JPH0682458A - オートラジオグラム測定方法 - Google Patents

オートラジオグラム測定方法

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JPH0682458A
JPH0682458A JP26069192A JP26069192A JPH0682458A JP H0682458 A JPH0682458 A JP H0682458A JP 26069192 A JP26069192 A JP 26069192A JP 26069192 A JP26069192 A JP 26069192A JP H0682458 A JPH0682458 A JP H0682458A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 感光性銀塩フィルムを用いた二重標識法によ
るオートラジオグラフィーの問題点を解決し、単純な構
成の蓄積性蛍光体シートを用いて、画像の分離が充分
で、高精度の三種類以上の放射性同位元素により標識さ
れた放射性標識物質の放射線画像を独立して得ることが
できる方法を提供すること。 【構成】 生物体の組織試料または生物体由来の組織も
しくは物質を含む媒体試料に、平均エネルギーが互いに
相違する放射性同位元素により標識された二種以上の放
射性標識物質および該放射性同位元素の少なくとも一方
と半減期が相違する放射性同位元素で標識された放射性
標識物質の位置情報を得るためのオートラジオグラム測
定方法であって、保護層の厚さが異なるか、あるいは保
護層のない蓄積性蛍光体シートを用い、放射性同位元素
の保護膜に対する透過エネルギーの違い、そして半減期
の相違を共に利用して、それぞれの放射性標識物質の分
布に対応した画像もしくは画像に対応する画像信号を独
立に得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なオートラジオグ
ラム測定方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、生
物体の組織試料または生物体由来の組織もしくは物質を
含む媒体試料に、互いに相違する放射性同位元素で標識
された三種以上の放射性標識物質を導入し、それらの放
射性標識物質の試料中の位置情報を独立して検知するこ
とを可能とするオートラジオグラム測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放射性同位元素により標識された物質を
生物体に投与したのち、その生物体、あるいは、その生
物体の組織の一部を試料とし、この試料と高感度X線フ
ィルムなどの放射線フィルムとを一定時間重ね合わせる
ことによって、該フィルムを感光(あるいは、露光)さ
せ、その感光部位から該試料中における放射性標識物質
の位置情報(分布等)を得ることからなるオートラジオ
グラフィー(ラジオオートグラフィーとも呼ばれる)、
すなわちオートラジオグラム測定方法は、従来より知ら
れている。このオートラジオグラフィーは、たとえば、
生物体における投与物質の代謝、吸収、排泄の経路、状
態などを詳しく研究するために利用されている。
【0003】また近年では、オートラジオグラフィー
は、蛋白質、核酸などのような生物体由来の高分子物質
に放射性標識したのち、その放射性標識高分子物質、そ
の誘導体あるいはその断片物などをゲル電気泳動処理す
ることにより分離展開して得られた電気泳動媒体上の放
射性標識物質の位置情報を得るためにも有効に利用され
ている。そして、その位置情報に基づいて高分子物質の
分離、同定、あるいは高分子物質の分子量、特性の評価
などを行なう方法も開発され、実際に利用されている。
【0004】さらに、例えば生物体における代謝経路な
どを解明するために、二種類の放射性同位元素を用いた
二重標識法(ダブル・トレーサー法)によるオートラジ
オグラフィーも提案されている。すなわち、相異なる二
種以上の放射性同位元素で標識された放射性標識物質を
それぞれ生物体に投与し、放射性標識物質ごとの(すな
わち、各放射性同位元素ごとの)オートラジオグラムを
得ることにより、生体内における代謝、化学反応などを
明らかにすることが試みられている。
【0005】このような二重標識法を利用するオートラ
ジオグラフィー用の放射線フィルムとして、たとえば特
公昭47−45540号公報には、二層のハロゲン化銀
からなる乳剤層中にそれぞれ色相の異なるカプラーを含
有させ、かつ乳剤層の層厚を調整することにより、トリ
チウム( 3H)およびその他の放射性同位元素の分布像
を分別記録するためのカラー・オートラジオグラフィー
用ハロゲン化銀写真感光材料が開示されている。
【0006】しかし、従来の放射線写真法によるオート
ラジオグラフィーにおいては、異なる放射性同位元素に
よって多重に標識された試料のオートラジオグラフ像
(オートラジオグラム)を同位元素別に得ることは非常
に困難である。たとえ上記のような放射線フィルムを用
いたとしても、オートラジオグラムはそれぞれ発色の異
なる色素像として一枚の放射線フィルム上に可視化され
て記録されるために、研究者はその色相の違いによって
のみ個々のオートラジオグラムを判別し、解析しなけれ
ばならない。そして、異なるオートラジオグラムが一枚
の放射線フィルム上に記録されているために、試料中の
放射性標識物質の位置情報を高精度に得ることができな
いという問題があった。
【0007】このため、最近では、放射性同位元素の半
減期の違いを利用するダブルオートラジオグラフィー
(二核種標識オートラジオグラフィー)も利用されてい
る。この方法は、半減期が互いに大きく相違する二核種
(例、 123I:半減期約13時間、14C:半減期約57
30年)を用い、それぞれ該二核種で標識された二種類
の放射性標識物質を生体に投与し、一定時間経過後のそ
れぞれの放射性標識物質の生体内における分布を調べる
ために、該生体から取り出した試料をすぐにX線フィル
ムと重ね合せてオートラジオグラフィーにかけ、該二核
種で標識された二種類の放射性標識物質の画像をX線フ
ィルム上に得たのち、長時間放置し、その後(すなわ
ち、半減期の短い核種の放射性が殆ど消滅した後)、再
度同様なオートラジオグラフィーを実施して、今度は、
半減期の長い核種で標識された放射性標識物質の画像の
みをX線フィルム上に得て、次いで先のオートラジオグ
ラフィーで得られた放射性標識物質の画像から、放置後
のオートラジオグラフィーで得られた放射性標識物質の
画像(半減期の長い核種で標識された放射性標識物質の
試料中の分布を示す画像)を除くサブトラクション処理
を行なうことにより、半減期の短い核種で標識された放
射性標識物質の試料中の分布を示す画像を得る方法であ
る。この方法では、精度の高いそれぞれの画像が得られ
るが、短い核種の放射性をほぼ消滅させるためには、長
時間(例えば、上記の 123Iと14Cとの組合せを利用し
た場合には、2ケ月間程度)の放置が必要となり、研究
が遅延するとの問題がある。また、銀塩フィルム上に生
成する画像(黒化画像)の画像濃度と放射線量との関係
には直線性がないため、上記のサブトラクションを実施
するためには、複雑な関数式を用いる必要があるため、
煩雑になりやすい。
【0008】さらに、X線フィルム(感光性銀塩フィル
ム)を用いるオートラジオグラフィーを実際に利用する
場合にはいくつかの問題がある。すなわち、放射性標識
物質を含む試料のオートラジオグラムを得るために、試
料と高感度X線フィルムなどの放射線フィルムとを一定
時間重ね合わせて、フィルムを感光(露光)させること
が行なわれているが、この露光操作が長時間(数十時間
〜数日間)を必要とする。これは、オートラジオグフィ
ーの測定対象となる試料には一般に高い放射性が付与さ
れていないことによる。そして、この露光操作は通常、
低温(たとえば、0℃〜ー80℃)で行なわなければな
らない。その理由は、室温などの比較的高い温度では放
射線または蛍光による感光によって形成されたフィルム
上の銀塩中の潜像が退行して現像できない像となりやす
く、また、上記の試料から銀塩に対して有害な成分が移
動するなどして化学カブリを形成しやすいからである。
オートラジオグラフィーによって得られる画像にこのよ
うなカブリが発生した場合には、放射性標識物質の位置
情報の精度は著しく低下したものとなる。また、化学カ
ブリなどによる画質の低下を防ぐために、放射性標識物
質を含む試料を乾燥した状態で放射線フィルムと重ね合
わせて露光させなければならない。このため、通常は試
料の乾燥もしくは合成樹脂フィルム等による試料の包装
が行なわれている。
【0009】なお、放射線フィルムの感光成分の銀塩は
化学的刺激のみでなく、フィルムの移動、設置などの作
業に伴う物理的な刺激にも影響されやすい欠点があり、
これもオートラジオグラフィーの操作を困難にし、かつ
その精度を低下させる原因となる。すなわち、試料との
接触などに起因する物理的圧力などによって放射線フィ
ルムは物理的カブリ現象を起す傾向がある。そして、そ
のような放射線フィルムの物理的カブリの発生を回避す
るためには、その取扱い作業において高度の熟練と注意
とを必要とし、オートラジオグラフィーの操作をさらに
複雑にする結果となる。
【0010】さらに、従来のオートラジオグラフィーで
は上記のように長時間の露光操作が行なわれるため、放
射性標識物質以外の試料に含まれる自然放射能もまた放
射線フィルムの露光に関与し、得られる放射性標識物質
の位置情報の精度を低下させるという問題がある。その
ような自然放射能による妨害を除くために、例えば、対
照試料を用いた並行実験の実施、露光時間の適正化など
が図られているが、並行実験の実施による実験回数の増
大、好適な露光時間の決定を行なうための予備実験の必
要性などにより、その操作全体が煩雑になるとの欠点が
ある。
【0011】上記のような感光性銀塩フィルム感光材料
を用いる従来のオートラジオグラフィーに附随するな問
題点を解決するために、感光材料として、輝尽性蛍光体
を含有する蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シート(放射
線像変換パネル)を用いるとの発明が既に提案されてい
る(特開昭59−83057号公報)。また、特に二重
標識法によるオートラジオグラフィーに附随する上記の
ような問題点を解決するために、輝尽性蛍光体を含有す
る蛍光体層を複数層有する蓄積性蛍光体シートもしくは
蓄積性蛍光体シート積層体を用いるとの発明も既に提案
されている(特開昭62−93679号公報)。
【0012】後者の発明は、従来の感光性銀塩フィルム
を用いた二重標識法によるオートラジオグラフィーに附
随する前記の問題点を解決するために有効なものである
が、用いる複数の核種に応じた複数の層厚の異なる輝尽
性蛍光体層(積層体もしくは複数の輝尽性蛍光体シー
ト)を用意する必要がある点、一回の読み取り操作で複
数の核種の放射線画像が得られるとの利点がある一方、
それらの放射線画像の分離条件を決定するのが簡単では
ないとの問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の感光性銀塩フィルムを用いた二重標識法によるオート
ラジオグラフィーに附随する前記の問題点を解決し、か
つ、特に複数の輝尽性蛍光体層(積層体もしくは複数の
輝尽性蛍光体シート)を用意する必要がなく、また簡単
な読み取り操作を繰り返し、その後は簡単な信号処理操
作を行なうことにより、充分に分離された(すなわち、
他の放射線画像の影響を無視できる)高精度の三種類以
上の放射性標識物質の放射線画像をそれぞれ独立して得
ることができるオートラジオグラム測定方法を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】生物体の組織試料または
生物体由来の組織もしくは物質を含む媒体試料に平均エ
ネルギーが互いに相違する放射性同位元素により標識さ
れた二種以上の放射性標識物質および該放射性同位元素
の少なくとも一方と半減期が相違する放射性同位元素に
より標識された放射性標識物質を導入し、それらの放射
性標識物質の位置情報を得るためのオートラジオグラム
測定方法であって、 1)該試料を、表面に保護膜を有する輝尽性蛍光体層を
含む蓄積性蛍光体シート上に該保護膜を介して一定時間
重ね合わせることにより、平均エネルギーが相対的に高
い放射性標識物質から放出される放射線エネルギーを輝
尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録させ、次いで該蓄積
性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電磁波により励起し
て、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録されている放射線エネ
ルギーを輝尽光として放出させ、そしてこの輝尽光を検
出することにより、平均エネルギーが相対的に高い放射
性標識物質の位置情報を示す画像信号を得る工程; 2)該試料を、表面に保護膜を持たないか、または上記
1)の工程で用いた保護膜よりも薄い保護膜を有する輝
尽性蛍光体層を含む蓄積性蛍光体シートの該輝尽性蛍光
体層の上に直接、あるいは該保護膜を介して一定時間重
ね合わせることにより、平均エネルギーが相対的に高い
放射性標識物質および平均エネルギーが相対的に低い放
射性標識物質の双方から放出される放射線エネルギーを
輝尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録させ、次いで該蓄
積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電磁波により励起
して、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録されている放射線エ
ネルギーを輝尽光として放出させ、そしてこの輝尽光を
検出することにより、平均エネルギーが相対的に高い放
射性標識物質および平均エネルギーが相対的に低い放射
性標識物質の双方の位置情報を示す画像信号を得る工
程; 3)該試料を、試料中に含まれる放射性同位元素の内の
最も半減期の短い放射性同位元素の半減期を基礎にして
決められる期間放置したのち、表面に保護膜を有する輝
尽性蛍光体層を含む蓄積性蛍光体シート上に該保護膜を
介して一定時間重ね合わせることにより、平均エネルギ
ーが相対的に高い放射性標識物質から放出される放射線
エネルギーを輝尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録さ
せ、次いで該蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電
磁波により励起して、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録され
ている放射線エネルギーを輝尽光として放出させ、そし
てこの輝尽光を検出することにより、平均エネルギーが
相対的に高い放射性標識物質の位置情報を示す画像信号
を得る工程;および、 4)該試料を、試料中に含まれる放射性同位元素の内の
最も半減期の短い放射性同位元素の半減期を基礎にして
決められる期間放置した後、表面に保護膜を持たない
か、または上記3)の工程で用いた保護膜よりも薄い保
護膜を有する輝尽性蛍光体層を含む蓄積性蛍光体シート
の該輝尽性蛍光体層の上に直接、あるいは該保護膜を介
して一定時間重ね合わせることにより、平均エネルギー
が相対的に高い放射性標識物質および平均エネルギーが
相対的に低い放射性標識物質の双方から放出される放射
線エネルギーを輝尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録さ
せ、次いで該蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電
磁波により励起して、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録され
ている放射線エネルギーを輝尽光として放出させ、そし
てこの輝尽光を検出することにより、平均エネルギーが
相対的に高い放射性標識物質および平均エネルギーが相
対的に低い放射性標識物質の双方の位置情報を示す画像
信号を得る工程;からなる群より選ばれる少なくとも三
つの工程に付して、少なくとも三種の画像信号を得る操
作、そして上記の操作で得られた画像信号にサブトラク
ション処理を施すことにより、該試料中の三種以上の放
射性標識物質それぞれについての位置情報を得る操作、
を含むことを特徴とするオートラジオグラム測定方法。
【0015】本発明において試料中の放射性標識物質の
「位置情報」とは、試料中の放射性標識物質またはその
集合体の位置を中心とする各種の情報、たとえば、試料
中に存在する放射性物質の集合体の存在位置と形状、そ
の位置における放射性物質の濃度、分布などからなる情
報の一つもしくは任意の組合わせとして得られる各種の
情報を意味する。また、本発明において「二種以上の放
射性標識物質」とは、放射性標識を異にする同一物質を
も包含する。
【0016】本発明で用いる蓄積性蛍光体シートは放射
線像変換パネルとも呼ばれるものであり、その例は、特
開昭55−12145号公報などに記載されており、そ
の一般的な構成としては既に公知である。即ち、蓄積性
蛍光体シートは輝尽性蛍光体からなるものであり、被写
体を透過した放射線エネルギー、あるいは被検体から発
せられた放射線エネルギーを該シートの輝尽性蛍光体に
吸収させ、そののちに該シートを可視乃至赤外領域の電
磁波(励起光)を用いて励起することにより、該シート
の輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを
蛍光として放出させることができるものである。従っ
て、被写体あるいは被検体の放射線像は、この蛍光を光
電的に読み取って電気信号に変換し、得られた電気信号
を写真フィルムなどの記録材料、CRTなどの表示装置
上に可視画像として再生するか、あるいは数値化もしく
は記号化した位置情報などとして表わすことができる。
【0017】蓄積性蛍光体シートは、基本構造として、
支持体と、その片面に設けられた蛍光体層とからなるも
のである。ただし、蛍光体層自体が自己支持性である場
合には、必ずしも支持体を設ける必要はない。また、蛍
光体層の表面(蛍光体層の片面に支持体が設けられてい
る場合には、支持体に面していない側の表面)には一般
に、透明な保護膜が設けられ、蛍光体層を化学的な変質
あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0018】蛍光体層は、基本的には粒子状の輝尽性蛍
光体を分散状態で含有支持する結合剤からなる層であ
る。
【0019】輝尽性蛍光体は、先に述べたように放射線
を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光
体であるが、実用的な面からは波長が400〜900n
mの範囲にある励起光によって300〜500nmの波
長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であることが望ましい。
本発明において利用される蓄積性蛍光体シートに用いら
れる輝尽性蛍光体の例としては、次のものを挙げること
ができる。
【0020】米国特許第3,859,527号明細書記
載のSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、ThO
2 :Er、およびLa22 S:Eu,Sm、特開昭5
5−12142号公報記載のZnS:Cu,Pb、Ba
O・xAl23 :Eu(ただし、0.8≦x≦1
0)、及びMIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはM
g、Ca、Sr、Zn、CdまたはBaであり、AはC
e、Tb、Eu、Tm、Pb、Tl、Bi、またはMn
であり、xは、0.5≦x≦2.5である)、
【0021】特開昭55−12143号公報に記載の
(Ba1-x-y,Mgx ,Cay )FX:aEu2+(ただ
し、XはClおよびBrのうちの少なくとも一つであ
り、xおよびyは、0<x+y≦0.6かつxy≠0で
あり、aは10-6≦a≦5×10-2である)、
【0022】特開昭55−12144号公報記載のLn
OX:xA(ただし、LnはLa、Y、Gd、およびL
uのうちの少なくとも一つ、XはClおよびBrのうち
の少なくとも一つ、AはCeおよびTbのうちの少なく
とも一つ、そして、xは、0<x<0.1である)、
【0023】特開昭55−12145号公報に記載の
(Ba1-x ,M2+ x )FX:yA(ただし、M2+はM
g、Ca、Sr、Zn、およびCdのうちの少なくとも
一つ、XはCl、BrおよびIのうちの少なくとも一
つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、
Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そし
てxは、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2であ
る)、
【0024】特開昭55−160078号公報に記載の
IIFX・xA:yLn[ただし、MIIはBa、Ca、
Sr、Mg、Zn、およびCdのうちの少なくとも一
種、AはBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、Z
nO、Al23 、Y23 、La23 、In2
3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、GeO2 、SnO
2、Nb25 、Ta25 、およびThO2 のうちの
少なくとも一種、Lnは、Eu、Tb、Ce、Tm、D
y、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Sm、およびGd
のうちの少なくとも一種、XはCl、Br、およびIの
うちの少なくとも一種であり、xおよびyはそれぞれ5
×10-5≦x≦0.5および0<y≦0.2である]の
組成式で表わされる蛍光体、
【0025】特開昭56−116777号公報に記載の
(Ba1-x ,MII x )F2 ・aBaX2 :yEu,zA
[ただし、MIIはベリリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、亜鉛、およびカドミウムのうちの
少なくとも一種、Xは塩素、臭素、および沃素のうちの
少なくとも一種、Aはジルコニウムおよびスカンジウム
のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびz
はそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6
≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である]の組
成式で表わされる蛍光体、
【0026】特開昭57−23673号公報記載の(B
1-x ,MII x )F2 ・aBaX2:yEu,zB[た
だし、MIIはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、
ストロンチウム、亜鉛およびカドミウムのうちの少なく
とも一種、Xは塩素、臭素、および沃素のうちの少なく
とも一種であり、a、x、y、およびzは、それぞれ
0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×
10-1、および0<z≦2×10-1である]の組成式で
表わされる蛍光体、
【0027】特開昭57−23675号公報記載の(B
1-x ,MII x )F2 ・aBaX2:yEu,zA[た
だし、MIIはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、
ストロンチウム、亜鉛およびカドミウムのうちの少なく
とも一種、Xは塩素、臭素、および沃素のうちの少なく
とも一種、Aはヒ素およびケイ素のうちの少なくとも一
種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a
≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、お
よび0<z≦5×10-1である]の組成式で表わされる
蛍光体、
【0028】特開昭58−69281号公報に記載のM
III OX:xCe[ただし、MIIIはPr、Nd、P
m、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種
の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのいずれ
か一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1で
ある]の組成式で表わされる蛍光体、
【0029】特開昭58−206678号公報記載のB
1-xx/2x/2 FX:yEu2+[ただし、MはL
i、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる
少なくとも一種のアルカリ金属を表わし;Lは、Sc、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、G
a、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくと
も一種の三価金属を表わし;Xは、Cl、Br、および
Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを
表わし;そして、xは10-2≦x≦0.5、yは0<y
≦0.1である]の組成式で表わされる蛍光体、
【0030】特開昭59−27980号公報に記載のB
aFX・xA:yEu2+[ただし、Xは、Cl、Br、
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンであり;Aはテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物
であり;そして、xは10-6≦x≦0.1、yは0<y
≦0.1である]の組成式で表わされる蛍光体、
【0031】特開昭59−47289号公報に記載のB
aFX・xA:yEu2+[ただし、Xは、Cl、Br、
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンであり;Aは、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフル
オロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一
価もしくは二価金属の塩からなるヘキサフルオロ化合物
群より選ばれる少なくとも一種の化合物の焼成物であ
り;そして、xは10-6≦x≦0.1、yは0<y≦
0.1である]の組成式で表わされる蛍光体、
【0032】特開昭59−56479号公報に記載のB
aFX・xNaX':aEu2+[ただし、XおよびX’
は、それぞれCl、Br、およびIのうちの少なくとも
一種であり、xおよびaはそれぞれ0<x≦2、および
0<a≦0.2である]の組成式で表わされる蛍光体、
【0033】特開昭59−56480号公報に記載のM
IIFX・xNaX':yEu2+:zA[ただし、MIIは、
Ba、Sr、およびCaからなる群より選ばれる少なく
とも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX’は、
それぞれCl、Br、およびIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、V、Cr、M
n、Fe、Co、およびNiより選ばれる少なくとも一
種の遷移金属であり;そして、xは0<x≦2、yは0
<y≦0.2、およびzは0<z≦10-2である]の組
成式で表わされる蛍光体、
【0034】特開昭59−75200号公報記載のMII
FX・aMI X’・bM’IIX”2・cMIII X"'3
xA:yEu2+[ただし、MIIはBa、Sr、およびC
aからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土
類金属であり;MI はLi、Na、K、Rb、およびC
sからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金
属であり;M’IIはBeおよびMgからなる群より選ば
れる少なくとも一種の二価金属であり;MIII はAl、
Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なく
とも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;X
はCl、Br、およびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンであり;X’、X”およびX"'は、
F、Cl、Br、およびIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンであり;そして、aは0≦a≦
2、bは0≦b≦10-2、cは0≦c≦10-2、かつa
+b+c≧10-6であり;xは0<x≦0.5、yは0
<y≦0.2である]の組成式で表わされる蛍光体、
【0035】特開昭60−84381号公報記載のMII
2 ・aMIIX’2 :xEu2+[ただし、MIIはBa、
SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種
のアルカリ土類金属であり;XおよびX’はCl、Br
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンで、かつX≠X’であり;そしてaは0.1≦a≦
10.0、xは0<x≦0.2である]の組成式で表わ
される輝尽性蛍光体、
【0036】特開昭60−101173号公報記載のM
IIFX・aMI X’:xEu2+[ただし、MIIはBa、
SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種
のアルカリ土類金属であり;MI はRbおよびCsから
なる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であ
り;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンであり;X’はF、Cl、Br
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンであり;そして、aおよびxは、それぞれ0≦a≦
4.0および0<x≦0.2である]の組成式で表わさ
れる輝尽性蛍光体、
【0037】特開昭62−25189号公報に記載のM
I X:xBi[ただし、MI はRbおよびCsからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;
XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2
の範囲の数値である]の組成式で表わされる輝尽性蛍光
体、および
【0038】特開平2−229882号公報に記載のL
nOX:xCe(但し、LnはLa、Y、Gd、および
Luのうちの少なくとも一つ、XはCl、BrおよびI
のうちの少なくとも一つ、xは0<x≦0.2であり、
LnとXとの比率が原子比で0.500<X/Ln≦
0.998であり、かつ輝尽性励起スペクトルの極大波
長λが550nm<λ<700nm)で表わされるセリ
ウム賦活希土類オキシハロゲン化物蛍光体。
【0039】なお、前記特開昭60−84381号公報
に記載のMII2 ・aMIIX’2 :xEu2+輝尽性蛍光
体には、以下に示すような添加物がMII2 ・aM
IIX’21モル当り以下の割合で含まれていてもよい。
特開昭60−166379号公報に記載のbMI X”
(ただし、MI はRbおよびCsからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ金属であり、X”はF、C
l、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一
種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10.0であ
る);特開昭60−221483号公報に記載のbK
X”・cMgX"'2 ・dMIII X""3 (ただし、MIII
はSc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の三価金属であり、X”、X"'および
X""はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてb、
cおよびdはそれぞれ、0≦b≦2.0、0≦c≦2.
0、0≦d≦2.0であって、かつ2×10-5≦b+c
+dである);特開昭60−228592号公報に記載
のyB(ただし、yは2×10-4≦y≦2×10-1であ
る);特開昭60−228593号公報に記載のbA
(ただし、AはSiO2 およびP25 からなる群より
選ばれる少なくとも一種の酸化物であり、そしてbは1
-4≦b≦2×10-1である);特開昭61−1208
83号公報に記載のbSiO(ただし、bは0<b≦3
×10-2である);特開昭61−120885号公報に
記載のbSnX”2 (ただし、X”はF、Cl、Brお
よびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲ
ンであり、そしてbは0<b≦10-3である);特開昭
61−235486号公報に記載のbCsX”・cSn
X"'2 (ただし、X”およびX"'はそれぞれF、Cl、
BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の
ハロゲンであり、そしてbおよびcは、それぞれ、0<
b≦10.0および10-6≦c≦2×10-2である);
および特開昭61−235487号公報に記載されてい
るbCsX”・yLn3+(ただし、X”はF、Cl、B
rおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり、LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、S
m、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび
Luからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元
素であり、そしてbおよびyはそれぞれ、0<b≦1
0.0および10-6≦y≦1.8×10-1である)。
【0040】上記の輝尽性蛍光体のうちで、二価ユーロ
ピウム賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体およ
びセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物蛍光体は高輝
度の輝尽発光を示すので特に好ましい。ただし、本発明
に用いられる輝尽性蛍光体は上述の蛍光体に限られるも
のではなく、放射線を照射したのちに励起光を照射した
場合に輝尽発光を示す蛍光体であればいかなるものであ
ってもよい。
【0041】本発明の蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光
体層は、輝尽性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する
結合剤とからなるのものばかりでなく、結合剤を含まな
いで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、あ
るいは輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸
されている蛍光体層などでもよい。
【0042】次に、蛍光体層が輝尽性蛍光体とこれを分
散状態で含有支持する結合剤とからなる場合を例にと
り、本発明の蓄積性蛍光体シートを製造する方法を説明
する。
【0043】蛍光体層は、次のような公知の方法により
支持体上に形成することができる。まず、輝尽性蛍光体
と結合剤(例、ニトロセルロース、アクリル樹脂、熱可
塑性エラストマー)とを溶剤に加え、これを充分に混合
して、結合剤溶液中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗
布液を調製する。塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体
との混合比は、目的とする蓄積性蛍光体シートの特性、
蛍光体の種類などによって異なるが、一般には結合剤と
蛍光体との混合比は、1:1乃至1:100(重量比)
の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃至1:40(重
量比)の範囲から選ぶのが好ましい。
【0044】上記のようにして調製された蛍光体と結合
剤とを含有する塗布液を、次に、支持体の表面に均一に
塗布することにより塗膜を形成する。この塗布操作は、
通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロール
コーター、ナイフコーターなどを用いることにより行な
うことができる。
【0045】支持体としては、従来の蓄積性蛍光体シー
トの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができ
る。公知の蓄積性蛍光体シートにおいて、支持体と蛍光
体層の結合を強化するため、あるいは蓄積性蛍光体シー
トとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上
させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面に
ゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層とし
たり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からな
る光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性
物質からなる光吸収層などを設けることが知られてい
る。本発明において用いられる支持体についても、これ
らの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望
の蓄積性蛍光体シートの目的、用途などに応じて任意に
選択することができる。さらに特開昭58−20020
0号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭
度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支
持体の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層また
は光吸収層などが設けられている場合には、その表面を
意味する)には微小凹凸が形成されていてもよい。上記
のようにして支持体上に塗膜を形成したのち塗膜を乾燥
して、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。
蛍光体層の層厚は、目的とする蓄積性蛍光体シートの特
性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによ
って異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。ただ
し、この層厚は50乃至500μmとするのが好まし
い。
【0046】透明保護膜は、たとえば酢酸セルロース、
ニトロセルロースなどのセルロース誘導体;あるいはポ
リメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリ
ビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニ
ル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマーなどの合成高分
子物質のような透明な高分子物質を適当な溶媒に溶解し
て調製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法により
形成することができる。あるいは、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、
ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどからなるプラスチ
ックシート;および透明なガラス板などの保護膜形成用
シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を
用いて接着するなどの方法によっても形成することがで
きる。あるいは、有機溶媒可溶性のフッ素系樹脂の塗布
膜により形成してもよく、またパーフルオロオレフィン
樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末を保護膜中に分
散、含有させてもよい。
【0047】蓄積性蛍光体シートの透明保護膜の膜厚
は、試料中に含まれる放射性同位元素の種類、含有量お
よび放出される放射線の強度などに応じて好適に選ばれ
る。すなわち、相対的に高い放射線エネルギーを有する
放射性標識により標識された物質の試料中の分布を測定
するためには、厚い保護膜を有する蓄積性蛍光体シート
が用いられ、相対的に低い放射線エネルギーを有する放
射性標識により標識された物質の試料中の分布を測定す
るためには、薄い保護膜を有する蓄積性蛍光体シートあ
るいは保護膜を持たない蓄積性蛍光体シートが用いられ
る。
【0048】試料に放射性標識を付与するために用いら
れる放射性同位元素の例としては、3H(平均エネルギ
ー:0.0055MeV、半減期:12.3年)、 123
I(γ線、平均エネルギー:0.159MeV、半減
期:13時間)、 131I(平均エネルギー:0.004
MeV、半減期:8日)、14C(平均エネルギー:0.
049MeV、半減期:5730年)、35S(平均エネ
ルギー:0.048MeV、半減期:87日)、32
(平均エネルギー:0.0695MeV、半減期:1
4.28日)、及び18F(平均エネルギー:0.64M
eV、半減期:110分)を挙げることができる。
【0049】例えば試料に放射性標識として 3H、14
そして 123Iを導入した場合には、試料作成後の直後で
は、相対的に平均エネルギーの低い放射線を放出する放
射性元素( 3H)からの放射線が保護膜を介在させず
に、試料を輝尽性蛍光体層に直接重ね合せることにより
輝尽性蛍光体層に吸収される。ただし、この場合には、
相対的に平均エネルギーの高い放射線を放出する放射性
元素(14C及び 123I)からの放射線も同時に輝尽性蛍
光体層に吸収される。すなわち、この操作では輝尽性蛍
光体層に、 3H標識物質像、14C標識物質像そして 123
I標識物質像の三つの放射線画像が一緒に蓄積性蛍光体
シートに蓄積記録される。一方、適当な厚さの保護膜
(例えば5〜50μm)を介在させて、試料を輝尽性蛍
光体層に直接重ね合せた場合には、 3Hからの放射線は
保護膜を透過することができないが、14C及び 123Iか
らの放射線は透過力が高く、保護膜を透過して輝尽性蛍
光体層に吸収される。従って、この場合には、14C標識
物質像と 123I標識物質像とが蓄積性蛍光体シートに蓄
積記録される。
【0050】次に、上記の試料を約2ケ月放置し、半減
期の短い放射性同位元素( 123I)がほぼ消滅するのを
待ったのち、上記と同様な操作を行なう。この時点で
は、同じく相対的に平均エネルギーの低い放射線を放出
する放射性元素( 3H)からの放射線が保護膜を介在さ
せずに、試料を輝尽性蛍光体層に直接重ね合せることに
より輝尽性蛍光体層に吸収される。ただし、この時点で
は、相対的に平均エネルギーの高い放射線を放出する放
射性元素が14Cのみとなるため、その14Cからの放射線
のみがも同時に輝尽性蛍光体層に吸収される。すなわ
ち、この操作では輝尽性蛍光体層に、 3H標識物質像と
14C標識物質像の二つの放射線画像が一緒に蓄積性蛍光
体シートに蓄積記録される。一方、適当な厚さの保護膜
(例、5〜50μm)を介在させて、試料を輝尽性蛍光
体層に直接重ね合せた場合には、 3Hからの放射線は保
護膜を透過することができないが、14Cからの放射線が
保護膜を透過して輝尽性蛍光体層に吸収される。従っ
て、この場合には、14C標識物質像とが蓄積性蛍光体シ
ートに蓄積記録される。
【0051】上記の各工程において得られる放射線画像
をまとめると、下記のようになる。 試料作成直後 二ケ月放置後 保護膜あり 保護膜なし 保護膜あり 保護膜なし 3H画像 無 有 無 有 14C画像 有 有 有 有 123I画像 有 有 無 無
【0052】そこで、二ケ月放置後・保護膜ありの操作
で得られた画像から二ケ月放置後・保護膜なしの操作で
得られた画像をサブトラクションする(あるいは、試料
作成直後・保護膜ありの操作で得られた画像から試料作
成直後・保護膜なしの操作で得られた画像をサブトラク
ションする)と、 3H標識物質像が分離され、独立した
放射線画像として得られる。一方、二ケ月放置後・保護
膜ありの操作で得られた画像は14C標識物質像が独立し
た放射線画像である。また、試料作成直後・保護膜なし
の操作で得られた画像から二ケ月放置後・保護膜なしの
操作で得られた画像をサブトラクションする(あるい
は、試料作成直後・保護膜ありの操作で得られた画像か
ら二ケ月放置後・保護膜ありの操作で得られた画像をサ
ブトラクションする)と、 123I標識物質像が分離さ
れ、独立した放射線画像として得られる。従って、 3
標識物質像、14C標識物質像、そして 123I標識物質像
のそれぞれを放射線画像として得ることができる。
【0053】なお、上記の操作では、合計四回のオート
ラジオグラフィー露光操作を行なったが、この内の一回
(例えば、試料作成直後・保護膜ありの露光操作、試料
作成直後・保護膜なしの露光操作、あるいは二ケ月放置
後・保護膜なしの露光操作)を省略しても、所望の 3
標識物質像、14C標識物質像、そして 123I標識物質像
のそれぞれを放射線画像として得ることができることが
明らかである。また、二ケ月放置後・保護膜ありの露光
操作を省略することもできる。すなわち、この場合に
は、14C標識物質像が独立した放射線画像は、先に 3
標識物質像および123I標識物質像のそれぞれの独立放
射線画像を上記の方法によって得たのち、それらの双方
を、試料作成直後・保護膜なしの操作で得られた画像か
らサブトラクションすることにより14C標識物質像が独
立した放射線画像が得られる。
【0054】すなわち、上記のように組合せる放射性同
位元素の種類、そして保護膜の厚さ(及び/又は保護膜
の有無)を調整し、用いた放射性同位元素の半減期の相
違を考慮して測定時期をずらすことにより、三以上の任
意の放射性標識物質の分布を示す放射線画像を独立に得
ることができる。なお、当然のことながら、露光操作と
放射性画像の読み取り操作とは、連続して実施してもよ
く、あるいは全ての露光操作が完了したのち、一括して
読み取り操作にかけてもよく、これらの操作の順序およ
び時期に特に限定はない。
【0055】次に、本発明のオートラジオグラム測定方
法(オートラジオグラフィー)について説明する。本発
明のオートラジオグラム測定方法は、上記の蓄積性蛍光
体シートを、従来の放射線フィルムからなる感光材料の
代りに使用するものであり、その露光操作は、放射性標
識物質を含む試料と蓄積性蛍光体シートとを一定時間重
ね合わせることにより、試料の放射性標識物質から放出
される放射線の少なくとも一部を該シートに吸収させて
実施する。
【0056】本発明のオートラジオグラフィーの記録対
象となる試料は、生物体の組織、および、生物体の組織
および/または生物体由来の物質を含む媒体からなる群
より選ばれる試料である。生物体の組織および/または
生物体由来の物質を含む媒体としては、たとえば、蛋白
質、核酸、それらの誘導体、それらの分解物などの生体
高分子物質が分離展開された支持媒体を挙げることがで
きる。
【0057】上記試料に含まれる放射性標識物質は記録
対象の試料に、あるいは試料中の特定物質に公知の方法
で放射性同位元素を保持させることによって得られる。
本発明に用いられる放射性同位元素は、放射線(α線、
β線、γ線、中性子線、X線など)を放射するものであ
ればどのような核種であってもよいが、代表的なものと
しては前述の 3H、 123I、 131I、14C、35S、32
そして18Fを挙げることができる。本発明の記録対象と
なる試料は、少なくとも放射線エネルギーが異なる二種
類の放射性同位元素で放射性標識された放射性標識物質
と、それらの放射性同位元素の少なくとも一方と半減期
がかなり相違する放射性同位元素(通常は、半減期がか
なり短いものが利用される)で標識された少なくとも一
種の放射性標識物質の少なくとも合計三種類の放射性標
識物質が導入され、二次元的に分布したものである。
【0058】露光操作において上記の試料は、そのま
ま、あるいは乾燥処理、分離展開物の固定処理などの任
意の処理を行なった後に蓄積性蛍光体シートと重ね合わ
され、これにより試料のオートラジオグラフが蓄積性蛍
光体シートに蓄積記録される。試料と蓄積性蛍光体シー
トとを重ね合わせた状態は、通常は試料と蓄積性蛍光体
シートとを密着させることにより実現するが、必ずしも
それらを密着する必要はなく、それらが近接した状態で
配置されていてもよい。上記の重ね合わせ露光操作は通
常は二種類の蓄積性蛍光体シートを用いて行なわれる。
例えば、一方は保護膜が設置され、他方は保護膜を持た
ないとの点(保護膜の膜厚が互いに相違するとの点)以
外は同一の合計二枚の蓄積性蛍光体シートを用意し、そ
れぞれの蓄積性蛍光体シートについて重ね合わせ露光操
作を行なう方法が利用される。あるいは、二枚の蓄積性
蛍光体シートを用意する代りに保護膜を有する蓄積性蛍
光体シートを用いて一旦重ね合せ露光操作を行ない、次
いで後に述べる放射線画像の読み出し操作を実施し、そ
の後、蓄積性蛍光体シートに残留している放射線を消去
操作により除去したのち、今度は保護膜を除去して同様
の重ね合せ露光操作と読み出し操作を行なうこともでき
る。また、蓄積性蛍光体層と保護膜とからなり、支持体
を持たない蓄積性蛍光体シートを用いて、先ず、保護膜
のない側で一旦重ね合せ露光操作を行ない、次いで放射
線画像の読み出し操作を実施し、その後、蓄積性蛍光体
シートに残留している放射線を消去操作により除去した
後、今度は保護膜の有る側で同様の重ね合せ露光操作と
読み出し操作を行なうこともできる。また、支持体、蓄
積性蛍光体層および保護膜とからなる蓄積性蛍光体シー
トを用いて先ず、保護膜の側で一旦重ね合せ露光操作を
行ない、次いで放射線画像の読み出し操作を実施し、そ
の後、蓄積性蛍光体シートに残留している放射線を消去
操作により除去した後、今度は支持体側で同様の重ね合
せ露光操作と読み出し操作を行なうこともできる。な
お、用いる蓄積性蛍光体シートの各々は、後のサブトラ
クション操作を容易にするためには、保護膜以外の点で
は同一であることが望ましいが、同一でなくとも、サブ
トラクション操作に、蓄積性蛍光体層の材料、厚さ等の
相違に起因する変数を導入することにより、目的のサブ
トラクション操作を実施することは可能である。
【0059】露光時間は、試料に含まれる放射性同位元
素の種類、その放射線強度、放射性標識物質の濃度、密
度、蓄積性蛍光体シートの感度、試料と蓄積性蛍光体シ
ートとの位置関係などにより変動するが、露光操作は一
定時間、たとえば数秒程度以上は必要とする。ただし、
本発明の蓄積性蛍光体シートを用いた場合には、従来の
放射線フィルムを使用する場合に要する露光時間に比較
して、その露光時間は大幅に短縮される。
【0060】露光操作を実施する温度は特に制限はない
が、本発明の蓄積性蛍光体シートを用いるオートラジオ
グラフィーは、特に10〜35℃などの環境温度にて実
施することが可能である。ただし、従来のオートラジオ
グラフィーにおいて利用されている低温(たとえば、5
℃付近、あるいはそれ以下の温度)において露光操作を
行なってもよい。
【0061】上記のような露光操作は、前述のように、
試料を一定期間放置したのち、同様にして再度実施され
る。
【0062】以下に、本発明において蓄積性蛍光体シー
トに蓄積記録されたオートラジオグラムが示す放射性標
識物質の位置情報を読み出すための方法について、図1
に示した読出装置(あるいは読取装置)の例を参照しな
がら略述する。図1は、蓄積性蛍光体シート(支持体、
輝尽性蛍光体層、そして保護層からなるもの、以下にお
いては、シートと略記することもある)1に蓄積記録さ
れている放射性標識物質の一次元もしくは二次元的な位
置情報を仮に読み出すための先読み用読出部2と、放射
性標識物質の位置情報を出力するためにシート1に蓄積
記録されているオートラジオグラフを読み出す機能を有
する本読み用読出部3から構成される読出装置の例の概
略図を示している。
【0063】先読み用読出部2においては次のような先
読み操作が行なわれる。レーザー光源4から発生したレ
ーザー光5はフィルター6を通過することにより、この
レーザー光5による励起に応じて蓄積性蛍光体シート1
から発生する輝尽発光の波長領域に該当する波長領域の
部分がカットされる。次いでレーザー光は、ガルバノミ
ラー等の光偏向器7により偏向処理され、平面反射鏡8
により反射されたのちシート1上に一次元的に偏向して
入射する。ここで用いるレーザー光源4は、そのレーザ
ー光5の波長領域が、シート1から発する輝尽発光の主
要波長領域と重複しないように選択される。蓄積性蛍光
体シート1は、偏向レーザー光5の照射下において保護
膜側を上にして矢印9の方向に移送される。従って、シ
ート1の全面に亙って偏向レーザー光が照射されるよう
になる。なお、レーザー光源4の出力、レーザー光5の
ビーム径、レーザー光5の走査速度、シート1の移送速
度については、先読み操作のレーザー光5のエネルギー
が本読み操作に用いられるエネルギーよりも小さくなる
ように調整される。蓄積性蛍光体シート1は、上記のレ
ーザー光の照射を受けると、輝尽性蛍光体層中に蓄積さ
れている放射線エネルギーに比例する光量の輝尽発光を
示し、この光は先読み用光ガイド10に入射する。この
光ガイド10はその入射面が直線状で蓄積性蛍光体シー
ト1上の走査線に対向するように近接して配置されてお
り、その射出面は円環を形成し、フォトマルなどの光検
出器11の受光面に連絡している。この光ガイド10
は、たとえばアクリル系合成樹脂などの透明な熱可塑性
樹脂シートを加工してつくられたもので、入射面より入
射した光がその内部において全反射しながら射出面へ伝
達されるように構成されている。蓄積性蛍光体シート1
からの輝尽発光はこの光ガイド10内を導かれて射出面
に到達し、その射出面から射出されて光検出器11に受
光される。光検出器11の受光面には、輝尽発光の波長
領域の光のみを透過し励起光(レーザー光)の波長領域
の光をカットするフィルターが貼着され、輝尽発光のみ
を検出しうるようにされている。光検出器11により検
出された輝尽発光は電気信号に変換され、さらに増幅器
12により増幅され出力される。増幅器12から出力さ
れた蓄積記録情報は、本読み用読出部3の制御回路13
に入力される。制御回路13は、得られた蓄積記録情報
に応じて、濃度およびコントラストが最も均一でかつ観
察読影性能の優れた画像が得られるように、増幅率設定
値a、収録スケールファクターb、および、再生画像処
理条件設定値cを出力する。
【0064】以上のようにして先読み操作が終了した蓄
積性蛍光体シート1は、本読み用読出部3へ移送され
る。本読み用読出部3においては次のような本読み操作
が行なわれる。本読み用レーザー光源14から発せられ
たレーザー光15は、前述のフィルター6と同様な機能
を有するフィルター16を通過したのちビーム・エクス
パンダー17によりビーム径の大きさが厳密に調整され
る。次いでレーザー光は、ガルバノミラー等の光偏向器
18により偏向処理され、平面反射鏡19により反射さ
れたのち蓄積性蛍光体シート1上に一次元的に偏向して
入射する。なお、光偏向器18と平面反射鏡19との間
にはfθレンズ20が配置され、シート1の上を偏向レ
ーザー光が走査した場合に、常に均一なビーム速度を維
持するようにされている。蓄積性蛍光体シート1は、上
記の偏向レーザー光の照射下において、先読み操作の場
合と同様に保護膜側を上にして矢印21の方向に移送さ
れる。従って、先読み操作におけると同様にシート1の
全面にわたって偏向レーザー光が照射されるようにな
る。蓄積性蛍光体シート1は、上記のようにしてレーザ
ー光の照射を受けると、先読み操作におけると同様に、
蓄積されている放射線エネルギーに比例する光量の輝尽
発光を発し、この光は本読み用光ガイド22に入射す
る。この本読み用光ガイド22は先読み用光ガイド10
と同様の材質、構造を有しており、本読み用光ガイド2
2の内部を全反射を繰返しつつ導かれた輝尽発光はその
射出面から射出されて、光検出器23に受光される。な
お、光検出器23の受光面には輝尽発光の波長領域のみ
を選択的に透過するフィルターが貼着され、光検出器2
3が輝尽発光のみを検出するようにされている。光検出
器23により検出された輝尽発光は電気信号に変換さ
れ、前記の増幅率設定値aに従って感度設定された増幅
器24において適正レベルの電気信号に増幅されたの
ち、A/D変換器25に入力される。A/D変換器25
は、収録スケールファクター設定値bに従い信号変動幅
に適したスケールファクターでデジタル信号に変換さ
れ、信号処理回路26に入力される。
【0065】上記のような蓄積性蛍光体シートの読み出
し操作を読み出し対象の放射性標識物質の画像を有する
三種以上の蓄積性蛍光体シートについて実施したのち、
信号処理回路26では、まず、複数の蓄積性蛍光体シー
トから読出して得られた位置情報(画像信号)を一旦メ
モリー(すなわち、バッファーメモリーあるいは磁気デ
イスク等の不揮発性メモリー)に記憶させた後、そのデ
ジタル信号に対してサブトラクション処理を行なう。即
ち、前述のように、サブトラクションすべき放射線画像
の対応する位置間で引き算を行なうことによって、放射
性標識物質についての位置情報を各放射性元素ごとに分
離することができる。サブトラクション処理におけるサ
ブトラクションの倍率は、輝尽性蛍光体層の厚みと放射
線エネルギーとから計算することにより、あるいは標準
物質(リファレンス)を同時に露光させ、それを基準と
することにより決定することができる。画像信号にこの
決定された倍率をかけたのち信号間で引算をする。放射
線画像のサブトラクション処理方法についてはたとえ
ば、特開昭58−163340号公報に詳細に記載され
ている。次いで、得られた位置情報それぞれについて再
生画像処理条件設定値cに基づいて、濃度およびコント
ラストが適正で観察読影性能の優れた可視画像が得られ
るように信号処理が行なわれたのち、磁気テープなどの
保存手段を介して記録装置(図示なし)へ伝送される。
【0066】記録装置としては、たとえば、感光材料上
をレーザー光等で走査して光学的に記録するもの、CR
T等に電子的に表示するもの、CRT等に表示された放
射線画像をビデオ・プリンター等に記録するもの、熱線
を用いて感熱記録材料上に記録するものなど種々の原理
に基づいた記録装置を用いることができる。ただし、記
録装置は上記のように得られたオートラジオグラフを可
視画像化するものに限られるものではなく、前述したよ
うに試料中の放射性標識物質の一次元的もしくは二次元
的な位置情報を、たとえば数字化もしくは記号化するな
どして所望の形態で記録することもできる。
【0067】なお、蓄積性蛍光体シートに蓄積記録され
た試料中の放射性標識物質を読み出すための方法につい
て、上記においては先読み操作と本読み操作とからなる
読出し操作を説明したが、本発明において利用すること
ができる読出し操作は、上記の例に限られるものではな
い。たとえば、試料中の放射性物質の含有量、その放射
線強度および、その試料についての蓄積性蛍光体シート
の露光時間が予めわかっていれば、上記の例において先
読み操作を省略することもできる。また、本発明におけ
る蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された試料中の放射性
標識物質の位置情報を読み出すための方法としては、上
記に例示した以外の適当な方法を利用することも当然可
能である。
【0068】
【実施例】次に本発明のオートラジオグラム測定方法
を、ラットの心臓血流脳代謝同時測定に使用した実施例
を示す。 (1)測定試料の調製 動脈閉塞30分後の局所心筋虚血モデルラットおよび正
常ラットを用意し、それぞれのラットに、常法に従っ
て、 3H−2−デオキシグルコース(脳局所グルコース
消費量算出のための物質)を1mCiそして14C−β−
メチルペプタデカン酸(14C−BMHDA、脳局所遊離
脂肪酸消費量算出のための物質)を20μCi静脈注射
し、次いでその30分後に 123I−p−ヨードアンフェ
タミン(局所脳血流測定用剤)を2mCi静脈注射し、
屠殺した。次いで心臓を摘出して、凍結処理した。凍結
した脳から20μmの連続切片を作り、測定試料とし
た。
【0069】(2)蓄積性蛍光体シートの作成 常法により二酸化チタンを含むポリエチレンテレフタレ
ートシート支持体の上に、ポリウレタン樹脂をバインダ
ーとして用い二価ヨーロピウム賦活バリウムフルオロブ
ロマイド輝尽性蛍光体層を形成して蓄積性蛍光体シート
Aを作成した。同様にして二酸化チタンを含むポリエチ
レンテレフタレートシート支持体の上に、ポリウレタン
樹脂をバインダーとして用いて二価ヨーロピウム賦活バ
リウムフルオロブロマイド輝尽性蛍光体層を形成し、輝
尽性蛍光体層の上に透明なポリエチレンテレフタレート
シート(保護膜、厚さ:20μm)を貼り付け、蓄積性
蛍光体シートBを作成した。
【0070】(3)オートラジオグラフィー 試料作成直後に、測定試料(局所心筋虚血モデルラット
および正常ラットの心臓切片)のそれぞれと蓄積性蛍光
体シートAとを12時間重ね合せ露光操作を行なった。
次いで、同じ測定試料と蓄積性蛍光体シートBとをそれ
ぞれ12時間重ね合せ露光操作を行なった。測定試料
(局所心筋虚血モデルラットおよび正常ラットの心臓切
片)のそれぞれを上記操作後二ケ月放置したのち、同様
にして蓄積性蛍光体シートAとを12時間重ね合せ、露
光操作を行なった。次いで、同じ測定試料と蓄積性蛍光
体シートBとをそれぞれ12時間重ね合せ露光操作を行
なった。局所心筋虚血モデルラットおよび正常ラットの
試料でそれぞれ露光操作を行なった蓄積性蛍光体シート
A、B(合計8枚)について、図1に示した放射線像読
み出し装置を用いてオートラジオグラムの読み出し操作
を行ない、局所心筋虚血モデルラットおよび正常ラット
の各試料ごとに、試料作成直後および二ケ月放置後に蓄
積性蛍光体シートAとBのそれぞれから得られたオート
ラジオグラムに対応する位置情報信号のサブトラクショ
ン処理を行ない、局所心筋虚血モデルラットおよび正常
ラットの各試料についての、 3H−2−デオキシグルコ
ース、14C−β−メチルペプタデカン酸、そして 123
−p−ヨードアンフェタミン14の分布を調べた。その結
果、局所心筋虚血モデルラットでは、虚血中心域におい
て、血流も糖摂取も共に顕著に低下しているが、片縁部
や心内膜下では、血流低下にもかかわらず、糖摂取は正
常域と同等か、むしろ増加していることが確認された。
また虚血域内における遊離脂肪酸摂取は、糖摂取に比べ
て著しく低下していることも確認された。
【0071】
【発明の効果】本発明のオートラジオグラム測定方法
は、従来の感光性銀塩フィルムを用いた二重標識法によ
るオートラジオグラフィーに附随する前記の問題点を解
決し、かつ、特に複数の輝尽性蛍光体層(積層体もしく
は複数の輝尽性蛍光体シート)を用意する必要がなく、
また簡単な読み取り操作を繰り返し、その後は簡単な信
号処理操作を行なうことにより、充分に分離された(す
なわち、他の放射線画像の影響を無視できる)高精度の
三種類以上の放射性標識物質の放射線画像が得ることが
できるとの利点がある。
【0072】さらに、本発明の方法によれば、露光時間
の大幅な短縮化が実現されるのみでなく、露光が環境温
度あるいはその付近の温度という温度条件で行なわれて
も、得られる位置情報の精度は低下することがない。従
って、従来においては冷却下で長時間かけて実施されて
いた露光操作が著しく簡便なものとなり、オートラジオ
グラフィー操作が簡略化されるものである。
【0073】また、オートラジオグラム測定方法に用い
られる感光材料として上記の蓄積性蛍光体シートを利用
することにより、従来より放射線フィルムの使用におい
て大きな問題となっていた化学カブリおよび物理カブリ
が実質的に発生しなくなる点も、得られる位置情報の精
度の向上及び作業性において非常に有利に作用する。ま
た、試料中に含まれていた不純物の放射能または自然放
射能などに起因する精度の低下は、蓄積性蛍光体シート
に蓄積記録されている位置情報を電気的に処理すること
により容易に低減あるいは解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された試料中の
放射性標識物質の位置情報を読み出すための読み出し
(読み取り)装置の構成の例を示す。
【符号の説明】
1 蓄積性蛍光体シート 2 先読み用読出部 3 本読み用読出部 4 レーザー光源 5 レーザー光 6 フィルタ 7 光偏向器 8 平面反射鏡 9 移送方向 10 先読み用光ガイド 11 光検出器 12 増幅器 13 制御回路 14 レーザー光源 15 レーザー光 16 フィルター 17 ビーム・エクスパンダー 18 光偏向器 19 平面反射鏡 20 fθレンズ 21 移送方向 22 本読み用光ガイド 23 光検出器 24 増幅器 25 A/D変換器 26 信号処理回路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物体の組織試料または生物体由来の組
    織もしくは物質を含む媒体試料に平均エネルギーが互い
    に相違する放射性同位元素により標識された二種以上の
    放射性標識物質および該放射性同位元素の少なくとも一
    方と半減期が相違する放射性同位元素により標識された
    放射性標識物質を導入し、それらの放射性標識物質の位
    置情報を得るためのオートラジオグラム測定方法であっ
    て、 1)該試料を、表面に保護膜を有する輝尽性蛍光体層を
    含む蓄積性蛍光体シート上に該保護膜を介して一定時間
    重ね合わせることにより、平均エネルギーが相対的に高
    い放射性標識物質から放出される放射線エネルギーを輝
    尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録させ、次いで該蓄積
    性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電磁波により励起し
    て、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録されている放射線エネ
    ルギーを輝尽光として放出させ、そしてこの輝尽光を検
    出することにより、平均エネルギーが相対的に高い放射
    性標識物質の位置情報を示す画像信号を得る工程; 2)該試料を、表面に保護膜を持たないか、または上記
    1)の工程で用いた保護膜よりも薄い保護膜を有する輝
    尽性蛍光体層を含む蓄積性蛍光体シートの該輝尽性蛍光
    体層の上に直接、あるいは該保護膜を介して一定時間重
    ね合わせることにより、平均エネルギーが相対的に高い
    放射性標識物質および平均エネルギーが相対的に低い放
    射性標識物質の双方から放出される放射線エネルギーを
    輝尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録させ、次いで該蓄
    積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電磁波により励起
    して、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録されている放射線エ
    ネルギーを輝尽光として放出させ、そしてこの輝尽光を
    検出することにより、平均エネルギーが相対的に高い放
    射性標識物質および平均エネルギーが相対的に低い放射
    性標識物質の双方の位置情報を示す画像信号を得る工
    程; 3)該試料を、試料中に含まれる放射性同位元素の内の
    最も半減期の短い放射性同位元素の半減期を基礎にして
    決められる期間放置したのち、表面に保護膜を有する輝
    尽性蛍光体層を含む蓄積性蛍光体シート上に該保護膜を
    介して一定時間重ね合わせることにより、平均エネルギ
    ーが相対的に高い放射性標識物質から放出される放射線
    エネルギーを輝尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録さ
    せ、次いで該蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電
    磁波により励起して、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録され
    ている放射線エネルギーを輝尽光として放出させ、そし
    てこの輝尽光を検出することにより、平均エネルギーが
    相対的に高い放射性標識物質の位置情報を示す画像信号
    を得る工程;および、 4)該試料を、試料中に含まれる放射性同位元素の内の
    最も半減期の短い放射性同位元素の半減期を基礎にして
    決められる期間放置した後、表面に保護膜を持たない
    か、または上記3)の工程で用いた保護膜よりも薄い保
    護膜を有する輝尽性蛍光体層を含む蓄積性蛍光体シート
    の該輝尽性蛍光体層の上に直接、あるいは該保護膜を介
    して一定時間重ね合わせることにより、平均エネルギー
    が相対的に高い放射性標識物質および平均エネルギーが
    相対的に低い放射性標識物質の双方から放出される放射
    線エネルギーを輝尽性蛍光体層に吸収させて蓄積記録さ
    せ、次いで該蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を電
    磁波により励起して、該輝尽性蛍光体層に蓄積記録され
    ている放射線エネルギーを輝尽光として放出させ、そし
    てこの輝尽光を検出することにより、平均エネルギーが
    相対的に高い放射性標識物質および平均エネルギーが相
    対的に低い放射性標識物質の双方の位置情報を示す画像
    信号を得る工程;からなる群より選ばれる少なくとも三
    つの工程に付して、少なくとも三種の画像信号を得る操
    作、そして上記の操作で得られた画像信号にサブトラク
    ション処理を施すことにより、該試料中の三種以上の放
    射性標識物質それぞれについての位置情報を得る操作、 を含むことを特徴とするオートラジオグラム測定方法。
  2. 【請求項2】 放射性標識物質のそれぞれが 3H、 123
    I、 131I、14C、35S、18Fおよび32Pからなる群よ
    り選ばれ、互いに相異なる放射性同位元素によって放射
    性標識が付与されたものである請求項第1項記載のオー
    トラジオグラム測定方法。
  3. 【請求項3】 平均エネルギーが相対的に高い放射性標
    識および平均エネルギーが相対的に低い放射性標識がそ
    れぞれ14Cおよび 3Hであって、他の放射性標識が 123
    Iである請求項第1項記載のオートラジオグラム測定方
    法。
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