JPH0673983B2 - 感圧記録媒体 - Google Patents

感圧記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はタイプライター等の感圧記録装置に用いる感圧
記録媒体に関する。更に詳しくは、記録時におけるイン
パクト圧もしくはインパクトエネルギーが小さくても、
良好な転写性能を示すように成した新規な感圧記録媒体
に関するものである。
〔従来の技術〕
従来より、タイプバーあるいはプリントボール等による
インパクト圧を利用して印字を行なうタイプライターが
広く使用されており、またこれらタイプライターに用い
られるコレクタブルインクリボン等の種々の感圧記録媒
体も知られている。しかしながら、近年、印字作業の低
騒音化への要求が高まり、前述のタイプバーあるいはプ
リントボールに代ってデイジーホイールを利用したタイ
プライターが広く採用されるようになっている。デイジ
ーホイールを利用したタイプライターは、タイプバーあ
るいはプリントボールを利用したタイプライターのよう
な強いインパクト圧によって活字を打ちつける印字方法
ではなく、低騒音化に適するような、いわば軽く押し付
けるようなインパクト方式のものであるが、これにして
も未だ低騒音化への要求を十分に満たしているとは言え
ず、インパクト圧やインパクトエネルギーの更なる低減
化への努力がなされている。
ところで、上記コレクタブルインクリボン等の従来、特
公昭50-40054公報等に提案されている感圧記録媒体は、
一般にはフイルム状の基材を用い、該基材上にフイルム
形、即ち、重量平均分子量が一般に20000以上の高分子
量の樹脂ならびに該樹脂に対して実質的に非相溶である
オイルを主成分とするインク層を積層したものとして構
成されるが、このような感圧転写記録媒体においては、
弱いインパクト圧や低いインパクトエネルギーで印字を
行うと、文字欠け等の転写不良がしばしば発生し、満足
すべき鮮明な印字像を得ることが困難であった。また、
このような弱いインパクト圧や低いインパクトエネルギ
ーで印字を行った際に、紙などの被着体上に得られる印
字像は、被着体表面に印字像が弱く付着しているだけの
状態であるために、例えば摩擦や折り曲げ等の力が加わ
ると印字像が容易に剥離してしまうと言った問題も生じ
る。
〔発明が解決しようとしている問題点〕
本発明は上記の諸点に鑑み成されたものであって、本発
明の主要な目的は、上述した従来の感圧記録媒体の問題
点を解消し、弱いインパクト圧や低いインパクトエネル
ギーの印字にても十分に鮮明な印字像を形成することが
でき、更には被着体への密着性も良好な転写性能に優れ
た感圧転写記録媒体を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、以下の本発明によって達成され
る。
インク層を基材に保持してなる感圧記録媒体において、
前記インク層が、ダイマー酸を酸成分として74mol％以
上含有し、且つ重量平均分子量が4000〜9500の範囲にあ
るポリアミド樹脂を含有することを特徴とする感圧記録
媒体。
〔作用〕
本発明の感圧記録媒体に用いるポリアミド樹脂は、ダイ
マー酸を酸成分として74mol％以上含有し、かつその重
量平均分子量が4000〜9500の範囲にあるものである。本
発明の感圧記録媒体では、転写性能が向上し、弱いイン
パクト圧や低いインパクトエネルギーでも文字欠け等の
ない良好な記録を行うことができ、更には転写不良の一
因となる基材背面へのインク層の移行、所謂裏移りなど
も解消することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、以下の特定材料
の作用に関しての説明は、それら材料の完全なる相互作
用については十分に解明されていないので、現在理解さ
れる限りにおいて示されているものである。
本発明に用いるダイマー酸が74mol％以上と多く含まれ
ているため（重量平均分子量）／（数平均分子量）で示
される「分散度」が非常に小さく、鎖長の均一性が優れ
ており、このことが本発明の感圧記録媒体に優れた印字
性能、特に文字切れの良さや、シヤープさを付与し、か
つ種々の環境下における印字性能や保存安定性などの耐
環境特性をも向上させた一因になっているものと類推さ
れる。また、本発明に用いるポリアミド樹脂は、従来の
感圧記録媒体において主として裏移り防止や皮膜性の強
化のために用いられている重量平均分子量が20000以上
の樹脂バインダーとは異なり、重量平均分子量を4000乃
至9500としているが、このことがインク層の凝集力を低
下させ、弱いインパクト圧や低いインパクトエネルギー
にても良好な印字性能を確保するとともに、上記分散度
が小さいこととあいまって裏移りや皮膜性についても十
分満足するものが得られたものと思われる。
本発明の感圧記録媒体は、ポリアミド樹脂をインク層中
に好ましくは35〜50重量％、特に好ましくは38〜45重量
％含有する。
また、感圧記録媒体のインク層中には、バインダーとし
ての上記ポリアミド樹脂の他に、従来の感圧記録媒体に
おけると同様に必要に応じて各種のオイルが含有されて
いてよい。感圧記録媒体における上記オイルは、樹脂を
もろく砕け易いものにするとともに、インク層と基材と
の界面に薄層を形成して、インク層と基材との密着性を
低下させる機能、あるいはインパクト時に上記オイルの
境界層が凝集破壊することにより、インク層を被着体と
接着させて良好な印字を行う機能を有すると考えられて
いるが、このようなオイルの作用は本発明においても同
様である。
本発明に用いる好ましいポリアミド樹脂はアミン成分、
例えば各種ジアミン（好適にはC2〜C10の直鎖のジアミ
ン）と脱水縮合することによって得られるものである。
また、ポリアミド樹脂の酸成分として、ダイマー酸を94
mol％以上含有するものが好適であり、またその重量平
均分子量が7000〜8500の範囲にするものが好適である。
好ましいダイマー酸としては、リノール酸又はオレイン
酸を２量化したもの、あるいはリノール酸とオレイン酸
を２量化したものなどが挙げられる。
また、ポリアミド樹脂の酸成分として、ダイマー酸以外
に、例えば単官能、三官能の他の酸成分を含有してもよ
い。このような他の酸成分を含有する場合には16mol％
を越えない範囲で含有させるのが好適である。
本発明の感圧記録媒体を構成するに際しては、例えば従
来の感圧記録媒体に用いられる公知のプラスチツクフイ
ルム等の種々の材質、形状の基材を広く使用することが
できるが、好適にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエチレンテレフタレート、アラミド等のプラスチツク
フイルムが挙げられる。基材厚さとしては、インク層積
層方向で３〜15μｍ程度が好適である。
上記基材に積層するインク層中に含有させるポリアミド
樹脂は、前述の如くに酸成分としてのダイマー酸を74mo
l％以上含有し、好ましくはアミン成分として各種ジア
ミン、好適にはC2の直鎖のジアミン（エチレンジアミ
ン）を脱水縮合することによって得られるものである。
このようなポリアミド樹脂は、それ自身、特定の物理的
および化学的特性を有しているが、本発明においては重
量平均分子量（Mw）が4000乃至9500のものが用いること
が必要であり、好ましくは数平均分子量（Mn）が2500乃
至5000、軟化点が110℃乃至150℃、1gにつきKOHで1.0mg
以下の酸価および1gにつきKOHで3.0mg以下のアミン価を
有するものである。中でもダイマー酸系のポリアミド樹
脂で、Mwが約8000、Mnが約4500、軟化点約135℃、1gに
つきKOHで約0.5mgの酸価および1gにつきKOHで約2.0mgの
アミン価のものが特に好ましい。
上記樹脂とともに用いるオイルとしては、例えば鉱油、
ｎ−パラフイン、アマニ油、ナタネ油、レシチン、ヒマ
シ油、綿実油、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸イソプ
ロピル、イソセチルステアレート、ポリエチレングリコ
ールなどの１種または２種以上の混合物などが挙げられ
る。
本発明の感圧記録媒体のインク層は、上記の如きポリア
ミド樹脂に必要に応じてオイルや着色材を含有させたも
のとして構成される。着色材としては、例えばカーボン
ブラツクなどに代表される各種の顔料および染料等が挙
げられ、基材上に積層するインク層の厚さとしては、１
〜５μｍ程度が好適である。もちろん、インク層には上
記オイルや着色材の他、必要に応じて従来の感圧記録媒
体に用いられている各種の添加剤を含有させることは差
しつかえない。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、
本発明は係る実施例のみに限定されるものではない。
実施例１ インク組成物 配合成分 配合割合（重量部） ポリアミド樹脂 60 変性剤（ナタネ油） 22 可塑剤（ステアリン酸ブチル） 38 着色剤（カーボンブラツク） 15 重量平均分子量（Mw）8000、酸成分としてのダイマー酸
（ここでは、リノール酸とオレイン酸との二量体）を95
mol％含有するポリアミド樹脂を用い、該樹脂50重量部
を約５分の４のイソプロパノールと約５分の１のトルエ
ンからなる混合溶剤に溶解させた後、これに変性剤、可
塑剤とカーボンブラツクを上記の部数加え、アトライタ
ーにて２時間撹拌粉砕すうことによって均一組成の上記
インク組成物を得た。
これを厚さ14μｍの高密度ポリエチレンフイルム基材に
塗布した後、8mm巾に切断することによって、インクリ
ボンとして形成された本発明の感圧記録媒体を得た。
尚、塗布量は、乾燥後の重量が約3.0g/m2となるように
した。また、上記ポリアミド樹脂のダイマー酸以外の酸
成分はマロン酸とし、アミン成分としてはC2のジアミン
とした。また、このポリアミド樹脂のMnは約4500、軟化
点は約135℃、1gにつきKOHで約0.5mgの酸価と約2.0mgの
アミン価を有する。
このインクリボンをデイジーホイール型の電子タイプラ
イター（キヤノン（株））製商品名:AP-560）に装置
し、インパクトエネルギー２〜25mJ/mm2で記録を行った
結果を第１表に示すが、文字欠けや裏移りのない良好な
印字像が記録用紙上に得られた。
尚、第１表にはインパクトエネルギーが3.0mJ/mm2の場
合のみを例示した。
実施例２ インク組成物 配合成分 配合割合（重量部） ポリアミド樹脂 50 鉱油（流動パラフイン） 43 可塑剤（ラウリン酸イソプロピル） 17 着色剤（カーボンブラツク） 15 いんぺい剤（シリカ） ６ 上記インク組成とする以外は実施例１と同様にして、実
施例１と同様のインクリボンを得た。
実施例３〜４ ダイマー酸の含有量を74mol％〜90mol％とする以外は実
施例１と同様にして、実施例１と同様のインクリボンを
得た。
比較例１ ダイマー酸の含有量を70mol％としたポリアミド樹脂を
用いる以外は実施例１と同様にしてインクリボンを得
た。
このインクリボンの記録特性を実施例１と同様に評価し
た結果を第１表に示す。
この第１表から明らかなように、ポリアミド樹脂のダイ
マー酸の含有量と印字性能には明白な関係が見られ、ダ
イマー酸含有量74mol％以上の本発明の感圧記録媒体で
は、3.0mJ/mm2程度の低いインパクトエネルギーにても
良好な印字性能を示し、裏移りの発生もなかった。
実施例5,6 ポリアミド樹脂の重量平均分子量を第２表の如くに4000
および9500とする以外は実施例１と同様にしてインクリ
ボンを得た。
このインクリボンの記録特性を実施例１と同様に評価し
た結果を第２表に示す。
比較例２および３〜５ ポリアミド樹脂の重量平均分子量を第２表の如くに300
0、10000、15000および20000とする以外は実施例１と同
様にしてインクリボンを得た。
このインクリボンの記録特性を実施例１と同様に評価し
た結果を第２表に示す。
この第２表から明らかなように、平均重量分子量が4000
〜9500の本発明の感圧記録媒体は、良好な印字性能を示
し、裏移りの発生もなかった。
これに対して重量平均分子量が9500を越えるものには文
字つぶれ等が発生し、印字性能が低下した。これは重量
平均分子量の増加にともなってインク層の凝集力が増大
し、弱いインパクト圧では鮮明な文字の印字ができなく
なったものと考えられる。
また、重量平均分子量が4000未満のものは印字性能は良
好であったものの、裏移りが発生した。これは分子量の
低下にともなってインク層の皮膜性が低下したことによ
るものと考えられる。
比較例６ 実施例１のポリアミド樹脂を塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体とする以外は実施例１と同様にして、従来型の感
圧記録媒体を作成した。
この記録媒体の記録特性を実施例１と同様に評価したと
ころ、良好な印字像を得るには最低でも15mJ/mm2のイン
パクトエネルギーを必要とし、これより少ないインパク
トエネルギーでは文字欠け等の印字不良を生じた。
なお、上記各実施例において、重量平均等分子量測定は
以下の様にして行った。
機種：日本分光社製，商品名：「トリローターII」 カラム：商品名:Shodex GPC A-800P,A-802,A-804 （昭和電工社製） キヤリアー：テトラヒドロフラン カラム温度:40℃ 注入量 :100μｌ 流量 :1.0ml/min 検出器 :RI ＊サンプル調製 IPA/TOL＝7/3に溶解し、固形分濃度を40vol％とし、テ
トラヒドロフランで3vol％に希釈する。
〔発明の効果〕
デイジーホイール型タイプライターにおいて極めて有用
なものである。
以上に説明したように、本発明の感圧記録媒体では、3m
J/mm2程度の低いインパクトエネルギーで文字欠け等の
転写不良のない良好な印字像が記録用紙上に得られ、裏
移りも全く発生しなかった。また、印字時の騒音は3mJ/
mm2の低いインパクトエネルギーでの印字においても最
大でも48デシベルであった。
これに対して、従来型のインクリボンを用い、上記のタ
イプライターで印字を行った場合には、転写不良のない
印字像を得るためには最低でも15mJ/mm2のインパクトエ
ネルギーを必要とした。これより少ないインパクトエネ
ルギーでは良好な印字像を得ることができなかった。ま
た、騒音も75デシベル以上の高いレベルにあった。
上記の如く、本発明の感圧記録媒体では、従来の感圧記
録媒体と比較して、インパクトエネルギーが実質的に５
分の１程度に軽減され、このため騒音の２分の１程度に
低減されており、本発明の感圧記録媒体は今日低騒音化
が要求されている。デイジーホイール形タイプライター
において極めて有用なものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】インク層を基材に保持してなる感圧記録媒
    体において、前記インク層が、ダイマー酸を酸成分とし
    て74mol％以上含有し、且つ重量平均分子量が4000〜950
    0の範囲にあるポリアミド樹脂を含有することを特徴と
    する感圧記録媒体。
JP62268846A 1987-10-23 1987-10-23 感圧記録媒体 Expired - Fee Related JPH0673983B2 (ja)

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EP88117586A EP0313078B1 (en) 1987-10-23 1988-10-21 Pressure-sensitive recording medium
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