JPH0673623B2 - リン触媒によるダイヤモンドの合成法 - Google Patents

リン触媒によるダイヤモンドの合成法

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JPH0673623B2
JPH0673623B2 JP3313570A JP31357091A JPH0673623B2 JP H0673623 B2 JPH0673623 B2 JP H0673623B2 JP 3313570 A JP3313570 A JP 3313570A JP 31357091 A JP31357091 A JP 31357091A JP H0673623 B2 JPH0673623 B2 JP H0673623B2
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久生 神田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダイヤモンドの合成法
に係わり、特にリン元素触媒を用いて非ダイヤモンド炭
素からダイヤモンドを静的高圧法により合成する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ダイヤ
モンドは、既存の物質中最も高硬度でかつ高熱伝導性の
物質である。これらの性質を利用し、ダイヤモンドは他
の硬い物質の切断ブレードや研削用ホィール及びダイヤ
モンド焼結体原料等に大量に使用されている。
【0003】現在、これらの工業的用途に使用されてい
るダイヤモンドは、鉄、ニッケル、コバルト等の金属触
媒を用い、非ダイヤモンド炭素から高温高圧条件下で静
的超高圧法により合成されている。
【0004】このようなダイヤモンド合成用金属触媒と
しては、以下の2つのグループの金属及び合金系が知ら
れている。 (1)Fe、Ni、Co等の周期律表の8属に属する金属
及びMn、Ta、Crの12種類の金属元素又は合金が、
非ダイヤモンド炭素からダイヤモンド合成の際に触媒と
して作用する(“Nature”,vol.184(1959)p.
1094〜1098参照)。 (2) 上記12種類の金属とは別に、新しい金属2元共
存系のダイヤモンド合成触媒が見い出された(“Japan.
J.Appl.Phys.”vol.5(1966)p.337参照)。
具体的には、(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Mo、W)+(C
u、Ag、Au)からなるものである。これらの金属は単独
には触媒作用を持っておらず、両成分が共存して初めて
触媒作用を示すものである。
【0005】現在、ダイヤモンドの工業的生産は、主に
(1)に掲げた金属又は合金触媒を使用し、ダイヤモンド
の熱力学的安定な5GPa、1400℃以上の条件下で
合成されているものと思われる。しかし、金属触媒を使
用して合成したダイヤモンドは、ダイヤモンド中にこれ
らの金属を包有するため、天然のダイヤモンドに比較し
て強度に問題がある。また、(1)に掲げた金属又は合金
を触媒に用い、温度差法と呼ばれる方法により、大粒の
ダイヤモンド単結晶も工業的に合成されている。この温
度差法を用い、微量の不純物硼素を添加することによ
り、p型の半導体ダイヤモンド結晶も再現性良く合成さ
れることが良く知られている。しかしながら、現在まで
のところ、n型の半導体ダイヤモンド単結晶は合成され
ていない。
【0006】本発明者は、従来から、上記金属系ダイヤ
モンド合成触媒以外のダイヤモンド合成触媒を探索する
研究を続けてきた。その研究過程で従来のダイヤモンド
合成触媒と全く異なる非金属ダイヤモンド合成触媒とし
て、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸
塩、水酸化物が、黒鉛等の非ダイヤモンド炭素からのダ
イヤモンド合成触媒として強い触媒作用を有することを
見い出した(“J.Crystal Growth”,vol.104(19
90)p.578〜581,“Japan.J.Appl.Phy
s.”,vol.29(1990)p.L1172〜1174参
照)。この触媒探索研究の一環として、種々の物質を黒
鉛等の非ダイヤモンド炭素と共存させて、高温高圧下の
ダイヤモンド安定領域で処理し、ダイヤモンドの生成の
有無を調べた。特に、ダイヤモンドに不純物として添加
するとn型半導体のダイヤモンド単結晶の合成が期待さ
れるリン元素が、単独で触媒作用を有するかどうか現在
まで明らかになっていない。
【0007】本発明は、上述のリン元素を触媒に用い、
黒鉛等の非ダイヤモンド炭素からダイヤモンドを合成す
る方法、及びリン触媒を用いてダイヤモンド単結晶上に
導電性ダイヤモンド結晶を合成する方法を提供すること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記リン元
素の触媒作用の有無を明らかにすべく鋭意研究を続けた
結果、金属触媒による従来のダイヤモンド合成条件とは
異なる条件において、黒鉛等の非ダイヤモンド炭素をリ
ン元素と共存させることにより、ダイヤモンドを合成し
うることを発見し、ここに本発明をなしたものである。
【0009】すなわち、本発明は、黒鉛等の非ダイヤモ
ンド炭素をリン元素と共存させ、1650℃以上のダイ
ヤモンドの熱力学的安定条件下で処理して、ダイヤモン
ドを回収することを特徴とするリン触媒によるダイヤモ
ンドの合成法を要旨とするものである。
【0010】また、他の本発明は、ダイヤモンド合成触
媒作用を有するリン元素溶媒を使用し、ダイヤモンド種
結晶上に、1650℃以上のダイヤモンドの熱力学的安
定条件下でダイヤモンド結晶を育成することを特徴とす
るリン触媒によりダイヤモンド結晶の育成法を要旨とす
るものである。
【0011】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0012】
【作用】
【0013】前述の如く、金属、合金系のダイヤモンド
合成触媒以外の新しいダイヤモンド合成触媒探索研究
は、数多くの研究者により試みられてきた。しかしなが
ら、黒鉛等の非ダイヤモンド炭素からのダイヤモンド合
成触媒として明確に機能する物質としては、最近本発明
者の見い出したアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸
塩、硫酸塩、水酸化物のみであると考えられる。これら
の非金属無機化合物触媒の発見は、従来の金属、合金系
触媒を用いた場合の合成条件、5GPa、1400℃以
上に比較し、6.5GPa以上、1800℃以上の従来よ
り高温高圧条件を安定発生可能な高圧合成装置開発の結
果、従来殆ど研究されていなかった領域でのダイヤモン
ド触媒探索研究の結果によると考えられる。
【0014】上記のように、従来のダイヤモンド合成条
件に比較し、より高温高圧のダイヤモンド安定領域で
は、従来全くダイヤモンド合成触媒として機能しないと
考えられていた物質もダイヤモンド合成触媒として機能
することもあり得ると考えられる。このような観点か
ら、ダイヤモンド合成触媒として大変興味ある物質とし
て、不純物としてドープできればn型ダイヤモンド結晶
の可能性が十分に考えられるリン元素を共存させて黒鉛
からダイヤモンドの合成を試みた。その結果、リン元素
がダイヤモンド合成触媒として機能することを見い出し
た。更に、リン元素触媒を用いダイヤモンド種結晶上に
ダイヤモンド単結晶が育成できることを見い出した。育
成ダイヤモンド結晶が導電性であることも明らかになっ
た。本発明は、これらの知見に基づき、リン触媒による
ダイヤモンド合成法を確立したものである。
【0015】まず、本発明者が行った基礎実験の結果に
ついて説明する。非ダイヤモンド炭素として、高純度黒
鉛棒を出発物質に用い、カップ状の黒鉛容器を旋盤で作
製した。リン元素として、粒状の高純度リン(純度:9
9.9999%)を用いた。この粒状のリンをメノウの乳
鉢で粉砕し、粉末状のリンを黒鉛容器に充填し、黒鉛の
蓋で密閉した。このリンを充填した黒鉛容器をMo又は
Taカプセルに密封し、高温高圧処理した。この高温高
圧処理条件は、ダイヤモンドの熱力学安定な圧力条件
下、1650℃以上であることが必要である。圧力の値
は、Ti、Ba、Biの室温下で圧力により誘起される相
転移をそれぞれ3.7、5.5、7.7GPaの圧力値と
し、作成した荷重−圧力曲線の関係に基づくものであ
る。所定の圧力下で、Pt6%Rh−Pt30%Rh熱電対
を使用し、予め電力対温度の関係を1800℃まで求め
た。更に高温における電力対温度の関係は、W5%Re
−W6%Re熱電対を使用し、2200℃まで求めた。
これらの関係から所定の温度に対応する電力を推定し、
電力制御により通常の実験を行った。
【0016】また、高圧装置として、図1に示すベルト
型高圧装置を使用した。この高圧装置を使用し、図2に
示す試料構成を用い、上記の方法で作製した黒鉛容器に
リンを充填し、その容器をMo又はTaカプセルに封入
し、7.7GPa、2200℃の条件で10分間処理し
た。回収試料のMo又はTaは、黒鉛容器の表面から簡単
に除去することができた。
【0017】回収試料のX線回折の結果、Mo及びTaカ
プセルいずれの場合も、黒鉛は完全にダイヤモンドに変
換していた。Taは黒鉛からのダイヤモンド合成に触媒
作用があると報告されているが、Moにはダイヤモンド
合成触媒として機能するとの報告はない。そこで、リン
元素のダイヤモンド合成触媒としての作用を明確にする
ために、Moカプセルを用いて、更に低温の条件、18
00℃、7.7GPa、10分間で同一試料構成を用いて
高温高圧処理した。
【0018】高温高圧処理後の試料外側のMoカプセル
を除去し、試料を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(S
EM)で観察した。リンと黒鉛の間にダイヤモンドの生
成が認められたが、Moカプセルに接していた黒鉛は全
くダイヤモンドに変換せず黒鉛のままであった。これら
の結果から明らかなように、リンに接している黒鉛から
ダイヤモンドに変換が起こり、決してMoに接している
黒鉛からはダイヤモンドへの変換は起こらない。これら
の結果からもリンが黒鉛からダイヤモンドへの変換に強
い触媒作用があることは明らかである。また、Moカプ
セルの代わりにTaカプセルを用いたが、結果はMoの場
合と殆ど同じであった。Taには触媒作用があると報告
されているが、7.7GPa、1800℃の条件では、顕
著な触媒作用は認められなかった。
【0019】また、リン触媒を用い、黒鉛からのダイヤ
モンド合成可能な領域を決定するため、図2と同様な試
料構成を用い、6.5GPa、1700℃の条件で10分
間処理した。回収試料の光学顕微鏡及びSEM観察の結
果、リンに接していた部分の黒鉛が僅かにダイヤモンド
に変換していた。生成ダイヤモンドの量は、7.7GP
a、1800℃、10分間処理試料に比較し、非常に少
なかった。6.5GPaの圧力条件下では1700℃より
もわずかに低い温度、1650℃が、リン触媒を用いた
黒鉛からのダイヤモンド合成の最低温度条件と考えられ
る。
【0020】上記のように、リンが黒鉛からのダイヤモ
ンド合成に強い触媒作用を有することは明らかである
が、リン触媒を用いて、ダイヤモンド種結晶上にダイヤ
モンド単結晶の合成を試みた。図3に示すように、リン
触媒中に{111}面よりなる8面体天然ダイヤモンド種
結晶を配置し、6.5GPa、1700〜1750℃の条
件で8時間保持した。回収試料から種結晶ダイヤモンド
を取り出し、この結晶を熱王水で処理した。酸処理後、
結晶を十分乾燥し、結晶の重さを測定したところ、種結
晶ダイヤモンドに比較し、約20%の重量増加が認めら
れた。この結晶を光学顕微鏡観察した結果、種結晶ダイ
ヤモンド上に均質にダイヤモンド単結晶が成長してい
た。結晶の色は、僅かに青みがかっているが、殆ど無色
透明であった。育成結晶表面を詳細に観察した結果、結
晶表面に小さな穴は認められるが、ゆるやかな結晶成長
を特徴づける層状成長模様が非常に多く認められた。
【0021】上記のように、リン触媒中に天然の種結晶
ダイヤモンドを配置し、種結晶上にダイヤモンド単結晶
育成を試みた結果、殆ど無色透明な単結晶ダイヤモンド
を均質成長させることができた。リン触媒中で成長した
単結晶ダイヤモンドが、導電性であるかどうかは半導体
ダイヤモンド単結晶の合成の観点からも大変興味深い。
そこで、育成ダイヤモンド単結晶が導電性であるかどう
か調べた結果、明らかに導電性であった。しかしなが
ら、この単結晶がn型半導体であるかどうか現在までの
ところ断定することはできない。但し、数多くの育成実
験を行ったところ、リン触媒中で育成したダイヤモンド
単結晶が導電性であることは明らかである。
【0022】以上の基礎実験の結果より明らかなよう
に、本発明は、黒鉛等の非ダイヤモンド炭素をリン元素
と共存させ、1650℃以上のダイヤモンドの熱力学的
安定条件下で処理して、ダイヤモンドを回収するもので
ある。この場合、リン元素と黒鉛等の非ダイヤモンド炭
素の混合物を用いても、或いは黒鉛等の非ダイヤモンド
炭素とリン元素を積層させても、いずれでも良い。非ダ
イヤモンド炭素として黒鉛のほか、黒鉛化の進んでいな
い炭素、例えば、PVC(ポリビニアクロライド)やフラ
ン樹脂等などから合成した黒鉛化の進んでいない炭素な
ども使用できる。
【0023】また、ダイヤモンド合成触媒作用を有する
リン元素溶媒を使用し、ダイヤモンド種結晶上にダイヤ
モンド結晶を育成することもできる。この場合の条件
は、上述より明らかなように、1650℃以上のダイヤ
モンドの熱力学的安定条件下である。
【0024】次に本発明の実施例を示す。なお、前述の
基礎実験の結果も本発明の実施例足り得ることは云うま
でもない。
【0025】
【実施例1】高純度黒鉛棒製の黒鉛容器に高純度赤リン
粉末(純度:99.9999%)を充填し、高純度黒鉛製
の蓋をした。リン粉末を中心部に充填した黒鉛容器をM
oカプセルに充填し、図2に示す試料構成を用い、図1
に示した装置にセットして、7.7GPa、2200℃の
条件で10分間処理した。
【0026】処理後、Moカプセルを除去し、熱王水で
処理したところ、試料はかたまりとして得られた。酸処
理試料のX線回折図形を調べたところ、ダイヤモンドの
回折線のみ検出された。また、酸処理後の試料を光学顕
微鏡及びSEMで調べたところ、リン触媒に近い部分の
黒鉛から生成したダイヤモンドは、比較的ブロッキーな
結晶であったが(図4参照)、リン触媒から離れた部分の
黒鉛から生成したダイヤモンドは、これと著しく異な
り、殆ど自形面の認められない結晶であった。いずれの
合成ダイヤモンドも無色、透明であった。その粒径は、
約50〜150μmであった。
【0027】
【比較例1】高純度黒鉛棒からカプセル内径に良く合っ
た黒鉛丸棒を作製し、この丸棒をMoカプセルに充填
し、実施例1と同一条件で高温高圧処理した。回収試料
のMoカプセルを除去したところ、Moに接していた部分
以外の試料は、黒色で殆ど出発物質と変わらなかった。
更に、試料を光学顕微鏡及びX線回折装置を用いて調べ
たが、如何なるダイヤモンドも検出することはできなか
った。
【0028】
【実施例2】実施例1と同様な方法で試料を作製し、よ
り低温の1800℃、7.7GPaの条件で60分間処理
した。処理後、回収試料からMoカプセルを除去し、光
学顕微鏡を用いて試料を調べた。その結果、リン触媒に
接した部分の黒鉛は、大部分ダイヤモンドに変換してい
たが、それ以外の黒鉛は、ダイヤモンドに変換せずに黒
鉛のままであった。Moカプセルに接していた黒鉛も全
くダイヤモンドには変換していなかった。光学顕微鏡観
察後、試料から黒鉛及びリンを除去するために熱濃硫酸
−濃硝酸の混酸で処理した。酸処理後、回収ダイヤモン
ドを光学顕微鏡観察したところ、無色透明であった。
【0029】また、試料のSEM観察の結果、ダイヤモ
ンドの粒子径は、約100μm程度であった。合成ダイ
ヤモンドは、主に{111}面からなる自形を有する結晶
であった。
【0030】
【実施例3】実施例1と同様な方法で試料を作製し、よ
り低温、低圧の1700℃、6.5GPaの条件で30分
間処理した。処理後、回収試料からMoカプセルを除去
し、光学顕微鏡を用いて試料を調べた。その結果、リン
触媒に接した部分の黒鉛が僅かにダイヤモンドに変換し
ていた。
【0031】
【比較例2】実施例1と同様な方法で試料を作製し、
6.5GPa、1600℃の条件で30分間処理した。処
理後、回収試料からMoカプセルを除去し、詳細に試料
を光学顕微鏡を用いて観察したが、ダイヤモンドの生成
は、全く認められなかった。
【0032】
【実施例4】高純度黒鉛棒から黒鉛容器を作製し、この
容器に2mm程度の厚さに高純度リン粉末を充填し、この
リン粉末中に{111}面よりなる8面体天然ダイヤモン
ドを種結晶として埋め込んだ。更に、種結晶の上にリン
粉末を約1mm充填し、図3に示すように黒鉛の上蓋をし
た。この黒鉛容器をTaカプセルに封入し、図2に示す
試料構成を用い、図1に示した装置にセットして、6.
5GPa、1700〜1750℃の条件で8時間処理し
た。
【0033】処理後、Taカプセルを除去し、リン触媒
中のダイヤモンドを取り出した。取り出したダイヤモン
ドを熱王水で処理し、十分に乾燥した。乾燥後、結晶の
重さを測定したところ、種結晶ダイヤモンドに比較し、
約20%の重量増加が認められた。この結晶を光学顕微
鏡観察した結果、種結晶ダイヤモンド上に均質にダイヤ
モンドが成長していた。結晶の色は、僅かに青みがかっ
ているが、殆ど無色透明であった。育成結晶表面を詳細
に観察した結果、結晶表面に小さな穴は認められるもの
の、穏やかな結晶成長に特徴的な、層状成長模様が非常
に多く認められた(図5参照)。種結晶の何れの面にも同
様な成長模様が認められた。また、リン触媒近傍の黒鉛
中に、自然核発生による数100μmのダイヤモンド単
結晶も認められた。
【0034】このように種結晶上に殆ど無色、透明な単
結晶ダイヤモンドを均質に成長させることができた。種
結晶に用いたダイヤモンドが絶縁性にも拘らず、この成
長した単結晶ダイヤモンドは明らかに導電性であった。
しかしながら、この単結晶がn型半導体であるかどうか
断定できなかった。
【0035】
【実施例5】種結晶ダイヤモンドとして、{100}面よ
りなる板状の人工ダイヤモンドを用いた。試料構成及び
処理条件は、実施例4と同じにし、ダイヤモンド単結晶
の育成を試みた。処理後、Taカプセルを除去し、リン
触媒中のダイヤモンドを取り出し、実施例4と同様に、
熱混酸で処理し、十分に乾燥した。乾燥後、結晶の重さ
を測定したところ、種結晶ダイヤモンドに比較し、約2
5%の重量増加が認められた。この結晶を光学顕微鏡及
びSEM観察した結果、種結晶上に均質にダイヤモンド
が成長していた。結晶の色は、僅かに青みがかっている
が、殆ど無色透明であった。育成結晶表面を詳細に観察
した結果、図6に示すように、結晶表面に凹凸が激し
く、非常に変わった成長模様を示し、{111}面上に成
長したダイヤモンドの表面構造とは著しく異なってい
た。また、育成結晶は、{111}面上に成長したダイヤ
モンド単結晶と同様に、明らかに導電性であった。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
リン触媒を使用して、無色、透明なダイヤモンド結晶が
合成できる。また、種結晶ダイヤモンド上に、ダイヤモ
ンド単結晶も再現性良く合成でき、その単結晶が導電性
であることが明らかである。この導電性ダイヤモンド単
結晶は、電子材料としての多くの分野での応用が期待で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベルト型高圧装置の概略を示す断面図である。
【図2】試料構成の縦断面図である。
【図3】単結晶育成用試料構成の黒鉛容器縦断面図であ
る。
【図4】実施例1で得られたダイヤモンドのSEMによ
る粒子構造を示す写真である。
【図5】実施例4で種結晶上に成長したダイヤモンドの
粒子構造(表面構造)の光学顕微鏡写真である。
【図6】実施例5で種結晶上に成長したダイヤモンドの
SEMによる粒子構造を示す写真である。
【符号の説明】
1 ゴム板リング 2 成長ガスケット 3 パイロフィライトガスケット 4 ステンレス板 5 通電リング 6 NaCl−10重量%ZrO2 7 ZrO2 8 モリブデン板 9 試料構成 10 NaCl封止リング 11 黒鉛ヒーター 12 Ta又はMo箔 13 リン粉末 14 Ta又はMoカプセル 15 黒鉛容器 16 NaCl−20重量%ZrO2 17 種結晶ダイヤモンド

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛等の非ダイヤモンド炭素をリン元素
    と共存させ、1650℃以上のダイヤモンドの熱力学的
    安定条件下で処理して、ダイヤモンドを回収することを
    特徴とするリン触媒によるダイヤモンドの合成法。
  2. 【請求項2】 前記リン元素と黒鉛等の非ダイヤモンド
    炭素の混合物を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記黒鉛等の非ダイヤモンド炭素とリン
    元素を積層させる請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンド合成触媒作用を有するリン
    元素溶媒を使用し、ダイヤモンド種結晶上に、1650
    ℃以上のダイヤモンドの熱力学的安定条件下でダイヤモ
    ンド結晶を育成することを特徴とするリン触媒によりダ
    イヤモンド結晶の育成法。
  5. 【請求項5】 育成したダイヤモンド結晶が導電性であ
    る請求項4に記載の方法。
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