JPH0679076A - ロールの製造方法 - Google Patents

ロールの製造方法

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JPH0679076A JP4257429A JP25742992A JPH0679076A JP H0679076 A JPH0679076 A JP H0679076A JP 4257429 A JP4257429 A JP 4257429A JP 25742992 A JP25742992 A JP 25742992A JP H0679076 A JPH0679076 A JP H0679076A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原料であるシート状の繊維集合体を有効に利
用して、ロールを製造する方法を提供する。 【構成】 シート状の繊維集合体から帯状物を裁断し
て、帯状繊維集合体を得る。帯状繊維集合体の一方端部
を、長手方向に、例えばミシンを用いて縫糸1で縫う。
ミシンの上糸と下糸とに張力差を設け、例えば下糸に高
張力を付与しておくと、下糸が一方端部を引っ張りなが
ら縫うことになって、一方端部の長手方向長さが他方端
部の長手方向長さよりも短くなる。従って、帯状繊維集
合体の形態は、一方端部が内側となり他方端部が外側と
なるような円弧となる。この帯状繊維集合体の一方端部
側の厚み面が、ロール軸の表面に当接するようにして、
帯状繊維集合体をロール軸に装着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種設備や各種装置に
用いられるロールの製造方法に関し、特に連続焼鈍装置
或いはメッキ装置を含む鋼板製造設備に用いられる耐熱
性ロールを製造するのに適した方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼鉄製ロールやゴムロールに
代えて、繊維製ロールが種々作られている。この繊維製
ロールの一般的な製造方法は、以下のとおりである。即
ち、不織布等のシート状の繊維集合体から、所定寸法の
ドーナツ状の円盤を打ち抜きし、この円盤をロール軸に
複数枚刺し通して、ロール軸方向に加圧成形する方法が
知られている。
【0003】しかしながら、この製造方法は、シート状
の繊維集合体からドーナツ状の円盤を打ち抜くため、シ
ート状の繊維集合体中、ドーナツ状の円盤の中空部や外
周近辺に対応する箇所が端切れとなり、シート状の繊維
集合体が有効利用できないという欠点があった。特に、
シート状の繊維集合体として高価な材料を使用した場合
には、得られるロールの価格が高騰し、この欠点が顕著
に現われるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、シ
ート状の繊維集合体からドーナツ状の円盤を打ち抜くの
ではなく、シート状の繊維集合体が有効利用できるよう
に、繊維集合体から帯状物を裁断し、この帯状物をある
特殊な方法で使用して繊維製ロールを得ようというもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、帯状繊
維集合体の一方端部を長手方向に縫糸で縫うことによっ
て、該一方端部の長手方向長さが他方端部の長手方向長
さよりも短くなるようにして、該一方端部が内側となり
他方端部が外側となるような円弧を作成し、該一方端部
側の厚み面がロール軸に当接するようにして、該帯状繊
維集合体を該ロール軸に装着することを特徴とするロー
ルの製造方法に関するものである。
【0006】まず、本発明においては、帯状繊維集合体
を準備する。帯状繊維集合体は、シート状の繊維集合体
を長手方向に切断することによって準備してもよいし、
直接帯状の繊維集合体を製造して準備してもよい。帯状
繊維集合体の幅は、任意でよいが、一般的には3〜10cm
程度である。また、帯状繊維集合体の厚みも任意でよい
が、一般的には1〜3mm程度である。更に、帯状繊維集合
体の見掛け密度も任意でよいが、あまり嵩高なものは好
ましくなく、一般的に0.4〜0.7g/cm3程度である。繊
維集合体としては、従来公知の種々の材料を使用するこ
とができ、例えば不織布,フェルト,編物,織物等を使
用することができる。また、繊維集合体を構成する繊維
としては、合成繊維,半合成繊維,天然繊維等適宜のも
のが単独で又は混合して使用される。本発明において
は、特に、高価な合成繊維を構成繊維とする繊維集合体
を用いるのが、有益である。高価な合成繊維としては、
耐熱性に優れたパラ芳香族ポリアミド繊維(耐熱温度30
0℃),芳香族ポリアミド繊維(耐熱温度200℃),ポリ
フェニレンスルフィド繊維(耐熱温度260℃),石炭酸
樹脂繊維(耐熱温度250℃),特殊ポリエステル繊維
(耐熱温度220℃)等が挙げられる。
【0007】次に、帯状繊維集合体の一方端部、例えば
右端又は左端を長手方向に縫糸で縫う。縫糸で縫う方法
としては、一枚の帯状繊維集合体を縫ってもよいし、二
枚の帯状繊維集合体を縫って縫着してもよい。また、二
枚の帯状繊維集合体を縫って縫着した後、更に縫着後の
二枚の帯状繊維集合体(即ち、合計四枚の帯状繊維集合
体)を縫って縫着してもよい。本発明において重要なこ
とは、縫糸で縫う際、一方端部が少し波打つようにして
縫い、一方端部の長手方向長さが他方端部の長手方向長
さよりも短くなるようにすることである。具体的には、
ミシンで縫う場合、上糸と下糸に張力差を設け、高張力
の上糸又は下糸で一方端部を引っ張りながら縫い、一方
端部の長手方向長さを他方端部の長手方向長さよりも短
くするのである。上糸や下糸の張力は任意に設定すれば
よいが、好ましくは上糸に10kg程度の張力を付与し、下
糸に20kg程度の張力を付与するのがよい。また、手作業
で縫う場合、一方端部をグシ縫いの如き要領で若干縮め
ながら縫い、一方端部の長手方向長さを他方端部の長手
方向長さよりも短くするのである。なお、縫糸として
は、任意のものを採用することができるが、特に帯状繊
維集合体を構成する繊維と同種の繊維よりなるものを採
用するのが、好ましい。
【0008】以上のようにして、帯状繊維集合体を縫糸
で縫うと、一方端部の長手方向長さが他方端部の長手方
向長さよりも短くなり、一方端部が内側となり他方端部
が外側になるような円弧が形成される。例えば、図1に
示すような形態となる。なお、1は縫糸を示し、2は一
方端部の長手方向長さが短くなったことによって現われ
た皺である。また、3はロール軸に設けられた空転防止
用凸部に対応する凹部である。この円弧の曲率半径は、
装着しようとするロール軸の半径に相当する長さとすれ
ばよい。円弧の曲率半径は、一方端部の長手方向長さを
どの程度短くするかによって、任意に設定することがで
きる。
【0009】このように、円弧状となった帯状繊維集合
体を使用し、一方端部側の厚み面がロール軸に当接する
ようにして、ロール軸に巻回する。帯状繊維集合体の長
手方向長さが無限大(エンドレス)である場合、螺旋状
に帯状繊維集合体を順次巻回してゆけば、ロール軸に帯
状繊維集合体を装着することができる。また、帯状繊維
集合体が一定の長さである場合には、螺旋状に帯状繊維
集合体を巻回し、そしてその巻回端に別個に準備した帯
状繊維集合体を重ねて巻回を繰り返してゆけばよい。そ
して、従来のドーナツ状の円盤を使用した繊維製ロール
と同様に、ロール軸方向に両側から圧縮成形を行ない、
更に旋盤上でロール形状に加工し、その後樹脂含浸等を
行なって、所望の硬度を持つ繊維製ロールを得るのであ
る。
【0010】また、本発明においては、縫糸で縫った後
の帯状繊維集合体をそのままロール軸に巻回してもよい
が、帯状繊維集合体に延伸処理をした後、ロール軸に巻
回してもよい。延伸処理すると、巻回時に帯状繊維集合
体が伸びにくいので好ましいものである。また、直接ロ
ール軸に巻回するのではなく、仮軸に帯状繊維集合体を
巻回して、仮軸方向に両側から圧縮成形し、次いでロー
ル形状に加工し、更に樹脂含浸等を行なった後、仮軸を
抜き去り、帯状繊維集合体からなる中空円筒体を得た
後、これをロール軸に装着して繊維製ロールを得ること
もできる。
【0011】
【実施例】
実施例1 繊度1.5デニールのパラ芳香族ポリアミド繊維を構成繊
維とする、目付400g/m2で厚み2.5mmのシート状のフ
ェルトを準備した。このシート状のフェルトから幅50mm
の帯状フェルト(帯状繊維集合体)を切断した。そし
て、この帯状フェルトを二枚重ね合わせて、右端部を長
手方向にミシンで縫って、二枚の帯状フェルトが縫着さ
れた一次縫合品を得た。この一次縫合品は、右側に湾曲
して、その形態が円弧状となっていた。その後、円弧状
の一次縫合品を二枚重ね合わせて、その右端部を長手方
向にミシンで縫って、二枚の一次縫合品が縫着された二
次縫合品を得た。この二次縫合品も、右側に湾曲して、
その形態が円弧状となっていた。なお、ミシンで縫う
際、上糸には10kgの張力を付与し、下糸には20kgの高張
力を付与した。また、上糸及び下糸としては、パラ芳香
族ポリアミド製のマルチフィラメント糸を用いた。
【0012】得られた二次縫合品の右端側の厚み面に、
ロール軸に設けられた空転防止用凸部に対応する凹部を
設けた。その後、この右端側の厚み面がロール軸(軸径
810mm,長さ3050mm)の表面に当接するようにして、130
0回螺旋状に、二次縫合品を巻回して円筒体を作成し
た。そして、ロール軸の両側から、円筒体をロール軸方
向に圧縮成形した。次いで、圧縮成形した状態で、旋盤
上で円筒体をロール形状に加工した。その後、下記処方
のセラミックコーティング剤(固形分30重量%)を、円
筒体に含浸させた後、乾燥し、更に温度140℃で時間90
分の条件で硬化させて、ロールを得た。なお、円筒体10
0cm3に対して、セラミックコーティング剤の固形分は10
gの割合で含有されていた。 [セラミックコーティング剤の処方] 主成分 :酸化珪素 溶媒 :イソプロピルアルコール 粘度 :900cp 密度 :1.3 PH :12 以上のようにして得られたロールは、外径が900mm(ロ
ール軸の外径が810mmであるから、円筒体の肉厚は45mm
になる。)でロール幅は2600mmであった。また、ロール
の円筒体の密度は0.61g/cm3であり、円筒体の硬度は9
5度であった。そして、構成繊維として耐熱性に優れた
パラ芳香族ポリアミド繊維を使用しているため、耐熱性
ブライドルロールとして好適に使用しうるものであっ
た。
【0013】実施例2 実施例1で準備したのと同様のシート状フェルトを準備
した。そして、このシート状のフェルトから幅30mmの帯
状フェルト(帯状繊維集合体)を切断した。そして、こ
の帯状フェルトを二枚重ね合わせて、右端部を長手方向
にミシンで縫って、二枚の帯状フェルトが縫着された一
次縫合品を得た。この一次縫合品は、右側に湾曲して、
その形態が円弧状となっていた。なお、ミシンで縫う
際、上糸には10kgの張力を付与し、下糸には20kgの高張
力を付与した。また、上糸及び下糸としては、パラ芳香
族ポリアミド製のマルチフィラメント糸を用いた。
【0014】得られた一次縫合品に延伸処理を施して、
一次縫合品の伸びを少なくした。その後、一次縫合品の
右端側の厚み面が仮軸(軸径239mm,長さ250mm)の表面
に当接するようにして、若干延伸をかけながら一次縫合
品を螺旋状に巻回して円筒体を作成した。そして、仮軸
の両側から、円筒体を仮軸方向に圧縮成形した。次い
で、圧縮成形した状態で、下記処方のセラミックコーテ
ィング剤を、円筒体に含浸させた後、乾燥し、更に温度
150℃で時間60分の条件で硬化させた。この硬化した円
筒体を仮軸から取り外して、高さ200mmのブロック状円
筒体を得た。このブロック状円筒体14個を、ロール軸
(軸径240mm,長さ3050mm)に直列に装着した。そし
て、ロール軸の両側からロール軸方向に圧縮成形して、
ロールを得た。 [セラミックコーティング剤の処方] 主成分 :ジルコニアシリカ 溶媒 :イソプロピルアルコール 粘度 :1300cp 密度 :2.7 PH :12 以上のようにして得られたロールは、外径が300mm(ロ
ール軸の外径が240mmであるから、円筒体の肉厚は30mm
になる。)でロール幅は2600mmであった。また、ロール
中における円筒体の密度は0.65g/cm3であり、その硬
度は96度であった。そして、構成繊維として耐熱性に優
れたパラ芳香族ポリアミド繊維を使用しているため、耐
熱性ピンチロールとして好適に使用しうるものであっ
た。
【0015】実施例3 2〜15デニールの繊度分布を持つポリフェニレンスルフ
ィド繊維を構成繊維とする、目付250g/m2で厚み1.0m
mのシート状の不織布を準備した。このシート状の不織
布から幅30mmの帯状不織布(帯状繊維集合体)を切断し
た。そして、この帯状不織布を五枚重ね合わせて、右端
部を長手方向にミシンで縫って、五枚の帯状不織布が縫
着された一次縫合品を得た。この一次縫合品は、右側に
湾曲して、その形態が円弧状となっていた。その後、円
弧状の一次縫合品を二枚重ね合わせて、その右端部を長
手方向にミシンで縫って、二枚の一次縫合品が縫着され
た二次縫合品を得た。この二次縫合品も、右側に湾曲し
て、その形態が円弧状となっていた。なお、ミシンで縫
う際、上糸には10kgの張力を付与し、下糸には20kgの高
張力を付与した。また、上糸及び下糸としては、パラ芳
香族ポリアミド製のマルチフィラメント糸を用いた。
【0016】得られた二次縫合品の右端側の厚み面がロ
ール軸(軸径240mm,長さ3050mm)の表面に当接するよ
うにして、5120回螺旋状に、二次縫合品を巻回して円筒
体を作成した。そして、ロール軸の両側から、円筒体を
ロール軸方向に圧縮成形した。次いで、圧縮成形した状
態で、旋盤上で円筒体をロール形状に加工した。以上の
ようにして得られたロールは、外径が300mm(ロール軸
の外径が240mmであるから、円筒体の肉厚は30mmにな
る。)でロール幅は2600mmであった。また、ロールの円
筒体の密度は0.65g/cm3であった。そして、構成繊維
として耐熱性に優れたポリフェニレンスルフィド繊維を
使用しているため、耐熱性ピンチロールとして好適に使
用しうるものであった。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、シート
状の繊維集合体から帯状物を作成し、そしてこの帯状繊
維集合体を使用してロールを製造するというものであ
る。従って、従来の如く、シート状の繊維集合体からド
ーナツ状の円盤を打ち抜き、この円盤を用いてロールを
製造する場合に比べ、原料であるシート状の繊維集合体
の有効利用が図れるという効果を奏する。具体的には、
ドーナツ状の円盤を打ち抜く場合、原料のロス部分は55
%程度となるが、本発明によれば原料のロス部分は0%
である。即ち、本発明によれば原料であるシート状の繊
維集合体の有効利用が図れ、原料が高価であればあるほ
ど、ロールの価格を低廉にしうるという効果を奏するの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一方端部が縫糸で縫われた帯状繊維集合体の平
面図である。
【符号の説明】
1 縫糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福重 嘉 兵庫県伊丹市行基町1−5

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状繊維集合体の一方端部を長手方向に
    縫糸で縫うことによって、該一方端部の長手方向長さが
    他方端部の長手方向長さよりも短くなるようにして、該
    一方端部が内側となり他方端部が外側となるような円弧
    を作成し、該一方端部側の厚み面がロール軸に当接する
    ようにして、該帯状繊維集合体を該ロール軸に装着する
    ことを特徴とするロールの製造方法。
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