JPH0694032A - タービン式膨張機及びその静圧スラスト気体軸受 - Google Patents

タービン式膨張機及びその静圧スラスト気体軸受

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JPH0694032A
JPH0694032A JP24084292A JP24084292A JPH0694032A JP H0694032 A JPH0694032 A JP H0694032A JP 24084292 A JP24084292 A JP 24084292A JP 24084292 A JP24084292 A JP 24084292A JP H0694032 A JPH0694032 A JP H0694032A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で、静圧スラスト気体軸受の軸方
向寸法を大きくとることなく、スラストカラー側の圧力
が上昇した場合にもロータの高速安定性を良好に保つ。 【構成】 ロータ12のスラストカラーである制動ファ
ン16と、安定化キャビティ38をもつ静圧ジャーナル
気体軸受26との間に静圧スラスト気体軸受30を設け
る。この静圧スラスト気体軸受30において、上記制動
ファン16と対向する面(上面)に、排気溝66を形成
する。この排気溝66を、径方向外側の第1の溝63
と、この第1の溝63よりも小幅で浅く、第1の溝63
から静圧スラスト気体軸受30内周面に至る第2の溝6
4とで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘリウム液化冷凍機等
に用いられるタービン式膨張機及びそのロータを支持す
る静圧スラスト気体軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヘリウム液化冷凍機に用いられるタービ
ン式膨張機等、極低温化で使用されるタービン式膨張機
においては、その低温部に油が侵入すると大きなトラブ
ルにつながるおそれがあるため、このようなタービン式
膨張機におけるロータの回転支持には気体軸受を用いる
のが一般的とされている。この気体軸受は、動圧気体軸
受と静圧気体軸受とに大別されるが、動圧気体軸受は低
速時に軸受としての機能を果たさないことから、起動・
停止が頻繁に行われるヘリウム液化機や、膨張タービン
に低速運転が要求されるヘリウム液化冷凍機に使用され
るタービン式膨張機には一般に静圧気体軸受が用いられ
ている。
【0003】図5は、このような静圧気体軸受を備えた
従来のタービン式膨張機の一例を示したものである。図
において、ハウジング10内には上下方向に延びるロー
タ12が回転可能に収容され、その下端部にタービンイ
ンペラ14が形成されている。これに対し、ハウジング
10の側壁下部にはタービン給気口18及びノズル20
が設けられ、底壁にタービン排気口22が設けられてお
り、上記タービン給気口18から導入された作動流体が
ノズル20から上記タービンインペラ14に噴射された
後、タービン排気口22から排出されるようになってい
る。また、ロータ12の上端には径方向外側に突出する
制動ファン16が形成され、この制動ファン16は後述
のようにスラストカラーとしての機能を兼ねている。
【0004】上記ハウジング10内におけるロータ12
の周囲には、上下からブロック24を挾む位置に上側静
圧ジャーナル気体軸受26及び下側静圧ジャーナル気体
軸受28が設けられ、上側静圧ジャーナル気体軸受26
と上記制動ファン16との間の位置には静圧スラスト気
体軸受30が設けられている。
【0005】上下の静圧ジャーナル気体軸受26,28
の外周部には、図7にも示すような給気溝32が形成さ
れ、この給気溝32と静圧ジャーナル気体軸受26,2
8の内側空間とが給気通路34を介して連通されてお
り、この給気通路34において静圧ジャーナル気体軸受
26,28に面する部分は小径のジャーナル軸受給気口
35とされている。また、この静圧ジャーナル気体軸受
26,28において周方向に並ぶ複数の個所(より具体
的には上記給気通路34と同数の個所)には、図6にも
示すような円柱状の安定化キャビティ38が設けられ、
各安定化キャビティ38は上下の通路40を介して静圧
ジャーナル気体軸受26,28の内周面とロータ12の
外周面との隙間に連通されている。
【0006】これに対し、図5に示すブロック24に
は、上下の安定化キャビティ38内に臨む小孔のキャビ
ティ絞り42と、両キャビティ絞り42からブロック2
4の外周面にまで至る排気通路43とが形成されるとと
もに、ハウジング10の側壁には、各静圧ジャーナル気
体軸受26,28の給気溝32に通ずる軸受給気口36
と、上記ブロック24の排気通路43に通ずるジャーナ
ル軸受排気口44とが形成されている。
【0007】下側静圧ジャーナル気体軸受28の下部内
周面には、この内周面とロータ12外周面との隙間を通
じてノズル20からの作動流体が安定化キャビティ38
に流入するのを規制するためのラビリンス46が形成さ
れている。また、上側静圧ジャーナル気体軸受26に
は、上記給気通路34から軸受上面に至るスラスト軸受
給気通路48が設けられている。
【0008】静圧スラスト気体軸受30には、これを上
下方向に貫通するスラスト軸受給気通路50が形成され
ている。このスラスト軸受給気通路50は、その下端開
口が前記上側静圧ジャーナル気体軸受26のスラスト軸
受給気通路48の上端開口と合致する位置に設けられ、
スラスト軸受給気通路50の上端部は図8にも示すよう
な小径のスラスト軸受給気口52とされている。また、
静圧スラスト気体軸受30の外周部上面には全周にわた
ってリング状排気溝54が形成され、ハウジング10の
側壁において上記リング状排気溝54に通ずる位置には
リング状排気溝56及びスラスト軸受排気口58が形成
されている。なお、図8では上記リング状排気溝54の
図示を省略している。
【0009】さらに、この静圧スラスト気体軸受30の
上面には、図8,9にも示すように、径方向に延びる複
数本の排気溝60が形成されている。各排気溝60は、
一様な幅寸法及び深さ寸法を有し、静圧スラスト気体軸
受30の内周面から上記リング状排気溝54に至るまで
延びている。
【0010】このようなタービン式膨張機において、ノ
ズル20からヘリウムガス等の作動流体が噴射されてロ
ータ12が回転駆動されている間、ハウジング10内に
は軸受給気口36から軸受用ガスが供給される。このガ
スは、静圧ジャーナル気体軸受26,28の給気溝32
及び給気通路34を通ってジャーナル軸受給気口35か
ら両静圧ジャーナル気体軸受26,28の内周面とロー
タ12外周面との隙間に供給される一方、この隙間のガ
スは安定化キャビティ38、キャビティ絞り42、及び
ジャーナル軸受排気通路43を通じてジャーナル軸受排
気口44からハウジング10外へ排出される。また、上
記給気通路34内に供給されたガスの一部は、スラスト
軸受給気通路48,50を通ってスラスト軸受給気口5
2から制動ファン16下面と静圧スラスト気体軸受30
の上面との隙間に供給され、この隙間内のガスは、排気
溝60、リング状排気溝54,56、及びスラスト軸受
排気口58を通じてハウジング10外へ排出される。
【0011】このようにして、両静圧ジャーナル気体軸
受26,28及び静圧スラスト気体軸受30によりロー
タ12が回転支持されるが、ロータ12が高速回転を始
めると、ロータ12にふれ回り不安定性が生じ、励振力
が発生する。しかしながら、上記構造では、上記ロータ
12の外周面に通路40を介して安定化キャビティ38
が通じており、かつ、この安定化キャビティ38からの
ガス排出流量がキャビティ絞り42によって規制されて
いるため、上記安定化キャビティ38が上記励振力と反
対向きの力(補償力)を発生させることとなり、これに
よって高速回転時にもロータ12の安定性が確保される
(機械の研究 第29巻 第11号「気体軸受の応用と開発」
参照)。
【0012】また、静圧スラスト気体軸受30の上方に
おいては、この静圧スラスト気体軸受30の上面に対し
て制動ファン16が高速で回転するため、何らの工夫も
施さないと収納部の流れに乱れが生じて軸振動が発生
し、焼き付き等の不都合が発生するおそれがあるが、上
記タービン式膨張機では、静圧スラスト気体軸受30の
上面に形成された排気溝60により軸受部の流れに乱れ
が生じることが抑制されている。
【0013】すなわち、このタービン式膨張機では、両
静圧ジャーナル気体軸受26,28に形成された安定化
キャビティ38と、静圧スラスト気体軸受30に形成さ
れた排気溝60とによって、ロータ12の高速安定性が
確保されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記タービン式膨張機
において、安定化キャビティ38の性能を発揮させるに
は、この安定化キャビティ38内の圧力を適当な範囲内
に保っておく必要があり、例えば、上記排気溝60内の
ガスが静圧スラスト気体軸受30内周面とロータ12外
周面との隙間を通って安定化キャビティ38内に侵入
し、安定化キャビティ38内を昇圧させてしまうと、ロ
ータ12の高速安定性を保つことは困難となる。すなわ
ち、安定化キャビティ38周囲のシール性が安定化キャ
ビティ38の性能を引き出す上で重要なファクタとな
る。
【0015】一方、上記構造では制動ファン16がスラ
ストカラーを兼ねており、しかも静圧スラスト気体軸受
30は単一であるため、運転中でのロータ12の軸方向
の位置を一定させるには、ロータ12を常に下向き(タ
ービン側)に押付けておく必要がある。ここで、ロータ
12に加わる力は、タービンインペラ14の受ける圧
力と面積に起因する上向き力、静圧スラスト気体軸受
30の支持による上向き力、制動ファン16の受ける
圧力と面積に起因する下向き力、の三種類であり、これ
らの力の合力を下向きにするには制動ファン16側の圧
力をタービンインペラ14側の圧力よりも高い圧力に維
持する必要がある。しかも、制動ファン16側の圧力と
静圧スラスト気体軸受30における排気溝60の圧力は
ほぼ等しいため、タービン入口圧力が高くなると、上記
排気溝60の圧力は安定化キャビティ38内の圧力より
も高くなければならず、その圧力差によりガスが排気溝
60から安定化キャビティ38に向かって流れ易くな
り、安定化キャビティ38の昇圧を引き起こすおそれが
ある。
【0016】そこで従来は、上記静圧スラスト気体軸受
30の内周面に図5に示すようなラビリンス62を形成
し、このラビリンス62によって上記内周面とロータ1
2外周面との隙間におけるガスの流れを規制する(いわ
ゆるシール作用)ことにより、このガスの流入すること
による安定化キャビティ38内の昇圧を防いでいる。し
かしながら、このようなラビリンス62を用いた構造に
は次のような問題点がある。
【0017】(a) 上記ラビリンス62によるシール作用
を十分に得るには、このラビリンス62が形成される静
圧スラスト気体軸受30の上下寸法(厚み寸法)を大き
く取らなければならず、その分ロータ12のシャフト部
分も長くなり、ロータ系の固有振動数が低下する。
【0018】(b) 制動ファン16と上側静圧ジャーナル
軸受26との間に一定以上の距離を置かなければなら
ず、このような制約のためにロータ系の重心位置を理想
位置に設定することができない。
【0019】(c) 上記ラビリンス62の配設領域を十分
長くとっても、制動ファン循環流路圧力が約6kg/cm2G
を超えると、ラビリンス62からのリークが顕著となっ
て安定化キャビティ38内の圧力が上昇し、高速安定性
を保てなくなることが実験により確かめられている。
【0020】なお、このような問題点を回避する手段と
して、上記排気溝60及びラビリンス62を設ける代わ
りに、静圧スラスト気体軸受30側にも安定化キャビテ
ィを設け、これによって静圧スラスト気体軸受30側で
の高速安定性を保つことが考えられるが、このような
「安定化キャビティ付静圧スラスト気体軸受」は構造が
複雑であり、コスト高を招くとともに、大きな軸受剛性
が得られないために高速回転機械には不適である。
【0021】本発明は、このような事情に鑑み、簡単な
構造で、静圧スラスト気体軸受の軸方向寸法を大きくと
ることなく、スラストカラー側の圧力が上昇した場合に
もロータの高速安定性を保つことができるタービン式膨
張機及びその静圧スラスト気体軸受を提供することを目
的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハウジング
と、このハウジング内に収容され、径方向外側に突出す
るスラストカラーをもつロータと、このロータを回転可
能に支持するとともに、このロータ外周面との隙間に連
通しかつ内部の気体が絞り部を介して外部に排出される
安定化キャビティを有する静圧ジャーナル気体軸受と、
この静圧ジャーナル気体軸受と上記スラストカラーとの
間に設けられ、このスラストカラーが軸方向に押付けら
れた状態でロータを回転可能に支持する静圧スラスト気
体軸受とを備えたタービン式膨張機において、上記静圧
スラスト気体軸受がスラストカラーと対向する面に半径
方向に延びる複数の排気溝を形成するとともに、この排
気溝を、静圧スラスト気体軸受の径方向外側の空間に通
じ、かつ静圧スラスト気体軸受の内周面よりも径方向外
側の位置まで延びる第1の溝と、この第1の溝よりも小
幅でかつ浅い形状に形成され、この第1の溝から静圧ス
ラスト気体軸受の内周面にまで至る第2の溝とで構成し
たものである。
【0023】また本発明は、タービン式膨張機のハウジ
ング内に設けられたロータのスラストカラーと安定化キ
ャビティをもつ静圧ジャーナル気体軸受との間に配さ
れ、上記スラストカラーが押付けられた状態でロータを
回転可能に支持する静圧スラスト気体軸受において、こ
の静圧スラスト気体軸受がスラストカラーと対向する面
に半径方向に延びる複数の排気溝を形成するとともに、
この排気溝を、静圧スラスト気体軸受の径方向外側の空
間に連通する第1の溝と、この第1の溝よりも小幅でか
つ浅い形状に形成され、この第1の溝から静圧スラスト
気体軸受の内周面にまで至る第2の溝とで構成したもの
である。
【0024】
【作用】上記構成によれば、第1の溝及び第2の溝から
なる排出溝によって、従来と同様にスラストカラーと静
圧スラスト気体軸受との間での高速安定性が確保され
る。しかも、上記第2の溝は第1の溝に比して小幅でか
つ浅く形成されているので、この第2の溝の存在によ
り、第1の溝から静圧スラスト気体軸受内周面とロータ
外周面との隙間を通って安定化キャビティ内に流入する
ガスの量が規制され、これによって安定化キャビティ内
の昇圧が抑制される。
【0025】
【実施例】本発明の一実施例を図1〜図4に基づいて説
明する。なお、図1〜3に示すタービン式膨張機の全体
構造は、大略、前記図5〜図9に示した従来のタービン
式膨張機と同様であり、同等の構成要素には同一の参照
符を付してその説明を省略する。
【0026】このタービン式膨張機の特徴とするところ
は、前記図5に示した静圧スラスト気体軸受30のラビ
リンス62が省略されるとともに、このラビリンス62
に代え、静圧スラスト気体軸受30上面に形成された排
気溝66が、第1の溝63及び第2の溝64で構成され
ている点にある。第1の溝63は、静圧スラスト気体軸
受30の外周部に形成されたリング状排気溝54から静
圧スラスト気体軸受30内周面のすぐ手前の位置まで延
びており、前記図5に示した排気溝60と同等の幅寸法
及び深さ寸法を有している。これに対し、第2の溝64
は、上記第1の溝63よりも小幅でかつ浅く形成されて
おり、第1の溝63の終端から静圧スラスト気体軸受3
0の内周面にまで至っている。
【0027】このような構造によれば、第1の溝63及
び第2の溝64からなる排気溝66が、図5に示した排
気溝60と同様にリング状排気溝54から静圧スラスト
気体軸受30の内周面との間の全域に延びているので、
従来と同様に上記排気溝66によって制動ファン16背
面(下面)と静圧スラスト気体軸受30上面との間での
高速安定性を確保することができる。しかも、上記第2
の溝64は第1の溝63に比して小幅でかつ浅く形成さ
れているので、この第2の溝64の存在により、第1の
溝63内のガスが静圧スラスト気体軸受30の内周面と
ロータ12外周面との隙間を通って安定化キャビティ3
8内に流入するのを規制することができ、これによって
安定化キャビティ38内の昇圧を抑え、この安定化キャ
ビティ38による高速安定化機能も十分に確保すること
ができる。
【0028】次に、本発明の効果を確認するために行っ
た実験の結果を示す。本発明者等は、次の三種類の静圧
スラスト気体軸受を用いて試験的にタービン式膨張機の
運転を行った。
【0029】A)図5に示すように、全域にわたって均
一な幅寸法及び深さ寸法を有する排気溝60をリング状
排気溝54から静圧スラスト気体軸受内周面に至る領域
に形成し、かつ内周面にラビリンス62を形成した軸
受。
【0030】B)図2に示す第1の溝63のみを形成
し、第2の溝64を省略した軸受。すなわち図5に示す
排気溝60を内周面に至る前で断ち、この排気溝60内
と静圧スラスト気体軸受の内側とを遮断し、内周面のラ
ビリンス62を省略した軸受。
【0031】C)図1,2に示すように、第1の溝63
及び第2の溝64を設け、かつラビリンスを省略した本
実施例における軸受。
【0032】上記運転により、次のような結果が得られ
た。
【0033】A)の軸受(従来軸受):図4の一点鎖線
L1に示すように、制動ファン16の循環流路圧力を上
げると安定化キャビティ38内の圧力が著しく上昇し、
高速安定性が悪くなった。具体的には、制動ファン16
の循環流路圧力が約6kg/cm2G 以上になると、安定化キ
ャビティ38内の圧力が2kg/cm2G程度まで上昇してし
まい、この安定化キャビティ38の制振性能が十分に得
られなくなった。これは、上記制動ファン循環流路圧力
の上昇に伴い、ラビリンス62からのリークが増え、安
定化キャビティ38に流入するガス量が増大したものと
考えられる。
【0034】B)の軸受(従来軸受の変形):図4の実
線L2に示すように、制動ファン循環流路圧力を上げて
も安定化キャビティ38内の圧力はさほど上昇しなかっ
た。しかしながら、制動ファン循環流路圧力が約4kg/c
m2G に至り、かつロータ周速が約160m/sである時点で
ホワールが発生し、ロータ12に焼き付きが生じて高速
安定性はA)の軸受よりも却って悪くなった。これは、
排気溝60がリング状排気溝54から軸受内周面に至る
までの径方向全域にわたって形成されていないために、
この排気溝60による高速安定化機能が得られなかった
ためと考えられる。
【0035】C)の軸受(本実施例の軸受):図4の破
線L3に示すように、制動ファン循環流路圧力の上昇に
伴う安定化キャビティ38内の圧力上昇は非常に小さ
く、しかも、制動ファン循環流路圧力を約7kg/cm2G ま
で上昇させてもB)の軸受に見られたようなトラブルは
発生せず、ロータ周速が約200m/sに達しても安定な運
転が可能であった。これは、安定化キャビティ38及び
排気溝66双方の高速安定化機能が有効に発揮されたこ
とを物語っている。
【0036】以上の結果から、制動ファン循環流路圧力
が上昇しても十分な高速安定性を確保するには、本発明
のように排気溝を第1の溝とこの第1の溝よりも小幅で
かつ浅い第2の溝とで構成することが重要であることが
伺える。
【0037】なお、本発明において、安定化キャビティ
及び排気溝の配設数や、排気溝の幅寸法及び深さ寸法は
構造に応じて適宜設定すればよい。また、静圧ジャーナ
ル気体軸受の個数も問わず、静圧ジャーナル気体軸受と
ロータ側のスラストカラーとの間に静圧スラスト気体軸
受が配される場合に広く本発明を適用することができ
る。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明は、安定化キャビテ
ィ付静圧ジャーナル気体軸受とロータ側のスラストカラ
ーとの間に配される静圧スラスト気体軸受において、こ
のスラスト軸受が上記スラストカラーと対向する面に排
気溝を設けるとともに、この排気溝を径方向外側の第1
の溝と径方向内側の第2の溝とで構成し、この第2の溝
を第1の溝よりも小幅でかつ浅い形状に形成してガス流
量を規制するようにしたものであるので、この排気溝に
よって静圧スラスト気体軸受側の高速安定性を十分に確
保するとともに、上記第2の溝による流量規制によって
安定化キャビティ内の昇圧を防ぐことにより、スラスト
カラー側の圧力が上昇した場合にも安定化キャビティの
高速安定化機能を十分に確保することができる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるタービン式膨張機の
断面正面図である。
【図2】上記タービン式膨張機に設けられる静圧スラス
ト気体軸受の平面図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】上記タービン式膨張機及び従来のタービン式膨
張機における制動ファン循環流路圧力と安定化キャビテ
ィ平均圧力との関係を示すグラフである。
【図5】従来のタービン式膨張機の断面正面図である。
【図6】上記タービン式膨張機に設けられる静圧ジャー
ナル気体軸受の平面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】上記タービン式膨張機に設けられる静圧スラス
ト気体軸受の平面図である。
【図9】図8のC矢視図である。
【符号の説明】
10 ハウジング 12 ロータ 16 制動ファン(スラストカラー) 26 上側静圧ジャーナル気体軸受 30 静圧スラスト気体軸受 38 安定化キャビティ 42 キャビティ絞り 63 第1の溝 64 第2の溝 66 排気溝

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、このハウジング内に収容
    され、径方向外側に突出するスラストカラーをもつロー
    タと、このロータを回転可能に支持する静圧ジャーナル
    気体軸受と、この静圧ジャーナル気体軸受と上記スラス
    トカラーとの間に設けられ、このスラストカラーが軸方
    向に押付けられた状態でロータを回転可能に支持する静
    圧スラスト気体軸受とを備え、上記静圧ジャーナル気体
    軸受に、その内周面とロータ外周面との隙間に連通しか
    つ内部の気体が絞り部を介して外部に排出される安定化
    キャビティが形成されたタービン式膨張機において、上
    記静圧スラスト気体軸受がスラストカラーと対向する面
    に半径方向に延びる複数の排気溝を形成するとともに、
    この排気溝を、静圧スラスト気体軸受の径方向外側の空
    間に通じ、かつ静圧スラスト気体軸受の内周面よりも径
    方向外側の位置まで延びる第1の溝と、この第1の溝よ
    りも小幅でかつ浅い形状に形成され、この第1の溝から
    静圧スラスト気体軸受の内周面にまで至る第2の溝とで
    構成したことを特徴とするタービン式膨張機。
  2. 【請求項2】 タービン式膨張機のハウジング内に設け
    られたロータのスラストカラーと安定化キャビティをも
    つ静圧ジャーナル気体軸受との間に配され、上記スラス
    トカラーが押付けられた状態でロータを回転可能に支持
    する静圧スラスト気体軸受において、この静圧スラスト
    気体軸受がスラストカラーと対向する面に半径方向に延
    びる複数の排気溝を形成するとともに、この排気溝を、
    静圧スラスト気体軸受の径方向外側の空間に連通する第
    1の溝と、この第1の溝よりも小幅でかつ浅い形状に形
    成され、この第1の溝から静圧スラスト気体軸受の内周
    面にまで至る第2の溝とで構成したことを特徴とするタ
    ービン式膨張機における静圧スラスト気体軸受。
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