JPH0711053B2 - 高温発熱体およびその製造方法 - Google Patents

高温発熱体およびその製造方法

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JPH0711053B2
JPH0711053B2 JP1163726A JP16372689A JPH0711053B2 JP H0711053 B2 JPH0711053 B2 JP H0711053B2 JP 1163726 A JP1163726 A JP 1163726A JP 16372689 A JP16372689 A JP 16372689A JP H0711053 B2 JPH0711053 B2 JP H0711053B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は水、油その他液体および固体を、電気、可燃性
ガス、炭化水素類のエネルギーや燃料を用いずに迅速に
加熱するための高温発熱体およびその製造方法に関す
る。
[従来の技術] 従来、電気的手段、可燃ガス、炭化水素類の燃料を利用
せずに自己の反応により発熱し、水、油その他の液体お
よび固体を加熱する自己燃焼性発熱剤としては、実開昭
60-70235号公報にあるように酸化カルシウムの水和反応
による発熱を利用した発熱剤や、特開昭52-19358号公報
に示されているように鉛丹粉末と珪素粉末を混合しこれ
を細長いチューブに圧填した発熱剤が提案されている。
また実開昭62-146427号公報には自己燃焼性加熱剤とし
て珪素粉末、珪素鉄粉末、銅粉末等の金属粉と四三酸化
鉄、酸化鉄、過酸化バリウム等の金属酸化物からなる発
熱体が記載されている。
しかしながら、従来技術では安全で確実かつ迅速に反応
する自己燃焼性発熱体としては以下の問題があり、必ず
しも満足できるものではなかった。
酸化カルシウムの水和反応による発熱剤は、発熱剤の体
積に対して得られる熱量が少なく、反応後に水酸化カル
シウムとなり約2〜3倍の体積膨張するために、被加熱
物に対して加熱剤の容量を大きくしなければならないと
いう欠点があり、また保存状態によっては使用までの保
存期間中に大気の水分と一部反応して発熱してしまうと
いう問題もあった。また、鉛丹と珪素鉄粉末の混合物の
発熱剤や珪素粉末、珪素鉄粉末、銅粉末等の金属粉と四
三酸化鉄、酸化鉄、過酸化バリウム等の金属酸化物によ
る酸化剤は、最高温度が約1000〜1300℃にまで達し高発
熱量が得られるものの、反応を開始するまでに電気ヒー
ターあるいはライター等によりしばらく加熱する必要が
あって着火性が悪いという欠点があり、操作性や着火の
確実性に問題があった。
[発明が解決しようとする課題] 特に自己燃焼性発熱体の性能としては、外部からのエネ
ルギを与えなくても、迅速に、かつ確実に燃焼し必要な
発熱量が得られることが重要であり、戸外での使用に際
しても小型で携帯性に優れていることが要求されるが、
従来技術による発熱剤ではこれらの性能は必ずしも満足
できるものではなかった。
以上の問題に鑑み本発明は電気、ガス等のエネルギーに
よらずまた使用環境に左右されず、いかなる条件下でも
100%確実に着火し、発熱反応し、最大の発熱量が得ら
れ、しかも火花等のわずかな熱源で迅速に着火、燃焼可
能で、かつ小型で携帯性に優れ、安全である高温発熱
体、およびこの性能、品質の安定した高温発熱体を大量
に生産効率よく製造する方法を提供するものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、単位重量当たりの発生熱量が多く、しか
も迅速に、簡便で確実に燃焼する発熱体およびその製造
方法について種々実験検討を行った結果本発明を完成し
たものである。
即ち、本発明は次の構成を要旨とするものである。
Fe2O3含有率が90重量%以上の酸化鉄の粉末と珪素粉末
あるいはSi含有率が60重量%以上の珪素合金粉末を混合
してなる発熱部に接して発熱部より易着火性のホウ素粉
末と酸化鉄の粉末からなる着火部を発熱体の表面に同時
にプレス成形した自己燃焼性発熱体に於いて、酸化鉄の
粉末と珪素粉末あるいは珪素合金粉末の合金割合を酸化
鉄粉末100重量部に対して珪素粉末あるいは珪素合金粉
末を80〜20重量部とすること、好ましくはFe2O3含有率9
9重量%以上の酸化鉄粉末100重量部に対してSi含有率75
重量%以上の珪素粉末あるいは珪素合金粉末を50〜35重
量%とすること、さらに酸化鉄粉末は10μm以下が90重
量%以上でかつ平均粒径が5μm以下で珪素粉末あるい
は珪素合金粉末は50μm以下が90重量%以上でかつ平均
粒径が25μm以下であること、好ましくは酸化鉄粉末は
5μm以下が90重量%以上で平均粒径が1μm以下で珪
素粉末あるいは珪素合金粉末は25μm以下が90重量%以
上でかつ平均粒径が10μm以下であること、酸化鉄粉末
のSO4含有率が0.05重量%以下で、好ましくはSO4含有率
が0.02重量%以下である自己燃焼性高温発熱体である。
本発熱体はミッシュメタルや火薬のわずかな火花でも容
易に着火し、発熱反応を行うものであり、発熱量は発熱
体1g当り約400〜550calの発熱量を有し、最高温度は140
0〜1550℃まで達するものである。
また、上記の高温発熱体を製造する方法は次の工程から
構成される。
酸化鉄、珪素および珪素合金の秤量、切り出し工
程、 原料への成形バインダーの添加工程 原料の混合、造粒工程 原料の事前乾燥工程 原料の金型への充填工程 発熱体のプレス成形工程 発熱体の乾燥工程 本高温発熱体の製造方法の一例を第6図に示す。発熱体
原料は事前に破砕等の処理により酸化鉄は平均粒径5μ
m以下に、珪素および珪素合金を平均粒径25μm以下に
調整した後に各原料の貯蔵ホッパーから所定の割合にな
るように秤量し、切り出され、成形硬化用のバインダー
を添加した後に混合造粒機内で均一に混合した後水分の
添加により、造粒が行われ、粒子径0.1mm〜0.8mm程度の
疑似粒子に造粒される。その後に一次乾燥で予備乾燥
し、プレス成形したときにバインダーがにじみでないレ
ベルの約6重量%まで乾燥された原料の流動性を確保し
たままで目的形状に合わせた金型に充填され、成形圧力
200〜1000kg/cm2の圧力で発熱体を成形する。その後に
約100〜200℃に昇温した連続乾燥機で1〜2時間乾燥し
て高温発熱体を得る。
ここで原料粒径の調整のための破砕機はどのようなもの
でもよく、揺動ミル、ボールミル、ジェットミル等の機
種、方法にはよらず、液体から直接製造した原料でも粒
子径が満足していれば構わない。またバインダーは発熱
体の酸化還元反応の進行を損なわずに発熱体の成形強度
が得られればどのようなものでも良いが、PVA(ポリビ
ニールアルコール)や水ガラスのようなバインダーは酸
化鉄とSi原料との反応を阻害するため不適当であり、Na
OHの水溶液としての添加が好ましい。
本発熱体の成形時の形状は被加熱物によって適宜決定さ
れ、円筒状、円柱状、円盤状、立方体形状でも不安定形
のものでも製造可能である。このように製造された発熱
体は目的に合わせてシステムに組み込まれた後に梱包、
出荷される。
(条件限定理由) 酸化鉄と珪素および珪素合金の配合条件を限定する理由
は次の理由による。本発熱体は酸化鉄とSi原料の酸化還
元反応に伴う酸化鉄中の酸素の還元と酸化Siの酸化によ
る発熱反応によるものである。従って酸素が多くてもSi
が多くても理想的な反応は起こらない。
なお、本発明の以下の説明においては、珪素合金として
フェロシリコンの如き珪素鉄合金を例示するが、本発明
はこれに限ることなく、他の珪素合金、例えばFe-Si-Mg
なども用いることができることは勿論である。
第1図は平均粒径0.80μmでFe2O3含有率が99重量%以
上の純度の酸化鉄と平均粒径14μmのJIS2号相当のSi含
有率75.1重量%のフェロシリコン粉末あるいは平均粒径
11μmのSi含有率98重量%の金属シリコン粉末を原料と
し、酸化鉄とSiの配合比を変えて発熱量の変化を測定し
た結果である。
酸化鉄100重量部に対してフェロシリコンを15重量部、
あるいは金属シリコンを12.4重量部配合した発熱体は着
火剤のみが燃焼し発熱体は反応しなかった。またフェロ
シリコンあるいは金属シリコンの配合を15重量部を越え
て20重量部未満とした場合には、燃焼が進行したり未反
応となったりで安定した発熱反応が得られなかった。こ
のことはSiが少なすぎるために燃焼が伝播しないためで
ある。またフェロシリコンを40〜50重量部とした場合に
最も高い発熱量が得られた。しかしこれ以上フェロシリ
コンの配合を増しても発熱量は低下の傾向を示し、フェ
ロシリコンを90重量部とした場合には発熱体が反応しな
い状態となった。フェロシリコンの配合を80重量部を越
え90重量部未満とした場合にも、燃焼が進行したり未反
応となったりで安定した発熱反応が得られなかった。
金属シリコンは50重量部で最大の発熱量を示し、85重量
部以上の配合では発熱体の反応は進行しなかった。金属
シリコンの配合を80重量部を越え85重量部未満とした場
合にも、燃焼が進行したり未反応となったりで安定した
発熱反応が得られなかった。これは酸素が少なすぎるた
めにSiが燃焼しなかったものである。このことから発熱
体の酸化還元反応を進行させて高温発熱体を得るには、
酸化鉄100重量部に対してフェロシリコンあるいは金属
シリコンを20〜80重量部の配合とすることが必要であ
り、好ましくは40〜50重量部にするのが理想的である。
第4図は酸化鉄100重量部に対して75.1重量%Si含有珪
素鉄合金を40重量%を配合した場合の酸化鉄のFe2O3
有率の発熱体発熱量に及ぼす影響を示したものである。
このことから酸化鉄のFe2O3含有率は88.0重量%以下で
は反応が進行せず、88〜90重量%では反応が進行したり
一部反応したり不安定な反応領域であり、確実に反応さ
せるためには90重量%以上の酸化鉄のFe2O3含有率とす
ることが必要であり、最大の発熱量を得るためには99重
量%以上のFe2O3含有率を有していることが好ましい。
また、珪素鉄合金のSi含有率が60重量%未満ではSiの純
度が低すぎること、およびSi不足となりSiが少なく燃焼
が伝播しないため、珪素鉄合金のSi含有率は最低60重量
%以上とすることが必要である。
酸化鉄および珪素、および珪素鉄合金の粒径を限定する
理由は次の理由による。酸化鉄と珪素、および珪素鉄合
金の配合を決定することにより酸化還元発熱反応は進行
するが、より容易にかつ確実に反応を引き起すために、
発熱体の反応性を改善することが必要である。このため
には原料の粒径を細粒にすることが好ましい。
第2図はFe2O3含有率99重量%以上の純度の酸化鉄100重
量部にJIS2号相当のSi含有率75.1重量%のフェロシリコ
ン粉末40重量部配合してフェロシリコンと酸化鉄の粒度
を変えた場合の発熱体の反応域を示したものである。酸
化鉄の粒径は平均5μmで、10μm以下の粒子が90重量
%以上、フェロシリコンの粒径は平均25μmで、50μm
以下の粒子が90重量%以上の条件を満足しなければ発熱
体は反応しない。
このことより酸化鉄と珪素鉄合金の限界粒径が決定でき
る。第3図は平均粒径0.8μmで、3μm以下が95重量
%で、Fe2O3含有率が99.2重量%の酸化鉄とSi含有率75.
1重量%フェロシリコンの粒径を変えて発熱体を製造し
て発熱量を測定した結果である。フェロシリコンの平均
粒径が10μmより粗くなると発熱量が低下し、40μm以
上で、発熱体は未反応となった。フェロシリコンの平均
粒径が25μm〜40μmの範囲では発熱反応が進行した
り、未反応であったりし不安定であった。同様に酸化鉄
の粒子径を粗くした場合にも発熱量の低下が見られた。
従って好ましくは酸化鉄の平均粒径は1μm以下、フェ
ロシリコン、金属シリコンの平均粒径を10μm以下とす
ることにより最大の発熱量が得られるものである。
このことは原料の粒子径を小さくすることにより酸化鉄
中の酸素と、シリコン原料がより多くの反応界面で接触
し、酸化還元反応が効率よく行われるためである。
この結果、Fe2O3含有率90重量%以上の酸化鉄100重量部
に対して珪素粉末あるいはSi含有率60重量%以上の珪素
鉄合金粉末を20〜80重量部配合して混合することによ
り、最高の発熱量を有する高温発熱体が得られ、酸化鉄
の平均粒径を5μm以下で、粒径10μm以下が90重量%
以上とし、珪素、および珪素鉄合金粉末の平均粒径を25
μm以下で、粒径50μm以下が90重量%以上とすること
により、反応性が改善されより確実に発熱反応が進行す
る。
酸化鉄中のSO4含有率を限定する理由は次の理由によ
る。
本発熱体が反応し発熱した場合にわずかの硫黄臭を発生
することから、発生ガス成分を分析したところSO2が主
成分であり、このSO2が硫黄臭を発生することがわかっ
た。この硫黄臭発生原因は発熱体が酸化還元反応により
1400℃以上の高温に達するために、酸化鉄に含まれるSO
4成分がガス化してSO2になっているものと推定された。
第5図は酸化鉄のSO4含有率と反応時のガス中SO2濃度の
関係である。発熱体が反応時に発生する硫黄臭は酸化鉄
中のSO4含有率の増加に伴って直線的に増加する。人間
の臭気で観察し、臭いの気にならないレベルは、酸化鉄
中のSO4が0.05重量%以下で、好ましくは酸化鉄のSO4
0.02重量%以下で発熱体反応時の硫黄臭はほとんどなく
することができた。
この結果、Fe2O3含有率90重量%以上の酸化鉄100重量部
に対して珪素粉末あるいはSi含有率60重量%以上の珪素
合金粉末を20〜80重量部配合して混合することにより、
最高の発熱量を有する高温発熱体が得られ、酸化鉄の平
均粒径を5μm以下で、10μm以下が90重量%以上と
し、珪素、あるいは珪素合金粉末の平均粒径を25μm以
下で、50μm以下が90重量%以上とすることにより、反
応性が改善されより確実に発熱反応が進行し、さらに酸
化鉄のSO4含有率を0.05%以下とすることにより、発熱
反応時に硫黄臭の発生を気にならないレベルまで低減で
き、商品としての実用的価値を高めることができた。
[作用] 本発熱体は酸化鉄中の酸素が珪素粉末あるいは珪素合金
粉末により還元され、珪素が酸化することにより酸化珪
素となる酸化還元反応である。この反応は化学量論的に
は(1)式で示される。
2Fe2O3+3Si=3SiO2+4Fe ‥‥(1) この酸化還元反応を行わせるためには局部的に約1000℃
以上にまで高温にすることが必要であり、一部で反応が
起こると次々に連続して反応する。しかし、発熱体を10
00℃以上に加熱することは一般の着火用のライター等で
はかなり困難でありほとんど不可能である。従って、よ
り低温度で確実に、容易に着火し発熱体を局部的に1000
℃以上の高温に高めることが必要であり、本発明は酸化
鉄と珪素および珪素合金の各粉末の混合割合を適正にし
最大の発熱量が得られるようにし、酸化鉄、珪素あるい
は珪素合金の粒子径の反応限界、および適正粒径範囲を
もとめ、反応性を改善した結果、発熱部に接して形成し
たホウ素と酸化鉄粉を混合した着火剤の反応熱により、
発熱部の酸化鉄と珪素鉄の酸化還元反応を容易にかつ確
実に行わせることができるようにしたものである。本発
明による着火剤部分は約500℃の温度で反応を開始する
ために、例えばミッシュメタルや火薬の火花により、着
火剤を反応させ着火剤部分の熱量を利用して着火剤と接
触している発熱体を局部的に1000℃以上の高温度にし、
酸化還元反応を発熱体全体にわたって進行させるもので
ある。
加熱炉に本発明による着火剤を同時プレスした発熱体を
設置し反応開始温度を測定したところ、490〜505℃で発
熱体が反応し燃焼が進行した。従って本発明による発熱
体は容易に着火可能であり、確実に発熱体の反応を引き
起こすことができるものである。
本発明による発熱体の酸化鉄とSiの配合比は、(1)式
によれば発熱部のSi濃度は20.8重量%となり、酸化鉄10
0重量部に対して75重量%Si含有フェロシリコンは40重
量部、98重量%Si含有金属シリコンは26重量部となる。
また、該反応式に従い生成熱量を求めると発熱体1g当り
633calとなる。しかし実際に発熱量を測定すると380〜4
50cal/gであり、理論値より低くなっている。反応後の
発熱体をX線回折を行い同定した結果、SiO2(クリスト
バライト)、α−Feの他に2FeOSiO2(ファイアライト)
が検出され、SiがすべてSiO2になっていないことに起因
することがわかった。ここでSiO2の生成熱は3600cal/
g、2FeOSiO2の生成熱は1698cal/gであり、2FeOSiO2の方
がSiO2に比べ生成熱が少ない。従って、SiO2をより多く
生成することが発熱体の熱量増加には好ましいことであ
り、発熱体の発熱量を高めるためには酸化鉄のFe2O3
有率とSi原料のSi含有量との間に最適な混合割合の組合
せがあり、適正条件を検討した結果、Fe2O3含有率90重
量%以上の酸化鉄100重量部に対して珪素粉末あるいはS
i含有率60重量%以上のフェロシリコンを40〜50重量部
混合した場合に最も高い発熱量が得られ、これ以上フェ
ロシリコンの配合を増しても、低下しても発熱量は低下
の傾向を示し、最適条件が求められた。
酸化鉄と珪素あるいは珪素鉄合金の粒子径の影響は酸化
還元反応の進行速度に影響し、原料粒子径が小さくなる
ほど改善されるが、酸化鉄の平均粒子径は5μm以上で
は容易に反応が進行せず、フェロシリコンの平均粒径が
40μm以上でも反応は進行せず、約1100℃まで発熱体を
昇温する必要があった。従って着火剤により容易に発熱
反応を進行させるためには、酸化鉄の平均粒径は5μm
以下、フェロシリコン、金属シリコンの平均粒径は25μ
m以下とすることが必要で、最大の発熱量を得るには酸
化鉄の平均粒径は1μm以下、フェロシリコン、金属シ
リコンの平均粒径は10μm以下とし、原料の粒子径を小
さくすることにより酸化鉄中の酸素と、シリコン原料が
より多くの反応界面で接触し、酸化還元反応が効率よく
行われるものである。
酸化鉄とフェロシリコンおよび金属シリコンの粒子径
は、一次粒子の他に粒度調整の破砕の過程で凝集し、発
熱体内で酸化鉄とシリコン原料の偏析を発生した場合も
粗粒の原料を利用したのと同様な挙動を示し、発熱量の
低下をきたし、極端な場合には未反応となる。
また、本発熱体が反応する時にわずかの硫黄臭を発生
し、この原因は酸化鉄に含まれるSO4成分がガス化してS
O2になっているものであり、酸化鉄のSO4含有率を少な
くすることにより反応時のガス中SO2濃度を直線的に減
少でき、臭いの気にならないレベルは人の嗅覚では酸化
鉄中のSO4が0.05重量%以下で、酸化鉄中のSO4が0.02重
量%以下で発熱体反応時の硫黄臭はほとんどなくするこ
とができた。
本発熱体の製造方法で、酸化鉄と珪素粉あるいは珪素合
金原料にバインダーを添加する目的は成形強度を確保す
るためであり、実用的には100kg/cm2の圧縮強度があれ
ば使用には十分耐え得る発熱体となる。バインダー添加
による強度は成形後に乾燥することにより再現する。バ
インダーは酸化鉄とSi原料との反応を阻害しないもの例
えば、NaOHの水溶液としての添加が好ましい。さらに混
合原料を0.1〜0.8mmの粒子径に造粒する目的は原料の流
動性を改善して金型に所定の重量を充填するためであ
り、造粒しない場合は原料粒子径が10μm以下と細粒で
あるために、完全には金型内には充填せず重量不足とな
る等、発熱体の熱量不足の不都合が生じた。またプレス
成形を行うため金型形状を自由に選択することができ、
目的に合わせた形状を有する発熱体が製造可能である。
[実施例] (実施例1) 本発明の製造条件と発熱体の性能、および従来の発熱体
と比較して実施例にもとずいて説明する。
本発熱体は発熱部に粒度、成分の異なる酸化鉄粉を用
い、酸化鉄粉100重量部に対して粒度の異なるフェロシ
リコンを10〜100重量部を乳鉢で30分間十分に混合した
後、成形用バインダーとして2.5重量%NaOH水溶液を混
合原料の6重量部添加し、さらに10分間混合した。この
発熱原料を一個の発熱体の乾燥重量が90gとなるように
秤量し、外径50mmの金型に充填した。次いで市販の試薬
酸化鉄粉85重量部とホウ素粉末15重量部混合した着火剤
を金型に充填した発熱原料の上部に1.2g添加し、250kg/
cm2の成形圧力で発熱原料、着火剤共に同時にプレス成
形した。成形後金型から取り出して200℃の乾燥炉で2
時間乾燥して発熱体を製造した。
このようにして製造した発熱体の発熱量を測定した結果
を第1表に示した。
この結果から発熱部のフェロシリコンの配合比は酸化鉄
100重量部に対して40〜50重量部で最大の発熱量とな
り、原料の平均粒径はより細粒の方が高い発熱量を示
し、酸化鉄のFe2O3含有率は高い方が発熱量は多くな
り、酸化鉄のSO4含有率は少ない方が硫黄臭は少なく発
熱体としては好ましい製造条件であった。このように製
造した本発熱体は、ミッシュメタルの発生するわずかの
火花でも着火部分は容易に反応し発熱体全体が燃焼し
た。
酸化鉄の平均粒径が0.82μm、粒径3.0μm以下が95重
量%でFe2O3含有率が99.2重量%、SO4含有率が0.021重
量%の酸化鉄粉100重量部に対して平均粒径が9.41μ
m、粒径50μm以下が98重量%でSi含有率75.1重量%の
フェロシリコンを40重量部配合したNo.20およびNo.24
(フェロシリコン平均粒径が4.76μm以外はNo.20と同
じ)の発熱体が最も高い発熱量が得られ、硫黄臭も臭わ
なかった。
この最適製造条件で製造された本発熱体と従来多くの商
品の発熱剤として使用されている酸化カルシウムの発熱
特性を比較して第2表に示した。これより本発熱体は酸
化カルシウムに比べ単位重量当りの発熱量が約1.6倍も
多く、単位体積当りの熱量に換算すると約3.2倍の発熱
量を有しており、本発明による発熱体は小型で高発熱量
を有する発熱体であることがわかる。
(実施例2) Fe2O3含有率99.2重量%、SO4含有率0.025重量%で平均
粒径0.82μmの酸化鉄100重量部に対してSi含有率75.1
重量%で平均粒径が7.42μmのフェロシリコン40重量部
を、貯蔵ホッパーから秤量機で正確に切り出した後に2.
5重量%のNaOH水溶液を6重量%添加し、造粒機でさら
に水分を18%まで添加した。この結果、造粒粒径が0.4m
m〜0.8mmの混合原料を製造した。また着火剤もB含有率
96重量%のアモルファスホウ素粉末を15重量%、Fe2O3
含有率99.8重量%で平均粒径0.98μmの試薬酸化鉄を85
重量%混合した後に水分を18%添加して粒径0.3mm〜0.6
mmに造粒した。この着火剤原料を外径20mm、深さ2mmの
金型に1.5g充填し、ついで着火剤を充填した金型を外径
61mm,深さ30mmの金型中央に位置させた後に、酸化鉄と
フェロシリコンを混合造粒した原料を着火剤の上に88g
充填し成形荷重7.3トンの荷重で成形し、金型から取り
出した後に200℃に昇温した乾燥機内で2時間乾燥して
発熱体を得た。
本発熱体の性能を調査したところ、第3表の性能を有す
るもので発熱量が443.5cal/g、最高温度が1380℃、反応
時間が12.3秒と高温発熱体としての機能を有し、圧縮強
度が112.3kg/cm2あり十分なハンドリング強度を有し、
ばらつきも少ないものであった。また連続生産機である
本設備での生産性は1分当り60〜150個であり設備の運
転要員は3名程度ですんだ。
[発明の効果] 本発明により製造した発熱体は、原料の酸化鉄粉と珪素
粉末あるいは珪素合金原料の配合、粒径、成分を適正化
することに、従来の自己燃焼型の生石灰利用による発熱
剤に比べ単位重量当り発熱量が約177cal/gも多く、1cc
当りの発熱量は約600calも多く、より小さな重量、体積
で多くの発熱を得ることができるものである。また火花
等のわずかの着火エネルギーで迅速にかつ、発熱体全体
が確実に反応し、優れた性能を有するとともに、ライタ
ー等の炎では容易に着火しない極めて安全性にも優れた
発熱体である。
本発明により製造された発熱体は戸外での加熱燃料とし
ての使用することもでき、容器に組み込んで飲食物、そ
の他の固体の調理や加熱を容易に行えるために利用価値
はきわめて大きいものである。
また原料の秤量切り出しから混合造粒、金型への充填、
プレス、乾燥を連続して行うことにより品質のばらつき
の少ない発熱体を製造でき、1分当り60〜150個の高生
産性を達成でき、製造設備の操業に関わる要員を3名程
度とすることができ、工業的にも十分採算の合う方法で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は原料配合割合と発熱量の関係を示すグラフ、第
2図は原料粒子径と発熱反応域の範囲を示すグラフ、第
3図はフェロシリコン平均粒径と発熱量の関係を示すグ
ラフ、第4図は酸化鉄Fe2O3含有率と発熱量の関係を示
すグラフ、第5図は酸化鉄SO4含有率と発熱体発生ガス
のSO2濃度の関係を示すグラフ、第6図は本発熱体の製
造設備のフローである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10L 11/00 F24J 1/00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe2O3含有率が90重量%以上の酸化鉄の粉
    末と珪素粉末あるいはSi含有率が60重量%以上の珪素合
    金粉末を混合した発熱部に接して発熱部より易着火性の
    ホウ素粉末と酸化鉄の粉末からなる着火部を発熱体の表
    面に同時にプレス成形した自己燃焼性発熱体に於いて、
    酸化鉄の粉末と珪素粉末あるいは珪素合金粉末の合金割
    合を酸化鉄粉末100重量部に対して珪素粉末あるいは珪
    素合金粉末を20〜80重量部とすることを特徴とする高温
    発熱体。
  2. 【請求項2】酸化鉄粉末は10μm以下が90重量%以上で
    かつ平均粒径が5μm以下で、珪素粉末あるいは珪素合
    金粉末は50μm以下が90重量%以上でかつ平均粒径が25
    μm以下であることを特徴とする請求項1記載の高温発
    熱体。
  3. 【請求項3】酸化鉄粉末のSO4含有率が0.05重量%以下
    であることを特徴とする請求項1および2記載の高温発
    熱体。
  4. 【請求項4】次の工程からなる請求項1、2および3記
    載の高温発熱体の製造方法。 酸化鉄、珪素および珪素合金の秤量、切り出し工
    程、 原料への成形バインダーの添加工程 原料の混合、造粒工程 原料の事前乾燥工程 原料の金型への充填工程 発熱体のプレス成形工程 発熱体の乾燥工程
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