JPH068889B2 - 電磁流体止め及びそれを用いた液体金属冷却タンク型高速炉 - Google Patents

電磁流体止め及びそれを用いた液体金属冷却タンク型高速炉

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JPH068889B2
JPH068889B2 JP60213823A JP21382385A JPH068889B2 JP H068889 B2 JPH068889 B2 JP H068889B2 JP 60213823 A JP60213823 A JP 60213823A JP 21382385 A JP21382385 A JP 21382385A JP H068889 B2 JPH068889 B2 JP H068889B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、静圧差のある2流体をその間の隔壁なしに分
離する流体止め(ハイドローリック・ロック,hydrauli
c lock)に関するものであり、更には、該流体止めを利
用して、原子炉1次系の高温液体金属と該1次系を格納
するタンク中の低温液体金属とを分離するようにした液
体金属冷却タンク型高速原子炉に関するものである。
〔発明の背景〕
軽水炉を用いた原子力発電は、近年その稼動率も上昇
し、総発電量の中で原子力発電の占める割合は年ととも
に上昇している。ところで、米国スリーマイルアイラン
ドの事故以来、原子炉の安全性を飛躍的に向上させよう
とする動きがある。その一つとしてパイアス炉が提案さ
れている(文献1,2)。パイアス(PIUS)とはプロセ
ス固有究極安全性(ProcessInherent Ultimate Safer
y)の意であり、以下、パイアス炉を超安全炉と呼ぶ。
超安全炉では、軽水炉の事故の中で最も原子炉炉心損傷
の確率が高いと考えられている冷却材配管破断にともな
う冷却材喪失事故をなくすため、1次系全体を高圧のプ
ール水中に格納する方式が採用されている。1次系とプ
ール水は、流体止めを通して物理的な隔壁なしにつなが
っており、事故時には流体止めを通してプール水が1次
系に流入するため、いかなる場合も炉心の燃料が冷却材
から露出する事態は生じないフェールセーフ構成とされ
ている。
第10図はその構成と1次側・プール側の静圧分布を示
す。第10図に示す超安全炉はプール水を格納する容器
10、原子炉炉心11、1次系冷却水駆動ポンプ13、
加圧器16、下部流体止め14′並びに上部流体止め1
5′で構成されている。
炉心11で発生した熱は、ポンプ13で駆動される1次
側冷却水により熱交換器12へ輸送され、2次側へ伝達
する。低温の高濃度ボロン水からなるプール水は高温の
1次側冷却水と流体止め14′,15′により、定常運
転時には分離・保持されている。
第10図における下部流体止め14′は第11図に示す
ように管群からなり、その中で1次側冷却水18とプー
ル水19とが隔壁なしに直接相互の境界面17で接して
いる。上部流体止め15′も同様の構成である。
第10図の右半分は静圧分布を示すもので、図中P
加圧器内16の圧力を、1点鎖線は1次側高温水が静止
している場合の制圧分布を、2点鎖線は高温水がポンプ
13により昇圧(昇圧分ΔPpump)された場合で且つ炉
心での圧力損失(ΔPFriction)がない仮想的な場合の
静圧分布を示す。定常運転時には、図示のように、低温
のプール水(実線)と高温の1次系冷却水(破線)の上
下流体止め14′,15′での静圧は等しくなり、管群
で構成する流体止め中に高温水を上部に低温水を下部に
導くことにより(第10図)、安定に境界面17を保つこ
とができる。他方、加圧器16へ加圧用蒸気供給配管あ
るいは熱交換器の二次側配管等が破損した事故等には、
上下流体止め14′,15′での圧力バランスがくず
れ、プール中の高濃度ボロン水が流体止め14′から流
入し、原子炉11を停止させるとともに、事故後の崩壊
熱を上部流体止め15′からの流出流路をとる自然循環
冷却により除去する。
軽水炉の次の世代の原子炉として提案されている液体金
属冷却高速増殖炉でも同様に安全上の考えから、いわゆ
るタンク型炉が開発されている(タンク内の液体金属冷
却材は前記軽水超安全炉でのプール水と機能的には同
じ)。炉心発熱密度(熱出力密度)の高いタンク型高速
炉では、1次側冷却材の駆動源(ポンプ等)が故障した
場合、タンク内の炉心を通る流路での大きな自然循環流
量が必要となる。したがって、定常運転時に1次側冷却
材が流れる、流動抵抗の大きな熱交換器、ポンプ等を経
由する流路以外に、タンク内の冷却材が炉心へ自然循環
で流入し得る流動抵抗の小さい流路を確保しておくこと
が望まれる。
そこで軽水炉としての前記超安全炉と同様の考え方で、
液体金属冷却タンク型高速炉にも1次側冷却材とタンク
内冷却材とを、第10図,第11図に示した従来の流体
止めで定常運転時は分離しておく事が考えられる。しか
し、第10図の静圧分布から判るように、流来の流体止
めでは、定常時において、液体の境界面17が保たれる
ためには炉心での圧損ΔPFrictionがプール内の低温冷
却材と1次系内の高温冷却材との静圧差(ρch)gh1
より小さいことが必要である。ここに、ρchは低温
冷却材および高温冷却材の密度(添字c,hはcold,ho
tの略)、gは重力加速度、h1は上下の流体止め間の高
さである。
前記軽水超安全炉の場合には、炉心での圧損ΔP
Frictionが比較的小さく、また高温水と低温水の密度差
(ρch)が比較的大きいため、上記要件は実現可能
である。
これに対し、液体金属冷却タンク型高速炉では、炉心の
燃料ピッチが軽水炉の場合よりも密であり、冷却材の炉
心流速が速いこともあって炉心の圧損ΔPFrictionは軽
水炉の約10倍と大きいこと、また、高温冷却材と低温
冷却材の密度差は高速炉の方が小さいこと等のため、炉
心圧損ΔPFrictionよりも上下流体止め間の静圧差(ρ
−ρh)gh1を大きくするには、軽水炉のプール高さ(第
10図の超安全炉で40m)の10倍以上の高さが必要
となり、実際上実現は不可能となる。
このように、液体金属冷却高速炉で、事故時の自然循環
冷却上望ましい1次系開放型のタンク型原子炉を実現す
るためには新しい機構の流体止めの開発が必要であると
言える。而して、この流体止めは、固有安全性を実現す
るという見地からは、機械的な可動部のない機器(pass
ive component,以下、受動的機器と呼ぶ)として開発
されることが必要である。
これまで液体金属の高い導電性を利用して電磁力に基づ
く受動的機器に開発されている(文献3)。第12図は
その一例で液体金属の流れを抑制あるいは阻止する電磁
ブレーキを示す。環状の磁石(あるいは電磁石、以下
同)2及び磁性体3で構成する環状流路に、液体金属1
が矢印()の方向に流入すると、第12図に示すよう
に電流jが誘起される。誘起電流は磁石による磁場と相
互作用し、流れと逆向きの力が流体金属1に働く。第2
図に示すように磁極の部分の流れ方向の長さをL、磁場
を一様としその強さBとすれば電磁力にもとづく流体の
圧力上昇ΔPは ΔP=σuB2L (1) で与えられる。式(1)でσは液体金属の電気電導率、u
は液体金属の平均流速を表す。ΔPがポンプ等による上
流側の液体金属の圧力上昇分よりも大きければ流体の流
れは止まる。しかし、この電磁ブレーキは、磁場の強さ
を変える等の制御機器または人手による操作により、流
量を制御することが可能であるので、電磁ブレーキを流
体止めとしての流量制御器に応用した場合、完全な手動
機器とは見なせない面がある。
第13図は、駆動側の液体金属がもつ流れのエネルギー
を利用して非駆動側の液体金属を流動させる電磁フロー
カプラと呼ばれる機器の一例を示す断面図である(文献
3)。磁石5,6の間の環状空間に導電性の隔壁9で仕
切られた軸線方向に延びる流路7および8があり、流路
7同志は連通、流路8同志は連通している。流路7は駆
動側液体金属用、流路8は被動側液体金属用流路であ
る。磁石5,6間に生ずる磁場を横切って軸線方向に流
路7中を流動する駆動側の液体金属中には電磁ブレーキ
の場合と同様に第13図の矢印方向に誘導電流が生じ
る。流路7と被駆動側液体金属の流路8との間は導体9
で仕切ってあるので、上記誘導電流はループ電流とな
り、矢印で示すように被駆動側の液体金属中をも流れ
る。被駆動側液体金属はこの誘起電流と一様磁場とのた
め駆動側液体金属の流れとは逆向きの力を受け、該逆向
きの方向に流れる。
しかし、この電磁フローカプラでは、駆動側の流れを持
続させた状態で被駆動側の流れを制御するためには、人
手により、又は別に制御機器を設けて磁場の強さを制御
するか、あるいは被駆動側の流路に弁等を設けないかぎ
り不可能であり、完全な受動的機器とは言えない。ま
た、互に仕切られた独立の2流路を設けるものであるの
で、このままでは直接に相接する2流体間の分離を行う
タイプの流体止めとしては用いることができない。
文献 1) K.Hannertz:“Appling Pius to powergeneraion: t
he Secure-PLWR",Nuclear EngineeringInternational,N
ov.1983(vol.28,No.348),pp.41-46 2) 若林宏明:“RIUS炉の概要",UTNL-R,0172(東大工
学部原子力工学研究施設)1985年3月 3) D.F.Davidson,E.Duncombe,G.Thatcher:“Sodium el
ectro-technology at the Risley Nuclear Power Devel
opment Laboratories",Nuclear Energy,1981,vol.20.Fe
b.,No.1,pp.79-90 〔発明の目的〕 本発明の1目的は、静圧の異る二つの液体金属を直接接触
させ、定常時にはその境界面を保持し、異常時には一方の
流体を流入させるのに好適な流体止めを提供することに
あり、他の目的は同流体止めを用いた自然循環特性の良
い液体金属冷却タンク型高速炉を提供することにある。 〔発明の概要〕 本発明によれば、静圧差のある導電性の二流体を互に直
接接触させた状態で流れを止めるための電磁流体止めで
あって、上記二流体のうち静圧の大なる方の流体が流れ
る第1流路と、導電性の隔壁を介して第1流路と並行に隣
接し且つ一端にて第1流路と連通しており、内部に上記二
流体の直接接触環界面を保持する第2流路と、第1および
第2流路を横切る磁場を発生させる手段と、からなること
を特徴とする電磁流体止めが提供される。 また更に本発明によれば、原子炉炉心への1次系液体金属
の流れる第1流路を該炉心の下方に設け、タンク側液体金属
と上端にて連通し且つ下端において第1流路と連通して
いる第2流路を導電性の隔壁を介して第1流路と並行に隣
接せしめ、第1および第2流路を横切る磁場を発生する手
段を設け、第2流路内に1次系液体金属とタンク側液体金属と
の直接接触境界面を保持するように構成したことを特徴
とする液体金属冷却タンク型高速増殖炉が提供される。 以下、本発明の原理について解説する。 第14図は、タンク側に開放された1次系をもつ液体金属冷却タ
ンク型高速炉の深さ方向の静圧分布を示す。実線はタンク側の
低温液体金属の静圧分布を、1点鎖線は1次系の高温液体
金属が仮想的に静止している場合の1次系の静圧分布を、
破線はそれが流動している場合の1次系の静圧分布を示
す。第14図は第10図と比較すると ΔPFriction>(ρch)gh すなわち、炉心の圧損が1次系とタンク側の静圧差より
も大きくなっている点が異る。
もし、この液体金属冷却高速炉の下部に第11図の如き
従来の管群で構成する流体止め14′を取付けた場合を
考えると、1次側高温冷却材18とタンク側低温冷却材
19の流体止め14′内の境界面17での圧力バランス
を考えるに、高温冷却材18側の圧力は第14図より、
po+ρhgh+ΔPpump,一方、低温冷却材19側の圧力は
po+ρcghとなる。この差ΔPExternalを補正しない限
り、1次系の高温冷却材18は下部流体止め14′から
タンク側へ流出してしまうことになる。このΔP
Externalを補正する方法として、第11図の流体止め1
4′を通つて下方に流出しようとする高温冷却材に第1
2図にならって磁場をかけて電磁ブレーキを作用させる
ことが考えられる。しかし、この方法では、事故時にタ
ンク内の低温冷却材19が流体止め14′を逆流して炉
心11へ自然循環する場合にも、電磁ブレーキとして働
くため、事故時には磁界を切る等の機能を持つ制御回路
及び操作が必要となり、固有安全性は完全ではない。
したがつて、液体金属冷却タンク型高速炉の場合には、
第14図に示す静圧差ΔPExternalを補正しうる新たな
流体止めが必要となる。同流体止めは、1次側ポンプ作
動時(ΔPpump昇圧時)にはΔPExternalを補正し、ポン
プ停止時(事故時等)にはタンク内の液体金属の自然循
環により炉心を冷却するようにするため、下部流体止め
はその流動抵抗を小さくする必要がある。
第5図は本発明の原理的構成を説明するための図であっ
て、タンク型液体金属冷却高速炉のタンク側と1次系を
仕切る筒20の下端周囲に流体路14を配置してある。
筒20の下端においてタンク側と1次系側とは図示の如
き連通しており、1次系側の高温冷却材18とタンク側
の低温冷却材19(いずれも液体金属)は流路14内で
境界面17を以て互に直接接触している。第5図の構成
では、ポンプ作動時の定常運転中には仕切り円筒20内
で1次系側の冷却材18は上昇流となる。流路14内に
境界面17を保持するためには、第14図に示すΔP
Externalを補正しうる流れあるいは力を流路14中の低
温冷却材に作用させる必要がある。
本発明は、第5図において流路14に横方向の磁場をか
けることによって、円筒20の内側の1次系側液体金属
18の上昇流を駆動流として、前述の電磁フローカプラ
ーと同じ原理を利用して流路14内のタンク側液体金属
に誘起電流による電磁力を下向きに発生させ(図の点線
矢印)、これにより、炉の定常運転中、前記ΔP
Externalを補正するのである。ポンプ事故等により、上
記の上昇流が弱まれば、境界面17での力のバランスが
崩れ、タンク側液体金属は1次案内に流入し、自然循環
により炉心11を冷却することができる。
〔発明の実施例〕
第1図は本発明の流体止めの1実施例およびそれを用い
たタンク型液体金属冷却高速炉の1実施例の一部の概要
断面図である。磁石21を、炉心11の下部の仕切り筒
20の内側と、仕切筒20の下部周辺を囲む平行流路1
4の周囲に設けている。鉛直平行に平行な流路14は第
1図(a)のA−A′断面(水平断面)である第1図(b)に
示すように、導電性の隔壁23により上部が周方向に四
つに仕切られている。第1図(a)は同図(b)のB-O-B′断
面図であって、並列流路14の下部はいずれも1次冷却
材の駆動源(ポンプ13)につながる配管22に接続さ
れている。一方、隔壁23で仕切られた流路14の上部
は、一つおきに炉心11の下部の空間(流路)に接続さ
れた流路と、タンク側に開放された流路に分れている。
第2図は磁石21がつくる磁場の磁力線、定常運転時
(ポンプ13の作動時)の1次側冷却材(液体金属)の
流出の方向、及び誘導電流の方向を示す。ポンプ等によ
り駆動圧を受けた高温の1次系液体金属18は1つおき
の流路14を上向きに流れる。また、磁石21は水平断
面内に半径方向の磁場をつくる。導電性の液体金属18
が磁場(水平面内)に垂直(鉛直方向)に流れるため同
液体金属18中に周方向の誘導電流を生じる。誘導電流
は導電性材料の隔壁23を通って、タンク側の低温の液
体金属19を流れ、第2図(b)中の実線矢印で示すよう
にループ電流を形成する。タンク側の液体金属19は、
同ループ電流と径方向の磁場のため鉛直下方向の電磁力
を受け、1次側とは逆に下向きに流れようとする。この
電磁力によって生じるΔPEmfにより、1次側とタンク側
の圧力差ΔPExternal(第14図参照)を相殺し、1次側
とタンク側との液体金属の境界面17を流路14中で一
定位置に保持できる。
第3図は1次系ポンプ等が停止した事故時及び起動時の
冷却材の流れを示す。ポンプが停止した場合、配管22
中の液体金属の駆動圧はなくなる。境界面17における
圧力バランスは崩れ、タンク側液体金属19は流路14
を通って1次側に流入するようになる。かくて、原子炉
スクラム後、炉心11での崩壊熱発生のため、ポンプ、
熱交換器等がない、流動抵抗が小さいタンク側の流路を
とる自然循環が形成される。磁場中の並列流路14はタ
ンク側の流体金属19を炉心11に循環させるU字型の
電磁フローカプラとして機能するのみで実質的な流動抵
抗の増加はない。
起動時には、タンク側の流路をとる自然循環(第3図に
示す流れ)により立上げた後、1次側のポンプ等を作動
させ、タンク側に接続された配管からの流れを止めて、
第2図の流れの状態に移行させる。
第4図は本実施例の流体止め(電磁流体止め)を採用し
た高速増殖炉の全体構成と定常時及び事故時の液体金属
の流れを示す。図中、10はプール容器、11は炉心、
12は熱交換器、13は1次系のポンプ、15は上部流
体止め(第11図に示したものと同様の構造のもの)、
20は仕切り筒、22は1次系流路壁、28は液体金属
の自由液面、29は熱交換器2次側配管であり、14お
よび21は夫々前述した流体止めの流路および磁石であ
る。炉心圧損ΔPFrictionを1MPaとし、液体金属とし
ての400℃のナトリウムの導電率σ=4.5×106S
/m、仕切り筒20内でのその流速u=2m/Sとして、高
さL=1mの電磁流体止めに必要な磁場の強さBを前記
式(1)から求めると0.33Wb/m2となり、十分実現し得
る。
第6図は本発明の液体金属冷却高速炉の他の実施例を示
す。本実施例は、前記第4図の実施例において、プール
10に高速中性子及び熱中性子の吸収断面積が大きい非
核分裂性物質を一様に混入させた液体金属35を満たした
ものである。また、1次系配管に前記混入物質の浄化系
配管34を設けている。前記の実施例と同様にポンプ1
3の故障時にはプール10を通る自然循環が生じ、炉心
11に流入した中性子吸収材入り液体金属は炉心11の
核分裂反応を停止させる。再起動時には浄化系を作動さ
せ1次系の液体金属中の中性子吸収材の濃度を低下させ
て運転を始める。本実施例によれば事故時の炉心11の
崩壊熱を除去できるのみならず原子炉の停止を制御棒挿
入といった能動的機能によらず実施できる効果がある。
第7図は本発明は原子炉の第3の実施例である液体金属
冷却のタンク型高速増殖炉を示す。タンク10内に原子
炉炉心11、熱交換器12、ポンプ13を配置し、炉心
11の下部に前記実施例と同様に磁石21、電磁流路1
4よりなる流体止めを設けている。タンク上部と下部は
仕切り板33で隔離している。ポンプ13作動時には実
線の矢印で示すように、ポンプ13を出た液体金属は炉
心11で加熱された上部プレナム100を経て、熱交換
器12に流入する。高温の1次側液体金属は熱交換器1
2で低温の2次側冷却材に熱を輸送し、温度を下げて下
部プレナム101へ流出する。下部プレナム内の液体金
属は流入口131からポンプ13に流入し、ポンプ13
で駆動圧を受けて1次系流路22を経て路心11に環流
する。流体止めではこの駆動圧を電磁力で相殺して下部
プレナム101から流路14を経て1次系に直接入ろう
とする液体金属の流れをとめている。ポンプ13停止時
には、流動抵抗の小さい同流体止めの流路14を通って
下部プレナム中の流体金属は炉心11へ環流することが
できる。本実施例によれば、ポンプ停止時に流動抵抗が
小さい流路を確保できるため、従来のタンク型高速炉よ
りもポンプ停止時の炉心流量が大きく、より安全性が高
まる効果がある。
本発明の流体止めの他の実施例を第8図により説明す
る。磁石21のつくる磁場中に並列二流路25,26を
磁界(破線の矢印)に垂直方向に設ける。流路壁24及
び流路の隔離壁23は導電性材料で作られれており、磁
界に垂直な流路内面では絶縁材36で内張りしている。
並列流路下端では隔壁23の一部を取除いてあり、従っ
て両流路25,26は下端でつながっている。一方の流
路26の下端は邪ま板27で閉塞している。
第9図は第8図に示した実施例の流体止めをタンク型液
体金属冷却原子炉の炉心11の下部に設置した構成及び
その動作を示している。第9図中の流体止めの図示は第
8図(b)と同じ対応関係にあり、流路25,26中の磁
場は紙面に垂直な方向にかかっている。ポンプ13の駆
動圧で流路上端の静圧が小さい流路25は上昇流とな
る。導電性の流体たる液体金属が磁場を横切るため、同
液体金属中に第8図に示すよう磁力線と流速ベクトルが
作る平面に垂直な方向に誘導電流を生じる。この誘導電
流は隔離壁23を通って流路26中の液体金属中を流
れ、磁場と作用して同液体金属に下向きの電磁力を生ず
る。この力は磁場の強さ、磁場の領域(すなわち流路
巾)により任意の強さに設定できる。この下向きの力は
ポンプ13の駆動圧に起因する力と相殺して流路26中
の液体金属は静止する。一方、ポンプ13が停止した場
合には、駆動圧は音速で液体金属中を伝播するためほぼ
瞬時になくなる。このため流路26中の液体金属は下向
きに流れ、次いで流路25を上昇するU字流れとなる。
以上のように、本実施例によれば任意の大きさの静圧差
のある二流体間に物理的な障壁を設けることなく両者の
間の流れを止めることができる。
〔発明の効果〕
本発明の電磁流体止めによれば、静圧の異る導電性の二
流体を直接接触させ、定常時にはその静圧差を補償して
その境界面を保持し、異常時には一方の流路内の流体を
他方の流路に流入させることができる。しかも本発明電
磁流体止めは、定常状態から事故状態への変化時に、動
作、機能上の変更が不要であり、変更に必要な制御回
路、操作員の介入等が一切不要な固有安全性を有する。
また本発明は液体金属冷却タンク型高速原子炉によれ
ば、定常運転時には高温の1次系液体金属と低温のタン
ク側液体金属との静圧差を補償して、両者の直接接触状
態で後者の前者への流入を止め、1次系ポンプ事故時に
はタンク側液体金属を炉心へ流入させ、流動抵抗の小さ
い自然循環冷却流路を確保できる。しかも定常運転状態
から事故状態への上記作動の切替りに際して可動部の動
作や制御回路、操作員の介入が一切不要であって、固有
安全性が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は本発明の流体止めの1実施例の夫々B
−O−B′断面およびA−A′断面図、第2図(a),(b)
は該実施例の定常運転時の状態を示す夫々B−O−B′
断面およびA−A′断面図、第3図は該実施例のポンプ
故障時の状態を示すB−O−B′断面図、第4図は上記
流体止めを用いた本発明のタンク型液体金属冷却高速炉
の断面図、第5図は本発明の原理説明用断面図、第6図
は本発明のタンク型液体金属冷却原子炉の他の実施例を
示す断面図、第7図は本発明のタンク型液体金属冷却原
子炉の更に他の実施例を示す断面図、第8図(a),(b)は
本発明の流体止めの他の実施例を示す夫々平面断面およ
びA−A′断面図、第9図は第8図(a),(b)の流体止め
を用いたタンク型液体金属冷却原子炉の実施例を示す部
分断面図、第10図は従来のパイアス軽水炉の構成およ
び静圧分布を示す図、第11図は第10図中の従来の流
体止めを示す断面図、第12図(a),(b)は従来の電磁ブ
レーキを示す夫々横断面および縦断面図、第13図は従
来の電磁フローカプラの横断面図、第14図はタンク型
液体金属冷却高速炉における静圧分布を示す図である。 1…液体金属 2…磁石 3…強磁性体 4…流路壁 5,6…磁石 7…駆動側液体金属 8…被駆動側液体金属9…金属導体仕切り 10…プール容器 11…原子炉炉心 12…熱交換器 13…1次系ポンプ 14…下部流体止め 15…上部流体止め 16…加圧器 17…高低温冷却材の境界面 18…高温冷却材 19…低温冷却材 20…仕切り筒 21…磁石 22…流炉壁 23…隔離壁 24…絶縁板 25,26…流路 27…邪ま板 28…自由液面 29…熱交換器二次側配管 30…熱遮へい板 31…ルーフスラブ 32…炉上部機構 33…隔壁構造 34…浄化系配管 35…中性子吸収材入り液体金属。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性を有し静圧の大なる第1の流体及び
    静圧の小なる第2の流体を互に直接接触させた状態で流
    れを止めるための電磁流体止めであって、前記第1流体
    が流れる第1流路と、導電性の隔壁を介して第1流路と
    平行に隣接し且つ一端にて第1流路と連通しており、内
    部に前記二流体の直接接触境界面を形成する第2流路
    と、第1及び第2流路を横切る磁場を発生させる手段
    と、前記第1の流体に外部駆動力を付与する手段とを有
    し、前記第2流路内において、前記第1流路内における
    第1の流体に発生される誘導電流に基づき第2の流体に
    誘起される電磁力と、第1の流体に付与される外部駆動
    力とが互いに衝突する方向に発生し、前記第2流路内の
    二流体が直接接触した平衡境界面領域を保持する構成と
    したことを特徴とする電磁流体止め。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の電磁流体止
    めにおいて、前記第1及び第2流路は、導電性隔壁で隔
    離した複数個の流路を交互に、且つ環状に配置した環状
    流路構造とし、前記磁場を発生させる手段は、前記環状
    流路の内部及び外周にそれぞれ配置された磁極により構
    成されたことを特徴とする電磁流体止め。
  3. 【請求項3】原子炉炉心への1次系液体金属の流れる第
    1流路を該路心の下方に設け、タンク側液体金属と上端
    にて連通し且つ下端において第1流路と連通している第
    2流路を導電性の隔壁を介して第1流路と平行に隣接配
    置し、第1及び第2流路を横切る磁場を発生する手段
    と、前記1次系液体金属に外部駆動力を付与する手段と
    を設け、前記第2流路内において、前記第1流路内にお
    ける1次系液体金属に誘起される誘導電流に基づきタン
    ク側液体金属に発生される電磁力と、1次系液体金属に
    付与される外部駆動力とが互いに衝突する方向に発生
    し、前記第2流路内の二液体金属が直接接触した平衡境
    界面領域を保持する構成としたことを特徴とする液体金
    属冷却タンク型高速路。
  4. 【請求項4】原子炉炉心、1次系ポンプ、中間熱交換
    器、等の1次系主要機器と1次系冷却材の液体金属を一
    つのタンク内に格納して構成するタンク型高速増殖炉に
    おいて、1次系液体金属の流れる第1流路を、該路心の
    下方のプレナム領域において、前記炉心の入口部と前記
    1次系ポンプの出口部との間に配置し、タンク側液体金
    属と上端にて連通し且つ下端において第1流路と連通し
    ている第2流路を、導電性の隔壁を介して第1流路と平
    行に隣接配置し、第1及び第2流路を横切る磁場を発生
    する手段と、前記1次系液体金属に外部駆動力を付与す
    る手段とを設け、前記第2流路内において、前記第1流
    路内における1次系液体金属に誘起される誘導電流に基
    づきタンク側液体金属に発生される電磁力と、1次系液
    体金属に付与される外部駆動力とが互いに衝突する方向
    に発生し、前記第2流路内の二液体金属が直接接触した
    平衡境界面領域を保持する構成としたことを特徴とする
    液体金属冷却タンク型高速炉。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第4項記載の液体金属冷却
    タンク型高速炉において、前記第1流炉の出口を前記炉
    心の入口部に接続し、前記第2流路の流入口は前記中間
    熱交換器の出口領域である低温プレナム部に開口し、前
    記第1流路の入口と前記第2流路の出口部分は連通し且
    つ前記1次系ポンプの出口配管に接続したことを特徴と
    する液体金属冷却タンク型高速炉。
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