徴は、エステル
類の加水分解反応の反応平衡が著しく加水分解の方向に
傾くという点が挙げられる。エステル類の生体触媒によ
る加水分解反応は化学的加水分解反応と同じく平衡反応
であるが(S. Okumura, et al., Agric. Biol. Chem.,
Vol. 45, 185 (1981) 参照)、本発明に従えば、エステ
ル類の加水分解によって生ずるカルボン酸類あるいはア
ルコール類のどちらか一方もしくは両方が水溶性であれ
ば、それらは溶媒相側から担体内部の水相に連続的に除
去されることになり、化学平衡が著しく分解側に傾くこ
とになる。
【0012】なお、上記固定化菌体相に接触させる有機
溶媒又は基質であるエステル類の有機溶媒溶液を、以
下、有機液相ということがある。
【0013】固定化菌体への栄養源を含む水性媒体すな
わち培養液の供給は、担体が例えば寒天のように培養液
を充分に含有保持しうるものであれば、担体に予め含ま
せておくことにより行うことができ、及び/又は例え
ば、上記有機液相に培養液を加え、形成される有機液相
と培養液相の界面に微生物固定化担体を介在させること
により行なうこともできる。
【0014】本発明で使用可能な固定化担体は、親水性
のものであれば特に制約はなく、栄養源を含む水溶液を
含浸もしくは接触させて有機溶媒との界面に存在する微
生物にこれを供給することができるものであれば、いか
なる素材であっても使用可能であり、具体的には例え
ば、アルギン酸、カラギーナン、デンプンマトリック
ス、寒天、濾紙のようなセルロース材などの天然高分
子;ポリビニルアルコール、ウレタンポリマー、ポリア
クリルアミド、ポリアクリル酸などの合成高分子;泡ガ
ラス、シリカゲルなどの無機物などが挙げられる。
【0015】これら固定化用担体の形状には特に制約は
なく、繊維状、膜状、粒状等の任意の形状に成形されて
いることができ、また布、不織布、紙、ボール紙等の形
態に成形されたものであってもよい。
【0016】上記固定化菌体相に接触する有機液相にお
ける有機溶媒又は基質のエステル類の有機溶媒溶液調製
用の有機溶媒は、付着微生物菌体に対して実質的に毒性
を示さないものが好ましく、具体的には、ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数6〜20
のメタン系炭化水素に代表されるノルマルパラフィン類
又は流動パラフィン類;イソオクタン等のイソパラフィ
ン類;ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチル
ベンゼン、オクチルベンゼン等の脂肪族鎖の炭素数が5
〜15のノルマルアルキルベンゼン類;キュメン等のイ
ソアルキルベンゼン類;シクロヘキサン等の脂環式炭化
水素類などを例示することができる。
【0017】上記固定化担体に付着させ、担体と有機液
体との界面で増殖させて使用するエステル類の加水分解
能を有する微生物は、細菌類、カビ類、酵母、放線菌類
等のいずれの微生物であってもよい。具体的には例え
ば、シュードモナス(Pseudomonas)属、クロモバクテリ
ウム(Chromobacterium)属、マイクロバクテリウム(Mi
crobacterium)属、マイクロコッカス(Micrococcus)
属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、エシェ
リシア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、ア
リスロバクター(Arthrobacter)属、マイコバクテリウ
ム(Mycobacterium)属などの細菌類、カンジダ(Candid
a)属などの酵母類、フィコマイセス(Phycomyces)属、
タミディウム(Tamidium)属、ケトスティラム(Chaeto
stylum)属、アスペルギルス(Aspergillus )属、ジオ
トリカム(Geotrichum) 属のようなカビ類に属する微生
物が挙げられる。さらに具体的には、シュードモナス・
フラジ(Ps. fragi)、シュードモナス・フルオレッセン
ス(Ps. fluorescens)、クロモバクテリウム・チョコラ
チュウム(Ch. chocolatum)、マイクロバクテリウム・
アルボレセンス(Mb. arborescens)、マイクロコッカス
・バリアンス(Mc. varians)、スタフィロコッカス・オ
ーレウス(Sc. aureus)、エシェリシア・コリー(Es.
Coli)、バチルス・サブチリス・サブスピーシス・ニー
ガー(Ba. subtilis subsp. niger )、カンジダ・リポ
リティカ(Ca. lipolytica)、フィコマイセス・ニテン
ス(Ph. nitens)、ムコール・スフ(Mucor sufu)、ペ
ニシリウム・ロクエフォルティ(Pe. roqueforti)、リ
ゾプス・オリゴスポラス(Rh. oligosporus)、タミディ
ウム・エレガンス(Ta. elegans)、ケトスティウム・フ
レスネイ(Ch. fresnei)、アスペルギルス・フラバス
(As. flavus)、ジオトリカム・キャンディダム(Ge.
candidum)等を挙げることができる。
【0018】かかる微生物の担体への付着固定化は、例
えば、菌体分散液をあらかじめ栄養源を含む水性媒体を
含ませた担体に塗布または散布するか、担体を菌体培養
液中に浸漬するか、微生物菌体を適当な方法で担体に付
着させた後、担体に栄養源を含む水性媒体を供給する等
の方法で担体上に微生物菌体を付着させた後、その担体
はあらかじめ栄養源を含む水性媒体中で培養することも
できるが、通常、基質としてのエステル類を含むかまた
は含まない有機溶媒と接触させた状態で培養し、付着し
た微生物菌体を担体と有機溶媒との界面で増殖させて担
体上に固定化菌体相を形成させることにより行うことが
できる。この培養により、微生物は担体表面に強固に付
着し、固定化菌体相が担体から剥離するようなことはな
い。
【0019】上記培養において使用し得る微生物の栄養
源は、使用菌体の種類に応じて、その菌体に最適のもの
を選択することができ、例えば、グルコース等の炭素
源、尿素等の窒素源、硫酸マグネシウム等の微量金属
塩、酵母エキス等の微量栄養源からなる一般的なもので
よい。
【0020】培養は一般に、恒温槽、インキュベーター
等の培養装置中で行うことができ、あるいは担体を基質
を含むか含まない有機溶媒中に浸漬し、場合によっては
更に栄養源を含む水性媒体を加えた反応容器中で温度調
節しながら行ってもよい。培養温度、培養時間等の培養
条件は使用微生物の種類に応じて、最適の条件を選択す
ることができる。
【0021】増殖に要する酸素は、有機溶媒に通気すれ
ばよいが、一般に有機溶媒は水に比して数倍から十数倍
の酸素溶解度を有しているため、必ずしも通気する必要
はない。また、培養中の撹拌についても、基質であるエ
ステル類は有機溶媒に溶解して存在しているため、エマ
ルジョン法のような強烈な撹拌は不要であり、また、撹
拌が不要である場合が多い。
【0022】基質としてのエステル類は上記培養の初期
から添加してもよく、または微生物が十分に増殖して菌
体相を形成した後に添加してもよい。あるいは培養初期
から固定化菌体相形成までの任意の時点で加えてもよ
い。エステル類は微生物に対して毒性を発現する場合が
あるので、一般には菌体相が十分に成長してから添加す
る方が高い成績が達成される。
【0023】かくして、担体上の固定化菌体相を、基質
としてのエステル類の有機溶媒溶液からなる有機液相と
の接触状態で培養をつづけることにより、エステル類の
加水分解反応を行なわせることができる。
【0024】この固定化微生物によるエステル類の加水
分解反応に基質として供しうるエステル類としては特に
制限はなく、固定化微生物のエステル加水分解能に応じ
て各種のものが使用できる。
【0025】基質として供しうるエステル類としては、
例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸−2
−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジ
ル、酪酸エチル、酪酸ブチル、オクタン酸エチル、オク
タン酸ブチル、デカン酸エチル、デカン酸ブチル、ラウ
リン酸エチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチ
ル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、アジピン酸ジ
オクチル、シュウ酸ジエチル、フタル酸ジエチル、フタ
ル酸ジオクチル、トリオレイン酸グリセリド(トリオレ
イン)、オリーブ油等の長鎖脂肪酸のグリセリンエステ
ル、パルミチン酸セチル、みつろう等の長鎖脂肪酸の長
鎖アルコールエステル等が挙げられる。
【0026】有機溶媒中のエステル類の濃度は特に制限
されるものではなく、菌体に対する毒性に応じて決める
ことができる。エステル類は多くの場合水に不溶である
ため、有機溶媒中に非常に高い濃度で添加して菌体相に
接触させることが可能であり、特に、オクタン酸やデカ
ン酸のような中鎖カルボン酸のエチル、エステル、ブチ
ルエステルや、トリオレイン、オリーブ油のような長鎖
脂肪酸のグリセリンエステル等の場合には、それらの低
毒性の故に、それらのエステル類を100%濃度、つま
りエステル類自体を有機液相として菌体相に接触させる
ことが可能である。
【0027】以上に述べた本発明の方法によれば、脂肪
族、芳香族、脂環式等のエステル類の加水分解反応を、
固定化微生物の増殖菌体相を用いて極めて効率的に行な
うことができる。その際、カルボン酸のβ酸化等の増殖
菌体にもとづく副反応が生ずる可能性がある場合には適
当な代謝あるいは変換阻害剤の添加によってそれを阻害
するか、もしくはそのような副反応が生じないように育
種改良した代謝欠損株を用いることができる。
【0028】本発明の方法によれば、エステル類の加水
分解に必要な水は親水性担体側、すなわち水相側から供
給され、生産物のカルボン酸類あるいはアルコール類の
どちらか一方もしくは両方が水溶性であれば、それらは
有機液相側から水相側に除去されるので、水相に蓄積さ
れるカルボン酸類及び/又はアルコール類を回収し、基
質のエステル類を補充する等の方法を行なうことによ
り、固定化菌体と基質との接触頻度を飛躍的に増加せし
めることができる。
【0029】一方、生産物のカルボン酸類あるいはアル
コール類のどちらか一方もしくは両方が水に不溶性ある
いは難溶性であれば、それらは有機液相側に蓄積される
ので、有機液相に蓄積されるカルボン酸類及び/又はア
ルコール類を回収して、基質のエステル類を補充する等
の方法を行なうことにより、固定化菌体と基質との接触
頻度を飛躍的に増加せしめることができる。
【0030】従って、本発明の方法は、上記のような操
作を行なうことにより、反応速度と収率、収量を大幅に
向上させることが可能となり、連続操業も可能となる。
【0031】かくして、本発明の方法を、例えば工業薬
品、医薬品、化粧品、香料、洗剤、界面活性剤、繊維処
理剤、油脂、染料、塗料、印刷材料等の分野における工
業上重要な各種エステル類の加水分解工程に適用するこ
とにより、生産コストの低下、工程の省エネルギー化、
省力化等、工業的に有利な種々の利点を得ることができ
る。
【0032】
【実施例】以上本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、部及び%は重量基準である。
【0033】実施例1 表1に示す細菌類については、ポリペプトン1.0%、
酵母エキス0.2%、硫酸マグネシウム0.1%、寒天
1.5%よりなる寒天培地(pH7.0)を、カビ類につ
いてはペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、麦芽エ
キス0.3%,グルコース1.0%、寒天1.5%より
なる寒天培地(pH6.0)150mlを内容量480mlの
密栓可能なガラス容器に注いで寒天平板を調製した(表
面積43cm2)。これに表1に示す各種微生物懸濁液10
0μl をコンラージ棒を用いて塗沫し、30℃で1日間
培養した。その後、酢酸2−エチルヘキシルを10ml重
層し30℃で5日間静置培養した。反応開始1日目、3
日目、5日目に溶媒相(酢酸2−エチルヘキシル相)1
μl をガスクロマトグラフィーにより分析し、生成2−
エチルヘキサノールの濃度を測定した。その結果を表1
に示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例2 表2に示す細菌類について、実施例1と同様にして調製
した微生物菌体相形成寒天平板の入ったガラス容器に酢
酸2−エチルヘキシルを10ml重層し、30℃で70rp
m の往復振盪下、5日間培養した。培養開始1日目、3
日目、5日目に溶媒相1μl をガスクロマトグラフィー
によって分析し、生成2−エチルヘキサノールを定量し
た。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例3 シュードモナス・フラジIFO 12049の1日培養
液に、既知の方法で調製した5%アルギン酸カルシウム
ビーズ、光硬化性樹脂ENTG−3800(関西ペイン
ト(株)製)、濾紙(No. 2)、シリカゲルプレート切
片(薄層クロマト用)を5分間浸漬し、微生物および培
地を取り込ませた。余分な水分を除去した後、デカン酸
エチル10mlに浸漬し、30℃で5日間静置培養した。
培養後、デカン酸エチル相1μl をガスクロマトグラフ
ィーより分析し、生成デカン酸を定量した。その結果を
表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】実施例4 実施例1と同様にして調製したジオトリカム・キャンデ
ィダムJCM 01747付着寒天平板を30℃で1日
間培養し菌体相を形成させた。これに10mlのトリオレ
インを重層し、30℃、100rpm の往復振盪下5日間
培養した。培養後、トリオレイン相中のオレイン酸量を
酸価測定により定量した。その結果、68g/l のオレイ
ン酸の蓄積が認められた。
【0040】実施例5 実施例1と同様にして調製したバチルス・サブチリス、
サブスピーシス・ニーガーIFO 3108付着寒天平
板を30℃で1日間培養し菌体相を形成させた。これに
10mlの10%エチルメントールのn−ヘキサデカン溶
液を重層し、30℃で5日間静置培養した。培養後、溶
媒相1μl をガスクロマトグラフィーにより分析し、生
成メントールを定量した。その結果28g/l のメントー
ルの蓄積が認められた。
【0041】比較例 マイクロコッカス・バリアンスIFO 3765の1日
培養液2mlをポリペプトン1.0%、酵母エキス0.2
%、硫酸マグネシウム0.1%よりなる培地(pH7.
0)に植菌し、酢酸2−エチルヘキシルを17、29、
38、44、50%レベルになるように添加し、30
℃、150rpm の往復振盪下で5日間培養した。培養
後、ジエチルエーテルで3回抽出し、乾燥、希釈後ガス
クロマトグラフィーで生成2−エチルヘキサノールを定
量した。その結果、17%添加で9.5、29%添加で
7.4、38%添加で7.0、44%添加で6.9、5
0%添加で5.0g/l の2−エチルヘキサノールの蓄積
を認めた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性固定化担体にエステル結合を加水
    分解する能力を有する微生物を付着固定化し、該微生物
    の栄養源を含む水性媒体の存在下に、エステル類を含む
    実質的に水に不溶性ないしは難溶性の有機溶媒を該担体
    上の固定化菌体相と接触せしめることを特徴とするエス
    テル類の加水分解方法。
JP21730192A 1992-07-22 1992-07-22 固定化微生物によるエステル類の加水分解方法 Pending JPH06197773A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015159788A (ja) * 2014-02-28 2015-09-07 学校法人金沢工業大学 胞子または芽胞を用いた非水系物質変換方法およびバイオリアクター

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JP2015159788A (ja) * 2014-02-28 2015-09-07 学校法人金沢工業大学 胞子または芽胞を用いた非水系物質変換方法およびバイオリアクター

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