JPH0674143A - 微細運搬システムまたは動力発生装置 - Google Patents

微細運搬システムまたは動力発生装置

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JPH0674143A
JPH0674143A JP22972892A JP22972892A JPH0674143A JP H0674143 A JPH0674143 A JP H0674143A JP 22972892 A JP22972892 A JP 22972892A JP 22972892 A JP22972892 A JP 22972892A JP H0674143 A JPH0674143 A JP H0674143A
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actin
nebulin
fine
power generator
filament
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JP22972892A
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Kenji Yasuda
賢二 安田
Shinichiro Umemura
晋一郎 梅村
Shinichi Ishiwatari
信一 石渡
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 筋蛋白を特異的に固定し、筋肉の動作原理を
効果的に用いた微細な機械装置の動力源または運搬手段
を提供すること。 【構成】 蛋白質、あるいは高分子などの配列中の特定
の部位にネブリンのアミノ酸残基の最小構成単位35残
基のn倍のアミノ酸残基を組み込んだ。蛋白質酵素分子
は、その合成過程において遺伝子組み替え技術により、
特定の運動を行わせたい部位にネブリンのアミノ酸残基
の配列の一部10を組み込ませておく。蛋白質酵素分子
は、合成された後、アクチンフィラメント7と結合させ
られ、その後に、相互作用するミオシン板1上でミオシ
ンと相互作用して運動を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微細運搬システムまたは
動力発生装置に係り、特に化学作用を用いて動力を発生
させる装置またはその動力発生要素の固定方法にかかわ
り、また、紐状蛋白のゴム弾性を利用して動力を制御す
る装置にかかわる。
【0002】
【従来の技術】従来用いられてきた機械的動力発生源
は、電気エネルギー、熱エネルギーを用いるものが主流
であり、一部には位置エネルギー、慣性質量の運動エネ
ルギー、超音波等の波動エネルギーや光エネルギーを用
いるものもある。
【0003】これら従来の動力発生装置では、動力発生
部品は消耗品であり、磨耗、酸化等により一定の利用期
間を経ると、正常に動作しなくなってしまう。そのた
め、容易に部品を交換できない動力発生装置や、動作信
頼性を要求される動力発生装置においては、従来の技術
では存在しない自己修復能力を持つ動力発生装置の必要
性が技術の進歩に伴ってますます大きくなるものと思わ
れる。
【0004】ところで、従来より研究されている筋蛋白
の構成要素アクチンとミオシンの相互作用による運動系
を用いれば、特開昭61-135672、同61-135
989、同62-669等にも示されているように従来
の動力源よりはるかに小さいトルクリップルの動力が得
られることがわかっており、この運動系が微細な系の中
での運搬、動力源として優れていることは周知の事実で
ある。しかし、従来の技術においては、筋蛋白アクチン
を固定する方法について、直接セラミックス、高分子膜
等の上に付着、成長させる方法等が主流であり、この場
合、アクチンと固定板との結合は、偶然に頼らなくては
ならず、アクチンを特定の形状に成長させたり、アクチ
ンフィラメント1本を効果的に特定の形状で静止部材あ
るいは可動部材の特定の部位に接合させたり、蛋白質の
特定の部位に直接接合させることは困難である。
【0005】さらに、従来の筋蛋白を応用した動力発生
装置では、その駆動を制御する手段がなく、この装置系
の実用化のためには、この装置の運動、停止のみなら
ず、段階的な力発生を可能にすることが必要である。
【0006】また、水溶液中で行わせる化学反応や酵素
反応についても、従来は、微細触媒、酵素等を溶媒中に
自由に浮遊させて反応させたり、固定化酵素を用いる方
法が利用されているが、従来の技術においては、効果的
に触媒、酵素等特定の物質を目的とする場所に直接移
動、運搬、分別することは、非常に困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来不可能
であった微細な動力発生装置系または運搬装置系に非機
械的動力源を特定の形状で自在に提供するとともに、微
細な物質、蛋白質、高分子等の効果的な微細運搬手法を
提供することを目的とするものである。また、従来の電
源供給、スイッチ類の問題に依存しない微細運動装置
系、または動力発生装置を提供することを目的とするも
のである。さらに、従来の機械工作技術の精度、または
微細加工の限界に依存しないバネを提供することを目的
とするものである。そして、従来不可能であった自己修
復能力を持つ微細運動装置系または動力発生装置を提供
することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、筋蛋白を特定の部位に特異的に固定し、
筋肉の動作原理を効果的に用いて動力を発生させること
を特長とする。また、本発明による装置は、生物的動力
源または、筋肉中に存在するアクチンフィラメント固定
蛋白のアミノ酸残基配列をもつ物質により構成される。
【0009】本発明で用いた、筋肉の動作原理に基づい
た動力発生のメカニズムについては、特開昭61-13
5672、同61-135989号あるいは同62-66
9などにも述べられているように、重合してフィラメン
トとなったアクチン分子と、単体あるいは重合体のミオ
シン分子のATP加水分解を伴った相互作用による、化
学エネルギーから機械エネルギーへのエネルギー変換に
よるものである。
【0010】筋蛋白アクチンの固定手段については、筋
蛋白の一つであるネブリンを用いる。また、ミオシンの
固定手段については、部材上に直接、あるいは、表面処
理をして、これにミオシンを接着する。
【0011】動力装置、あるいは微細運搬装置系の運動
方向を制御するためには、動力装置の可動部材の運動方
向、あるいは運搬装置のレール上の運動を、これらアク
チンの固定の形状をネブリンによって制御することによ
って決める。
【0012】微細粒子、例えば酵素蛋白質を運搬できる
ようにするためには、この中にネブリンのアミノ酸残基
の一部を組み込み、アクチンと結合させることでこれら
微細粒子に運動機能を持たせる。
【0013】上記目的にある動力エネルギー供給の問題
については、動力発生システムとして筋蛋白を用いたこ
とにより、動作エネルギー源を、直接環境溶液より供給
し、特別な配給配線系が必要ないようにする。
【0014】スイッチに関しても、アクチンにカルシウ
ム感受性の力発生制御蛋白トロポニン、トロポミオシン
系を付加させることにより、微細なスイッチ回路を組む
ことなく局所カルシウム濃度の変化に応じて動力発生装
置の力の発生を変化させることができるようにする。さ
らに、環境溶液中のATPが存在しない環境にすること
により、動力発生装置において効果的なブレーキロック
ができるようにする。
【0015】また、発明者らは、ネブリンの特性を詳し
く調べた結果、ネブリンがその構造の特異性のためにゴ
ム弾性を持つことを発見した。この特性を生かすべく、
適当な長さのネブリンのアミノ酸残基を用いれば、従来
の精密加工では得られない大きさと、精度を持ったバネ
を、動力発生装置、または運搬装置系その他に用いるこ
とができる。
【0016】自己修復能力を持つ装置系については、ア
クチンがネブリンという鋳型によって固定されているこ
とにより、自動的にその能力は実現される。
【0017】
【作用】図1に、本発明における基本構成の模式図を示
す。適当な長さのネブリン残基6にアクチン分子の重合
体であるアクチンフィラメント7を結合させる。これ
を、ミオシン18を固定した基板1の上に置くと、アク
チンフィラメント7はその一端(ポインテッドエンド)
16方向に力17を発生する。
【0018】ネブリン6は骨格筋中に存在する分子量8
00キロドルトンの巨大紐状蛋白質分子で、アミノ酸残
基配列35残基毎に同様なアミノ酸残基配列を繰り返し
ており、このアミノ酸35残基につきアクチン分子1個
が結合できる。従って、遺伝子操作等によりネブリンの
アミノ酸残基を35残基のn倍の長さだけ合成すること
によって、n個のアクチン分子よりなるアクチンフィラ
メントを固定させることが出来る。
【0019】ミオシン分子は単体であっても重合体であ
っても運動方向について特異性を持たないが、アクチン
分子は重合してフィラメントとなったとき、初めてフィ
ラメントの一方の端(ポインテッドエンド)16方向に
特異的に運動する能力17を持つ。
【0020】そこでネブリンまたは遺伝子組み替え操作
により任意の長さに調節されたネブリンの変異体を利用
し、これを用いてアクチンを様々な方向に様々な長さで
固定することにより、微細な物質の運搬または動力発生
装置の可動部材の運動方向を制御する。
【0021】また、ネブリンのアクチンとの結合性は、
ネブリンのアミノ酸残基配列の35残基毎の繰り返し構
造によるので、この残基の繰り返し構造を、高分子表
面、蛋白質分子等の一部分に遺伝子操作やレーザートラ
ップ等の顕微操作、その他の操作によって、目的とする
形状に組み込むことで、これらの物質を固定し、設計し
た方向に運動させることができる。より具体的には、蛋
白質にネブリンを組み込む場合は、ネブリンを組み込み
たい蛋白質のcDNA中の、ネブリンを組み込ませたい
部位のcDNAの部分に、HNd4等のネブリンcDN
Aの一部を組み込むことによって実現する。高分子中に
ネブリンを組み込む場合は、ネブリンのアミノ酸配列主
鎖の各々の末端のアミノ基、カルボキシル基と、基盤と
なる高分子とを脱水反応を用いて共有結合させてペプチ
ド結合によって固定する。
【0022】アクチンがネブリンという鋳型によって固
定されていることにより、アクチンフィラメントの一部
が変性脱落した場合にも、外部から供給された新たなア
クチンが、自動的に自己重合し、脱落部分を修復する。
これらネブリンとアクチンの持つ性質によって、ネブリ
ンとアクチンを用いた動力発生装置または運搬装置系に
おいては、環境溶液中に、補給用のアクチン分子を入れ
ておくことによって、自動的に自己修復能力を持った装
置系が実現できる。
【0023】この動力系において、アクチンの力発生
は、アクチンに付加した力発生制御蛋白トロポニン、ト
ロポミオシン系に結合するカルシウムイオンの濃度に依
存してS字状に発生し、pCa6.0程度で力発生系に
損害を与えない程度で十分な力を発生させることができ
る。従って、2mM程度のATPが存在する循環溶液中
で、カルシウムイオン濃度を調節することによって、自
在に発生力を調節できる。また、循環溶液中のATPを
除去することによって、アクチンとミオシンは硬直状態
になり、クロスブリッジを形成して互いに固く結合す
る。これにより、アクチンと結合した部材とミオシンと
結合した部材は固く固定され、効果的なブレーキロック
が簡単に実現される。
【0024】さらに、ネブリンはそのアミノ酸残基配列
のためにゴム弾性を示すことから、マイクロメートル未
満の動力発生装置に組み込むことで、10ナノメートル
単位の微細なバネとしての機能を果たすことができる。
特に、高分子、蛋白質等を用いた動力発生装置では、そ
の残基配列の中にこの特性を組み込むことにより、安定
した材質のバネ要素として利用することができる。
【0025】
【実施例】図2および図3に、以上で述べた本発明によ
る基本構成を適用した微細運搬システムまたは動力発生
装置の第1の実施例を示す。これは、アクチンを可動部
材に円形に固定することにより、可動部材の回転運動を
取り出すことを特徴とした実施例の1つである。
【0026】図2は、その模式図である。装置は、静止
板部1と、回転板部2からなり、これらは、ATPを含
んだ溶液3の満たされた容器4の中に置かれている。2
0は循環溶液入口、21は循環溶液出口である。図3
は、その装置における回転板2の上面図である。回転板
の表面は、ガラス、シグマコート等の疎水的表面状態に
なっており、ネブリンが付着しやすい状態に加工されて
いる。
【0027】最初に、ネブリンのアミノ酸繰り返し周期
構造の最小単位であるアミノ酸35残基のcDNAを用
いて必要な長さのネブリンを遺伝子組み替え操作によっ
て得る。より詳細には、ヒト骨格筋ネブリンの4.5k
bのcDNAであるHNd4より切り取ってきた適当な
長さのcDNA断片(例えばHNd4nB5、HNd4
nA3など)をpET3dベクターに組み込み、E.c
oliを用いて適当な長さのネブリン断片を合成する。
次に、合成したネブリンに適度な量のセルロースビーズ
を混合し付着させレーザートラップ等の手法によって、
回転板上の希望の位置にネブリンを移動させ、円状に接
着する。接着させる際には、アクチンの方向をp端側に
揃えるために、アクチンの自走性を用いる。ミオシンを
塗布した板の中央にアクチンを滴下し、走ったアクチン
をこの板の末端で、走る方向に合わせて分別する。次
に、ネブリンを希望したアクチンp端の方向に向け、こ
れら分別したアクチンのなかで、希望の方向にp端が配
向した集団と結合させる。それから、臨界濃度のアクチ
ンを加えて、ネブリンと結合したアクチン断片から、ア
クチンを重合成長させ、最終的にネブリンの鋳型と同じ
形状を持った、進行方向の揃った円形のアクチンレール
7ができる。
【0028】他方、固定板の表面も、酸化シリコン被
膜、ニトロセルロース膜、ポリプロピレン膜など、ミオ
シンを付着させ易い表面処理を行ったうえでミオシンを
付着させる。このようにして出来た、回転板2を、溶液
3が満たされた容器4の中に固定された固定板1の上に
乗せると、回転板2は、回転運動を行う。
【0029】また、このアクチンレール7は、酸化等に
よって欠落して断裂した場合にも、ネブリンのバンド6
が残っているかぎり、これがアクチン重合の鋳型となっ
て溶液3中のアクチンを取り込んで再生するため、自己
修復能力を持つ。特に、酸化等により変性したアクチン
はミオシンと強く接合してしまい、回転板の回転によっ
てアクチンレールより引きはがされてしまうので、容易
に変性アクチンを分別することができる。
【0030】さらに、本装置では、溶液噴射装置25か
ら、回転板の中央に開けられた穴19を通して、動力発
生装置へ、常に溶液が供給されるようにしてある。22
は溶液の流れを示す。本装置の溶液は、50mM塩化カ
ルシウム、4mM塩化マグネシウム、2mMATP、2
0mMMOPS(pH7.0)、4mMEGTAより構
成されており、動力を発生させるときは、この溶液にp
Caが6.5程度になるようにカルシウムイオンを添加
する。これにより、アクチン1分子とミオシン1分子の
相互作用につき、1pNの力が発生する。逆に、ブレー
キロックするときは、溶液からATPを取り除いたもの
を流すようにする。
【0031】図4に、本発明による基本構成を適用した
微細運搬システムまたは動力発生装置の第2の実施例の
模式図を示す。これは、ネブリンとアクチンによって作
られたレールを使って物質を移動させることを特徴とし
た実施例の1つである。
【0032】溶液3の満たされた容器4の底面に固定さ
れた静止部材26の上に図2の例と同様な手法で任意の
形でネブリンを固定した後、アクチンレール7を引き、
その上をミオシンでコートされたセルロースビーズな
ど、ネブリン-アクチンレール上を運動、輸送できるよ
うな小さなミオシン構造物8を乗せて移動させる。20
は循環溶液入口、21は循環溶液出口、23はレーザー
光源、24はレーザー光、25は溶液噴射装置である。
【0033】環境溶液中には、第1の実施例の場合と同
様に、50mM塩化カルシウム、4mM塩化マグネシウ
ム、2mMATP、20mMMOPS(pH7.0)、
4mMEGTAが含まれており、さらに、2mMのケー
ジドカルシウム(caged-Ca)が、含まれてい
る。ケージドカルシウムは、ある一定の強度以上の光を
受けることによって、カルシウムイオンを放出するカル
シウム複合体である。そこで、移動させたいセルロース
ビーズの位置にレーザーを当て、カルシウムイオンを放
出させることで、ビーズを移動させることができる。
【0034】また、ネブリンを固定する基盤に、高分子
を用いて、この高分子の側鎖に生えたアミノ基とカルボ
キシル基に、ネブリンの主鎖のアミノ基とカルブキシル
基を脱水反応で共有結合させることで、固定することが
できる。
【0035】図5に、本発明による基本構成を適用した
微細運搬システムまたは動力発生装置の第3の実施例の
側面からの模式図を示す。これは、蛋白質、高分子等の
微細な分子の特定の部位にネブリンのアミノ酸残基を組
み込むことによって、これらの分子に運動性を持たせる
ことを特徴とした実施例の1つである。蛋白質酵素分子
9に、その合成過程において遺伝子組み替え技術によ
り、ネブリンのアミノ酸残基の配列10を組み込ませて
おく。蛋白質分子9は、合成された後、ネブリンのアミ
ノ酸残基の部分でアクチンフィラメント7と結合させら
れ、その後に、相互作用するミオシン板1上でミオシン
と相互作用して運動する。
【0036】図6に、本発明による基本構成を適用した
微細運搬システムまたは動力発生装置の第4の実施例の
側面からの模式図を示す。これは、ネブリンのゴム弾性
を利用して作られた往復運動機関の1つの実施例であ
る。カルシウムの存在しない絶えず循環している溶液3
で満たされた容器4中において、十分長いネブリン6の
一端をネブリン固定板11に固定する。次にゲルゾリン
15などで末端をキャップされて重合成長を阻害された
アクチンフィラメントを遠心機で分離し、適度の長さの
アクチンフィラメントを単離する。
【0037】これを第2図で行ったのと同様な方法でネ
ブリンの他方の末端に固定する。このアクチンフィラメ
ントにトロポニン、トロポミオシン13等のカルシウム
感受性アクチン運動制御蛋白を40度の水溶液中で付加
させた後、ミオシンを塗布した固定板1の間に挟み込
む。
【0038】これによって、アクチンフィラメントは、
カルシウム噴射装置14よりカルシウムが供給されると
きのみ力を発生しミオシン板1上を前進してむき出しの
ネブリン6を引っ張り引き伸ばす。カルシウム噴射装置
よりカルシウムの供給が止ると拡散および溶液の循環に
よって、アクチン7の周辺のカルシウムは速やかに取り
除かれ、アクチンはカルシウム感受性アクチン運動制御
蛋白13に阻害されてもはや力を発生し続けることが出
来ず、引き伸ばされたネブリン6のゴム弾性によって引
き戻され、アクチンの往復運動が実現される。
【0039】そこで、例えばてこ12などをアクチンに
取付けることによりアクチン1本の往復運動を仕事とし
て取り出すことの出来る100ナノメートル程度の大き
さの往復運動機関が可能となる。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の生物的ある
いは化学的動力源を生物的固定方法によって固定する動
力発生装置によって、極めて容易にマイクロメートル規
模のシステムの中で、運動の制御が可能になった。ま
た、蛋白質酵素等の従来特異的に運動させることが不可
能であった微細粒子を任意の方向に運搬させることが可
能になった。さらに、この手法によって、溶液中の酵
素、触媒反応について、数種の触媒を順次、反応部位に
移動させ一連の反応を連続して行うことが可能になっ
た。そして、蛋白質ゴム弾性部材の利用によって、従来
の加工技術では実現不可能な大きさと、精度を持った1
00ナノメートル規模の微細なバネを利用することが可
能になった。また、生物的動力源とこの構成要素を固定
する鋳型蛋白を利用することによって、不良部の自己修
復が可能な動力発生装置を作ることができるようになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による基本構成を示す模式図。
【図2】本発明による基本構成を適用した動力発生装置
の第1の実施例を示す模式図。
【図3】図2の模式図の動力発生装置のアクチン板の上
面図。
【図4】本発明による基本構成を適用した動力発生装置
の第2の実施例を示す模式図。
【図5】本発明による基本構成を適用した動力発生装置
の第3の実施例を示す模式図。
【図6】本発明による基本構成を適用した動力発生装置
の第4の実施例を示す模式図。
【符号の説明】
1…ミオシンを塗布した固定板、2…アクチンを固定す
る回転板、3…溶液、4…容器、5…酸化被膜、6…ネ
ブリン35残基、7…アクチン分子、8…ミオシンビー
ズ、9…蛋白質酵素分子、10…ネブリン断片、11…
ネブリン固定板、12…てこ、13…トロポニン・トロ
ポミオシン系蛋白質、14…カルシウム噴射装置、15
…ゲルゾリン、16…アクチンフィラメントポインテッ
ドエンド、17…力の向き、18…ミオシンヘッド、1
9…溶液注入口、20…循環溶液入口、21…循環溶液
出口、22…溶液の流れ、23…レーザー光源、24…
レーザー光、25…溶液噴射装置、26…アクチンを固
定する固定板。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】特定の部位に、アクチン結合性蛋白質分子
    ネブリンのアミノ酸残基配列の一部を組み込んだことを
    特徴とする蛋白質、合成高分子等の物質。
  2. 【請求項2】静止部材と可動部材とを備え、一方の部材
    に固定されたネブリンに付着させたアクチンフィラメン
    トと、他方の部材に付着させたミオシンとを具備するこ
    とを特徴とする微細運搬システムまたは動力発生装置。
  3. 【請求項3】特定の部位に組み込まれたアクチン結合性
    蛋白質分子ネブリンのアミノ酸残基配列の一部を有する
    物質のネブリンに、筋蛋白アクチンフィラメントを特異
    的に固定させたことを特徴とする請求項2項記載の微細
    運搬システムまたは動力発生装置。
  4. 【請求項4】静止部材上あるいは可動部材上に、ネブリ
    ンを平行に付着させることにより、アクチンフィラメン
    トを同一方向に配向させることを特徴とする請求項2記
    載の微細運搬システムまたは動力発生装置。
  5. 【請求項5】静止部材上あるいは可動部材上に、ネブリ
    ンを任意の形状に付着させることにより、アクチンフィ
    ラメントを任意の形状に固定させることを特徴とする請
    求項2記載の微細運搬システムまたは動力発生装置。
  6. 【請求項6】静止部材上に任意の形状にネブリンを付着
    させることでアクチンフィラメントを任意の形状に固定
    し、これを輸送のレールとして利用し、ミオシンを付着
    させた可動部をレールに沿って移動させることを特徴と
    する請求項5記載の微細運搬システムまたは動力発生装
    置。
  7. 【請求項7】ネブリン、またはそれと同様のアミノ酸残
    基配列を有する蛋白質あるいは高分子物質を、主たる構
    成要素とするゴム弾性体。
  8. 【請求項8】可動部材と静止部材とのあいだに挿入する
    ことを特徴とする請求項7記載のゴム弾性体を主要な構
    成要素とする微細運搬システム、動力発生装置または駆
    動装置。
  9. 【請求項9】ネブリン等のアクチン重合鋳型を用いるこ
    とにより、自己修復機能を持つべく構成したことを特徴
    とする微細運搬システムまたは動力発生装置。
  10. 【請求項10】アクチンとミオシンを用いた動力発生装
    置において、このアクチンに動力発生制御蛋白質を付加
    させたことを特徴とする微細運搬システムまたは動力発
    生装置。
  11. 【請求項11】動力発生制御蛋白質としてトロポニン、
    トロポミオシン系を付加させたことを特徴とする請求項
    10記載の微細運搬システムまたは動力発生装置。
  12. 【請求項12】カルシウムイオンが存在しない溶液と、
    カルシウムイオンが存在する溶液を循環させる機能を有
    し、溶液中のカルシウムイオン濃度を調節する機能を有
    することを特徴とする請求項10記載の微細運搬システ
    ムまたは動力発生装置。
  13. 【請求項13】アクチンとミオシンの機能維持のための
    溶液中にATPが存在しない溶液を循環させる機能を有
    することを特徴とする請求項10記載の微細運搬システ
    ムまたは動力発生装置。
  14. 【請求項14】ケージドカルシウムを含んだ水溶液と、
    レーザー光源と、レーザー光を可動部に照射する手段を
    有することを特徴とする請求項10記載の微細運搬シス
    テムまたは動力発生装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006095651A1 (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Ntt Docomo, Inc. 分子通信システム
JP2006321719A (ja) * 2005-05-17 2006-11-30 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 構造体及びその作製方法

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