JPH0685312B2 - セラミツク放電灯 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は発光管バルブとして透光性セラミツクスを使用
したセラミツク放電灯に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

セラミツク放電灯たとえば高圧ナトリウムランプは非常
に高い発光効率を有することから近年急速にその需要は
拡大している。

このランプの発光管は透光性セラミツクスからなる発光
管バルブの両端開口部をガラスソルダのような封着材を
介してたとえばセラミツクス製の閉塞体で封止し，これ
等閉塞体を気密に貫通する金属管の一端部にそれぞれ電
極を保持させ，内部に始動用希ガスと共にナトリウムNa
と水銀が封入されて形成される。なお，上記Naや水銀等
の封入金属はランプ点灯時に飽和蒸気圧を得るためそれ
ぞれの蒸発量の10〜100倍の過剰量が封入され，点灯中
は液状のナトリウムアマルガムとなつてその大部分は上
記金属管の一方または両方に分散して溜まる。

このような構成のランプは，過剰に封入した封入金属が
溜まる個所の金属管の温度つまり上記封入金属の表面温
度によつて発光管内の封入金属の蒸気圧が変化し，これ
によってランプ電圧，全光束，光色等のランプ特性も変
化する。このような変化は，金属管の温度を一定に保つ
ようにしても，そこに溜まる過剰の封入金属の位置が定
まらないと大きくなり、特に点灯初期の100時間以内に
おいて著るしい。

第３図は複数の70W高圧ナトリウムランプについて，そ
の点灯初期の段階におけるランプ電圧の変動を測定した
結果を示すもので，ハツチングした領域にまでランプ電
圧が変動すると，全光束は10％以上も低下し，特にラン
プ電圧が低過ぎるハツチング領域では安定器に流れる電
流が過大となり，安定器内の絶縁物の劣化を早める。特
に高圧ナトリウムランプのように始動電圧の高いランプ
にあつては，その始動時に1kK〜4kVものパルス電圧を印
加するため，安定器の巻線間および巻線とケースや鉄心
との絶縁は極めて重要であり，したがつてランプ電圧の
変動特にその低下は厳に避けなければならなかつた。

〔発明の目的〕

本発明は上記従来の欠点に対処してなされたもので，点
灯初期の段階からランプ特性特にランプ電圧の変動の少
ないセラミツク放電灯を提供することを目的とする。

〔発明の概要〕

本発明は透光性セラミツクスからなる発光管の両端に設
けた一対の電極をそれぞれ支持する金属管の発光管外方
への突出長をそれぞれl₁（mm）およびl₂（mm）としたと
き， l₁（mm）＞l₂（mm） の関係を有し，かつ，突出長l₁（mm）の金属管内に滞溜
する封入物の溶融時の表面から金属管の長手方向で金属
管突出部の先端内表面までの長さをＬ（mm）として， l₁（mm）−l₂（mm）≧Ｌ（mm）＋1mm を満足するようにした点に特徴がある。

〔発明の実施例〕

以下，本発明の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図は70Wの高圧ナトリウムランプの発光管を示し，
（１）は透光性セラミツクスたとえば透光性アルミナセ
ラミツクスからなる長さ55mm,内径4.5mmの発光管バル
ブ，（2A），（2B）は上記発光管バルブ（１）の両端開
口部を気密に封入する閉塞体，（３），（４）はたとえ
ばニオブからなる内径2.5mm,肉厚0.15mmの金属管で，上
記閉塞体を気密に貫通し，発光管外方への突出部の各先
端部（3a），（4a）は気密に封着され，かつ発光管内の
端部には電極（5A），（5B）がそれぞれ固着支持されて
いる。

また，発光管内には始動用希ガスたとえばキセノンガス
と共に水銀およびナトリウム等の封入物（６）が封入さ
れている。さらに，上記一対の金属管（３），（４）の
発光管外方への突出長をそれぞれl₁（mm）,l₂（mm）と
した場合， l₁＝11.0mm＞l₂＝8.0mm に形成され，かつ突出長の長い方（l₁）の金属管（３）
内に滞溜する上記封入物（６）の溶融時の表面（6a）か
ら金属管（３）の長手方向で突出部の先端内表面（3b）
までの長さＬ（mm）は1.5mmである。したがつてl₁（m
m）−l₂（mm）≧Ｌ（mm）＋1mmを満足するように構成さ
れている。

このような構成の発光管を外管に組込んだランプ複数本
につき，点灯初期の100時間までのランプ電圧の変動を
調べた結果，第２図に示すようにそれ等各ランプの変動
は第３図に示した従来ランプよりも極めて小さく，実用
上全く問題がなかつた。

このようにランプ電圧の特に点灯初期における変動が小
さいのは，上記構成によつて金属管（３）内に滞溜する
封入物（６）の移動が抑制されるためと考えられる。

すなわち，点灯初期においては，点灯中に振動を与えた
場合や，点灯・消灯を繰り返した場合に，金属管（３）
内に滞溜する封入物は容易に移動する。例えば，金属管
（３）内に滞溜していた封入物（６）の一部が他方の金
属管（４）に移つたとした場合，金属管（４）の温度が
十分低ければ金属管（３）内に滞溜していた封入物
（６）の表面（6a）は発光管中心部から離れ，表面温度
が下がることにより蒸気圧が低下し，したがつてランプ
電圧は下がる。また逆に金属管（４）内に移動した封入
金属の表面温度が金属管（３）内に残留している封入金
属の表面温度より高い場合は，金属管（４）内に移動し
た封入金属の表面温度が蒸気圧を左右するところとなり
ランプ電圧は上昇する。一方，金属管（４）の先端部
（4a）を発光管中心部に十分近ずけておくと，上記のよ
うな封入金属の移動は起らなくなる。すなわち発光管端
部から金属管（３）内に滞溜している封入金属の表面
（6a）までの距離l₁−Ｌ（mm）に対し，対向する金属管
（４）の突出長l₂を1mm以上短くしておくと，金属管
（４）の先端部（4a）の温度は封入金属の表面（6a）の
温度に比べ十分に高くなり，封入金属（６）の移動は起
りにくくなり，また仮にこの部分へ封入金属（６）の一
部が移動したとしても数十分程点灯すると金属管（３）
の方へ移動してしまう。

次に一対の金属管（３），（４）の発光管外方への突出
長l₁とl₂および突出長の長い方の金属管（３）内に滞溜
する上記封入物（６）の溶融時の表面から金属管（３）
の突出部の先端内表面（3b）までの長さＬ（封入物
（６）の容量の１つの測度とも定義づけられる。）の各
値を種々変化させたランプにつき，それ等の初期点灯時
（100時間内）におけるランプ電圧の変動を調査した結
果を表１に示す。各ランプの試験数はそれぞれ10本で，
初期点灯時におけるランプ電圧の変動値が±5V以内にあ
るものを良品とした。

表１の結果から， l₁＞l₂ で，かつ， l₁（mm）−l₂（mm）≧Ｌ（mm）＋１（mm） を満足するようにすれば，ランプ電圧の変動を小さくで
き，不良品の発生を防止できることが判る。

なお，封入物の溶融時の表面（6a）は，その表面が表面
張力により湾曲している場合にはその中心点をいう。

また，本発明は高圧ナトリウムランプに限るものではな
く，透光性セラミツクスを発光管バルブとする他のセラ
ミツクス放電灯一般に適用することができる。

〔発明の効果〕

以上詳述したように本発明は透光性セラミツク放電灯に
おいて，発光管バルブの両端に設けた電極を支持する一
対の金属管の発光管外方への突出長を異なるように設定
し，かつ，突出長の長い方の金属管内に滞溜する封入物
の容量を規制するようにしたので，特に点灯初期におけ
るランプ電圧の変動を小さく押えることを可能とし，光
束の低下や安定器の絶縁破壊等を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の発光管の縦断面図，第２図
は同実施例ランプの特性図，第３図は従来ランプの特性
図をそれぞれ示す。 （１）……発光管バルブ，（2A），（2B）……閉塞体，
（３），（４）……金属管，（3b）……金属管突出部の
先端内表面，（5A），（5B）……電極，（６）……封入
物，（6a）……封入物の表面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透光性セラミツクスからなる発光管バルブ
   の両端にそれぞれ金属管に支持された一対の電極を対設
   し，内部に始動用希ガスと共に過剰の水銀および発光金
   属または発光金属のハロゲン化物を封入してなる発光管
   を具備したセラミツク放電灯において，上記一対の金属
   管の発光管外方への突出長をそれぞれl₁（mm）およびl₂
   （mm）としたとき， l₁（mm）＞l₂（mm） の関係を有し，かつ，突出長l₁（mm）の金属管内に滞溜
   する上記封入物の溶融時の表面から金属管の長手方向で
   金属管突出部の先端内表面までの長さをＬ（mm）とし
   て， l₁（mm）−l₂（mm）≧Ｌ（mm）＋1mm を満足するようにしたことを特徴とするセラミツク放電
   灯。