JPH07110500A - 新規有機超格子光電子素子 - Google Patents

新規有機超格子光電子素子

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JPH07110500A
JPH07110500A JP5275926A JP27592693A JPH07110500A JP H07110500 A JPH07110500 A JP H07110500A JP 5275926 A JP5275926 A JP 5275926A JP 27592693 A JP27592693 A JP 27592693A JP H07110500 A JPH07110500 A JP H07110500A
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智之 浜田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた光混合、光パラメトリック発振、光高
調波発生、ポッケルス効果、カー効果等の非線形光学効
果を有する有機超格子を媒体に用いた非線形光学素子を
提供する。 【構成】 光の出入射、電荷注入又は電場・磁場による
変調可能な媒体を備えてなる光電子素子において、該媒
体が2種類以上の化合物領域を接合した有機超格子構造
を含むこととしたものであり、前記有機超格子構造は、
接合した化合物領域のうちの少なくとも1つの接合部分
において、その接合部分の両側の化合物領域の基底エネ
ルギ準位の大小関係と特定励起エネルギ準位の大小関係
が同方向であるのがよい。 【効果】 本発明によれば、有機分子の超格子構造中に
安定化されるエキシトン、ポーラロン等の素励起子の特
性を用いた新規の有機超格子光学素子を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機超格子構造を有す
る光電子素子に係り、特に優れた光混合、光パラメトリ
ック発振、光高調波発生、ポッケルス効果、カー効果等
の非線形光学効果を有する有機超格子を媒体に用いた非
線形光学素子に関する。本発明の光電子素子は、優れた
光波長変換素子、光変調器、光スイッチ等の光素子に用
いることができる。
【0002】
【従来の技術】超格子とは、例えばMBE(Molecular
Beam Epitaxy) 法やALE(Atomic Layer Epitaxy) 法
等の薄膜形成技術により、10-9Torr以上の超高真空下
の清浄な環境下で、Si基板上にGaAs等の無機半導
体を任意の原子比率でエピタキシャルにさせ、異なる構
造のヘテロ接合を繰返し、自然にはない原子又は分子の
超構造を形成し、それによって物質の電子状態又はその
波動関数を人工的に変化させた物質系と、定義される
(江崎玲於奈監修、榊裕之編著、「超格子ヘテロ構造デ
バイス」)。
【0003】半導体超格子の最初のアイデアは、196
9年から1970年にかけて、当時IBMのEsaki 及び
Tsu により提唱された(IBM Research Note(196
9年)、RC−2418及び、IBM J. Res. Develo
p. 14, 61(1970年))。1970年代にMB
E、MOCVD(Metalorganic Chemical Vapor Deposi
tion) 、MOMBE(Metalorganic Molecular Beam Ep
itaxy, CBE:Chemical Beam Epitaxy とも呼ばれ
る)等の薄膜成長技術の進歩により、極めて高品位のヘ
テロ接合の作製が可能となり、高電子移動度トランジス
タ(HEMT:HighElectron Mobility Transistor)、
ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT:Hetero Bipol
ar Transistor)、共鳴トンネルダイオード、量子井戸レ
ーザ、光双安定素子(例えば、SEED:Seif-Electro
-optic Effect Device、CSFOB:Charge-induced S
elf Feedback Optical Bistable Device) のような多く
の超格子デバイスが提案されてきた。このような無機半
導体で始められた超格子デバイスの研究は、近年、高精
細リソグラフィの技術や微粒子分散化技術により、従来
の平面的ヘテロ接合による2次元量子井戸構造の低次元
化に向けて進行し、量子井戸細線(1次元)、量子井戸
箱(0次元)の実現にその関心が移行している。
【0004】一方、有機分子からなるヘテロ接合薄膜の
物性改良の研究は1960年代より主に有機半導体薄膜
に関連した研究が開始されている(例えば、F. Gutmann
andL. E. Lyons,“Organic Semiconductors”, John W
iley & Sons, Inc. (1967年)参照)。シリコンやゲル
マニウムのような無機結晶の場合、1つの半導体層のエ
ネルギ準位は結晶を構成する各原子の原子軌道が結晶の
周期構造性によって重ね合わされたバンド構造で表され
る。この中で基底状態では電子が充填された価電子帯と
その上の伝導帯とは一定のバンドギャップによって隔て
られている。異なる半導体の接合はその境界部において
バンドの不連続を生じさせ、そのような接合を反復する
ことでバンドの閉じ込め構造を形成する(即ち、量子井
戸又はトンネル障壁)。閉じ込められたバンドは1つの
孤立原子のような波動関数を示す。
【0005】有機分子からなる結晶の場合、一分子内に
おいては一つの完全な分子軌道を形成するが、結晶全体
としてはファンデルワールス力からなる弱い分子性結晶
であり、分子間相互作用は弱く、バンド幅は狭くエネル
ギーギャップは半導体に比べて大きい。このため通常の
有機結晶は絶縁体であり(電気伝導度は10-10 Ω-1cm
-1以下で多くは10-20 〜10-14 Ω-1cm-1)、このよ
うな有機分子をヘテロ接合しても電子物性の改良は生じ
ない。そこで、有機分子から超格子を形成するために
は、分子を大きくして一分子が一つの量子箱や量子細線
とみなせるサイズにまで分子軌道を拡大するか、もしく
は何らかの分子間相互作用を強めて結晶中のバンド構造
を作らねばならない。
【0006】前者の例として、ポリアセチレン、ポリジ
アセチレンのような1次元共役系高分子やポルフィリ
ン、フタロシアニンのような平面型共役分子においては
半導体領域の電気特性を示し(電気伝導度10-9〜10
-5Ω-1cm-1)、また後者の例としては、ポリ−p−フェ
ニレン/ヨウ素のようなドーパント型ヘテロ膜やテトラ
チアフルバレン/テトラシアノキノジメタンのような電
荷移動錯体結晶では半導体領域から導電体領域の電気特
性を示す(電気伝導度10-4〜104 Ω-1cm-1)ことが
知られている。しかしながら、これら初期の有機半導体
に関する研究では、無機半導体に比べて純度が低く、そ
の単結晶作製や真空蒸着法による薄膜作製等のプロセス
技術が未熟であったために、その物性評価に再現性が乏
しく、空気中の湿気や酸素の影響による電気特性の激
変、試料の著しい劣化等の問題があった。
【0007】より完全な有機分子薄膜の分子配向制御を
目指した手法として、上述の真空蒸着法のようなドライ
プロセス以外に、溶媒蒸発法、スピンコーティング法、
ラングミュア・ブロジェット膜法等のウェットプロセス
が検討されている。この中で唯一分子レベルでの配列制
御可能な手法としてのラングミュア・ブロジェット膜法
は、分子オーダでの製膜と薄膜層方向の配列制御ができ
ることから、この手法による種々の分子エレクトロニク
スデバイスが1970年代から年代前半にかけて検討さ
れた(例えば、F. L. Carter, “Molecular Electronic
Devices”, Marcel(1982年))。しかしながら、
この手法では気−液界面における分子配列性を利用する
ために膜中に溶媒分子が混在したり、薄膜面内における
秩序性が得られないこと、分子配列のための長いアルキ
ル鎖を分子中に必要とするために層方向の分子間相互作
用が達成できない等の問題が存在していた。
【0008】有機薄膜の多層化技術として、機能性高分
子膜のラミネート法による製膜技術がある。しかしなが
ら、この方法では分子レベルでの配列制御は困難であ
り、かつ超格子性が発現される量子サイズでの多層膜化
は不可能であった。1980年代後半から、MBE(Mo
lecular Beam Epitaxy) 技術により有機分子を極めて清
浄な環境下でエピタキシャル成長させる研究が盛んに行
われ、MBE法で作製した超薄膜が極めて均一で高品質
であることが報告されている(例えば、J. Chem. Phys.
66,573(1977年): Thin Solid Films 151 , L109
(1987年) :Synth. Met. 18, 821(1987年):Jpn. J.
Appl. Phys. 28, L306 (1989年)、等)。その多くがフ
タロシアニン化合物の種々の結晶基板上へのエピタキシ
ャル成長条件の検討に関連している。1990年代に入
りこれ以外の多くの有機分子がアルカリハライド基板や
MoS2 基板上にエピタキシャル成長することが確認さ
れており(「化学と工業」44,2109(1991
年))、従来膜質が悪いために劣っていた種々の特性の
著しい向上が期待されている。
【0009】このような真空蒸着技術の進歩により、従
来不完全であった有機分子のヘテロエピタキシャル構造
作製は1991年より再び盛んになりつつある。例え
ば、ペリレン/ナフタレンヘテロ膜に関する蛍光寿命と
膜厚との関係についての報告(Phys. Rev. Lett. 66, 2
649(1991年))や、ペンタセン/ヘキサセンヘテロ膜に
関する人工周期構造の確認(秋道斉、榊裕之、「創造科
学技術推進事業 ,91研究報告会第二部講演要旨集」、
p.69、新技術事業団(1991年))等、結晶性の
高い多環系芳香族誘導体積層膜の研究が開始されつつあ
る。このような有機分子のドライプロセスによるヘテロ
薄膜形成技術の進歩により、有機分子からなる超格子の
概念が検討されつつある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
有機分子からなる単純な超薄膜積層構造からなる薄膜光
素子の場合、単一種の薄膜の膜厚そのものが不完全であ
り、薄膜中での分子配向の制御や基板及び薄膜間のエピ
タキシャル成長制御等の成長技術も不完全であった。ま
た、得られた薄膜の構造はバルク結晶に等しく、人工的
格子構造を取るものではなく、そのような超構造下での
構成分子集合体の電子状態を変調することはできなかっ
た。このような有機超格子技術を実現する上では、その
物質系のモデル、量子力学的考察、超格子構造作製技術
とキャラクタリゼーション、超格子構造特有の光・電子
物性評価等の課題を検討する必要があるにもかかわら
ず、有機分子の超格子性について検討した有機超薄膜デ
バイスの検討例はなかった。超格子の光・電子物性を特
徴づけるものが何であるかを、総説(日本物理学会編
「半導体超格子の物理と応用」、培風館(1984
年))をもとに整理してみる。
【0011】超格子は異なる電子状態を有する半導体化
合物のヘテロエピタキシャル接合によって実現される。
1つの半導体層のエネルギ準位は結晶を構成する各原子
の原子軌道が結晶の周期構造性によって重ね合わされた
バンド構造で表される。この中で基底状態では電子が充
填された価電子帯とその上の伝導帯とは一定のバンドギ
ャップによって隔てられている。伝導帯に電子を入れ
る、或いは価電子帯から電子を除いてホール(正孔)を
つくると、これらの電子或いはホールは外場のもとで有
効質量 m[electron](電子)或いは m[hole](ホール)
で結晶中を比較的自由に動きまわる。異なる半導体の接
合はその境界部においてバンドの不連続を生じさせ、そ
のような接合を反復することでバンドの閉じ込め構造を
形成する(即ち、量子井戸又はトンネル障壁)。閉じ込
められたバンドは1つの孤立原子のような波動関数を示
す。
【0012】このような超格子の電子状態は4つのパラ
メータ、すなわち2つの半導体のヘテロ界面における伝
導帯、価電子帯におけるエネルギーバンドの不連続の大
きさΔEc,ΔEvと、量子井戸とトンネル障壁の幅L
w,Lbにより特徴づけられる。まずトンネル障壁幅L
bが無限大で高さV0 (V0 =ΔEc又はΔEv)の単
一量子井戸の場合を考える。井戸中の電子は、井戸に垂
直な面(x,y)内では波数ベクトルkx,kyを有す
る自由電子としてふるまうが、井戸に沿う方向(z)に
はV0 のポテンシャル障壁があって電子は井戸付近に局
在し、波動関数は指数関数的に減少する。
【0013】したがって、高さV0 が十分高いときはこ
の方向のエネルギ固有値Enは、 En=h2 /8π2 m・(nπ/Lw)2 ・・・ 式1 で表される。ここで、nは量子数(n=1,2,3,・
・・)、πは円周率、hは Plank定数を、mは電子の有
効質量を示す。従って、電子の全エネルギーEは、 E=En+h2 /8π2 m・(kx2 +ky2 ) ・・・ 式2 で表される。これは量子閉じ込めのないバルク結晶中の
電子の全エネルギーEが、 E=h2 /8π2 m・(kx2 +ky2 +kz2 )=P2 /2m・・・式3 と比べると、バルク中では連続的であった電子状態が量
子井戸中では離散的になることがわかる。ここでpは電
子の運動量であり、電子の de Brolie波長λとはλ=h
/pで関係ずけられている。従って、エネルギ準位が離
散的になり、量子効果が顕著となるためには、以下の式
を満たさなければならない。 Lw ≦ λ ・・・・ 式4
【0014】次に、トンネル障壁幅Lbが薄くなる場合
を考える。この時、隣合う量子井戸中の波動関数同士が
重なり合い、井戸型ポテンシャルが単独に存在するとき
には縮退していた量子準位はトンネル効果により分裂
し、ミニバンド(或いはサブバンド)を形成する。半導
体のGaAsとAlGaAsからなる超格子では、Ga
As層とAlGaAs層で単位格子が形成されるので、
実空間における周期性の長さはLb+Lwで繰り返さ
れ、第1Brillouan 域の大きさは2π/(Lb+Lw)
となる。バルク結晶の場合単位格子の大きさaは格子間
隔程度であり、この半導体超格子がGaAs層とAlG
aAs層からなるとすると、Lb+Lwは20a程度と
なり、超格子の第1Brillouan 域の大きさはバンド結晶
の場合の大きさ2π/aの1/20程度となる。このた
め、バルク結晶のバンド構造が2π/aの周期でエネル
ギーバンドを折り返すことに対応して、このエネルギー
バンドを更に細かい1/20の間隔で折り返し、ミニバ
ンドを形成する。
【0015】以上から、量子井戸幅Lwとトンネル障壁
幅LB を変えることにより、超格子系の電子状態を大き
く変化させることができることがわかる。特に、Lwを
deBrolie波長以下にすると量子効果が顕著になる(G
aAsの場合、約300Å)。また、LwをLbに比べ
十分厚くすると電子の閉じ込めが可能となり、Lbを十
分薄くするとミニバンドが形成される(数100Å以
下)。Lwを10Å以下の数原子層厚以下にするとバル
ク結晶の電子構造を用いたKronig-Pennyのモデルは使え
なくなり、単位格子を大きくとったバンド計算が必要と
なる。
【0016】係る超格子構造中に生じる種々の量子閉じ
込め効果のうちの一つである励起子閉じ込め効果と、超
高速光通信への利用可能な四光波混合、位相共役波発
生、光双安定等の非線形光学現象との関係を検討してみ
る(例えば、花村栄一著、『量子光学(岩波講座現代の
物理学8)』、岩波書店、1992年)。励起子とは結
晶のような分子や原子が規則的に配列した固体において
一つの分子の励起が結晶全体にわたり重畳してできる素
励起である、係る分子の励起が一つの分子中に限定され
る励起子をフレンケル励起子といい、分子の励起がその
周辺の分子にまで一定の距離以内で広がっている励起子
をワニエ励起子という。
【0017】フレンケル励起子の場合の遷移の双極子モ
ーメントPは次式で与えられる。 p = √N・μ ・・・・ 式5 ここでμは一分子の励起に伴う遷移の双極子モーメン
ト、Nは結晶を構成する単位胞の数であるまた、ワニエ
励起子の場合は遷移の双極子モーメントPは次式で与え
られる。 p = √(N/π)・(u/a)3/2 ・μ ・・・・ 式6 ここでu3 は単位胞の体積、aは分子の励起が周辺にま
で広がることのできる距離(ボーア半径と呼ばれる)を
示す。いずれの場合も、一つの結晶中に含まれる単位胞
の数Nが増加するにつれ、その遷移双極子モーメントは
増大する。このような結晶の励起はその物質に外部から
光を照射することにより誘起される。
【0018】外部からの光の電場をEとすると、双極子
モーメントPとは次式で関係付けられている。 P=χ(1) ・E+χ(2) ・E2 +χ(3) ・E3 + ・・・・ 式7 ここで、χ(1) 、χ(2) 、χ(3) はそれぞれ1次、2
次、3次の分極率といい、2次以上の分極率を非線形分
極率という。一般に、結晶中の励起子が単独で存在する
場合は調和振動子として振る舞うため、高次の分極率は
ほとんど小さな値となり何ら非線形性を示すことはな
い。そこで非線形性を取り出するためには、高強度の光
により結晶中に励起子を多数発生させるか、結晶の秩序
性が3次元以下に制限される超格子系で励起子の存在空
間を限定して、励起子密度を高めて励起子間相互作用を
誘起して非線形分極しやすい状態を作り出す必要があ
る。
【0019】例えば、光スイッチング素子の駆動パワー
に対応する3次の非線形分極率の性能指数|χ(3) |/
αを無機半導体の一種であるガリウム・砒素(GaA
s)の場合についてそのバルク結晶と2次元超格子の場
合を比較検討する。光の入射により発生した励起子は3
次元的に広がったバルク結晶中では自由に動き回るた
め、励起子同士が接する可能性は少ない。これにたいし
て2次元超格子中では膜厚方向の広がりが制限されてい
るために発生した励起子は各層内しか移動できず、接近
する可能性が高くなる。このため励起子間相互作用によ
り非線形分極が超格子中では大きくなり、両者の非線形
性能指数を比べるとバルク結晶では10-12esu ・cmで
あるが、2次元超格子の場合10万倍の10-6esu ・cm
まで非線形性が増大することが知られている。
【0020】有機分子からなる結晶の場合、一分子内に
おいては一つの完全な分子軌道を形成するが、結晶全体
としてはファンデルワールス力からなる弱い分子性結晶
であり、分子間相互作用は弱く、バンド幅は狭くエネル
ギーギャップは半導体に比べて大きい。かつ、上記のよ
うな半導体超格子のモデルをあてはめると、一分子その
ものが量子井戸であり、分子間相互作用が乏しいために
各量子井戸が孤立状態にある。このため一般に有機結晶
の双極子遷移モーメントは大きいが、発生する励起子は
各分子中に閉じ込められて、分子間を動き回ることがで
きない。極く限られた有機結晶表面においてはバルク中
と分子の配列状態が異なるために分子間相互作用が大き
くなり、励起子の自由な結晶表面内の運動が可能な場合
がある。例えば、アントラセン表面に発生する励起子の
場合は結晶温度を液体ヘリウム温度まで冷却し、結晶の
熱振動の影響を低減すると、このような励起子閉じ込め
が発生し、その非線形性の性能指数は10-2 esu・cmま
で増加することが知られている。
【0021】したがって、有機分子からなる超格子構造
の場合はその分子自身の基底エネルギ準位が半導体超格
子の価電子帯に対応し、第1励起エネルギ準位が導電帯
に対応している。さらに、有機分子では複数の原子の組
合せで分子が形成され、分子全体の電子の分布は分子固
有の分子軌道を形成し、異方性を有している。このため
分子1個の分子軌道と共に分子集合体の配列が物質全体
の物性に大きく影響を与える。したがってこれまでのと
ころ、単一種類の有機分子の薄膜を作製することはでき
ても、このような複雑な骨格と蒸気圧を有する相異なる
分子からなる有機超格子を作製すること自体が一つの研
究課題であった。このため有機化合物の励起子閉じ込め
系は、例えばアントラセンの表面のような気−固界面に
限定され、自由な有機化合物の組み合わせによる有機超
格子は作製することができなかった。
【0022】すなわち、有機超格子設計上、分子種の選
択、各分子の電子状態の制御、分子配向の制御、分子層
厚の最適化等を考慮することなしに、超格子と呼べる分
子集合体を形成することはできない。本発明は、係る問
題点を解決するために、上述した従来の有機積層構造か
らなる薄膜光学素子の上で見落とされていた分子配向と
超格子構造の設計指針を与えるとともに、その具体的な
作製技術を用いた光電子素子を提供することを目的とす
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の要旨は次の通りである。光の出入射、電荷注入又は
電場・磁場による変調可能な媒体を備えてなる光電子素
子において、該媒体が2種類以上の化合物領域を接合し
た有機超格子構造を含むことを特徴とする光電子素子に
ある。特に前記有機超格子構造は、接合した化合物領域
のうちの少なくとも1つの接合部分において、その接合
部分の両側の化合物領域の基底エネルギ準位の大小関係
と特定励起エネルギ準位の大小関係が同方向であること
が望ましい。
【0024】また、特に前記有機超格子構造は、前記媒
体が3種類以上の化合物領域を接合したものであり、接
合した化合物領域のうちの少なくとも1つの接合部分に
おいて、その接合部分の両側の化合物領域の基底エネル
ギ準位の大小関係と特定励起エネルギ準位の大小関係が
同方向で、かつその接合部分に隣接する他方の接合部分
においては両側の化合物領域の基底エネルギ準位の大小
関係と特定励起エネルギ準位の大小関係が逆方向である
ことが望ましい。
【0025】また、特に前記有機超格子構造は、少なく
とも1つの接合部分において表面電荷移動が誘起されて
いることが望ましい。また、特に前記有機超格子構造
は、化合物領域の大きさが100nm以下であるこが望ま
しい。また、特に前記有機超格子構造は、少なくとも1
つの化合物領域に適当なドーパントが添加されているこ
とが望ましい。また、特に前記有機超格子構造は、電場
又は磁場が印加されていることが望ましい。
【0026】ここで言う化合物領域とは、少なくとも1
種類の化合物分子が線状、層状、塊状等の形態に凝集し
た複数の分子からなる分子集団を示す。また、係る化合
物領域の接合とは、少なくとも2種類以上の相異なる化
合物領域がその境界面の全体又は一部分を共有して凝集
することを示し、係る接合の部分とは、その境界面の共
有された箇所を示す。また、ここで言う基底エネルギ準
位とは、光の出入射、電荷注入又は電場・磁場による変
調が加わる以前の係る化合物領域の持ちうる電子のエネ
ルギ準位であって、実際にその電子により占有されたエ
ネルギ準位のうち最高のエネルギ値を示すエネルギ準位
を示す。また、特定励起エネルギ準位とは、光の出入
射、電荷注入又は電場・磁場による変調により係る化合
物領域が持ちうる電子のエネルギ準位であって、基底エ
ネルギ準位より高いエネルギ準位を示すエネルギ準位の
うち最小のエネルギ値を示すエネルギ準位から数えて特
定の順番のエネルギ準位のことである。
【0027】また、係る接合部分の両側の化合物領域の
基底エネルギ準位の大小関係と特定励起エネルギ準位の
大小関係が同方向であるとは、例えばその両側の化合物
領域を化合物領域1及び化合物領域2とすると、化合物
領域1の基底エネルギ準位は化合物領域2の基底エネル
ギ準位より大きくかつ化合物領域1の特定励起エネルギ
準位は化合物領域2の特定励起エネルギ準位より大きい
か、又は、化合物領域1の基底エネルギ準位と化合物領
域2の基底エネルギ準位より小さくかつ化合物領域1の
特定励起エネルギ準位は化合物領域2の特定励起エネル
ギ準位より小さいかのいずれか一方であることを示す。
ただし、基底エネルギ準位又は特定励起エネルギ準位が
同じ値を持つ場合も同方向であると定義する。
【0028】係る接合からなる有機超格子においては、
その基底状態においては各化合物領域内部に閉じ込めら
れている電子の波動関数が、その励起状態においてより
遠距離にわたり拡散することが可能であるために励起状
態において大きな電荷移動を生ずることが期待される。
例えば、化合物領域1から化合物領域2への励起状態に
おける電荷移動を生じる接合において、その界面付近に
のみ局在化された領域1から領域2の方向の分極が生じ
ることになるが、その分極は励起状態において発生する
ものであるために、ただちに脱励起によりその分極は消
失する。すなわち、界面に局在化された過渡的な巨大分
極を発生するために、大きな非線形光学効果と高速応答
性の両立が可能となることが期待される。
【0029】また、係る電荷移動を生ずる接合領域を囲
む周辺領域において、その内部領域のいずれにたいして
も周辺領域が係る電荷移動を生じない接合からなる場合
は、電荷移動により発生した分極が周辺領域に拡散する
ことができないため、電荷移動の放電が生ずることがな
い。このため、このような周辺領域を介しつつ、係る電
荷移動を生ずる接合を繰り返すことにより、界面におけ
る分極の保存と、方向を制御した高密度化が可能とな
る。本発明の有機超格子光電子素子を作製する場合に
は、種々のエピタキシャル成長可能なドライプロセスに
よる薄膜形成技術、例えば、MBE(Molecular BeamEp
itaxy) 法、ALE(Atomic Layer Epitaxy) 法、ML
E(Molecular LayerEpitaxy)法、MOALE(Metalor
ganic Atomic Layer Epitaxy)法、MOCVD(Metalor
ganic Chemical Vapor Deposition) 法等を用いること
ができる。
【0030】本発明の有機超格子を構成する化合物とし
ては、π電子共役系からなる分子、例えばベンゼン、ナ
フタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、フ
ェナントレン、ピレン、ペリレン等の芳香族化合物を中
心とした2次元共役系分子や、また例えばエチレン、プ
ロピレン、ブタジエン、アセチレン、ジアセチレン等の
1次元共役系分子又はそのポリマや、また例えばC6
0,C70等のフラーレン誘導体やカーボンナノチュー
ブ等の3次元共役系分子や、また例えばテトラチアフル
バレン、テトラシアノキノジメタン、キノリン、アクリ
ジン、ベンゾキノン、ナフトキノン等の複素環式共役系
分子や、また例えばポルフィリン、フタロシアニン、フ
ェロセン、等の有機金属化合物などを基本骨格とする有
機化合物や、係る有機化合物にニトロ基、シアノ基、カ
ルボン酸基、アルデヒド基、アセチル基、クロロ基、ブ
ロモ基、フルオロ基、メチルアミノ基、メチル基、メト
キシ基、ヒドロキシ基、アミノ基等の各種置換基を導入
した誘導体等を、一例としてあげることができる。
【0031】さらにまた、共存、混在することができる
他の材料としては、無機物質では例えばガラス、水晶、
ダイアモンド、二酸化珪素、雲母、大理石、方解石、単
結晶シリコン、非晶質シリコン、GaAs、CdS、K
DP、KTP、ニオブ酸リチウム、臭化カリウム、ロッ
シェル塩、硫酸銅、フッ化カルシウム、グラファイト、
二酸化錫、チタン酸バリウム、赤血塩、陶磁器、セラミ
ックス、ベントナイト、セメント等や金属又は合金を用
いることができる。
【0032】有機物質では例えば、ポリカーボネート、
ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、アクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、石油樹脂、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イソプレンゴム、エチ
レン−プロピレンゴム、ノルボネン樹脂、シアノアクリ
レート樹脂、スチレン樹脂及びこれらの樹脂の共重合
体、もしくは、セルロース、澱粉、キチン、寒天、絹
糸、綿糸、ナイロン糸、アルブミン、グロブリンその他
の蛋白質、木質、骨粉等が、低分子の有機物質としては
ナフタレン、アントラセン等の縮合芳香族化合物、染
料、顔料、尿素、酒石酸、光学活性アミノ酸等が挙げら
れる。
【0033】本発明の有機超格子光電子素子を用いた製
品の形成後に、外観、特性の向上や長寿命化のための処
理を行なってもよい。こうした後処理としては熱アニー
リング、放射線照射、電子線照射、光照射、電波照射、
磁力線照射、超音波照射等が挙げられるが、特に限定さ
れない。本発明の有機超格子光電子素子は、超格子構造
作製後にそのままもしくは適当なドーパント添加した塊
状、平板状、繊維状、粉末状、薄膜状に形成して用いる
ことができる。また、上記の形状において、異種材料あ
るいは本発明の構造の異なる他の材料と共存、混在させ
て用いることができる。特に、これらの具体的応用例と
しては、光導波路、光混合器、光位相分別器、光ケーブ
ル、光変調器、光偏向器、光選択波長板、位相共役鏡、
光スイッチ、光発光素子、レーザ、光−電子変換素子、
光−音波変換素子、圧電素子、光論理素子、光集積回
路、メモリ素子、表示素子等が挙げられる。
【0034】
【作用】本発明によれば、従来の製膜技術では困難であ
った数nm程度の膜厚の高結晶性ヘテロ超薄膜からなる光
電子素子を得ることができる。また、このような高品位
のヘテロ超薄膜からなる有機分子の超格子構造を形成す
ることにより、有機分子の持つ量子閉じ込め性とトンネ
ル効果を併用し、新しい超格子電子状態を実現できる。
また、係る有機分子の超格子構造中に安定化されるエキ
シトン、ポーラロン等の素励起子の特性を用いた新規の
有機超格子光電子素子を得ることができる。
【0035】
【実施例】次に、本発明に係る有機超格子光電子素子の
実施例について説明する。 実施例1 まず、どのような分子の組み合わせにより本発明の有機
超格子が作製されるのかを分子軌道法計算により見積も
った例を示す。本発明では、有機超格子を構成する分子
の基底エネルギ準位と第1励起エネルギ準位を比較する
必要がある。このためには、各構成分子のエネルギ準位
を分子軌道計算により理論的に予測するか、もしくは作
製された有機超格子中のエネルギ準位を光電子分光法に
より実験的に見積もることにより、そのエネルギ準位の
比較が可能となる。
【0036】最初に、一つのベンゼン分子(C6 6
に種々の置換基を導入することにより系統的に分子の基
底エネルギ準位を第1励起エネルギ準位に変化させるこ
とを検討した。図1はベンゼン分子にニトロ基(−NO
2 )、シアノ基(−CN)、カルボン酸基(−COO
H)、アルデヒド基(−CHO)、アセチル基(−CO
CH3 )、塩素(−Cl)、臭素(−Br)、フッ素
(−F)、ジメチルアミノ基(−N(CH3 2 )、メ
チル基(−CH3 )、メトキシ基(−OCH3 )、水酸
基(−OH)、アミノ基(−NH2 )を導入した時のエ
ネルギ準位を分子軌道法計算の1種であるMOPAC
(米国空軍アカデミー、ジェームズ・スチュワート作成
プログラム)により計算した一例を示す。
【0037】図中に示した矢印は最低励起を示し、矢印
の尾及び先の準位はそれぞれ基底エネルギ準位から第1
励起エネルギ準位を示す。矢印の間に書き加えた値は基
底エネルギ準位から第1励起エネルギ準位のエネルギ差
を示す。光が照射される以前は分子中の電子は基底エネ
ルギ以下の準位を占めているが、光照射により電子のエ
ネルギは第1励起以上に高められる。例えばこのうちニ
トロベンゼン(C6 6 −NO2 )とアニリン(C6
6 −NH2 )の2種類の分子を2層積層膜とした時の膜
構造とすると、これらの分子の基底エネルギ準位はそれ
ぞれ−10.31eV,−9.29eVでアニリンの方がニ
トロベンゼンより大きく、かつ第1励起エネルギ準位は
それぞれ−0.79eV,−0.23eVでアニリンの方が
ニトロベンゼンより大きい。
【0038】したがって、励起状態においてアニリン層
からニトロベンゼン層への界面における一時的な電子の
流れ込みが生じ、アニリン分子単独の場合より大きな空
間を電子が移動するためにより大きな電子分極を層の界
面近傍にのみ誘起することができる。かつ、分子間相互
作用が弱いためにそれぞれの分子軌道はほとんど混成す
ることなく、その一時的励起状態は速やかに失活する。
このような同じベンゼン骨格への置換基の組み合わせに
より、エネルギ準位の値は約1eVにわたり変化させるこ
とができるが、エネルギ差は0.5eV以内では同じであ
る。このため、この組み合わせでは1種類の分子を励起
させるともう1種類の分子も同時に励起させることがで
きる。
【0039】次に、基底エネルギ準位から第1励起エネ
ルギ準位のエネルギ差を系統的に変化させる指針を検討
した。図2には多環芳香族のベンゼン、ナフタレン、ア
ントラセン、テトラセン、フェナントレン、ピレンのエ
ネルギ準位を同様の計算手法で求めた結果を示す。ベン
ゼンから1次元的にベンゼン環を増やしていくと、基底
エネルギ準位は上昇し、第1励起エネルギ準位は低下
し、両者のエネルギ差は減少する。ベンゼン環を2次元
的に増やしていくと同様の変化を見せるが、同じベンゼ
ン環数の分子を比較すると変化度は1次元的分子より少
ない。このように異なる分子骨格を用いることで大きな
エネルギ準位の変化をつけることが可能である。かつ、
先の置換基による変化と組み合わせることで必要なエネ
ルギ準位を持つ超格子構造を作製することができる。
【0040】実施例2 次に、このような有機超格子の設計指針に基づき、具体
的な超格子構造を作製した例を示す。まず、作製した有
機超格子の構成について述べる。この有機超格子の構成
を模式的に示すと図3のようになる。有機超格子用の試
料としては真性p型有機半導体として知られている銅フ
タロシアニン(CuPc)(2)と電子受容性に富むナ
フタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)
(1)の2種類の有機化合物を、(100)面にて劈
開、研磨した単結晶塩化カリウム(KCl)基板(3)
上に第1層目をCuPc(2)、第2層目をNTCDA
(1)とし、以下CuPc(2)、NTCDA(1)、
CuPc(2)、NTCDA(1)・・・の順に交互積
層し、全部で11層交互積層した有機超格子(以下Cu
Pc/(NTCDA/CuPu)5 /KClと表記す
る。)を作製した。但し、有機超格子の素子構成として
はこの実施例に限定されるものではない。
【0041】次に、これら2種類の有機化合物がどのよ
うなエネルギ準位を持ち、これらの化合物の接合により
どのような有機超格子が実現されるのかを実施例1に示
した理論化学計算法による予測を行った例を示す。計算
手法には ab-initioCPHF法をもちいた。図4には両化合
物のエネルギ比較図を示した。両者の基底エネルギ準位
を比較するとNTCDA、CuPcそれぞれで−10.
467eV、−6.502eVとNTCDAよりCuPcの
方がエネルギ準位は大きい。これに対して、両者の第1
励起エネルギ準位を比較するとNTCDA、CuPcそ
れぞれで−2.693eV、−2.199eVとNTCDA
よりCuPcの方がエネルギ準位は大きい。すなわち、
両化合物の基底及び第1励起エネルギ準位の大小関係は
共にNTCDAよりCuPcの方が大きい。
【0042】次に、実験に用いた超格子作製方法、試
料、基板について述べる。有機超格子作製には分子線蒸
着法を用いた。分子線蒸着装置としては文献(財団法人
高分子素材センター編、「平成2年度次世代産業基盤技
術研究開発事業、新エネルギー・産業技術総合開発機構
委託、『非線形光電子材料の研究開発成果報告書』」、
524ページ、1992年)に示した装置を用いた。装
置は基板交換室、基板前処理室、成膜室、分析室の4チ
ャンバからなり、ベース圧力はそれぞれ10-8Torr、1
-10Torr 、10-10Torr 、10-10Torr 台である。
【0043】蒸着実験に使用した銅フタロシアニン及び
ナフタレンテトラカルボン酸二無水物は市販品(東京化
成製)をガラスチューブオーブン(柴田科学機器製)で
アスピレータ減圧下約280℃で加熱脱ガス処理を行
い、前者については吸着水分や揮発性不純物(フタロニ
トリルなどの未反応原料)を可能な限り除去し、後者に
ついては昇華精製した後用いた。基板は市販の塩化カリ
ウム単結晶基板(堀場製作所製、(100)面研磨、面
精度λ/2、平行度5分、30×30×3mm)を分子線
蒸着に使用し、これを紫外線照射クリーニングしたモリ
ブデン製の基板ホルダーに装着した。これを手早く有機
超格子製造装置の基板交換室にセットし、ターボモレキ
ュラポンプで1×10-8torr以下の圧力になるまで排気
し、超高真空に保持した状態で基板前処理室へ導入し
た。そこで、基板を400℃にて24時間保持し、表面
の水分や残存有機物を除去した。その後、基板を成長室
に導入し、蒸着に供した。
【0044】次に、銅フタロシアニン及びナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物の分子線蒸着条件について述べ
る。成長室・ベース圧力3.8×10-11 Torr、蒸着時
圧力7〜11×10-10 Torr(装置付属ヌードイオンゲ
ージによる値)の条件で約0.2〜0.3gの試料を装
填した溶融石英ガラス製Kセルを予め10-9 Torr 台で
脱ガスした後に、ターボモレキュラポンプによる差動排
気(圧力7〜9×10-9Torr) を行いながらタンタル製
ヒータで銅フタロシアニンは400℃に、ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物は200℃に加熱した。蒸着の
開始、終了は各Kセルの出口に設けられたシャッタの開
閉により行った。また、基板温度は−50℃に設定し
た。薄膜成長中は装置付属の水晶振動子式膜厚計で分子
線強度をモニターし、目標とする膜厚になった時点でシ
ャッタを閉じ、次の成分の蒸着を行った。また、必要に
応じて次に述べる分析評価を行った。
【0045】蒸着基板の清浄性評価及び薄膜形成を確認
評価するために分子線蒸着の前後にAES(Auger Elec
tron Spectroscopy)、XPS(X-ray Photoelectron Sp
ectroscopy) 測定を併せて行った。これらの測定はMB
E成長室に連接し、10-10Torr台の超高真空状態に保
持された分析室で行った。AES測定は、PHI社製E
SCA/AES255システム(同軸型電子銃、円筒型
ダブルパスタイプエネルギ・アナライザ装備)をAES
測定モードに設定して行い、一次電子加速電圧3kVの条
件で測定した。
【0046】また、XPS測定は、同じ装置をXPS測
定モードにし、MgKα線(1253.6eV)をX線源
に用いて行った。なお、試料は室温で測定し、サンプル
を保護するための加熱冷却などの温度制御は特に行わな
かった。このようにして得られたスペクトルは文献(C.
D. Wagner, et al., “Handbook of X-ray Photoelect
ron Spectroscopy”, Perkin-Elmer Co.(1979年)、及
びL. B. Davis et al., “Handbook of Auger Electron
Spectroscopy ”, Physical electronics industries,
Inc.(1976年))記載の標準スペクトルを参照して帰属
同定した。
【0047】断層透過電子顕微鏡(TEM)観察は日立
製透過型電子顕微鏡H7100FA(加速電圧100k
V)を用い、試料を−110℃に冷却しつつ行った。ま
ず、今回作製した有機超格子が設計通りの数分子オーダ
での交互積層膜となっているかどうかを、XPSにより
間接的に確認した。その結果を図5に示す。すなわち、
CuPc,NTCDAを構成する原子を見ると、炭素
(C)は両分子に共通して存在するが、銅(Cu)及び
窒素(N)はCuPcにのみ、また酸素(O)はNTC
DAにのみ含まれている。これら原子のXPSシグナル
の脱出深さは10Å前後であり、交互積層した直後のX
PS測定により下地層からのシグナルの有無を判定する
ことで層状成長したことが確認できる。
【0048】図5の(a)は第9層目蒸着直後であり、
最表層のCuPcに由来するCu2pl/2,Cu2p
3/2,Nls,Clsのシグナルが見出される。図5
(b)は第10層目蒸着直後であり、第9層目のCuP
cに由来するCu2pl/2,Cu2p3/2,Nls
のシグナルは消失し、NTCDAに由来するOls,C
lsのシグナルが見出される。図5の(c)はその上の
第11層目蒸着直後であり、今度は第10層目のNTC
DAに由来するOlsのシグナルが消失し、CuPcに
由来するCu2pl/2,Cu2p3/2,Nlsのシ
グナルが再び出現している。このことから、CuPc,
NTCDAが交互に数分子オーダの膜厚で交互積層され
ていることで確認できた。
【0049】次に、その有機超格子構造を断層透過電子
顕微鏡により観察した。図6にはその結晶構造写真を示
した。図の中でCuPcは暗い層として、NTCDAは
明るい層として映しだされており、積層順序は基板側よ
りCuPc,NTCDAと交互であり、及び総積層数は
11層と設計通りである。1層当たりの膜厚は平均15
Åである。以上の結果から、異なる分子骨格の銅フタロ
シアニン及びナフタレンテトラカルボン酸二無水物の各
層数+Å程度の有機超格子が作製された。
【0050】実施例3 次に、有機薄膜を光電子素子の一つである光高調波発生
素子として用いる場合の性能の指標の一つである3次非
線形光学特性を評価した結果を示す。ここに言う光3次
高調波発生素子とは光通信、光コンピュータ等で用いら
れるコヒーレントなマイクロ光源を与えるもので、特定
の波長を有するレーザ光が素子中に入射されると素子媒
体の非線形な分極が生じ、入出射の波長の三分の一の波
長の光が発生するため、波長変換素子として利用され
る。
【0051】図7にはその評価用の光学系を示した。Q
スイッチYAGレーザ系(Quanta-Ray社製、DCR−
3)(8)により1064nm, 532nmの2つの波長の
レーザ光が発生し、2つの光は色素レーザ系(Quanta-R
ay社製、PDL−2)(9)に導入され、その内532
nmのレーザ光は色素レーザの励起光源(使用色素Quanta
-Ray社製、LDS698)として用い、681nmの光を
発生させる。この681nmの光と1064nmの光は差周
波発生装置(Quanta-Ray社製、Infrared Wavelength Ex
tension System) (10)に導入され、1900nmの赤
外光に変換される。この1900nmの赤外光は2枚のミ
ラー(11,11′)と強度を調節するためのフィルタ
(12)と試料に集光するためのレンズ(13)を通し
て試料(14)に照射される。
【0052】試料には実施例2で作製したCuPc/
(NTCDA/CuPc)5 /KClを用い、比較試料
として分子線蒸着法で作製したCuPc/KClとNT
CDA/KClを用い、標準試料として溶融石英基板を
用いた。試料に対する1900nmの赤外光の入出角は回
転ステージ(15)により制御されている。試料を透過
した光のうち、1900nmの光はフィルタ(12′)で
除去され、さらにモノクロメータ(16)により試料部
で発生した第3高調波(633nm)のみが分離された光
電子増倍管(17)に到達し検出される。表1には測定
された第3高調波の強度を示した。この表に見られるよ
うに、超格子構造化することで単独膜に比べて4、5倍
の第3高調波発生が観測された。
【0053】
【表1】
【0054】実施例4 次に、有機超薄膜を光電子素子の一つである光−光スイ
ッチング素子として用いた場合の特性について述べる。
ここで言う光−光スイッチング素子とは光通信、光コン
ピュータ等で用いられるもので、情報を伝達するプロー
ブ光がスイッチング媒体を透過する際にゲート光により
透過率が制御されることで、高速光演算等が実現され
る。その効果の大小は用いられるスイッチング媒体の実
施例3に述べた3次非線形光学特性や吸収スペクトルの
経時変化等の物性により評価される。ここでは作製され
た有機超薄膜をスイッチング媒体に用い、ゲート光によ
りプローブ光透過率を制御した一例について述べる。
【0055】図8は光−光スイッチング素子の光学系で
ある。プローブ光には半導体レーザ(ピーク波長900
nm)(23)を用い、ゲート光にはナノ秒パルス色素レ
ーザ(波長700nm)(24)を用いた。プローブ光は
先ず偏光子(25)で特定の偏光成分のみに分割され、
ハーフミラー(26)を損失することなく透過し、レン
ズ(27)で集光して試料(28)に照射される。ゲー
ト光はハーフミラー(26)で反射され、プローブ光と
同軸上に合わされ、同じくレンズで集光して試料に照射
される。ここでは試料に実施例2で作製した有機超格子
CuPc/(NTCDA/CuPc)5 KClを用い
た。ゲート光が無いときはプローブ光は偏光方向を変化
することなく透過するが、ゲート光が導入されると3次
非線形光学効果により入射されたプローブ光とは直光す
る偏光成分が現れる。
【0056】試料を透過したプローブ光とゲート光はレ
ンズ(27′)で平行光に戻され、ハーフミラー(2
6′)でゲート光は反射されてダンパ(30)に到達
し、プローブ光はそのままハーフミラー(26′)を透
過して検光子(29)に到達する。検光子(29)では
試料部で発生した入射プローブ光と直交する成分のみが
透過し、光量計(31)にて検出される。表2にはゲー
ト光強度と検光子におけるプローブ光透過率との関係を
示した。このようにゲート光に対応して試料部における
プローブ光の透過率が変化し、スイッチング特性を示し
ていることがわかる。
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、有
機分子の超格子構造中に安定化されるエキシトン、ポー
ラロン等の素励起子の特性を用いた新規の有機超格子光
電子素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】置換ベンゼン系化合物のエネルギ準位検討図で
ある。
【図2】芳香族多環境系化合物のエネルギ準位検討図で
ある。
【図3】銅フタロシアニン及びナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物の有機超格子構成図である。
【図4】銅フタロシアニン及びナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物の有機超格子のエネルギ準位検討図であ
る。
【図5】銅フタロシアニン及びナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物の有機超格子の第9、第10、第11層目
積層直後のXPS測定図である。
【図6】銅フタロシアニン及びナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物の有機超格子の結晶構造を写した断層透過
電子顕微鏡写真である。
【図7】有機超格子の光第3高調波発生の強度測定系の
システム図である。
【図8】光−光スイッチング特性評価用光学系のシステ
ム図である。
【符号の説明】
1…ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCD
A)層、2…銅フタロシアニン(CuPc)層、3…塩
化カリウム(KCl)基板、8…QスイッチYAGレー
ザ系、9…色素レーザ系、10…差周波発生器、11,
11′…フィルタ、12,12′…ミラー、13…レン
ズ、14…試料、15…回転ステージ、16…モノクロ
メータ、17…光電子増倍管、18…高圧電源、19…
遅延回路器、20…ボックスカー積分器、21…GB−
IB、22…パーソナルコンピュータ、23…プローブ
光源、24…ゲート光源、25…偏光子、26,26′
…ハーフミラー、27,27′…レンズ、28…試料、
29…検光子、30…ダンパ、31…光量計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01L 31/10 (72)発明者 角田 敦 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の出入射、電荷注入又は電場・磁場に
    よる変調可能な媒体を備えてなる光電子素子において、
    該媒体が2種類以上の化合物領域を接合した有機超格子
    構造を含むことを特徴とする光電子素子。
  2. 【請求項2】 前記有機超格子構造は、接合した化合物
    領域のうちの少なくとも1つの接合部分において、その
    接合部分の両側の化合物領域の基底エネルギ準位の大小
    関係と特定励起エネルギ準位の大小関係が同方向である
    ことを特徴とする請求項1記載の光電子素子。
  3. 【請求項3】 前記有機超格子構造は、前記媒体が3種
    類以上の化合物領域を接合したものであり、接合した化
    合物領域のうちの少なくとも1つの接合部分において、
    その接合部分の両側の化合物領域の基底エネルギ準位の
    大小関係と特定励起エネルギ準位の大小関係が同方向
    で、かつその接合部分に隣接する他方の接合部分におい
    ては両側の化合物領域の基底エネルギ準位の大小関係と
    特定励起エネルギ準位の大小関係が逆方向であることを
    特徴とする請求項1記載の光電子素子。
  4. 【請求項4】 前記有機超格子構造は、少なくとも1つ
    の接合部分において表面電荷移動が誘起されていること
    を特徴とする請求項1、2又は3に記載の光電子素子。
  5. 【請求項5】 前記有機超格子構造は、化合物領域の大
    きさが100nm以下であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項記載の光電子素子。
  6. 【請求項6】 前記有機超格子構造は、少なくとも1つ
    の化合物領域に適当なドーパントが添加されていること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光電子
    素子。
  7. 【請求項7】 前記有機超格子構造は、電場又は磁場が
    印加されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1項記載の光電子素子。
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