JPH07107528B2 - 電界効果型半導体センサ及びその製造方法 - Google Patents

電界効果型半導体センサ及びその製造方法

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JPH07107528B2
JPH07107528B2 JP61005583A JP558386A JPH07107528B2 JP H07107528 B2 JPH07107528 B2 JP H07107528B2 JP 61005583 A JP61005583 A JP 61005583A JP 558386 A JP558386 A JP 558386A JP H07107528 B2 JPH07107528 B2 JP H07107528B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電界効果型半導体センサ及びその製造方法に関
する。
〔従来の技術〕
近年、特定の化学物質に応答する化学センサの重要性が
認識されるようになってきている。このような化学セン
サとしては、従来、イオン選択性電極や酵素電極が知ら
れている。
イオン選択性電極はイオン感応膜の両端に発生した電位
によりイオン濃度を測定することを基本原理とするもの
である。このイオン選択性電極は、イオン感応膜、電解
液(内部液)、内部電極を具備した構造を有する。
しかし、イオン選択性電極では、一般に電極インピーダ
ンスが高く、小型化するほどこの傾向が大きくなる。ま
た、内部液及び内部電極を欠くことができないため、微
小化は極めて困難である。
また、酵素電極は高分子膜に固定化された酵素によって
起る特定の反応で消費されるか又は生成する物質を電気
化学的デバイスで測定して電気信号に変換することを基
本原理とするものである。上述した電気化学的デバイス
としては、O2、H2O2、CO2、NH3、H+、NH+等のガスやイ
オンにそれぞれ選択的に感応する電極が用いられる。つ
まり、酵素電極は、酵素固定化膜を有し、ガスセンサ又
はイオンセンサを内部電極とする構造を有している。
しかし、ガスセンサ、イオンセンサの多くは内部液、内
部電極を有しているため、やはり感度の面からも構造の
面からも小型化は非常に困難である。
こうしたことから、近年、電界効果型トランジスタ(以
下、FETと記す)を用いたイオンセンサであるISFETが注
目されている。FETは増幅機能を有する低出力インピー
ダンスデバイスであり、半導体製造技術を用いて製造す
ることができるため、小型化が容易であり、安価に大量
生産ができるという利点がある。
このISFETはBergveldによって初めて提案され(1970
年)、その後、松尾、Janata等により精力的に研究が行
なわれ、ゲート部表面にガラス膜やPVCのような高分子
膜を形成したイオンセンサあるいはゲート部表面の高分
子膜に酵素を固定化した酵素センサが提案されている。
そして、現在ではイオンセンサ、酵素センサのみなら
ず、広範囲に化学種のセンサとして応用されている。
第2図にISFETの断面図を示す。第2図において、シリ
コン基板1表面にはソース、ドレイン領域2、3が形成
され、更に基板1上には例えばSiO2膜4及びSi3N4膜5
等のゲート絶縁膜が形成されている。
ゲート絶縁膜としてはSiO2、Al2O3、Ta2O5、Si3N4等の
無機材料のうち1種類又は2種類以上を積層したものが
用いられる。一般的には第2図に示すSiO2−Si3N4の組
合わせ又はSiO2−Si3N4−Ta2O5の組合わせが採用される
ことが多い。これらのゲート絶縁膜は特にH+に感応する
ので、例えば第2図のISFETはそのままH+イオンセンサ
として使用することができ、約60mV/pHの感度を得るこ
とができる。
そして、H+以外のイオンセンサ又は酵素センサとして使
用するには、ゲート絶縁膜上に高分子膜からなるイオン
感応膜又は高分子膜に酵素を固定化した酵素固定化膜を
形成する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、ゲート絶縁膜上に高分子膜を形成する場合、
例えばディップ法が採用されている。このディップ法を
用いた場合、当初はネルンスト応答に近い応答を示し、
濃度と電位とが線形な関係を示して良好な性能を有す
る。しかし、時間が経過するとともに、膜がはがれる等
して性能が劣化してしまう。これは無機材料であるゲー
ト絶縁膜と有機材料である高分子膜との親和性が良好で
ないためである。
そこで、ゲート絶縁膜表面に例えばシランカップリング
剤を結合させて化学修飾し、高分子材料との親和性を向
上させる研究が行なわれている。すなわち、シランカッ
プリング剤はSiを中心原子とし、このSiに、CH3O−やC2
H5O−等のアルコキシ基3つと、末端にアミノ基、メル
カプト基、エポキシ基、ビニル基、プロペニル基等を有
するアルキル基、ポリエーテル等1つとが結合した構造
を有する。そして、前者のアルコキシ基は無機材料であ
るゲート絶縁膜の表面の−OH基、Si=O基、Si−O−Si
基等と反応し、一方後者のアミノ基等の官能基は有機材
料である高分子材料の末端官能基と反応するので、シラ
ンカップリング剤は無機材料及び有機材料の両方に親和
性を有する。
したがって、こうしたシランカップリング剤を用いれ
ば、多種多用な官能基を有する高分子材料と反応させる
ことができ、ゲート部に形成された高分子膜のはがれ等
を防止して、長期間にわたって良好な性能を維持できる
可能性がある。
しかし、シランカップリング剤を用いても高分子膜のは
がれ等を防止できる期間がそれほど長くならない場合が
あり、また反応性の高い官能基が存在せず、化学的に安
定な高分子材料に対しては上記のような効果を期待する
ことはできない。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであ
り、長期間にわたって高分子膜のはがれ等を防止するこ
とができ、良好な性能を維持することができる電界効果
型半導体センサ及びその製造方法を提供することを目的
とする。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
本発明の電界効果型半導体センサは、半導体基板表面に
形成されたソース、ドレイン領域と、前記半導体基板上
に形成されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に形
成され、特定の被測定物質のみに選択的に感応する高分
子膜とを有する電界効果型半導体センサにおいて、前記
ゲート絶縁膜と高分子膜との間に、末端に光活性基を有
するシランカップリング剤を配設し、前記高分子膜が、
前記光活性基に光を照射することにより生成される高活
性反応中間体に反応して硬化した高分子からなることを
特徴とするものである。
また、本発明の電界効果型半導体センサの製造方法は、
半導体基板表面に形成されたソース、ドレイン領域と、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、このゲ
ート絶縁膜上に形成され、特定の被測定物質のみに選択
的に感応する高分子膜とを有する電界効果型半導体セン
サの製造方法において、前記ゲート絶縁膜に、末端に光
活性基を有するシランカップリング剤を結合させる工程
と、このシランカップリング剤上に未硬化の高分子材料
を塗布する工程と、この未硬化の高分子材料を介して前
記シランカップリング剤の光活性基に光を照射すること
により高活性反応中間体を生成させ、さらにこの高活性
反応中間体と前記未硬化の高分子材料とを反応させるこ
とにより、硬化した高分子膜を形成する工程とを具備し
たことを特徴とするものである。
このような本発明の電界効果型半導体センサ及びその製
造方法によれば、シランカップリング剤の末端に導入さ
れている光活性基に光照射を行うことによって生じる中
間体は極めて反応性が高いので、従来よりもはるかに強
い結合を形成することができ、また化学的に安定な高分
子材料を用いた場合でも長期間にわたって高分子膜のは
がれを防止することができ、良好な性能を維持すること
ができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、まず第1図(a)に示すように、シ
リコン基板1表面にソース、ドレイン領域2、3を変更
し、更に例えばSiO2膜4及びSi3N4膜5を順次積層した
ゲート絶縁膜を形成する。次に、同図(b)に示すよう
に、ゲート絶縁膜(この場合、上層のSi3N4膜5)上
に、末端に光活性基を有するシランカップリング剤6を
結合させる。更に、同図(c)に示すように、未硬化の
高分子材料(バルクでもよいし、溶液でもよい)を塗布
した後、光活性基に光を照射することにより反応性の高
い中間体を生成させ、この中間体と高分子材料とを反応
させることにより、硬化した高分子膜7を形成する。
第1図(b)の工程で、ゲート絶縁膜に光活性基を有す
るシランカップリング剤6を結合させるには、通常の
シランカップリング剤をゲート絶縁膜に結合させた後、
その末端官能基を光活性基に変換するか、又は予め光
活性基が導入されたシランカップリング剤を使用する、
といういずれかの手段が用いられる。
また、導入される光活性基としては、アジド、ケテン、
ケトン、エーテル、ジアゾ基等を挙げることができる。
そして、上記、のいずれの場合でもシランカップリ
ング剤の末端に光活性基を導入するには、以下のような
(a)付加反応や脱離反応、又は(b)シランカップリ
ング剤末端の官能基と熱官能基及び光活性基を有する化
合物との反応が用いられる。
上記のようにして導入された、アジド(トリアゾ;−
N3)、ケテン(ケトケテン又はアルドケテン;C=C
=O)、ジアゾ基(C−N2)等は、第1図(c)の工
程で光の照射を受けることにより、それぞれ下記式に示
すような光化学反応に従い、窒素、一酸化炭素等の生成
を伴なってニトレン(−N:)やカルベン(C:)を生成
する。
上記のようにして生成したニトレンは高活性反応中間体
であり、通常の条件では非常に安定なメチル基の炭素−
水素(C−H)結合とさえ反応する。このニトレンと等
電子構造のカルベンも同様に高い活性を示すことが知ら
れている。
例えば、最も簡単なカルベンの1種であるメチレン(:C
H2)を例として説明すると、このメチレンは、二重結合
への付加反応、C−H結合への挿入反応のほか、下記式
で示すような水素の引き抜き反応をも起す。
:CH2+CH3CH3→・CH3+・CH2CH3 上記の引き抜き反応では、生成した2つのフリーラジカ
ルが結合してプロパンを生成する。
このような飽和炭化水素の水素の引き抜き及び2つのフ
リーラジカルの結合という一連の反応は、当然、ゲート
絶縁膜に結合されたシランカップリング剤6末端の光活
性基に光照射することにより生成した高活性反応中間体
と、塗布された高分子材料の主鎖のポリメチレン鎖や側
鎖との間でも生起する。したがって、下記式に示すよう
に、高分子材料に官能基が存在しなくても、ゲート絶縁
膜と高分子材料とをシランカップリング剤6を介して強
く結合させることができ、高度に架橋して硬化した高分
子膜7を形成することができる。
また、酵素センサを製造する場合には、更に通常の方法
を用いる高分子膜7に酵素を固定化すればよい。
用いられる高分子材料としては、イオンセンサの場合に
はポリ塩化ビニル(PVC)、エポキシ樹脂、シリコーン
樹脂等を、酵素、免疫、微生物センサの場合にはポリア
クリルアミド、アセチルセルロース等のセルロース系PV
C、アミノ化アクリロニトリル、ポリアクリル酸等を挙
げることができる。
なお、上記のような作用を有する光活性基としては、上
述した以外にも炭素−炭素二重結合(−C=C−、エ
ン)、炭素−酸素二重結合(C=O、ケトン又はアルデ
ヒド)等π電子を有する二重結合や、非結合性電子対を
有するエーテル結合(−C−O−C−)を含まれる。例
えば二重結合では、そのπ結合が光の作用によって解裂
し、下記式に従って反応中間体であるビラジカルが生成
する。
そして、二重結合の炭素やその近接原子に電子供与基や
電子吸引基を結合させることによって、光活性を高める
ことができる。また、ジフェニルケトン 等の増感剤を混合することによって、二重結合やエーテ
ル結合の光活性をより一層高めることができる。
更に、上記以外にフリーラジカルを生成する光反応とし
ては、下記のようなものが知られている。
RONO→RO・+・NO(Rはアルキル基) ROX→RO・+X・(Xはハロゲン原子) 以上説明したように、ゲート絶縁膜に、末端に光活性基
を有するシランカップリング剤を結合させ、未硬化の高
分子材料を塗布した後、光照射することにより硬化した
高分子膜を形成するという方法を用いて、従来よりもは
るかに強い結合を形成することができ、また化学的に安
定な高分子材料を用いた場合でも長期間にわたって膜の
はがれを防止することができ、化学センサとしての良好
な性能を維持することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例
においては、いずれもp型シリコン基板表面にn+型ソー
ス、ドレイン領域を形成し、更にシリコン基板上にSiO2
膜及びSi3N4膜を順次積層したゲート絶縁膜を形成した
ものを用いた。
実施例1 まず、Si3N4膜上にシランカップリング剤として3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン H2NCH2CH2CH2Si(OC2H5 を結合させてアミノ基を導入した。次に、この末端のア
ミノ基と2−アジド1−ヨード2−メチルプロパン ICH2C(CH3−N3 のヨードとを反応させることにより、アジドを導入し
た。つづいて、バリノマイシン及びアジピン酸ジオクチ
ル(DOA)を含むポリ塩化ビニル(PVC)のテトラヒドロ
フラン(THF)溶液を塗布した。次いで、高圧水銀灯に
より光照射を行ない、硬化した高分子膜を形成した。
実施例2 まず、Si3N4膜上にシランカップリング剤として3−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン HSCH2CH2CH2Si(OC2H5 を結合させてメルカプト基を導入した。次に、この末端
のメルカプト基と2−アジド2−ブテン とを反応させることにより、アジドを導入した。つづい
て、バリノマイシン及びフタル酸ジオクチル(DOP)を
溶解したシリコーン樹脂(KE 103RTV、信越シリコーン
社製)と架橋剤(Catalyst103)との混合物を塗布し
た。次いで、高圧水銀灯により光照射を行ない、硬化し
た高分子膜を形成した。
実施例3 まず、Si3N4膜上にシランカップリング剤として3−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン を結合させてエポキシ基を導入した。次に、この末端の
エポキシ基とアジ化ナトリウム(NaN3)とを水の存在下
で反応させることにより、エポキシ基をアジド化した。
つづいて、バリノマイシン及びアジピン酸ジオクチル
(DOA)を含むポリスチレンのトルエン溶液を塗布し
た。次いで、高圧水銀灯により光照射を行ない、硬化し
た高分子膜を形成した。
以上のようにして得られた実施例1〜3の化学センサを
使用したところ、長期間にわたって高分子膜のはがれを
防止して化学センサとしての性能を維持することがで
き、従来よりも寿命が大幅に向上することが確認され
た。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、長期間にわたっ
て、高分子膜のはがれを防止し良好な性能を維持するこ
とができる電界効果型半導体センサ及びその製造方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(c)は本発明の電界効果型半導体セン
サ及びその製造方法を説明するための断面図、第2図は
ISFETの基本構造を示す断面図である。 1……シリコン基板、2、3……ソース、ドレイン領
域、4……SiO2膜、5……Si3N4膜、6……末端に光活
性基を有するシランカップリング剤、7……高分子膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 伸之 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 高橋 福子 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−247151(JP,A) 特開 昭60−177256(JP,A) 特開 昭61−176845(JP,A) 特開 昭61−165656(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板表面に形成されたソース、ドレ
    イン領域と、前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁
    膜と、このゲート絶縁膜上に形成され、特定の被測定物
    質のみに選択的に感応する高分子膜とを有する電界効果
    型半導体センサにおいて、 前記ゲート絶縁膜と高分子膜との間に、末端に光活性基
    を有するシランカップリング剤を配設し、 前記高分子膜が、前記光活性基に光を照射することによ
    り生成される高活性反応中間体に反応して硬化した高分
    子からなることを特徴とする電界効果型半導体センサ。
  2. 【請求項2】前記光活性基がアジド、ケテン、ケトン、
    エーテル、ジアゾのいずれかの光活性基であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の電界効果型半導体
    センサ。
  3. 【請求項3】半導体基板表面に形成されたソース、ドレ
    イン領域と、前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁
    膜と、このゲート絶縁膜上に形成され、特定の被測定物
    質のみに選択的に感応する高分子膜とを有する電界効果
    型半導体センサの製造方法において、 前記ゲート絶縁膜に、末端に光活性基を有するシランカ
    ップリング剤を結合させる工程と、 このシランカップリング剤上に未硬化の高分子材料を塗
    布する工程と、 この未硬化の高分子材料を介して前記シランカップリン
    グ剤の光活性基に光を照射することにより高活性反応中
    間体を生成させ、この高活性反応中間体と前記未硬化の
    高分子材料とを反応させることにより、硬化した高分子
    膜を形成する工程とを具備したことを特徴とする電界効
    果型半導体センサの製造方法。
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KR100633655B1 (ko) 1999-12-22 2006-10-11 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 센서 소자 및 그 제조 방법
EP1729121A1 (de) * 2005-05-30 2006-12-06 Mettler-Toledo AG Elektrochemischer Sensor

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