JPH0689411A - 薄膜磁気ヘッド及びこれを搭載した磁気ディスク装置 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びこれを搭載した磁気ディスク装置

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JPH0689411A
JPH0689411A JP24302192A JP24302192A JPH0689411A JP H0689411 A JPH0689411 A JP H0689411A JP 24302192 A JP24302192 A JP 24302192A JP 24302192 A JP24302192 A JP 24302192A JP H0689411 A JPH0689411 A JP H0689411A
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Tetsuya Okai
哲也 岡井
Moriaki Fuyama
盛明 府山
Akira Konuma
昭 小沼
Eiji Ashida
栄次 芦田
Hidemi Ando
英美 安藤
Hiroshi Ikeda
宏 池田
Saburo Suzuki
三郎 鈴木
Yasuo Wakagi
靖雄 若木
Yoshiki Hagiwara
芳樹 萩原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】浮上量が小さく変動の少ない良好な電磁変換特
性を有する薄膜磁気ヘッドを提供する。 【構成】下地膜,磁気ギャップ及び素子保護膜を絶縁性
の無機物質から構成し、それら膜を、Al23と、その
Al23と同じ又はそれ以上の酸化数を有する他の金属
酸化物とから構成する。 【効果】薄膜磁気ヘッドの浮上量が安定し、良好な電磁
変換特性が得られる。又、ヘッドクラシュが低減される
ので信頼性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に書き込
み/読み出しを行う薄膜磁気ヘッド及びこれを搭載した
磁気ディスク装置並びに薄膜磁気ヘッドの製造方法に係
り、特に、磁気記録媒体への記録/再生特性の良好な薄
膜磁気ヘッドの構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Al23膜を構成要素とする薄膜
磁気ヘッドは、特開昭62−214507号公報及び特開昭63−
16408 号公報において論じられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62−214507号公報及び特開昭63−16408 号公報のいずれ
にも、薄膜磁気ヘッドの構成部分である下地膜,磁気ギ
ャップ膜又は素子保護膜が、その加工工程で使用する洗
浄液でエッチングされてしまうという課題については言
及されていない。
【0004】そこで本発明の目的は、浮上面での段差が
小さく良好な電磁変換特性が得られる薄膜磁気ヘッド及
びその製造方法を提供することに有る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜磁気ヘッド
は、基板上に形成された下地膜と,該下地膜上に形成さ
れた下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、他端で
磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜と,該上部
磁性膜上に形成された素子保護膜とを有するものであっ
て、前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護
膜が、Al23と、該Al23以上の酸化数を有する金
属酸化物とからなることを特徴とする。特に、本発明の
薄膜磁気ヘッドは、基板上に形成された下地膜と、その
下地膜上に形成された下部磁性膜と,その下部磁性膜上
に形成された磁気ギャップ膜と,その磁気ギャップ膜上
に形成された導体コイルを包囲する絶縁膜と,その絶縁
膜を覆い一端が磁気ギャップ膜上面まで延び他端が下部
磁性膜上面まで延びる上部磁性膜と,その上部磁性膜上
に形成された素子保護膜とを有する。
【0006】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、基板
上に形成された下地膜と,該下地膜上に形成された下部
磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、他端で磁気ギャ
ップ膜を介して対向する上部磁性膜と,該上部磁性膜上
に形成された素子保護膜とを有するものであって前記下
地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜が、Al
23と、ZrO2 ,HfO2 ,TiO2 ,Y23,Ta
25,Nb25,CeO2,SiO2の少なくとも1種と
からなることを特徴とする。
【0007】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記
下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜が、温
度40〜60℃、pH6〜8の温水に対して、0.01
〜1.5Å/分の溶解速度を有することを特徴とする。
【0008】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記
基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャップ
膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディスク
と対向する一端面における最大段差が、純水洗浄後に
0.001〜0.015μmであることを特徴とする。
【0009】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記
下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜が、比
抵抗10MΩcm以上の純水に対して、1〜100nm/
hのエッチング速度を有することを特徴とする。
【0010】前記純水の電気抵抗が0.6MΩ 以上であ
ることが好ましい。
【0011】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記
下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜が、p
H6〜8研磨液及びpH9〜11の剥離液に対して、1
〜100nm/hのエッチング速度を有することを特徴
とする。
【0012】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記
下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜が、前
記基板と異なった材料からなり、溶解速度が実質的に等
しいことを特徴とする。
【0013】また、本発明の薄膜磁気ヘッドは、焼結体
からなる基板上に形成された下地膜と、該下地膜上に形
成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、他
端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜と,該
上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有するもので
あって、前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子
保護膜が、スパッタ膜であって、純水に対して前記基板
と実質的に同一の溶解度を有する無機材料からなること
を特徴とする。
【0014】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドは、焼結
体からなる基板上に形成された下地膜と,該下地膜上に
形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、
他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜と,
該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有するもの
であって、前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素
子保護膜が、スパッタ膜であって、前記基板との溶解速
度の差が0.01 〜1.5Å/分 である無機材料からな
ることを特徴とする。
【0015】本発明の磁気ディスク装置は、前述のよう
な薄膜磁気ヘッドを搭載することを特徴とする。
【0016】さらに、本発明の磁気ディスク装置は、情
報を磁気的に記憶する磁気ディスクと,該磁気ディスク
に情報を記録する薄膜磁気ヘッドとを有するものであっ
て、前記磁気ヘッドが、基板上に形成された下地膜と,
該下地膜上に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と
一端で接し、他端に磁気ギャップ膜を介して対向する上
部磁性膜と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜と
を有し、前記基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記
磁気ギャップ膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の
一端面が前記磁気ディスクと対向し、前記端面における
最大段差が0.001〜0.015μmであって、前記磁
気ディスクに対する前記磁気ヘッドの浮上量が、0.0
1〜0.1μmであることを特徴とする。
【0017】ここで、一端面とは、磁気ヘッドが磁気デ
ィスクに対向する面であり、情報の書き込み及び/又は
読み出しを行う面である。
【0018】また、本発明の磁気ディスク装置は、前述
のような薄膜磁気ヘッドの他、前記磁気ディスクに記録
された情報を再生する磁気抵抗効果型磁気ヘッドを有す
ることを特徴とする。
【0019】一方、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、基板上に形成された下地膜と,該下地膜上に形成さ
れた下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、他端で
磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜と,該上部
磁性膜上に形成された素子保護膜とを有し、前記基板,
前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャップ膜,前
記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディスクとの対
向面を加工処理する工程を有する製法であって、前記加
工処理中の一工程を、温度40〜60℃,pH6〜8の
温水で行うことを特徴とする。
【0020】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方
法は、基板上に形成された下地膜と,該下地膜上に形成
された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、他端
で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜と,該上
部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有し、前記基
板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャップ
膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディスク
との対向面を加工処理する工程を有する製法であって、
前記加工処理の工程中に、純水で洗浄する工程を有する
ことを特徴とする。
【0021】こうした前記加工処理の工程は、フロンガ
スを使用しないで洗浄する工程である。
【0022】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方
法は、基板上に形成された下地膜と,該下地膜上に形成
された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接し、他端
で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜と,該上
部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有し、前記基
板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャップ
膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディスク
との対向面を加工処理する工程を有する製法であって、
前記加工処理の工程が、pH6〜8の研磨液で研磨する
工程と、pH9〜11の剥離液で剥離する工程と、pH
6〜8の純水で洗浄する工程とを有することを特徴とす
る。
【0023】さらに、前記純水で洗浄する工程中に、超
音波を印加することが好ましい。
【0024】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方
法は、基板上に形成された下地膜と,その下地膜上に形
成された下部磁性膜と,その下部磁性膜上に形成された
磁気ギャップ膜と,その磁気ギャップ膜上に形成され導
体コイルを包囲する絶縁膜と,その絶縁膜を覆い一端が
磁気ギャップ膜上面まで延び他端が下部磁性膜上面まで
延びる上部磁性膜と,その上部磁性膜上に形成された素
子保護膜とを有し、基板,下地膜,下部磁性膜,磁気ギ
ャップ膜,上部磁性膜及び素子保護膜のそれぞれ端面で
形成され、薄膜磁気ヘッドが書き込み/読みだしする磁
気ディスクと対向する一端面を加工処理する工程を有す
る製法であって、加工処理の工程中に比抵抗10MΩcm
以上の純水で洗浄する工程を有する。
【0025】
【作用】薄膜磁気ヘッドは、一定の速度で回転するディ
スクなる記録媒体上に一定の間隔(浮上量)を持って浮
上して用いられる。良好な電磁変換特性を得るために
は、浮上量は一定で、しかも記録媒体と接触しない範囲
でできるだけ小さいことが望ましい。
【0026】この浮上量は、薄膜磁気ヘッドを保持して
浮上させるためのスライダの重さとスライダにかかる荷
重と、記録媒体とスライダ間の空気の流れによって制御
される。スライダの重さとスライダにかかる荷重は常に
一定であるため、浮上量を一定に保つためには、媒体と
スライダ間の空気の流れを一定に保つ必要が有る。
【0027】薄膜磁気ヘッドの浮上面に加工段差がある
と、その段差のために空気の流れが乱れ、薄膜磁気ヘッ
ドの浮上量の変動を生じる。又、加工段差部にゴミ等が
付着し、ヘッドクラッシュ等を生じ、良好な電磁変換特
性が得られない。
【0028】図17に示すように、電磁変換特性上の実
質的な浮上量Heは、記録媒体である磁気ディスク10
4の磁性層104bの表面と磁気ヘッド105の浮上面
における磁気コアなる磁性膜13(13′)端面間の距
離である。しかし、磁気ヘッド105の浮上面に段差が
有り、図2に示すように磁性膜の先端がほかに比べへこ
んでいると、見かけ上の浮上量Hmは磁気ディスク10
4の最上表面と磁気ヘッド105の浮上面間の最少距離
となり、実質的な浮上量Heとは異なる。実質的な浮上
量Heを小さくするには、この見かけの浮上量Hmと実
質的浮上量Heとの差を極力小さくしなければならな
い。このため良好な電磁変換特性を得るためには、加工
段差を極力小さくする必要が有る。
【0029】本発明者らは、磁気ヘッド浮上面の加工段
差量とヘッドクラシュの関係を検討するために、薄膜磁
気ヘッドの浮上量の設定値を一定にして、磁気ディスク
を一定回転数で回転させ、ヘッドクラシュが起きるまで
の時間を測定した。その結果、図3に示すように加工段
差量を0.015μm 以下とすれば良いことを見出し
た。一方、浮上量と加工段差の関係は、理想的には加工
段差は無いのが望ましいが、加工段差を零とすることは
不可能である。実用上は、浮上量の10%以下とするの
が好ましい。これは、製造工程上からの制約もあるが、
スライダーがディスクに対して、傾いて移動するためで
もある。したがって加工段差は0.001〜0.015μ
m となる。
【0030】加工段差の発生原因の大きな因子は、基
板,下地膜,磁気ギャップ膜,素子保護膜,上部及び下
部磁性膜の浮上面に露出する各膜について、浮上面加工
に用いる研磨液及び洗浄液等の加工液に対するエッチン
グ特性がそれぞれ異なることにある。
【0031】加工段差を小さくするには、基板,下地
膜,磁気ギャップ膜,素子保護膜,上部及び下部磁性膜
それぞれの材料が、浮上面加工に用いる研磨液及び洗浄
液等の加工液によってほぼ同じ速度で溶解するようなも
のであればよい。磁性膜のNi−Fe合金は、図13に
示すように、強酸によりエッチングされやすいが、pH
6以上の溶液にはほとんどエッチングされない。Al2
3とTiC等のセラミックスからなる基板は、耐食性
が高く、加工液によってほとんどエッチングされない。
このため、下地膜,磁気ギャップ膜及び素子保護膜に基
板と同じ材料を用いることが考えられる。しかし、基板
はスライダとして用いられるので、耐摺動性が重要であ
る。これに対し、素子保護膜等は、スパッタリングで形
成されるので、膜の形成速度が速いこと、膜の残留応力
が小さいこと、透明度が高いことが重要である。また基
板は焼結して作られるのに対し、素子保護膜等はスパッ
タリングで作られるので、両者は同じ組成を有していて
も、硬さや耐食性の点で相違する。そこで本発明は、下
地膜,磁気ギャップ膜,素子保護膜に、研磨液や洗浄液
等の加工液に対して耐食性の高い無機絶縁膜を用いるこ
とにより加工段差を低減することを狙いとしている。
【0032】そこで、発明者らは下地膜,磁気ギャップ
膜,素子保護膜等を構成する無機絶縁膜のpH2〜pH
12の溶液中の最大エッチング速度と加工段差の関係に
ついて検討した。その結果、図4に示すように無機絶縁
膜にpH2〜pH12の溶液中の最大エッチング速度が
100nm/h以下の膜を用いれば、加工段差量を0.
015μm 以下にできることを見出した。
【0033】又、薄膜磁気ヘッドの下地膜,磁気ギャッ
プ膜,素子保護膜等にこれまで使用されているAl23
は、結晶質のときは耐薬品性に優れている。ところが、
スパッタリングするとγ−Al23となり非晶質となっ
てしまい耐薬品性にあまり優れていなかった。その為、
薄膜磁気ヘッドの加工の際に使用される研磨液,加工
液,洗浄液等からなる溶液によってエッチングされて、
加工段差の原因となっていた。特に、純水洗浄工程にお
いては、耐食性が悪かった。これは、γ−Al2O3スパッ
タ薄膜が非晶質となっているので、Al原子の結合手が
余っているため安定性が低く、容易に膜表面より剥離し
てしまうAl水和物が生成される為である。そこで、A
23と酸化数が同等、或いはそれ以上の金属酸化物を
Al23スパッタ薄膜に含有させることにより、Al原
子の結合手の余りが無くなりAl水和物が発生せず、エ
ッチングが起こりにくくなり、加工段差を押さえること
ができる。この薄膜は、Al23とZrO2,HfO2
TiO2,Y23,Ta25,Nb25,CeO2,Si
2の金属酸化物の内の少なくとも1種からなる混合物
の焼結体をターゲットとし、スパッタリングにより形成
したものである。
【0034】スパッタリングによって形成されたAl2
3と金属酸化物とからなる薄膜の多くは、研削工程で
用いられる研磨液及び洗浄液等の加工液中では、その膜
表面部に水和物が生成されてそれが膨潤して堆積する。
その水和物が表面から溶液によって除去されてエッチン
グされることになる。この水和物の生成速度は概してp
H6〜8の溶液中で最も少ない、即ち薄膜のエッチング
速度がpH6〜8の溶液中で最も小さいことがわかっ
た。
【0035】以上説明したように、本発明によれば、薄
膜磁気ヘッドの下地膜,磁気ギャップ膜,素子保護膜を
Al23とZrO2,HfO2,TiO2,Y23,Ta2
5,Nb25,CeO2,SiO2の金属酸化物の内の
少なくとも1種からなる薄膜をスパッタリングにより形
成し、薄膜磁気ヘッドの浮上面をpH6〜8の研磨液及
び洗浄液を用いて加工するので、浮上面における加工段
差が0.015μm 以下と小さな薄膜磁気ヘッドを得る
ことができる。従って、本発明の薄膜磁気ヘッドは、磁
気ディスク上の浮上量を小さく、かつ、浮上面と回転す
る記録媒体との間に流れる空気の乱れを少なくして浮上
量を安定して保持でき、良好な電磁変換特性を示し、ま
た段差が小さい故に記録媒体対向面と記録媒体間に異物
が詰まることなく、異物による薄膜磁気ヘッドの破壊を
防止でき、磁気記録装置の信頼性を向上させることがで
きる。
【0036】その他、本発明の製造方法で用いる純水を
ベースとした研磨液,洗浄液は従来からこの種加工液と
して用いられてきたフロンにとって替わることができ
る。ちなみに近年、地球環境の問題から、フロンによる
洗浄が廃止される方向にある。さらに、薄膜磁気ヘッド
の浮上面の加工及びその加工後の洗浄にも、従来からそ
の洗浄力と洗浄後の清浄度がよい点から、フロンが用い
られてきた。しかしながら、近年、地球環境の問題か
ら、フロンによる洗浄が廃止される方向にある。そのた
め、フロンによる洗浄に代って、純水の温水による洗浄
が用いられるようとしている。温水は、洗浄力と乾燥時
の水きりの良い点から40℃〜60℃に加熱して用いら
れる。本発明によれば純水洗浄時のエッチングを防止す
ることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。
【0038】(実施例1)近年、データを記憶する磁気
ディスク装置が高記録密度化されるに伴ない、薄膜磁気
ヘッドの浮上量(薄膜磁気ヘッド表面と記録媒体表面の
距離)が段々小さくなる傾向にある。図1は、薄膜磁気
ヘッドの構造を示し、その先端から後端にかけて中心部
を切断した断面図である。
【0039】図1に示すように、本発明の実施例1の薄
膜磁気ヘッドは、非磁性のセラミック基板11上に下地
膜12,下部磁性膜13及び磁気ギャップ膜14が形成
され、さらにその磁気ギャップ膜14上に導体コイル1
6を包含する絶縁保護層15と絶縁保護層15上部に含
むように上部磁性膜13′及び素子保護膜17が形成さ
れて構成されている。この磁気薄膜ヘッドの、磁気記録
媒体に対向する対向面は、基板11,下地膜12,磁気
ギャップ膜14を挾む上下磁性膜13,13′及び素子
保護膜17のそれぞれが露出する先端面(図中、左側の
面)によって形成されている。
【0040】本実施例の薄膜磁気ヘッドの構成部分であ
る下地膜12,磁気ギャップ膜14や素子保護膜17等
の絶縁部分にはAl23−ZrO2 膜あるいはZrO2
膜が用いられ、また上下磁性膜13,13′にはNi−
Fe合金であるパーマロイが用いられている。
【0041】薄膜磁気ヘッドが動作する時、この先端面
が記録媒体表面に対向して浮上するので、以後、この先
端面を浮上面と称する。
【0042】セラミック基板11は焼結されて作られ、
その硬度は高く、耐食性に優れている。一方、下地膜1
2,磁気ギャップ膜14,素子保護膜17,下部磁性膜
13及び上部磁性膜13′はスパッタリングによって形
成され、それぞれの硬度はセラミック基板11に比べて
低く、耐食性もセラミック基板11より劣っていたが、
本発明によりこれが実質的に解消される。
【0043】薄膜磁気ヘッドは、概略、次のような工程
を経て製作される。大きな基板の面に複数の薄膜磁気ヘ
ッド素子を薄膜で形成した後、その大きな基板を切断し
て各薄膜磁気ヘッドに分割される。分割された各薄膜磁
気ヘッドは、浮上面となる薄膜磁気ヘッドの先端が所定
ギャップ深さを持つように、砥粒と分散剤と表面活性剤
等を含む研磨液を用いて研削加工され、そして洗浄液を
用いて洗浄される。なお、薄膜磁気ヘッドは、研削前
に、浮上面と反対の面を治具の上に接着剤で接着され、
それから浮上面は定盤によって研磨液を介して研磨され
る。研磨終了後に薄膜磁気ヘッドと治具との接着部は剥
離液により除去され、薄膜磁気ヘッドは治具から分離さ
れる。
【0044】その研削加工の際に、図2に示すように、
薄膜磁気ヘッドの浮上面に加工段差が生じていた。加工
段差量は、磁性膜13,13′の端面と、基板11,下
地膜12,素子保護膜17、或いは磁気ギャップ膜14
の端面との間の段差のうちの最大距離Hである。
【0045】加工段差の生じる主な理由は、従来、下地
膜12,磁気ギャップ膜14及び素子保護膜17に用い
ているAl23薄膜と、磁性膜13,13′に用いてい
るNi−Fe合金膜と、基板に用いられているAl23
−TiCあるいはZrO2との、加工工程で使用する研
磨液,洗浄液等の加工液に対するエッチング特性がそれ
ぞれ異なることにあった。即ち加工工程で使用する研磨
液,洗浄液によって、Al23膜及びNi−Fe合金膜
の方がAl23−TiC焼結材よりも多くエッチングさ
れる。中でもAl23膜が最もエッチングされやすい。
本発明はこうした知見に基づいてなされたものである。
【0046】薄膜磁気ヘッドの浮上面に加工段差ができ
ると、この薄膜磁気ヘッドが、記録媒体面上を浮上して
動作する時に、加工段差のために空気の流れが乱れてヘ
ッド浮上量が変化し、薄膜磁気ヘッドの電磁変換特性の
ばらつきが大きくなる。又、加工段差部に異物が詰まり
記録媒体表面と接触して、ヘッドが破壊される。更に加
工段差量は、浮上量の一部となるので、実質上の浮上量
が大きくなり良好な電磁変換特性が得られないという問
題があったが、本発明により、加工段差が実質的になく
なり、こうした問題は、解消した。
【0047】図16は、本発明の磁気ディスク装置の構
成の一例を示す概略図である。磁気ディスク装置は、ス
ピンドル102に軸方向等間隔で取り付けられた磁気記
録媒体である複数の磁気ディスク104と、スピンドル
102を駆動するモータ103と、移動可能なキャリッジ
106に保持された磁気ヘッド群105と、このキャリ
ッジ106を駆動するボイスコイルモータ(ボイスコイ
ル107とマグネット108で構成される)と、これら
の支持するベース101とを備えている。また、磁気デ
ィスク制御装置などの上位装置から送り出される信号に
従って、ボイスコイルモータ107,108を制御する
ボイスコイルモータ制御回路を備えている。また、上位
装置から送られてきたデータを磁気ディスク104に書
き込む機能および磁気ディスク104に書き込まれたデ
ータを読みだす機能とを持つリード/ライト回路を備
え、このリード/ライト回路は、インターフェイスを介
して、上位装置と接続されている。磁気ディスク104
は、アルミ等の非磁性円盤の一方または両方の面に磁性
体層を形成したものからなる。
【0048】この磁気ディスク装置の動作を書き込みの
場合を例として説明する。上位装置が、インターフェイ
スを介して、ボイスコイルモータ制御回路に、書き込み
位置データを与えた時、ボイスコイルモータ制御回路は
ボイスコイルモータ107,108を制御してキャリッ
ジ106を、その位置データに一致するトラック位置
は、磁気ヘッド群105を高速で移動させる。この時、
ボイスコイルモータ制御回路と接続されている位置決め
用磁気ヘッド105aが、磁気ディスク104上の位置
を検出する。一方、ベース101に支持されたモータ1
03は、スピンドル102に取り付けた複数の磁気ディ
スク104を回転させる。次に、リード/ライト回路か
らの信号にしたがって、一つの磁気ヘッド105が選択
され、この磁気ヘッド105は磁気ディスク104上の
書き込み位置を検出して、上位装置から送られたデータ
を書き込む。ここで上位装置とは例えばコンピュータシ
ステムである。
【0049】図17は磁気ディスク104が回転してい
る時に磁気ヘッド105が磁気ディスク104上に浮上
している状態を示す。磁気ヘッド105はその構成要素
である基板11を、浮上するためのスライダとしてい
る。スライダは、磁気ディスク104が回転開始する時
に、また回転停止する時にも磁気ディスク104と接触
して摺動するので、耐摺動性が必要である。したがって
スライダーとなる基板11には硬度の高い焼結材が用い
られる。
【0050】記録媒体である磁気ディスク104は、円
盤状の基板上に順次下地膜104a,磁性層104b,
保護膜104c,潤滑膜104dから形成されてなる。
保護膜104c,潤滑膜104dの膜厚は、合わせて約
20から約40nmである。電磁変換特性上の磁気ヘッ
ドの実質的浮上量は、磁気ディスク104の磁性層10
4bの表面と、磁気ヘッドの記録媒体対向面における磁
気コアの磁性膜13,13′端面との間の距離Heであ
る。
【0051】見かけの浮上量は、磁気ディスク104表
面と磁気ヘッド浮上面間の最小距離Hmである。なお以
後単に浮上量と表現しているのは、名目上の浮上量で、
磁気ディスク104表面と磁気ヘッド浮上面の磁気コア
の磁性膜表面間の距離Hfである。
【0052】図18はスライダを示す図である。スライ
ダはジンバルばると荷重アーム(図示しない)を介して
キャリッジ106に搭載されている。
【0053】ここで、薄膜磁気ヘッドの製造方法の詳細
を以下に説明する。
【0054】この薄膜磁気ヘッドの薄膜を形成する工程
を図5,図6を参照して説明する。まず、(1)Al23
−TiCの焼結体からなる基板11上にAl23とZr
2とからなる下地膜12をスパッタリングで形成し、
その上にパーマロイからなる下部磁性膜13をスパッタ
リングで形成し、これをホトリソクラフィー技術を用い
てイオンミリング法により磁気コアに加工した。(2)
その上にAl23とZrO2 とからなる磁気ギャップ膜
14をスパッタリングで形成し、(3)〜(7)さらにその
上に2層の導体コイル16をはさんで層間絶縁膜15を
形成した。導体コイル16はフレームめっき法を用いて
形成し、また層間絶縁膜15はポジ型ホトレジストを塗
布し、パターニングし、ベークすることによって形成し
た。(8)層間絶縁膜15の形成後、パーマロイからな
る上部磁性膜13′を下部磁性膜13と同様に形成し、
加工した。(9)次にめっき法により端子を形成した
後、(10)Al23とZrO2 とからなる素子保護膜17
をスパッタリングで形成した。このようにして磁気薄膜
ヘッド素子を作製した。
【0055】本発明の特徴であるAl23とZrO2
からなる無機絶縁膜は、下地膜12,磁気ギャップ膜1
4,素子保護膜17に用いた。即ちこの無機絶縁膜は、
70wt%Al23−30wt%ZrO2 の焼結材をタ
ーゲットとし、スパッタリング法により形成した。スパ
ッタリングガスとしてArを用いた。
【0056】なお、下部磁性膜13及び上部磁性膜1
3′の加工にはドライエッチング法を用いることもでき
る。またスパッタリングガスとしてArの他に、O2
たはAr−O2 混合ガスを用いることができる。スパッ
タリングレートの面からはArが好ましく、薄膜を低残
留応力にて成膜するにはAr−O2 混合ガスが好まし
く、適宜選択して用いるとよい。また薄膜磁気ヘッドを
用いられる磁性膜は、パーマロイより他のNi系,Fe
系,Co系磁性材料を用いてもよい。
【0057】図7は、本実施例に用いた70wt%Al
23−30wt%ZrO2 膜と、従来から用いられてい
るAl23膜それぞれの、pH2〜pH12の溶液中に
おけるエッチングレートを示す。70wt%Al23
30wt%ZrO2 膜及びAl23膜はスパッタリング
法により形成した。溶液温度は80℃であった。pHの
異なる溶液は純水中にNaOH,HClを混合すること
により調整した。純水の比抵抗は10MΩcm以上であっ
た。Al23膜の最大エッチング速度が6μm/hに対
し、70wt%Al23−30wt%ZrO2膜のそれ
は0.1μm/hである。図中、鎖線で示す堆積速度
は、70wt%Al23−30wt%ZrO2 膜の表面
が溶液と反応して生成され膨潤した水和物の生成速度を
示し、実線で示すエッチング速度は水和物が除去された
後の膜表面の侵食速度を示す。水和物は洗浄時に超音波
を印加するとより容易に除去することができる。以後、
他の図面においても、エッチング速度は実線で示し、水
和物の堆積速度は鎖線で示す。
【0058】図8は、それぞれスパッタリングで形成し
たAl23膜と70wt%Al23−30wt%ZrO
2 膜のX線回折試験の結果を示す。Al23膜は非晶質
のパターンを示しているのに対して、ZrO2 を含むA
23膜は非晶質パターンのほかに結晶質のパターンを
示している。従ってZrO2 を含むAl23膜は非晶質
と結晶質の混在した膜であることが分かる。
【0059】又、図9に、Al23とZrO2との混合
比率の異なる各種Al23−ZrO2膜の、pH2から
pH12の各溶液中における最大エッチング速度を示
す。各Al23−ZrO2膜はスパッタリング法により
形成した。Al23−ZrO2膜中のZrO2 量が多く
なるにつれて、エッチング速度は低下し、ZrO2 量が
15wt%以上となると、最大エッチング速度が100
nm/h以下となる。ZrO2 量が60wt%を超えて
多くなると膜の透明度,硬度,加工性の低下する。従っ
て、Al23−ZrO2 膜はAl23を40〜85wt
%,ZrO2 のそれを15〜60wt%含有することが
好ましい。
【0060】下地膜12,磁気ギャップ膜14及び素子
保護膜17を耐食性の良好な70wt%Al23−30
wt%ZrO2 を用いて形成した本発明にかかる薄膜磁
気ヘッド素子と、下地膜12,磁気ギャップ膜14及び
素子保護膜17をAl23単独を用いて形成した従来型
の薄膜磁気ヘッドをそれぞれ作製した。各薄膜磁気ヘッ
ドは、同一条件で、研磨液,洗浄液等を用いて加工し、
それぞれ浮上面を形成した。それぞれ薄膜磁気ヘッドの
浮上面の面粗さを調べた結果、本発明の薄膜磁気ヘッド
の加工段差量は、0.009μm であるのに対し、従来
型の薄膜磁気ヘッド素子の加工段差量は0.028μm
であった。加工段差量を測定した装置の測定精度は、
0.001μm であった。
【0061】本発明の薄膜磁気ヘッドを磁気ディスク装
置に搭載して、浮上量0.15μmで記録,再生等の電
磁変換特性を測定した結果、記録,再生とも安定した良
好な電磁変換特性が得られた。又、浮上量を0.08μ
m と小さくしても安定した浮上が保たれ、ヘッドクラ
シュ等の磁気ディスク表面と接触事故も生じなかった。
本実施例では、無機絶縁膜にAl23とZrO2 からな
る膜を用いた薄膜磁気ヘッドについて説明したが、Al
23とHfO2,TiO2,Y23,Ta25,Nb
25,CeO2,SiO2 等のAl23と酸化数が同
等、或いはそれ以上の金属酸化物からなる膜を用いた場
合についても同様の結果を得た。
【0062】(実施例2)実施例2の薄膜磁気ヘッド
は、実施例1の薄膜磁気ヘッドと形状、薄膜数の点で同
一構造を有するものである。但し下地膜12,磁気キャ
ップ膜14,素子保護膜17の無機絶縁物の内、下地膜
12にはスパッタリング法で形成した70wt%Al2
3−30wt%ZrO2 膜を用い、一方、磁気ギャッ
プ膜14及び素子保護膜17にはスパッタリングで形成
したAl23膜を用いた。
【0063】(実施例3)実施例1の薄膜磁気ヘッドと
同じ条件でスパッタリングにより薄膜を形成した薄膜磁
気ヘッドで、その浮上面を研削加工する際に、エッチン
グ抑止剤を添加した研磨液を用いて加工した。またこの
薄膜磁気ヘッドは浮上面の加工を含むスライダ加工工程
で生じる付着物を除去し、洗浄するためにエッチング抑
止剤を入れた洗浄液を用いて加工を行った。この薄膜磁
気ヘッドでは、基板,無機絶縁膜にAl23系の材料を
用いているので、Al23系の材料に有効な燐酸系のエ
ッチング抑止剤KH2PO4を用いた。
【0064】加工工程終了後、浮上面での加工段差量を
測定した結果、加工段差量は0.005μmであった。な
お、本実施例で無機絶縁膜のエッチングを抑止するエッ
チング抑止剤KH2PO4を用いたが、抑止効果があるも
のならばKH2PO4に限定するものでない。また磁性膜
のエッチングを抑止する抑止剤を用いても良い。
【0065】(実施例4)図10に、TiO2 含有率の
種々異なるAl23−TiO2 膜の、pH2〜pH12
溶液中におけるエッチング速度を示す。これらのAl2
3−TiO2 膜はそれぞれスパッタリング法で形成し
た。スパッタリング条件は、スパッタリングガスにAr
を用い、ガス圧1.3Pa とした。
【0066】Al23−TiO2 膜は、Al23−Zr
2 膜においてZrO2 含有率が高くなるにつれてエッ
チング速度が低下するのと同様に、TiO2 含有率が高
くなるとエッチング速度は低下し、TiO2 含有率10
wt%以上で、すべてのpH値に対して100nm/h
以下のエッチング速度が得られた。しかし、TiO2
が60wt%を超えて多くなると膜の硬度が低下する。
従って、Al23とTiO2 の組成はそれぞれ40〜9
0wt%,10〜60wt%の範囲にあるのが好まし
い。
【0067】(実施例5)図11は、Ta25含有率の
種々異なるAl23−Ta25膜の、pH2〜pH12
溶液のエッチング速度を示す。これら各種のAl23
Ta25膜は、実施例1のAl23−ZrO2 膜の場合
と同様のスパッタリング条件で、Al2O3−Ta25の焼
結材をターゲットとしスパッタリングにより形成したも
のである。Al23−Ta25膜は、Al23−ZrO
2 膜においてZrO2 含有率が高くなるにつれてエッチ
ング速度が低下するのと同様に、Ta25含有率が高く
なると、Al23−Ta25膜のエッチング速度は低下
し、Ta25含有率15wt%以上ですべてのpH値に
対して100nm/h以下のエッチング速度が得られ
た。しかし、Ta25量が70wt%を超えて多くなる
と、Al23−Ta25膜の硬度が低下するので、Al
23とTa25の組成はそれぞれ30〜80wt,15
〜70wt%が好ましい。
【0068】(実施例6)図12は、Y23含有量の異
なるAl23−ZrO2 −Y23膜の、pH2〜pH1
2溶液中のエッチング速度を示す。これらの膜はAl2
3−ZrO2 −Y23の焼結材をターゲットとしAr
−O2 混合ガスでスパッタリングにより、成膜したもの
である。Al23−ZrO2−Y23膜も、Al23
ZrO2膜においてZrO2 含有率が高くなるにつれて
エッチング速度が低下するのと同様に、ZrO2 とY2
3の合計含有率が高くなると、Al23−ZrO2
23膜のエッチング速度は低下し、ZrO2 含有率5
wt%以上、Y23含有率2wt%以上で、すべてのp
H値に対して100nm/h以下のエッチング速度が得
られた。しかし、ZrO2 含有量が60wt%を超え、
かつY23の含有量が10wt%を超えて多くなると、
その膜の透明度,硬度,加工性が低下するので、Al2
3とZrO2 ,Y23の各組成は30〜93wt%A
23,5〜60wt%ZrO2 ,2〜10wt%Y2
3が好ましい。
【0069】(実施例7)図13は、Al23−SiO
2 膜,Ni−Fe膜及びAl23−TiC焼結体の、p
H2〜pH12溶液中におけるエッチングレートを示
す。溶液のpHは、実施例1と同様に純水にNaOH及
びHClを加えて調整した。なおAl23膜,Al23
−SiO2 膜,Ni−Fe膜はスパッタリングにより生
成された膜である。薄膜磁気ヘッドの下地膜12,磁気
ギャップ膜14及び素子保護膜17に、従来から用いら
れるAl23膜は、pH4以上の溶液には溶解されやす
く、エッチング速度が大きい。下部磁性膜13及び上部
磁性膜13′に用いられるNi−Fe膜はpH5以下の
酸性溶液には溶解されやすいが、pH6以上の中性及び
アルカリ性溶液には溶解されにくく、エッチング速度が
小さい。基板11に用いられるAl23−TiC焼結体
はpH2〜pH12溶液によってエッチングされにく
く、エッチング速度は小さい。本発明のかかるAl23
−SiO2 膜はpH9以下の溶液ではエッチング速度は
小さく、基板のそれと同等である。従って、基板11に
Al23−TiC焼結体を、下地膜12,磁気ギャップ
膜14及び素子保護膜17にはAl23−SiO2
を、下部磁性膜13及び上部磁性膜13′にはNi−Fe
膜を用いて、薄膜磁気ヘッド製作し、その薄膜磁気ヘッ
ドをpH6〜pH8の溶液によって研磨加工すれば、浮
上面での加工段差の小さい薄膜磁気ヘッドを得ることが
できる。
【0070】図14は、SiO2 含有量の異なる各種A
23−SiO2 膜の、研磨液のpH6〜pH8溶液中
におけるエッチングレート及びビッカース硬度、並びに
加工時に薄膜の欠けが発生する領域を示す。研磨液の液
温は、60℃である。pH値の異なる溶液は純水中にN
aOH,HClを混合することにより調整した。SiO
2 含有量が多くなるとAl23−SiO2 膜のエッチン
グ速度は低下し、SiO2 含有量が15wt%以上にな
るとエッチング速度はほぼ一定となる。しかし、SiO
2 含有量が40wt%を超えて多くなると硬度,加工性
が低下するので、Al23は60〜85wt%、SiO
2 は15〜40wt%が好ましい。以上の結果を基にし
て、従来型と本発明にかかる薄膜磁気ヘッドをそれぞれ
製作し、それぞれの浮上面の加工段差を測定した。本発
明の薄膜磁気ヘッドは下地膜12,磁気ギャップ膜14
及び素子保護膜17を耐食性の良好な70wt%Al2
3−30wt%SiO2 を用いて形成したものであ
る。一方、従来型の薄膜磁気ヘッドは、下地膜12,磁
気ギャップ膜14及び素子保護膜17に単にAl23
用いて形成したものである。それぞれの薄膜磁気ヘッド
はpH6〜pH8に調整した研磨液,洗浄液等の加工液
を用いて浮上面の研削加工を行った。それぞれの薄膜磁
気ヘッドの面粗さを測定した結果、本発明の薄膜磁気ヘ
ッドの加工量段差は0.011μm であり、従来の無機
絶縁膜にAl23膜を用いて形成した薄膜磁気ヘッドの
加工段差は0.028μm であった。加工段差量を測定
した装置の測定精度は0.001μm であった。
【0071】本実施例の薄膜磁気ヘッドを磁気ディスク
装置に搭載して、浮上量0.15μmで、記録,再生等の電
磁変換特性を評価した結果、記録,再生ともに安定した
良好な電磁変換特性が得られた。またヘッドクラッシュ
等の記録媒体との接触事故も生じなかった。
【0072】(実施例8)図15は、記録と再生を分離
した構造の薄膜磁気ヘッドの斜視図を示す。非磁性のセ
ラミックス基板200上に下地膜201を形成しその上
に再生専用の磁気抵抗効果を利用したMRヘッド100
0を形成し、その上方に非磁性の分離膜208を介して
記録専用の電磁誘導型の記録ヘッド2000を形成して
いる。記録ヘッド2000は保護膜214で覆われてい
る。尚、図では記録ヘッド2000の右半分と、MRヘッド
1000の右側半分の信号検出電極205の上方に形成
される各層を省略してある。磁気抵抗効果とは、一軸異
方性を有する強磁性薄膜素子に外部磁界が印加される
と、磁界回転により素子の電気抵抗が変化することを言
う。MRヘッドは、インダクティブヘッドが磁束変化を
検出するのにたいし、磁束そのものを検出するため、再
生出力は磁気ディスクの周速に依存しない。そのため、
MRヘッドによれば、インダクティブヘッドの2〜5倍
の出力を得ることが期待でき、また、低ノイズの再生ヘ
ッドを実現できる。MRヘッド1000は、信号磁界を
検知する磁気抵抗効果素子膜204,磁気抵抗効果素子
膜204に電流を流す信号検出電極205,磁気抵抗効
果素子膜204と信号検出電極205を挾むように形成
され、上下部磁気シールド膜202,207と磁気抵抗
効果素子膜204及び信号検出電極205を電気的,磁
気的に分離する上下部ギャップ膜203,206及び磁
気抵抗効果素子膜204に信号磁界以外の磁界が影響す
るのを防止する上下部磁気シールド膜202,207か
ら構成されている。記録ヘッド2000は、図1の記録
再生兼用型の薄膜磁気ヘッドと同じ構造であり、上下部
磁性膜209,213、磁気ギャップ膜210,導体コ
イル211,絶縁保護層212から構成されている。基
板200にはAl23−TiCの焼結体を、上下部磁性
膜209,213と上下部磁気シールド膜202,20
7及び磁気抵抗効果膜にNi−Fe合金膜を、信号検出
電極205にはW膜を用いた、本発明の特徴であるAl
23とSiO2 とからなる無機絶縁膜は、下地膜201,
上下部ギャップ膜203,206,分離膜208,磁気
ギャップ膜210及び素子保護膜214に用いた。この
絶縁膜は、70wt%Al23−30wt%SiO2
焼結材をターゲットとし、スパッタリング法により形成
した。スパッタリングガスとしてArを用いた。浮上面
の加工は、基板から、スライダーと成る基板の一部と共
にきりだして、スライダー形状に加工したのち、浮上面
となる側を上にして、加工治具に貼り付け、浮上面を磁
気抵抗効果素子膜の幅(膜厚方向と直角方向)が所定の
値になるようにラップ加工した。研磨液は塩基度がpH
6〜8のものを使用した、また、加工治具からのスライ
ダーのはがしには、pH10の剥離液を使用した。ま
た、洗浄は、60℃の純水を使用した。浮上面加工後、
加工段差を測定した結果、本発明の記録再生分離型の薄
膜磁気ヘッドの加工段差量は、0.008μm であっ
た。
【0073】本実施例の薄膜磁気ヘッドを磁気ディスク
装置に搭載して、浮上量0.10μmで、記録,再生等の電
磁変換特性を評価した結果、記録,再生ともに安定した
良好な電磁変換特性が得られた。またヘッドクラッシュ
等の記録媒体との接触事故も生じなかった。
【0074】本実施例では、無機絶縁膜にAl23とS
iO2 とからなる膜をもちいた記録再生分離型の薄膜磁
気ヘッドについて説明したが、Al23とHfO2,T
iO2,ZrO2 ,Ta25等のAl23と酸化数が同
等、あるいはそれ以上の金属酸化物からなる膜を用いて
もよい。また、下地膜201,上下部ギャップ膜20
3,206、分離膜208,磁気ギャップ膜210及び
素子保護膜214のすべてに同じ膜を用いなくても、本
発明の無機絶縁膜を組み合わして用いてもよい。
【0075】以上の各実施例より、従来の薄膜磁気ヘッ
ドの下地膜12,磁気ギャップ膜14,素子保護膜17
は、スパッタリング形成したAl23膜であったが、こ
のAl23膜は純水と接触すると、Al23は純水と反
応して水和物が生成されるという知見が得られた。その
水和物は水の振動によって容易に除去されるので、Al
23膜はNi−Fe合金膜やAl23系焼結材よりエッ
チングされ易いこともわかった。従って、薄膜磁気ヘッ
ドの浮上面の研磨工程で磁気ディスクと対向する浮上面
を平滑に仕上げようとしても、研磨工程で用いられる研
磨液や洗浄液によって、Al23膜が、より多くエッチ
ングされて、Al23膜部分が凹部になってしまうこと
がわかった。こうした知見に基づいた結果、薄膜磁気ヘ
ッドの浮上面に加工段差を生じることのない薄膜磁気ヘ
ッドを達成することができた。また、純水洗浄工程にお
いても、本発明の薄膜磁気ヘッドは、下地膜等が変質し
たりすることもない。このため、純水に対して他のイオ
ン等を添加することなく、純水を使用することもでき
る。
【0076】
【発明の効果】本発明により、記録/再生特性の良好
な、薄膜磁気ヘッドを実現できると同時に、フロンを使
用しない洗浄を可能にした。
【0077】さらに、こうした薄膜磁気ヘッドは、加工
精度の良いものであるため、磁気ディスクとの浮上量を
低減することができ、高い記録密度を有する磁気ディス
ク装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の薄膜磁気ヘッドの断面斜視
図で、その先端の浮上面から後端にかけて中心部を切断
した面における構造を示す図である。
【図2】薄膜磁気ヘッドの浮上面の加工で生じる段差を
説明する図である。
【図3】薄膜磁気ヘッドの加速試験における薄膜磁気ヘ
ッド浮上面の加工段差量とヘッドクラッシュの関係を示
すグラフである。
【図4】薄膜磁気ヘッド浮上面のエッチング速度と加工
段差量の関係を示すグラフである。
【図5】薄膜磁気ヘッドの薄膜形成工程(工程1〜5)
を示す図である。
【図6】薄膜磁気ヘッドの薄膜形成工程(工程6〜1
0)を示す図である。
【図7】Al23薄膜及び70wt%Al23−30w
t%ZrO2 薄膜それぞれの、溶液のpH値の変化によ
るエッチングレートを示すグラフである。
【図8】Al23薄膜及び70wt%Al23−30w
t%ZrO2 薄膜それぞれのX線回折分析結果を示すグ
ラフである。
【図9】Al23−ZrO2薄膜のZrO2含有量と溶液
のpH値の変化によるその薄膜エッチングレートを示す
グラフである。
【図10】Al23−TiO2薄膜のTiO2含有量と溶
液のpH値の変化によるその薄膜のエッチングレートを
示すグラフである。
【図11】Al23−Ta25薄膜のTa25含有量と
溶液のpH値の変化によるその薄膜のエッチングレート
を示すグラフである。
【図12】Al23−ZrO2−Y23薄膜のZrO2
23含有量と溶液のpH値の変化によるその膜のエッ
チングレートを示す図である。
【図13】Al23−TiC焼結材と、Al23,Ni
−Fe及びAl23−SiO2 の各薄膜の、溶液のpH
値の変化によるエッチングレートを示す図である。
【図14】Al23−SiO2薄膜のSiO2 含有量と
ビッカース硬度の関係、及びAl2O3−SiO2 薄膜のS
iO2 含有量とpH6〜8の溶液による平均エッチング
レート、及び加工時の欠け発生領域を示す特性図であ
る。
【図15】記録ヘッド/再生ヘッド分離型の薄膜磁気ヘ
ッドの斜視図である。
【図16】磁気ディスク装置の構成の一例を示す図であ
る。
【図17】薄膜磁気ヘッドが磁気ディスク上を浮上して
いる状態を説明する図である。
【図18】薄膜磁気ヘッドにおける基板からなるスライ
ダと薄膜部分を示す図である。
【符号の説明】
11…基板、12…下地膜、13…下部磁性膜、13′
…上部磁性膜、14…ギャップ膜、15…層間絶縁膜、
16…導体コイル、17…素子保護膜、A…磁性膜段
差、B…無機絶縁膜段差、H…加工段差。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦田 栄次 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 安藤 英美 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 池田 宏 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 鈴木 三郎 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 若木 靖雄 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 萩原 芳樹 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された下地膜と,該下地膜上
    に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、Al23と,該Al23以上の酸化数を有する金属
    酸化物とからなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】基板上に形成された下地膜と,該下地膜上
    に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、Al23と、ZrO2,HfO2,TiO2,Y23
    Ta25,Nb25,CeO2,SiO2の少なくとも1
    種とからなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】請求項1記載の薄膜磁気ヘッドを搭載した
    磁気ディスク装置。
  4. 【請求項4】情報を磁気的に記憶する磁気ディスクと,
    該磁気ディスクに情報を記録する薄膜磁気ヘッドとを有
    する磁気ディスク装置において、 前記磁気ヘッドが、基板上に形成された下地膜と,該下
    地膜上に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端
    で接し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁
    性膜と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有
    し、 前記基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャ
    ップ膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の一端面が
    前記磁気ディスクと対向し、前記端面における最大段差
    が0.001〜0.015μmであって、 前記磁気ディスクに対する前記磁気ヘッドの浮上量が
    0.01〜0.1μmであることを特徴とする磁気ディス
    ク装置。
  5. 【請求項5】基板上に形成された下地膜と,該下地膜上
    に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、温度40〜60℃、pH6〜8の温水に対して、
    0.01〜1.5Å/分の溶解速度を有することを特徴と
    する薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】基板上に形成された下地膜と,該下地膜上
    に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャ
    ップ膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディ
    スクと対向する一端面における最大段差が、純水洗浄後
    に0.001〜0.015μmであることを特徴とする薄
    膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】基板上に形成された下地膜と,該下地膜上
    に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、比抵抗10MΩcm以上の純水に対して、1〜100
    nm/hのエッチング速度を有することを特徴とする薄
    膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】基板上に形成された下地膜と,該下地膜上
    に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、pH6〜8の研磨液及びpH9〜11の剥離液に対
    して、1〜100nm/hのエッチング速度を有するこ
    とを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】請求項4記載の磁気ディスク装置におい
    て、更に、前記磁気ディスクに記録された情報を再生す
    る磁気抵抗効果型磁気ヘッドを有することを特徴とする
    磁気ディスク装置。
  10. 【請求項10】基板上に形成された下地膜と,該下地膜
    上に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有し、
    前記基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャ
    ップ膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディ
    スクとの対向面を加工処理する工程を有する薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法において、 前記加工処理中の一工程を、温度40〜60℃,pH6
    〜8の温水で行うことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製
    造方法。
  11. 【請求項11】基板上に形成された下地膜と,該下地膜
    上に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有し、
    前記基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャ
    ップ膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディ
    スクとの対向面を加工処理する工程を有する薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法において、 前記加工処理の工程中に、純水で洗浄する工程を有する
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】基板上に形成された下地膜と,該下地膜
    上に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有し、
    前記基板,前記下地膜,前記下部磁性膜,前記磁気ギャ
    ップ膜,前記上部磁性膜及び前記素子保護膜の磁気ディ
    スクとの対向面を加工処理する工程を有する薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法において、 前記加工処理の工程が、pH6〜8の研磨液で研磨する
    工程と、pH9〜11の剥離液で剥離する工程と、pH
    6〜8の純水で洗浄する工程とを有することを特徴とす
    る薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法において、前記純水で洗浄する工程中に、超音波を
    印加することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】焼結体からなる基板上に形成された下地
    膜と,該下地膜上に形成された下部磁性膜と,該下部磁
    性膜と一端で接し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向
    する上部磁性膜と,該上部磁性膜上に形成された素子保
    護膜とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、スパッタ膜であって、純水に対して前記基板と実質
    的に同一の溶解度を有する無機材料からなることを特徴
    とする薄膜磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】焼結体からなる基板上に形成された下地
    膜と,該下地膜上に形成された下部磁性膜と,該下部磁
    性膜と一端で接し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向
    する上部磁性膜と,該上部磁性膜上に形成された素子保
    護膜とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、スパッタ膜であって、前記基板との溶解速度の差が
    0.01〜1.5Å/分である無機材料からなることを特
    徴とする薄膜磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】基板上に形成された下地膜と,該下地膜
    上に形成された下部磁性膜と,該下部磁性膜と一端で接
    し、他端で磁気ギャップ膜を介して対向する上部磁性膜
    と,該上部磁性膜上に形成された素子保護膜とを有する
    薄膜磁気ヘッドにおいて、 前記下地膜,前記磁気ギャップ膜及び前記素子保護膜
    が、前記基板と異なった材料からなり、溶解速度が実質
    的に等しいことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
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