JPH0688604A - 脱気器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、フラッディングを防止し、かつ安定
な性能を維持することが可能で、かつ小型化可能な脱気
器を提供することにある。 【構成】本発明は、上部に給水を噴出する給水スプレー
を配設したスプレー室を、下方に貯水部を、下端部には
給水出口が設けられている円筒状圧力容器からなる脱気
器において、前記スプレー室の下部に分配多孔トレイを
設け、前記分配多孔トレイの下方には螺旋状脱気トレイ
を配置して、前記分配多孔トレイから落下した給水と脱
気器胴の横に設けた加熱蒸気入口から流入した加熱蒸気
とを前記螺旋状脱気トレイ上を旋回させながら平行流的
に流下せしめ、前記螺旋状脱気トレイを出た蒸気を前記
スプレー室に導く連通管を前記螺旋状脱気トレイの中央
部に設けた構成であるので、分配多孔トレイで分配され
た給水と加熱蒸気が、螺旋状脱気トレイ上を平行流的に
流下するため、加熱蒸気速度を高くしてもフラッディン
グが発生せず、かつ蒸気速度による給水の撹拌効果によ
り安定な性能を維持することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば火力発電プラン
トのボイラ給水系統に組込まれて使用される脱気器に関
する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、火力発電プラントではボイラへ
の給水中に溶解している溶存ガス（酸素Ｏ₂ 、二酸化炭
素ＣＯ₂ 等）によるボイラおよび配管類の腐食を防止す
るため脱気器を使用している。この脱気器は、物理的な
処理により給水中の溶存ガスを取除くもので、代表的な
ものとしてはスプレー・トレイ式と呼ばれるものが知ら
れている。従来のスプレー・トレイ式脱気器を図３につ
いて説明する。

【０００３】脱気器は脱気室１と貯水タンク２とから構
成され、脱気室１は貯水タンク２の上部に設置される。
脱気室１はボイラ等へ供給する給水の脱気機能を有する
部分で内部に脱気トレイ室４を持ち、多数の脱気トレイ
５が設置されている。脱気トレイ室４の上部には給水を
噴射するためのスプレー室６が設置され、給水は給水ス
プレー７でスプレー室６に噴射され、直ちに加熱蒸気と
直接接触することによって、第一次の拡散脱気を生じ、
給水中の溶存ガスを脱気し、かつ器内圧力の飽和温度近
くの温度まで加熱される。

【０００４】給水スプレー７でスプレー室６に噴射され
た給水は、脱気トレイ室４へ均一に給水を落下させるた
めに設けた分配トレイ８に落下する。給水は分配トレイ
８によって脱気トレイ室４内に均一に分配され、さら
に、下部の脱気トレイ５の上に落下する。脱気トレイ５
は上部から落下してきた飽和温度に近い給水をその上に
溜めつつ、オーバーフローさせる。このように給水は次
々に下方の脱気トレイ５に自由落下する。その際に下方
から上昇する加熱蒸気に接触することによって、給水は
飽和温度まで加熱され、かつ第二次の脱気が行われる。

【０００５】一方、加熱蒸気９は、加熱蒸気入口１０か
ら脱気器内に導入され、脱気トレイ室４の下部より、脱
気トレイ室４に流入する。加熱蒸気は脱気トレイ５の間
を上昇する際、脱気トレイ５からオーバーフローして自
由落下する給水と接触し、加熱および第二次の脱気を行
う。

【０００６】加熱蒸気は給水と接触して凝縮して復水と
なり、給水と共に脱気室１下部に流下し、貯水タンク２
へ導かれ、貯水タンク２の下部の給水出口１１から給水
ポンプ（図示せず）により送出される。また、給水３か
ら脱気された溶存ガスは、脱気室１上部のベント出口１
２から器外へ排出される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】一般に、脱気器は給水
の加熱と給水中の溶存ガスを脱気する２つの目的を持っ
ている。給水中に含まれる溶存ガスは、給水本体と気相
との溶解度非平衡による物質移動で気体中に放出される
ため、伝熱と脱気の両面から給水の表面積を大きくとる
ことが必要となる。そのため、従来の脱気器では、多段
で構成された脱気トレイ５によって加熱と脱気の効果を
上げている。

【０００８】しかし、この多段構成の脱気器では、脱気
トレイ５の部分で給水と加熱蒸気が対向流するため加熱
蒸気の上昇速度が増加すると、上昇蒸気流が落下する給
水流を停滞留させる、いわゆるフラッディングを生じ
る。従って、高負荷時のように給水流量および加熱蒸気
流量が多くなると、フラッディングが生じ易く運転でき
ないという問題が生じる。これを避けるため、従来の脱
気器では、フラッディングが生じない加熱蒸気通路を確
保する必要が有り、このため大型化せざるを得なかっ
た。

【０００９】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的はフラッディングを防止し、かつ安定な性
能を維持することが可能で、かつ小型化可能な脱気器を
提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、上部に給水を噴出する給水スプレーを配
設したスプレー室を、下方に貯水部を、下端部には給水
出口が設けられている円筒状圧力容器からなる脱気器に
おいて、前記スプレー室の下部に分配多孔トレイを設
け、前記分配多孔トレイの下方には螺旋状脱気トレイを
配置して、前記分配多孔トレイから落下した給水と脱気
器胴の横に設けた加熱蒸気入口から流入した加熱蒸気と
を前記螺旋状脱気トレイ上を旋回させながら平行流的に
流下せしめ、前記螺旋状脱気トレイを出た蒸気を前記ス
プレー室に導く連通管を前記螺旋状脱気トレイの中央部
に設けたことを特徴とする。

【００１１】

【作用】上記したように構成された脱気器は、分配多孔
トレイで分配された給水と加熱蒸気が螺旋状脱気トレイ
上を平行流的に流下するため、加熱蒸気速度を高くして
もフラッディングが発生せず、かつ蒸気速度による給水
の撹拌効果により安定な性能を維持することが可能とな
る。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例の断面図である。なお、本
実施例中、従来構成と同一部分には同一符号を用いて説
明する。

【００１３】同図において、脱気器２１は縦形円筒状と
し、脱気器２１の胴横に加熱蒸気入口２２を設け、その
上部には給水をスプレー室６に噴出する給水スプレー７
およびベント出口１２を配設し、またその下端部には給
水出口１１を設ける。スプレー室６の下部には、分配多
孔トレイ２３を設け、その下方には給水３を蒸気通路内
に分配する多数の孔を有する螺旋状脱気トレイ２４を配
設し、螺旋状脱気トレイ２４の中央部には、螺旋状脱気
トレイ２４を出た蒸気をスプレー室６に導く連通管２５
を設ける。

【００１４】このように構成された脱気器２１におい
て、給水３は脱気器２１の上部に配置された給水スプレ
ー７から脱気器２１のスプレー室６に流入する。給水ス
プレー７は、スプレー室６において、給水３を薄膜放射
状に噴出し、水の薄膜と連通管２５から上昇してくる加
熱蒸気９と直接接触することにより熱交換し、給水３は
脱気器の器内圧力の飽和温度に近い温度まで上昇させら
れ、かつ第一次の脱気が行われる。

【００１５】温度が上昇した給水３は、一旦分配多孔ト
レイ２３上に集められ、分配多孔トレイ２３の上に液面
を形成し、分配多孔トレイ２３に設けた多数の孔から螺
旋状脱気トレイ２４の上へ均一に落下させられる。

【００１６】一方、加熱蒸気９は脱気器２１の横に設け
た加熱蒸気入口２２から脱気器２１の螺旋状脱気トレイ
２４の上方でかつ分配多孔トレイ２３の下方へ流入す
る。加熱蒸気９は上部を分配多孔トレイ２３上の給水の
貯留部によって、また中央を連通管２５によって塞がれ
るため、分配多孔トレイ２３から落下した給水と共に螺
旋状脱気トレイ２４に沿って平行流的に流下する。その
際、図２に示すように、給水３は螺旋状脱気トレイ２４
に沿って流下するものと、螺旋状脱気トレイ２４上の流
下孔から蒸気通路に落下するものとによって加熱蒸気９
と接触するので、飽和温度まで加熱され、かつ第二次の
脱気が行われる。

【００１７】螺旋状脱気トレイ２４をでた給水は、脱気
器下方の貯水部２６に集められ、脱気器の下端部の給水
出口１１から給水ポンプへ送られる。また、螺旋状脱気
トレイ２４をでた加熱蒸気９は、螺旋状脱気トレイ２４
の中央部に設けた連通管２５を通って、スプレー室６へ
導かれ、給水スプレー７から噴出された給水３と直接接
触することによる熱交換および第一次の脱気が行われ
る。なお、給水から脱気された溶存ガスは、脱気器２１
上部のベント出口１２から器外へ排出される。次に、本
実施例の作用について説明する。

【００１８】上記構成の脱気器２１において、加熱蒸気
９は脱気器２１の横に設けた加熱蒸気入口２２から脱気
器２１の螺旋状脱気トレイ２４の上方へ流入し、上部を
分配多孔トレイ２３上の給水の液面によって、中央を連
通管２５によって塞がれているため、分配多孔トレイ２
３から落下した給水と共に螺旋状脱気トレイ２４に沿っ
て平行流的に流下する。

【００１９】このように、加熱蒸気９は螺旋状脱気トレ
イ２４に沿って旋回して流下するため、落下する給水流
を停滞させることがなく、フラッディングを生じない。
従って、加熱蒸気速度を可能な限り上昇させることがで
き、蒸気のせん断力の効果により給水を撹拌して脱気効
果を促進できる。

【００２０】また、螺旋状脱気トレイ２４を出た加熱蒸
気９は、連通管２５を通ってスプレー室６に導かれる
際、加熱蒸気９が反転上昇するため、給水３の大部分は
慣性力で下方に落ち、連通管２５を上昇する加熱蒸気中
に含まれるわずかな水滴によっては、スプレー室６では
フラッディングは生じない。

【００２１】上述したように、本実施例によれば、トレ
イ部分を旋回かつ気液平行流としたので、フラッディン
グを生じることなく、加熱蒸気の速度を上げられるため
流路断面を小さくでき、全体として、小型で安定した高
性能の脱気器が得られる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
脱気トレイ部分において給水と加熱蒸気がほぼ平行流で
落下するため、フラッディングを防止でき、かつ高性能
で安定した性能を維持することができる小型の脱気器を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の縦断面図。

【図２】図１の螺旋状脱気トレイ部分の斜視図。

【図３】従来の脱気器の縦断面図。

【符号の説明】

３…給水、６…スプレー室、７…給水スプレー、９…加
熱蒸気、１１…給水出口、１２…ベント出口、２１…脱
気器、２２…加熱蒸気入口、２３…分配多孔トレイ、２
４…螺旋状脱気トレイ、２５…連通管、２６…貯水部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷲田 朗秀 神奈川県横浜市鶴見区末広町２丁目４番地 株式会社東芝京浜事業所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部に給水を噴出する給水スプレーを配
   設したスプレー室を有し、下方に貯水部を有し、下端部
   には給水出口が設けられている円筒状圧力容器からなる
   脱気器において、前記スプレー室の下部に分配多孔トレ
   イを設け、前記分配多孔トレイの下方には螺旋状脱気ト
   レイを配置して、前記分配多孔トレイから落下した給水
   と脱気器胴の横に設けた加熱蒸気入口から流入した加熱
   蒸気とを前記螺旋状脱気トレイ上を旋回させながら平行
   流的に流下せしめ、前記螺旋状脱気トレイを出た蒸気を
   前記スプレー室に導く連通管を前記螺旋状脱気トレイの
   中央部に設けたことを特徴とする脱気器。