JPH0674279U - 回転工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 対象物に所望の処理を施す先端部の取り換え
を容易にした回転工具を提供する。 【構成】 所望の太さのドリル刃１６ｃを一つ選択す
る。選択したドリル刃１６ｃの太さが現在のものと異な
る場合、すなわちドリル刃１６ｃを交換する場合、現在
のドリル刃１６ｃをドリル刃収納シリンダ１４に収納す
る。つまりドリル刃固定用チャック１８を回転させドリ
ル刃固定部２０を緩め、現在のドリル刃１６ｃのドリル
刃アダプタ１６に対応するつまみ１６ａを指で上に摺働
させ、ドリル刃アダプタ１６を完全にドリル刃収納シリ
ンダ１４に収納する。次に選択したドリル刃１６ｃのド
リル刃アダプタ１６に対応するつまみ１６ａを指で下に
摺動させ、選択したドリル刃１６ｃをドリル刃固定部２
０から出してドリル刃固定用チャック１８を回転させド
リル刃固定部２０を締める。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、切削工具やドライバ等、先端部材が回転することで接触する対象物 に所望の処理を施す回転工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ハンドドリル、回転ボール盤、ドライバ、電動ドライバ等、先端部材が 回転することで接触する対象物に所望の処理を施す回転工具では、必要とされる 処理に応じて先端部材が取り換えられる。例えば、ハンドドリルや回転ボール盤 等、穴を開ける切削工具では異なる径を有するドリルの刃で、目的とする大きさ の穴を開けることになる。その際、ドリルの刃は回転工具本体とは別に揃えられ ており、操作を行う者がそれらのドリルの刃の内から目的とする大きさの径を有 するものを選択していた。選択されたドリルの刃は、それまで取り付けられたド リルの刃と付け換えて固定される。フライス盤やザグリを行う切削工具にしても 同様である。またドライバや電動ドライバ等でも同様であり、ねじがプラスであ るかマイナスであるか、あるいはねじの大きさはどの程度のものであるかによっ て、ねじの先端部材を付け換えて、接触する対象物としてのねじをねじ込んでい た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながらこのような従来の工具であると、先端部材の付け換え作業が面倒 で操作に時間がかかるという問題があった。 通常、物を組み立てる工程では、多種類の径の穴を開けたり、多種類のねじを ねじ込む操作が必要となる。そのような場合、接触する対象物に施す処理を考慮 して、先端部材の付け換え作業を行う必要がある。従来の工具で先端部材を付け 換えるのは非常に煩雑で時間のかかる作業である。また近年、身体障害者の社会 活動参加の活動が進められてきているが、身体障害者にとって先端部材の付け換 えはきわめて難しい作業となる。

【０００４】 本考案はこのような課題を解決するためになされたものであり、対象物に所望 の処理を与える先端部材の取り換えを容易にした回転工具を提供することを目的 とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するためになされた本考案は、 回転工具本体と、 上記回転工具本体に収納され、軸を中心に回転することで接触する対象物に所 望の処理を施す複数の先端部材と、 上記複数の先端部材の内から選択される一つの先端部材を上記回転工具本体の 下端部から押し出す選択部材と、 上記回転工具本体の下端部に設けられ、該回転工具本体と上記押し出された先 端部材の一つとを固定する固定部材とを備えることにより、 上記複数の先端部材の内から選択される一つの先端部材を上記回転工具本体の 下端部から押し出し該先端部材と回転工具本体とを上記固定部材により固定した 後に、該回転工具本体を回転させることにより該先端部材に回転力を与え接触す る対象物に該先端部材に対応した所望の処理を施すことを可能とする回転工具を 要旨としている。

【０００６】

【作用】

本考案の回転工具では、軸を中心に回転することで接触する対象物に所望の処 理を施す複数の先端部材が回転工具本体に収納されている。これら複数の先端部 材の内から選択される一つの先端部材が、選択部材により回転工具本体の下端部 から押し出される。押し出された先端部材は固定部材により回転工具本体の下端 部と固定される。そして回転工具本体を回転させることにより先端部材に回転力 を与え接触する対象物に所望の処理を施す。

【０００７】 例えば、ハンドドリルや回転ボール盤等であれば、回転工具本体を回転軸に設 置して、形成する穴の径に合わせて複数のドリルの刃を収納しておき、必要に応 じて取り換えればよい。回転工具本体内に格納されている先端部材を選択部材に より押し出し、固定部材で固定するだけの作業であるのできわめて容易にドリル の刃の取り換えができる。

【０００８】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基づき説明する。 図１は本考案の一実施例としての電動ドリル用の回転工具１０の全体斜視図で ある。

【０００９】 回転工具１０は、固定具１２、ドリル刃収納シリンダ１４、ドリル刃アダプタ １６、ドリル刃固定用チャック１８、ドリル刃固定部２０等を備えている。 回転工具１０は、ハンドドリルや卓上ボール盤等の回転軸に固定されることで 、金属や木に所望の大きさの穴を開ける工具である。回転工具１０全体が回転し て、回転工具１０のドリル刃固定部２０に固定されたドリル刃１６ｃが対象物で ある金属や木に所望の処理として、ドリル刃１６ｃの径に対応した穴を開けるこ とになる。

【００１０】 固定具１２は、回転工具１０をハンドドリルや卓上ボール盤等の回転軸に固定 する部分であり、固定ねじ１２ａを締めることにより回転軸と固定具１２とを固 定する。固定具１２はドリル刃収納シリンダ１４の上部に設けられており、環状 をなしている。

【００１１】 ドリル刃収納シリンダ１４は、複数のドリル刃アダプタ１６を収納するための 回転工具本体である。ドリル刃収納シリンダ１４は、固定具１２によりハンドド リルや卓上ボール盤等の回転軸に固定され、ドリル刃収納シリンダ１４全体が回 転して、ドリル刃固定部２０に固定されるドリル刃１６ｃに回転力を与える。ド リル刃収納シリンダ１４は円筒状をなしており、その側面には複数の細長窓１４ ａが縦に設けられている。これらの細長窓１４ａに対しては、ドリル刃アダプタ １６のつまみ１６ａが内から外に上下方向の摺動が可能な状態で嵌め込まれてい る。さらにドリル刃収納シリンダ１４の先端は先細の円錐状に形成されており、 先端にドリル刃固定用チャック１８が備えられている。細長窓１４ａおよびドリ ル刃アダプタ１６の数としては本実施例では１２個としている。細長窓１４ａお よびドリル刃アダプタ１６を幾つにするかついては目的に応じて所望の数だけを 設ければよい。

【００１２】 ドリル刃アダプタ１６は、つまみ１６ａ、ドリル刃１６ｃ等から構成される。 つまみ１６ａとドリル刃１６ｃとは、コイルばね１６ｂ（図３に示す）によりフ レキシブルに接続されている。ドリル刃アダプタ１６については図３に基づき後 述する。ドリル刃１６ｃとしては例えば、半径０．８〜３．０ｍｍ程度で０．２ ｍｍ単位で揃えた細いドリル刃を小さな穴を開ける為の回転工具１０として用意 しておけばよい。また他に中程度の太さのドリル刃や太いドリル刃を備えた回転 工具を用意しておいてもよい。また一つの回転工具１０で細いドリル刃から太い ドリル刃までを揃えたものを用意してもよい。

【００１３】 ドリル刃固定用チャック１８は、ドリル刃固定部２０と協働して、ねじ機構に よりドリル刃アダプタ１６のドリル刃１６ｃとドリル刃収納シリンダ１４とを固 定する固定具である。 ドリル刃固定部２０は、ドリル刃固定用チャック１８により中心に向かう力が 加えられ、ドリル刃１６ｃを押圧して締め付ける周知の固定部材である。

【００１４】 本実施例にて、ドリル刃１６ｃが先端部材、ドリル刃収納シリンダ１４が回転 工具本体、つまみ１６ａおよびコイルばね１６ｂが選択部材、ドリル刃固定用チ ャック１８およびドリル刃固定部２０が固定部材に該当する。 図２は、図１の回転工具１０のＡ−Ａ断面図である。図に示す通りドリル刃ア ダプタ１６は、つまみ１６ａを下に摺働することで、対応するドリル刃１６ｃが ドリル刃固定部２０の隙間から外部に出され、ドリル刃固定用チャック１８を回 転させることで、ドリル刃固定部２０とドリル刃１６ｃとを固定できる。

【００１５】 図３は、ドリル刃アダプタ１６を示している。ドリル刃アダプタ１６は、つま み１６ａ、コイルばね１６ｂ、ドリル刃１６ｃ等から構成されている。コイルば ね１６ｂは、伸縮自在なコイルばねである。１２個のドリル刃アダプタ１６は、 回転工具１０のドリル刃収納シリンダ１４に備えられており、指でつまみ１６ａ を摺働させることで、ドリル刃１６ｃをドリル刃固定部２０から押し出したり、 ドリル刃収納シリンダ１４に収納したりする操作が容易にできるよう構成されて いる。ドリル刃アダプタ１６はドリル刃収納シリンダ１４内で、つまみ１６ａお よび細長窓１４ａ、またはドリル刃アダプタ１６およびドリル刃収納シリンダ１ ４の内部の摩擦により所定の位置に備えられる。これは例えば、ドリル刃アダプ タ１６およびドリル刃収納シリンダ１４に係止部分を設けたり、磁石を設けたり することもできる。

【００１６】 次にこの回転工具１０を実際にどのように用いるかについて説明する。 まず最初に目的に応じて所望の太さのドリル刃１６ｃを１２種類の内から一つ 選択する。選択したドリル刃１６ｃの太さが現在ドリル刃固定部２０で固定され ているものである場合は、そのまま用いればよい。選択したドリル刃１６ｃの太 さが現在のものと異なる場合、すなわちドリル刃１６ｃを交換する場合、まず現 在のドリル刃１６ｃをドリル刃収納シリンダ１４に収納する作業を行う。

【００１７】 まずドリル刃固定用チャック１８を回転させ、ドリル刃固定部２０を緩める。 次に現在のドリル刃１６ｃのドリル刃アダプタ１６に対応するつまみ１６ａを指 で上に摺働させ、ドリル刃アダプタ１６を完全にドリル刃収納シリンダ１４に収 納する。

【００１８】 次に選択したドリル刃１６ｃのドリル刃アダプタ１６に対応するつまみ１６ａ を指で下に摺動させ、選択したドリル刃１６ｃをドリル刃固定部２０から押し出 してドリル刃固定用チャック１８を回転させドリル刃固定部２０を締めればよい 。

【００１９】 この一連のドリル刃１６ｃを交換する操作は、片手でも迅速にかつ容易に行う ことが可能である。 以上説明した通り本実施例の回転工具１０によれば、対象物としての金属や木 に穴を開けるという所望の処理を施すドリル刃１６ｃの取り換えを、きわめて容 易に行うことができる。

【００２０】 また本実施例の回転工具１０によれば、身障者が用いる場合でも片手で容易に 先端部材の交換ができ身障者の社会参加を奨励する意味でも好都合である。 尚本実施例では回転工具１０としてハンドドリルや卓上ボール盤等の電動ドリ ルについて説明したが、これは例えば、ドライバ、電動ドライバ等、先端部材が 回転することで接触する対象物に所望の処理を施す回転工具であればどのような 工具であっても構わない。

【００２１】 ドライバの先端部材とドリルの先端部材を一つの回転工具１０に混在させても よい。またザグリを行う切削工具を混在させてもよい。例えばドリル刃により木 板にガイド用の穴を開けて、ねじをねじ込むような作業を行う場合やザグリを行 う場合でも、工具を取り換えたり、中心を調整したりする作業が必要なくなり、 作業の効率が一層高くなる。

【００２２】 手動ドライバ等であれば、回転工具本体がそのまま取っ手の部分となり、一本 の手動ドライバで、多数分のドライバとしての機能を果たすことになる。この場 合の先端部材の取り換えも非常に容易である。また持ち運びにも、多数の先端部 材を運ぶ必要がなく便利である。その際のドライバの先端部材を交換する作業も きわめて簡単である。プラスドライバとマナスドライバとの先端部材を一本のド ライバに混在させてもよい。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明した通り本考案の回転工具によれば、操作者は、選択部材を操作する ことで回転工具本体内に格納された複数の先端部材の内から一つを選択して回転 工具本体の下端部から押し出して、固定部材により回転工具本体の下端部と固定 さればよい。すなわち対象物に所望の処理を施す先端部材の取り換えをきわめて 容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案一実施例としての回転工具の全体斜
視図である。

【図２】 そのＡ−Ａ断面図である。

【図３】 そのドリル刃アダプタの斜視図である。

【符号の説明】

１０・・・回転工具、１２・・・固定具、１４・・・ド
リル刃収納シリンダ、１４ａ・・・細長窓、１６・・・
ドリル刃アダプタ、１６ａ・・・つまみ、１６ｂ・・・
コイルばね、１６ｃ・・・ドリル刃、１８・・・ドリル
刃固定用チャック、２０・・・ドリル刃固定部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転工具本体と、 上記回転工具本体に収納され、軸を中心に回転すること
   で接触する対象物に所望の処理を施す複数の先端部材
   と、 上記複数の先端部材の内から選択される一つの先端部材
   を上記回転工具本体の下端部から押し出す選択部材と、 上記回転工具本体の下端部に設けられ、該回転工具本体
   と上記押し出された先端部材の一つとを固定する固定部
   材とを備えることにより、 上記複数の先端部材の内から選択される一つの先端部材
   を上記回転工具本体の下端部から押し出し該先端部材と
   回転工具本体とを上記固定部材により固定した後に、該
   回転工具本体を回転させることにより該先端部材に回転
   力を与え接触する対象物に該先端部材に対応した所望の
   処理を施すことを可能とする回転工具。
2. 【請求項２】 上記先端部材は、切削工具またはドライ
   バであることを特徴とする請求項１記載の回転工具。