JPH0668418B2 - 蓄冷材の製造方法及び極低温冷凍機 - Google Patents

蓄冷材の製造方法及び極低温冷凍機

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JPH0668418B2
JPH0668418B2 JP1127772A JP12777289A JPH0668418B2 JP H0668418 B2 JPH0668418 B2 JP H0668418B2 JP 1127772 A JP1127772 A JP 1127772A JP 12777289 A JP12777289 A JP 12777289A JP H0668418 B2 JPH0668418 B2 JP H0668418B2
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【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は極低温冷凍機に係り、特に、蓄冷式冷凍機に関
する。
(従来の技術) 極低温冷凍機のうち、蓄冷器を有する蓄冷式冷凍機には
ギフォード・マクマホン(GM)冷凍機、スターリング冷
凍機等の種々のタイプがあるが、これらの中で、GM冷凍
機の構成を第3図に示す。
即ち、このGM冷凍機は大きく分けてコールドヘッド1と
冷媒ガス導排出系2とで構成されている。コールドヘッ
ド1は閉じられたシリンダ11とこのシリンダ内に往復動
自在に収容されたディスプレーサ12と、シリンダ11に通
じる部屋内に配置されて上記ディスプレーサ12の往復動
に必要な動力を与えるモータ13とで構成されている。
シリンダ11は大径の第1シリンダ14とこの第1シリンダ
14に同軸的に接続された小径の第2シリンダ15とで構成
されている。そして、第1シリンダ14と第2シリンダ15
との境界壁部分で冷却面としての1段ステージ16を構成
し、またシリンダ15の先端壁部分で1段ステージ16より
低温の2段ステージ17を構成している。
ディスプレーサ12は、第1シリンダ14内を往復動する第
1ディスプレーサ18と第2シリンダ15内を往復動する第
2ディスプレーサ19で構成されている。第1ディスプレ
ーサ18と第2ディスプレーサ19とは、連結部材20によっ
て軸方向に連結されている。第1ディスプレーサ18の内
側には、軸方向に延びる流体通路21が形成されて第1蓄
冷器35を構成しており、第1蓄冷器35内には銅メッシュ
等で形成された蓄冷材22が収容されている。同様に、第
2ディスプレーサ19の内側にも軸方向に延びる流体通路
23が形成されており、第2蓄冷器36を構成している。第
2蓄冷器36内には鉛等の球等で構成された蓄冷材24が収
容されている。第1ディスプレーサ18の外周面と第1シ
リンダ14の内周面との間および第2ディスプレーサ19の
外周面と第2シリンダ15の内周面との間には、それぞれ
シール機構25、26が装着されている。
第1ディスプレーサ18の図中上端は、連結ロッド27、ス
コッチヨークあるいはクランク軸28を解してモータ13の
回転軸に連結されている。従って、モータ13の回転軸が
回転するとこの回転に同期してディスプレーサ12が図中
実線矢印29で示すように往復動する。
第1シリンダ14の側壁上部には冷媒ガスの導入口30と排
出口31とが設けてあり、これら導入口30と排出口31は冷
媒ガス導排出系2に接続されている。冷媒ガス導排出系
2は、シリンダ11を経由したヘリウムガス循環系を構成
するもので、排出口31を低圧弁32、コンプレッタ33、高
圧弁34を介して導入口30に接続したものとなっている。
即ち、この冷媒ガス導排出系2は、低圧(約6atm)ヘリ
ウムガスをコンプレッサ33で高圧(約18atm)に圧縮し
てシリンダ11内に送りこむものである。そして、低圧弁
32、高圧弁34の開閉はディスプレーサ12の往復動との関
連において後述する関係に制御される。
この様に構成された冷凍機の動作を簡単に説明すると以
下の通りである。この冷凍機では寒冷の発生する部分、
つまり冷却面に供される部分は第1ステージ16と第2ス
テージ17とである。これらは熱負荷のない場合にそれぞ
れ30Kと8K程度まで冷える。このため、第1蓄冷器35の
上下端間には常温(300K)から30Kまでの温度勾配がつ
き、また第2蓄冷器36の図中上下端間には30Kから8Kま
での温度勾配がつく。ただし、この温度は各段の熱負荷
によって変化し、通常第1ステージ16では30〜80K、2
段ステージ17では8〜20K程度となる。
モータ13が回転を開始すると、ディスプレーサ12は上死
点と下死点の間を往復動する。ディスプレーサ12が下死
点にあるとき、高圧弁34が開いて高圧のヘリウムガスが
コールドヘッド1内に流入する。次に、ディスプレーサ
12が上死点へと移動する。前述の如く、第1ディスプレ
ーサ18の外周面と第1シリンダ14の内周面との間および
第2ディスプレーサ19の外周面と第2シリンダ15の内周
面との間にはそれぞれシール機構25、26が装着されてい
る。このため、ディスプレーサ12が上死点へと向かう
と、高圧のヘリウムガスは第1ディスプレーサ18に形成
された流体通路21および第2ディスプレーサ19に流体通
路23を通って、第1ディスプレーサ18と第2ディスプレ
ーサ19との間に形成された1段膨張室39および第2ディ
スプレーサ19と第2シリンダ15の先端壁との間に形成さ
れた2段膨張室40へと流れる。この流れに伴って、高圧
のヘリウムガスは蓄冷材22、24によって冷却され、結
局、1段膨張室39に流れ込んだ高圧ヘリウムガスは30K
程度に、また2段膨張室40に流れ込んだ高圧ヘリウムガ
スは8K程度に冷却される。ここで、高圧弁34が閉じ、低
圧弁32が開く。このように低圧弁32が開くと、1段膨張
室39内および2段膨張室40内の高圧ヘリウムガスが膨張
して寒冷を発生する。この寒冷によって第1ステージ16
および第2ステージ17が冷却される。そして、ディスプ
レーサ12が再び下死点へと移動し、これに伴って1段膨
張室39内および2段膨張室40内のヘリウムガスが排除さ
れる。膨張したヘリウムガスは流体通路21、23内を通る
間に蓄冷材22、24によって暖められ、常温となって排出
される。以下、上述したサイクルが繰返されて冷凍運転
が行われる。このタイプの冷凍機は、超電動マグネット
の冷却や赤外線センサの冷却、あるいはまたクライオポ
ンプの冷却源として使用されている。
更に、第2蓄冷器36内の蓄冷材24として鉛の変わりにあ
る種の磁性体、例えばEr3Ni、EuS、GdRh等を相当量使用
することにより、冷凍機の最低温度を下げ、低温(10K
以下)での冷凍能力を増加させることができる。これは
温度の低下と共に、鉛の比熱が下がり、蓄冷材として熱
を蓄える能力が減少してしまい、蓄冷器としての熱交換
効率が大幅に下がるためである。従って、低温で鉛より
も比熱の大きい材料を用いることによって、蓄冷効率の
向上を図り、最低温度の低下と低温での冷凍能力の向上
が実現されている。例えば、第2蓄冷器内の鉛の代り
に、Er3Niを使用すると最低温度が8Kから5Kまで下が
り、10Kで冷凍能力も3Wから5Wまで向上している。
しかしながら、上記のように構成された従来の冷凍機に
あっては次のような問題があった。即ち、第2蓄冷器36
内の蓄例材24の一部あるいは全部に磁性体を使用した場
合、鉛のように球状に加工あるいは第1ディスプレーサ
18内の蓄冷材22のようにメッシュ状に加工することは非
常に困難である。従って、通常は溶融後のバルク状のも
のを粉砕後、ふるい等によりある大きさ(100〜500μm
程度)に揃えたものが、蓄冷材として使用されている。
しかし、粉砕後のこれらの材料は数μm程度の細かい角
や突起を有しており、それらの突起が、冷凍機運転中に
欠けて取れてしまう。蓄冷材24は第2ディスプレーサ19
によりこぼれないように両端でメッシュ等によって蓋を
しているが、それらにも数10μm程度の隙間が開いてお
り、磁性体の細かい粉は、ヘリウムガスとともに抜けで
てしまう。両端のメッシュ等の蓋の隙間を細かくするこ
とは、ヘリウムガスの圧力損失を増大させることにつな
がり得策ではない。また、第2蓄冷器36から出た磁性体
の微粉はシール25に付着し、シールの漏れ量を増大させ
冷凍能力を大幅に低減させてしまう。また、第1蓄冷器
35、バルブ32を通って、コンプレッサ33に至り、バルブ
32の目詰りやコンプレッサ33の破損にもつながる。この
ように、粉砕したままの磁性体を蓄冷材として使用した
場合、冷凍機の能力低下や冷凍機の破損を招くという問
題点があった。
(発明が解決しようとする課題) 上述の如く、磁性体を蓄冷材として使用した蓄冷式冷凍
機にあっては、冷凍機運転中に生じた磁性体の微粉が蓄
冷器より出てくることによって、冷凍機の冷凍能力低下
を招き、ひいては冷凍機の破損まで引起こすという問題
点があった。
そこで本発明は、磁性体製蓄冷材が微分を生じないよう
な形状にすることのできる製造方法と、この製造方法に
よって製造した磁性体製の蓄冷材を用いた極低温冷凍機
を提供することを目的としている。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、圧縮した冷媒ガスを蓄冷器を用いて冷却した
後、低温部で膨張させることによって寒冷を発生させる
極低温冷凍機の蓄冷器内に用いる磁性体製蓄冷材の製造
方法であって、前記磁性体製蓄冷材は磁性体を所定の大
きさに形成し、有機溶媒中又は不活性ガスの雰囲気中に
て表面の角を除いたことを特徴としている。
また、圧縮した冷媒ガスを蓄冷器を用いて冷却した後、
低温部で膨張させることによって寒冷を発生させる極低
温冷凍機において、前記蓄冷器に用いる蓄冷材を前記製
造方法による磁性体製蓄冷材としている。
(作用) 磁性体の粒砕後のミキシングによって磁性体製蓄冷材の
表面に有する突起の角を除いた。従って、この磁性体製
蓄冷材を用いれば突起が欠けて取れることが抑制され
る。このため、冷凍機の運転中に磁性体製蓄冷材から微
粉が生じて、シールに付着し、冷凍性能を低下させた
り、バルブに傷をつけ、コンプレッサを破損させること
を防ぐことができる。
(実施例) 以下、図面を参照しながら実施例を説明する。第1図に
本発明の一実施例に係る冷凍機が示されている。この図
では第5図と同一部分が同一符号で示されている。従っ
て、重複する部分の説明は省略する。
この実施例に係る冷凍機が従来の冷凍機と異なる点は、
第2蓄冷器36内の蓄冷材24に使用している磁性体の形状
・加工方法にある。
磁性体製蓄冷材は溶融後、粉砕し、ふるい等によって適
当な大きさ(100〜500μm)に選別し、磁性体粒とす
る。この状態の磁性体粒には数十μmから数μm程度で
角度が30度以下の細かい突起が多数ついている。第3図
に粉砕・選別後の磁性体粒41Aの様子を示す。この磁性
体粒41Aの突起41aは、そのままでは冷凍運転を行ううち
に欠けて冷凍機内に漏れてしまう。実験によると、これ
らの突起41aのうち角度が30度以下のものは冷凍機の運
転後に全て欠け落ちている。従って、30度以下の突起の
ない磁性体粒を蓄冷材として使用することにより、磁性
体粒の微粉が蓄冷器から漏れることを防ぐことができ
る。30度以下の突起のない磁性体粒は、磁性体を粒砕・
選別後、アルコール等の有機溶媒中あるいはアルゴンガ
ス等の不活性ガス中でミキサー等によってミキシングす
ることによって製造することができる。
このように、磁性体を有機溶媒中又は不活性ガス中の雰
囲気にてミキシングして角を除くようにしたため、磁性
体自らの触媒作用を制御し、その表面にNH3等の物質の
付着を防止し、磁性劣化等の不測の事態を回避でき、角
のとれた良好な磁性体を得られるものである。もし空気
中でミキシングを行なうと、磁性体の触媒作用により、
空気中のN2等との化学変化を生じ、前述の不測の事態を
招くことになるものである。
第2図にミキシング後の磁性体粒41Bの様子を示す。第
2図に見られるように細かい突起はミキシングによって
取れており、この磁性体粒41Bを蓄冷材として使用する
と運転中に磁性体粒41Bの微粉が第2蓄冷器36よりこぼ
れてシール等に付着し冷凍性能を落とすことがなくな
る。
第4図に磁性体を粉砕したのみの磁性体粒41Aを蓄冷材
に使用した極低温冷凍機と、粉砕後、ミキシングを行っ
た磁性体粒41Bを蓄冷材に使用した本発明実施例の極低
温冷凍機の運転後100時間を経過した時の冷凍能力曲線
を示す。横軸は第2ステージ17の温度(K)を示し、縦
軸は第2ステージ17に加えた熱負荷(W)を示してい
る。双方共運転開始直後の冷凍能力曲線は一致していた
が、100時間経過後には第4図のように能力に差が生じ
ている。本発明実施例の冷凍機に関しては運転開始直後
と全く等しい冷凍能力を示した。
また、運転後分解調査を行った所、粉砕したのみの磁性
体粒41Aを蓄冷材24に使用した冷凍機ではシール26に磁
性体粒41aの粉砕が付着していたが、本発明実施例の冷
凍機ではそのような微粉は見られなかった。従って、付
着した磁性体粒の微粉がシール26の漏れ量を増加させ、
第4図に見られるような冷凍能力の低下を持たらしたも
のと考えられ、ミキシングを行った磁性体粒41Bを蓄冷
材として使用することの効果が理解できる。
なお、上述した実施例では、冷凍機の構造はGM冷凍機と
していたが、GM冷凍機に限らず、スターリング冷凍機や
改良型ソルベーサイクル冷凍機、ビルミヤ冷凍機などの
蓄冷式極低温冷凍機においても本発明は適用される。ま
た、磁性体の形状も粒状のみならず、粉体、繊維状磁性
体(例えばメッキュ等の形状)、他硬質等の形状をもつ
磁性体においても均等に適用される。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、使用中に欠け易い角
を有さない磁性体製蓄冷材を得ることができ、また、こ
れを用いた極低温冷凍機によれば、冷凍能力の低下や破
損を招くことを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例に係る極低温冷凍機を局部的
に切り欠きして示す構成図、第2図は同極低温冷凍機に
組込まれた磁性体製蓄冷材を拡大して見た図、第3図は
ミキシング前の磁性体製蓄冷材を拡大して見た図、第4
図は本発明実施例に係る極低温冷凍機の特性を従来の極
低温冷凍機のそれと比較して示した図、第5図は従来の
極低温冷凍機の構成図である。 24……蓄冷材 41A……ミキシング前の磁性体製蓄冷材 41B……ミキシング後の磁性体製蓄冷材 41a……角

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧縮した冷媒ガスを蓄冷器を用いて冷却し
    た後、低温部で膨張させることによって寒冷を発生させ
    る極低温冷凍機の蓄冷器内に用いる磁性体製蓄冷材の製
    造方法であって、前記磁性体製蓄冷材は磁性体を所定の
    大きさに形成し、有機溶媒中又は不活性ガスの雰囲気中
    にて、表面の角を除いたことを特徴とする蓄冷材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】圧縮した冷媒ガスを蓄冷器を用いて冷却し
    た後、低温部で膨張させることによって寒冷を発生させ
    る極低温冷凍機において、前記蓄冷器に用いる蓄冷材と
    して前記請求項1記載の製造方法による磁性体蓄冷材を
    用いていることを特徴とする極低温冷凍機。
JP1127772A 1989-05-23 1989-05-23 蓄冷材の製造方法及び極低温冷凍機 Expired - Fee Related JPH0668418B2 (ja)

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