JPH066866Y2 - 雛人形の芯体部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は雛人形のボデーとなる芯体部構造に関するもの
である。

従来、雛人形を製作する上に稲わらを素材としたわら胴
や桐塑胴などが使われている。前者のわら胴は束ねると
強度が高くなり、軽くてやわらかく加工しやすいのが特
長であり、束ねた一本一本のわらの間に雛人形の手
（腕）や足（もも）の芯になる針金や串などが通りやす
く、胴組みが容易なために好んで使われてきた素材であ
る。しかしわら胴の場合は、わらを固く束ねたり、固く
束ねたわらを胴体の寸法に切断し、胸前や背中、肩など
の部分は、わらを削って形をととのえるため、複雑面倒
なわら胴づくり作業となる。

わら胴は雛人形の手（腕）や足（もも）の芯になる針金
等が通りやすく胴組みが容易である反面、変形しやすい
から、わら胴を貫挿する芯針金や人形頭の串が動きやす
くなって、雛人形の手足の芯となる針金や人形頭の串を
わら胴に定位に取付けることが難しく、さらに、わら胴
の変形に伴い、わら胴に着装する人形衣裳が型崩れし
て、雛人形の仕上、風合がわるくなったり或いは、わら
胴に人形衣裳を止着する釘が抜け出してしまうおそれや
わら胴が虫喰って、人形衣裳を破毀する等、種類の欠点
がある。

また後者の桐塑胴の場合は、原型づくり→生地づくり→
仕上げに至る工程が多岐にわたるため胴づくりに手間が
かかり、桐塑胴づくりには熟練技術を必要とする。

本考案は、かかる欠点を解消できる新規な雛人形の芯体
構造を提供するものである。

以下、本考案の実施例を図面について説明すると、図中
１は木を寸法に従って切断し、胴の型に削って仕上げた
雛人形のボデーとなる芯体部である。芯体部１は次のよ
うに構成されている。

すなわち、芯体部１は常法により防虫処理されていて、
芯体部１の背部上方２に凹溝３を横設すると共に芯体部
１の背部下方４に凹溝５を横設する。

図中６は雛人形の手（腕）の芯になる針金であり、この
針金６の中間部位の所要長さ分を上記、芯体部１の凹溝
３内に嵌合させて接着固定する。なお、針金６の囲りに
綿を巻きつけて布や紙でくるみ、手（腕）の肉厚をつけ
る。

図中７は雛人形の足（もも）の芯になる 字形針金であり、この針金７の中間部位の所要長さ分を
上記、芯体部１の凹溝５内に嵌合させて接着固定し、針
金７の左右両端８，８を芯体部１の左右下側面９，９に
向接させて、直角に折曲げこの針金７の左右両端８，８
を芯体部１の下部前方へ延設する。なお、針金７の左右
両端８，８の囲りに綿を巻きつけ布や紙でくるみ、足
（もも）の肉厚をつける。７ａは 字形針金の止め金を示す。

図中１０は、芯体部１の上端部に取付けた針金であり、
この針金１０に雛人形の頭１１を組付けるようにする。

本考案は上記のような構成になるので、雛人形の胴柄と
して使用できること勿論であるが、特に、芯体部の素材
として木を使用したから、胴づくりにあたって切断、形
削作業を楽に行なうことができると共に雛人形の手
（腕）や足（もも）の芯になる針金は、芯体部の背部に
設けた夫々の凹溝内に密嵌した上で接着固定されるから
芯体部に対して、手（腕）や足（もも）の芯となる針金
を定位に取付けることができると共に芯体部の変形がな
いから、人形衣裳の着付け、振り付け、頭つけを有利に
行なうことができて雛人形の仕上、風合が非常に向上
し、しかも芯体部それ自体、防虫処理加工を施こしたか
ら虫喰い等を解消できて耐久性があり、雛人形の製造工
程の能率向上に役立つ等、顕著な効果を発揮する考案で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る雛人形の芯体部の斜視図、 第２図は、芯体部の側面図、 第３図は、人形頭を取付けた芯体部の斜視図、 第４図は、人形頭を取外した芯体部の側断面図である。 １……芯体部、３……凹溝、５……凹溝、６……針金、
７…… 字形針金、１０……針金

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】防虫処理された木製の芯体部と、この芯体
   部の背部上方に横設した、雛人形の手（腕）の芯になる
   針金を嵌め込む凹溝と、芯体部の背部下方に横設した、
   雛人形の足（もも）の芯になる針金の中間部位を嵌め込
   む凹溝と、人形頭組付け用の針金を立設する芯体上端部
   と、よりなることを特徴とする雛人形の芯体部構造。