JPH0691518B2 - ディジタル無線チャネルシミュレータ - Google Patents

ディジタル無線チャネルシミュレータ

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JPH0691518B2
JPH0691518B2 JP62266249A JP26624987A JPH0691518B2 JP H0691518 B2 JPH0691518 B2 JP H0691518B2 JP 62266249 A JP62266249 A JP 62266249A JP 26624987 A JP26624987 A JP 26624987A JP H0691518 B2 JPH0691518 B2 JP H0691518B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ディジタル無線チャネルの伝搬実験を疑似的
に行なう実験装置に関するものであり、無線チャネルに
おけるレベル変動等による符号誤りの発生状況をベース
バンド系でシミュレートするディジタル無線チャネルシ
ミュレータに関するものである。
〔従来の技術〕
従来、無線チャネルの伝搬実験を室内で疑似的に行なう
際は、室内実験用のフェージングシミュレータを用いて
いた。このフェージングシミュレータは高周波信号をイ
ンタフェースとして無線伝搬路を疑似的設定するもので
あることから、送受信機の検討、特にダイバーシチ技術
や変復調技術の検討に有効であった。
第1図は無線チャネルの伝搬実験の系の基本構成を示す
ブロック図であって、1は変調器、2は送信機、3は送
信アンテナ、4,4′は伝搬路、5は受信機、6は復調
器、7は減衰器、8はフェージングシミュレータを表わ
している。
第1図(a)は無線チャネルの伝搬実験を屋外で行なう
ときの基本構成を示すもので、入力データ系列はディジ
タルFMなどで変調された後、増幅され、送信アンテナ3
から送出される。伝搬路4では、送信信号は減衰すると
同時にフェージングを受ける。受信信号は受信機5で受
信された後、復調器6において復調され、ビット誤りを
含む復調データ系列が出力される。
室内実験用のフェージングシミュレータは、第1図
(a)の伝搬路4で生じるフェージングをシミュレート
するものである。
第1図(b)は前記フェージングシミュレータを用いた
室内実験の構成を示すブロック図である。
伝搬路4′における信号の減衰は減衰器7で疑似的に行
なっている。この構成では、減衰器7により受信レベル
を調整し、フェージングシミュレータ8のフェージング
ピッチを設定すれば、屋外での無線チャネル伝搬実験を
室内でシミュレートできる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上述したような従来の室内実験用の系においては、送信
機および受信機は、屋外実験に用いるものと同等のもの
を用意しなければならないため、実験系が大がかりにな
るという欠点があった。
さらに、無線系各部のレベル調整が必要となることや、
送受信機による特性のばらつきが多いなどの問題点があ
った。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、取り扱いが
容易で、特性のばらつきが少なく、コンパクトに実現し
得るシミュレータを提供することを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明によれば、上述の目的は前記特許請求の範囲に記
載した手段により達成される。
すなわち、本発明は、高周波信号を介さず、ベースバン
ド系で、フェージング等による受信信号の振幅と位相の
変化、および前記振幅と位相の変化に伴なうビット誤り
の発生状況をシミュレートするものである。
本シミュレータは、送受信機を用いないのできわめてコ
ンパクトであり、送受信機による特性のばらつきが生じ
ない。また、高周波信号を介さないので、熟練を要する
無線系の調整を必要としない。
〔実施例〕
第2図は、本発明のディジタル無線チャネルシミュレー
タを用いた無線チャネル伝搬実験の系の基本構成を示す
ブロック図である。
本発明のディジタル無線シミュレータ9は、無線チャネ
ルの伝搬実験における送信部の変調器から受信部の復調
器までをシミュレートするものであり、受信レベル・位
相発生部10と符号誤り発生部11に分かれる。受信レベル
・位相発生部10は、伝搬路の伝達関数を与えれば、リア
ルタイムで受信信号の振幅と位相をシミュレートする。
符号誤り発生部11は、ビット誤り率の静特性を与えれ
ば、前記受信信号の振幅と位相に基づいて入力データ系
列にビット誤りを重畳し、復調データ系列として出力す
る。
第3図は本発明のシミュレータの第1の実施例の内部構
成を示すブロック図であって、10は受信レベル・位相発
生部、11は符号誤り発生部、12は20段PN発生器、13は21
段PN発生器、14,15はスペクトル整形フィルタ、16,17は
線形補間ブロック、18,19は2乗計算ブロック、20は受
信CNR計算ブロック、21はビット誤り率計算ブロック、2
2は誤り発生ブロック、23は乱数発生ブロック、24はビ
ット誤り重畳部を表わしている。
本実施例では、移動無線チャネルを対象とし、受信レベ
ル発生部においてマルチパスフェージングを発生させ
る。
第1の実施例は、位相変動を考慮しない場合のものであ
る。
マルチパスフェージングの発生手法は、平出らの提案
(電子通信学会論文誌(B)Vol.58-B,pp.449-456)に
従い、互いに独立な2つの定常ガウス過程の2乗和を用
いる手法を採用する。具体的なフェージングの発生手法
を以下に示す。
まず20段と21段のPN信号を発生する。それぞれのPN信号
が、ガウス分布するようにスペクトル整形フィルタ14,1
5を通す。次に、ビット単位に振幅データが得られるよ
うにサンプル間直線補間を行なう。これで1タイムスロ
ットごとに1サンプルの互いに独立な2つの定常ガウス
過程{Xn},{Yn}が得られる。両者の2乗和をとれ
ば、レイリーフェージングを受けたときの受信レベル系
列が求まる。そこで平均CNRΓを外部より与えれば、前
記受信レベル系列を正規化した後、Γ倍して瞬時CNRの
系列{γn}を得る。
なお、スペクトル整形フィルタの帯域幅を変えたことに
よりフェージングピッチを変えることが可能である。
本実施例では、受信レベルは、レイリーフェージングを
受けることとしているので、伝搬路の伝達関数は、平均
CNRとフェージングピッチというパラメータとして与え
られる。
ビット誤りの発生機構については、第1の実施例では、
振幅の変動の影響のみを考慮し、ランダムFM雑音のよう
な位相の変動の影響は考慮しない。
CNRとビット誤り率の関係については、変調および復調
方式に応じて種々の論理式あるいは実験式が報告されて
いる。本実施例では簡単のために変調方式はMSK、復調
方式は周波数検波を用いた場合について検討を行なっ
た。MSK変調された信号を周波数検波する場合のCNRとビ
ット誤り率の関係式として、ここではPawulaの式(IEEE
Trans.Commun.,vol COM-29pp.1634-1643)を用いた。
具体的な符号誤りの発生手法を以下に示す。
まず、瞬時のCNRγnからPawulaの式により、ビット誤
り率の論理値P(γn)を求める。次に、〔0,1〕の一
様乱数Rnを発生し、Rn<P(γn)ならば誤り(En=
1)とし、Rn>P(γn)ならば誤りなし(En=0)と
することにより、誤り系列{En}を得る。これを入力デ
ータ系列に重畳して、フェージングを受けた場合のビッ
ト誤りを含む出力データ系列が得られる。
本シミュレーションをDSP(Digital Signal Processo
r)を用いて実現する場合、フェージングピッチ40Hz、
信号伝送速度16kbps程度までリアルタイムでシミュレー
ションが可能である。
本シミュレータが発生する誤り系列の妥当性を確認する
ため、従来の室内実験により得られる誤り系列との比較
を行なった。該室内実験の基本構成は、第1図(b)に
示す通りである。
変調信号としてPN信号を用い、MSK変調を採用した。受
信部では周波数検波を行ない、復号した受信信号を送信
信号と比較して誤りの有無を判定し、誤り系列を作成し
た。
第4図および第5図は実験の結果を示す図である。
実験においてフェージングピッチは40Hz、バーストエラ
ー長測定の際のガードビットは30ビットとした。本シミ
ュレータではランダムFM雑音に伴なう誤り発生について
は考慮していないので、CNRが高いときに誤り率が飽和
する現象は観測できない。
第4図はCNRが0〜40dBの範囲で、本シミュレータによ
るビット誤り率が室内実験の結果とよく一致することを
示している。
第5図は、バーストエラー長の累積度分布について両者
が良く一致していることを示している。
これらの実験結果から、本シミュレータは単に誤り率だ
けでなく、バースト的なエラーパターンの統計的性質に
ついても、従来の室内実験と同じ特性をもつことが確認
できる。
ただし、第1の実施例のシミュレータでは、位相変動に
伴なうランダムFM雑音によるビット誤り発生については
考慮していない。
第6図は、本発明のシミュレータの第2の実施例の内部
構成を示すブロック図である。
同図において、10〜24は第3図の場合と同様であるが、
この第2の実施例はランダムFM雑音によるビット誤り発
生を考慮したものである。
受信レベル・位相発生部10では互いに独立なガウス雑音
Xn,Ynを用いて、受信CNRγnと同時に位相θn(=arcc
os(Xn/γn))を計算する。位相を考慮したビット誤
り率の計算手法は例えば、振幅変動を受けたときの誤り
率PγにランダムFM雑音を受けたときの誤り率Pθを単
純に加えて、両者を考慮したビット誤り率Pを求める方
法が簡単である。
ダイバーシチを行なう場合には、互いに相関をもつ複数
のフェージング波が必要になる。互いに相関を持った2
つのマルチパスフェージング波を発生する場合には、本
シミュレータのフェージング発生部を2つ用意し、4つ
の互いに独立なガウス雑音を発生し、それらを平出らが
示した計算法(電子通信学会論文誌(B)Vol.58-B,pp.
449-456)によりそれぞれ線形変換を施してから積和演
算を行なうことにより任意の相関をもつフェージング波
を発生することができる。
同一チャネル干渉を考慮する場合に、2つの受信信号の
フェージングの相関が零と考えてよい場合には、本シミ
ュレータのフェージング発生部を2つ用意し、希望波と
干渉波について、それぞれ独立にフェージング波を発生
すればよい。
誤り発生部では、希望波の受信レベルγDと干渉波の受
信レベルγIからCIRΛ(γD/γI)を求め、誤り率計
算ブロックにおいてビット誤り率を計算し、第1の実施
例と同様に誤り系列{En}を発生すればよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明のディジタル無線チャネル
シミュレータは、ベースバンド系でフェージングの影響
によるビット誤りの発生状況をシミュレータするもので
ある。
本シミュレータは送受信機を用いないのできわめてコン
パクトであり、送受信機による特性のばらつきが生じな
い。
また、高周波信号を介さないので、熟練を要する無線系
の調整を必要としない。これらの利点から、本シミュレ
ータは音声符号化技術や、データ、ファクシミリ信号伝
送技術を始めとして、誤り制御技術、各種プロトコル、
ダイバーシチ受信技術等、ベースバンド信号に関する各
種技術の開発、試験、評価等に適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は無線チャネルの伝搬実験の系の基本構成を示す
ブロック図、第2図は本発明の無線チャネルシミュレー
タを用いた無線チャネル伝搬実験の系の基本構成を示す
ブロック図、第3図は本発明の無線チャネルシミュレー
タの第1の実施例の内部構成を示すブロック図、第4図
は実験結果のCNRとビット誤り率の関係を示す図、第5
図は実験結果のバーストエラー長の累積度数分布を示す
図、第6図は本発明の無線チャネルシミュレータの第2
の実施例の内部構成を示すブロック図である。 1……変調器、2……送信機、3……送信アンテナ、4,
4′……伝搬路、5……受信機、6……復調器、7……
減衰器、8……フェージングシミュレータ、9……ディ
ジタル無線チャネルシミュレータ、10……受信レベル・
位相発生部、11……符号誤り発生部、12……20段PN発生
器、13……21段PN発生器、14,15……スペクトル整形フ
ィルタ、16,17……線形補間ブロック、18,19……2乗計
算ブロック、20……受信CNR計算ブロック、21……ビッ
ト誤り率計算ブロック、22……誤り発生ブロック、23…
…乱数発生ブロック、24……ビット誤り重畳部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディジタル無線チャネルの伝搬実験を疑似
    的に行なうシミュレータであって、送受信機および無線
    伝搬路の伝達関数に応じた受信信号の振幅と位相を発生
    する手段と、前記受信信号の振幅と位相に基づいてビッ
    ト誤り率を計算する手段と、乱数を発生する手段と、前
    記ビット誤り率と前記乱数に基づいてビット単位の符号
    誤りを作成する手段と、入力データ系列に前記符号誤り
    を重畳する手段とを具備し、ディジタル無線チャネルで
    生じる符号誤りの発生をシミュレートすることを特徴と
    するディジタル無線チャネルシミュレータ。
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