JPH07106141B2 - 酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増進させるための培地および方法 - Google Patents

酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増進させるための培地および方法

Info

Publication number
JPH07106141B2
JPH07106141B2 JP61504703A JP50470386A JPH07106141B2 JP H07106141 B2 JPH07106141 B2 JP H07106141B2 JP 61504703 A JP61504703 A JP 61504703A JP 50470386 A JP50470386 A JP 50470386A JP H07106141 B2 JPH07106141 B2 JP H07106141B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
medium
yeast
glucose
concentration
hbsag
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP61504703A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63500494A (ja
Inventor
シー フィーシュコ,ジョン
Original Assignee
アムジエン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アムジエン filed Critical アムジエン
Publication of JPS63500494A publication Critical patent/JPS63500494A/ja
Publication of JPH07106141B2 publication Critical patent/JPH07106141B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/14Fungi; Culture media therefor
    • C12N1/16Yeasts; Culture media therefor
    • C12N1/18Baker's yeast; Brewer's yeast
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2730/00Reverse transcribing DNA viruses
    • C12N2730/00011Details
    • C12N2730/10011Hepadnaviridae
    • C12N2730/10111Orthohepadnavirus, e.g. hepatitis B virus
    • C12N2730/10122New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、一般に、B型肝炎表面抗原(HBsAg)を発現
する酵母菌株の増殖方法ならびに培地に関し、具体的に
は、比較的低温で、かつ遊離アミノ酸レベルが比較的に
高い、グルコースを抑えた好気性の条件にてHBsAgを発
現する酵母菌株の増殖方法ならびに培地に関する。
〔従来の技術および発明が解決しようとする問題点〕
B型肝炎ウイルスは、現在「B型肝炎」として知られる
疾患の原因となるものでありこの疾患は以前は『血清肝
炎』として知られていた。血液中にB型肝炎ウイルスを
持続的に保持している人は、2億人以上に及ぶものと推
定される。
このウイルスによる感染は、急性肝疾患の主な原因の一
つである。B型肝炎ウイルスの保有者は、肝硬変や肝細
胞癌にかかる危険性が高い。
ヒトB型肝炎ウイルスは、保有者の血清中に認められ、
かつ臨床的なB型肝炎感染の病因であるデーン粒子(Da
ne particle)と同一のものであるとみなされている。
デーン粒子は、42ナノメートルの膜組織であり、脂質、
DNA、および少なくとも4つのタンパク質、すなわちB
型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎核抗原(HBcAg)、
B型肝炎e抗原(HBeAg)およびDNAポリメラーゼを含
む。保有者の血清中にはさらに22ナノメートルの脂質粒
子が含まれており、この粒子はHBsAgを含むが、DNA、HB
cAg、HBeAgあるいはDNAポリメラーゼは含んでいない。
現在用いられているB型肝炎ワクチンは、ヒト血漿から
採取した22ナノメートルの粒子を使用している。
B型肝炎ワクチンの製造に用いるヒト血漿の抗原濃度
は、約400μg/mlである。全血清濃度は約60mg/である
ので、150倍の精製だけで済む。Wapler等、『現代のワ
クチンに対する考え方』(Moden Approaches to Vaccin
es)、Chanock等編集、Cold Spring Harbor Laborator
y,Cold Spring Harbor、New York,pp.251−256(198
4)。しかしながら、出発材料がヒト血漿である限り、
血漿から得られるB型肝炎ワクチンの供給には限りがあ
り、また感染性のウイルスを含めて全ての有害な汚染物
質がワクチンに含まれることがないように厳重に注意せ
ねばならない。
B型肝炎ワクチンを得る他の方法としては、培養した悪
性細胞、特に、肝癌細胞をB型肝炎ウイルスに感染させ
る方法がある。HBsAgは、溶解した肝癌細胞調製物から
採取する。Knowles等、国際特許出願第PCT/US81/00778
号。この方法は、ヒト血漿を必要としないが、ワクチン
に癌細胞生成物を使用することは好ましくないこと、感
染性を避けるために厳重な注意を必要とすること、ま
た、哺乳類の細胞培養に伴う困難から、この方法の有用
性には限りがある。
HBsAgの遺伝子を含む組換プラスミドで形質変換したサ
ルの腎細胞は、溶解または分泌によってHBsAgを遊離す
ることが報告されている。Levinson等、欧州特許出願第
73,656号。しかしながら、癌細胞の生成物の使用に伴う
問題を解消したことを除いて、サルの腎線維芽細胞から
のB型肝炎ワクチンの製造も、肝癌細胞からのB型肝炎
ワクチンの生産と同じ欠点がある。
従来のワクチン製造に伴う問題に鑑みて、B型肝炎ウイ
ルスの他の成分とは分離してHBsAgを調製する方法を得
ることが望ましい。組換法を用いて微生物中でHBsAgを
産生することにより、このような分離製造を実現するこ
とができる。
HBsAg産生に組換法を適用する一つの方法として、HBsAg
をコードする遺伝子を細菌プラスミドに挿入し、さらに
いくつかの大腸菌宿主生体中で増幅および発現させるこ
とが考えられる。Rutter等、欧州特許出願第020,251
号。しかし、この方法は、HBsAgが大腸菌内で容易に分
解するために収量が少ないこと、また大腸菌の増殖がHB
sAgによって阻害されることが報告されている。Miyanoh
ara等,欧州特許出願第105,049号。ある種の細菌細胞の
成分、例えば、リポ多糖類は、ヒトに対して強い毒性が
あり、かつ精製上の問題をもたらすことが報告されてお
り、さらに、原核生物(すなわち、核をもっていない生
物群に属するもの)である細菌は、真核生物(すなわ
ち、核を有する生物群に属するもの)の遺伝子の効果的
な翻訳が行えないことが報告されている。その理由は、
細菌がイントロンのスプライシングアウト、または前駆
体タンパク質のタンパク質分解性切断等の特定のプロセ
スを実施できないこと、細菌がタンパク質の免疫原性に
重要な翻訳後の修飾であるタンパク質のグリコシル化、
リン酸化またはメチル化を行わないこと、細菌が真核生
物中における遺伝子産物の分泌に重要ないわゆるシグナ
ルペプチドを認識しないこと、さらにコドン優位(すな
わち、それによってタンパク質のアミノ酸成分をコード
する特定の核酸配列が発現される能力)が原核生物と真
核生物とでは異なる可能性があることとされている。Ho
fschneider等、欧州特許出願第105,141号。
微生物中でHBsAgを発現する他の方法であり、かつ宿主
として大腸菌を用いることに対する反対理由の殆どを克
服できるのは、酵母発現系を用いた方法である。このよ
うな発現系は一般に、細菌と酵母の双方において複製を
行うことができる配列を有するプラスミドである、細菌
−酵母シャトルベクターを使用する。Rutter等、欧州特
許出願第072,318号、Hitzenman等、欧州特許出願第073,
657等、Cahezon等、欧州特許出願第106,828号、およびB
itter等、Gene,32,263−274(1984)。酵母は、真核生
物の遺伝子生成物の製造においていくつかの利点があ
る。
まず、酵母は、一般的に安全であると認識されている生
物である。また、酵母は、容易に大量に培養増殖させる
ことができる。大規模な酵母培養技術は十分に確立され
ている。
さらに、酵母細胞は真核生物であるので、グリコシン
化、リン酸化およびメチル化のプロセス機構を有する。
加えて、酵母細胞はHBsAgタンパク質に対する耐性が高
い。Rutter等、前出、Hitzeman等、前出。さらに、酵母
で産生されるHBsAgの免疫原性力は、乾乳類の細胞内で
産生された形態のものよりも低いのではないかという懸
念があるが(Hofchneider等、前出)、酵母から得られ
た粒子のED50(免疫応答を引き出すのに必要な有効量の
計量単位)は112mgであり、これは哺乳類細胞から得た
粒子のED50の98mgよりもわずかに高いだけである。Burn
ette等、『現代のワクチンに対する考え方』(Modern A
pproacheesto Vaccines)、Chanoch等編集、Cold Sprin
g Harbor Labratory,Cold Spring Harbor New York,245
−250(1984)。
酵母中でHBsAgポリペプチドを製造する際に重要な商業
上の考慮要素は、1グラム当たりの費用である。この費
用は、(1)酵母の増殖を促進し、(2)HBsAgポリペ
プチドの産生を促進するか、あるいは一旦産生されたHB
sAgポリペプチドの破壊を防ぐことによって、低減され
る。
酵母増殖法の一つでは、グルコース量を限定した条件下
にて培養を行い、それによって、グルコースを比較的に
低濃度に保持し、増殖速度が一定の値を超えるのを防
ぎ、かつ酸素を比較的に高濃度に維持する。このような
技術を用いることによって、エタノールの形成が最小限
に抑えられる。Fichter等、Advances in Microbial Phy
siology,22,123−183(1981)、Reed等、Yeast Technol
ogy,AVI Publishing Co.,Inc.,Westport,Connectacut
(1973),pp.53−81。例えば、コンピューターと結合さ
せたバイオリアクター内でのコンピューター制御による
パン酵母の生産においては、バッチ供給培地にグルコー
スを添加する速度の自動制御におけるフィードバックパ
ラメータとして、呼吸比RQ(産生された二酸化炭素モル
数/消費された酸素モル数)ならびにエタノール濃度を
用いることがある。Woehrer等、Biotechnol.Bioeng.,2
3,567−581(1981)。
組換遺伝子生成物の発現において用いられる酵母のタイ
プの一つに、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomy
ces cerevisiae)がある。例えば、Bitter等,Gene,32,2
63−274(1984)を参照されたい。
組換遺伝子生成物を発現する酵母の培養のための培地成
分には下記のものがある。Spizizenの最少培地中のグル
コース0.2%w/v〔Beggs,Nature,275,104−109(197
8)〕。HBsAg発現用のペプトン2%(w/v)およびグル
コース2%を有するYEPD、すなわち、酵母窒素基質6.7g
/、カザミノ酸5g/およびグルコース20g/〔Rutter
等、欧州特許出願第72,318号〕。HBsAg発現用の30℃のY
NB−ロイシン〔Hitzeman等、欧州特許出願第73,657
号〕。HBsAg発現用の酵母窒素基質0.67%、トリプトフ
ァンを含まないカザミノ酸0.5%およびグルコース2%
〔Valenzuela等,Nature,298,347−350(1982)〕。
HBsAg発現用のグルコース2%、酵母窒素基質アミノ酸
0.7%およびYPD2%(ポリペプトン2%、酵母エキス1
%およびグルコース2%%)、またはYPDのみ、もしく
は30℃のBurkHoldr最少培地〔Miyanohara等、欧州特許
出願第105,149号〕。キシルロースからエタノールを生
産するための大気温度(約24℃)の酵母エキス8.5g/
〔Gong等、米国特許第4,490,468号〕。HBsAg発現用の酵
母エキス1%、ペプトン2%、およびグルコース2%
〔Valenzuela等、Biotechnology,3,317−320(198
5)〕。ならびにグルコアミラーゼ発現用の酵母最少塩
培地にグルコース2%または加水分解したコーンスター
チ10%(平均ポリマーサイズが13から17グルコース分子
のもの)または連続的にグルコースを供給したもの〔In
nis等、Science,228,21−26(1985)〕。このような培
地は、酵母のバッチ増殖に使用され、一般的には細胞濃
度が低下し、そしてHBsAgの発現レベルが低下しがちで
ある。例えば、浸盪機フラスコ中のYMS培地で増殖させ
た細胞のHBsAgの収量は、通常は、僅か50〜200ng/0Dml
に過ぎない。
酵母中で外来ポリペプチドを発現するための望ましい培
地とならびに望ましい一連の培養条件を確定すべきであ
ると思われる。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、外来遺伝子生成物を発現することができる酵
母を培養するための培地を提供する。さらに、この培地
には、約20g/から約160g/の濃度の平衡遊離アミノ
酸が含まれる。
さらに、本発明は、外来遺伝子生成物を発現することが
できる酵母の増殖方法をも提供する。この方法におい
て、約20g/から約160g/の濃度の遊離アミノ酸を含
む平衡培地中に酵母が導入される。この酵母は、約25℃
の温度で培養される。
本発明による他の方法は、外来遺伝子生成物を発現する
ことができる酵母の発酵法を提供する。酵母は、約25℃
の温度で培養され、炭素源が零に近似する濃度に維持さ
れ、かつエタノールが蓄積しないよう栄養溶液が供給さ
れる。
S.cereivisiaeをグルコース中で高い細胞濃度にまで効
率よく増殖させるには、これまで2つの基本的な問題、
すなわち、(1)生物の増殖収量(酵母の乾燥重量量グ
ラム数/グルコースのグラム数)が低いこと、(2)文
献にしばしば報告されている30〜80g酵母乾燥重量/
の値よりも、到達する最大細胞濃度が一般に低いこと、
があった。
基質グルコースと、細胞生成物および二酸化炭素との間
の炭素収支を判断することを試みるべく、標準発酵操作
においてグルコースの形で発酵槽に加えられる全炭素を
測定する研究を行った。
〔実施例〕
実施例1 S.cerevisiaeの発酵によるB型肝炎表面抗原の製造に通
常に用いる『標準』操作を実施した。このような操作で
は、細胞を最初はグルコース5g/を含む増菌培値でバ
ッチ式に増殖させる。8時間にわたって増殖させた後
に、濃縮グルコース、カザミノ酸、酵母窒素基質および
ビタミンおよび無機質を用いて連続供給を開始した。そ
の後、供給量は8時間毎に連続的に増加させた。
標準操作(176−3と称する)においてバッチ培地は、
グルコース6g/、KH2PO2g/、(NH42PO42g/、カ
ザミノ酸2g/、酵母窒素基質2g/、MgSO42g/、チア
ミン(1%溶液)0.3ml/、微量金属溶液A〔FeCl3・6
H2O27g/、ZnCl2・4H2O2.0g/、CaCl2・6H2O2.0g/
、NaMoO4・2H2O20g/、CaCl2・2H2O1.0g/、CaSO4
・5H2O1.9g/、H3BO0.5g/、および濃塩酸100ml/〕
1ml/、ビタミン溶液A〔リボフラビン0.42g/、パン
トテン酸5.4g/、ナイアシン6.1g/、ピリドキシン1.
g/、ビオチン0.06g/、および葉酸0.04g/〕1ml/
を含む。標準操作での供給培地は、グルコース400g/
、KH2PO5g/、(NH42PO5g/、カザミノ酸100g/
、酵母窒素基質12g/、MgSO45g/、チアミン(1%
溶液)0.3ml/、微量金属溶液A1ml/、およびビタミ
ン溶液A1ml/を含む。
操作176−3において、質量分析器を用いて発酵層から
の排気ガスをの二酸化炭素と酸素についてモニターし、
これらの値を4時間ごとに記録した。このデータを第1
図にグラフで示す。これに加えて、4時間ごとに試料を
採取して遠心分離機にかけ、さらに後で分析を行うよう
に培養液の上清を凍結させた。
培養ブロスのグルコース分析によると、発酵過程の終
始、グルコースは限定されている。すなわち、その濃度
は100mg/を下回ることが示された。従って、グルコー
スと二酸化炭素および細胞との炭素収支を調べ、全ての
グルコースが計算されたかを確かめた。発酵の全経過時
間にわたる収支は、第1図生の二酸化炭素データをグラ
フを用いて積分することによって得た。この積分による
と、発酵過程において11.15モルの二酸化炭素が生成し
たことが分かった。発酵の終了時には、総計1630gのグ
ルコースが消費され、177gの酵母が生産されていた酵母
の炭素を50%と想定すると、その内訳は下記のようにな
る。
グルコース1630g→二酸化炭素491g+酵母177g または、炭素を基にすれば、 C652g→C134g+C88.5g 換言すると、652−(134+88.5)=429gの炭素、ないし
はグルコース66%が計算されていない。培養液上清のビ
ウレットタンパク質検定(Biuret protein assay)を行
ったところ、培養液上清には微量のタンパク質しか存在
しないことが判明したので、細胞外の分泌タンパク質は
炭素欠乏域として除外した。グルコースは、2つの経路
のいずれかで、酵母によって代謝されている。酸化経路
によるグルコースの完全酸化では、下記の反応(1): (1)C6H12O6→6CO2+6H2O+細胞 の際に大量のエネルギー(ATP16〜28モル/グルコース
1モル)が発生し、さらにRQ(呼吸比=生成した二酸化
炭素のモル数/消費された酸素のモル数)が1.0〜1.2で
あることが特徴である。一方、発酵経路を経る部分酸化
では、下記の反応(2): (2)C6H12O6→2C2H5OH+2CO2+細胞 に従って低いエネルギー収量(ATP2モル/グルコース1
モル)しか発生せず、RQ>>1.0である。
第1図のRQデータを見ると、RQの値が一貫して3.0を上
回っていることがわかる。従って、実質的な発酵代謝が
生じていたわけである。これはブロス中のエタノール濃
度を測定することによって検証した。操作176.3のエタ
ノール、グルコース、二酸化炭素、およびOD600の軌跡
を第2図に示す。発酵の終了時には、73g/のエタノー
ルが培養液中に蓄積し、これは総計381gの炭素に相当し
た。この値を下記の炭素収支(3): (3)グルコース→CO2+酵母+エタノール に適用すると、 C652g→C134g+C88.5g+C381g となり、炭素回収率は92%という結果となる。残りの炭
素欠損分は、ほとんど排気中へのエタノールの喪失また
は測定誤差によるものと考えられる。
酸化経路から発酵経路へのこの移行の効果は、さらに第
I表ならびに第3図に示すように、操作176−3の酵母
増殖データ(酵母乾量g/グルコース量g)にも見ること
ができる。前述の図においては、OD600(600nmにおける
光学密度)をAで示し、二酸化炭素のパーセンテージは
Bとし、グルコースの濃度(g/)はCとし、さらにエ
タノールの濃度(g/)はDで示した。
グルコースの酸化的代謝は、ATP16〜28モル/グルコー
ス1モルを提供するが、一方、発酵において後に優位と
なる発酵代謝は約1/10のエネルギー、すなわちATP2モル
/グルコース1モルしか提供しないので、経時的に増殖
収量の低下が予測される。
このように、呼吸比、増殖収量およびエタノール濃度の
データを調べると、S.cerevisiaeの供給バッチ増殖にお
けるグルコースからエタノールへの実質的な発酵代謝が
示唆される。この型の代謝の結果、グルコースからのエ
ネルギー収量が低く、よって酵母細胞の収量が低い。順
次産生されるエタノールは結果として、最大比増殖速度
の低下をひき起こす。エタノール合は、既知の酵母の非
競合的増殖阻害因子であり、下記の式(4)に従う。
(4)μmi=μ(Ki)/(i+Ki) 式中、μmiは、濃度iで阻害定数Kiを持つ増殖阻害因子
が存在する場合に生じる、低減した最大比増殖速度であ
る。S.cerevisiaeの増殖に影響を及ぼすエタノールのKi
値は、約25gエタノール/であると報告されている。
従って、エタノールが生成すればするほど、グルコース
の添加量を次第に増したとしても、最大比増殖速度はさ
らに減少する。酵母の最大比増殖速度は、グルコースの
添加速度よりも低いので、酵母細胞に唯一残された道
は、さらに多くのエタノールを産生することである。
酵母によるグルコースのエタノールへの部分酸化は、
(1)溶解酸素濃度が低い、(2)グルコースが過剰で
ある、または(3)比増殖速度が高すぎること、の三つ
の条件のいずれの下でも起こる。実施例1では、(1)
酸素は十分であり、(2)グルコース濃度は零に近似す
るよう維持する一方で、(3)細胞の最大比増殖速度を
大幅に上回る速度でグルコースを添加したので、細胞の
増殖速度はその最高値に維持された。この点に鑑み、実
施例2では、培養物の比増殖速度をより低レベルに維持
し、(1)より高いグルコースからの細胞の増殖収量、
および(2)阻害作用を示す濃度のエタノールが形成さ
れないことから、より高い最終細胞濃度が提供される実
験を説明する。
実施例2 培地組成および供給速度の一研究において、菌株SC RH2
18/pGPD−1のHBsAg発現細胞〔この構築については、Bi
tter等、Gene,32,263−274(1984)に記載されている〕
は、30℃、pH4.5にて、一つの操作(193−2と称する)
では、最少培地上で増殖され、他の操作(実施例1に記
載した176−3と称する操作)では、酸加水分解したカ
ザミノ酸を補った増菌培地上で増殖した。その結果を、
第4図に示す。図中、最少培地で増殖された細胞のOD
600のグラフをMで示し、また増菌培地(操作176−3に
て使用したもの)で増殖した細胞のOD600のグラフはR
で示す。
最少バッチ培地には、下記の成分が含まれる。グルコー
ス5g/、K2HPO45g/、(NH42SO42g/、1M MgSO41m
l/、1%チアミン溶液0.2ml/、微量金属溶液A1ml/
、ビタミン溶液A1ml/、イノシトール0.02g/およ
びDOW(登録商標)P2000(平均分子量約2000のポリプロ
ピレングリコール)の0.17g/。最少供給培地には、下
記の成分、すなわち、グルコース400g/、KH2PO25g/
、(NH42SO464g/、1M MgSO415ml/、1%チアミ
ン溶液0.5ml/、微量金属溶液A0.5ml/、ビタミン溶
液A0.5ml/、およびイノシトール0.05g/が含まれて
いた。
最少培地での増殖では、細胞濃度OD=24(細胞乾燥重量
26g/)が得られた。24時間経過後に、発酵槽へのグル
コースの添加を止めた。24から32時間経過するまでの間
に、エタノールの濃度は14から9g/まで減少したが、
細胞濃度は増加しなかった。このように、最少培地上で
増殖させた細胞は、第5図からわかるように、培地内に
蓄積したエタノールを細胞の生合成に有効に利用しなか
った。
この菌株は、ディオ−キシック、すなわち、YMS中のグ
ルコースおよびエタノールで二相の増殖を呈するので、
振盪機フラスコ実験を行い、酸加水分解したカザミノ酸
を少量補って培地にて産生されたエタノールの下で増殖
能によって、細胞が高い細胞濃度にまで増殖するかどう
かを調べた。YMS培地は、アミノ酸を含有しない酵母窒
素基質(Difco社、デトロイト、ミシガン州)6.7g/、
カザミノ酸5g/(BBL、BBL Microbiology Systems、Be
cton Dickinson and Co.,コキッイスビル、メリーラン
ド州)、およびグルコース20g/を含んでいる。最少培
地〔100mM(PO4-2,NH4Cl1g/、NaCl0.5g/、0.002M
MgSO4、0.0002M CaCl2およびグルコース5g/〕にカザ
ミノ酸3g/を加えたものを、複数の同一フラスコに入
れて行ったこの実験の結果を第6図に示す。第6図に示
すように、カザミノ酸を培地に加えた場合には、エタノ
ールを用いた増殖の速度がずっと高まる。
温度30℃、pH4.5において、バッチ増殖培地中の濃度5g/
ないしは10g/のカザミノ酸を加えて増殖させた場合
の、時間経過に伴う細胞濃度の変化を第7図に示す。第
7図において、バッチ培地にカザミノ酸10g/を含み、
かつ供給培地にカザミノ酸20g/を含む場合の操作(21
1−6と称する)の結果をHで示し、バッチ培地にカザ
ミノ酸5g/を含み、かつ供給培地にカザミノ酸10g/
を含む場合の操作(211−5と称する)の結果のグラフ
をLで示す。操作211−5と211−6のエタノール濃度
は、エタノール2g/を超えることは無かったが、増菌
培地を用いた操作176−3のエタノール濃度は、発酵の
終了時にエタノール70g/を上回った。操作176−3の
時間経過に伴う細胞濃度のプロットを、第7図に線Nで
示してある。
操作211−5のバッチ培地は、グルコース2g/、カザミ
ノ酸5g/、KH2PO45g/、(NH42SO42g/、1M MgSO4
1ml/、1%チアミン0.2ml/、微量金属溶液A1ml/
、ビタミン溶液A1ml/、およびDow(登録商標)P200
0 0.117ml/を含んでいる。操作211−5の供給培地
は、グルコース275g/、カザミノ酸10g/、KH2PO425g
/、(NH42SO450g/、1M MgSO415ml/、1%チア
ミン1ml/、微量金属溶液A2.5ml/およびビタミン溶
液A2.5ml/を含んでいる。操作211−6のバッチ培地
は、グルコース2g/、カザミノ酸10g/、KH2PO45g/
、(NH42SO42g/、1M MgSO41ml/、1%チアミン
0.2ml/、微量金属溶液A1ml/、ビタミン溶液A1ml/
、およびDow(登録商標)P2000 0.17ml/を含んでい
る。操作211−6の供給培地は、グルコース275g/、カ
ザミノ酸20g/、KH2PO425g/、(NH42SO450g/、1
M MgSO415ml/、1%チアミン1ml/、微量金属溶液A
2.5ml/およびビタミン溶液A2.5ml/を含んでいる。
エタノールの毒性蓄積を避けるために、生物の比増殖速
度を一定レベル未満に保持しなければならない。前述の
ように、操作176−3では、エタノールの蓄積が70g/
を超えたために、(1)増殖収量が大幅に低下し(0.12
g細胞乾燥重量/グルコール1gまで)、さらに、(2)
増殖速度および最終細胞濃度が(16g細胞乾燥重量/
まで)阻害された。しかし、操作211−6では、増殖速
度はグルコースの添加速度によって慎重に制御され、さ
らに培地中にエタナールが蓄積しなかったので、(1)
0.34g細胞乾燥重量/グルコース1gまで増殖収量が増加
し、さらに、(2)細胞濃度が(68.2g細胞乾燥重量/
まで)増加した。
操作211−5および211−6では、エタノールの蓄積を避
けるために、グルコースを非常にゆっくりとした速度で
発酵槽に供給した。発酵槽の生産性を高めるには、エタ
ノールの蓄積が始まる寸前まで供給速度を高めることが
望ましい。これは、エタノールおよび呼吸比(RQ)をモ
ニターすることによって、経験的に達成することができ
る。代替方法としては、Woehrer等,Biotechnol.Bioen
g.,23,567−581(1981)に開示されているように、RQに
対するグルコース添加量のコンピューター接続制御を用
いることができる。
実施例3では、Bitter等,Gene,32,263−274(1984)に
記載されたように、プラスミドpGPD−1を含有するS.ce
revisiae(RH 218)菌株SC RH218/pGPD−1が、200g乾
燥重量/の細胞濃度まで〔Spectronic20(Bausche &
Lombo社、ロチェスター、ニューヨーク州)またはベッ
クマン分光光度計(Beckman spectrophotometer)で測
定してそれぞれ190および460のOD600に等しい〕の増
殖、および高レベルのカザミノ酸が存在する場合に1.8m
g HBsAg/乾燥重量細胞1g(600ng HBsAg/OD−mlに等し
い)の発現レベルを示した事例について述べる。
実施例3 実施例2のカザミノ酸を用いた操作の双方において、t
=40時間とt=50時間に、培地のマグネシウムが欠乏し
て増殖しなくなる『不感時間』があった。MgSO4を追加
するまで培養物は増殖しなかった。マグネシウムの欠乏
が起きたのは、この培地のグルコースの使用効率のもっ
と低く計画していた、すなわち、増殖収量を0.15g細胞
乾燥重量/グルコース1gとしていたためである。培地が
平行し、かつ実際の増殖収量がもっと大きくなった時、
すなわち0.34g細胞乾燥重量/グルコース1gとなった時
には、他の栄養素が増殖の限定要因となった。新しい増
殖収量を考慮した新しい培地は、この意図しない栄養素
の消耗を避けるためのものである。バッチ培地の組成を
第II表に示す。
pHを4.5に保つために、必要に応じてNH4OH〔NH3として3
0%w/w〕およびH3PO4(85%w/w)を添加した。
グルコース、イノシトールおよびMgSO4を清浄水中で混
ぜ合わせ、液量を200mlに調節し、オートクレープに入
れて121℃に約20分間保った。次に、発酵槽に入れた約
7.0の清浄水に、微量金属溶液A、1%チアミン溶液
およびビタミン溶液Aを無菌的に加えて、溶液Iaを調製
し、さらにカザミノ酸、KH2PO4、(NH42SO4および泡
消剤を加える。まず発酵槽を殺菌し、それから約30℃ま
で冷却する。次に溶液Iaを発酵槽に加える。供給培地の
組成を第III表に示す。
グルコース、イノシトールおよびMgSO4を、最大4ま
での清浄水中で混ぜ合わせて溶液Ibを調製し、さらにオ
ートクレーブに入れて約121℃に約30分間保つ。カザミ
ノ酸、KH2PO4および(NH42SO4を最大2までの清浄
水中で混合して溶液II bを調製し、これをオートクレー
プに入れて約121℃に約30分間保つ。溶液IbおよびII b
を室温まで冷却し、それから無菌的に混合する。次に、
チアミン溶液、微量金属溶液Aおよびビタミン溶液A
と、溶液IbとII bの混合液に加える。
この新しい培地を用いて、実施例2のグルコース供給状
態の下で、SC RH218/pGPD−1を高い細胞濃度まで増殖
させた。
この培地を用いて行った226−4と称する操作におい
て、段階的な供給スケジュールおよび攪拌、通気ならび
に背圧を制御(発酵ブロスへの十分な酸素移送を行う)
した結果、細胞濃度は600nmにおいてスペクトロニック2
0分光光度計(Spectronic 20 spectrophotometer)で測
定したところ190を超えていた。第8図に、操作226−4
(30℃、pH4.5)の細胞濃度をA(OD600)として、ブロ
ス(X10)1当たりのmg数で示したHBsAgの濃度をBと
して、さらに比HBsAg濃度(Abbott Labs社のRIA Ausri
a、単位ng/OD−ml、600ng HBsAg/OD−ml=1.8mg HBsAg/
乾燥重量細胞1gである)をCとして示す。
操作226−4のバッチ培地は、グルコース2g/、カザミ
ノ酸5g/、KH2PO413.2g/、(NH42SO410g/、1M M
gSO48ml/、1%チアミン0.4ml/、微量金属溶液A3ml
/、ビタミン溶液A3ml/、およびイノシトール0.02g/
を含んでいる。操作226−4の供給培地は、グルコー
ス528.5g/、KH2PO42.86g/、(NH42SO40.50g/、
1M MgSO415ml/、1%チアミン1.43ml/、微量金属溶
液A7.14ml/、ビタミン溶液A7.14ml/、およびイノシ
トール0.03g/を含んでいる。
第8図において、HBsAg濃度は、発酵を開始してから約7
0時間で33mg HBsAg/のピークに達する(OD 120)。こ
の点に達した後は細胞濃度はさらにODが約190まで上昇
するにもかかわらず、HBsAg濃度は発酵が終了するまで
急激かつ連続的に低下する。
ウェスタンブロット(Western blot)によって、この時
間間隔に抗原タンパク質の単位あたり量が低減すること
が確認され、従って、RIA HBsAg粒子濃度の低減は、少
なくとも部分的にはタンパク成分の低減によるものと考
えることができる。しかしながら、抗原タンパク質がタ
ンパク分解を受けるか、ないしは単に抗原タンパク質が
細胞によって合成されておらず、発酵の早期に産生され
たものが抗原タンパク質をわずか、あるいは全く持たな
い細胞の増殖によって希釈されているかは、明らかでは
ない。
タンパク分解は、ゆっくりと増殖している細胞、あるい
は固定相にある細胞、あるいは最少培地で増殖する細
胞、あるいは最適温度を上回る温度で増殖する細胞にお
いては一般に最高に達する。操作226−4の細胞は、ほ
んのわずかのカザミノ酸を補った最少培地で増殖させた
ために、最初のアプローチは、増殖培地のカザミノ酸を
増やすことであった。実施例2の操作211−5における
バッチ培地および供給培地は、カザミノ酸5g/、10g/
を、それぞれ開始後の約38時間後と54時間後に注入し
たことを除くと、226−4で用いた培地と類似してい
る。
第9図においてはOD600をAとして示した。図に示すよ
うに、216−6と命名した操作においてカザミノ酸を添
加したことによって、HBsAgを55から75時間後にわたっ
て『安定』させるのに役立った〔標識Bの(mg HBsAg/
)×10のプラトー(平らな部分)に注意〕だけではな
く、抗原の単位当たり量(ng/OD−mlを単位とする)
〔標識C〕が38時間後と55時間後に劇的に増加した。カ
ザミノ酸によってHBsAgのタンパク分解喪失が低下した
のか、HBsAgの産生を刺激したのかは別として、最終的
にはHBsAg量は増加した。
操作211−6のバッチ培地は、グルコース2g/、カザミ
ノ酸5g/、KH2PO413.2g/、(NH42SO410g/、1M M
gSO44ml/、1%チアミン0.4ml/、微量金属溶液A1ml
/、ビタミン溶液A1ml/、フィルター滅菌イノシトー
ル0.04g/およびDow(登録商標)P2000 0.2ml/を含
んでいる。操作216−6の供給培地は、グルコース528.5
7g/、KH2PO41.86g/、(NH42SO450g/、1M MgSO4
15ml/、1%チアミン1.43ml/、微量金属溶液A2.86m
l/およびビタミン溶液A2.86ml/を含んでいる。
HBsAg低減の原因として考えられるものは、プラスミド
喪失ないしは発酵槽での培養物の変異であった。この仮
説を試験するために、発酵中に4時間から8時間ごとに
試料を採取し、非選択性YPG培地〔酵母エキス(BBL、コ
ッキィスビル、メリーランド州から入手)10g/、バク
トトリプトン(bactotryptone)(コッキィスビル、メ
リーランド州から入手)20g/、およびグルコース20g/
〕で平板培養し、それから選択性YMS培地で平板培養
を再び行った。発酵の試料採取を行った各時点におい
て、プラスミドの安定性は90%を上回った。次に、HBsA
gが低減している発酵の後期の一時点からランダムに20
個のコロニーを取り出した。次に、こけらのコロニーを
20個のフラスコに用意したYMS培地に植えつけ、回転振
盪機にかけて48時間にわたって増殖させた。すべてのフ
ラスコ内の培養物は、発現レベル100〜200ngHBsAg/OD−
mlでHBsAgを産生した。従って、培養の不安定性は、HBs
Ag低減の原因ではないことが確認された。
カザミノ酸のショット添加によってHBsAgのレベルが増
加したことから、操作248−4と称する次の発酵操作で
は、バッチ培地および供給培地のカザミノ酸のレベル増
加をそれぞれ増加させた〔(バッチ培地:操作211−6
および操作176−3の5g/に対して20g/とする)(供
給培地:操作211−6および操作176−3の0g/に対し
て100g/とする)〕。第10図に、操作248−4の30℃、
pH4.5におけるOD600のプロファイルをプロットAとし
て、mg HBsAg/のプロファイルをプロットBとして、
そして、ng HBsAg/OD−mlのプロファイルをプロットC
とし示す。HBsAgの発現レベルは、発酵過程を通じて約2
00ng HBsAg/OD−mlに一定に保たれていることがわか
る。操作248−4では、HBsAg産生の安定性が向上するこ
とが望まれた。しかし、200ng HBsAg/OD−mlの発現レベ
ルは、操作211−6よりも2〜3倍低かった。
操作248−4のバッチ培地は、グルコース2g/、カザミ
ノ酸25.25g/、KH2PO413.5g/、(NH42SO43.75g/
、1M MgSO44mla/、1%チアミン0.4ml/、微量金
属溶液A3ml/、ビタミン溶液A3ml/、イノシトール0.
02g/およびDow(登録商標)P2000 0.13ml/を含んで
いる。操作248−4の供給培地は、グルコース532.5g/
、カザミノ酸209.25g/、KH2PO42.85g/、(NH42
SO45g/、1M MgSO415mla/、微量金属溶液A6.75ml/
およびビタミン溶液A6.75ml/、イノシトール0.02g/
およびDow(登録商標)P2000 0.13ml/を含んでいる。
実施例3では、カザミノ酸の拍動性および連続性の供給
はいずれも、HBsAg粒子の形成を安定させるのに役立っ
た。ただし、連続供給における安定化は明らかに発現レ
ベルの低減を招いた。タンパク分解酵素の作用を最小限
に抑えるために、実施例4では低温増殖を用いた。
実施例4 262−4と命名した操作では、カザミノ酸(約25g/)
を加えた増菌培地で菌株SC RH218/pGPD−1を増殖し、
さらにバッチカザミノ酸(約110g/)を加えた増菌培
地を供給した。(バッチ培地および供給培地は、その他
の点については操作248−4のものと同様である。)こ
の操作温度は、発酵開始から28時間後に、通常に用いる
30℃(pH4.5)から25℃に低下させた。この操作の結果
を第IV表に示し、かつ第11図のグラフにおいて、OD600
のプロットをAで示し、(mg/)×10のプロットをB
で示し、さらにng/OD−mlのプロットをCで示す。
発現レベルは、t=70時間に489ng/OD−mlのピークに達
した。これは、OD単位96の場合には、当たりHBsAgが4
6.9mgとなる。ほぼt=63時間において、供給培地は枯
渇した。しかし、発現レベルと全HBsAg量は双方とも、
この時点から70時までは上昇を続け、70時に至るとHBsA
gの量は、増殖停止後に誘導されたタンパク分解酵素の
作用によるものと思われるが、急激に低減した。
262−5と称する操作で用いた培地は、わずかに5g/の
CAAを最初のバッチ培地に加えただけの最少培地に近い
ものであった。供給培地においては、硫酸アンモニウム
が唯一の窒素源であった。
操作262−5のバッチ培地は、グルコース2g/、カザミ
ノ酸5g/、KH2PO413.5g/、(NH42SO410g/、1M M
gSO44mla/、1%チアミン0.4ml/、微量金属溶液A3m
l/、ビタミン溶液A3ml/、イノシトール0.02g/お
よびDow(登録商標)P2000 0.13ml/を含んでいる。操
作262−5の供給培地は、グルコース532.5g/、KH2PO4
2.85g/、(NH42SO450g/、1M MgSO415mla/、1
%チアミン1.43ml/、微量金属溶液A6.75ml/、ビタ
ミン溶液A6.75ml/、イノシトール0.04g/を含んでい
る。操作262−4と同様に、温度はt=28時間におい
て、30℃から25℃へ低下させた。
操作262−5(pH4.5)の結果を第V表および第12図に示
す。図中、OD600のプロットをAで示し、(mg/)×10
のプロットをBで示し、ng/OD−mlのプロットをCで示
し、さらに(エタノールのg/)×10のプロットをDで
示した。温度を30℃から25℃に下げた後、発現レベルは
増加し、発酵が終了するまで増加を約めた。さらに全HB
sAg量も発酵が終了するまで増加を続け、最大61.7mg HB
sAg/に達した。
260−4と命名した操作(pH4.5)では、操作248−4で
用いたものとほぼ同じ増菌培地および供給培地を用いた
が、開始時点から低温25℃を用いた。操作260−4の結
果を第VI表及び第13図に示した。OD600のプロットはA
で示し、(mg/)×10のプロットはBで示し、さらにn
g/OD−mlのプロットはCで示した。
第11図および第12図に、時間の経過を示した。しかし、
予測しなかったHBsAgのわずかな低減が生じ、68.5時間
後の54.7mg/から72.5時間後の53.8mg/まで低減し
た。
このように、25℃の低温は、おそらくタンパク分解酵素
の濃度ないしな活性を低減することによって、HBsAgの
生産を安定させるように見える。カザミノ酸を加えた増
菌培地(61.7mg/)と増菌しなかった培地(63.6mg/
)の双方において、温度を低下させることによって60
mg/を上回るHBsAgレベルが得られた。ワクチン20μg
のHBsAg/投与量では、これらの数字は発酵ブロスが3000
投与量/を超えることを示す。
このように、本発明を望ましい実施態様によって説明し
たが、当業者からすれば、その態様の変更ならびに改良
が可能であると考えられる。従って、本発明は特許請求
の範囲の欄に示す限定のみ付加されるべきである。
図面の簡単な説明 第1図は、HBsAgを発現する酵母の発酵のための標準的
な発酵操作のための条件を示すグラフである。
第2図は、第1図に示した条件におけるエタノール濃
度、グルコース濃度およびOD600を示すグラフである。
第3図は、第1図に示した条件における増殖収量データ
を示すグラフである。
第4図は、最少培地および増菌培地を用いた細胞増殖に
おけるOD600のグラフである。
第5図は、時間に対する細胞およびエタノール濃度のグ
ラフである。
第6図は、カザミノ酸添加および無添加の場合のエタノ
ール中での酵母菌株の増殖を示すグラフである。
第7図は、カザミノ酸の濃度が異なる場合の、時間に対
する細胞濃度を示したグラフである。
第8図は、カザミノ酸を補給した培地を用いた操作条件
における増殖曲線を示すグラフである。
第9図は、カザミノ酸を補給した培地を用いた他の操作
条件における増殖曲線を示すグラフである。
第10図は、本発明の培地を用いた操作条件における増殖
曲線を示すグラフである。
第11図は、本発明に従って低温で行われた操作条件にお
ける増殖曲線を示すグラフである。
第12図は、最少培地を用い、かつ本発明に従って低温で
行われた操作条件を示すグラフである。
第13図は、本発明の培地を用い、かつ本発明に従って低
温で行われた操作条件を示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酵母細胞から外来遺伝子生成物を発現させ
    るための培地であって、前記培地が20〜160g/の濃度
    のカザミノ酸を含むことを特徴とする、酵母細胞から外
    来遺伝子生成物を発現させるための培地。
  2. 【請求項2】前記カザミノ酸の濃度が、100g/である
    特許請求の範囲第1項に記載の培地。
  3. 【請求項3】酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増
    進させるための方法であって、下記工程、すなわち; 25℃の温度下で、20〜160g/の濃度のカザミノ酸を含
    む培地にて酵母を培養する、 工程を含むことを特徴とする酵母細胞から外来遺伝子生
    成物の発現を増進させるための方法。
  4. 【請求項4】酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増
    進させるための方法であって、下記工程、すなわち; 炭素源濃度とエタノール濃度を共に可能な限り零に近づ
    け、かつカザミノ酸の濃度を20/160g/とした発酵培地
    にて、酵母を培養し;および 前記発酵培地の温度を25℃に維持する、 工程を含むことを特徴とする酵母細胞からの外来遺伝子
    生成物の発現を向上させるための方法。
  5. 【請求項5】前記酵母を培養する工程が、少なくとも30
    %の空気飽和度となるように、前記培地を酸素で飽和す
    る工程をさらに含む特許請求の範囲第4項に記載の方
    法。
JP61504703A 1985-08-15 1986-08-15 酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増進させるための培地および方法 Expired - Lifetime JPH07106141B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US76605485A 1985-08-15 1985-08-15
PCT/US1986/001702 WO1987001129A1 (en) 1985-08-15 1986-08-15 Fermentation methods for hepatitis vaccine production
US766054 1991-09-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63500494A JPS63500494A (ja) 1988-02-25
JPH07106141B2 true JPH07106141B2 (ja) 1995-11-15

Family

ID=25075260

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61504703A Expired - Lifetime JPH07106141B2 (ja) 1985-08-15 1986-08-15 酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増進させるための培地および方法

Country Status (6)

Country Link
EP (1) EP0233937B1 (ja)
JP (1) JPH07106141B2 (ja)
AT (1) ATE84568T1 (ja)
CA (1) CA1288075C (ja)
DE (1) DE3687523T2 (ja)
WO (1) WO1987001129A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2022109A1 (en) * 1989-07-31 1991-02-01 Cheryl A. Schulman Enhanced expression of heterologous proteins in recombinant hosts in a non-growth media
JP6429627B2 (ja) * 2012-08-24 2018-11-28 国立大学法人山口大学 酵母用培地

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54129181A (en) * 1977-10-31 1979-10-06 Nippon Beet Sugar Mfg Production of bread yeast
JPS5877823A (ja) * 1981-08-04 1983-05-11 ザ リージエンツ オブ ザ ユニヴアーシテイ オブ カリフオルニア 酵母b型肝炎表面抗原粒子及びワクチン
JPS6091979A (ja) * 1983-10-26 1985-05-23 Hitachi Ltd 基質の流加制御方法及び装置
JPS60141283A (ja) * 1983-12-28 1985-07-26 Toyo Soda Mfg Co Ltd 酵母の培養方法
JPH0532022A (ja) * 1991-07-30 1993-02-09 Canon Inc 画像形成装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52125686A (en) * 1976-04-12 1977-10-21 Marubishi Baioneji:Kk Process for growing yeast in high yield
US4167450A (en) * 1977-07-13 1979-09-11 University Of New Hampshire Method and apparatus for the production of secondary metabolites by the maintenance-state cultivation of microorganisms
JPS5878584A (ja) * 1981-11-04 1983-05-12 Hitachi Ltd 培養基質の流加制御方法
JPS60196185A (ja) * 1984-03-19 1985-10-04 Chemo Sero Therapeut Res Inst 形質転換酵母の培養方法
DE3585176D1 (de) * 1984-06-22 1992-02-27 Hitachi Ltd Verfahren zum kontrollieren der zuechtung von rekombinanten.
JPS6156078A (ja) * 1984-07-27 1986-03-20 Suntory Ltd 酵母を宿主とする分泌発現ベクタ−
JPH07110232B2 (ja) * 1985-10-14 1995-11-29 株式会社日立製作所 遺伝子組換え大腸菌の遺伝子生産物を採取する方法および装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54129181A (en) * 1977-10-31 1979-10-06 Nippon Beet Sugar Mfg Production of bread yeast
JPS5877823A (ja) * 1981-08-04 1983-05-11 ザ リージエンツ オブ ザ ユニヴアーシテイ オブ カリフオルニア 酵母b型肝炎表面抗原粒子及びワクチン
JPS6091979A (ja) * 1983-10-26 1985-05-23 Hitachi Ltd 基質の流加制御方法及び装置
JPS60141283A (ja) * 1983-12-28 1985-07-26 Toyo Soda Mfg Co Ltd 酵母の培養方法
JPH0532022A (ja) * 1991-07-30 1993-02-09 Canon Inc 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP0233937A1 (en) 1987-09-02
EP0233937B1 (en) 1993-01-13
JPS63500494A (ja) 1988-02-25
WO1987001129A1 (en) 1987-02-26
DE3687523D1 (de) 1993-02-25
ATE84568T1 (de) 1993-01-15
DE3687523T2 (de) 1993-05-13
EP0233937A4 (en) 1988-05-26
CA1288075C (en) 1991-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100797643B1 (ko) 피루베이트를 생산하는 효모 균주
Levine et al. Isolation and characterization of a thermotolerant methanol-utilizing yeast
EP1849860B1 (en) Process for preparing an immunogenic factor of Corynebacterium diphtheriae using a culture medium with yeast extract as aminoacid source and no protein complexes of animal origin
KR101300185B1 (ko) L-오르니틴 생산능이 향상된 미생물 및 이를 이용한 l-오르니틴 생산방법
WO2022032991A1 (zh) 甘露聚糖酶及其同源物与glp-1重组融合蛋白的高效表达纯化方法及应用
KR20150034867A (ko) 세포질 내 피루베이트 풀이 강화된 효모 및 이를 이용한 피루베이트 기반 대사산물을 생산하는 방법
EP2611900B1 (en) Alkaline feed
CA2063511C (en) Method for producing human serum albumin
CN112575021B (zh) 一种生产核黄素的方法
JPH07106141B2 (ja) 酵母細胞から外来遺伝子生成物の発現を増進させるための培地および方法
WO2024104299A1 (zh) 一种脱氮生丝微菌及其发酵制备吡咯喹啉醌的方法
US11065312B2 (en) Vaccination by means of recombinant yeast by producing a protective humoral immune response against defined antigens
JP3902822B2 (ja) 異種蛋白質を高収得量で生物工学的に生産するための酵母adh iiプロモーター系を使用する方法
WO2019127829A1 (zh) 氧化型辅酶q10的发酵生产方法、及由其制备而得的高含量氧化型辅酶q10
KR950000883B1 (ko) B형 간염 표면항원(HBsAg)을 발현시키기 위한 이스트 배양배지 및 그의 발효방법
EP2499233B1 (en) Method to grow lawsonia intracellularis bacteria in persistently infected mccoy cells
IE60329B1 (en) Fermentation methods for hepatitis vaccine production
CN112391431B (zh) 重组白细胞抑制因子和水蛭肽嵌合蛋白的发酵培养基及发酵方法
AU4395200A (en) Process for the production of yeast biomass comprising functionally deleted (hxk2) genes
CA2138178A1 (en) Control of ph during bordetella growth
KR910004361B1 (ko) 형질전환된 효모를 이용하여 외래 단백질을 고농도로 생산하는 방법
CA1273887A (en) Method of submersely growing pseudomonas aeruginosa bacterial strains
CN117821342A (zh) 一种14型肺炎链球菌的发酵方法
Zhang et al. Kinetic aspect of hepatitis B surface antigen production in recombinant Saccharomyces cerevisiae fermentation
KR20150146275A (ko) Fps1의 활성이 감소된, 내산성을 갖는 효모 세포 및 그를 이용하여 락테이트를 생산하는 방법