JPH0682037B2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は熱交換器、とくにカークーラー用コンデンサ
ーとして使用されるようなアルミニウム製熱交換器に関
する。

従来の技術 カークーラー用コンデンサーとして用いられるような熱
交換器は、冷媒に比較的高圧のガスが取扱われる関係
上、安全性の面から耐圧性に優れたものであることが要
求される。

このため従来では一般的にはサーペンタインチューブ型
の熱交換器が用いられている。即ち、ハーモニカチュー
ブと称されるような多孔押出扁平チューブを蛇行状に曲
げ、その平行部間にフィンを配置してコアを構成したも
のが一般に用いられている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記のような熱交換器では、冷媒回路が
一本のチューブ内をその一端から他端に向けて蛇行状に
形成されるものであるため、冷媒の流通抵抗が比較的大
きくなるという難点があった。この流通抵抗を小さくす
るためには、チューブの断面積を大きくすることが当然
考慮されるが、熱交換器のコアの大きさはその設置スペ
ースとの関係で制約されるため、かかる対応手段は適応
し難いものであった。加えて、上記サーペンタインチュ
ーブ型熱交換器では、前記のようにチューブの一端から
他端に向けて蛇行状に冷媒回路が構成されるものである
ため、細かく分析すると、冷媒の入口側近傍部分と出口
側近傍部分とで熱交換効率の差が大きく、またチューブ
の幅方向、即ち空気流の流入側に位置する前部と流出側
に位置する後部との間でも熱交換効率に差を生じるた
め、必ずしもコアの全域を最大限に有効活用して効率の
良い熱交換を行い得ているものとはいい得なかった。更
にまた、製作面においても、チューブの蛇行状の曲げ加
工がいささか厄介であるのに加えて、チューブとフィン
との組立も、フィンの挿入によってチューブの蛇行曲げ
状態が拡がり傾向を示すため、該組立を機械的な自動組
立によって行うことが困難であり、生産性が低く結果的
にコスト高につくというような憾みがあった。

この発明は上記のような従来技術に鑑み、コンデンサー
としての実用に適する耐圧性を保有しながら、流通抵抗
の減少、熱交換効率の向上をはかり得ると共に、組立製
作も自動化を可能とする熱交換器を提供することを目的
とする。

問題点を解決する為の手段 この発明は、１対のヘッダー間に多数のチューブを平行
状に配置したヘッダー型のものとし、かつチューブ群内
の冷媒通路を系外空気の流通方向に対して前部側の通路
と後部側の通路とに分けて、コアの厚さ方向に対し各チ
ューブ内を前後において対向方向に冷媒を流すようにす
ると共に、この単位反転冷媒回路を複数個接続して実質
上蛇行状の回路を形成せしめるものとし、更にはこの蛇
行状回路を形成するためにヘッダー内の冷媒通路を遮断
する通路遮断板に一体に取付用ブラケットを連設するも
のとして構成部材点数の減少化をはかるようにしたもの
である。

更に具体的には、この発明に係る熱交換器は、平行状に
配置された１対の中空押出型材製ヘッダーと、両ヘッダ
ー間に並列状に配置され両端をヘッダーに挿入してその
内部の冷媒通路に連通接続された多数本のチューブと、
隣接するチューブ間及び両端のチューブとサイドプレー
トとの間の空気流通間隙に配置されたフィンとを備え、
前記両ヘッダーのうち冷媒出入口側の一方のヘッダー内
に、その内部の冷媒通路を長さ方向に沿って前側通路と
後側通路とに２分する中央隔壁が一体に設けられ、かつ
前記チューブにもその内部の冷媒通路を前側通路と後側
通路とに２分する中央隔壁が設けられ、ヘッダーとチュ
ーブとの接続状態においてそれらの上記隔壁が当接され
ることにより、両者の前側通路どおし及び後側通路どお
しが相互に各独立状態に連通されたものとなされると共
に、前記両ヘッダーの対応位置にそれぞれ１ないし複数
個の通路遮蔽板が設けられることにより、冷媒回路が複
数本のチューブ群毎にその前側通路と後側通路とをめぐ
る反転回路部分を複数個有するものとなされ、更に前記
通路遮蔽板にヘッダーの周壁を貫通して外方に延出した
取付用ブラケットが一体に連設されてなることを特徴と
する熱交換器を要旨とする。

実施例 以下、この発明の構成を更に図示の実施例に基づいて詳
しく説明する。

実施例１ この実施例の熱交換器は、アルミニウム合金製のもので
あり、その主要構成部材として、第１図ないし第３図に
示すように上下の１対の平行状に配置されたヘッダー
（１）（２）と、それらの間に渡して並列状に配置さ
れ、両端部がそれぞれ上記ヘッダー（１）（２）に連通
接合された多数本のチューブ（３）と、この隣接するチ
ューブ間及び最外側のチューブ（３）とサイドプレート
（５）（５）との間の空気流通空間内に介在配置された
コルゲート型のフィン（４）とを有する。

上下両ヘッダー（１）はいずれもアルミニウム材による
断面円形の中空押出型材からなるもので、内部の断面中
央部に長さ方向に沿った横向きの仕切壁（６）（７）を
有し、これによって内部が樹脂充填空間（10）（11）と
冷媒通路（８）（９）とに分割されている。かつ上段の
ヘッダー（１）（２）は両端が蓋片（12）（12）で閉塞
される一方、下段のヘッダー（２）は両端にそれぞれ冷
媒の入口（13）と同出口（14）が設けられると共に、そ
の冷媒通路（９）が上記仕切壁（７）の中央部と周壁内
面との間に渡された縦隔壁（15）により、前後２つの通
路部分すなわち前側通路（9a）と後側通路（9b）とに仕
切られている。そしてその後側通路（9b）における冷媒
入口側の一端は、サイドプレート（５）の延長部分から
なる差込遮蔽板（16）（第３図）で閉塞され、入口（1
3）から流入される冷媒を前側通路部分（9a）側のみに
導入しうるようになされている。またこれとは逆に、前
側通路（9a）は冷媒出口側の一端において他方のサイド
プレート（５）による前記同様の遮蔽板（16）によって
塞がれており、冷媒出口（14）を後側通路（9b）のみに
開口せしめたものとなされている。

チューブ（３）は、これもアルミニウム材による偏平状
の中空押出型材からなるものであり、両端部が前記ヘッ
ダー（１）（２）にその外周壁と仕切壁（６）（７）と
を貫通して穿設された切欠部（17）に挿入され、その端
面が各冷媒通路（８）（９）に臨んで開口されたものと
なされると共に、樹脂充填空間（10）（11）にいずれも
樹脂（18）が注入充填されることにより、該ヘッダー
（１）（２）に強固かつ気密状態に接合固定されてい
る。またこの接合強度を充分なものとするために、チュ
ーブ（３）の端部には外面にディンプル（19）が形成さ
れ、これに樹脂（18）が喰い込むことによってチューブ
（３）の抜脱を一層確実に防止しうるものとなされてい
る。上記の樹脂（18）の注入は、ヘッダー（１）（２）
の周壁に適宜設けられる注入孔（20）（第１図）から行
われるものである。また、用いる樹脂（18）としては、
ヘッダー（１）（２）とチューブ（３）との充分な接合
力を発揮し、あるいは注入作業性の良いものであれば任
意のものを採用可能であるが、特に好適なものとしてエ
ポキシ樹脂をあげうる。

また、チューブ（３）内の冷媒通路（21）は、これもそ
の幅方向の中央部に設けられた隔壁（22）により、前後
２つの通路部分（21a）（21b）に仕切られている。そし
てその隔壁（22）の下端が、下段のヘッダー（２）の縦
隔壁（15）に密接状に当接されることにより、両者即ち
下段ヘッダー（２）とチューブ（３）の各前側通路（9
a）（21a）どおし及び後側通路（9b）（21b）どおしが
各独立状態に相互連通されたものとなされている。

そしてまた、上下の各ヘッダー（１）（２）の冷媒通路
（８）（９）内には、第１図に示されるように、互いに
対応位置において該通路を遮断する通路遮断板（25）
（26）及び（27）（28）が設けられている。即ち、上段
ヘッダー（１）には、その全長を略３等分する位置にお
いて半円形状の遮断板（25）（27）が２個設けられ、下
段ヘッダー（21）側においては、上記遮断板（25）（2
7）に対応する位置において、前側通路（9a）を遮断す
る第１の遮断板（26）と、後側通路（9b）を遮断する第
２の遮断板（28）とが設けられている。而して、このよ
うな遮断板（25）（26）（27）（28）の設置により、熱
交換器コアの冷媒回路（Ｃ）は、第４図に示すように、
入口（13）から下段ヘッダー（２）の前側通路（9d）、
入口側の第１チューブ群（Ｉ）の前側通路（21a）、上
段ヘッダー（１）、同第１チューブ群（Ｉ）の後側通路
（21b）、下段ヘッダー（２）の後側通路（9b）、中間
の第２チューブ群（II）の後側通路（21b）、上段ヘッ
ダー（１）、同第２チューブ群（II）の前側通路（21
a）、下段ヘッダー（２）の前側通路（9a）、出口側の
第３チューブ群（III）の前側通路（21a）、上段ヘッダ
ー（１）、同第３チューブ群の後側通路（21b）を順次
巡って出口（14）へ至るものとなされている。即ち、複
数本のチューブ群（Ｉ）（II）（III）毎に、その前側
通路（21a）と後側通路（21b）とをめぐる反転回路部分
を一連に複数個有するものに形成されている。

上記の遮断板（25）（26）（27）（28）は、第３図に示
すようにヘッダー（１）（２）に切込み（29）を設けて
これに嵌め込むことにより設置されたものであり、それ
ぞれヘッダー（１）（２）の周壁を貫通して外方に連続
してのびたブラケット部（30）（31）（32）（33）を一
体に有するものとなされている。該ブラケット部（30）
（31）（32）（33）は、先端部を適宜の方向に折曲して
取付孔（34）を穿設してあり、熱交換器の取付用に使用
されるものである。

フィン（４）は隣接するチューブ（３）（３）の間隔に
相当する高さを有するコルゲート状のもので、一般的な
ろう付けの手段でチューブ（３）及びサイドプレート
（５）に接合されている。

サイドプレート（５）は、第３図に示すような断面略コ
字状のもので、その開口面側を外向きにして両ヘッダー
（１）（２）の両端部間に配置されている。このサイド
プレート（５）の取付けは、その両端部に延長状に突出
された差込部（5a）（5b）を、ヘッダー（１）（２）の
対応部分に穿たれたスリット（35）に差込み、かつ適宜
ろう接することによって行われている。

上記の実施例の熱交換器は、入口（13）から導入された
冷媒が前述ように上下のヘッダー（１）（２）内での反
転および横移動を介して複数本のチューブ（３）群毎に
その前側通路（21a）と後側通路（21b）とを順次的に巡
る変形蛇行状回路（Ｃ）をもってコア内を流通し、その
間に隣接チューブ（３）（３）間のフィン（４）が存在
する空間部を流通する外部の空気との熱交換により冷却
され、所定の低温かつ液化の進んだ状態になって出口
（14）から送出されるものである。

実施例２ この実施例は、第５図に示すように、実施例１に対して
そのヘッダーの形状の変形例を示すものである。

即ち、上下のヘッダー（41）（42）がいずれも、チュー
ブ（43）の接合側の周面の一部を平坦状とした断面長半
円形状に形成されており、この平坦状の外周壁部分と平
行に、内部に２つの仕切壁（46）（47）が相互に平行状
に設けられ、樹脂充填空間（40）が２つの部分に区画形
成されたものとなされている。そして、これらの両部分
に各独立に樹脂（18）が注入充填されることにより、両
仕切壁（46）（47）を貫通して挿入されたチューブ（4
3）の端部を固定したものとなされている。その他は前
記実施例１と同様である。

実施例３ この実施例は第６図及び第７図に示すもので、ヘッダー
とチューブの接合をろう接による手段で行ったものであ
る。

この実施例において、上段側のヘッダー（51）は、内面
の中央上部に下端が略中心点近くまで達する位置決め兼
攪乱板（54）が垂下状に一体成形されたものとなされる
一方、下段側のヘッダー（52）は、内部中央に縦向きの
隔壁（56）が一体に縦設され、これによって内部冷媒通
路（59）が長さ方向に沿って２分されて、前側通路（59
a）と後側通路（59b）とに仕切られたものとなされてい
る。

そして、チューブ（53）が、ヘッダー（51）（52）のチ
ューブ取付部分に穿設されたチューブ幅対応の切込み
（57）に緊密に嵌合されると共に、チューブ材に予め被
覆した亜鉛層あるいは別途付着させるろう材等の接合用
材料を利用して、該ヘッダー（51）（52）に強固に接合
されたものとなされている。この接合状態において、チ
ューブ（53）はその端部中央に予め形成した切込凹部
（65）を各ヘッダー（51）（52）の位置決め兼攪乱板
（54）及び隔壁（56）に適合させることにより、その嵌
合深さと相対位置を規制されたものとなされている。

また、上下両ヘッダー（51）（52）の冷媒通路遮蔽板
（75）（76）は、それらの各冷媒通路（58）（59a）（5
9b）の断面形状に対応した形状を有するものとなされて
いる。

その他は前記実施例１の場合と同様であり、相当部分に
同一の符号を示して説明を省略する。

発明の効果 この発明に係る熱交換器は、冷媒回路を構成する１対の
ヘッダーが、いずれもアルミニウム材による中空押出型
材によって構成され、しかもそれらがチューブの端部を
ヘッダーの周面に挿入することによって連通状態に接続
されたものとなされている。このため、従来のサーペン
タインチューブ型の熱交換器に較べても何ら遜色のない
耐圧強度を有し、比較的高圧のガス状冷媒を取扱い対象
とするカークーラー用のコンデンサーとしての用途にも
好都合に使用しうる。

また、両ヘッダー間に多数本のチューブを平行状に設
け、かつヘッダー内に通路遮蔽板を設けて所定本数のチ
ューブ群毎に、冷媒をそれらの前側通路と後側通路とに
順次巡らせて複数回流通させるものとなされているか
ら、冷媒回路の通路断面積を設計上の要請に応じて任意
に拡縮変更することが可能であるものはもとより、隣接
チューブ間を流れる空気の風上側、即ちチューブの前方
部分において効率の高い熱交換が行われたのち、更にそ
の後方の風下側の部分でも別途繰返して熱交換が行われ
るため、全チューブによる総合的な評価において、熱交
換効率をコアの全体に平均化し、かつ個々のチューブ部
分の受けもつ熱交換効率も増大して、全体として熱交換
効率を大幅に増大することができる。ひいては熱交換器
の小型化を可能にする。

また、この発明の熱交換器は、１対の押出型材製ヘッダ
ー間に、サイドプレートとチューブ及びフィンを配して
組立てられるものであるから、組立てにに際し両ヘッダ
ーとサイドプレート及びチューブによって強固な枠組み
を形成しうる。従ってこの枠組み中にフィンを強制的に
嵌合しても著しい形状変化を来すことがなく、構成部材
相互の仮組み状態をそれ事態で安定に保持せしめること
ができ、このため、組立工程を機械的に実施することが
可能となる。加えて、ヘッダー内の通路遮蔽板に、これ
と一体に取付用ブラケットが連設されたものとなされて
いるから、構成部品点数を減少しうると共に、別途ヘッ
ダーに取付用ブラケットを単体で取付ける場合に較べて
組立工程を簡素化することができ、愈々熱交換器の製造
工程を簡略化し自動組立に適するものとしてそのコスト
ダウンををはかることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの発明の第１の実施例を示すも
ので、第１図は熱交換器の全体の正面図、第２図は第１
図II-II線の断面図、第３図は構成部材を分離状態にし
て示した要部の斜視図、第４図は冷媒回路構成図であ
る。 第５図はこの発明の第２実施例を示す第２図相当の断面
図である。 第６図および第７図はこの発明の第３の実施例を示すも
ので、第６図は第１実施例における第３図相当の斜視
図、第７図は組立状態における第６図VII-VII線の断面
図である。 （１）（41）（51）…上段のヘッダー、（２）（42）
（52）…下段のヘッダー、（３）（43）（53）…チュー
ブ、（５）…フィン、（５）…サイドプレート、（７）
…冷媒入口、（８）（９）（58）（59）…冷媒通路、
（9b）（59b）…後側通路、（15）（56）…隔壁、（2
1）…冷媒通路、（21a）…前側通路、（21b）…後側通
路、（25）（26）（27）（75）（76）…通路遮蔽板、
（30）（31）（32）（33）…取付用ブラケット。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平行状に配置された１対の中空押出型材製
   ヘッダーと、両ヘッダー間に並列状に配置され両端をヘ
   ッダーに挿入してその内部の冷媒通路に連通接続された
   多数本のチューブと、隣接するチューブ間及び両端のチ
   ューブとサイドプレートとの間の空気流通間隙に配置さ
   れたフィンとを備え、 前記両ヘッダーのうち冷媒出入口側の一方のヘッダー内
   に、その内部の冷媒通路を長さ方向に沿って前側通路と
   後側通路とに２分する中央隔壁が一体に設けられ、かつ
   前記チューブにもその内部の冷媒通路を前側通路と後側
   通路とに２分する中央隔壁が設けられ、ヘッダーとチュ
   ーブとの接続状態においてそれらの上記隔壁が当接され
   ることにより、両者の前側通路どおし及び後側通路どお
   しが相互に各独立状態に連通されたものとなされると共
   に、前記両ヘッダーの対応位置にそれぞれ１ないし複数
   個の通路遮蔽板が設けられることにより、冷媒回路が複
   数本のチューブ群毎にその前側通路と後側通路とをめぐ
   る反転回路部分を複数個有するものとなされ、更に前記
   通路遮蔽板にヘッダーの周壁を貫通して外方に延出した
   取付用ブラケットが一体に連設されてなることを特徴と
   する熱交換器。