JPH07109480A - 密封ころがり軸受用グリース組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】長寿命のグリ−ス組成物を提供すること。 【構成】トリメリット酸エステル油及び／又はポリオ−
ルエステル油からなる基油１００重量部に対し、トリア
ジントリウレア、アルキルジウレア及びアリ−ルジウレ
アから選ばれる１種又は２種以上の増ちょう剤５〜２０
重量部配合したグリ−ス組成物。 【効果】本発明の密封軸受用グリ−ス組成物は、油分離
量が少なく、潤滑性が優れるので、高温軸受寿命時間が
長い。また、常温下での振動特性もよいため、装置の始
動性も良好である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は密封ころがり軸受用のグ
リース組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】密封玉軸受はその長寿命化と定期点検間
隔の長期間化等が図られてきているが、突発的に故障す
るケースが多発している。密封玉軸受は通常、ベアリン
グメーカにてグリースを封入した状態のものを購入し、
これをユーザーが定期的に点検、交換をしている。そし
て、突発的に故障したベアリングを調査するとグリース
中の基油が約７０％位に低下し、硬化していることが見
出され、これが原因で異常摩耗を起こし、故障を発生さ
せると確認された。したがって、油分離量が少なく、潤
滑性のよいグリースの開発が望まれる。

【０００３】長寿命のグリース組成物を提供することを
目的として、特開昭６３−１５８９６号公報では、増ち
ょう剤としてトリウレアを、基油として水添α−オレフ
ィンオリゴマー等を使用したグリース組成物が提案され
ている。また、特開平３−２８２９９号公報には高温下
で長寿命を有し、低騒音特性に優れたグリース組成物と
して、アルキルジフェニルエーテル油とジウレア化合物
からなるウレアグリース組成物が提案されている。しか
しながら、製鉄所等で使用される大型機械のベアリング
等に使用されるグリースにあってはより寿命の長いもの
が要求されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は遠心油分離量
が少なく、潤滑性のよい、長寿命の密封ころがり軸受用
のグリース組成物を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、トリメリット
酸エステル油及び／又はポリオールエステル油からなる
基油１００重量部に対し、トリアジントリウレア、アル
キルジウレア及びアリールジウレアから選ばれる１種又
は２種以上の増ちょう剤５〜２０重量部配合したことを
特徴とするグリース組成物である。

【０００６】本発明において基油として使用するトリメ
リット酸エステル油は、トリメリット酸のトリアルキル
エステルであり、アルキルとしては炭素数４〜１８、好
ましくは８〜１４のアルキルである。具体的には、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ
サデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げ
られ、これらのアルキル基は直鎖でも、分岐鎖でもよ
く、またエステルにおいて３つとも同一であっても、異
なってもよい。

【０００７】本発明において基油として使用するポリオ
ールエステル油は、多価アルコール、例えばネオペンチ
ルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール等と、炭素数５〜１８の直鎖又は分岐脂肪酸と
をエステル化した構造を有するものである。

【０００８】本発明において使用する基油は、トリメリ
ット酸エステル油又ポリオールエステル油単独又はこれ
らの混合物からなるものである。なお、必要によりポリ
αオレフィン水素化物油等を基油に混合することもでき
る。

【０００９】本発明で増ちょう剤として使用するトリア
ジントリウレアは、好ましくは、下記の一般式化１で表
される化合物である。

【００１０】

【化１】Ｒ₁ −ＮＨＣＯＮＨ−Ｒ₂ −ＮＨＣＯＮＨ−Ｒ
₃ −ＮＨＣＯＮＨ−Ｒ₄ （式中、Ｒ₁ は炭素数１２〜２
４のアルキル基、Ｒ₂ は２価のトリアジン誘導体基であ
り、Ｒ₃ は炭素数６〜１５の２価の芳香族炭化水素基、
Ｒ₄ はアルキル基又はアリール基を示す。）

【００１１】トリアジン誘導体基としてはトリアジン環
の1 つの炭素にアルキル基、フェニル基、アミノ基、ア
ルキルアミノ基又はアミド基が置換したものなどが挙げ
られる。

【００１２】このトリアジントリウレアの製造方法等
は、前記特開昭６３−１５８９６号公報などに記載され
ている方法を採用することができる。

【００１３】本発明で増ちょう剤として使用するアルキ
ルジウレア又はアリールジウレアは、好ましくは、下記
の一般式化２で表される化合物である。

【００１４】

【化２】Ｒ₁ −ＮＨＣＯＮＨ−Ｒ₂ −ＮＨＣＯＮＨ−Ｒ
₃ （式中、アルキルジウレアのとき、Ｒ₁ 及びＲ₃ は炭
素数８〜１２の脂肪族炭化水素基を示し、Ｒ₂ は炭素数
６〜１５の２価の芳香族基を示す。また、アリールジウ
レアのとき、Ｒ₁ 及びＲ₃ は炭素数６〜１２の芳香族基
を示し、Ｒ₂ は炭素数６〜１５の２価の芳香族基を示
す。）

【００１５】本発明で増ちょう剤として使用するトリア
ジントリウレア、アルキルジウレア又はアリールジウレ
アは、それぞれ単独で使用しても、２種以上を混合して
使用してもよいが、特に好ましくは、トリアジントリウ
レアである。

【００１６】基油及び増ちょう剤の配合割合は、基油９
５〜７５重量％、増ちょう剤５〜２５重量％の範囲とす
ることがよく、ＮＬＧＩちょう度がＮｏ．１〜Ｎｏ．３
の範囲になるようにすることがよい。増ちょう剤が５重
量部以下では、増ちょう効果が少なく、２５重量部を越
えるとグリースが固くなり過ぎる。

【００１７】本発明の密封ころがり軸受用グリース組成
物には、通常配合される増粘剤、酸化防止剤、防錆剤、
極圧剤、耐摩耗剤のような添加剤を配合することができ
る。また、本発明の密封ころがり軸受用グリース組成物
は、前記密封ころがり軸受等の他に、各種ベアリング、
その他の潤滑部へも適用できる。

【００１８】

【実施例】

〔実施例１〜４〕表１に示す基油８６重量部、増ちょう
剤（２−オクタデシルウレイド−４，６−ジアミノ−
１，３，５−トリアジン、オクタデシルアミン、ｐ−ア
ニシジンとジフェニルメタン−４，４′−ジイソシアナ
ートとを反応させて得られるトリアジントリウレア）１
４重量部を配合してグリース組成物を製造した。このグ
リース組成物について、遠心離油度及び常温、高温軸受
寿命試験を行った。結果を表１に示す。なお、遠心離油
度は８８００Ｇ×５ｈｒ、４０℃にて測定した。この単
位は重量％である。また、軸受寿命試験はＡＳＴＭ Ｄ
１７４１のＢ法（回転数３５００／ｓｅｃ，荷重：ラジ
アル２５±５ｌｂ，スラスト４０±５ｌｂ，温度：常
温，１５０℃，使用軸受形式：密封形）により測定し
た。

【００１９】〔実施例５〜６〕増ちょう剤をアリールジ
ウレアとした他は、実施例１〜４と同様にグリース組成
物を製造し、同様な測定を行った。

【００２０】〔実施例７〜８〕増ちょう剤をアルキルジ
ウレアとした他は、実施例１〜４と同様にグリース組成
物を製造し、同様な測定を行った。

【００２１】〔比較例１〕基油を鉱油とした他は、実施
例１と同様にしてグリース組成物を製造し、同様な測定
を行った。

【００２２】〔比較例２〕市販の鉱油＋１２−ヒドロキ
システアリン酸リチウム石鹸グリース組成物（ＮＬＧＩ
ちょう度グレードＮｏ．２）について、実施例１と同様
な測定を行った。

【００２３】〔比較例３〕市販のエステル油＋１２−ヒ
ドロキシステアリン酸リチウム石鹸グリース組成物（Ｎ
ＬＧＩちょう度グレードＮｏ．２）について、実施例１
と同様な測定を行った。

【００２４】〔比較例４〕基油をポリαオレフィンとし
た他は、実施例１と同様にしてグリース組成物を製造
し、同様な測定を行った。

【００２５】

【表１】 注）ＴＯＴはトリメリット酸トリオクチル、ＴＤＴはト
リメリット酸トリドデシル、ＰＯはポリα−オレフィ
ン、ＭＯは鉱油、Ｅはエステル油

【００２６】表１から実施例１〜８と比較例１〜４を比
較すると、鉱油系グリース組成物よりエステル系グリー
ス組成物の方が長寿命であることが分かる。また、遠心
離油量が少ない方が高温寿命が長いことが分かる。しか
し、遠心離油量が少ないと常温下における振動特性が悪
くなることも分かる。考察の結果、遠心離油量が１．０
〜１．５重量％であることがよく、ポリオールエステル
とトリアジントリウレアの組み合わせが常温、高温特性
に優れていることが確認された。

【００２７】

【発明の効果】本発明の密封軸受用グリース組成物は、
油分離量が少なく、潤滑性が優れるので、高温軸受寿命
時間が長い。また、常温下での振動特性もよいため、装
置の始動性も良好である。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１０Ｎ 30:06 40:02 50:10 (72)発明者 四阿 佳昭 愛知県東海市東海町５−３ 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 小野 聡 愛知県東海市東海町５−３ 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 竹本 雅謙 千葉県富津市新富20−１ 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 小野山 益弘 愛知県名古屋市千種区向陽１−11−14 (72)発明者 加藤 和夫 東京都板橋区坂下１丁目34番22号 中央油 化株式会社内 (72)発明者 森 廣志 東京都板橋区坂下１丁目34番22号 中央油 化株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トリメリット酸エステル油及び／又はポリ
   オールエステル油からなる基油１００重量部に対し、ト
   リアジントリウレア、アルキルジウレア及びアリールジ
   ウレアから選ばれる１種又は２種以上の増ちょう剤５〜
   ２０重量部配合したことを特徴とするグリース組成物。