JPH0678921B2 - 温熱検知装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、人間に快適な環境を提供する空気調和装置に
おける環境の温熱状態を検知する温度検知装置に関する
ものである。

従来の技術 従来この種の温度検知装置は、第４図に示すように、発
熱体１を人体と熱的特性が概略一致するゼリー状物質か
らなる被覆体２で被覆するとともに、前記被覆体２の温
度を検知する熱電対でなる検知体３を具備し、前記被覆
体２の外側には多数の通気孔４を有しかつ輻射熱を透過
するポリエチレン等の樹脂で球形に成型されたカバー５
が設けられ、前記発熱体１への電力供給線６と、前記検
知体３からの信号線７が具備された構成の温度検知素子
が出願されており（例えば特開昭60−170731号公報）こ
の素子を用いて、前記電力供給線６に一定の電力を供給
しつつ、前記信号線７より環境の温熱状態に応じた信号
を得るようになっていた。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら上記のような構成では、球形であるため設
置する場合に必ず取り付け部から離して設置する必要が
あり取り付け手段が不安定となり衝突等による故障にも
弱くまた、輻射熱を透過するポリエチレン等の樹脂のカ
バーを用いているがこの場合輻射は必ず減衰するため、
人体と等価な輻射熱伝達率を維持するのは困難で、従っ
て十分な性能が得られない。またゼリー状物質という特
殊な材料を用いるため構造が複雑かつ生産性が悪いとい
う問題点を有していた。本発明はかかる従来の問題点を
解消するもので、少ない部品構成と簡潔な構造による高
生産性と低価格を維持しながら、気温・気流・輻射温の
温熱的影響の一括検知及びマイコン制御等に適した信号
出力を、小型の検知部と簡単な回路で実現することによ
り、人体の温熱感覚に対応した情報に基づいて、空気調
和装置を従来に比較してよりきめ細かく制御し、快適な
温熱空間を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明の温度検知装置は、
開口部を有し光熱に対する内面の反射性が良好な中空体
と、前記中空体の開口部に設けた多孔状カバーと、前記
中空体内部に設けた発熱素子と、前記発熱素子に一定の
電力を供給する制御手段と、前記発熱素子に固定し前記
発熱素子の温度を検知する温度検知体と、前記温度検知
体の信号から環境の温熱状態を判断する判断手段とから
なる構成としたものである。

作用 本発明は上記した構成によって、前記発熱素子が多孔状
カバーを通して直接あるいは中空体内面で反射して、周
囲の物体及び日射と輻射熱交換するとともに周囲気流に
よって生じる中空体内部の二次気流と対流熱交換を行な
い、さら栄前記多孔状カバーが周囲の物体及び日射と輻
射熱交換することにより前記多孔状カバー及び前記中空
体が加熱または冷却されることにより前記発熱体との間
で輻射熱交換をするとともに伝導によりその一部の熱が
授受される。このとき前記中空体の形状および寸法は、
前記発熱素子と周囲環境との対流熱伝導および輻射熱伝
達の割合が人体のそれと概略一致するように形成してい
るため、前記発熱素子の温度が人体の体温に対応して得
られる。この温度出力から人体の温熱感覚を判断するこ
とが出来るため、この判断に基づいて空気調和装置を制
御することにより、快適な空間を容易に実現できる。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。

第１図に示すブロック図において８は固定抵抗器を用い
た発熱素子であり、第２図の一部切欠斜視図に詳しく示
すように、前記発熱体８の表面に熱電導性の良い接着剤
で熱電対９が固定してある。また、光熱に対して反射性
の良好な塗料で内面10をメッキした樹脂性の中空体11に
細かい開口を表面を艶消黒色で塗装してある多孔状カバ
ー12を設け、さらに前記中空体10の外側に発泡スチロー
ル製の断熱部13から構成されている。

前記発熱素子８は制御手段14により、常に一定の発熱量
で発熱するよう制御され、このときの前記熱電対９で前
記発熱素子８の温度を検知しこの熱電対の電圧信号を判
断手段15において処理することにより人体の温熱感覚に
対応する情報が得られる。

前記発熱素子８の表面と環境との熱収支は次式で示され
る。

Ｑ＝αｃ（Ts−Ta）＋αｒ（TS−Tr） ただし、 Ｑ ：発熱素子の単位表面積当りの発熱量 αｃ ：発熱素子と環境との対流熱伝達率 Ts ：発熱素子の温度 Ta ：気温 αｒ ：発熱素子と環境との輻射熱伝達率 Tr ：周囲輻射温度 前記内面10は放物曲線面で構成され前記発熱素子８を前
記内面10の放物曲線面の概ね焦点の位置に設けてあるこ
とにより、前記多孔状カバー12を通して周囲環境からの
輻射を前記発熱素子８に収束させるとともに、前記発熱
素子８は、周囲を中空体11により囲まれた窪みの中に設
置しかつ前記多孔状カバー12を介することにより、前記
発熱素子８に直接接触する気流の速度を大きく減衰させ
るよう構成しているため、前記発熱素子８の輻射熱伝達
率αｒ及び対流熱伝達率αｃを人体の輻射熱伝達率及び
平均対流熱伝達率と概略等しくすることができ、前記発
熱素子８の単位面積当たりの発熱量Ｑを一定に維持すれ
ばそのときの発熱素子の温度Tsは人体の体温と等価とな
る。判断手段15は熱電対の温度補償回路とワンチップマ
イコンのROMの中に熱電対９の非線型性を補正するため
のテーブル及び第５図に示すような人体の体温と温熱感
覚との関係を数式あるいはテーブルのかたちでもってお
り、これによってその環境における気温・気流・輻射温
によって生じる人体の温熱感覚とほぼ等価な出力が得ら
れるので、この感覚が中立になるように空調機器を制御
すれば、常に快適な環境が維持される。

上記構成によれば、発熱素子として固定抵抗器を用いた
ので安価で安定した性能を得ることが可能である。又、
温度検知の手段として熱電対を用いたことにより発熱素
子に熱的な影響をほとんど与えないで測定が行なえる。
なお、ここでは発熱素子に固定抵抗器を用いたが、その
代りにセラミックヒータ等を用いてもよい、又、温度検
知の手段として熱電対を用いたが、小型のサーミスタ等
を用いることも可能である。

発明の効果 以上のように本発明の温熱検知装置によれば次の効果が
得られる。

（１）輻射熱を反射しかつ多孔状カバーと共に気流を減
少させる中空体により発熱素子の対流及び輻射熱伝達率
を人体の値と概略一致することが可能でありかつ制御手
段で発熱素子を一定発熱量に維持する構成としているの
でその温度と人体の皮膚温とが等価となりこれから温熱
感覚が得られるため最適な空調機器の制御を行うことが
出来る。

（２）一定の発熱量で発熱するよう制御しているため気
流に体する感度が安定している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の温熱検知装置の構成を示す
ブロック図、第２図は同温熱検知装置の発熱素子および
中空体等の構成を示す一部切欠斜視図、第３図は同温熱
検知装置の判断手段での判断方法を説明するための人体
の皮膚温と温冷感の関係を示す特性図、第４図は従来の
温熱検知装置の検知体の構造を示す一部切欠斜視図であ
る。 ８…発熱素子、、９…熱電対、11…中空体、12…多孔状
カバー、13…断熱部、14…制御手段、15…判断手段。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】開口部を有し光熱に対する内面の反射性が
   良好な中空体と、前記中空体の開口部に設けた多孔状カ
   バーと、前記中空体内部に設けた発熱素子と、前記発熱
   素子に電力を供給する制御手段と、前記発熱素子に設け
   られ前記発熱素子の温度を検知する温度検知体と、前記
   温度検知体の信号から環境の温熱状態を判断する判断手
   段とからなる温熱検知装置。
2. 【請求項２】中空体は凹面形状を有し、発熱素子は前記
   凹面形状の概略焦点に設けた特許請求の範囲第１項記載
   の温熱検知装置。