JPH068704B2 - ヘリウム冷凍機 - Google Patents
ヘリウム冷凍機Info
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- JPH068704B2 JPH068704B2 JP10652885A JP10652885A JPH068704B2 JP H068704 B2 JPH068704 B2 JP H068704B2 JP 10652885 A JP10652885 A JP 10652885A JP 10652885 A JP10652885 A JP 10652885A JP H068704 B2 JPH068704 B2 JP H068704B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、圧縮されたヘリウムガスの膨張作用により極
低温を発生させるヘリウム冷凍機に関し、特にヘリウム
ガスを圧縮するヘリウム圧縮機の潤滑油に関するもので
ある。
低温を発生させるヘリウム冷凍機に関し、特にヘリウム
ガスを圧縮するヘリウム圧縮機の潤滑油に関するもので
ある。
(従来の技術) 従来より、この種のヘリウム冷凍機として、ヘリウム圧
縮機で圧縮されたヘリウムガスをクライオスタット(低
温槽)に供給してそのJ−T熱交換器でリターンする低
温のヘリウムガスと熱交換させるとともに、その熱交換
により冷却されたヘリウムガスをさらにJ−T弁でジュ
ールトムソン膨張させてその膨張作用により極低温を発
生させるようにしたいわゆるJ−T回路を備えたものは
よく知られている。
縮機で圧縮されたヘリウムガスをクライオスタット(低
温槽)に供給してそのJ−T熱交換器でリターンする低
温のヘリウムガスと熱交換させるとともに、その熱交換
により冷却されたヘリウムガスをさらにJ−T弁でジュ
ールトムソン膨張させてその膨張作用により極低温を発
生させるようにしたいわゆるJ−T回路を備えたものは
よく知られている。
ところで、このようなヘリウム冷凍機において、ヘリウ
ムガスを圧縮する圧縮機を潤滑するために、ガスと共に
圧縮機に吸入される潤滑油としては、従来、ポリエーテ
ルが多用されている。
ムガスを圧縮する圧縮機を潤滑するために、ガスと共に
圧縮機に吸入される潤滑油としては、従来、ポリエーテ
ルが多用されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、上記ポリエーテル水分や油等の不純物に対する
飽和濃度が比較的高い(飽和水分濃度は2%)ので、上
記のJ−T回路を備えたヘリウム冷凍機に使用した場
合、圧縮機から吐出されるヘリウムガスから潤滑油(ポ
リエーテル)、系内の水分、その他の不純ガスを油分離
器や吸着器により分離・吸着するにも拘らず、クライオ
スタットのJ−T熱交換器に送られるヘリウムガス中に
1ppm程度の水分,油等が残存する。このため、J−T
熱交換器でヘリウムガスが低温のリターンヘリウムガス
と熱交換されて例えば300K(23℃)から100K
(−173℃)程度まで冷却されると、熱交換器の1次
側(高圧側)で上記ヘリウムガス中の水分が結霜しまた
は油、その他のガスが凝固していわゆるコンタミネーシ
ョン(以下、コンタミと略す)が発生し、このコンタミ
により第4図に示すようにJ−T熱交換器での圧力損失
が増大してガスの流量が極度に減少し、冷凍機の冷凍能
力が低下し、冷凍機の連続運転が500〜1000時間
程度に達すると、熱交換器の閉塞によりそれ以上の連続
運転が不可能になるという問題があった。その場合、冷
凍機の運転を一旦停止させて、外部からの侵入熱により
コンタミを融解させる処理が行われるが、その間にクラ
イオスタットでの被冷却体が温度上昇するのは否めな
い。
飽和濃度が比較的高い(飽和水分濃度は2%)ので、上
記のJ−T回路を備えたヘリウム冷凍機に使用した場
合、圧縮機から吐出されるヘリウムガスから潤滑油(ポ
リエーテル)、系内の水分、その他の不純ガスを油分離
器や吸着器により分離・吸着するにも拘らず、クライオ
スタットのJ−T熱交換器に送られるヘリウムガス中に
1ppm程度の水分,油等が残存する。このため、J−T
熱交換器でヘリウムガスが低温のリターンヘリウムガス
と熱交換されて例えば300K(23℃)から100K
(−173℃)程度まで冷却されると、熱交換器の1次
側(高圧側)で上記ヘリウムガス中の水分が結霜しまた
は油、その他のガスが凝固していわゆるコンタミネーシ
ョン(以下、コンタミと略す)が発生し、このコンタミ
により第4図に示すようにJ−T熱交換器での圧力損失
が増大してガスの流量が極度に減少し、冷凍機の冷凍能
力が低下し、冷凍機の連続運転が500〜1000時間
程度に達すると、熱交換器の閉塞によりそれ以上の連続
運転が不可能になるという問題があった。その場合、冷
凍機の運転を一旦停止させて、外部からの侵入熱により
コンタミを融解させる処理が行われるが、その間にクラ
イオスタットでの被冷却体が温度上昇するのは否めな
い。
一方、ヘリウム圧縮機においては、ヘリウムガスの断熱
係数がK=1.66と高い値を有しているため、一般に
圧縮比が2〜4程度で使用され、30℃程度で圧縮機に
吸入されたヘリウムガスはその吐出側では200℃以上
に上昇する。その場合、高圧ドーム形のヘリウム圧縮機
では高温による油粘度の低下による潤滑不良、高温にも
とづく油の劣化及び圧縮機吐出弁の折損等の問題が生じ
ることから、従来は圧縮機中のヘリウムガスを冷却する
ために油インジェクションが実施されている。しなわ
ち、この油インジェクションは、圧縮機内下部に溜めら
れた高圧雰囲気中の潤滑油を、ケーシング外周面に巻き
付けられた油コイルに流す過程で、この油コイルと熱交
換可能に上記ケーシングの外周面に巻き付けてなる冷却
水コイルによって100℃程度から30℃程度まで冷却
した後、オリフィスを介してガス吸入管内のヘリウムガ
ス中に噴射注入させることにより、圧縮機の吐出弁近辺
の温度を120〜130℃程度まで低下させ得るように
したものである。
係数がK=1.66と高い値を有しているため、一般に
圧縮比が2〜4程度で使用され、30℃程度で圧縮機に
吸入されたヘリウムガスはその吐出側では200℃以上
に上昇する。その場合、高圧ドーム形のヘリウム圧縮機
では高温による油粘度の低下による潤滑不良、高温にも
とづく油の劣化及び圧縮機吐出弁の折損等の問題が生じ
ることから、従来は圧縮機中のヘリウムガスを冷却する
ために油インジェクションが実施されている。しなわ
ち、この油インジェクションは、圧縮機内下部に溜めら
れた高圧雰囲気中の潤滑油を、ケーシング外周面に巻き
付けられた油コイルに流す過程で、この油コイルと熱交
換可能に上記ケーシングの外周面に巻き付けてなる冷却
水コイルによって100℃程度から30℃程度まで冷却
した後、オリフィスを介してガス吸入管内のヘリウムガ
ス中に噴射注入させることにより、圧縮機の吐出弁近辺
の温度を120〜130℃程度まで低下させ得るように
したものである。
しかしながら、上記潤滑油としてのポリエーテルはその
熱分解温度が約190℃と低いので、上記油インジェク
ションによる対策だけでは劣化に伴う粘度低下等による
潤滑性能不足を十分に補償することが困難である。
熱分解温度が約190℃と低いので、上記油インジェク
ションによる対策だけでは劣化に伴う粘度低下等による
潤滑性能不足を十分に補償することが困難である。
本発明の目的とするところは、熱分解温度が高いととも
に、飽和水分濃度が極めて低く、しかも比重が大きくて
圧縮機内および油分離でのヘリウムガスからの分離の容
易な圧縮機用潤滑油を提供することにより、J−T回路
を備えたヘリウム冷凍機のJ−T熱交換器等、ヘリウム
冷凍器における低温発生部のコンタミの発生を未然に防
止し、併せてヘリウム圧縮機に対する潤滑性能を安定確
保し得るようにすることにある。
に、飽和水分濃度が極めて低く、しかも比重が大きくて
圧縮機内および油分離でのヘリウムガスからの分離の容
易な圧縮機用潤滑油を提供することにより、J−T回路
を備えたヘリウム冷凍機のJ−T熱交換器等、ヘリウム
冷凍器における低温発生部のコンタミの発生を未然に防
止し、併せてヘリウム圧縮機に対する潤滑性能を安定確
保し得るようにすることにある。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明の解決手段は、ヘリ
ウム圧縮機で圧縮されたヘリウムガスの膨張作用により
極低温を発生させるようにしたヘリウム冷凍機におい
て、上記圧縮機に吸入されるヘリウムガスに混入さる潤
滑油をパーフルオロポリエーテルとしたものである。こ
こで使用できるパーフルオロポリエーテルは化学式 −(OCF2CF2CF2)−n で表わされるもので、その物理的性質を従来のポリエー
テルと対比して示すと下記表のようになる。
ウム圧縮機で圧縮されたヘリウムガスの膨張作用により
極低温を発生させるようにしたヘリウム冷凍機におい
て、上記圧縮機に吸入されるヘリウムガスに混入さる潤
滑油をパーフルオロポリエーテルとしたものである。こ
こで使用できるパーフルオロポリエーテルは化学式 −(OCF2CF2CF2)−n で表わされるもので、その物理的性質を従来のポリエー
テルと対比して示すと下記表のようになる。
(作用) したがって、本発明は、ヘリウム圧縮機の潤滑油として
用いられるパーフルオロポリエーテルの熱分解開始温度
310〜360℃と高いので、圧縮機で圧縮された高圧
ヘリウムガス温度が200℃近くまで上昇しても、その
影響を受けて潤滑油が分解することはなく、油分解に伴
って生じる低分子ガスによるコンタミの発生がなく、ま
た潤滑油の劣化によるその粘度が低下して圧縮機に対す
る潤滑性能が低下することもなくなる。
用いられるパーフルオロポリエーテルの熱分解開始温度
310〜360℃と高いので、圧縮機で圧縮された高圧
ヘリウムガス温度が200℃近くまで上昇しても、その
影響を受けて潤滑油が分解することはなく、油分解に伴
って生じる低分子ガスによるコンタミの発生がなく、ま
た潤滑油の劣化によるその粘度が低下して圧縮機に対す
る潤滑性能が低下することもなくなる。
また、パーフルオロポリエーテルの比重は1.9とポリ
エーテルよりも大きいので、圧縮機内および該圧縮機に
接続される油分離器でのヘリウムガスからの潤滑油の分
離が容易に行われて、J−熱交換器等の低温発生部への
オイルミストの流入が極めて少なくなり、低温発生部で
のコンタミの発生が防止できることになる。
エーテルよりも大きいので、圧縮機内および該圧縮機に
接続される油分離器でのヘリウムガスからの潤滑油の分
離が容易に行われて、J−熱交換器等の低温発生部への
オイルミストの流入が極めて少なくなり、低温発生部で
のコンタミの発生が防止できることになる。
さらに、上記パーフルオロポリエーテルの飽和水分濃度
が10ppm以下とポリエーテルよりも極めて低いので、
冷凍機運転時に低温発生部で潤滑油中に含まれる水分が
結霜するのが抑制され、コンタミの発生が防止される。
が10ppm以下とポリエーテルよりも極めて低いので、
冷凍機運転時に低温発生部で潤滑油中に含まれる水分が
結霜するのが抑制され、コンタミの発生が防止される。
加えて、ハーフルオロポリエーテルの熱安定性が高いの
で、200℃程度の加熱脱気(水分等の放出)が可能で
あり、潤滑油の精製が容易に行われる。
で、200℃程度の加熱脱気(水分等の放出)が可能で
あり、潤滑油の精製が容易に行われる。
(第1実施例) 以下、本発明の実施を図面に基づいて説明する。
第1図は2元2段圧縮サイクルのヘリウム冷凍機に適用
した第1実施例の全体構成を示し、(1)は予冷のため
にヘリウムガスを圧縮膨張させる予冷冷凍回路、(2)
極低温を発生すべくヘリウムガスを圧縮してジュールト
ムソン膨張させるJ−T回路であって、上記予冷冷凍回
路(1)は予冷用圧縮機ユニット(A)と被冷却体を冷
却状態に保持するクライオスタット(C)とに亘って、
またJ−T回路(2)はJ−T側圧縮機ユニット(B)
と上記クライオンスタット(C)とに亘って互いに並列
に設けられている。
した第1実施例の全体構成を示し、(1)は予冷のため
にヘリウムガスを圧縮膨張させる予冷冷凍回路、(2)
極低温を発生すべくヘリウムガスを圧縮してジュールト
ムソン膨張させるJ−T回路であって、上記予冷冷凍回
路(1)は予冷用圧縮機ユニット(A)と被冷却体を冷
却状態に保持するクライオスタット(C)とに亘って、
またJ−T回路(2)はJ−T側圧縮機ユニット(B)
と上記クライオンスタット(C)とに亘って互いに並列
に設けられている。
上記予冷用圧縮機ユニット(A)はヘリウムガスを圧縮
する予冷用圧縮機(3)と、該圧縮機(3)で圧縮され
た高圧のヘリウムガスから圧縮機(3)用の潤滑油を分
離除去する油分離器(4)と、該油分離器(4)を通過
したヘリウムス中の水分や不純ガス等の不純物を吸着除
去する吸着器(5)とを備え、該吸着器(5)は高圧配
管(6)を介してクライオスタット(C)に嵌装した膨
張機(7)の高圧側入口(7a)に接続されている。上
記膨張機(7)は図示しないが回転する毎に開弁して上
記高圧側入口(7a)から流入したヘリウムガスを通過
させる回転バルブと、該バルブを駆動するバルモータと
を内蔵し、上記回転バルブの開弁により高圧のヘリウム
ガスを断熱膨張させて冷却状態を発生させるとともにそ
の冷却状態を第1および第2ヒートステーション
(8), (9)にて保持するものである。また、上記膨張機
(7)には膨張後の低圧のヘリウムガスを吐出させる低
圧側出口(7b)が開口され、該低圧側出口(7b)は
低圧配管(10)を介して上記予冷用圧縮機ユニット
(A)に設けたサージボトル(11)に接続され、該サ
ージボトル(11)は上記予冷用圧縮機(3)の吸入側
に接続されており、膨張機(7)から吐出された低圧の
ヘリウムガスをその圧力変動をサージボトル(11)で
吸収して圧縮機(3)に吸引するようになされている。
よって、上記圧縮機(3)から吐出された高圧のヘリウ
ムガスを油分離器(4)および吸着器(5)を経由して
膨張機(7)に供給して、その該膨張機(7)での断熱
膨張により後述の予冷器(22),(24)を予冷する
とともに、その膨張した低圧ヘリウムガスをサージボト
ル(11)を介して圧縮機(3)に戻して再圧縮するよ
うに構成されている。
する予冷用圧縮機(3)と、該圧縮機(3)で圧縮され
た高圧のヘリウムガスから圧縮機(3)用の潤滑油を分
離除去する油分離器(4)と、該油分離器(4)を通過
したヘリウムス中の水分や不純ガス等の不純物を吸着除
去する吸着器(5)とを備え、該吸着器(5)は高圧配
管(6)を介してクライオスタット(C)に嵌装した膨
張機(7)の高圧側入口(7a)に接続されている。上
記膨張機(7)は図示しないが回転する毎に開弁して上
記高圧側入口(7a)から流入したヘリウムガスを通過
させる回転バルブと、該バルブを駆動するバルモータと
を内蔵し、上記回転バルブの開弁により高圧のヘリウム
ガスを断熱膨張させて冷却状態を発生させるとともにそ
の冷却状態を第1および第2ヒートステーション
(8), (9)にて保持するものである。また、上記膨張機
(7)には膨張後の低圧のヘリウムガスを吐出させる低
圧側出口(7b)が開口され、該低圧側出口(7b)は
低圧配管(10)を介して上記予冷用圧縮機ユニット
(A)に設けたサージボトル(11)に接続され、該サ
ージボトル(11)は上記予冷用圧縮機(3)の吸入側
に接続されており、膨張機(7)から吐出された低圧の
ヘリウムガスをその圧力変動をサージボトル(11)で
吸収して圧縮機(3)に吸引するようになされている。
よって、上記圧縮機(3)から吐出された高圧のヘリウ
ムガスを油分離器(4)および吸着器(5)を経由して
膨張機(7)に供給して、その該膨張機(7)での断熱
膨張により後述の予冷器(22),(24)を予冷する
とともに、その膨張した低圧ヘリウムガスをサージボト
ル(11)を介して圧縮機(3)に戻して再圧縮するよ
うに構成されている。
一方、上記J−T側圧縮機ユニット(B)には、ヘリウ
ムガスを所定圧力に圧縮する低段圧縮機(12)と、該
圧縮機(12)から吐出された高圧ヘリウムガスから圧
縮機(12)用の潤滑油を分離除去する油分離器(1
3)と、該油分離器(13)を経由した高圧ヘリウムガ
スを更に高圧に圧縮する高段圧縮器(14)と、該圧縮
機(14)から吐出された高圧ヘリウムガスから圧縮機
(14)用の潤滑油を分離除去する油分離器(15)
と、該油分離器(15)を経由した高圧ヘリウムガス中
の不純物を吸着除去する吸着器(16)とが設けられて
いる。また、上記クライオスタット(C)には1次側お
よび2次側をそれぞれ通過するヘリウムガス間で互いに
熱交換させる第1ないし第3のJ−T熱交換器(17)
〜(19)が配設され、上記第1J−T熱交換器(1
7)の1次側は高圧配管(20)を介し上記J−T側圧
縮機ユニット(B)の吸着器(16)に接続されてい
る。また、上記第1および第2のJ−T熱交換器(1
7),(18)の各1次側同士は吸着器(21)および
上記膨張機(7)の第1ヒートステーション(8)外周
に配置した第1予冷器(22)を介して接続されている
とともに、第2および第3J−T熱交換器(18),
(19)の各1次側同士は同様に吸着器(23)および
膨張機(7)の第2ヒートステーション(9)外周に配
置した第2余冷器(24)を介して接続されている。さ
らに、上記第3J−T熱交換器(19)の1次側は吸着
器(25)および高圧のヘリウムガスをジュールトムソ
ン膨張させるJ−T弁(26)を介して、膨張機(7)
下端に位置する冷却器(27)に接続されている。該冷
却器(27)は上記第3および第2J−T熱交換器(1
9),(18)の各2次側を経て第1J−T熱交換器
(17)の2次側に接続され、該第1J−T熱交換器
(17)の2次側は低圧配管(28)を介して上記J−
T側圧縮機ユニット(B)における低段圧縮機(12)
の吸入側に接続されている。よって、上記2段直列に接
続された2台の圧縮機(12),(14)によりヘリウ
ムガスを高圧に圧縮してクライオスタット(C)側に供
給し、それをクライオスタット(C)の第1ないし第3
のJ−T熱交換器(17)〜(19)においてJ−T側
圧縮機ユニット(B)に戻る低温低圧のヘリウムガスと
熱交換させるとともに、第1および第2予冷器(2
2),(24)で膨張機(7)の第1および第2ヒート
ステーション(8),(9)と熱交換させて冷却したの
ち、J−T弁(26)でジュールトムソン膨張させて冷
却器(27)で1気圧、約4Kのヘリウムガスとなし、
しかる後、その低圧のヘリウムガスを第1ないし第3J
−T熱交換器(17)〜(19)の各2次側を通してJ
−T側圧縮機ユニット(B)の低段圧縮機(12)に吸
入さて再圧縮するように構成されている。
ムガスを所定圧力に圧縮する低段圧縮機(12)と、該
圧縮機(12)から吐出された高圧ヘリウムガスから圧
縮機(12)用の潤滑油を分離除去する油分離器(1
3)と、該油分離器(13)を経由した高圧ヘリウムガ
スを更に高圧に圧縮する高段圧縮器(14)と、該圧縮
機(14)から吐出された高圧ヘリウムガスから圧縮機
(14)用の潤滑油を分離除去する油分離器(15)
と、該油分離器(15)を経由した高圧ヘリウムガス中
の不純物を吸着除去する吸着器(16)とが設けられて
いる。また、上記クライオスタット(C)には1次側お
よび2次側をそれぞれ通過するヘリウムガス間で互いに
熱交換させる第1ないし第3のJ−T熱交換器(17)
〜(19)が配設され、上記第1J−T熱交換器(1
7)の1次側は高圧配管(20)を介し上記J−T側圧
縮機ユニット(B)の吸着器(16)に接続されてい
る。また、上記第1および第2のJ−T熱交換器(1
7),(18)の各1次側同士は吸着器(21)および
上記膨張機(7)の第1ヒートステーション(8)外周
に配置した第1予冷器(22)を介して接続されている
とともに、第2および第3J−T熱交換器(18),
(19)の各1次側同士は同様に吸着器(23)および
膨張機(7)の第2ヒートステーション(9)外周に配
置した第2余冷器(24)を介して接続されている。さ
らに、上記第3J−T熱交換器(19)の1次側は吸着
器(25)および高圧のヘリウムガスをジュールトムソ
ン膨張させるJ−T弁(26)を介して、膨張機(7)
下端に位置する冷却器(27)に接続されている。該冷
却器(27)は上記第3および第2J−T熱交換器(1
9),(18)の各2次側を経て第1J−T熱交換器
(17)の2次側に接続され、該第1J−T熱交換器
(17)の2次側は低圧配管(28)を介して上記J−
T側圧縮機ユニット(B)における低段圧縮機(12)
の吸入側に接続されている。よって、上記2段直列に接
続された2台の圧縮機(12),(14)によりヘリウ
ムガスを高圧に圧縮してクライオスタット(C)側に供
給し、それをクライオスタット(C)の第1ないし第3
のJ−T熱交換器(17)〜(19)においてJ−T側
圧縮機ユニット(B)に戻る低温低圧のヘリウムガスと
熱交換させるとともに、第1および第2予冷器(2
2),(24)で膨張機(7)の第1および第2ヒート
ステーション(8),(9)と熱交換させて冷却したの
ち、J−T弁(26)でジュールトムソン膨張させて冷
却器(27)で1気圧、約4Kのヘリウムガスとなし、
しかる後、その低圧のヘリウムガスを第1ないし第3J
−T熱交換器(17)〜(19)の各2次側を通してJ
−T側圧縮機ユニット(B)の低段圧縮機(12)に吸
入さて再圧縮するように構成されている。
上記予冷用圧縮機ユニット(A)の圧縮機(3)および
J−T側圧縮機ユニット(B)の2台の圧縮機(1
2),(14)の構造およびその周辺機器は同じ構成で
あり、以下、J−T側圧縮機ユニット(B)の高段圧縮
機(14)の場合について説明すると、該圧縮機(1
4)は第2図に拡大詳示するように、気密状に密閉形成
されたケーシング(33)と、該ケーシング(33)内
に固定支持されたモータ(34)と、該モータ(34)
に駆動され、上記低段圧縮機(12)からのヘリウムガ
スをケーシング(33)を貫通する吸入管(35)を介
して吸入して圧縮するベーンポンプ(36)とを有し、
上記ベーンポンプ(36)で圧縮されたヘリウムガスは
吐出弁(37),(37)を介してケーシング(33)
内に吐出される。上記ケーシング(33)内上部にはケ
ーシング(33)上面を貫通する1次吐出管(38)の
一端が開口され、該1次吐出管(38)の他端はケーシ
ング(33)の外周面上半部に巻き付けてなる吐出ガス
コイル(39)を介して2次吐出管(40)に連結され
ている。また、ケーシング(33)の外周面にはその全
体に亘って冷却水が流れる冷却水コイル(41)が巻き
付けられており、この冷却水コイル(41)を流れる冷
却水により、ケーシング(33)から吐出された高温高
圧のヘリウムガスを冷却するようになされている。
J−T側圧縮機ユニット(B)の2台の圧縮機(1
2),(14)の構造およびその周辺機器は同じ構成で
あり、以下、J−T側圧縮機ユニット(B)の高段圧縮
機(14)の場合について説明すると、該圧縮機(1
4)は第2図に拡大詳示するように、気密状に密閉形成
されたケーシング(33)と、該ケーシング(33)内
に固定支持されたモータ(34)と、該モータ(34)
に駆動され、上記低段圧縮機(12)からのヘリウムガ
スをケーシング(33)を貫通する吸入管(35)を介
して吸入して圧縮するベーンポンプ(36)とを有し、
上記ベーンポンプ(36)で圧縮されたヘリウムガスは
吐出弁(37),(37)を介してケーシング(33)
内に吐出される。上記ケーシング(33)内上部にはケ
ーシング(33)上面を貫通する1次吐出管(38)の
一端が開口され、該1次吐出管(38)の他端はケーシ
ング(33)の外周面上半部に巻き付けてなる吐出ガス
コイル(39)を介して2次吐出管(40)に連結され
ている。また、ケーシング(33)の外周面にはその全
体に亘って冷却水が流れる冷却水コイル(41)が巻き
付けられており、この冷却水コイル(41)を流れる冷
却水により、ケーシング(33)から吐出された高温高
圧のヘリウムガスを冷却するようになされている。
また、上記ヘリウム(33)内下部には圧縮機用潤滑油
を溜める油溜(42)が形成され、該油溜(42)には
ケーシング(33)下面を貫通する油吸入管(43)の
一端が臨ませられ、該油吸入管(43)の他端はケーシ
ング(33)の外周面下半部に巻き付けてなる油コイル
(44)およびインジェクション管(45)を介して上
記吸入管(35)に接続されている。また、上記インジ
ェクション管(45)の途中にはオリフィス(46)が
形成されており、ベーンポンプ(36)からのヘリウム
ガスの吐出に伴うケーシング(33)内の圧力上昇によ
り油溜(42)の潤滑油を油コイル(44)に送給して
冷却水コル(41)内の冷却水により冷却し、この冷却
された潤滑油をインジェクション管(45)のオリフィ
ス(46)によって吸入管(35)内のヘリウムガス中
に噴射注入させるようになされている。
を溜める油溜(42)が形成され、該油溜(42)には
ケーシング(33)下面を貫通する油吸入管(43)の
一端が臨ませられ、該油吸入管(43)の他端はケーシ
ング(33)の外周面下半部に巻き付けてなる油コイル
(44)およびインジェクション管(45)を介して上
記吸入管(35)に接続されている。また、上記インジ
ェクション管(45)の途中にはオリフィス(46)が
形成されており、ベーンポンプ(36)からのヘリウム
ガスの吐出に伴うケーシング(33)内の圧力上昇によ
り油溜(42)の潤滑油を油コイル(44)に送給して
冷却水コル(41)内の冷却水により冷却し、この冷却
された潤滑油をインジェクション管(45)のオリフィ
ス(46)によって吸入管(35)内のヘリウムガス中
に噴射注入させるようになされている。
そして、本発明の特徴として、上記J−T回路(2)を
構成するJ−T側圧縮機ユニット(B)における2台の
圧縮機(12),(14)の潤滑油はパーフルオロポリ
エーテルで構成されている。
構成するJ−T側圧縮機ユニット(B)における2台の
圧縮機(12),(14)の潤滑油はパーフルオロポリ
エーテルで構成されている。
尚、第1図中、(29)はJ−T側圧縮機ユニット
(B)の油分離器(1)吐出側と吸着器(16)吐出側
とを接続する接続管で、その途中には圧縮機ユニット
(B)から吐出されるヘリウムガスの圧力を減圧制御す
る高圧制御弁(30)と、該高圧制御弁(30)から流
出した高圧のヘリウムガスを溜めるガスバラストタンク
(31)と、該タンク(31)内の高圧ヘリウムガスを
油分離器(13)吐出側に供給して低段圧縮機(12)
の吐出圧を制御する中間圧制御弁(32)とが配設され
ている。また、第2図中、(47)は冷却水コイル(4
1)と吐出ガスコイル(39)および油コイル(44)
との熱交換効率を高めるためにケーシング(33)外周
面に貼着された熱伝導体である。
(B)の油分離器(1)吐出側と吸着器(16)吐出側
とを接続する接続管で、その途中には圧縮機ユニット
(B)から吐出されるヘリウムガスの圧力を減圧制御す
る高圧制御弁(30)と、該高圧制御弁(30)から流
出した高圧のヘリウムガスを溜めるガスバラストタンク
(31)と、該タンク(31)内の高圧ヘリウムガスを
油分離器(13)吐出側に供給して低段圧縮機(12)
の吐出圧を制御する中間圧制御弁(32)とが配設され
ている。また、第2図中、(47)は冷却水コイル(4
1)と吐出ガスコイル(39)および油コイル(44)
との熱交換効率を高めるためにケーシング(33)外周
面に貼着された熱伝導体である。
次に、上記実施例のヘリウム冷凍機の作動について説明
する。
する。
予冷冷凍回路(1)の圧縮機(3)とJ−T回路(2)
の2台の圧縮機(12),(14)とが起動されて冷凍
機が定常運転状態になると、予冷冷凍回路(1)におけ
るクライオスタット(C)側の膨張機(7)で圧縮機
(3)から供給された高圧のヘリウムガスが膨張し、こ
のガスの膨張作用によりその各ヒートステーション
(8),(9)が温度下降する。
の2台の圧縮機(12),(14)とが起動されて冷凍
機が定常運転状態になると、予冷冷凍回路(1)におけ
るクライオスタット(C)側の膨張機(7)で圧縮機
(3)から供給された高圧のヘリウムガスが膨張し、こ
のガスの膨張作用によりその各ヒートステーション
(8),(9)が温度下降する。
一方、これと同時に、クライオスタット(C)からJ−
T回路(2)を経てリターンするヘリウムガスが低段圧
縮機(12)により吸引・圧縮されてその周りの冷却水
コイル(41)で冷却水により常温300Kまで冷却さ
れ、このヘリウムガスは油分離器(13)で油分離され
た後、高段圧縮機(14)で吸引・圧縮される。その
後、ガスは圧縮機(14)周りの冷却水コイル(41)
で冷却水により常温300Kまで冷却されて油分離器
(15)で油分された後、吸着器(16)で不純物が吸
着され、こうして得られたクリーンな高圧ヘリウムがク
ライオスタット(C)に供給される。
T回路(2)を経てリターンするヘリウムガスが低段圧
縮機(12)により吸引・圧縮されてその周りの冷却水
コイル(41)で冷却水により常温300Kまで冷却さ
れ、このヘリウムガスは油分離器(13)で油分離され
た後、高段圧縮機(14)で吸引・圧縮される。その
後、ガスは圧縮機(14)周りの冷却水コイル(41)
で冷却水により常温300Kまで冷却されて油分離器
(15)で油分された後、吸着器(16)で不純物が吸
着され、こうして得られたクリーンな高圧ヘリウムがク
ライオスタット(C)に供給される。
このクライオスタット(C)側に供給された高圧ヘリウ
ムガスは第1J−T熱交換器(17)の1次側に入り、
J−T側圧縮機ユニット(B)へ戻る2次側の低圧ヘリ
ウムガスと熱交換されて常温300Kから約70Kまで
冷却され、その後膨張機(7)の50〜60Kに冷却さ
れている第1ヒートステーション(8)外周の第1予冷
器(22)に入って該第1ヒートステーション(8)に
より約55Kまで冷却される。この冷却されたガスは第
2J−T熱交換器(18)の1次側に入って、J−T側
圧縮機ユニット(B)へ戻る2次側の低圧ヘリウムガス
との熱交換により約20Kに冷却された後、膨張機の1
5〜20Kに冷却されている第2ヒートステーション
(9)外周の第2予冷機(24)に入って、該ヒートス
テーション(24)により約15Kまで冷却される。更
に、ガスは第3J−T熱交換器(19)の1次側に入っ
て、J−T側圧縮機ユニット(B)へ亘る2次側の低圧
ヘリウムガスとの熱交換により約5Kまで冷却され、J
−T弁(26)に至る。このJ−T弁26で高圧ヘリウ
ムガスは絞られてジュールトムソン膨張し、1気圧、
4.2Kの気液混合状態のヘリウムとなって冷却器(2
7)へ供給される。この冷却器(27)では、上記気液
混合状態のヘリウムにおける液部分の蒸発潜熱が他のヘ
リウムガスの液化や再凝縮あるいは被冷却体の冷却に利
用される。
ムガスは第1J−T熱交換器(17)の1次側に入り、
J−T側圧縮機ユニット(B)へ戻る2次側の低圧ヘリ
ウムガスと熱交換されて常温300Kから約70Kまで
冷却され、その後膨張機(7)の50〜60Kに冷却さ
れている第1ヒートステーション(8)外周の第1予冷
器(22)に入って該第1ヒートステーション(8)に
より約55Kまで冷却される。この冷却されたガスは第
2J−T熱交換器(18)の1次側に入って、J−T側
圧縮機ユニット(B)へ戻る2次側の低圧ヘリウムガス
との熱交換により約20Kに冷却された後、膨張機の1
5〜20Kに冷却されている第2ヒートステーション
(9)外周の第2予冷機(24)に入って、該ヒートス
テーション(24)により約15Kまで冷却される。更
に、ガスは第3J−T熱交換器(19)の1次側に入っ
て、J−T側圧縮機ユニット(B)へ亘る2次側の低圧
ヘリウムガスとの熱交換により約5Kまで冷却され、J
−T弁(26)に至る。このJ−T弁26で高圧ヘリウ
ムガスは絞られてジュールトムソン膨張し、1気圧、
4.2Kの気液混合状態のヘリウムとなって冷却器(2
7)へ供給される。この冷却器(27)では、上記気液
混合状態のヘリウムにおける液部分の蒸発潜熱が他のヘ
リウムガスの液化や再凝縮あるいは被冷却体の冷却に利
用される。
しかる後、上記冷却器(27)から第3J−T熱交換器
(19)の2次側に戻る低圧ヘリウムガスは、約4.2
Kの飽和ガスとなり、第2および第1J−T熱交換器
(18),(17)において1次側の高圧ヘリウムガス
を冷却して、約300Kに温度上昇した後、J−T側圧
縮機ユニット(B)へ戻る。以後、同様なサイクルが繰
り返されて冷凍運転が行われる。
(19)の2次側に戻る低圧ヘリウムガスは、約4.2
Kの飽和ガスとなり、第2および第1J−T熱交換器
(18),(17)において1次側の高圧ヘリウムガス
を冷却して、約300Kに温度上昇した後、J−T側圧
縮機ユニット(B)へ戻る。以後、同様なサイクルが繰
り返されて冷凍運転が行われる。
そして、上記実施例では、上記J−T回路(2)におけ
る潤滑油として、飽和水分濃度が10ppm以下と低いパ
ーフルオロポリエーテルが用いられているため、J−T
側圧縮機ユニット(B)から吐出されるヘリウムガス中
の水分濃度は極めて低くなる。その結果、このヘリウム
ガスがクライオンスタット(C)の各J−T熱交換器
(17)〜(19)でリターンする低温のヘリウムガス
や膨張機(7)の各ヒートステーション(8),(9)
により冷却されてもガス中の水分が結霜することはな
い。特に300Kから70Kまで冷却される最初の第1
J−T熱交換器(17)でも水分の結霜は生ぜず、よっ
てクライオスタット(C)の低温発生部でのコンタミの
発生を有効に防止して、ヘリウム冷凍機を長期間に亘っ
て安定して連続運転させることができるので有効であ
る。また、このことにより冷凍機の運転中止状態が低減
されるので、被冷却体を極低温状態に安定維持すること
ができる。
る潤滑油として、飽和水分濃度が10ppm以下と低いパ
ーフルオロポリエーテルが用いられているため、J−T
側圧縮機ユニット(B)から吐出されるヘリウムガス中
の水分濃度は極めて低くなる。その結果、このヘリウム
ガスがクライオンスタット(C)の各J−T熱交換器
(17)〜(19)でリターンする低温のヘリウムガス
や膨張機(7)の各ヒートステーション(8),(9)
により冷却されてもガス中の水分が結霜することはな
い。特に300Kから70Kまで冷却される最初の第1
J−T熱交換器(17)でも水分の結霜は生ぜず、よっ
てクライオスタット(C)の低温発生部でのコンタミの
発生を有効に防止して、ヘリウム冷凍機を長期間に亘っ
て安定して連続運転させることができるので有効であ
る。また、このことにより冷凍機の運転中止状態が低減
されるので、被冷却体を極低温状態に安定維持すること
ができる。
また、上記パーフルオロポリエーテルはその熱分解開始
温度が約360℃と高く、しかも各圧縮機(12),
(14)に吸入される低圧ヘリウムガスはインジェクシ
ョン管(45)のオリフィス(46)から噴射注入され
る潤滑油のインジェクションにより冷却されるため、各
圧縮機(12),(14)で圧縮されるヘリウムガスの
温度がたとえ200℃近くまで上昇しても潤滑油が分解
することはなく、油分解により発生した低分子のクライ
オスタットC側の低温発生部への流入によるコンタミの
発生を防止できるとともに、劣化に伴う潤滑油粘度の低
下により圧縮機(12),(14)に対する潤滑性能が
低下するのを防止できる。
温度が約360℃と高く、しかも各圧縮機(12),
(14)に吸入される低圧ヘリウムガスはインジェクシ
ョン管(45)のオリフィス(46)から噴射注入され
る潤滑油のインジェクションにより冷却されるため、各
圧縮機(12),(14)で圧縮されるヘリウムガスの
温度がたとえ200℃近くまで上昇しても潤滑油が分解
することはなく、油分解により発生した低分子のクライ
オスタットC側の低温発生部への流入によるコンタミの
発生を防止できるとともに、劣化に伴う潤滑油粘度の低
下により圧縮機(12),(14)に対する潤滑性能が
低下するのを防止できる。
さらに、上記パーフルオロポリエーテルの比重が従来の
ポリエーテルよりも大きいので、各圧縮機(12),
(14)内部および油分離器(13),(15)でヘリ
ウムガスと容易に分離されて、クライオスタット(C)
の低温発生部へのオイルミスト流入が低減され、よって
その低温発生部でのコンタミの発生をより一層有効に防
止できる。
ポリエーテルよりも大きいので、各圧縮機(12),
(14)内部および油分離器(13),(15)でヘリ
ウムガスと容易に分離されて、クライオスタット(C)
の低温発生部へのオイルミスト流入が低減され、よって
その低温発生部でのコンタミの発生をより一層有効に防
止できる。
加えて、パーフルオロポリエーテルの熱安定性が高いの
で、200℃程度で加熱脱気することができ、潤滑油の
精製を容易に行うことができる。また、上記の如く、飽
和水分濃度が低いので、水分の管理が容易になる。
で、200℃程度で加熱脱気することができ、潤滑油の
精製を容易に行うことができる。また、上記の如く、飽
和水分濃度が低いので、水分の管理が容易になる。
尚、上記実施例では、J−T回路(2)における圧縮機
(12),(14)の潤滑油のみをパーフルオロポリエ
ーテルとしたが、それに加えて予冷冷凍回路(1)にお
ける圧縮機(3)の潤滑油にパーフルオロポリエーテル
を用いてもよく、あるいは予冷冷凍回路(1)の圧縮機
(3)の潤滑油のみをパーフルオロポリエーテルとして
もよく、膨張器(3)の低温発生部でのコンタミの発生
を防止して冷凍機の連続運転をより一層安定して行うこ
とができる。また、J−T回路(2)の圧縮機(1
2),(14)のうちいずれか一方のみにパーフルオロ
ポリエーテルを潤滑油として用いることもできる。
(12),(14)の潤滑油のみをパーフルオロポリエ
ーテルとしたが、それに加えて予冷冷凍回路(1)にお
ける圧縮機(3)の潤滑油にパーフルオロポリエーテル
を用いてもよく、あるいは予冷冷凍回路(1)の圧縮機
(3)の潤滑油のみをパーフルオロポリエーテルとして
もよく、膨張器(3)の低温発生部でのコンタミの発生
を防止して冷凍機の連続運転をより一層安定して行うこ
とができる。また、J−T回路(2)の圧縮機(1
2),(14)のうちいずれか一方のみにパーフルオロ
ポリエーテルを潤滑油として用いることもできる。
(第2実施例) 第3図は本発明の第2実施例を示し(尚、第1図と同じ
部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略
する)、上記第1実施例における予冷冷凍回路(1)と
ほぼ同じ回路構成のヘリウム冷凍機に適用したものであ
る。
部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略
する)、上記第1実施例における予冷冷凍回路(1)と
ほぼ同じ回路構成のヘリウム冷凍機に適用したものであ
る。
すなわち、本実施例では、ヘリウム冷凍機はヘリウムガ
スを圧縮する圧縮機(3′)と、該圧縮機(3′)で圧
縮された高圧ヘリウムガスを断熱膨張させる膨張機
(7)とを備えてなり、圧縮機(3′)からの高圧ヘリ
ウムガスの膨張機(7)での膨張作用により極低温を発
生させ、その膨張後の低圧ヘリウムガスを圧縮機
(3′)に戻して再圧縮するように構成されている。そ
して、上記圧縮機(3′)の潤滑油としてパーフルオロ
ポリエーテルが用いられている。尚、(7c)は膨張機
(7)の回転バルブ、(7d)は該バルブ(7c)を駆
動するバルブモータ、(7e)は膨張機(7)の第1ヒ
ートーステーション(8)に連続する第1蓄冷器、(7
f)第2ヒートステーション(9)に連続する第2蓄冷
器である。
スを圧縮する圧縮機(3′)と、該圧縮機(3′)で圧
縮された高圧ヘリウムガスを断熱膨張させる膨張機
(7)とを備えてなり、圧縮機(3′)からの高圧ヘリ
ウムガスの膨張機(7)での膨張作用により極低温を発
生させ、その膨張後の低圧ヘリウムガスを圧縮機
(3′)に戻して再圧縮するように構成されている。そ
して、上記圧縮機(3′)の潤滑油としてパーフルオロ
ポリエーテルが用いられている。尚、(7c)は膨張機
(7)の回転バルブ、(7d)は該バルブ(7c)を駆
動するバルブモータ、(7e)は膨張機(7)の第1ヒ
ートーステーション(8)に連続する第1蓄冷器、(7
f)第2ヒートステーション(9)に連続する第2蓄冷
器である。
したがって、本実施例でも、パーフルオロポリエーテル
の持つ特性により、冷凍機の低温発生部でのコンタミの
発生防止や圧縮機(3′)に対する潤滑性能の向上維持
を図ることができる。
の持つ特性により、冷凍機の低温発生部でのコンタミの
発生防止や圧縮機(3′)に対する潤滑性能の向上維持
を図ることができる。
尚、本発明は、上記各実施例の如き圧縮サイクルのヘリ
ウム冷凍機のみならず、他のタイプのヘリウム冷凍機に
も適用できるのは勿論である。
ウム冷凍機のみならず、他のタイプのヘリウム冷凍機に
も適用できるのは勿論である。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、ヘリウム冷凍機
におけるヘリウム圧縮機の潤滑油として、熱分解開始温
度が高いとともに飽和水分濃度が低く、しかも比重が大
きいパーフルオロポリエーテルを用いたことにより、冷
凍機の低温発生部への潤滑油の流入や水分の結霜等によ
るコンタミの発生を未然に防止して、冷凍機を長時間に
亘り安定して連続運転できるとともに、圧縮機で圧縮さ
れるヘリウムガスの温度上昇の影響を受けて潤滑油が劣
化するのを抑制して圧縮機に対する潤滑性能を向上維持
することができる。
におけるヘリウム圧縮機の潤滑油として、熱分解開始温
度が高いとともに飽和水分濃度が低く、しかも比重が大
きいパーフルオロポリエーテルを用いたことにより、冷
凍機の低温発生部への潤滑油の流入や水分の結霜等によ
るコンタミの発生を未然に防止して、冷凍機を長時間に
亘り安定して連続運転できるとともに、圧縮機で圧縮さ
れるヘリウムガスの温度上昇の影響を受けて潤滑油が劣
化するのを抑制して圧縮機に対する潤滑性能を向上維持
することができる。
特に、上記ハーフルオロポリエーテルをJ−T回路を備
えたヘリウム冷凍機における該J−T回路のヘリウム圧
縮機の潤滑油とすれば、極低温となるJ−T熱交換器で
発生し易いコンタミを確実に防止できるので好適であ
る。
えたヘリウム冷凍機における該J−T回路のヘリウム圧
縮機の潤滑油とすれば、極低温となるJ−T熱交換器で
発生し易いコンタミを確実に防止できるので好適であ
る。
第1図および第2図は本発明の第1実施例を示し、第1
図はヘリウム冷凍機の全体構成図、第2図はJ−T回路
におけるヘリウム圧縮機の拡大縦断面図である。第3図
は第2実施例における第1図相当図である。第4図は従
来のヘリウム圧縮機用潤滑油を使用したときの冷凍能力
およびヘリウムガスリターン圧の経時変化特性を示す説
明図である。 (1)…予冷冷凍回路、(2)…J−T回路、(3),
(3′)…圧縮機、(7)…膨張機、(8),(9)…
ヒートステーション、(12)…低段圧縮機、(14)
…高段圧縮機、(17)〜(19)…J−T熱交換器、
(26)…J−T弁、(39)…吐出ガスコイル、(4
1)…冷却水コイル、(44)…油コイル、(46)…
オリフィス、(A)…予冷用圧縮機ユニット、(B)…
J−T側圧縮機ユニット、(C)…クライオスタット。
図はヘリウム冷凍機の全体構成図、第2図はJ−T回路
におけるヘリウム圧縮機の拡大縦断面図である。第3図
は第2実施例における第1図相当図である。第4図は従
来のヘリウム圧縮機用潤滑油を使用したときの冷凍能力
およびヘリウムガスリターン圧の経時変化特性を示す説
明図である。 (1)…予冷冷凍回路、(2)…J−T回路、(3),
(3′)…圧縮機、(7)…膨張機、(8),(9)…
ヒートステーション、(12)…低段圧縮機、(14)
…高段圧縮機、(17)〜(19)…J−T熱交換器、
(26)…J−T弁、(39)…吐出ガスコイル、(4
1)…冷却水コイル、(44)…油コイル、(46)…
オリフィス、(A)…予冷用圧縮機ユニット、(B)…
J−T側圧縮機ユニット、(C)…クライオスタット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 清 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内 (72)発明者 藤本 悟 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内 (72)発明者 萩原 茂喜 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工業 株式会社堺製作所金岡工場内 (72)発明者 東塚 崇志 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内
Claims (2)
- 【請求項1】ヘリウムガスを圧縮するヘリウム圧縮機を
備え、該ヘリウム圧縮機で圧縮されたヘリウムガスの膨
張作用により極低温を発生させるようにしたヘリウム冷
凍機において、上記ヘリウム圧縮機の潤滑油がパーフル
オロポリエーテルであることを特徴とするヘリウム冷凍
機。 - 【請求項2】ヘリウム圧縮機は、圧縮されたヘリウムガ
スのジュールトムソン膨張作用により極低温を発生させ
るJ−T回路(2)における圧縮機である特許請求の範
囲第(1)項記載のヘリウム冷凍機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10652885A JPH068704B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | ヘリウム冷凍機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10652885A JPH068704B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | ヘリウム冷凍機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61265461A JPS61265461A (ja) | 1986-11-25 |
JPH068704B2 true JPH068704B2 (ja) | 1994-02-02 |
Family
ID=14435892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10652885A Expired - Lifetime JPH068704B2 (ja) | 1985-05-17 | 1985-05-17 | ヘリウム冷凍機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH068704B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011055521A1 (ja) * | 2009-11-06 | 2011-05-12 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 荷電粒子顕微鏡 |
JP2015098844A (ja) | 2013-11-20 | 2015-05-28 | 住友重機械工業株式会社 | クライオポンプシステム、及びクライオポンプシステムの運転方法 |
-
1985
- 1985-05-17 JP JP10652885A patent/JPH068704B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61265461A (ja) | 1986-11-25 |
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