JPH0675059B2 - 二作用電極式電気化学検出器を用いたミクロ高速液体クロマトグラフ分析法 - Google Patents

二作用電極式電気化学検出器を用いたミクロ高速液体クロマトグラフ分析法

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JPH0675059B2
JPH0675059B2 JP58099813A JP9981383A JPH0675059B2 JP H0675059 B2 JPH0675059 B2 JP H0675059B2 JP 58099813 A JP58099813 A JP 58099813A JP 9981383 A JP9981383 A JP 9981383A JP H0675059 B2 JPH0675059 B2 JP H0675059B2
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正志 後藤
大道 石井
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は改良された二作用電極式電気化学検出器を用い
たミクロ高速液体クロマトグラフ(MHPLC)分析法に関
するものである。
従来、カテコールアミン等の高速液体クロマトグラフ分
析法では、検出器として主に紫外吸光光度計及び蛍光光
度計が用いられてきた。しかし、紫外吸光光度計は低感
度であって微量分析には不適当であり、蛍光光度計はこ
の場合カテコールアミン等を蛍光体にするための反応試
薬を必要とし、操作が面倒である等の欠点があった。そ
のため本発明者は、先に高感度であってかつクロマトグ
ラフのための試料前処理を不要とした二作用電極型電気
化学検出器による検出法を開発した。
すなわち、この方法はフロー定電位電解電流測定に基づ
く2つの作用電極を有する薄層電解セルからなる電気化
学検出器を用い、その第1及び第2の作用電極の電位
(対銀−塩化銀電極電位)を可逆反応物質であるカテコ
ールアミンの酸化及び還元に必要な値にそれぞれ設定
し、試料を第1の作用電極で酸化させた後第2の作用電
極で再び還元させるさいに流れる電流をそれぞれ記録す
ることにより種々の電気活性物質中のカテコールアミン
だけを選択的に検出するものである。これにより非可逆
的に反応する他成分が(前処理を省略したが故に)含ま
れていても、それらは還元曲線には含まれないため、カ
テコールアミンから明確に区別することができる。
第1図は前記した従来の二電極薄層電解セルの構造及び
ミクロ分離カラムとの接続の仕方を示すための電解セル
の分離側断面図であり、第2図はセルのスペーサーの平
面図である。ここに、(1)及び(2)はグラシーカー
ボン円盤からなる作用電極であり、それぞれ下部ダイフ
ロン樹脂板(3)に埋込んで、表面をよく研摩したもの
である。(4)は参照電極であり、銀−塩化銀電極をね
じによって上部ダイフロン樹脂板(5)に固定する。
(6)はセル出口兼対極であり、ねじによってダイフロ
ン樹脂板(5)に固定されたステンレス管からなってい
る。(7)はこれら樹脂板(3),(5)のためのスペ
ーサーであり、厚さ50μm以下のテフロン膜の中央部を
細小に切り抜いてフローチャンネルFとし、4本のねじ
でダイフロン樹脂板(3),(5)の間にはさみ込んだ
ものである。この場合、ミクロ分離カラム(8)はねじ
でダイフロン樹脂板(5)に直接固定することによって
連絡による空体積を0.3μl以下と極めて小さくしてあ
る。
上記の従来型二作用電極式電気化学検出器には目的成分
の酸化−還元という可逆的反応順序を考慮して一方の
(この場合酸化用の)作用電極をフローチャンネルの上
流側に、他方の(この場合還元用電極)を下流側にそれ
ぞれ配置したものである。これらの電極配置に関し発明
者は、上流側でまず酸化反応してからその物質が下流側
に達して初めて還元されるという緩慢な態様でしか電極
反応が起こらないことに着目し、これをより活性的な対
応で電極反応を生じさせるためには、一対の作用電極が
上下からフローチャンネルをはさんで流路方向に並列対
向する配置が良いのではないかと考え、試作実験したと
ころ勝れた結果を考えたものである。
すなわち、本発明は上記の二作用電極配置を有する電気
化学検出器を通常のカラムサイズの約1/100程度(従っ
て、流量数μl/min〜数10μl/min)のミクロ高速液体ク
ロマトグラフィーの検出器として用いることを特徴とす
る分析方法を提出しようとするものである。
略述すれば、本発明の方法は流路幅に比して流路高さが
極めて小さいフローチャンネルを有し、前記フローチャ
ンネルの上部板及び下部板の部分に一対の互いに対向し
た作用電極を設置し、これらの上下作用電極のおのおの
にはフローチャンネル関連流路の適所に設けられた対極
に関し目的成分である可逆又は準可逆反応物質の酸化電
位及び還元電位をそれぞれ印加するようにした二作用電
極式電気化学検出器を用い、この電気化学検出器に流量
約数μl/min〜数10μl/minのミクロ高速液体クロマトグ
ラフィーのカラムから溶出した試料流を流通させること
により前記一対の作用電極にそれぞれ流れる還元電流と
再酸化電流の関係から酸化体目的成分を、または酸化電
流と再還元電流の関係から、還元体目的成分を分析する
ものである。
上記の方法によれば、両作用電極間で酸化と還元が繰り
返されるため一種の反応促進効果が生じ、可逆又は準可
逆物質を高感度かつ高選択度で検出し得ることが明らか
となった。
第3図は本発明の実施において用いられる二電極薄層電
解セルの構造及びミクロ分離カラムとの接続の仕方を示
すために電解セルを分離して描いた側断面図であり、第
4図はセルのスペーサーの上面を示す横断端面図であ
る。(11)及び(12)はグラシーカーボンからなる作用
電極であり、それぞれ下部ダイフロン樹脂板(13)及び
上部ダイフロン樹脂板(14)に埋込んで、その表面をよ
く研摩してガラス状にしたものである。電極(11),
(12)の流路方向(図の左右方向)の長さは流路幅の数
倍程度にしてある。その他の部分は第1図及び第2図に
示した電気化学検出器と同様であり、従ってそれらと同
一の参照数字を付して説明を省略する。
以下、本発明に従って対向並列型の二作用電極式電気化
学検出器を用いた可逆又は準可逆電極反応物質の分析法
に関する理論式と、その実験的立証、及び人血清中のカ
テコールアミン分析への応用例について説明する。
第5図は対向並列型二作用電極式電気化学検出器(PODE
C)のセル構造及び寸法を原理的に示したものである。W
E1及びWE2が作用電極であり、互に対向して並列に配置
されている。ここでx軸は流れの方向、z軸は拡散の方
向であり、電極の幅はy軸方向に測られる。L及びWは
それぞれ電極の長さ及び幅である。作用電極は流れが層
流になるように幅W、高さbの流路の入口からlの位置
に置れているようにする。今、無次元の距離YLをYL=L
(DW/Ub)と定義する。ここでDは溶質の拡散係数、U
は溶媒の体積流速である。一つの作用電極だけを用いる
場合には、YL2のときに電解効率が100%となり、そ
の際流れる例えば陰極電流は Is=nFCU (1) と表わされる。ここでnは酸化還元電子数、Fはファラ
ディー定数、Cは濃度である。今、可逆又は準可逆物質
の酸化体だけが最初に流れの中に存在するとする。PODE
Cの二つの作用電極はそれぞれ酸化体が十分還元される
ような電位及びその還元体が十分再酸化されるような電
位に設定されているとする。このような場合に陰極及び
陽極に流れる電流Ic及びIaはそれぞれ Ic/nFC=LDW/b+0.27U (2) −Ia/nFC=LDW/b−0.07U (3) のように表わされる。HPLCにおける選択検出のために重
要な補促率Φcは、この場合陰極電流に対する陽極電流
の比と定義され、 Φc≡|Ia|/Ic=1−0.34U/(LDW/b+0.27U) (4) と表わされる。式(4)は移動相の流速が小さくなるに
つれて補促率が1に近づくことを示している。高感度分
析のために重要なPODECにおける電流増幅率Φaは、こ
の場合電量的電流に対する陰極電流の比と定義され、 Φa≡Ic/Is=0.07+(LDW/b)(1/U) (5) と表わされ、実効電流増幅率Φeは電量的電流に対する
陽極電流の比であり、 Φe≡|Ia|/Is=−0.07+(LDW/b)(1/U) (6) と表わされる。式(6)は移動相の流速が小さいときに
触媒的に電流が増幅されることを示している。
ここで、試料が電気化学検出できるかどうかを判定し、
電気化学検出器の最適設定電位を決定するための操作法
を試料が還元体であると考えらる場合について説明す
る。まず、HPLCの移動相10mlに試料をその濃度が0.1〜1
mMになるように溶解し、電気化学検出器に使われている
のと同じ材質の作用電極を用いて100mV/secの走査速度
でサイクリック半微分ボルタモグラムを測定する。電極
反応が可逆な場合には、第9図の上部及び下部曲線のご
とく酸化波と再還元波が観察され、両ピーク電位は全く
一致する。なお、第9図のグラフは、8μMのP-アミノ
フェノール(pH6.3)について得られたものである。電
極反応が準可逆な場合には、酸化波と再還元波のピーク
電位に差が生じ、電極反応が非可逆な場合には再還元波
は観察されない。また、電気化学的に不活性な物質の場
合にピークは全く観察されない。作用電極を有する電気
化学検出器の場合には、作用電極に酸化ピークが終了す
る電位を設定すればよい。2つの作用電極を有する電気
化学検出器を用いて可逆電極反応を行う物質を選択的に
しかも高感度で検出するためには第1及び第2の作用電
極にそれぞれ酸化ピークが出終わる電位(Eea)および
再還元ピークが出終わる電位(Eec)を設定すればよい
ことになる。
次に、実際の測定においては、デュアルポテンシオスタ
ットを用い、2つの作用電極に目的物質が還元(又は酸
化)される電位及び再酸化(又は再還元)される電位を
参照電極に対してそれぞれ印加し、対極とそれぞれの作
用電極の間に流れる電流を同時に測定する。
第6図は試料として100μMフェリシアンイオンを、溶
媒としてMHPLCの移動相であるpH1.8のBritton-Robinson
緩衝液を用い、PODECの陰極及び陽極電位としてそれぞ
れ0.00Vと0.60V対Ag/AgClに設定して、理論式(1)、
(2)及び(3)の妥当性を調べたものである。なお、
電極としては幅0.2cm、長さ1.0cmのものを、流路高とし
ては30μmのものを用いた。実験値である各点はそれぞ
れの理論式から求めた実線とよく一致し、1.4〜11.2μl
/minの流速範囲で式(1)〜(3)が成立することが実
証された。また、PODECからの電流は流速依存性が小さ
いという特徴があることが判った。
第7図は第6図と同条件でPODECにおける電流増幅率及
び捕促率の流速依存性を調べたものである。この場合
も、実験値である各点は理論式(4)、(5)及び
(6)から求めた実線とよく一致した。流速1.4μl/min
での補促率は0.98と予想どおり極めて大きな値が得られ
た。実効電流増幅率は流速が11.2から1.4μl/minと小さ
くなるにつれて2.4から19.5と予想どおり大きく変化し
た。
第8図は応用例として、アルミナ抽出法を自動化したカ
テコールアミン直接分析システムに100pgのDHBAを標準
添加した限外ろ過血清200μlを注入して、PODECで検出
したクロマトグラムを示したものである。この場合、第
8図Aはクロマトグラフ流速を1.4μl/minとし、同図B
はそれを5.6μl/minとしたものであり、上部グラフaが
陽極電流、下部グラフbが陰極電流を示すものである。
なお、ピーク“1"はNA、“2"はAD、“3"はDHBAである。
以上のように、PODECにより酸化と還元を両電極間で繰
り返させることによって、電極反応が可逆又は準可逆で
ある物質(例えば、前述したP-アミノフェノール等、ビ
タミンK類、及びカテコールアミンのような生化学物質
等)を高感度かつ選択的に検出できることが明らかとな
った。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来の二電極薄層電解セルの構造及びそれにミ
クロ分離カラムを接続する態様を示すための分解側断面
図、第2図は第1図の電解セルのスペーサーの平面図、
第3図は本発明の実施例において用いられる対向並列二
作用電極式電気化学検出器の構造及びそれと分離カラム
との接続の態様を示すための分解側断面図、第4図は第
3図の検出器におけるスペーサーの正面図、第5図は本
発明の二作用電極式電気化学検出器のセル構造及び寸法
を原理的に示す略線図、第6図は理論式に従った実験結
果から電流の流速依存性を示すグラフ、第7図は理論式
に従った実験結果から電流増幅率及び補促率の流速依存
性を示すグラフ、第8図は応用例として本発明の検出器
により測定された血清中カテコールアミンのクラマトグ
ラム、第9図は設定電位を決定するために測定されたサ
イクリック半微分ボルタモグラムの一例を示す図であ
る。 (4)……参照電極 (6)……セル出口兼対極 (7)……スペーサー (8)……ミクロ分離カラム (11),(12)……並列対向式作用電極 (13),(14)……上下ダイフロン樹脂板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流路幅に比して流路高さが極めて小さいフ
    ローチャンネルを有し、前記フローチャンネルの上部板
    及び下部板の部分に一対の互いに対向した作用電極を設
    置し、これらの上下作用電極のおのおのにはフローチャ
    ンネル関連流路の適所に設けられた対極に関し目的成分
    である可逆又は準可逆反応物質の酸化電位及び還元電位
    をそれぞれ印加するようにした二作用電極式電気化学検
    出器を用い、この電気化学検出器に流量約数μl/min〜
    数10μl/minのミクロ高速液体クロマトグラフィーのカ
    ラムから溶出した試料流を流通させることにより前記一
    対の作用電極にそれぞれ流れる還元電流と再酸化電流の
    関係から酸化体目的成分を、または酸化電流と再還元電
    流の関係から還元体目的成分を分析することを特徴とす
    るミクロ高速液体クロマトグラフ分析法。
  2. 【請求項2】流路高さが流路幅の数10分1程度以下であ
    り、前記作用電極の流路方向の長さが前記流路幅の数倍
    であることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記
    載の分析法。
  3. 【請求項3】ミクロ高速液体クロマトグラフィーにおい
    て、生体試料中のカテコールアミンを分離することを特
    徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の分析法。
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GB0607205D0 (en) * 2006-04-10 2006-05-17 Diagnoswiss Sa Miniaturised biosensor with optimized anperimetric detection
JP5610033B2 (ja) * 2012-06-06 2014-10-22 パナソニック株式会社 1×10−8m以下の非常に低い濃度で試料溶液に含有される化学物質を正確に定量する方法

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