JPH0710287Y2 - フロート式水素イオン濃度測定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は水素イオン濃度測定装置いわゆるpHメータに関
する。

〔従来の技術〕

最近、環境問題とくに排水による河川、湖沼等の汚染が
問題となつている。

そして、下水道を完備して工場、事業所または家庭の排
水による河川、湖水の水質の汚染、生物の生存に対する
悪影響の予防措置が広く行われるようになつた。

とくに工場、事業所等においては、種々の薬品を使用す
る以上、下水道に直接排出する場合または自家設備で処
理して河川等に排出する場合のいずれの場合において
も、排水の水質をある程度の範囲内に収める必要があ
る。

水質測定の手段の一つとして水素イオン濃度いわゆるpH
の測定が広く行われている。その際、通常水路または貯
水槽の横に支持台を設け、この支持台によつて水素イオ
ン濃度測定装置の電極管を垂直に支持し、下端の検出部
を水中に浸漬し、検出部の電極に接続したリード線を電
極管上端から延長し、検出部から送られた信号を変換器
および増幅器を通して表示装置に伝達して水素イオン濃
度を読み取り、時々刻々の水質変化に対応して処置する
ことができる。

この従来型水素イオン濃度測定装置は、第５図に示すよ
うに、水路または貯水槽10の側壁上端に固定された支持
台11から横に延びる２本の水平アーム11a,11bの先端11
d,11eでロツド11cを垂直に摺動可能に支持し、ロツドの
上下端において、水素イオン濃度測定装置12の電極管12
aを支持する。そして電極管12a下端の検出部12bから水
素イオンの濃度に対応する信号をリード線により変換器
および増幅器を通して表示器に伝達するようになつてい
る。あるいは、水路壁面に水平アームを固定し、同様に
支持することもある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、このような従来の水素イオン濃度測定装置
は、ロッド11cを摺動させることにより上下方向にある
程度の調節が可能であるため、水路または貯水槽内の排
水水位の僅かな変化には対応できるが、水位がいちじる
しく下がると測定装置の検出部が水面上に露出して測定
ができなくなることがある。

本考案は、水路等の水位の変化に係わりなく、つねに正
確に水素イオン濃度を測定しうる水素イオン濃度測定装
置を提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本考案の構成は、表面を硬化
処理した厚肉円板状フロートの中央に孔を設け、該孔に
水素イオン濃度測定装置の電極管を挿入し、該管に嵌着
した二個の弾性リングにより上下から前記フロートを挟
持して電極管を前記フロートに固定するようにした、フ
ロート式水素イオン濃度測定装置にある。

〔実施例〕

以下、第１図ないし第４図に基づいて本考案のフロート
式水素イオン濃度測定装置の実施例を説明する。

第１図は本考案実施例の縦断面図を示し、フロート式水
素イオン濃度測定装置１は、市販の水素イオン濃度測定
装置２および前記水素イオン濃度測定装置２を水面に浮
遊させるフロート３よりなつている。

水素イオン濃度測定装置２は、1mないし1.5mの長さを有
する電極管2aを有し、その下端に検出部2bが取り付けら
れ、電極管2aの中を通るリード線2cは電極管2a上端から
長く延びて図示しない変換器および増幅器を経て表示器
に接続されている。

フロート３は発泡樹脂等の軽量素材で作られた厚肉円板
状のものであつて、単なる円板でもよいが、第１図に示
すように、浮力を増大するため上面が広く、下面が狭い
逆截頭円錐形に形成されていてもよい。フロート本体3a
の表面には、使用時の浮遊物および取り扱いによる損傷
を回避するため、適当な硬化材を含有する塗料の塗布に
よる硬化層3bが設けられている。フロートの中心には前
記電極管2aが貫通する管外径とほゞ同じ大きさの内径を
有する孔3cが穿孔されている。

フロート３に電極管2aを固定するため、電極管2aには上
下二個のゴムリング４が嵌着され、ゴムリング４はフロ
ート本体3aの上下面に係合してフロート本体3aを挟持
し、電極管2aをフロート３に固定するようになつてい
る。なお、場合により適当な接着材によつて電極管2aを
フロート３に固定することもできる。

使用にあたり、水量が多くかつ流速度が小さい場合、第
３図に示すように本考案の装置を水路または貯水槽６内
に設置し、管上端をリー線2cによつて地上の計器類に接
続する。ただし貯水槽内に攪拌機を有する場合、または
水路内の流速が速い場合にはワイヤまたはチエーン５等
によつて水路壁に連結することで十分である。なお必要
に応じてフロートに水底に達する長さのワイヤを介して
重りを取り付けることもできる。

また水素６等が深い場合はリード線を十分に長くして単
に水路壁から水面に垂下することにより設置することが
できる。

水素イオン濃度の測定方法については従来の装置の場合
と変わりはない。

〔考案の効果〕

本願の考案は、単に市販の水素イオン濃度測定装置をフ
ロートに取り付けただけの簡単な装置を用い、測定装置
を水面に浮遊させることによつて、水位の変化に直ちに
対応して正確な測定を実施することができる。

また測定装置のpH校正の際、測定装置を容易に引き上げ
ることができるため、水路以外の安全な位置で校正する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の水素イオン濃度測定装置の一実施例の
縦断面図であり、 第２図（ａ），（ｂ）はそれぞれ第１図の矢印A,Aおよ
びB,B方向に見た上面図および底面図であり、 第３図および第４図はそれぞれ水位の高い場合および低
い場合における本考案装置の使用状態を示す図であり、 第５図は従来の水素イオン濃度測定装置の使用状態を示
す斜視図である。 １……フロート式水素イオン濃度測定装置,2……水素イ
オン濃度測定装置、2a……電極管,2b……検出部,2c……
リード線,3……フロート装置,3a……フロート本体,3b…
…硬化層,3c……孔,4……ゴムリング,5……ワイヤまた
はチエーン,6……水路または貯水槽

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表面を硬化処理した厚肉円板状フロートの
   中央に孔を設け、該孔に水素イオン濃度測定装置の電極
   管を挿入し、該管に嵌着した二個の弾性リングにより上
   下から前記フロートを挟持して電極管を前記フロートに
   固定するようにした、フロート式水素イオン濃度測定装
   置。