JPH0696729B2 - マンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法 - Google Patents

マンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法

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JPH0696729B2
JPH0696729B2 JP1290740A JP29074089A JPH0696729B2 JP H0696729 B2 JPH0696729 B2 JP H0696729B2 JP 1290740 A JP1290740 A JP 1290740A JP 29074089 A JP29074089 A JP 29074089A JP H0696729 B2 JPH0696729 B2 JP H0696729B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、全製鋼工程を通じて造滓剤(生石灰等)使用
量を最小にしつつ、高能率脱燐を行うとともに、マンガ
ン鉱石(鉄−マンガン鉱石も含む)を使用し、これを最
大限に溶融還元して転炉における終点〔Mn〕を上昇させ
ることにより、品質の良好な鋼を低コストで溶製するこ
とができる、マンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法に
関するものである。
(従来の技術) 従来、全製鋼工程の造滓剤(生石灰、ドロマイト等)を
少なくすること、およびマンガン鉱石を使用し、転炉終
点〔Mn〕を上昇せしめ、マンガン合金(フェロマンガ
ン、シリマン等)の使用量を節減することのため、例え
ばトーピードあるいは、溶銑移送鍋内で、生石灰系の脱
燐剤(主として生石灰−酸化鉄−ホタル石系)をインジ
ェクションし、溶銑の脱燐を実施した後、該脱燐銑を転
炉に注銑し、少量の生石灰等の通常造滓剤を添加すると
共に、マンガン鉱石(以下鉄−マンガン鉱石を含む)を
添加し、転炉終点〔Mn〕を上昇させる方法が一般的であ
った。
(発明が解決しようとする課題) ところが、このような従来法では (1)溶銑脱燐と転炉吹練との両方に生石灰系フラック
スを使用するので、全製鋼での造滓剤使用量があまり減
少しない、および (2)脱燐銑の転炉吹練時に溶融還元できるマンガン鉱
石の量は、目標とする転炉終点温度によっても異なる
が、おおむね15〜20kg/tが熱的に限界であり、転炉終点
〔Mn〕は高々0.5〜0.9重量%程度であった。もちろん、
この場合、コークス等の炭材を熱源として用いる方法も
あるが、炭材からのSの混入があり、限界があった、と
いう問題があった。
そこで、上記(1)の問題点を解決するための提案とし
て、特開昭62−290815号公報および特開昭63−93813号
公報等があり、この後上記(2)の問題点を改善するた
めに特開平1−142009号公報が提案された。この特開平
1−142009号公報により提案された発明は次のごとくで
ある。
「(1)上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉の
うちの一方を脱燐炉、他方を脱炭炉として溶銑の精錬を
行う製鋼方法において、前記脱燐炉内へ注入した溶銑に
前記脱炭炉で発生した転炉滓およびマンガン鉱石を主成
分とする精錬剤を添加し、底吹きガス撹拌を行いつつ酸
素ガスを上吹きして溶銑温度を1400℃以下に保ちながら
溶銑脱燐と溶銑〔Mn〕の上昇を行う工程と、得られた脱
燐溶銑に通常造滓剤とマンガン鉱石とを投入して脱炭炉
で精錬し、溶銑の脱炭と溶鉄の精錬終点〔Mn〕の上昇を
図る工程とを含むこと特徴とする製鋼方法。
(2)被処理溶銑が、Si含有量0.30重量%以下にまで予
備脱珪処理されたものである、特許請求の範囲第1項に
記載のマンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法。」。
この特開平1−142009号公報により提案された発明は、
脱燐炉で転炉滓とマンガン鉱石を主成分とする精錬剤を
添加する方法であるが、実操業上における造滓剤添加の
タイミングあるいは送酸速度については特に詳述するこ
となく、単に酸素ガス吹込みは脱燐処理温度を保証する
ために行うとし、吹込み量は20Nm3/t以下、通常5〜10N
m3/tであるとしており、さらに実施例では0.5Nm3/min・
Tとしているにすぎない。従って、例えばマンガン鉱石
の溶融還元量について、スラグ塩基度が2.5以上である
条件下において、例えば投入量が10kg/tである場合の
〔Mn〕増加量は、0.3〜0.4重量%程度とばらつきが多
く、極めて良好な還元量とはいい難い。
また、これ以上の投入量(例えば20kg/t以上)における
データは少なく、その場合の還元量が極端に低下すると
いう点で問題があった。
従って、熱源のない状態では、脱燐炉精錬後の〔Mn〕と
して高々0.7重量%弱であり、脱炭炉終点での〔Mn〕に
おいても1.1重量%程度にとどまっていた。すなわち、
要求される〔Mn〕が1.2重量%以上の鋼種については脱
炭炉からの出鋼時に合金鉄の添加を必要とし、この特開
平1−142009号公報により提案された製鋼方法のメリッ
トを完全に享受しているとは言い難かった。
本発明は、特開平1−142009号公報により提案された発
明の改良であり、具体的には製品〔Mn〕が1.2重量%あ
るいはそれ以上の鋼をマンガン合金鉄の添加なしあるい
はそれに近い操業条件下で得るために、脱燐炉後の〔M
n〕を、ことさらのコストアップなしに、換言すれば操
業条件の改善のみで0.8重量%以上、例えば0.8〜0.9重
量%程度にまで上昇させることが可能な、マンガン鉱石
の溶融還元を伴う製鋼方法を提供することを目的とす
る。
(課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者らは特開平1−1420
09号公報により提案された発明における操業条件の各点
を検討し、下記ないしに示すような改善を行った。
すなわち改善のポイントは以下のとおりである。
送酸パターンの限定 マンガン鉱石の溶融還元によるフェロマンガン削減メリ
ットを最大限に享受するためには、脱燐炉の熱的余裕の
許す限りにおいてマンガン鉱石を可及的多量に添加する
ことが望ましい。
しかるに、その場合、大量添加により1次的にマンガン
鉱石を含む造滓剤の温度が低下し、マンガン鉱石の溶融
が見かけ上進行しないことを本発明者らは知見した。
そこで、本発明においてはこの造滓剤の温度に注目し、
送酸速度が自由にコントロール可能な転炉を用いた溶銑
予備処理法の利点を活かし、吹錬初期から中期にかけて
の送酸速度を100〜220Nm3/hr・Tまでと増大し、造滓剤
の温度を高く保持するものである。そして、吹錬中期以
降の送酸速度は、従来法と同じ20〜70Nm3/hrにしてマン
ガンの還元時間を確保し、不要な脱炭を抑えるものであ
る。
底吹ガス流量パターンの限定 特開平1−142009号公報に示すごとく、脱燐を促進する
場合の炉底ガス撹拌の程度は通常の上下両吹き複合吹錬
におけるのと同程度で良いが、マンガンの溶融を促進す
るためにはより高流量(0.06〜0.30Nm3/min・T)とす
ることが望ましい。
マンガンの溶融が完了した吹錬中期以降においても、ス
ラグ−メタル撹拌強化による還元促進の観点から、前記
高流量を継続して流すことが望ましい。
転炉滓添加量 前記で示したように、マンガン鉱石の溶融を最優先に
考える上で造滓剤の温度を上げる他に、造滓剤の融点を
下げることも当然検討されるべき項目である。
そこで、本発明においては、CaO−SiO2−MnO疑似三元系
において、融点を1300℃程度にまで低下させるために、
塩基度(CaO/SiO2)が0.5〜1.2程度になるように調整す
ることを旨とした造滓法、すなわち生石灰分は吹錬前に
添加する転炉滓からの供給分のみとし、SiO2分は、溶銑
[Si]からの予想SiO2量と転炉滓中のSiO2量の和とした
条件下において、マンガン鉱石を溶融還元するものであ
る。
通常造滓剤添加タイミング マンガン鉱石の溶融が完了す中期以降、生石灰を添加
し、マンガンの還元工程に入る。この理由は特開平1−
142009号公報に示しているように、スラグ塩基度が高い
ほど酸化マンガンは、還元され易くなるからである。
そして、本発明者らは上記の改善ポイントないしに
基づいて、さらに検討を重ね、本発明を完成した。
ここに、本発明の要旨とするところは、上下両吹き機能
を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱燐炉、他
方を脱炭炉として溶銑の精錬を行う製鋼方法であって、
前記脱燐炉内へ注入した溶銑に前記脱炭炉で発生した転
炉滓およびマンガン鉱石を主成分とする精錬剤を添加
し、底吹きガス撹拌を行いつつ酸素ガスを上吹きして溶
銑温度を1400℃以下に保ちながら溶銑脱燐と溶銑[Mn]
の上昇を行う工程と、得られた脱燐溶銑に通常造滓剤と
マンガン鉱石とを投入して脱炭炉で精錬し、溶銑の脱炭
と溶鉄の精錬終点[Mn]の上昇を図る工程とを含むこと
を特徴とする製鋼方法において、前記溶銑脱燐と溶銑
[Mn]の上昇を行う工程の吹練初期から中期にかけての
送酸速度を100〜220Nm3/hr・Tとするとともに、底吹ガ
ス流量を0.06〜0.3Nm3/hr・Tとし、さらに前記添加す
る転炉滓の添加量を当該吹錬期間中に溶銑[Si]から生
成する予想SiO2量と転炉滓中のSiO2量との和で転炉滓中
CaO量を除した値が0.5〜1.2を満たす量とすることを特
徴とする、マンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法であ
る。
本発明の好適態様によれば、上記脱燐炉での吹錬中期以
降の送酸速度を20〜70Nm3/hr・Tとするとともに、炉底
ガス流量は、0.06〜0.3Nm3/min・Tとし、さらに通常の
造滓剤を投入するようにしてもよい。
さらに、上記の本発明においては、被処理溶銑が、Si含
有量0.3重量%以下にまで予備脱珪処理されたものであ
ってもよい。溶銑中のSi含有量が多くなるほど、前記脱
燐炉でのスラグ塩基度が低下して脱燐能が落ち、全体で
の生石灰等の使用量が増加するからである。したがっ
て、溶銑のSi含有量は、出来れば0.3重量%以下、好ま
しくは0.2重量%以下に調整しておくのが好適である。
第1図に、本発明にかかる、マンガン鉱石の溶融還元を
伴う製鋼方法を実施する転炉を用いる溶銑の予備処理を
概念的に示す。すなわち、転炉形式の炉1(脱燐炉)お
よび炉2(脱炭炉)を用い、炉1内へ注入した溶銑3
に、炉2で発生した転炉スラグ4およびMn鉱石(蛍石)
を主成分とする精錬剤を添加し、撹拌ガス吹き込みノズ
ル5より底吹ガス撹拌を行いつつ、酸素ガスをランス6
より上吹きして、溶銑3の温度を1400℃以下に保持しつ
つ、溶銑脱燐と溶銑[Mn]の上昇を行う工程でのマンガ
ン鉱石の溶融還元を最高のものにするため、前記ない
しの改善を行うのである。
本発明の、この改善ポイントないしを第2図に概念
的に示す。すなわち、 吹錬初期から中期にかけての送酸速度を100〜220Nm
3/hr・Tに増大し、中期以降は20〜70Nm3/hr・Tとする
こと、 底吹ガス流量を0.06〜0.30Nm3/hr・Tとすること、
および 転炉滓の添加量を、例えば第2図に示す如くに制御
することにより、CaO−SiO2−MnO系スラグのCaO/SiO2
0.5〜1.2とすること、さらに 吹錬中期以降、通常造滓剤(生石灰)を添加するこ
と、 である。
(作用) 本発明の構成および作用について詳細に説明する。な
お、本明細書においては、特にことわりがない限り、
「%」は「重量%」を意味するものとする。
1.送酸パターン 前述した本発明の送酸パターン(送酸速度:100〜220Nm3
/hr・T)による造滓剤の温度推移と従来の送酸パター
ン(送酸速度:50〜95Nm3/hr・T)による温度推移の一
例を第3図に示した。
特定の時間間隔ごとに測温した結果をプロットしたもの
であるが、従来の送酸パターンによればマンガン鉱石の
添加に伴い、かなりの温度変化を生じており、特にマン
ガン鉱石の初期一括投入を行った場合にその傾向が顕著
である。
マンガン鉱石を分割添加した場合は温度降下量はいくぶ
ん緩和されるものの基本的にその傾向は存続する。また
分割添加した場合は限られた吹錬時間内で、造滓剤中の
マンガンを溶銑中に還元する時間が十分にとれないた
め、仮に溶融したとしても還元量が少なくなるという欠
点がある。
従って、本発明によれば、仮にマンガン鉱石を初期一括
投入したとしても、造滓剤の温度を1300℃以上に保つこ
とができるため、マンガン鉱石の溶融という観点からは
申し分のないものである。
マンガン鉱石が一旦全量溶融した後は、溶滓中のマンガ
ンの還元時間を確保するために送酸速度を低下させるこ
とが望ましい。これは不要な脱炭を抑える意味において
も効果がある。
送酸速度は、マンガン鉱石の添加量に応じて変更するの
が最も望ましいのは言うまでもないが、若干のタイミン
グのずれは、それほど問題とはならないため、変更タイ
ミングについての限定は特に必要でない。
なお、吹錬初期から中期にかけての送酸速度を100〜220
Nm3/hr・Tに限定した理由は、100Nm3/hr・T未満の場
合、造滓剤の温度が充分に上昇しないため本発明の効果
が得られないためであり、一方220Nm3/hr・T超の場合
は、脱燐炉での脱炭が過大に起こり、後の脱炭炉におけ
る熱的余裕度が低下してしまうためである。
2.底吹ガス流量パターン 底吹ガス流量が0.03Nm3/min・Tと0.15Nm3/min・Tの2
つの場合につき、次記の溶銑条件(送酸速度:170Nm3/hr
・T、CaO/SiO2:2.5)における溶銑〔Mn〕の推移を第4
図に示す。生石灰添加前の溶融期、添加後の還元期の両
者において、底吹ガス流量の効果が明確に表われてい
る。
底吹ガス流量の上限を0.30Nm3/min・Tと定めた理由
は、これを超える流量を流しても、効果が飽和してくる
こと、また炉底耐火物の寿命が低下してくること、さら
にはガス種として炭酸ガスを選んだ場合に溶銑炭素との
反応による吸熱効果等が生じるためである。一方、下限
を0.06Nm3/min・Tと定めた理由は、この値よりも小さ
いとマンガンの溶融が不充分となってしまうおそれがあ
るためである。
もちろん、特開平1−142009号公報にて示したごとく、
炉底から吹込む撹拌ガスは炭素ガス以外のアルゴン、一
酸化炭素等のいずれでもよく、これらを用いた場合は、
前記吸熱反応は起こらないのは当然である。
3.転炉滓添加量 前述したように、CaO−MnO−SiO2疑似三元系において、
塩基度(CaO/SiO2)を0.5〜1.2程度になるように調整す
ることにより、第5図に示すような造滓剤の融点が1300
℃まで低下する領域が存在する。
具体的には、生石灰分は吹錬前に添加する転炉滓からの
供給分のみとした条件下にて吹錬を開始し、マンガン鉱
石を溶融する。すなわち溶銑〔Si〕からの予想SiO2量と
転炉滓中のSiO2量との和で転炉滓中のCaO量を割った値
が、前記0.5〜1.2の中におさまるように溶銑〔Si]の値
に応じて、転炉滓の量をコントロールするのである。
もちろん造滓剤の一部としてホタル石を添加しているた
め第5図に示す融点よりもさらに低い値をとることが充
分予想されるが、全体としての傾向は、第5図に示すと
おりである。
4.通常造滓剤添加タイミング マンガン鉱石の溶融が完了した後、生石灰を添加し、マ
ンガンの還元工程に入る。この理由は特開平1−142009
号公報に示しているように、スラグ塩基度が高いほど酸
化マンガンは、還元され易くなり、第6図に示すよう
に、スラグ塩基度が2.5以上の領域ではこの傾向が最も
強くなって一定化するためである。
なお、第4図にも示したように、生石灰添加後の溶銑
〔Mn〕は再び上昇する傾向にあり、第6図の結果をよく
裏づけるものである。
このようにして、脱燐炉で[Mn]を上昇させた脱燐溶鉄
を得ることができる。
そして、この後は、特開平1−142009号公報に開示され
ているように、通常造滓剤とマンガン鉱石とを投入して
脱炭炉で精錬し、溶鉄の脱炭と精錬終点[Mn]の上昇と
を図ればよい。
さらに、本発明を実施する場合には、出来れば適用され
る溶銑の事前脱硫処理を行うのが良い。その第1の理由
として、この方法においては、脱硫の進行が極めて鈍い
ことが挙げられるが、他方では事前脱硫していない溶銑
を用いた場合には転炉スラグ中のS含有量が上昇し、次
のチャージにおける溶鋼S含有量を高めることも懸念さ
れるからである。なお、前記事前脱硫は通常行われてい
る溶銑脱硫方法の何れによってもよい。
本発明を比較例と対比した実施例により、さらに具体的
に説明する。
実施例1 脱燐炉内に注銑した第1表の上段に示される如き成分
の、脱珪、脱硫溶銑250Tに、脱炭炉で発生した転炉滓25
kg/tとホタル石11kg/tのほか、粒径30mm以下のマンガン
鉱石15.3kg/tを添加して9分間の脱燐処理を行って本発
明例である試料とした。
なお、実施例1における操業条件は第2表の本発明例の
項に示すごとく、送酸速度の変更、底吹ガス流量の高流
量化、転炉滓添加量の制御、通常造滓剤添加タイミング
変更の各項目を実施したものである。なお、添加した通
常造滓剤(生石灰)の量は任意の量である。
後述する比較例に対し、若干少量のマンガン鉱石を使用
しているにもかかわらず、処理後の[Mn]は高く脱燐炉
におけるインプットマンガン歩留も約55%と25%もの改
善が得られている。
実施例2 鋼種における硫黄濃度の制限が比較的緩やかな場合は、
特開平1−142009号公報にも示したように、脱燐炉にお
いて約60%の脱硫が進行する。従って、事前に溶銑脱硫
をする必要はない。
脱燐炉内に注銑した第3表の上段に示される如き成分の
脱珪溶銑250Tに、脱炭炉で発生した転炉滓25kg/tと、ホ
タル石10kg/tのほか、粒径30mm以下のマンガン鉱石24.3
kg/tを添加し、9分間の脱燐処理を行った。
実施例1に比較し、マンガン鉱石量が多いのは、溶銑脱
硫に伴う温度降下がなくなるため、脱燐処理前の溶銑温
度が高いためである。マンガン鉱石量が多いにもかかわ
らず、インプットマンガン歩留は、実施例1と同程度で
あり、脱燐処理後[Mn]≧0.9%を達成している。
なお、操業条件は第2表の本発明例に示すとおりであ
り、実施例1となんら変わるところはない。
比較例 事前に脱珪し、脱硫処理した第4表の上段に示される如
き成分の溶銑250トンを脱燐炉として使用する上下両吹
き複合吹錬転炉に注銑し、これに同様形式の脱炭炉で発
生した転炉滓を冷却、凝固して30mm以下の粒径に破砕し
たもの25kg/tと、同様の粒径をもつマンガン鉱石17.7kg
/tならびにホタル石10kg/tとを添加して10分間の脱燐処
理を行った。
なお、比較例における操業条件は第2表の比較例の項に
示すごとく、送酸速度を60Nm3/hr・Tと一定とし、底吹
ガス流量を0.03Nm3/min・Tと低流量とし、さらに造滓
剤およびマンガン鉱石を同時に添加したものである。
脱燐処理後の〔Mn〕は上昇してはいるものの、上昇分は
少なく脱炭炉から発生する転炉滓中のマンガンを考え合
わせても、脱燐炉におけるインプットマンガン歩留で約
30%と非常に低位である。
ここで、その他の実施例も含め、脱燐炉におけるマンガ
ン鉱石添加量と、インプットマンガン歩留との関係を第
7図に示す。
本発明の効果により、マンガン鉱石添加量にかかわら
ず、20%以上のマンガン歩留の向上・改善が得られてい
る。
この結果、実施例1、2に示す如く脱炭炉における比較
的少量のマンガン鉱石添加にもかかわらず、脱炭炉後
〔Mn〕は、1%ないし1.2%を越えるものとなってい
る。
もちろん脱炭炉の熱余裕から通常約15〜20kg/tのマンガ
ン鉱石は添加可能であるから、鋼種のマンガン規格に応
じ、さらに終点〔Mn〕の高い溶鋼を製造することは容易
である。
(発明の効果) 本発明は、以上説明したとおりの構成により、炭材等の
熱余裕拡大のための特殊な物を使用しなくとも、脱炭精
錬後、0.6%以上の〔Mn〕を安定して溶製することがで
きる。特に事前脱硫の操作を加えず、高温の溶銑が使用
できる場合は、0.9%以上もの高い〔Mn〕を有する溶銑
製造が可能である。
従って、脱炭炉におけるマンガン鉱石使用量を過大なも
のにしなくとも、換言すれば、炭材等を使用しなくと
も、脱炭炉後〔Mn〕として1%以上は容易に達成でき、
フェロマンガン使用量として18〜10kg/tの節減が可能と
なる。
さらに特開平1−142009号公報にも示したごとく、脱炭
炉滓を再利用できる点で、製鋼工程の全体を通じて必要
な造滓剤量の著しい低減も達成できるなど、産業上、極
めて有用な効果がもたらされるのである。
なお、本発明においては、実施例に示したように、特に
炭材等の熱余裕拡大剤を使用していない。それは、前述
したように、炭材等を使用しなくとも1%ないし1.2%M
n以上の溶鋼が安定して溶製可能なためであるが、近年
ますます増加傾向にある〔Mn〕≧1.5%の高マンガン鋼
においてもメリットを享受するために脱燐炉において炭
材を用いてもよいのは当然である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法を実施する転炉を用いた溶銑予備
処理の概念図; 第2図は、上記プロセスのうちの脱燐炉における本発明
による吹錬過程の略式説明図; 第3図は、本発明による吹錬方法を実施した時の脱燐炉
内スラグ温度の推移を示すグラフ; 第4図は、吹錬中のマンガン濃度推移を示すグラフ; 第5図は、CaO−MnO−SiO2系スラグの融点分布を示すグ
ラフ; 第6図は、脱燐炉でのMn分配比とスラグ塩基度との関係
を示すグラフ;および 第7図は、脱燐炉でのインプットマンガン歩留とマンガ
ン鉱石添加量との関係を示すグラフである。 1:脱燐炉、2:脱炭炉 3:溶銑、4:転炉滓 4′:転炉滓を主成分とする脱燐スラグ 5:撹拌ガス吹き込みノズル 6:ランス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の
    炉のうちの一方を脱燐炉、他方を脱炭炉として溶銑の精
    錬を行う製鋼方法であって、前記脱燐炉内へ注入した溶
    銑に前記脱炭炉で発生した転炉滓およびマンガン鉱石を
    主成分とする精錬剤を添加し、底吹きガス撹拌を行いつ
    つ酸素ガスを上吹きして溶銑温度を1400℃以下に保ちな
    がら溶銑脱燐と溶銑〔Mn〕の上昇を行う工程と、得られ
    た脱燐溶銑に通常造滓剤とマンガン鉱石とを投入して脱
    炭炉で精錬し、溶銑の脱炭と溶鉄の精錬終点[Mn]の上
    昇を図る工程とを含むこと特徴とする製鋼方法におい
    て、前記溶銑脱燐と溶銑[Mn]の上昇を行う工程の吹錬
    初期から中期にかけての送酸速度を100〜220Nm3/hr・T
    とするとともに、底吹ガス流量を0.06〜0.3Nm3/min・T
    とし、さらに添加する前記転炉滓の添加量を当該吹錬期
    間中に溶銑[Si]から生成する予想SiO2量と転炉滓中の
    SiO2量との和で転炉滓中CaO量を除した値が0.5〜1.2を
    満たす量とすることを特徴とする、マンガン鉱石の溶融
    還元を伴う製鋼方法。
  2. 【請求項2】前記脱燐炉での吹錬中期以降の送酸速度を
    20〜70Nm3/hr・Tとするとともに、炉底ガス流量は、0.
    06〜0.3Nm3/min・Tとし、さらに通常造滓剤を投入する
    ことを特徴とする、請求項1記載のマンガン鉱石の溶融
    還元を伴う製鋼方法。
  3. 【請求項3】被処理溶銑が、Si含有量0.3重量%以下に
    まで予備脱珪処理されたものである、請求項1または2
    記載のマンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法。
JP1290740A 1989-11-08 1989-11-08 マンガン鉱石の溶融還元を伴う製鋼方法 Expired - Lifetime JPH0696729B2 (ja)

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