JPH06798Y2 - 炉内計装装置の案内構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、原子力発電プラントの原子炉に関し、特に同
原子炉における炉内計装装置の案内構造に関するもので
ある。

［従来の技術］ 第３図に概要を示すように、原子炉においては、原子炉
容器４内に炉心槽（図示せず）が垂下支持されており、
多数の燃料集合体８から構成される炉心は、この炉心槽
内において、炉心槽の底部にある下部炉心支持板５上に
中空の下部炉心支持柱６と下部炉心板７とを介して支持
されている。これ等の下部炉心支持板５、下部炉心支持
柱６及び下部炉心板７等は、一体となって炉内構造物を
構成しており、該炉内構造物が原子炉容器４内に吊り降
ろされるようになっている。

一方、炉心内の中性子束を検出するために、原子炉容器
４の底部に炉内計装筒１が貫設されており、炉内中性子
束検出器（図示せず）を収容した案内シンブル３が、上
述の炉内計装筒１と、炉内構造物を構成する下部炉心支
持板５の下面に垂下支持された炉内計装案内管２と、上
述の下部炉心支持柱６とを通って炉心の燃料集合体８内
に延入している。

上述の炉内構造物を原子炉容器４内に吊り降ろす際、炉
内計装筒１は原子炉容器４側に固設され、炉内計装案内
管２は可動の炉内構造物側に設けられているために、第
４図に示すように、炉内計装筒１の外径と炉内計装案内
管２の下部ノズル部2aの内径との間には、比較的に大き
な隙間2bが確保されていて、炉内構造物の吊り降ろし作
業に支障のないように設計されている。また、かかる隙
間2bにより、原子炉運転中の原子炉容器４と炉内構造物
との間の鉛直方向及び半径方向の相対熱膨張差を吸収す
るように設計されている。

［考案が解決しようとする課題］ 上述したように、炉内計装筒１と炉内計装案内管２との
間に、制限されていない大きい隙間2bを有する構造の炉
内計装装置であると、原子炉の運転中、原子炉容器４と
炉心槽との間の環状下降流路を流下して原子炉容器４の
底部プレナム4bに達し、そこで流れの方向を反転した冷
却材が炉内計装筒１と炉内計装案内管２との間に相当多
量に流れ込む。この冷却材の一部は、中空の下部炉心支
持柱６と案内シンブル３との間を通り、下部炉心支持板
７から出て燃料集合体８内に流入しようとする。このよ
うな軸流があると、案内シンブル３が流動振動を引き起
こし、この振動に起因して、燃料集合体８の下部ノズル
８ａの位置において案内シンブル３の表面に摩耗が生ず
る可能性がある。

従って、本考案の目的は、このような振動が生じさせる
ことのない炉内計装装置の案内構造を提供することであ
る。

［課題を解決するための手段］ この目的から、本考案による炉内計装装置の案内構造
は、下部炉心板及び下部炉心支持柱を含む炉内構造物を
収容した原子炉容器内で前記下部炉心支持板の下面に垂
下支持される炉内計装案内管と、該炉内計装案内管に整
列するように前記原子炉容器の底部に水密に貫設された
炉内計装筒とを有するものにおいて、互いに整列した前
記炉内計装案内管と前記炉内計装筒との連絡部に冷却材
流入制限機構を配置したことを特徴としている。

冷却材流入制限機構は、第１実施例においては、連絡部
に形成されたラビリンス構造であり、第２実施例におい
ては、流路制限リングと、炉内計装筒に向かって該リン
グを押すスプリングとからなっている。

［作用］ 本考案による案内構造を備えた炉内計装装置を有するも
のにおいては、原子炉の運転中、冷却材の流れが原子炉
容器の底部プレナムにおいて反転し、炉内計装筒と炉内
計装案内管との間の連絡部から流入しようとする。しか
し、この連絡部には冷却材流入制限機構が設けられてい
るために、流入量は、炉内計装筒及び炉内計装案内管を
貫設して燃料集合体に延入する案内シンブルに振動を生
じさせるほどではない。

第１実施例においては、冷却材は、ラビリンス構造の溝
を通過するたびに縮流及び拡流を受け圧損が大きくな
り、これにより流量が低減される。

第２実施例においては、炉内構造物を吊って原子炉容器
内に降ろすと、炉内構造物側の流路制限リングは原子炉
容器側の炉内計装筒の一部の着座面に当接し、相対的に
上側に移動する。流路制限リングはスプリングによって
炉内計装筒から離れる方向に押されているために、流路
制限リングは着座面に強く押され、流路制限リングと炉
内計装筒との間を通る冷却材の流れを遮断する。

［実施例］ 次に、本考案の好適な実施例について添付図面を参照し
て詳細に説明するが、図中、同一符号は同一又は対応部
分を示すものとする。

第１図を参照すると、本考案に従って構成された案内構
造を有する炉内計装装置が例示されている。図中、４は
原子炉容器であり、その内部に図示しない炉心槽が垂下
支持されている。炉心槽の底部にある下部炉心支持板５
には中空の下部炉心支持柱６が植設されており、該下部
炉心支持柱６が下部炉心板７を支持している。この下部
炉心板７と上部炉心板９との間に、炉心を構成する多数
の燃料集合体８が装荷されている。

上述の下部炉心支持板５、下部炉心支持柱６及び下部炉
心板７等は一体的に取り扱われる炉内構造物を構成して
いる。

かかる燃料集合体８の計装案内管8b内に炉内中性子束検
出器を収容した案内シンブル３を導き入れるために、原
子炉容器４の底部には炉内計装筒１が水密に貫設される
と共に、下部炉心支持板５の下面には炉内計装案内管２
が垂下支持されている。案内シンブル３が図示のように
燃料集合体８の計装案内管8b内に挿通されるように、上
述の下部炉心支持柱６、炉内計装案内管２及び炉内計装
筒１は燃料集合体８の計装案内管8bに関して軸方向に整
列している。また、従来の技術に関連して説明したよう
に、炉内計装案内管２の下部ノズル部2aと炉内計装筒１
との間の連絡部10には、炉内構造物の吊り降ろし作業に
支障のないよう、比較的に大きな隙間2bが存在する。

本考案によると、この隙間2bに流入する冷却材の量を制
限して案内シンブル３の振動を防止するために、連絡部
10に冷却材流入制限機構11が設けられている。好適な第
１実施例においては、第2A図に示すように、冷却材流入
制限機構11は、炉内計装案内管２の下部ノズル部2aの内
径部に形成された複数の溝11aからなっており、かかる
溝11ａにより連絡部10をラビリンス構造としている。連
絡部10がラビリンス構造であるため、そこを上方に流れ
る冷却材は縮流及び拡流を繰り返し、圧損が高くなる。

第2B図に示す第２実施例においては、冷却材流入制限機
構11として、流路制限リング11ｂが炉内計装案内管２の
下部ノズル部2a内に組み込まれており、この流路制限リ
ング11ｂが、同リング11ｂと炉内計装案内管２との間に
介在するスプリング11cにより、炉内計装筒１に設けら
れたフランジ状の受け部1aの上面（着座面）に向かって
付勢されている。炉内構造物を吊って流路制限リング11
bを受け部1aの上面に着座させると、その下面が受け部1
aの上面に圧接される。かかる圧接により、隙間2bは、
実質的に遮断される。尚、炉内計装管8bに適量の冷却材
を通流させるために、炉内計装案内管２の下端に形成さ
れた環状のストッパ12と流路制限リング11bの外周面と
の間、及び流路制限リング11bの上端部に形成された環
状のスプリンング押さえ13と炉内計装案内管２の内周面
との間には、若干の冷却材が流れるのを許容する環状の
隙間12a、13aがそれぞれ形成されている。これ等の隙間
は、図では誇張して記載されているが、実際には、従来
の技術に関連して説明したような振動問題を生起しない
ような大きさのものである。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば炉内計装筒と炉内計装案
内管との連絡部に冷却材流入制限機構が設けられている
ので、炉内構造物の吊り降ろし作業や、炉内構造物と原
子炉容器との間の相対熱膨張差の吸収に支障を来すこと
なく、燃料集合体の炉内計装管内にある案内シンブルの
振動を防いで、その摩耗を防止することができる。

冷却材流入制限機構として、ラビリンス構造を採用する
と構造が非常に簡単になり、流路制限リングとスプリン
グの組み合わせを採用すれば、制限効果は非常に増す。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による案内構造の第１実施例を具体化
した炉内計装装置の概略断面図、第2A図は、第１図にお
いて円IIＡで囲まれた領域にある要部を示す拡大断面
図、第2Bは、第2A図に相当する第２実施例の要部拡大断
面図、第３図は、従来の案内構造の概略断面図、第４図
は、第３図において円IVで囲まれた領域にある要部を示
す拡大断面図である。 １…炉内計装筒 ２…炉内計装案内管 ４…原子炉容器 ５…下部炉心支持板 ６…下部炉心支持柱 ７…下部炉心板 10…連絡部 11…冷却材流入制限機構

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下部炉心板及び下部炉心支持柱を含む炉内
   構造物を収容した原子炉容器内で前記下部炉心支持板の
   下面に垂下支持される炉内計装案内管と、該炉内計装案
   内管に整列するように前記原子炉容器の底部に水密に貫
   設された炉内計装筒とを有する炉内計装装置の案内構造
   において、互いに整列した前記炉内計装案内管と前記炉
   内計装筒との連絡部に冷却材流入制限機構を配置したこ
   とを特徴とする炉内計装装置の案内構造。