JPH069576Y2 - 二極突極型溶接用発電機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、溶接用電力と一般的商用の交流電力とを同時
に利用することができる二極突極型溶接用発電機に関す
る。

〔従来の技術〕

建設工事現場等において、電機溶接を行うときは溶接用
の電源と、照明、グラインダー、水中ポンプなどの電源
とするための商用周波数の交流電源とを兼ね備えた溶接
用発電機が必要不可欠となっている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、現在においてこの種の用途に応じる発電
機は価格が高く、また、手作りの要素が多く大量生産向
きではない。

一方、低コスト、大量生産向きの発電機を用いて同時使
用を行うと、商用電源の電圧が溶接側の影響を受けて、
電圧が大きく変化してしまうという著しく不都合があ
る。

本考案は上記従来技術に鑑みなされたものであり、溶接
電流の変化によって商用の交流電源の電圧が変化するこ
とがなく、かつ、低コスト、大量生産向きの二極突極型
溶接用発電機を提供することを、その目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本考案では固定鉄心に溶接用の電源を取り出す
第１の巻線と商用の電源を取出す第２の巻線とを電機子
に巻装し、回転子鉄心に励磁用界磁巻線を備えた二極突
極型発電機において、前記第１の巻線を多相巻線とする
とともに、前記第２の巻線を単相巻線とし、前記二極突
極型回転子鉄心のＮ極およびＳ極を形成する界磁極の中
央部に、湾曲形状の切除部を形成し、この切除部の底部
の最大深部位置が、界磁極頭部の中心点から下方に垂下
した中心線上にあり、前記中心点と切除部縁辺との間の
距離を左右対称に前記最大深部位置に向かって徐々に長
くし、変動磁束を大きくし、第１の巻線に誘起される電
圧の振幅を大きくし、これによって前記目的を達成しょ
うとするものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第５図に基づいて
説明する。

第１図は、本考案の二極突極型の回転界磁型発電機の一
実施例を示す概略説明図である。

図面に示すようにこの考案の二極突極型溶接用発電機２
（以下発電機２とする）は固定子４と回転子６とにより
構成されている。前記固定子４には発電機としての起電
力を取り出すため、第１の巻線として電機子巻線８，１
０，１２が巻回されており、第２の巻線として電機子巻
線１４、その他回転子６には励磁用巻線１６がそれぞれ
巻かれている。このうち前記第２の巻線の電機子巻線１
４は、一般に１００Ｖ乃至２００Ｖの商用電源として使
用される２極巻きにされた巻線であり、８ターン集めた
分布巻により構成されている。第１の巻線の電機子巻線
８，１０，１２は第３図に示されるように溶接用の３相
交流電源Ｕ，Ｖ，Ｗとして使用される６極巻きされた巻
線である（第１図ではＵ相交流電源の電機子巻線８のみ
示してあり、他方のＶ相、Ｗ相電源としての電機子巻線
１０，１２は省略してある。）。この溶接用の電機子巻
線８，１０，１２は第２図に示されるように各１２０度
の位相差をもって巻回され、この各相の電機子巻線８
Ａ，８Ｂ，８Ｃ（Ｕ相）、１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ（Ｖ
相）、１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ（Ｗ相）を、それぞれ直
列接続することによって構成されており、これによっ
て、より高い溶接用の電圧を取り出すとができるように
なっている。ところで、一般的には溶接電源は第３高調
波を使っているので、溶接電流による電機子反作用は空
隙磁束分布中の第３高調波分に影響され、この第３高調
波を余り含まない空隙磁束分布にすると溶接用の電圧が
垂下することになる。しかし、この考案の発電機２の場
合は、第３高調波が多く含まれ、電圧の降下は見られな
い。全磁束量にはほとんど影響しないので、全磁束量に
ほぼ比例した電圧を発生する交流電源はほぼ一定電圧と
なる。

一方、前記回転子６のＮ極およびＳ極を構成する各界磁
極６Ａの界磁極の中心部分に湾曲形状に開口され、開口
している突端２２ａより内側にえぐられ切除部２２が穿
設され、この切除部２２の底部の最も深い位置２２ｃ
が、前記界磁極頭部の中心点Ｍから垂下した中心線ｆ上
にあり、前記中心点Ｍと前記切除部２２の縁辺２２ｂと
の間の距離を左右対称に前記最大深部位置に向かって徐
々に長く形成してある。これら界磁極６Ａを励磁するた
めの界磁巻線１８を前記切除部２２を挟んだ界磁極６Ａ
の根元周囲にコイルガイド２０を挟んで巻かれており、
前述した励磁用巻線１６で得られた電圧が整流されたの
ち、この界磁巻線１８に供給されるようになっている。
湾曲形状の切除部２２が大きく穿設してあるから変動磁
束中に第３高調波成分を多く含ませることができる。そ
のため切除部２２を設けない場合（第５図に示す波形３
０参照）に比べて、溶接用の巻線に誘起される電圧の振
幅が大きくなり、溶接側の出力増加を図ることができる
（第５図に示す波形３２参照）。これに対し、電機子巻
線１４に得られる単相電圧は、切除部２２を設けたこと
により、１ターン当たりの波形は第３高調波成分が比較
的多く含まれることになるが（第５図に示す波形３４参
照）、８ターンを集めると正弦波に近くなり（第５図に
示す波形３５参照）、ほとんどの機器の電源に利用する
ことが可能である。

また、本考案の回転子鉄心の会場が図面に示されるよう
に、各磁極頭部の中央部分に湾曲形状の切除部２２を穿
設してあるから、磁気抵抗を最大に保持しながら磁束が
大きくなり、発電の起電力の効率がよく、しかも、この
空洞の存在は界磁巻線に生じる発熱に対しての冷却効率
にも優れている。

次に、本考案の二極突極型溶接用発電機の電機的な構成
を第４図に基づいて説明する。

電機子巻線１４で得られる単相の交流電圧がそのまま商
用の１００Ｖ乃至２００Ｖの交流電源として使用され、
一方、電機子巻線８，１０，１２で得られる３相の第３
高調波電圧Ｕ，Ｖ，Ｗは、３相全波整流器２４を介して
整流され、溶接用の電源として使用されるようになって
いる。

また、励磁用巻線１６で得られる単相電圧は、単相全波
整流器２６を介して整流され、溶接調整器２８で調整さ
れたのち界磁巻線１８に供給されるようになっている。

〔考案の効果〕

以上のような本考案によると、第１の巻線を多相巻線に
し、第２の巻線を単相巻線にして、Ｎ極およびＳ極の各
界磁極の磁極頭部の中央に、一個の切除部を磁極頭部突
端を快って湾曲形状に深く穿設してあるから第３高調波
を積極的に取り出すことができ、しかも変動磁束を大き
くし、第１の巻線に誘起される電圧の振幅を大きくする
ことができ、そのため溶接側の出力の増加が図られる。
その上、溶接側の負荷の変動によって交流電源側の出力
電圧が全く変化しない。また、全体の構造が簡単で耐久
性の増大が図られた実用的二極突極型溶接用発電機を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の二極突極型溶接用発電機の一実施例
を示す概略説明図、第２図は第１図の詳細な説明図、第
３図は本考案発電機の溶接用の電機子巻線の展開図、第
４図が本考案にかかる二極突極型溶接用発電機の電気的
な構成図、第５図は本考案によって得られた電圧波形を
示すための説明図である。 ６Ａ……界磁極 ８，１０，１２……電機子巻線 １４……電機子巻線 ２２……切除部 ２２ｂ……切除部縁辺 ２２ｃ……最大深部位置 Ｍ……界磁極頭部の中心点

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 菊地 弘 埼玉県川越市芳野台２丁目８番65 デンヨ ー株式会社埼玉工場内 (56)参考文献 実開 昭60−48370（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定鉄心に溶接用の電源を取り出す第１の
   巻線と商用の電源を取出す第２の巻線とを電機子に巻装
   し、回転子鉄心に励磁用界磁巻線を備えた二極突極型発
   電機において、 前記第１の巻線を多相巻線とするとともに、前記第２の
   巻線を単相巻線とし、 前記二極突極型回転子鉄心のＮ極およびＳ極を形成する
   界磁極の中央部に、湾曲形状の切除部を形成し、 この切除部の底部の最大深部位置が、界磁極頭部の中心
   点から下方に垂下した中心線上にあり、 前記中心点と切除部縁辺との間の距離を左右対称に前記
   最大深部位置に向かって徐々に長くし、 変動磁束を大きくし、第１の巻線に誘起される電圧の振
   幅を大きくしたことを特徴とする二極突極型溶接用発電
   機。