JPH0685711B2 - 細胞の繁殖方法 - Google Patents

細胞の繁殖方法

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JPH0685711B2
JPH0685711B2 JP3287274A JP28727491A JPH0685711B2 JP H0685711 B2 JPH0685711 B2 JP H0685711B2 JP 3287274 A JP3287274 A JP 3287274A JP 28727491 A JP28727491 A JP 28727491A JP H0685711 B2 JPH0685711 B2 JP H0685711B2
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cell
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トーマス・アール・タイス
ウィリアム・イー・メイアーズ
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ザ・ストール・リサーチ・アンド・ディベロップメント・コーポレーション
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Description

【発明の詳細な説明】この発明はカプセル化した生細
胞、その製造方法およびその用途に関する。
【0001】試験管中での細胞(動物又は植物源のいず
れを問わず)の使用は最近の技術進歩にともなって新ら
たに注目されつつある。たとえば試験管中でのハイブリ
ドマ類の培養は特異性の高いモノクローナル抗体の製造
に今日、日常的に利用されている。ガン細胞ラインが試
験管中でこのようなハイブリドマ類の形成および潜在的
発ガン性および抗発ガン性化合物の選別および試験のた
めに利用される。又、すい臓細胞がインシュリンの製造
および導出のために試験管中および生体中で利用され
る。さらに、分離された非可動化細胞の工業的利用が注
目を集めている。なぜならば、これらは生化学反応の触
媒として用いることができ、これらの反応が合成および
分析判定に重要な手段として使用できるからである(V
enkatsubramanian,“非可動化微生物
細胞”,106 ASCシンポジウムシリーズ(197
9)参照)。
【0002】多くの場合、宿主への外来細胞の直接的導
入は宿主中にきびしい免疫応答を生じさせる。たとえ
ば、宿主、たとえばマウスの腹水にハイブリドマ細胞を
生育させる場合、マウスは免疫応答を防止するため予備
処理しなければならない。全インシュリン細胞をヒトに
注射すると、複雑な様相の免疫応答が現われる。したが
って、宿主にそのような細胞を導入することを容易に
し、試験管中で細胞の操作を容易にする対策が要請され
る。
【0003】生細胞ではないが生物学的に活性な物質の
カプセル化又は捕捉について多くの方法が提案されてい
る。
【0004】たとえば、米国特許No.4,251,3
87;No.4,255,411;No.4,257,
884には界面重合により半透膜マイクロカプセルの製
造法、および免疫分析およびクロマトグラフィにおける
利用が開示されている。カプセル化される物質および親
水性モノマーを疎水性連続相中で乳化し、重合はこの連
続相中に第2のモノマーを溶解させることによって開始
され、重合は親水性滴状体と疎水性連続相との界面での
み形成され、その結果、マイクロポーラスで不明確なカ
プセル膜が形成される。親水性モノマーに対する連続相
の親和性は連続相の極性を変えることにより変化させる
ことができ、均一なカプセル膜および所定の透過性を有
するマイクロカプセルがつくられる。米国特許No.
3,780,195には活性物質のカプセル化が開示さ
れている。それによれば、殻組成物用溶媒中に活性物質
と殻組成物とを分散させてカプセル組成物を形成し、こ
れを分散相中に活性物質を含む粒子となし、ついで低分
子ポリグリコールを添加することにより殻組成物から溶
媒を除去する。この脱溶媒化操作は最初にカプセル組成
物を粘性の白鉱物油に分散させて個々に分離した粒子を
形成させ、ついで無水ポリグリコールを添加することに
より促進される。この殻物質としては卵白アルブミンお
よび血液アルブミン等のタンパク質が用いられる。その
他米国特許No.2,889,252;No.3,69
1,090;No.3,714,065;No.3,5
16,942;No.3,664,936;No.3,
642,978;No.3,137,631に薬剤のカ
プセル化が開示されている。米国特許No.3,13
7,631にはアルブミンの如き天然物質中にてカプセ
ル化をおこない、ついでホルムアルデヒド、グリオキサ
ール等の架橋剤で処理してカプセル膜の安定性を向上さ
せる方法が開示されている。
【0005】各種薬剤を均質に分散させて軟質固形マイ
クロ粒子(カプセルではない)を形成する方法が米国特
許No.4,187,285(アルブミン中にテクネチ
ウム−99mを分散させたもの);No.4,147,
767(血清アルブミン中に薬剤を分散させたもの);
No.4,107,288(架橋された血清アルブミン
粒子に薬剤を分散させたもの);3,937,668
(薬剤、殺虫剤、染料等を含有させたアルブミン粒
子);No.No.4,024,233(錫を分散させ
たマイクロ凝集化ヒト血清アルブミン);No.4,0
94,965等に開示されている。
【0006】又、種々の微生物、たとえばバクテリア、
ウイルス等の抗原を含む多種の物質のマイクロカプセル
化が本願発明と同時に係属する米国特許出願No.19
4,127に記載されている。その出願の方法は溶媒中
に活性剤を溶解又は分散させ、この溶媒中にさらに膜壁
形成物質を溶解させる方法、すなわち、活性剤と膜壁形
成物質を含む溶媒を連続相加工媒体中に分散させ、分散
工程からの溶媒の一部を揮散させて、懸濁液中に活性物
質を含むマイクロカプセルを形成させ、最後に、マイク
ロカプセルから溶媒の残りを抽出させる方法である。
【0007】これらの多くの公知技術を生細胞に適用す
るとなると多くの問題が生ずる。すなわち、公知技術の
多くは生細胞の生存を維持させるのには条件がきびしす
ぎる。たとえば、有機溶媒、高温、反応性モノマー、架
橋条件の使用は生細胞の生存を危くする。さらに細胞の
脱水又は浸透圧破損を避けるのも容易ではない。さらに
大きい問題は栄養分と排出生成物の透過を膜壁に具備さ
せることの必要性である。もし、細胞がマイクロ分子又
は生物学的集団、たとえば抗体又はヴィリオンの源とし
て使用される場合、このようなマイクロ分子の排出を許
容する大きさの孔を膜壁に具備させなければならない。
細胞がカプセル化され、それが宿主に注射されたとき
は、これらが、マイクロ分子又は生物学的集団の源とな
らなければならず、その孔はマイクロ分子又は集団の排
出を許容し得る正しい直径のもので、かつ宿主の免疫シ
ステムのためにマイクロカプセル化された細胞を破壊す
るような宿主の分子又は細胞の侵入を防止し得る径のも
のでなければならない。
【0008】そのため、生細胞の生活力を維持させ得る
穏やかな条件下で生細胞をカプセル化することができ、
かつカプセルの膜壁に適当に制御された孔を形成し得る
方法が要望されていた。
【0009】この発明は上記事情に鑑みてなされたもの
であって、生細胞のカプセル化およびその用途を提供す
ることを目的とする。
【0010】すなわち、この発明は架橋化タンパク質壁
からなるカプセル中に生細胞の水性懸濁液を収容してな
る生細胞含有カプセルを提供するものである。さらに、
この発明は (a)生細胞をカプセル壁形成タンパク質の水溶液中に
分散させる工程と; (b)水性非混和性、細胞適合性連続的処理媒体中にて
上記細胞含有媒体の水性滴状物を形成する工程と; (c)該処理媒体に可溶で上記水性滴状物に実質的に不
溶性の架橋剤で上記タンパク質を架橋させる工程と; を具備する生活細胞のカプセル化法を提供するものであ
る。
【0011】本発明は生細胞含有カプセルの穏かで、か
つ効率的な製造を提供するものであり、これは制御させ
た多孔質カプセル膜壁の形成に適した条件を見出したこ
とに基づくもので、その結果、ハイブリドマ生育、薬剤
導出等種々の領域においてカプセル化細胞の使用が可能
となる。
【0012】上述の如く本発明の方法は3つの段階、す
なわち、 (a)生細胞をカプセル壁形成タンパク質の水溶液中に
分散させる工程と; (b)水性非混和性、細胞適合性連続的処理媒体中にて
上記細胞含有媒体の水性滴状物を形成する工程と; (c)該処理媒体に可溶で上記水性滴状物に実質的に不
溶性の架橋剤で上記タンパク質を架橋させる工程と; からなるものである。
【0013】この方法の第1の工程は最終的にカプセル
膜壁を形成するタンパク質溶液の形成である。したがっ
て、この膜壁物質は水または実質的に水性の溶液に可溶
でなければならず、架橋されてカプセルを形成し得るも
のでなければならない。この水溶性タンパク質の適当な
例としてはカゼイン、コラーゲン、ゼラチン、大豆タン
パク、グルテン、アルブミン、免疫グロブリン、又はこ
れらの変性物あるいは誘導体である。この殻形成タンパ
クは水性溶媒中に、好ましくはその実用的最少量を用い
て、溶解する。その溶媒量は装置で取扱い可能な粘度を
超えるものであってはならない。さらに、その粘度は細
胞の良好な分散が得られる程度としなければならない。
たとえばタンパク質を5〜95重量%、好ましくは5〜
25重量%含むようにする。この段階で、抗酸化剤、保
存剤、界面活性剤を含めてもよい。
【0014】このタンパク質含有殻形成溶液に対し、カ
プセル化されるべき細胞の懸濁液を加える。これら細胞
は後述の如く、適当な栄養含有媒体、たとえば塩、還元
剤、抗生物質、血清、緩衝剤等を含む培養媒体に添加し
て用いられる。試験管中での動物細胞ラインのための、
又は微生物のための培養媒体は公知である。細胞は破壊
を防止するため、穏やかな方法を用いて殻形成タンパク
含有溶液に均一に分散される。他の方法としては、殻形
成タンパク含有溶液を最初に適当な培養媒体に添加し、
この中間溶液を滅菌し、これに生細胞を含むペレットそ
の他の適当な形状のものを添加する。これらの細胞をつ
いで懸濁液中に分散させる。添加される細胞の数はマイ
クロカプセル中の所望濃度によって定められるが、一般
に溶液1ml当り103 〜1012個、好ましくは104
〜108 個の範囲で使用される。
【0015】この発明の方法の第2の段階は連続的処理
媒体(又は加工媒体)中に水相を分散させることであ
る。この処理媒体は水相と混和しないものでなければな
らない。この水性非混和相の例としては鉱油又は非鉱質
油であって、生細胞と、この連続媒体が適合性を有する
ことが条件とされる。すなわち、この連続相は製造中に
おいて、細胞代謝を害しないか妨害しないことが必要と
される。この水性非混和相の例としては、シリコーンオ
イル、ピーナツ油、綿実油、ゴマ油等である。界面活性
剤(乳化剤)をこの連続的処理媒体に加えて、マイクロ
カプセルが凝集するを防止したり、エマルジョン中での
マイクロ滴状体の大きさを制御するようにしてもよい。
この分散体はコロイドミル、ホモジナイザー等の装置に
よって連続相処理媒体を機械的に攪拌することによって
得られる。簡単な機械的攪拌器を用いることもでき、又
そのようなものはより好ましいと云える。その理由は細
胞の破壊を防止するために十分にゆるやかな攪拌が要請
されるからである。エマルジョンはこの連続相処理媒体
に水溶液の小滴を添加することによって形成することも
できる。この分散工程の好ましい例としては水溶液をゴ
マ油中に分散させることである。
【0016】水溶液の形成およびこの水溶液の処理媒体
中への分散における温度は特に制限はないが、マイクロ
カプセルの大きさ、品質に影きょうを与える。さらに、
用いられる連続相処理媒体の種類によっては、その温度
は低過ぎてはならない。低過ぎると水性溶媒および処理
媒体が固化するか重粘になり過ぎて実用的に取扱い不能
となるからである。他方、この温度が高すぎても、処理
媒体が蒸発して細胞の生活力が失われることになる。し
たがって、この分散工程は安定な操作条件に維持し得る
温度、好ましくは0℃ないし40℃の範囲、特に好まし
くは25℃ないし37℃の範囲とすべきである。
【0017】第2の工程において、安定なエマルジョン
を維持し得るものであれば水性滴状体の量についての制
限はない。しかし、その量が大きすぎて2つの異なる滴
状体間で架橋が生じたり、逆に小さすぎて処理後にマイ
クロカプセルが回収できなくなっても良くない。理想的
には水相対処理媒体の割合は0.1〜99容量部対10
0容量部の範囲、より好ましくは1〜50容量部対10
0容量部の範囲とすべきである。
【0018】処理媒体中の水性滴状体の安定なエマルジ
ョンに対して架橋剤が次に添加される。この架橋剤は官
能基および構造について多くの条件が必要である。第1
に架橋剤は連続的処理媒体に実質的に可溶であり、水性
滴状体に不溶でなければならない。この条件が極めて重
要である。なぜならば、これが水性滴状体への架橋剤の
導入を防止し、したがって細胞相互の広範な架橋又は細
胞とカプセルの内壁との架橋の可能性を防止するための
制御要素となるからである。ほとんどの細胞が表面にタ
ンパク質を含み、これらのタンパク質が架橋剤と架橋し
得る基を有するから、架橋剤の水溶性は回避されなけれ
ばならない。この架橋剤がほとんど排他的に非水性連続
相に可溶であるため、架橋反応は水性滴状体と非水性連
続相との間の界面でほとんど起り、界面型架橋が得られ
る。
【0019】第2の条件は架橋剤の架橋能が適当な製造
温度で起ることである。第3の条件は少なくとも二官能
価のものであって、タンパク質殻物質上で少なくとも2
以上の架橋可能域で架橋できるものであることである。
第4の条件は架橋剤が安定なエマルジョンの条件の下で
タンパク質の天然の官能基と容易に反応する基を有する
ことが必要とされる。このような官能基の例は水酸基、
アミノ基、カルボキシル基、チオール基である。より好
ましくは末端アミノ基又はリシンのε−基の如きタンパ
ク質のアミノ基が利用される。
【0020】本発明における架橋剤の好ましい例として
は油溶性ハロゲン化二酸であって、タンパク質アミノ基
とアミド結合を形成し得るものである。たとえば、XO
C−(CH2 n −COX(ただし、Xはハロゲン、好
ましくはふっ素、臭素、塩素、nは一般の4〜12の整
数)で表わされる化合物である。最も好ましい例はアジ
ポイルクロリド又はセバコイルクロリドである。一般
に、ヒドロキシ又はアミノ−反応性多官能価油溶性架橋
剤の全てのものを使用できる。第5の条件は架橋剤が連
続相処理媒体と反応しないことである。
【0021】この処理媒体中の架橋剤の濃度は任意に調
整でき、その下限はカプセル膜壁が自己支持力を形成し
得ない濃度であり、上限は架橋が多過ぎて固くなりす
ぎ、不透過性となる濃度である。この上限は連続相処理
媒体中での架橋剤の溶解度によっても左右される。この
架橋剤の濃度は当業者が容易に判断し易るものであり、
一般に0.001〜10mg/100ml(処理媒体)の範
囲で用いられる。
【0022】殻形成タンパク質に対する架橋剤の割合は
所望とする架橋剤の緊張度、使用するタンパク質の活性
架橋性官能基の数、滴状体のサイズ、反応時間、膜厚に
よっても左右される。一般にこの適当な割合はタンパク
質1モル当り架橋剤1〜1,000モルであろう。
【0023】架橋剤の添加後、得られた懸濁液を連続的
に攪拌して、エマルジョン中の滴状体を所望の架橋が得
られるまで維持する。架橋剤の反応温度条件は前述の如
く維持し、又は架橋を促進させるために若干上昇させ
る。この時間は一般に数分ないし数時間、好ましくは5
〜10分ないし2時間、より好ましくは15分ないし1
時間である。
【0024】多くの場合、処理媒体中に得られるマイク
ロカプセルの懸濁液を、たとえばカプセル化ハイブリド
マスの注射において動物の腹膜に直接使用できる。この
方法は処理媒体が反応終了時に架橋剤を全く含まない場
合、およびカプセルの形成に生物との相容性を有する処
理媒体、たとえばゴマ油を利用した場合に特に好まし
い。この方法によれば、現場でマイクロカプセルを作
り、その得られたカプセル分散物を動物中に注射するこ
とができる。
【0025】そのほか、処理媒体からカプセルを分離
し、水性又は非水性洗浄液で洗うようにしてもよい。こ
の分離は攪拌を中断し、ついでデカンテーション又は遠
心分離によっておこなうことができる。さらに、処理媒
体を水相上に層として形成させ、この二層構造物を遠心
分離してマイクロカプセルを処理媒体から水相へ強制的
に移すようにしてもよい。この場合の水相はカプセル化
細胞の生育を促す培養媒体であることが好ましい。
【0026】上記のようにして製造された本発明の生細
胞含有カプセルにおいては、架橋剤で架橋されたアルブ
ミンからなるカプセル内に、水性媒質中に懸濁された状
態の生細胞が収容されている。カプセル壁の架橋に用い
た架橋剤は、一般的に生細胞に対して毒作用を及ぼすか
ら、これが細胞壁から溶出すると細胞の死滅といった致
命的な欠点を生じる。しかし、既述したように本発明で
用いる架橋剤、特に塩化セバコイルは水に不溶性である
から、本発明によれば、上記のような致命的な問題を回
避することができる。
【0027】本発明の好ましい具体例として、出発タン
パク質溶液は水溶性ポラーゲン化合物(すなわち孔形成
又は孔発生化合物)、たとえばポリ(ビニルアルコー
ル)、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロ
リドン)、でん粉、最も好ましくは多価グリコール等の
グリコールを含むものであってもよい。この化合物の存
在はカプセル化の際に細胞を保護し、カプセル膜壁中に
多くの孔を形成させる。このポラーゲン化合物は架橋工
程において、タンパク質分子相互間に捕捉され、水溶液
とカプセルとの接触の際に除去され、カプセルの膜壁に
多くの孔を形成させるものと思われる。このポラーゲン
化合物の添加量は比較的広範囲で変えることができ、細
胞の数、所望とする多孔度、ポラーゲンの溶解度、カプ
セル組成物の量等によっても左右される。一般に、その
水溶液中の濃度は1mg/mlないし1g/ml、好ましくは
200〜600mg/mlであろう。ポラーゲンのタンパク
質に対する割合は1:10〜10:1(重量)である。
本発明で用いられるポリグリコールは分子量が100〜
10,000のものである。このうち、ポリエチレング
リコール、特に分子量4,000〜6,000のもの
(より好ましくはこの上限に近いもの)が用いられる。
【0028】本発明の他の好ましい態様は形成されたカ
プセルにカプセル膜壁分解酵素(又は劣化酵素)を接触
させることによりカプセルの膜壁の孔径を調節する方法
である。カプセルの膜壁が主としてタンパク質からなる
場合はタンパク質分解酵素、たとえばトリプシン、キモ
トリプシン等をカプセルの緩衝水性懸濁液に加えて十分
な時間繁殖させて所望のサイズに孔を拡大させる。一般
にこの時間は1〜2分から1〜2時間、好ましくは1〜
2分から30分の間である。この酵素消化は、酵素抑制
剤、たとえばタンパク分解抑制剤、たとえば大豆トリプ
シン抑制剤をカプセル分散体に加えるか、又はカプセル
から酵素を洗い流すことによって中止させることもでき
る。
【0029】他の好ましい態様として、カプセルの壁が
タンパク質のみで構成されているのではなく、これに加
えて0.1〜80重量%の他の酵素分解性物質、たとえ
ばポリサッカライド、ケラチン、DNA,RNA、コラ
ーゲン等の物質で形成されている場合である。タンパク
質および他の酵素分解性物質で膜壁がつくられているカ
プセルの形成後、カプセルの孔径はこの他の酵素分解性
物質を分解する酵素で処理することにより拡大させるこ
とができる。この物質がポリサッカライドの場合はポリ
サッカライド分解酵素が用いられる。セルロース、コラ
ーゲン、DNA,RNA、でん粉、ケラチンが添加され
た場合はセルラーゼ、コラナーゼ、DNアーゼ、RNア
ーゼ、アミラーゼ、ケラチナーゼ等を用いて孔径を拡大
し得る。この分解酵素による処理時間は上述のタンパク
分解酵素の場合と同様にして調節し得る。
【0030】本発明のカプセルは球形粒子であり、場合
によっては不規則な形状としてもよい。カプセルは1μ
m以下から数ミリの直径に変えることができる。標準注
射針での投与のためには1μm以下ないし250μmの
径のもの(マイクロカプセル)が好ましい。
【0031】膜壁の孔径は少なくとも細胞の生育および
生活力を維持するために必要な栄養の出入りを許容し得
る大きさを有し、かつ細胞自体の排出を防止し得る程度
に小さくなくてはならない。理想的には分子量10,0
00〜500,000のマイクロ分子(公知の免疫グロ
ブリン又はヴィリオンを含めて)の排出を許容し得る孔
径のものが好ましい。ヴィリオンは通常約3,000オ
ングストローム以下の直径を有するから、孔径は5オン
グストローム〜15μm、より好ましくは20オングス
トローム〜0.3μmとする。
【0032】本発明でカプセル化可能な細胞の性質、種
類について特に制限はなく、動物からのもの、植物から
のもの、微生物からのもののいずれであってもよい。又
細胞はハイブリドマ細胞の如く人工のものであってもよ
い。この人工のものはカプセル化にとって好ましいもの
の一つである。細胞ラインから得られる他の細胞、たと
えばミエロマ(myeloma)細胞もカプセル化可能
である。さらに、バクテリヤ細胞の如き微生物細胞もカ
プセル化可能である。これらのうち最も好ましいバクテ
リヤ細胞は薬理学的に有用な物質を分泌するものおよび
DNA組換え技術によりつくられる新規なバクテリヤ種
であって哺乳動物、ドナー等の異質物からの遺伝子によ
ってコードされた物質を産生するバクテリヤである。こ
の異質の遺伝子を表わすバクテリヤ細胞の例としてはイ
ンターフェロン、生育ホルモン、インシュリン(すい臓
細胞自体によってつくり得るものであることはもちろん
である)、その他のホルモン、プロホルモン型分子等で
ある。
【0033】1カプセル当りの細胞の数はカプセルの大
きさにもよるが、1〜1000、好ましくは1〜100
程度であろう。生育および再生によりカプセル内の細胞
密度は増大し、生育は飽和レベルに達することになる。
この飽和レベルは細胞の種類、カプセルのサイズによっ
ても異なる。これらは実験的に、特定の細胞/カプセル
サイズについての飽和限度を知ることができよう。
【0034】本発明はさらに所望の細胞のカプセル化の
ため使用者に利用されるキットの製造を提供するもので
ある。このキットは一般に試験管、薬ビン、グラス、球
状物等を収容するために区分した容器を1以上有するキ
ャリヤーからなる。この容器はさらにポラゲン、その他
の酵素分解可能物質、栄養媒体、界面活性剤等とともに
膜壁形成タンパク質からなる第1の容器手段を具備する
ものであってもよい。この膜壁形成物質は溶液又は凍結
乾燥した状態で存在させることができる。第2の容器手
段として、適当な架橋剤を収容するもの、第3の容器手
段として、水非混和性処理媒体を収容するものが考えら
れる。他の容器手段としては所望の細胞、分解酵素、他
の膜壁形成物質等を収容するものが挙げられる。このキ
ットは通常カタログ、小冊、パンフレット等による指示
書を収容させる。このキットを利用する場合、使用者は
第1の容器手段内の物質の溶液をつくり、カプセル化す
べき細胞の分散体を形成し、上記溶液を処理媒体に加
え、水性の滴状体を分散させて安定なエマルジョンを形
成し、架橋剤を加えて膜壁形成を生じさせるだけでよ
い。もちろん、その他の任意の工程をさらに付加しても
よい。
【0035】本発明のカプセルは特に動物の、細胞に対
する免疫応答を最小限にしたい場合に、その動物への該
細胞の投与に特に適している。したがって、ハイブリド
マ細胞を含むカプセルを動物中に注射することにより、
該細胞を該動物内で生育させることができる。薬剤投与
も、薬理学的活性物質を生成させる細胞を含むカプセル
を動物に注射することにより、著るしく容易となる。イ
ンシュリンを生成させたり、生長ホルモン又はインター
フェロンを生成させたりして、これらの活性物質の速効
的および連続的供給源を与える再結合バクテリヤを動物
中に注射することもできる。カプセル化したすい臓細胞
を糖尿病患者に注射してインシュリンの供給源とするこ
ともできる。抗体、酸素、その他生物学的活性物質を生
成させる細胞を投与することもできる。
【0036】ここで興味深いことは投与の対象又は宿主
として使われる動物からのタンパク質を用いてマイクロ
カプセル又はカプセルの製造をおこなう方法である。こ
れによって、免疫応答の問題は減少する。たとえばBS
A壁の使用は受理主として牛科動物の使用を容易にす
る。ヒト血清アルブミンからなるタンパク質膜壁の使用
はヒトへのカプセルの投与を容易にする。
【0037】カプセルの投与は局部投与、静脈投与、腹
膜内注射、筋肉注射、輸液、環流等によって行うことが
できる。
【0038】そのほか、本発明のカプセルは他の用途を
有する。たとえば、従来の非可動化微生物細胞又は酵素
の代りに触媒物質として役立てることができる。又、分
解カプセル化微生物を利用して酸素等のガスを解放さ
せ、これを酸素電極によりモニターすることなどにより
分析等に使用することもできる。
【0039】マイクロカプセルを治療を目的として用い
る場合、投与量は年令、性別、患者の状態、他の同時投
与薬剤、副作用等を考慮して決定される。たとえば、一
定時間当り循環系にどの程度インシュリン、インターフ
ェロンを放出させるかは所定の対象につき容易に計算す
ることができ、これにより所定の細胞を含むマイクロカ
プセルの適量を注射することができる。
【0040】タンパク壁形成物質の一部又は全体に免疫
グロブリンからのものを用いたカプセルは特に有用であ
る。免疫グロブリンの特定の種類のものを選び、膜壁含
有抗体の補助として抗原部に向けられるカプセルをつく
ることができ、このカプセルを生細胞の指定されたキャ
リアシステムに変えることができる。
【0041】(実施例) <ハイブリドママイクロカプセルの製造例>すべてのマ
イクロカプセル化用装置を消毒したのち、ウシ血清アル
ブミン、BSA(100mg)をRPM1 1640培養
基(重炭酸ソーダ、2−メルカプトエタノール、ペニシ
リン、ストレプトマイシン、カビ菌帯および10%の熱
不活性化ウシ胎児血清を含む)1ml中に溶解させた。こ
の溶液をミリポアフィルタ(タイプHA,0.45μm
、ミリポア社Bedford,マサチューセット州,
米国)を介して滅菌試験管に通過させることにより滅菌
した。次にポリエチレングリコール(PEG,Carb
owax,6,000(商品名)FisherScie
ntific社,ピッツバーク、米国)200mgをこの
BSA溶液に溶解させ、約106 ハイブリドマ細胞を含
むペレットをBSA−PEG媒体混合物0.5ml中に懸
濁させた。
【0042】この懸濁液を、50ml樹脂釜に収容した滅
菌ゴマ油20mlに、温度37℃、攪拌速度1,200rp
m.で滴下しながら加えた。その結果、BSA,PEG、
細胞および培養基からなる水性マイクロ滴状体を含む水
/オイルエマルジョンが得られた。この水相をゴマ油に
添加した1分後に塩化セバコイル(2mlのゴマ油に0.
2ml溶解させたもの)を上記樹脂釜に添加した。この添
加ののち2分後攪拌速度を1,200rpm.から900rp
m.に減少させた。この状態で40分間維持し、塩化セバ
コイルをBSAに架橋させてマイクロカプセル壁を形成
させた。さらに40分後、樹脂釜を静かに遠心分離して
マイクロカプセルを沈降させた。上澄液を除去したの
ち、マイクロカプセルを新しい滅菌ゴマ油で洗浄し、残
留する塩化セバコイルを除去した。
【0043】このマイクロカプセルを培養基に移すた
め、マイクロカプセルを再び遠心分離し、上澄液を除去
した。さらにヘプタン2mlをマイクロカプセルペレット
に加え、さらに直ちに5mlの培養基と混合した。この混
合物をついで遠心分離し、上澄液を除去し、マイクロカ
プセルペレットを新しい培養基で再度洗浄し、適当なpH
に調節した。
【0044】マイクロカプセル化後の細胞生存能をこの
マイクロカプセルを中性赤中で培養することにより実証
することができた。すなわち、このマイクロカプセル化
細胞はこの中性赤を汚ごし生存能を有することを示し
た。第2の手段として、このマイクロカプセルを開き、
露出した細胞をトリパン青で培養した。その結果、細胞
の染色が見られず、これによって細胞の生存能が認めら
れた。この細胞は少なくとも2ケ月間生活力を示した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/16 11/04 C12P 21/08 8214−4B //(C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化セバコイルで架橋されたアルブミン
    からなる壁を有するカプセル中で、細胞を生育させるこ
    とを特徴とする細胞の繁殖方法。
  2. 【請求項2】 該壁が分子量500,000以下の分
    子、直径3,000オングストローム以下の粒子を通過
    させるのに十分な孔を多数有する請求項第1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 分子が免疫グロブリンである請求項2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 免疫グルブリンがモノクロン抗体である
    請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 該細胞が動物、植物、微生物、および人
    工の細胞から選ばれるものである請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 該細胞がハイブリドマ細胞である請求項
    5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 該細胞がウイルス感染細胞である請求項
    5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該細胞がバクテリヤ細胞である請求項5
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該バクテリヤ細胞が、該バクテリヤ細胞
    のDNAに組換えられた非バクテリヤ遺伝子によってコ
    ードされた生成物を産生している請求項8に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 該非バクテリヤ遺伝子が哺乳動物遺伝
    子である請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 該細胞を動物の体内で生育させる請求
    項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 該細胞を動物の腹水中で生育させる請
    求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 該カプセルの膜壁に含まれるアルブミ
    ンが該動物から得られたものである請求項11に記載の
    方法。
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