JPH0684480A - 陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 陰極と第１格子電極間の静電容量を低減して
解像度を向上する。 【構成】 第１格子電極１の陰極８に対向する部分に、
陰極８方向に当該陰極径より小径で突出する円筒形部１
２を形成し、互いに対向する部分の面積を小さくする。 【効果】 陰極と第１格子電極間の静電容量が小さくな
り、周波数応答特性が向上し、解像度がよくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー受像管，ディス
プレイモニター、その他の映像／画像表示装置用の陰極
線管に係り、特に高解像度電子銃を備えた陰極線管に関
する。

【０００２】

【従来の技術】テレビジョン受信機や情報機器用ディス
プレイモニター、その他の映像／画像表示装置用の陰極
線管は、当該表示情報の電気信号で電子ビームを強度変
調することで蛍光面において可視光に変換する電子デバ
イスである。この陰極線管としては、所謂カラー陰極線
管が最もポピュラーであるので、まずこのカラー陰極線
管について、その概略構造を説明する。

【０００３】カラー陰極線管は、複数の電子ビームを発
射する電子銃，色選択電極であるシャドウマスク、表示
面を構成する蛍光体層を真空容器で抱持した構造を基本
として構成される。上記の電子銃は、電子を放出する陰
極と、この陰極に対して複数の格子電極を軸線上に所定
の間隔で配列してなり、真空容器中に蛍光面と対向する
位置に収容される。

【０００４】図５はインライン配列電子銃を用いたカラ
ー陰極線管の概略構造を説明する断面図であって、５１
は蛍光面を構成するパネル、５２はファンネル、５３は
電子銃を収容するネック、５４は電子銃、５５はシャド
ウマスク、５６は蛍光体層、５７は偏向ヨークである。
同図において、電子銃５４を構成する３個の電子銃から
発射された電子ビームＲ，Ｂ，Ｇは偏向ヨーク５７によ
って水平と垂直の２次元に偏向され、シャドウマスク５
５を通してパネル５１の内面に形成された蛍光体層５６
を走査する。

【０００５】電子ビームＲ，Ｇ，Ｂはそれぞれ赤，緑，
青の映像信号により変調され、蛍光体層５６上に元の映
像を再生する。図６はカラー陰極線管に使用されるイン
ライン形電子銃の概略構造を説明する側面図であって、
１は第１格子電極、２は第２格子電極、３は第３格子電
極、４は第４格子電極、５は第５格子電極、６は第６格
子電極、７はシールドカップ、８は陰極、９はステム、
１０は陰極および各格子電極を所定の位置関係で固定保
持するビードガラス、５４は電子銃全体を示す。

【０００６】同図の電子銃５４は、ステム９の部分で真
空容器のネック部に封止され、第１格子電極１に印加さ
れる信号に応じて制御された電子ビームが第２格子電極
〜第６格子電極で構成される電子レンズで収束を受け、
シャドウマスク５５を通して蛍光体層５６に達し、映像
を再生する。また、図７はカラー陰極線管に使用される
他の形式のインライン形電子銃の概略構造を説明する断
面図であって、１は第１格子電極、１１は第１格子電極
の電子ビーム通過孔、２は第２格子電極、２１は第２格
子電極の電子ビーム通過孔、３は第３格子電極、４は第
４格子電極、８は陰極、８１はスリーブ、８２は電子放
出面、８３はヒータ、５４は電子銃全体を示す。

【０００７】この形式の電子銃は、第１格子電極１で制
御された電子ビームが第２格子電極〜第４格子電極４で
構成される電子レンズで収束されるようになっている。
なお、この種のカラー陰極線管に関する従来技術を開示
したものとしては、特開昭５９ー２１５６４０号公報を
挙げることができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の陰極線
管における電子銃は、陰極に近接して配置される格子電
極の上記陰極の電子放出面と対向する面積が当該電子放
出面の面積よりも大きくなっている。図８は陰極線管に
用いられる従来の電子銃の要部断面模式図であって、０
１は第１格子電極、０２は第２格子電極、０８は陰極で
ある。また、０１１は第１格子電極の電子ビーム通過
孔、０２１は第２格子電極０２の電子ビーム通過孔、０
８１は陰極０８の電子放出面である。

【０００９】図示されたように、陰極０８の電子放出面
０８１に対向する第１格子電極０１、および次の第２格
子電極０２は、その電子放出面０８１と対向する面の面
積は当該電子放出面０８１の面積よりも大きくなってい
る。陰極線管は、その画面全域および全電流域で高解像
度であることが望まれ、この高解像度を達成するために
は電子銃のフォーカス特性（収束特性）を向上する必要
がある。

【００１０】前記図７に示した構造においては、陰極０
８とその他の電極（格子電極）間の静電容量が大きく、
したがって、陰極０８に印加される高速パルスの波形が
崩れてフォーカス特性を劣化させてしまい、結果として
解像度は低下する。すなわち、同図において、第１格子
電極０１の陰極対向面は該陰極０８の第１格子電極対向
面より大きい。

【００１１】一般に、この種の電子銃では対陰極の静電
容量の主体は陰極と第１格子電極０１間の対向部間の容
量構造に起因する。前記図７に示した様な電極構成では
陰極０８と対向する第１格子電極０１の面積が広い。陰
極０８の電子放出面０８１の当該陰極に対向する第１格
子電極０１との対向面を円とし、その直径をＲ₀，両者
の間隔をｄ₀，比例定数をｋとすると、陰極と第１格子
電極との間の静電容量Ｃ₀ は、Ｃ₀ ＝ｋ・π（Ｒ₀ ／
２）² ／ｄ₀となる。両者間の静電容量は陰極０８の最
大径Ｒ₀ できまり、第２格子電極以下で構成する電子レ
ンズによるフォーカス特性向上には限界があるという問
題があった。

【００１２】本発明の目的は、上記従来技術の問題を解
消し、画面全域および全電流域で高解像度である陰極線
管を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、陰極線管に用いる電子銃を構成する陰極
に対向する格子電極と陰極との間の静電容量を小さくし
た新規な格子電極構造を採用したことにあり、当該格子
電極の陰極対向部の形状を陰極方向に突出する円筒形も
しくは切頭円錐形、もしくはこれらと類似の形状として
陰極に対向する格子電極の面積を小さくした電子銃を備
えたことにより、また陰極に最も近接する格子電極の電
子ビーム通過孔の電子銃軸線と直交する半径方向の抵抗
を、その電子銃軸線方向の抵抗より小さくした電子銃を
備えたことを特徴とする。

【００１４】すなわち、本発明は、陰極８と複数の格子
電極１，２，・・からなる電子銃５４と、偏向装置５７
および螢光面５６を少なくとも備える陰極線管におい
て、前記電子銃５４の陰極８に対向する格子電極の前記
陰極に最も近接する第１格子電極１の陰極対向面積を前
記陰極８の前記格子電極１に最も近接する面の面積より
小とした電子銃を備えたことを特徴とする。

【００１５】また、本発明は、陰極８と複数の格子電極
１，２，・・からなる電子銃５４と、偏向装置５７およ
び螢光面５６を少なくとも備える陰極線管において、前
記電子銃５４の陰極８に対向する第１格子電極１の電子
ビーム通過孔１１の電子銃軸線と直交する半径方向の電
気抵抗を、前記第１格子電極１の電子ビーム通過孔１１
の前記電子銃軸線方向の電気抵抗より小さくした電子銃
を備えたことを特徴とする。

【００１６】

【作用】陰極に対向する第１格子電極の陰極対向面の形
状を、例えば前記陰極方向に突出する円筒形もしくは切
頭円錐形とし、前記円筒形あるいは切頭円錐形の陰極対
向面積を前記陰極の第１格子電極対向面積より小さくす
ることにより、相互に対向する面積が小さくなり、その
電極間の静電容量が小さくなって周波数応答性が向上さ
れ、電子銃のフォーカス特性が改善される。

【００１７】また、前記陰極に対向する第１格子電極の
電子ビーム通過孔の電子銃軸線と直交する半径方向の電
気抵抗を、電子銃軸線方向の電気抵抗より低くしたこと
により、周波数応答性が向上され、電子銃のフォーカス
特性が改善される。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。図１は本発明の陰極線管に用いられ
る電子銃を構成する陰極回りの第１実施例を説明する要
部断面図であって、１は第１格子電極、１１はその電子
ビーム通過孔、８は陰極、８１はスリーブ、８２は電子
放出面である。

【００１９】本実施例は、陰極８に最も近接する格子電
極である第１格子電極１の電子ビーム通過孔１１部分に
当該陰極８側に突出する円筒形部１２を形成し、その直
径ｒ₁を陰極８の直径（ここでは、電子放出面８２）Ｒ₀
より小さくしたものである。この構成により、第１格子
電極１の前記陰極８と最も近接する部分間の静電容量Ｃ
₁ は、Ｃ₁ ＝ｋπ（ｒ₁／２）² ／ｄ₁ ＝ｋπｒ₁ ²／４
となり、Ｒ₀ ＞ｒ₁であるから、Ｃ₁ ＜Ｃ₀ となり、例
えばｒ₁ ＝Ｒ₀ ／２とすると従来技術のものより４分の
１だけ小さくなる。

【００２０】これにより、第１格子電極１に印加される
制御信号の周波数応答性が格段に向上し、結果的に高解
像度の電子銃が得られる。図２は本発明の陰極線管に用
いられる電子銃を構成する陰極回りの第２実施例を説明
する要部断面図であって、図１と同一符号は同一部分に
対応し、１３は切頭円錐形部である。

【００２１】同図においては、第１格子電極１の電子ビ
ーム通過孔１１部分に当該陰極８側に突出する切頭円錐
形部１３を形成し、その陰極対向面の直径ｒ₁を陰極８
の直径（ここでは、電子放出面８２）Ｒ₀ より小さくし
たものである。この構成によれば、上記実施例と同様
に、第１格子電極１の陰極８と最も近接する部分間の静
電容量Ｃ₁ は、Ｃ₁ ＝ｋπ（ｒ₁／２）² ／ｄ₁ ＝ｋπ
ｒ₁ ²／４となり、Ｒ₀ ＞ｒ₁ であるから、Ｃ₁ ＜Ｃ₀ と
なり、例えばｒ₁ ＝Ｒ₀ ／２とすると従来技術のものよ
り４分の１だけ小さくなる。

【００２２】これにより、第１格子電極１に印加される
制御信号の周波数応答性が格段に向上し、結果的に高解
像度の電子銃が得られる。図３は上記各実施例の効果を
説明する模式図であって、図１，図２と同一符号は同一
部分に対応し、２は第２格子電極、２１は第２格子電極
２の電子ビーム通過孔である。なお、各格子電極の前記
突出形状は概念的に示してある。

【００２３】同図において、第１格子電極１の形状を前
記図１あるいは図２で説明した形状とすることにより、
第１格子電極１の電子ビーム通過孔１１の電子銃軸線方
向と直角な方向の電気抵抗が低く、同軸線方向の電気抵
抗が高くなる。これにより、電極間（第１格子電極と第
２格子電極間）に流れ込まれる微少電流をより小さくす
ることができるという効果がある。

【００２４】図４は本発明の実施例の効果を説明する波
形図であって、（ａ）は周波数特性を、（ｂ）は波形歪
み特性を示す。同図（ａ）において、第１格子電極１に
印加される信号周波数は、当該第１格子電極１と陰極８
との間の静電容量が小さくなるに従い、図中矢印Ａに示
したように、入力信号Ｅ_inに対して出力信号Ｅ_out が忠
実に再現されるようになり、（ｂ）に示したような入力
信号Ｅ_inに対する出力信号Ｅ_out の鈍りがなくなる。

【００２５】このように、本発明の各実施例によれば、
陰極と第１格子電極間の静電容量が従来に比べて著しく
低減され、図４に示す様に映像信号出力の振幅低下や波
形歪が軽減され格段に優れた高感度，高解像、かつ高速
度走査駆動においても高画質の陰極線管を得ることがで
きる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子銃を構成する陰極構体と対向する第１格子電極の形
状を当該陰極側に突出する円筒形もしくは切頭円錐形と
して陰極の電子放出面に対向する格子電極の陰極に最も
近接する面の面積を当該陰極の第１格子電極対向面の面
積より小とし、あるいは陰極の電子放出面に対向する第
１格子電極の電子ビーム通過孔の電子銃軸線と直交する
半径方向の電気抵抗を、前記第１格子電極の電子ビーム
通過孔の前記電子銃軸線方向の電気抵抗より小さくした
ことにより、電極間静電容量を低減させた高性能電子銃
を構成でき、この電子銃を用いることで高解像の陰極線
管を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の陰極線管に用いられる電子銃を構成す
る陰極回りの第１実施例を説明する要部断面図である。

【図２】本発明の陰極線管に用いられる電子銃を構成す
る陰極回りの第２実施例を説明する要部断面図である。

【図３】本発明の各実施例の効果を説明する模式図であ
る。

【図４】本発明の各実施例の効果を説明する波形図であ
る。

【図５】インライン配列電子銃を用いたカラー陰極線管
の概略構造を説明する断面図である。

【図６】カラー陰極線管に使用されるインライン形電子
銃の概略構造を説明する側面図である。

【図７】カラー陰極線管に使用される他の形式のインラ
イン形電子銃の概略構造を説明する断面図である。

【図８】陰極線管に用いられる従来の電子銃の要部断面
模式図である。

【符号の説明】

１ 第１格子電極 １１ 第１格子電極の電子ビーム通過孔 ８ 陰極 ８１ スリーブ ８２ 電子放出面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】陰極と複数の格子電極からなる電子銃と、
   偏向装置および螢光面を少なくとも備える陰極線管にお
   いて、 前記陰極の電子放出面に対向する格子電極の前記陰極に
   最も近接する面の面積を前記陰極の前記格子電極対向面
   の面積より小としたことを特徴とする電子銃を用いた陰
   極線管。
2. 【請求項２】陰極と複数の格子電極からなる電子銃と、
   偏向装置および螢光面を少なくとも備える陰極線管にお
   いて、 前記陰極の電子放出面に対向する第１格子電極の電子ビ
   ーム通過孔の電子銃軸線と直交する半径方向の電気抵抗
   を、前記第１格子電極の電子ビーム通過孔の前記電子銃
   軸線方向の電気抵抗より小さくしたことを特徴とする電
   子銃を備えた陰極線管。