JPH0670817U - 脱じん装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フィルタの熱応力による破損を防止すること
を可能とする。 【構成】 圧力容器１内の上部に、未燃分を含むダスト
含有高温被処理ガスが導入するガス導入室３を設けると
共に、その下部にダスト室５を設け、これらを連通させ
る通路をセラミックフィルタ７で形成した脱じん装置に
おいて、上記セラミックフィルタ７内の下部であってフ
ィルタ内壁の近傍に、フィルタ内壁を覆うように高温耐
熱性のダストガイドスリーブ１０を設けたことを特徴と
している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、石炭ガス化システムや石炭焚加圧流動層ボイラ複合発電システム等 に設置され、加圧流動層ボイラ等からの未燃分を含むダスト含有高温高圧ガスを 脱塵処理する脱じん装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

未燃分を含むダスト含有高温高圧ガス、例えば加圧流動層ボイラからの約 900 ℃の排ガス（被処理ガス）を脱塵処理する装置としてセラミックフィルタを用い る脱じん装置が知られている。

【０００３】 この脱じん装置は、圧力容器内に例えば管状で多孔質のセラミックフィルタを 立設し、その上方に導入された被処理ガスをフィルタ内を下降させ、この下降と 共に被処理ガスをフィルタを通過させて、ガス中のダストをフィルタに捕集させ るものである。そのフィルタを再生する場合には、逆洗装置の逆洗ノズルから高 圧の逆洗用気体（空気、窒素等）を被処理ガスとは逆方向からフィルタを通過す るように噴射させ、この逆洗によりフィルタに捕集堆積されているダストをフィ ルタから払い落として再生を行う。除去されたダストは、容器下部のダスト室に 落下して排出される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述の脱じん装置では、被処理ガスがフィルタ内を下降し、そこを 下降する間に被処理ガスが徐々にフィルタを通過して脱塵処理されるため、フィ ルタ内のガスの速度成分が下にいくにつれて小さくなり、フィルタ内の下部のガ スの速度成分がゼロになることがある。このように速度成分がゼロになると、そ こにフィルタの上方で払い落としたダスト等が滞留し、最悪の場合には雲のよう にダストが浮遊滞留することがある。その結果、滞留部分に未燃分が集積して、 周囲の雰囲気条件が所定条件（ガス温度約 350℃以上、ガス中の酸素濃度約10％ 以上（圧力６kg／cm² g の場合））になると未燃分が再燃焼する。この再燃焼に より、フィルタの内壁の温度が上昇して内壁と外壁との温度差が大きく（例えば 約 280℃の差以上（通常は約30℃の差））なり、フィルタの内壁と外壁との熱膨 張差も大きくなるので、熱応力によりフィルタが破損することがある。

【０００５】 そこで、本考案は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的 は、フィルタの熱応力による破損を防止することを可能にする脱じん装置を提供 することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するために、圧力容器内の上部に、未燃分を含むダ スト含有高温被処理ガスが導入するガス導入室を設けると共に、その下部にダス ト室を設け、これらを連通させる通路をセラミックフィルタで形成した脱じん装 置において、上記セラミックフィルタ内の下部であってフィルタ内壁の近傍に、 フィルタ内壁を覆うように高温耐熱性のダストガイドスリーブを設けたものであ る。

【０００７】

【作用】

セラミックフィルタ内の下部であってフィルタ内壁の近傍に、フィルタ内壁を 覆うように高温耐熱性のダストガイドスリーブを設けたことで、スリーブの上方 のフィルタから払い落とされたダストはフィルタ下部を下降するとき、ほとんど がスリーブ内を通り、ダスト室に導かれる。このため、ダストの滞留が起こると してもスリーブ内であり、そこで未燃分が再燃焼しても、高温耐熱性のスリーブ 内であるので、フィルタの内壁と外壁との温度差はフィルタが破損する程大きく なることはない。従って、フィルタの熱応力による破損を防止することが可能に なる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面に基づいて説明する。

【０００９】 図１において、１は圧力容器を示し、この圧力容器１は、竪型で上部が閉塞さ れた円筒状に形成されている。

【００１０】 圧力容器１内の上方と下方には管板２がそれぞれ配設されて、容器１内の上部 がガス導入室３に、中央部が集塵室４に、下部がダスト室５に区画形成される。 圧力容器１の上部側面には、未燃分を含むダスト含有高温高圧ガス、例えば加圧 流動層ボイラからの高温高圧(860〜870 ℃、 4〜16Kgf/cm² ) の排ガス（被処理 ガス）の導入管６が接続されている。

【００１１】 集塵室４には、高さ方向に沿って管状の多孔質のセラミックフィルタ７が図示 例では２つ配置され、このフィルタ７の上下端部が上記管板２にそれぞれ取り付 けられて、フィルタ７がガス導入室３とダスト室５とを連通する通路の役割をな している。これにより、ガス導入室３に導入された被処理ガスはフィルタ７内を 下降し、そこを下降する間にガスが徐々にフィルタ７を通過してガス中のダスト がフィルタ７に捕集されてガスの脱塵処理が行われる。

【００１２】 セラミックフィルタ７は、経済性及び設置スペースを少なくする等の観点から 高さ方向（軸方向）に上，中，下の３段のフィルタチューブ７ａ，７ｂ，７ｃを 積層した構造のものが多く採用されている。例えば、フィルタチューブ７ａ，７ ｂ，７ｃには長さ約 3.0ｍのチューブが用いられる。これらチューブ７ａ，７ｂ ，７ｃの継目には上記管板２と同じような管板８が配設され、集塵室４は上中下 ３つの脱塵処理されたガスが流入するガス室４ａ，４ｂ，４ｃに区画形成される 。これらガス室４ａ，４ｂ，４ｃからのガスは合流されてガス排出管９に流入す る。

【００１３】 また、フィルタ７に捕集堆積したダストを除去する逆洗装置（図示せず）が備 えられ、この逆洗装置からの高圧の逆洗用気体（空気、窒素等）による逆洗によ りフィルタ７に捕集堆積されていたダストがフィルタ７から払い落とされてフィ ルタ７内を落下してダスト室５に至る。ダスト室５を区画形成する圧力容器１の 下部はホッパ状に形成されて、フィルタ７からのダストが集められるようになっ ており、集められたダストが排出される。

【００１４】 セラミックフィルタ７内の下部（下段のフィルタチューブ７ｃの下半部）であ ってフィルタ内壁の近傍には、図１〜図３に示すように、フィルタ内壁を覆うよ うに高温耐熱性のダストガイドスリーブ１０が設けられている。ダストガイドス リーブ１０は、スリーブ１０内でのダストのブリッヂ防止のため適切な開孔面積 を確保すること、スリーブ１０が設けられているフィルタチューブ７ｃの内壁に ガスが流れること、そのフィルタチューブ７ｃのろ過性能及びダスト払い落とし 性能を確保することの３つの条件を満たす構造に形成され、例えば図示するよう に円筒状の高温耐熱性鋼板を波型にしたものが用いられる。このようにスリーブ １０は波型であるため、チューブ７ｃの内壁とスリーブ１０との間にガスが通る 空間が形成される。また、波板状のスリーブ１０の内径Ａは、チューブ内径Ｂが 約 140mmの場合には約 100mm以上にする必要があり、これによりスリーブ１０内 でのダストのブリッヂが防止される。尚、波状のスリーブを、フィルタチューブ の内壁にガスが流れること、そのフィルタチューブのろ過性能及びダスト払い落 とし性能を確保することの点から多孔板で形成するようにしてもよい。

【００１５】 次に本実施例の作用を説明する。

【００１６】 被処理ガスは、導入管６からガス導入室３に入り、セラミックフィルタ７内を 下降する。そこを下降する間に徐々にフィルタ７を通過し、ガス中のダストがフ ィルタ７に捕集されてガスの脱塵処理が行われる。この際、下段のチューブ７ｃ の下半部にダストガイドスリーブ１０が設けられているが、スリーブ１０は波型 であるため、チューブ７ｃの内壁とスリーブ１０との間にガスは流れるので、そ のチューブ７ｃでもガスが通過してダストの捕集が行われる。脱塵処理されたガ スは、ガス室４ｃを介してガス排出管９に流入し、他の系に導かれる。

【００１７】 フィルタ７に捕集堆積したダストは、逆洗装置からの逆洗によりフィルタ７か ら払い落とされてフィルタ７内を落下してダスト室５に導かれる。この際、下段 のチューブ７ｃの下半部に捕集堆積したダストはチューブ７ｃの内壁とスリーブ １０との間を落下し、上段、中段、下段（上半部）のチューブ７ａ，７ｂ，７ｃ からのダストは、下段のチューブ７ｃの下半部を落下するときには、ほとんどが ダストガイドスリーブ１０内を通ってダスト室５に落下する。このため、フィル タの下部の速度成分がゼロになってダストの滞留が起こるとしても、スリーブ１ ０内でダストが浮遊滞留することになる。これによって、その滞留部分に未燃分 が集積して未燃分が再燃焼しても、高温耐熱性のスリーブ１０内であるので、再 燃焼によるフィルタ内壁の温度上昇が低減される。これによって、フィルタ内壁 と外壁との温度差はフィルタ７が破損する程大きくなることはない。すなわち、 フィルタ７の内外壁の温度差が例えば約 280℃以上になることはないので、フィ ルタ７の内壁と外壁との熱膨張差も大きくならず、熱応力によりフィルタ７が破 損することが防止される。

【００１８】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、セラミックフィルタ内の下部であってフィルタ 内壁の近傍に高温耐熱性のダストガイドスリーブを設けたので、フィルタの熱応 力による破損を防止できるという優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す構成図である。

【図２】本考案のダストガイドスリーブをセラミックフ
ィルタ内に設けた一例を示す斜視図である。

【図３】本考案のダストガイドスリーブをセラミックフ
ィルタ内に設けた一例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 圧力容器 ３ ガス導入室 ５ ダスト室 ７ セラミックフィルタ １０ ダストガイドスリーブ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力容器内の上部に、未燃分を含むダス
   ト含有高温被処理ガスが導入するガス導入室を設けると
   共に、その下部にダスト室を設け、これらを連通させる
   通路をセラミックフィルタで形成した脱じん装置におい
   て、上記セラミックフィルタ内の下部であってフィルタ
   内壁の近傍に、フィルタ内壁を覆うように高温耐熱性の
   ダストガイドスリーブを設けたことを特徴とする脱じん
   装置。