JPH0691645A - 熱可塑性複合材料の製造方法 - Google Patents

熱可塑性複合材料の製造方法

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JPH0691645A
JPH0691645A JP3326905A JP32690591A JPH0691645A JP H0691645 A JPH0691645 A JP H0691645A JP 3326905 A JP3326905 A JP 3326905A JP 32690591 A JP32690591 A JP 32690591A JP H0691645 A JPH0691645 A JP H0691645A
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Masaru Nakagawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続補強繊維に熱可塑性樹脂を連続的に溶融
含浸する方法であり、含浸性に優れた熱可塑性複合材料
を、高速度で生産する方法を提供する。 【構成】 連続補強繊維を、S字状のダイとそれに連続
する直線状のダイに通過させ含浸を行なう方法であり、
該S字状ダイの曲率に補強繊維を沿わせ、開繊状態を維
持させつつ通過させると同時に、該S字状ダイの曲率の
各々の頂点から±60゜以内に設けられた樹脂吐出口よ
り樹脂を吐出し、補強繊維に部分的に含浸させた後、直
線状ダイでさらに含浸を向上させる熱可塑性複合材料の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性複合材料の製
造方法に関し、さらに詳細には、連続補強繊維に連続的
に熱可塑性樹脂を含浸し熱可塑性複合材料の線材、棒状
物、ペレット等を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複合材料のマトリックスには、熱
硬化性樹脂が多く用いられてきた。しかし、貯蔵安定
性、靭性、作業環境等の問題があり、近年、熱可塑性樹
脂が注目され、開発がさかんに行われている。ところ
が、熱可塑性樹脂は、一般に溶融粘度が高く、補強繊維
に連続的に含浸させることが困難である。そのため種々
の方法が開発されている。例えば、熱可塑性樹脂を溶媒
に溶解し、粘度を低下させ、補強繊維に含浸させる方法
や、熱可塑性樹脂に可塑剤を加え溶融粘度を低下させ、
補強繊維に含浸させる方法がある。また、熱可塑性樹脂
のモノマーを補強繊維に含浸させ、その後に重合させ高
分子量化させ複合材料を得る方法がある。さらには、溶
融熱可塑性樹脂内で、補強繊維をしごいて強引に含浸さ
せる方法や、熱可塑性樹脂の充満した高圧のダイ内で補
強繊維に含浸する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の溶媒を用いる方
法は、基本的に溶媒に溶解する熱可塑性樹脂に適用が限
定されるのと同時に、含浸後に溶媒を除去し、回収する
必要があり、効率が悪く、また樹脂中の溶媒を全て除去
することは非常に困難であり、残留溶媒のため得られた
複合材料の物性に悪影響を及ぼすことがある。さらに、
溶媒を使用するため作業環境が悪くなる。一方、可塑剤
を使用する方法においても同様に含浸後に可塑剤を除去
する必要があり、効率が悪く、また樹脂中の可塑剤を完
全に除去することは非常に困難であり、残留可塑剤によ
る物性への悪影響がありうる。モノマーを用いる方法
は、溶媒等を使用せずに粘度の低い状態を得られるが、
含浸後に重合させ得る樹脂はかなり限定される。しかも
重合時の重合度のコントロールが困難な場合が多く、一
定の品質の複合材料が得られにくい。
【0004】さらに、溶融熱可塑性樹脂内で補強繊維を
しごいて強引に含浸させる方法は、熱可塑性樹脂の種類
は限定されず溶媒等の問題もないが、しごきと樹脂の粘
性抵抗のため引き取り張力は高くなり、生産速度を向上
させることが困難である。また、無理やり速度を上げれ
ば補強繊維の毛羽の発生を生じさせ、最終的には補強繊
維の切断に至る。同様に、熱可塑性樹脂の充満した高圧
のダイ内で補強繊維に含浸する方法は、生産速度を向上
させようとすれば速度に比例して圧力を上げる必要があ
り、速度には自ずと限界がある。このように、従来技術
では溶媒等を用いずにかつ高生産速度を実現することは
困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、鋭意研究した結果本発明に至った。即ち本発明は、
連続補強繊維に熱可塑性樹脂を含浸する方法において、
S字状の曲面を有する第1のダイを通し、該S字状ダイ
には、該補強繊維がS字様に従い開繊状態を維持して通
過できる溝があり、張力下にて該溝を通過せしめなが
ら、該溝のS字の曲率の各々の頂点から±60゜以内に
設けられた、該溝幅と同じかそれより小さい2つの樹脂
吐出口より溶融熱可塑性樹脂を吐出せしめ、該開繊状態
の補強繊維の片側と続いてもう片側に部分的に溶融熱可
塑性樹脂を含浸せしめた後、第1のダイと連続した第2
の直線状ダイを通過せしめ、さらに含浸を向上させるこ
とを特徴とする熱可塑性複合材料の製造方法である。本
発明においては、溶媒等を用いずに、溶融できる熱可塑
性樹脂であれば全て使用でき、かつ含浸性に優れている
ので高生産速度を実現できる。以下に本発明を詳細に説
明する。
【0006】本発明に用いる連続補強繊維は、マトリッ
クスに用いる熱可塑性樹脂の融点より高い融点を有する
物であればよく、特に限定されないが望ましくは、カー
ボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、SiC繊維、金
属繊維などがよい。連続補強繊維はマルチフィラメント
が望ましく、そのフィラメント本数は50〜20000
本程度がよく、より好ましくは200〜10000本が
よいがこれに限定されるものではない。さらにこれら繊
維は実質的に撚がないのが望ましい。実質的に撚がない
とは、1回/m以下の撚のことである。さらにこれら繊
維には、用いる熱可塑性樹脂との接着性を向上させる処
理が施されているのが好ましい。これら繊維は、種類の
異なる繊維を組み合わせて用いてもよく、また、同一種
類の繊維を複数本同時に用いてもよく、最終的に所望さ
れる複合材料に求められる特性に応じて選定すればよ
い。
【0007】一方、マトリックスになる熱可塑性樹脂
は、溶融可能な樹脂であれば特に限定されず、要求され
る複合材料の特性に応じて選択すればよい。例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、及びそれらの共重合物や
変性物等のポリオレフィン系、ナイロン6、66、4
5、12等のポリアミド系、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等のポリエステル系、熱可塑性ポリウレタン等の
熱可塑性エラストマー、ポリアセタール系、液晶ポリマ
ー系、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン
等でありこれに限定されるものではない。このような樹
脂の溶融粘度は、要求される複合材料の特性に応じて選
定すればよいが、なるべく低いのが好ましい。好ましく
は、融点+20℃におけるゼロせん断速度の溶融粘度が
200〜10000ポイズ、さらに好ましくは500〜
4000ポイズであるがこれに限定されるものではな
い。溶融粘度が200ポイズ未満の場合は、得られる複
合材料の物性が悪くなる傾向にあり、一方、10000
ポイズを超える場合には、含浸が困難になる傾向にあ
る。
【0008】本発明に用いる含浸用ダイは、二つの形状
からなる。第1のダイは、図1に示す様にS字状のまた
は、それに類する曲面を有している。該局面は、連続補
強繊維の開繊状態を維持するために必要であり、開繊状
態下にて、溶融熱可塑性樹脂を付与するものである。該
曲面の曲率は、十分に吟味して決定されなければならな
い。曲率半径が小さすぎると、補強繊維が毛羽立ち易く
なり、糸切れの原因となると同時に、引き取り張力も高
くなり、高速度生産が困難となる。一方、曲率半径が大
き過ぎると、補強繊維の、曲面に押し当てられる力が小
さくなり、含浸がわるくなる。特に剛性の高い補強繊維
を使用する場合は、無理に曲面に沿わせると、折れたり
し損傷する可能性が非常に高い。従って、使用する補強
繊維を実際に曲率の異なる曲面に沿わせ、損傷しにくい
曲率に決定する必要がある。
【0009】該曲面には補強繊維が開繊状態を維持し、
通過できる幅の溝がある(図2)。該溝の幅は使用され
る補強繊維の集束本数、開繊状態により異なるが、屈曲
開繊によって、開繊された幅と同じか、それより狭いの
が好ましい。また、該溝の表面は滑らかに仕上げられて
おらねばならず、低い摩擦係数を有するように材質、加
工が選択されるのが好ましい。さらに、該溝の底の形状
は平坦が好ましいが、幅方向に湾曲しており補強繊維の
開繊をより促進するような形状でもよい。(図3)。
【0010】該溝には溶融熱可塑性樹脂の吐出口があ
る。該吐出口は、S字の曲率の各々の頂点から±60゜
以内に一つずつ設けられており、好ましくは、頂点より
進行方向に0〜30゜に一つずつ設けられており、その
形状は任意のものでよいがスリット形状が好ましく、そ
の幅は、該溝の幅と同じか若干狭い形状でなければなら
ない。上記のような樹脂吐出口は、曲面の曲率の中心側
から樹脂を吐出し、始めの吐出口にて補強繊維の片側に
樹脂を付与し、続いてもう一つの吐出口より補強繊維の
もう片側に樹脂を付与する。
【0011】該溝に供給される補強繊維は、適正な張力
を与えて、曲面に供給されることにより、曲面に沿って
開繊され、その状態を維持する。好ましくは、特に集束
剤等で集束されているような補強繊維の場合は、公知の
開繊手段により開繊され、単繊維レベルに分離され、曲
面で開繊状態が維持可能な張力を与えて供給される。張
力は、高いほど含浸には有利であるが、引き取り張力も
高くなり好ましくない。一方、低すぎる場合は、曲面で
開繊状態が維持されず、含浸状態が悪くなる。そのた
め、供給張力は十分検討されなければならない。用いる
補強繊維の種類や、熱可塑性樹脂の溶融粘度にもよる
が、好ましくは、0.1〜5g/デニールぐらいがよ
い。このように、補強繊維を供給張力により、しごきな
がら曲面に押しあてることにより、開繊状態を維持しつ
つ樹脂が付与されるため単糸間への含浸がより速やかに
行われる。また、曲面に供給する直前に該補強繊維を、
使用する樹脂の溶融温度近辺に加熱することが望まし
い。加熱方法は、接触式ヒータや赤外線ヒータなどを用
いることができる。
【0012】該曲面での二つの樹脂吐出口からの樹脂吐
出量は、最終的に所望される複合材料の樹脂重量の30
〜90%であり、好ましくは40〜70%である。ここ
での樹脂吐出量が30重量%未満では最終的に得られる
複合材料の樹脂含浸状態が悪くなり、一方90重量%を
超えると引き取り張力が高くなり、それと同時に該溝内
に樹脂の滞留が生じて樹脂の劣化を生じさせる。このよ
うな樹脂の吐出量は、例えばギヤポンプ等を用いてコン
トロールすることができる。
【0013】このようにして、該曲面では含浸が行われ
るが、その含浸度は条件によっても異なるが、おおよそ
30〜70%であり完全ではない。また、そのような含
浸度になるように、供給張力等を調整するのが、好まし
い。ここで、含浸度とは全補強繊維の単糸本数に対す
る、樹脂で50%以上濡れている補強繊維の単糸本数の
割合を意味し、50%以上濡れているとは、単糸の円周
の半分以上が濡れていることを意味する。含浸度の測定
方法としては、得られた複合材料の断面写真を適正な倍
率で撮影し、その写真上に透明フイルムを添付後、樹脂
で50%以上濡れている補強繊維上に点を打ち、このフ
イルムを画像処理して点の数を数え、前記の定義に従い
算出した。
【0014】このように、部分的に含浸した補強繊維
は、第1のダイに連続して設置された第2の直線状ダイ
に供給される。該直線状ダイは、含浸をさらに向上させ
るために用いられる。そのため、該直線状ダイは樹脂で
充満され圧力がかかっているのが好ましい。また、該直
線状ダイの長さは、短いほうが引き取り張力が高くなら
ず好ましいが、樹脂の溶融粘度や生産速度により決定す
ればよい。また、ダイ内の圧力は高いほうがより含浸に
は有利だが、本発明の場合は、第1のダイにおいて含浸
が部分的に行われているので直線状ダイ内の圧力は低く
てよい。好ましくは、0.1〜25kg/cm2 、より好ま
しくは5〜15kg/cm2 であるが、樹脂の溶融粘度等に
より決定すればよい。また、該直線状ダイの断面寸法
は、補強繊維の断面積に対して十分大きいほうがよい
が、樹脂の滞留等がないように十分検討する必要があ
る。
【0015】さらに、第1のダイと第2のダイの間に、
幅は第1のダイと同じ幅でありながら、高さのみ低い絞
り部を有していてもよい(図4)。このような絞り部に
より、補強繊維の開繊状態は維持されつつ含浸が促進さ
れる。しかしながら、その高さは樹脂を部分的に含浸し
た補強繊維が通過できるだけの高さが必要であり、これ
より低すぎると引き取り張力が課題となり、または付着
した樹脂がしごき落とされて第1のダイに滞留したり、
補強繊維が引っかかり糸切れの原因となりうるからであ
る。また、該絞り部の長さは、長すぎてはいけない。な
ぜならば、絞り部により張力が高くなるので、長すぎる
と生産速度の向上ができないばかりか糸切れの原因とな
りうるからである。また、該絞り部は第2のダイ内に充
満している樹脂が逆流して第1のダイへ流れ込み、第1
のダイが樹脂で充満するのを防ぐ堰の役目もはたす。
【0016】第2のダイの出口の形状は、樹脂含浸され
た補強繊維の最終形状と同一か、または、ダイ内で開繊
状態を維持するために偏平な形状でもよい。ただし、後
者の場合、所望される最終形状にするために後賦形する
必要がある。このような後賦形のために、第2のダイの
後に賦形ダイを用いたり、賦形圧縮ローラーを用いるこ
とができる。しかも、これらは、さらに含浸を向上させ
るのにも有用であり、特に、圧縮ローラーはより高生産
性速度を達成するのに有用である。また、第2のダイの
出口の断面積は、所望繊維含有率になるよう十分検討さ
れて決定されなければならない。このようにして得られ
た熱可塑性複合材料は、含浸度が45%以上、好ましく
は60%以上である。含浸度が45%より低ければ、複
合材料として所望される引張強度、曲げ強度、衝撃強度
が得られ難い。
【0017】
【作用】このように、第1のS字状の曲面ダイに、張力
を与えながら連続補強繊維を供給し、これを曲面に沿わ
せることによって、該連続補強繊維を曲面ダイの溝幅い
っぱいまで開繊し、さらに開繊状態を維持させながら通
過させることができる。この開繊状態下において、樹脂
吐出口より溶融熱可塑性樹脂を付与すると、補強繊維の
張力と樹脂の吐出圧力、さらに該補強繊維が曲面に沿う
ことにより、樹脂が補強繊維の単糸間に速やかに含浸す
る。第1のS字状の曲面ダイの段階では、吐出される樹
脂量は複合材料として最終的に所望される量より少な
い。そのため、含浸は部分的である。しかし、ここで吐
出樹脂量を増加させ最終的に所望される複合材料の樹脂
重量の90%を越えさせると、補強繊維が樹脂を全て持
って行かず樹脂が第1のダイ内に充満し、樹脂の粘性抵
抗による張力の増大や、樹脂の劣化を招く。一方、吐出
樹脂量が30%より少なければ、最終的に含浸状態の悪
い複合材料しか得られない。
【0018】さらに、樹脂の吐出口が曲面の頂点近傍に
あることにより、樹脂と曲面での抵抗となる距離を短く
し、また、片側ずつに樹脂を付与することにより、同様
に樹脂と曲面での抵抗となる距離を短くし、引き取り張
力の増大を防ぐものである。このように、第1のダイ内
に樹脂を充満させることなく、含浸を行なうので、引き
取り張力を低めに抑えることができるのである。しかし
ながら、この第1のダイだけでは含浸は部分的であるの
で、第2の直線状ダイを用いて、より含浸を向上させ
る。該第2のダイでは、樹脂の吐出圧力により含浸を向
上させるが、第1のダイにより部分的に含浸されている
ので、高圧力、長時間は必要としない。従って、ダイの
長さを短くでき、粘性抵抗による引き取り張力の増大を
防ぐことが可能となる。このようにして、引き取り張力
を低く抑えることにより、含浸度のよい熱可塑性複合材
料を高生産速度にて得ることができる。さらに、より高
速度での生産を必要とするのであれば、第2のダイの後
に、さらに含浸を向上させる補助含浸手段として、圧縮
ローラーや賦形ダイを用いても良い。
【0019】
【発明の効果】本発明により、含浸度の優れた熱可塑性
複合材料を従来方法より高速度にて生産でき、熱可塑性
複合材料の様々な分野への展開を可能にするものであ
る。
【0020】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0021】実施例1 図1に示すような含浸ダイを用いて、図5に示した工程
で補強繊維への含浸を行なった。第1のS字状ダイは、
曲率半径25mmであり、溝の幅は4mmである。また、樹
脂吐出口は、曲面の頂点にそれぞれ位置し、その幅は4
mmで、厚さは1mmのスリット状である。これに連続させ
て幅15mm、高さ6mm、長さ150mmの直線状の第2の
ダイを使用した。第2のダイには、第1のダイとの接続
部近傍に上下2個の樹脂吐出口を設けてある。また第2
のダイの中央には圧力センサーが有り、ダイ内の圧力を
検出する。ダイへの樹脂供給は、押出機の後にギヤーポ
ンプを用いて定量供給した。
【0022】連続補強繊維として、ガラス繊維を使用し
た。このガラス繊維は、単糸径13.3μm、フィラメ
ント本数1600本、575テックスのダイレクトロー
ビングである。このガラス繊維にはアミノシランとアク
リル系の表面処理剤が施されている。さらに、このガラ
ス繊維を横外取り積極解舒を行い、実質的に無撚の状態
でダイに供給した。一方、熱可塑性樹脂はナイロン6を
用いた。このナイロン6の融点+20℃におけるゼロせ
ん断速度における溶融粘度は、2560ポイズであっ
た。
【0023】第2のダイの出口は、幅3mm、高さ0.2
5mm、長さ3mmであり、上記ガラス繊維とナイロン6樹
脂を用いた場合、繊維含有率が50重量%になるように
設定した。ガラス繊維を、5本の直径10mmの棒でしご
きながら開繊し、約400gの張力でダイに供給した。
第1のダイでの樹脂吐出量は所望樹脂量の50%とし、
各々の吐出口に1対1に振り分けた。また、第2のダイ
では、残りの50%を付与するように設定した。このと
き、第2のダイ内の圧力を約10kg/cm2 になるよう調
整を行なった。引き取り速度、引き取り張力、含浸度の
関係を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 実施例1において、第1のダイでの吐出量の割合を変更
し、それに併せて第2のダイの樹脂吐出量を変更した。
引き取り速度は25m/分であった。結果を表2に示
す。この結果から、第1のダイでの吐出量の割合は30
〜90%が含浸に良い結果を与えることが判る。(ここ
で、表2中のNo.1、2、7は比較例である。)
【0026】
【表2】
【0027】実施例3 実施例1において、図4の様に、第1のダイと第2のダ
イの間に、幅4mm、高さ0.3mm、長さ5mmの絞り部を
設けた。第1のダイでの吐出量50%、引き取り速度2
5m/分で行なった。引き取り張力は6.7kg、含浸度
は87%であった。引き取り張力は若干高くなったが、
含浸度が向上した。
【0028】比較例1 実施例1の第1のダイの樹脂吐出口を、それぞれ曲面の
頂点から+80゜に設定した以外は実施例1と同様に行
なった。尚、引き取り速度は25m/分で行なった。引
き取り張力は、5.1kg、含浸度は35%であった。実
施例1に較べ、引き取り張力は低くなったものの、含浸
度が大幅に低下した。
【0029】比較例2 実施例2において、第1のダイでの樹脂吐出を行なわ
ず、第2のダイのみで含浸を行なった。この際の、ダイ
内圧力を約10kg/cm2 とした。結果を表2のNo.1にし
た。引き取り張力は低いものの、含浸度が劣るものであ
った。
【0030】比較例3 実施例2において、第1のダイでの樹脂吐出を100%
とし、第2のダイでの樹脂吐出を行なわなかった。この
場合は、徐々に引き取り張力が増大し、最終的には1
0.2kgとなり、含浸度は41%と低いものであった。
結果を表2のNo.7に示した。
【0031】比較例4 実施例2において、第1のダイでの樹脂吐出を20%と
し、熱可塑性複合材料を得た。この際の、ダイ内圧力は
約10kg/cm2 であった。結果を表2のNo.2に示した。
引き取り張力は低いものの、含浸度に劣ったものであっ
た。
【0032】比較例5 実施例1の補強繊維を用いて第2のダイのみによる樹脂
含浸を試みた。ダイ内圧力35kg/cm2 、引き取り速度
3m/分にて含浸度は33%であったが、引き取り張力
が15kgもあった。また、ダイ内圧力を55kg/cm2
変えたが、含浸度は35%とさほど向上しなかった。更
に、速度を7m/分にしたところガラス繊維が切断し
た。
【0033】比較例6 第2のダイ内に直径3mmの固定しごき棒を3本設け、圧
力を約10kg/cm2 にし含浸を試みた。用いた補強繊維
は、実施例1と同じとした。3m/分で含浸度72%で
あったが、引き取り張力が23kgと高く、運転開始3分
後にガラス繊維が切断した。これは、しごき棒により、
ガラス繊維の単糸が多数切れたためである。
【0034】実施例4 実施例1のガラス繊維を6本並列に並べ、図6の様にダ
イへ供給し含浸後、丸断面形状に賦形できる形状を有し
ている2対の圧縮ローラー(図7)に通し含浸賦形し
た。引き取り速度は30m/分、含浸度は73%であっ
た。この様にして得られた、丸断面の棒状体を長さ12
mmに切断して、ペレットとし、射出成形を行った。得ら
れた、射出成形品のノッチ付アイゾット衝撃強度は、4
0kgcm/cmと非常に高いものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例のダイの形態を示す略式
図である。
【図2】第1のS字状ダイの溝の一例図である。
【図3】第1のS字状ダイの別の形態の溝の一例図であ
る。
【図4】本発明に従う一実施例のダイの別の形態を示す
略式図である。
【図5】本発明に従う別の態様の一実施例の各装置の略
式図である。
【図7】第5図は、圧縮ローラーの一例の拡大図であ
る。
【符号の説明】
1 第1のS字状ダイ 2 第2の直線状ダイ 3 ダイ出口 4 樹脂吐出口 5 溝 6 絞り部 7 クリール 8 補強繊維 9 開繊バー 10 水槽 11 引き取り機 12 巻取り機 13 ギャーポンプ 14 押出機 15 圧縮ローラー凹 16 圧縮ローラー凸 17 含浸された熱可塑性複合材料 18 ペレタイザー 19 ペレット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例のダイの形態を示す略式
図である。
【図2】第1のS字状ダイの溝の一例図である。
【図3】第1のS字状ダイの別の形態の溝の一例図であ
る。
【図4】本発明に従う一実施例のダイの別の形態を示す
略式図である。
【図5】本発明に従う別の態様の一実施例の各装置の略
式図である。
【図6】本発明に従う別の態様の一実施例の各装置の略
式図である。
【図7】圧縮ローラーの一例の拡大図である。
【符号の説明】 1 第1のS字状ダイ 2 第2の直線状ダイ 3 ダイ出口 4 樹脂吐出口 5 溝 6 絞り部 7 クリール 8 補強繊維 9 開繊バー 10 水槽 11 引き取り機 12 巻取り機 13 ギャーポンプ 14 押出機 15 圧縮ローラー凹 16 圧縮ローラー凸 17 含浸された熱可塑性複合材料 18 ペレタイザー 19 ペレット
フロントページの続き (72)発明者 中島 昭則 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 中川 勝 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続補強繊維に熱可塑性樹脂を含浸する
    方法において、S字状の曲面を有する第1のダイを通
    し、該S字状ダイには、該補強繊維がS字様に従い開繊
    状態を維持して通過できる溝があり、張力下にて該溝を
    通過せしめながら、該溝のS字の曲率の各々の頂点から
    ±60゜以内に設けられた、該溝幅と同じかそれより小
    さい2つの樹脂吐出口より溶融熱可塑性樹脂を吐出せし
    め、該開繊状態の補強繊維の片側と続いてもう片側に部
    分的に溶融熱可塑性樹脂を含有せしめた後、第1のダイ
    と連続した第2の直線状ダイを通過せしめ、さらに含浸
    を向上させることを特徴とする熱可塑性複合材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性複合材料が本文で規定する含浸
    度45%以上を有する請求項1記載の熱可塑性複合材料
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1のS字状ダイと第2の直線状ダイの
    間に絞り部を有する請求項1記載の熱可塑性複合材料の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 第1のS字状ダイの2つの樹脂吐出口か
    らの溶融熱可塑性樹脂の吐出量が、最終所望熱可塑性複
    合材料の樹脂重量の30〜90%である請求項1記載の
    熱可塑性複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 第2の直線状ダイの後にさらに含浸を向
    上せしめる手段を有する請求項1記載の熱可塑性複合材
    料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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DE19727388B4 (de) * 1997-06-27 2004-08-12 Deutsche Telekom Ag Fernabfragesystem zur Bereitstellung von Informationen über Verkehrsverhältnisse
JP2009221479A (ja) * 2006-02-27 2009-10-01 Asahi Kasei Chemicals Corp ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物

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