JPH067060U - 液体クロマトグラフ用フィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】フィルター交換が容易な液体クロマトグラフ用
フィルターを提供する。 【構成】この考案は、液体クロマトグラフ装置の分離カ
ラムの前に配置するフィルターで、液の流入側及び排出
側の２つの成型体により濾材を挟持して一体となってお
りて、それら各成型体に液の流入又は排出口を持つ液体
クロマトグラフ用フィルター。 【効果】この考案は、交換が容易で短時間に行えるの
で、特に数百検体ごとにフィルター交換を必要とする臨
床検査で用いられる液体クロマトグラフ装置に用いるの
に有効である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、生化学、医学等の分野で分析手段として用いられる液体クロマトグ ラフ装置の液体流路に配するフィルターに関する。

【０００２】

【従来の技術】

生化学、医化学等の分野、特に医化学の分野においては、分析手段として液体 クロマトグラフが多く用いられている。液体クロマトグラフは、液体の移送装置 、分離カラム及び分離された成分の検出部からなるが、分離カラムの成分と試料 中の各成分との親和力の差を利用し、試料を分離カラム中に導入することにより 各成分を分離して分析する。

【０００３】 試料中に含まれる不純物、装置の例えばポンプシールから発生する異物、溶離 液中に含まれる異物などが分離カラムに混入・堆積すると分析精度が低下するば かりでなく分析不能となる場合がある。

【０００４】 従って、通常不純物が含まれている可能性のある試料を分析する場合、予め遠 心分離やメンブレンフィルターを用いた濾過などにより可能な限り試料中の不純 物を除去した後分析に供する。

【０００５】 液体クロマトグラフを用いた実際の例として、糖尿病の検査項目であるヘモグ ロビンＡ１ｃや小児神経芽細胞腫のスクリーニングの検査項目であるバニリルマ ンデル酸、ホモバニリン酸などの臨床検査では、ヘモグロビンＡ１ｃの測定では 界面活性剤の含まれた溶液で血液を希釈しその希釈液を測定試料として、又、バ ニリルマンデル酸、ホモバニリン酸の測定では尿をそのまま測定試料としている が、このような測定においては、測定試料数が多く、前処理による試料中の不純 物の除去は、操作が煩雑で自動化も難しいため実際には行なわれずにそのまま測 定が行われるのが実情である。

【０００６】 このように、遠心分離やメンブレンフィルターを用いた濾過などによる試料の 前処理は、操作が煩雑であり、測定試料が多い場合にはほとんど行われておらず 、 このような場合には、試料中の不純物は分離カラム前に設置したフィルター により捕獲されているが、フィルターの目詰まりが生じやすく、フィルターの交 換頻度は必然的に高くなる。

【０００７】 通常、このフィルターとしてメンブレンタイプのフィルターや濾紙などの薄膜 状タイプのものを使用する場合、フィルターの交換はフィルターが設置されたハ ウジングをあけピンセットなどを用い、使用済のフィルターを取り出し新しいフ ィルターをセットする方法がとられているが、いづれにしてもこの操作は非常に 煩雑である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記したような繁雑さがなく交換の容易な液体クロマトグラフ用フィ ルターを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、使用する薄膜状タ イプのフィルターを入口、出口に流路を持つ成型体で覆った状態とし、この成型 体を液体クロマトグラフ流路に配し、フィルター交換の際にはこの成型体を交換 することで容易にフィルター交換が可能となることを見出し本考案を完成した。

【００１０】 即ち本考案は、液の流入側及び排出側の２つの成型体により濾材を内包挟持し 、濾材面と、これと相対する成型体面との間に空隙を有して一体となっており、 それら各成型体に液の流入又は排出口を持つ液体クロマトグラフ用フィルターに 関する。以下、本考案を詳細に説明する。

【００１１】 図１は本考案の実施態様の断面図である。本図に示した例は、濾材１を夫々独 立した成型体２、３で挟持したフィルターで、この場合成型体２が液の出口側で 、排出口８を持ち、又成型体３が液の流入側で流入口７を持つ。夫々の成型体の 形状は特に制限されないが、この例では、成型体２が凹状で、その凹部に成型体 ３が嵌挿され濾材を内包挟持している。又、好ましい態様としては、濾材を夫々 の成型体で密着保持するために濾材の周辺部をパッキン（図中４）を介して挟持 することである。いずれの形状をとるとしても濾材を内包挟持して一体とした際 、液漏れが発生しない状態であれば良い。

【００１２】 又、濾過操作時に、濾材の全面を利用するために濾材面と成型体内面との間に 空隙（図中５、６）が生ずるような形状とする。前記した空隙の形状は特に制限 されるものでなく、図２、３のように成型体２、３、即ち液の排出側、流入側の 濾材面と相対する面に、流入口、排出口と連導する、濾過効果を向上させるため の放射状の溝（図２中９、図３中１０）を設けることも好ましい態様である。

【００１３】 図４は本考案の他の実施態様の断面図である。このように濾材１の排出側に濾 材を保持するために液流を阻害させない程度の、例えば数１０ミクロンの孔を有 する焼結体又は金属製のメッシュ（図４中１１）などを用いることも好ましい態 様である。

【００１４】 本考案のフィルターの大きさは、５〜２０ｍｍ程度の径及び濾材を挟持した状 態で０．５〜３ｍｍ程度の厚さを持つ円盤状となる形状が普通である。本考案の フィルターは通常このものを保持する部材中に内蔵させて用いられるが、液漏れ 等が発生しないように、前記保持部材の内部形状に適合した形状とすることがで きる。

【００１５】 排出口８、流入口７は成型体のほぼ中央に位置し、その形状は、液の流入及び 排出管の端部形状と適合した形状とすることにより液漏れを防止することができ る。

【００１６】 本考案で用いる濾材は、薄膜状のものであれば、特に限定されるものではない が、濾紙、例えば、セルロース系、セルロースアセテート系、シリカ繊維系、ポ リエステル系の素材、メンブレンフィルター例えば、セルロースアセテート系、 ニトロセルロース系、四フッ化エチレン樹脂系の素材等から構成されるもの、ガ ラス繊維系メンブレンフィルターなどがある。又、不織布にセルロースアセテー トなどをコートした不織布タイプなどを挙げることができる。これらは単独で用 いてもよく、種類の異なる濾紙、メンブレンフィルターを組み合わせ重ねて使用 してもよい。

【００１７】 本考案の成型体の素材は特に限定されるものではないが、通常、素材は加工の しやすい安価なポリプロピレン、アクリルスチロールなどが用いられる。

【００１８】 本考案を液体クロマトグラフ装置に配する際の位置は、カラムと測定サンプル を注入するバルブとの間の流路、特にカラムの直前が好ましい。

【００１９】 本考案はこのようにして用いられるが、通常は前記したように保持部材に内蔵 した状態でもちいられるが、その素材は特に限定されるものではなく、加工しや すく内蔵するフィルターの耐圧性を保つためにステンレス、ポリエーテルエーテ ルケトン（ピーク材）などが用いられる。形状は特に限定しないが成型体を内蔵 し実際に液体クロマトグラフに装着し通液した際に流路以外より液が漏れること のない形状とすることが好ましい。

【００２０】

【考案の効果】

本考案は、交換が容易で短時間に行えるので、特に数百検体ごとにフィルター 交換を必要とする臨床検査で用いられる液体クロマトグラフ装置に用いるのに有 効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施態様のフィルターの断面図。

【図２】本考案の一実施態様のフィルターの流入側成型
体の空隙部分の一例を示す図。

【図３】本考案の一実施態様のフィルターの排出側成型
体の空隙部分の一例を示す図。

【図４】本考案の他の実施態様のフィルターの断面図。

【符号の説明】

１：濾材 ２：排出側成型体 ３：流入側成型体 ４：漏れ防止パッキン ５：流入側空隙 ６：排出側空隙 ７：流入口 ８：排出口 ９：流入口と連導する溝 １０：排出口と連導する溝 １１：焼結体又は金属メッシュ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】液の流入側及び排出側の２つの成型体によ
   り濾材を内包挟持し、濾材面とこれと相対する成型体面
   との間に空隙を有して一体となっており、それら各成型
   体に液の流入又は排出口を持つ液体クロマトグラフ用フ
   ィルター。