JPH0673410A - 高性能複合シリンダの製造方法 - Google Patents

高性能複合シリンダの製造方法

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JPH0673410A
JPH0673410A JP10934792A JP10934792A JPH0673410A JP H0673410 A JPH0673410 A JP H0673410A JP 10934792 A JP10934792 A JP 10934792A JP 10934792 A JP10934792 A JP 10934792A JP H0673410 A JPH0673410 A JP H0673410A
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JP
Japan
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cylinder
steel
transformation
cylinder body
bainite
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JP10934792A
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English (en)
Inventor
Shinsuke Haneda
羽田晋介
Toshiyuki Minamide
南出俊幸
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ライニング材の割れや剥離が生じず、しかも
800N/mm2以上の高い本体強度を有する高性能な複
合シリンダを製造する。 【構成】 シリンダ本体の内面にNi基又はCo基の耐食
・耐摩耗合金のライニングを施した複合シリンダを製造
するに際し、シリンダ本体材料として、高温から10℃
/min以下の冷却速度で冷却した場合に700℃付近の
温度域でフェライトを析出し、続いてパーライト・ベー
ナイト変態若しくはベーナイト変態する変態挙動を呈す
る成分組成の鋼を用い、製造時に10℃/min以下の冷
却速度で冷却してフェライトとベーナイトの混合組織を
得ることを特徴している。このような変態挙動を呈する
鋼としては、例えばNi−Cr−Mo鋼がある。耐食・耐
摩耗性と高い耐圧性が要求されるプラスチック射出成形
機用等のシリンダ、特に300℃×1800kgf/cm2
上の高温高圧成形用のシリンダの製造に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合シリンダの製造方法
に関し、耐食・耐摩耗性と高い耐圧性が要求されるプラ
スチック射出成形機用等のシリンダ、特に300℃×1
800kgf/cm2以上の高温高圧成形用のシリンダの製造
に適している。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリングプラスチック、セラミ
ックスやプラスチックマグネットなどの射出成形に用い
られる加熱シリンダには、樹脂及び添加剤から発生する
ガスによる腐食とエンジニアリングプラスチックに含ま
れるガラス繊維などの強化材及びセラミックスによる摩
耗に耐えるため、従来から、シリンダ本体母材の内面に
耐食・耐摩耗合金をライニングした複合シリンダが使用
されている。
【0003】この種の複合シリンダは、シリンダ本体母
材には、通常、SCM440(Cr−Mo鋼)などの低合金
鋼が、ライニング材にはNi基或いはCo基の耐食・耐摩
耗合金が用いれており、遠心鋳造法或いはHIP法など
により製造されている。
【0004】遠心鋳造法及びHIP法のいずれの場合
も、耐食・耐摩耗合金をライニングする時、シリンダ本
体母材は900〜1100℃の高温に加熱され、その
後、シリンダ内面のライニング材に割れ、剥離が生じな
いように徐冷されている。このため、シリンダ本体母材
となる低合金鋼は焼鈍状態となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】シリンダ本体母材が焼
鈍状態となっているため、例えば、低合金鋼SCM44
0の場合、硬さはHV180〜220程度と低く、また
強度も70〜85kgf/mm2と低い。このため、シリンダ
を300℃×1800kgf/cm2以上の高温高圧で使用す
ると、射出毎にシリンダ先端部に高圧が加わり、射出ノ
ズル(材質はSKD61調質材で、硬さは通常HV35
0〜400)との接続用ネジの締め付けが緩んだり、シ
リンダ先端部端面が凹んで、ノズルとの接続部に隙間が
生じて樹脂漏れを起こす。
【0006】この隙間を無くすためにネジを締め付ける
と、しばらくの間は樹脂漏れは生じないが、射出成形を
繰り返すとネジが緩んできて、また樹脂漏れが生じる。
このため、更にネジを締め付けるという作業を繰り返し
ていくと、最終的にシリンダのネジ山が壊れ、結局、シ
リンダは使用不可となる現象が生じている。
【0007】また、射出圧力が高くなってくると、母材
強度が低いため、複合シリンダとして耐圧不足となり、
シリンダが破損する事故も生じている。
【0008】一方、冷却速度を大きくすると、図1に示
すように、ライニング材はオーステナイト系で変態は生
じないものの、SCM440(シリンダ本体母材)は、ベ
ーナイト変態により大きな熱膨張を生じ、ライニング材
に割れ、若しくは境界部が剥離する。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、高性能な複合シリンダを製造する方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、シリンダ本体材
料並びに製造条件を規制することにより、ライニング材
の割れ並びに剥離の問題を解決できると共に、高強度の
シリンダ本体が得られることを見い出し、ここに本発明
を完成したものである。
【0011】すなわち、本発明は、シリンダ本体の内面
にNi基又はCo基の耐食・耐摩耗合金のライニングを施
した複合シリンダを製造するに際し、シリンダ本体材料
として、高温から10℃/min以下の冷却速度で冷却し
た場合に700℃付近の温度域でフェライトを析出し、
続いてパーライト・ベーナイト変態若しくはベーナイト
変態する変態挙動を呈する成分組成の鋼を用い、製造時
に10℃/min以下の冷却速度で冷却してフェライトと
ベーナイトの混合組織を得ることを特徴とする高性能複
合シリンダの製造方法を要旨とするものである。
【0012】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0013】
【作用】
【0014】本発明では、製造時の冷却速度が10℃/
min以下である場合に、冷却によりまずフェライトが析
出し、続いてパーライト・ベーナイト変態又はベーナイ
ト変態をしてフェライト+ベーナイト混合組織が得られ
る鋼種を使用することを特徴の第1点としている。
【0015】すなわち、図2に示すように、ベーナイト
変態による熱膨張量を小さくするために、ベーナイト変
態に先行してフェライトを析出させる。フェライト析出
による変態膨張は約700℃と高温であるため、ライニ
ング材に発生する応力の大半は除去される。したがっ
て、実質熱膨張差による応力の発生はベーナイト変態だ
けとなり、その変態量が小さくなるので、ライニング材
に割れ、剥離が発生しない。
【0016】しかも、得られる組織は、従来のように、
パーライト組織ではなく、フェライト+ベーナイトの混
合組織であるので、高強度化(800N/mm2以上)が可
能となる。
【0017】このような変態挙動を示す鋼種としては、
例えば、Ni−Cr−Mo鋼が挙げられ、Ni:10〜3.
5%、Cr:0.1〜2.0%、Mo:0.1〜1.0%の範
囲が好ましい。更にC、Si、Mn、Cu、Alなどの合金
元素を必要に応じて添加できる。
【0018】このNi−Cr−No鋼の組成例としては、
例えば、DIN 28NiCrMo74がある。この鋼種の
恒温変態図を図3に、また1000℃から0.5℃/min
で冷却した時の熱膨張曲線を図4に示す。図4において
下側の曲線で665℃と750℃の間でフェライトが析
出することがわかる。
【0019】なお、他の製造方法は特に制限されず、遠
心鋳造法、HIP法などでよい。実操業では、中間の冷
却速度のコントロールが極めて困難である点に留意す
る。また、シリンダ本体の内面にライニングする材料も
Ni基又はCo基の耐食・耐摩耗合金であればよく、その
組成も特に制限されないことはいうまでもない。
【0020】次に本発明の実施例を示す。
【0021】
【実施例1】シリンダ本体(外層)の母材として、C:
0.16%、Si:0.3%、Mn:1.3%、Cu:1.5
%、Ni:1.2%、Al:1.2%、Cr:0.1%、M
o:0.3%を含む低合金鋼(Ni−Cr−Mo鋼)の管素材
を準備した。次いで、図5に示す要領で軟鋼カプセルに
管素材1と芯材2を挿入セットした後、これらの管素材
1と芯材2の間隙にNi−Cr−Mo−Si−B系耐食・耐
摩耗合金のアトマイズ粉末3を充填し、真空脱気後、温
度950℃、1000kg/cm2で5時間HIP処理し、
1℃/minの冷却速度にて冷却し、複合シリンダ素材を
2本製作した。この素材を機械加工により外径80mm
φ、内径25mmφ、複合境界径31mmφ、長さ800mm
に仕上げた。
【0022】複合シリンダ素材の1本を確性試験に供し
た結果、表面、断面とも割れは認められず、母材強度も
895N/mm2が得られた。もう1本を実機シリンダに
加工した後、実操業で使用した結果、優れた耐摩耗性、
耐食性を示し、また耐圧不足による破損はなく、高寿命
が得られた。
【0023】
【実施例2】シリンダ本体(外層)の母材として、C:
0.30%、Si:0.24%、Mn:0.45%、Cu:
0.2%、Ni:2.10%、Cr:7.44%、Mo:0.
37%を含む低合金鋼(DIN 28NiCrMo74)の管
素材を準備した。次いで、実施例1と同じ条件で複合シ
リンダを製作した。その結果、冷却時の割れもなく、母
材強度850N/mm2の複合シシリンダを製作できた。
【0024】
【比較例1】シリンダ本体(外層)の母材としてJIS
S45Cを用い、実施例1と同じ条件で複合シリンダを
製作した。その結果、シリンダ本体母材は完全にフェラ
イト・パーライト組織となり、強度不足となった。
【0025】
【比較例2】シリンダ本体(外層)の母材としてSCM4
40(Cr−Mo鋼)を用いた場合についても同様にして確
認したが、1℃/minの冷却速度ではベーナイト変態は
生じず、強度は710N/mm2しか得られなかった。ま
た、油焼入した場合(冷却速度100℃/min)は、境界
部より割れを発生していた。
【0026】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ライニング材の割れや剥離が生じず、しかも800N/
mm2以上の高い本体強度を有する高性能な複合シリンダ
を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のシリンダ本体母材(SCM440)とライ
ニング材(オーステナイト系)の冷却時の熱膨張曲線並び
に変態状況を示す図である。
【図2】本発明のシリンダ本体母材(例、Ni−Cr−Mo
鋼)とライニング材(オーステナイト系)の冷却時の熱膨
張曲線並びに変態状況を示す図である。
【図3】DIN 28NiCrMo74の恒温変態図であ
る。
【図4】DIN 28NiCrMo74の冷却時の熱膨張曲
線を示す図である。
【図5】実施例に適用したHIP法の要領を説明する図
である。
【符号の説明】
1 管素材(シリンダ本体母材) 2 芯材 3 ライニング材粉末 4 底蓋 5 上蓋 6 脱気管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ本体の内面にNi基又はCo基の
    耐食・耐摩耗合金のライニングを施した複合シリンダを
    製造するに際し、シリンダ本体材料として、高温から1
    0℃/min以下の冷却速度で冷却した場合に700℃付
    近の温度域でフェライトを析出し、続いてパーライト・
    ベーナイト変態若しくはベーナイト変態する変態挙動を
    呈する成分組成の鋼を用い、製造時に10℃/min以下
    の冷却速度で冷却してフェライトとベーナイトの混合組
    織を得ることを特徴とする高性能複合シリンダの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記鋼がNi−Cr−Mo鋼である請求項
    1に記載の方法。
JP10934792A 1992-04-02 1992-04-02 高性能複合シリンダの製造方法 Withdrawn JPH0673410A (ja)

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Effective date: 19990608