JPH0675580B2 - 義歯を取外し可能に固定するためのｔ字形の関節維持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、義歯及びブリツジを残歯列に取外し可能に固
定するための関節維持装置であつて、雌部材と、貫通し
たスリツトを備え円錐形のねじによつて活性化される雄
部材とから成り、雄部材の長手方向条片に、同様にスリ
ツトを備えたウエブが取付けられている形式のものに関
する。

従来の技術 Ｔ字形の関節維持装置は義歯学において義歯及び取外し
可能なブリツジを固定するために多くの形態で使用され
ている。このＴ字形の関節維持装置はそれぞれ雄部材と
これをほぼ取囲む雌部材とから成り、これによつて雌部
材内での雄部材の固定的な坐りが保証される。少なくと
も雄部材には咬合側又は歯肉側からスリツトが切込まれ
ている。特殊工具を使用してこのスリツトを拡張するこ
とによつて、スリツトによつて形成された条片が拡開
し、そのため、雄部材は雌部材内での多かれ少なかれ正
確な坐りの他に、付加的な摩擦を得る。要するに雄部材
の坐りが一層よくなる。この過程を以下に「活性化」と
呼ぶ。

残歯列と取外し可能な義歯との結合個所は口腔内で特に
強く負荷される領域である。

特に横方向の軸線を中心とする運動時に、スリツトが雄
部材の咬合い領域内に位置していても又は歯肉領域内に
位置していてもまつたく同様に、スリツトは次第に再び
圧縮される。これによつて義歯の坐りがゆるむため、こ
のＴ字形の関節維持装置は短い時間間隔でそのつど改め
て活性化されなければならない。

雄部材が貫通したスリツトを備え、雄部材の両半部が、
雄部材に取付けた部分的にスリツトを備えたウエブによ
つてまとめて保持されるＴ字形の関節維持装置も使用さ
れる。スリツトの拡張は円錐形の頭を備えたねじによつ
て行なわれる。このねじはスリツト付きの雄部材の端面
内に矢状（sagittal）にねじ入れられる。しかし、拡開
された雄部材は、それ自体弾性的な雄部材両半部がねじ
の頭に支持されるため、活性化後は剛性的となる。その
上、雄部材の端面におけるねじの位置によつて雄部材部
分が機械的に弱化される。剛性的に位置固定された部分
では摩擦の適正な点が発見し難く、従つて、活性化が過
大であると雄部材が雌部材内でひつかかり易く、活性化
が過少であると摩擦が不十分となる。

本発明が解決しようとする問題点 そこで本発明の課題は残歯列に義歯及びブリツジを取外
し可能に固定するためのＴ字形の関節維持装置であつ
て、雌部材と、貫通したスリツトを備え円錐形のねじに
よつて活性化可能な雄部材とから成り、その長手方向条
片に、同様にスリツトを備えたウエブが取付けられる形
式のものにおいて、活性化後も弾性的であり、これによ
つて、雌部材内での雄部材の、個々に調節可能な、均一
な摩擦を可能ならしめるような関節維持装置を提供する
ことにある。

問題点を解決するための手段 上記課題を解決した本発明の要旨は、ねじがウエブの内
部でスリツト端部に対して平行にスリツト内に挿入可能
であり、かつ、円錐部がねじの軸部領域内に配置されて
いることにある。

有利にはねじがスリツト端部領域内でスリツトに挿入可
能である。

ねじの円錐部が５乃至35゜、特別には15乃至25゜の角度
を有すると有利であることが解つた。

ねじの軸部の円錐部が、ねじのねじ込み時に、ウエブ若
しくは雄部材の全高に関連してウエブの中央領域内に位
置するのが有利である。

雄部材の全高の中央領域内の円錐部のこの有利な位置に
よつて、両方の雄部材半部が平行に拡開する。これによ
つて、関節維持装置面全体にわたつて、大きさを個々に
調節可能である均一な摩擦が生じる。

雌部材は鋳造できる。それというのは、鋳造時に生じる
雌部材の変形が雄部材の弾性的な脚部によつて補償され
るからである。雌部材の鋳造はろうによる製造に比して
安価である。

義歯への雄部材の固定は有利にはねじ部材によつて行な
われ、従つて雄部材は交換可能であり、強度を減少させ
る熱処理を取付け時に施す必要がない。

雄部材の交換可能性によつて、細い雄部材を製作するこ
とのできる安価な高硬度合金を使用することができる。

実施例 Ｔ字形の関節維持部材は雌部材１と雄部材２とから成
り、雄部材２の長手方向条片にウエブ３が取付けられて
いる。雄部材２は鉛直にその長手方向に沿つて一貫した
スリツト４を備えており、このスリツトは雄部材２を２
つの雄部材半部に分割している。スリツト４はウエブ３
のほぼ中央まで続いており、それゆえ、２つの弾性的な
脚部が形成されている。スリツト端部５に対して平行に
かつ有利にはスリツト端部５の中央領域内で円錐形のね
じ６がスリツト４内へねじ込まれており、このねじは雄
部材半部を拡開せしめ、雄部材２と雌部材１との間の所
望の摩擦を生ぜしめる。拡開範囲７が第４図に示されて
いる。

ねじ６は有利にはねじ山を備えたねじ頭８を備えてお
り、円錐部９はねじ軸部に配置されておりかつ有利には
雄部材２の全高に関してウエブ３若しくは雄部材２の中
央領域内に位置している。

本発明の効果 本発明によれば、活性化のための機構が雄部材の外部に
位置しているため、雄部材がねじ孔によつて機械的に弱
化されず、両方の雄部材半部の弾性が維持される。それ
ゆえ、咀嚼時に種々の軸線内で作用する力は弾性的に緩
衝され、雌部材に接触した雄部材部分を変形せしめな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１実施例の横断面図、第２図は本発明
の１実施例の雄部材の斜視図、第３図は本発明の別の実
施例の雄部材の横断面図、第４図は本発明の１実施例の
円錐形のねじが雄部材に作用する様子を示す縦断面図で
ある。 １……雌部材、２……雄部材、３……ウエブ、４……ス
リツト、５……スリツト端部、６……ねじ、７……拡開
範囲、８……ねじ頭、９……円錐部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】義歯及びブリツジを残歯列に取外し可能に
   固定するための関節維持装置であつて、雌部材と、貫通
   したスリツトを備え円錐形のねじによつて活性化される
   雄部材とから成り、雄部材の長手方向条片に、同様にス
   リツトを備えたウエブが取付けられている形式のものに
   おいて、ねじ（６）がウエブ（３）の内部でスリツト端
   部（５）に対して平行にスリツト（４）内に挿入可能で
   あり、かつ、円錐部（９）がねじ（６）の軸部領域内に
   配置されていることを特徴とする義歯を取外し可能に固
   定するためのＴ字形の関節維持装置。
2. 【請求項２】ねじ（６）がスリツト端部（５）の領域内
   でスリツト（４）に挿入可能である特許請求の範囲第１
   項記載の関節維持装置。
3. 【請求項３】円錐部（９）又はねじ（６）が５乃至35゜
   の角度を有している特許請求の範囲第２項記載の関節維
   持装置。
4. 【請求項４】ねじ（６）の円錐部（９）が15乃至25゜の
   角度を有している特許請求の範囲第３項記載の関節維持
   装置。
5. 【請求項５】ねじ（６）のねじ込み時に円錐部（９）が
   全高に関連してウエブ（３）の中央領域内に位置してい
   る特許請求の範囲第４項記載の関節維持装置。