JPH0672939B2 - 原子炉建屋 - Google Patents

原子炉建屋

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JPH0672939B2
JPH0672939B2 JP61108874A JP10887486A JPH0672939B2 JP H0672939 B2 JPH0672939 B2 JP H0672939B2 JP 61108874 A JP61108874 A JP 61108874A JP 10887486 A JP10887486 A JP 10887486A JP H0672939 B2 JPH0672939 B2 JP H0672939B2
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憲三 郡安
直丘 高松
ちとせ 高田
喜央 赤田
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Housings And Mounting Of Transformers (AREA)
  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、沸騰水型原子炉等の原子炉を格納する原子炉
建屋に関する。
(従来の技術) 第9図は、沸騰水型原子炉を格納した従来の原子炉建屋
を示している。
この原子炉建屋においては、原子炉棟1内にコンクリー
ト製原子炉格納容器(以下、原子炉格納容器という)2
が格納されており、この原子炉格納容器2内に原子炉格
納容器3が収納されている。この原子炉格納容器3は原
子炉棟1の基礎スラブ4部に立設された原子炉格納容器
ペデスタル5上に据付けられており、その周囲は原子炉
熱遮蔽壁6によって覆われている。また、原子炉格納容
器2においては、気密性、水密性および耐圧性機能が要
求されるため、そのコンクリート部分であるコンクリー
ト躯体7の内側に鋼板製のライナープレート8が貼られ
ている。また、原子炉格納容器2は、周囲に形成される
原子炉棟1とは分離された構造に構成されている。すな
わち、原子炉棟1の各階の床を形成する複数の床スラブ
9,9…の内側端とコンクリート躯体7の外周面とに間隙
が設けられている。このため、原子炉棟1内で水密性や
気密性、耐火性が要求される部屋10では、原子炉建屋1
と原子炉格納容器2との間にシール11を介装し、部屋10
を密閉構造としている。また、原子炉格納容器2内はダ
イヤフラムフロア12によって下部のサプレツションプー
ル13と原子炉格納容器3が設置されている上部のドライ
ウェル14とに分割されている。そして、原子炉格納容器
2の頂部の両側には、鉄筋コンクリート造鋼板内張りの
使用済燃料プール15、蒸気乾燥器・気水分離器ピット16
などが配置され、燃料取替床17の上面から燃料取替作業
が行なえるように形成されている。この燃料取替床17の
上部には天井走行クレーン18が装備されている。また、
原子炉棟1内には図示しないが各種原子炉補助系機器を
収容し、機器搬出入および従事者等のために機器搬入用
ロック、所員用エア・ロック、吊上げ用床ハッチおよび
エレベータ等が装備されている。
更に、原子炉格納容器2の外側の原子炉棟1には放射性
物質が外部へ放散されるのを防止する二次納容器として
の機能が必要な部分があり、その二次格納容器のバウン
ダリとしての壁、床等は気密性等が要求されることにな
る。従って、原子炉建屋は二次格納容器と二次格納容器
以外の部分から構成されており、その原子炉建屋に収納
されている機器は、二次格納容器内に設置すべき機器と
二次格納容器以外の部分に設置すべき機器がある。第9
図に示すような原子炉棟1が独立の建屋の場合には、原
子炉棟1内において二次格納容器の外側に二次格納容器
以外の部分を設置することになり、そのため二次格納容
器のバウンダリの壁の位置は各階で異ったものとなって
おり、上下階で連続したものとはなっていない。
また、特開昭60−111990号公報により、原子炉棟、原子
炉格納容器等の構造に関し、「コンクリート製の原子炉
格納容器が、燃料プール下床部と蒸気乾燥器・気水分離
器ピット下床部とを除いてその外周壁を原子炉棟の横は
りや床スラブと一体に結合され、全体として一体構造物
に構成された原子炉建屋の構造」が提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) 一方、高地震帯地域の硬質地盤上に原子炉施設を設置す
る場合、大地震時には原子炉棟に作用する地震力が大き
くなり、原子炉格納容器に生じる応力が大きくなる可能
性がある。
また、前述の特開昭60−111990号公報の「原子炉」によ
る建屋を採用しても、通常の壁厚、床スラブ厚を持つ原
子炉棟では、原子炉棟と原子炉格納容器との剛性比がほ
ぼ等しくなり、原子炉棟と原子炉格納容器との一体化
(燃料プール下床部および蒸気乾燥器・気水分離器ピッ
ト下床部を除く)による原子炉格納容器に対する地震荷
重の大きな低減効果を得ることができないおそれがあ
る。更に、燃料プール下床部および蒸気乾燥器・気水分
離器ピット下床部で原子炉棟と原子炉格納容器が一体化
されていないため、原子炉棟と原子炉格納容器との間の
地震荷重の分担がバランスよく行なわれないおそれがあ
った。
これらの理由により特開昭60−111990号公報の原子炉棟
を高地震帯地域の硬質地盤上に設置したした場合におい
ても、原子炉格納容器に作用する地震荷重を小さくする
ことが困難であり、原子炉格納容器の地震時の応力を低
減することは期待できず、原子炉格納容器の耐震性を向
上させることが困難であった。
更に、原子炉格納容器を内部に収納した原子炉建屋に関
し、第9図に示す従来例および特開昭60−111990号公報
によって提案された構造は、それぞれ原子炉棟が独立建
屋であるため、大地震時には原子炉棟の耐震性および安
定性の向上をはかることが望めなかった。
そして、二次格納容器のバウンダリとしての壁等は気密
性等が要求されるため、そのバウンダリを構成する表面
積は小さい方が好ましいが、原子炉棟が独立であるため
に、二次格納容器のバウンダリの壁の位置は上下階で連
続したものとなっていなかったために、二次格納容器バ
ウンダリを構成する表面積を縮小することは難しかっ
た。
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、大地
震時の原子炉格納容器の耐震性および原子炉建屋の地震
時安定性を含めた耐震性を向上させ、原子炉施設全体の
地震時の安全性・信頼性を向上させることのできる原子
炉建屋を提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明の原子炉建屋は、原子炉棟内に気密性および水密
性を確保する内側のライナープレートと、構造耐力を確
保する外側のコンクリート躯体とからなるコンクリート
製原子炉格納容器を収納した原子炉建屋において、原子
炉棟の全床スラブをコンクリート躯体と一体的に結合
し、原子炉棟の外壁の全外周外側の下方部に付属棟を均
一の高さで併設し、この付属棟内の全床は原子炉棟内の
床スラブと同一の水平位置となるようにして一体的に結
合して設けられ、原子炉棟の外壁を二次格納容器のバウ
ンダリの壁としたことを特徴とする。
(作 用) 原子炉施設を高地震帯地域の硬質地盤上に設置する場
合、大地震時には原子炉棟や、原子炉格納容器にかかる
地震荷重が大きくなる可能性がある。
本発明においては、原子炉棟と原子炉格納容器とを全床
にわたって一体化し、更に原子炉棟に付属棟を一体化し
て設置することにより原子炉建屋を形成している。
従って本発明においては、原子炉棟、原子炉格納容器お
よび付属棟からなる原子炉建屋全体の剛性が増加し、原
子炉格納容器の地震荷重の一部をバランスよく原子炉
棟、付属棟に分担させることができ、このため地震時に
原子炉格納容器に作用する応力を大きく低減することが
できる。
また、原子炉棟に付属棟を一体的に連結設置したことに
より、原子炉建屋の重心が低くなると共に原子炉建屋下
部の底面積が大きくなる。よって地震時の原子炉建屋の
安定性が増大し、また原子炉建屋の耐震性も向上し、そ
の結果炉内機器を含めた原子炉建屋内機器の耐震性も向
上させることができる。
更に、原子炉棟と原子炉格納容器とを一体化したことに
より、原子炉建屋と原子炉格納容器との間に、従来のよ
うに部屋の気密性や水密性を保つためにシールを介装す
る必要がなく、従ってシールの保守・点検も不要とな
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例を第1図から第8図について説明
する。
第1図および第2図は本発明に係る原子炉建屋を沸騰水
型原子炉に適用した例を示し、第9図と同一部分には同
一符号を付してある。
図中、符号21は沸騰水型原子炉用の原子炉棟である。こ
の原子炉棟21内には、気密性、水密性を確保する内側の
ライナープレート23と、構造耐力を確保する外側のコン
クリート躯体24とからなる原子炉格納容器22が設けられ
ている。この原子炉格納容器22内には従来と同様にし
て、原子炉格納容器3が原子炉格納容器ペデスタル5上
に設置されている。
本実施例においては、原子炉棟21と原子炉格納容器22と
を原子炉棟21の全床にわたって一体的に結合している。
すなわち、本実施例においては、原子炉棟21の各階の床
を形成する全部の床スラブ25,25…をそれぞれ原子炉格
納容器22のコンクリート躯体24と一体的に連結し、更に
使用済燃料プール15の下床部26および蒸気乾燥機・気水
分離機ピット16の下床部27を原子炉格納容器22のコンク
リート躯体24の上端部とそれぞれ一体的に連結してい
る。実際には、図示しないがコンクリート躯体24と各床
スラブ25,下床部26,27との鉄筋をそれぞれ連結して設
け、両部分に亘って同時にコンクリートを打設して養生
させて一体的に結合する。また、本実施例においては、
第2図に示すように、原子炉棟21の各階に設けられてい
る壁28,28…や横梁(図示せず)をも原子炉格納容器22
のコンクリート躯体24と一体的に連結させている。
また、本実施例においては、原子炉棟21の外側を取囲む
ようにして付属棟29をその原子炉棟21と一体的に結合し
て設けている。更に説明すると、付属棟29の高さはダイ
ヤフラムフロア12が設けられている高さとされており、
付属棟29の各床30,30をそれぞれ原子炉棟21の外壁31を
介して原子炉棟21の各床スラブ25,25と連結するように
して一体的に結合されている。
これにより、本実施例においては原子炉棟21,原子炉格
納容器22および付属棟29が全体として一体的に結合され
ていることとなる。
そして、本実施例においては、原子炉棟21の外壁31を二
次格納容器のバウンダリの壁とし、外壁31より内側の原
子炉棟21内の部屋を二次格納容器とし、外壁31より外側
の付属棟29内の部屋を二次格納容器以外の部分としてい
る。
次に、本実施例の作用を説明する。
作用A 原子炉棟21と原子炉格納容器22とを一体的の結合するこ
とにより、下記の作用がある。
すなわち、原子炉棟21内に収納される原子炉格納容器22
のコンクリート躯体24の外周部を原子炉21の床スラブ2
5,使用済燃料プール15および蒸気乾燥器・気水分離器ピ
ット16の下床部26,27および壁28と一体に連結して一体
構造物とすることにより、原子炉棟21と原子炉格納容器
22との間に、部屋の水密性や気密性を保つためにのシー
ルを介装する必要がなくなり、そのシールの保守点検も
不要になる。
作用B 原子炉棟21と付属棟29を一体的に結合することにより、
下記の作用がある。
(1) 原子炉棟21に付属棟29を一体的に結合すること
により、原子炉建屋の下部の重量が重くなり原子炉建屋
の重心が低くなる。
ここで、原子炉建屋の地震時の安定性は一般に下式で表
わせられる。
ここで、 η:接地率(原子炉建屋の安定性を表し、数値が大き
い程、安定性が良い) L:原子炉建屋の基礎スラブ長 M:原子炉建屋の転倒モーメント W:原子炉建屋の重量 Kv:上下動の加速度 である。
式(1)より、原子炉建屋の基礎スラブ長Lが長い程、
また、転倒モーメントMが小さい程接地率ηは良くな
り、原子炉建屋の安定性が良くなることがわかる。
ここで、本発明の採用により、前述の様に原子炉建屋の
重心が低くなり、すなわち、転倒モーメントMが低減す
る。また、付属棟29の設置により、基礎スラブ長Lも長
くなり、式(1)より原子炉建屋の地震時の安定性が向
上されることがわかる。
(2) 原子炉棟21の外側に付属棟29があり、二次格納
容器内に設置する必要のある機器を原子炉棟21内に設置
し、二次格納容器以外の部分に設置する必要のある機器
は付属棟29内に設置する。これにより、原子炉棟21の外
壁31が二次格納容器バウンダリの壁となる。また、この
外壁31の位置は上下階が連続したものとなり、従って二
次格納容器バウンダリを構成する表面積を縮小すること
が可能となる。
作用C 原子炉棟21と原子炉格納容器22との一体化、原子炉棟21
と付属棟29との結合により下記の作用がある。
(1) 地震時に原子炉格納容器22に加わる地震荷重の
一部をバランス良く原子炉棟21と付属棟29とへ分担させ
ることができ、原子炉格納容器22の地震時の応力を小さ
くすることができる。このため、原子炉棟21は原子炉格
納容器22に作用する地震荷重の一部を分担することにな
るが、本発明によれば原子炉棟21に付属棟29を結合して
原子炉建屋の剛性を強化しているので特に問題とはなら
ない。
次に、本実施例に示すように原子炉棟21と原子炉格納容
器22とを全床で一体化し、かつ、原子炉棟21に付属棟29
を設置した場合に原子炉格納容器22に作用する地震荷重
を、原子炉棟のみを原子炉格納容器と全床で一体化した
場合に原子炉格納容器に作用する地震荷重と比較して説
明する。
結論的に言うと、本実施例の方が地震荷重を大きく低減
することができる。
第3図は原子炉建屋と原子炉格納容器との簡易モデルを
示す。
ここで、 m1:原子炉建屋の重量 K1:原子炉建屋の剛性(従来例) K1′:原子炉建屋の剛性(付属棟を採用したもの;K1′
>K1) α1:原子炉建屋の頂部加速度 m2:原子炉格納容器の重量 K2:原子炉格納容器の剛性 α2:原子炉格納容器の頂部加速度 とする。
この時、床スラブが剛であるので原子炉建屋、原子炉格
納容器に加わわる地震力は(m1 α1+m2 α2)とな
る。
次に、原子炉建屋、原子炉格納容器の地震力を示す。
1) 原子炉棟のみの場合 a 原子炉棟の地震荷重 b 原子炉格納容器の地震荷重 2) 原子炉棟に付属棟を設置した場合 a 原子炉棟、付属棟の地震荷重 b 原子炉格納容器の地震荷重 式(2),(4)より付属棟を設置した場合と、しない
場合の原子炉建屋の地震荷重の関係は下記となる。
式(6),(7)より付属棟を設置した場合としない場
合の原子炉建屋の地震荷重は、K1′>K1よりF1′>F1と
なり、付属棟を原子炉棟に設置した場合の方が大きくな
るが、付属棟の設置により、原子炉建屋全体としての断
面積も大きくなっているため、単位面積あたりの地震荷
重は、あまり変わらない。
一方、原子炉格納容器の地震荷重は以下の様になる。
式(3),(5)より ここで、式(8),(9)においてK1′>K1であるか
ら、F2>F2′となり、付属棟の設置により原子炉格納容
器の地震力は小さくなっている。また、付属棟を設置す
る、設置しないにかかわらず、原子炉格納容器の断面積
は変らないため、単位面積あたりの地震荷重は、本発明
の実施により低減され、原子炉棟および付属棟と原子炉
格納容器との間で地震力がバランス良く分担されている
ことがわかる。
(2) 原子炉棟21に付属棟29を結合し、一体化してい
るので原子炉建屋の剛性が高くなり、機器系の耐震性が
向上する。
(3) 原子炉格納容器22のサプレツッションプール13
部分では、原子炉の通常運転時および事故時において、
サプレツションプール水32の水温変化やサプレツション
プール13内の圧力変化により、水力学的動荷重が発生
し、この荷重が原子炉格納容器22の内壁に作用する。こ
のようにして原子炉格納容器22の内壁に作用する場合、
原子炉格納容器22の脚部(基部)に大きな応力が発生す
る。しかし、前述したように本発明により原子炉格納容
器22に発生する応力を低く抑えることができる。
次に、本実施例による効果を説明する。
効果A 原子炉棟21と原子炉格納容器22とを一体的に結合するこ
とにより、下記の効果が得られる。
すなわち、一体構造物とすることにより、原子炉棟21内
の各床と原子炉格納容器22との接続部の気密が保たれて
いるので、シールを介装しなくても各部屋の気密性、水
密性、防火性を保つことができる。このため、複雑なシ
ール介装を省略できるため、建設・施工性が向上する。
更に、運転開始後にはシールの保守・点検が不要になる
ため、経済性が向上する。
効果B 原子炉棟21に付属棟29を結合することにより、下記の効
果が得られる。
(1) 原子炉棟21と付属棟29とを結合し、原子炉建屋
の下部を重くしているので、原子炉建屋の重心は低くさ
れており、かつ原子炉建屋の底面積が本実施例では付属
棟29の結合により、原子炉建屋の底面積が約2倍と大き
く増大しているため、地震時の原子炉建屋の耐震性、安
定性が向上している。
耐震性の向上を第4図により説明する。同図(a)は従
来例の原子炉建屋の形状、同図(b)は本実施例の形状
を略示している。同図(c)は原子炉建屋の全重量を1.
0とした場合の、各階が支える当該階以上の全重量の比
を従来例と本実施例とに対応して示したものであり、横
軸に重量の比を、縦軸に各階の位置を示すもので、物理
的には各階に1Gの加速度が加わった時のせん断力の分布
を示すものである。よって、各階の重量比が小さい程、
それより上の階の重量が軽いことを示す。
第4図(a)に示す従来の原子炉建屋は、上端から下端
まで全く同じ重量分布であると仮定したもので、その傾
きは同図(c)の直線aとなる。ここで、同図(b)に
示すようにこの原子炉棟に付属棟を設置して本実施例の
ように構成すると、その重量分布は同図(c)の折線b
に示すように末広がりの線図となり、重量分布は原子炉
建屋の上部が軽く、下部が重い、いわゆる低重心構造と
なっていることがわかる。
また、安定性の向上を第5図により説明する。同図
(a)は従来例の原子炉建屋が地震時に浮上がった状態
を示し、同図(b)は本実施例の原子炉建屋が浮上がっ
た状態を示している。従来例と本実施例とにおける原子
炉建屋の長さをl,l′とし、地震時の原子炉建屋の浮上
がり長さをx,x′とし、接地率を求めて示したものが同
図(c)である。同図(c)より、本実施例においては
地震時にも原子炉建屋はほとんど浮上がらないが、従来
例では浮上がりが生じていることがわかり、本発明によ
り、地震時の安定性が向上していることがわかる。
(2) 原子炉棟21の外側に付属棟29があり、二次格納
容器に設置する必要のある機器を原子炉棟21内に設置
し、二次格納容器以外の部分に設置する必要のある機器
は付属棟29内に設置する。これにより、原子炉棟21の外
壁31が二次格納容器バウンダリの壁となり、壁の位置は
上下階が連続したものとなり、従って二次格納容器バウ
ンダリを構成する表面積を縮小することが可能となり、
二次格納容器としての健全性が向上する。
効果C 原子炉棟21と原子炉格納容器22との一体化、原子炉棟21
と付属棟29との結合より、下記の効果が得られる。
(1) 地震時に原子炉格納容器22に加わる地震荷重の
一部をバランスよく原子炉建屋へ分担させることがで
き、原子炉格納容器22の地震時の応力を小さくすること
ができ、原子炉格納容器22の地震時の安全性、信頼性が
向上する。
すなわち、第6図に示すように、従来の原子炉格納容器
2に作用する応力を1.0とし、本実施例の原子炉格納容
器22に作用する応力を比較すれば、従来例に対して本実
施例の原子炉格納容器22の基部に作用する応力は数10%
低減することがわかる。
また、原子炉建屋の剛性増加および原子炉格納容器22の
地震荷重の低下に伴い、原子炉建屋内、あるいは原子炉
格納容器22内に配置されるポンプ等の機器・配管等の耐
震性も向上する。すなわち、第7図の原子炉建屋の共振
曲線に示すように、共振時における応答加速度倍率は本
実施例の方が従来例より数10%低い。
(2) 上下地震動に対して、従来例では原子炉棟1内
の床スラブ9等は原子炉格納容器2側で拘束していない
ので片持梁状となり、第8図(a)に示すように床が変
形する。これに対して本実施例においては、原子炉棟21
内の床スラブ25等は原子炉格納容器22と一体であり両持
梁状となり、同図(b)に示すように床の変形が小さく
なり、原子炉建屋の耐震性が向上する。
(3) 原子炉格納容器22内のサプレッションプール水
32の作用による水力学的動荷重に対しても、原子炉建屋
が荷重の一部を負担するので、原子炉圧力容器22の荷重
負担が軽減され、原子炉格納容器22の信頼性が向上す
る。
〔発明の効果〕
このように本発明は構成され作用するものであるから、
大地震時の原子炉格納容器の耐震性および原子炉建屋の
地震時安定性を含めた耐震性を向上させ、原子炉施設全
体の地震時の安全性・信頼性を向上させることができる
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原子炉建屋の一実施例を示す縦断側面
図、第2図は第1図のII−II線に沿った断面図、第3図
は本発明の作用説明のための概略図、第4図(a),
(b)はそれぞれ従来例と本実施例の外形形状を示す概
略図、第4図(c)は原子炉建屋の各階が支える重量に
対する総重量の比較の比較図、第5図(a),(b)は
それぞれ従来例と本実施例の地震時の浮上り状態を示す
縦断側面図、第5図(c)はそれぞれの安定性の比較
図、第6図は従来例と本実施例による原子炉格納容器の
基部の地震時の応力の比較図、第7図は従来例と本実施
例による原子炉建屋内の機器の耐震設計に用いられる応
答スペクトルの比較図、第8図(a),(b)はそれぞ
れ従来例と本実施例の上下地震動による動作を示す縦断
面図、第9図は従来例を示す縦断側面図である。 21……原子炉棟、22……原子炉格納容器、23……ライナ
ープレート、24……コンクリート躯体、25……床スラ
ブ、26,27……下床部、29……付属棟、30……床、31…
…外壁。
フロントページの続き (72)発明者 高田 ちとせ 東京都港区芝浦1丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 赤田 喜央 東京都港区芝浦1丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 村松 豊 東京都港区芝浦1丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (56)参考文献 特開 昭60−111990(JP,A) 特開 昭55−162093(JP,A) 実開 昭58−99697(JP,U)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉棟内に気密性および水密性を確保す
    る内側のライナープレートと構造耐力を確保する外側の
    コンクリート躯体とからなるコンクリート製原子炉格納
    容器を収納した原子炉建屋において、前記原子炉棟の全
    床スラブを前記コンクリート躯体と一体的に結合し、前
    記原子炉棟の外壁の全外周外側の下方部に付属棟を均一
    の高さで併設し、この付属棟内の全床は原子炉棟内の床
    スラブと同一の水平位置となるようにして設けられ、前
    記原子炉棟の外壁を二次格納容器バウンダリの壁とした
    ことを特徴とする原子炉建屋。
JP61108874A 1986-05-13 1986-05-13 原子炉建屋 Expired - Fee Related JPH0672939B2 (ja)

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