JPH0666977U - 円筒工作物の電解複合研磨装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 回転する円筒工作物１の内側に設けた軸方向
に往復移動し得る陰極性の電極工具２と、電極工具２の
外周に取り付けた弾力性、通水性のある粗仕上げ用研磨
材３および超仕上げ用研磨材４と、電極工具２に設けた
電解液を研磨材に供給する供給路２４と、円筒工作物１
を陽極とし、電極工具２を陰極として電圧を印加する電
源と、電極工具２のＸ，Ｙ，Ｚ方向の位置決めをする工
具位置決め装置とを備え、電極工具２の先端の側面に突
出する１対以上の凸状電極２２、２３を設けて粗仕上げ
用研磨材３および前記超仕上げ用研磨材４をそれぞれ取
り付けるようにしたものである。 【効果】 段取り時間の少ない円筒工作物の電解複合研
磨装置を提供できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、円筒工作物の内面を鏡面加工する電解複合研磨装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、円筒工作物の内面を鏡面加工する電解複合研磨装置は、例えば図４に示 すように、円筒工作物１を回転させるようにし、円筒工作物１の内側に陰極性の 電極工具２を設けて、軸方向に往復移動するようにしてある。また電極工具２の 外周には弾力性、通水性のある粗仕上げ用研磨材３または超仕上げ用研磨材を取 りつけるようにし、電極工具２に設けた供給路２４から電解液を研磨材の中に通 して、円筒工作物１の内面に噴出させると共に、円筒工作物１を陽極とし、電極 工具２を陰極として電圧を印加するようにしてある。円筒工作物１の内面鏡面加 工するときは、円筒工作物１を回転させ、電極工具２を軸方向に移動しながら研 磨材を円筒工作物１の内面に押し付けている。 また、粗仕上げ用研磨材と超仕上げ用研磨材を電極工具に同心に軸方向に間隔 を置いて並べて取り付け、１回の軸方向移動によって加工を完了するものがある （例えば、実願平４−４０１１３号）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記前者の従来技術では、粗仕上げから超仕上げに移る時に、粗仕 上げ用研磨材と超仕上げ用研磨材を電極工具に取りつけ替える必要があり、粗仕 上げ用研磨材と超仕上げ用研磨材の寸法が異なるため、その都度、電極工具の位 置決めをし直さなければならず、多くの段取り時間を必要とするという欠点があ った。 また、上記後者の従来技術でも、１回の軸方向移動によって加工を完了しない ときには、粗仕上げ用研磨材と超仕上げ用研磨材を取り替える必要があり、同様 に多くの段取り時間を必要としていた。 本考案は、段取り時間の少ない円筒工作物の電解複合研磨装置を提供すること を目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記問題を解決するため、本考案は、回転する円筒工作物の内側に設けた軸方 向に往復移動し得る陰極性の電極工具と、前記電極工具の外周に取り付けた弾力 性、通水性のある粗仕上げ用研磨材および超仕上げ用研磨材と、前記電極工具に 設けた電解液を研磨材に供給する供給路と、前記円筒工作物を陽極とし、前記電 極工具を陰極として電圧を印加する電源とを備えた円筒工作物の電解複合研磨装 置において、前記電極工具に複数の凸極を設け、前記各凸極の表面に前記粗仕上 げ用研磨材および前記超仕上げ用研磨材をそれぞれ取り付けるようにした１対以 上の凸状電極と、前記電極工具のＸ，Ｙ，Ｚ方向の位置決めをする工具位置決め 装置とを備えたものである。 とくに、加工時の前記凸状電極の外周面の曲率半径の中心が、加工する円筒工 作物の内周半径の中心と一致するようにしたものである。

【０００５】

【作用】

上記手段により、加工時に電極工具に複数の円筒工作物の内周半径の中心と一 致する曲率の中心の外周面を持った凸状電極を備えて、それぞれの凸状電極に粗 仕上げ用研磨材および超仕上げ用研磨材を取り付けるようにしてあるので、粗仕 上げ用研磨材３および超仕上げ用研磨材４が円筒工作物１の内周に均等に接触し 、仕上げ精度を高くすることができる。また粗仕上げから超仕上げに移行する時 、および異なる径の円筒工作物の加工に移行する時に、電極工具を取り替えるこ となく、工具位置決め装置により電極工具を位置決めするだけで複数種類の円筒 工作物の粗仕上げおよび超仕上げを行うことができる。

【０００６】

【実施例】

本考案を図に示す実施例について説明する。 図１は本考案の実施例を示す側断面図で、電解加工装置５には回転し得る主軸 ５１に固定したチャック５２を設け、円筒工作物１を把持するようにしてある。 また、電解加工装置５のベッド５３には円筒工作物１の軸方向に移動し得る移動 台５４を設け、移動台５４の上には工具位置決め装置６を設けてあり、電極工具 ２を固定する工具台５５のＸ，Ｙ，Ｚ方向の位置決めができるようにしてある。 工具位置決め装置６は円筒工作物１のＸ軸方向に工具台５５を移動させるＸ軸 移動機構６１と、Ｘ軸に水平方向に直交するＹ軸方向に工具台５５を移動させる Ｙ軸移動機構６２と、Ｘ軸と垂直なＺ軸方向に工具台５５を移動させるＺ軸移動 機構とから構成されている。 電極工具２には棒状の取り付け部２１と、取り付け部２１の先端の反対側の側 面に突出する１対の凸状電極２２、２３を設け、凸状電極２２の外周の曲率半径 ｒを円筒工作物１の内周半径Ｒから粗仕上げ用研磨材３の厚みｔ₁ を引いた長さ になるように加工し、凸状電極２３の外周の曲率半径ｒ’を内周半径Ｒから超仕 上げ用研磨材４の厚みｔ₂ を引いた長さになるようにして、凸状電極２２、２３ の外周の曲率半径の中心が円筒工作物の内周半径の中心と一致するようにしてあ る。 一方の凸状電極２２の外周には弾力性、通水性のある板状の粗仕上げ用研磨材 ３を湾曲させて取り付け、他方の凸状電極２３には同じく弾力性、通水性のある 板状の超仕上げ用研磨材４を湾曲させて取りつけてある。 取り付け部２１の中心には電解液を凸状電極２２、２３を通して粗仕上げ用研 磨材３および超仕上げ用研磨材４に供給するための供給路２４を設けて、図示し ない電解液供給装置に連通してある。また、各凸状電極２２、２３には、半径方 向に供給路２４に連通する供給口２４ａを設けてある。また、円筒工作物１を陽 極とし、電極工具２を陰極として電圧を印加する電源（図示しない）とを備えて ある。 円筒工作物１の内周を電解研磨する場合、粗仕上げ用研磨材３および超仕上げ 用研磨材４を取りつけた電極工具２を工具位置決め装置６に固定し、最初は、図 ２に示すように、粗仕上げ用研磨材３が円筒工作物１の内周面に接触するように 位置決めする。その後、円筒工作物１を回転するとともに、電解液を供給路２４ から粗仕上げ用研磨材３に供給し、移動台５４によって電極工具２を軸方向に移 動させ、さらに工具位置決め装置６によって、粗仕上げ用研磨材３の外周面の全 面が円筒工作物１の内周面に当たるように、適宜Ｙ軸、Ｚ軸方向に電極工具２を 移動させて円筒工作物１の内周に粗仕上げ用研磨材３を押し付けて粗仕上げ加工 する。 粗仕上げが終わったら、工具位置決め装置６により電極工具２を径方向に移動 し、粗仕上げ用研磨材３を円筒工作物１から離し、さらに粗仕上げ用研磨材３の 反対側に取りつけられている超仕上げ用研磨材４が円筒工作物１の内周面に接触 するように、工具位置決め装置６によりＹ軸、Ｚ軸方向に電極工具２を移動させ て円筒工作物１の内周面に超仕上げ用研磨材４の外周面の全面が当たるように接 触させ、移動台５４によって電極工具２を軸方向に移動させて超仕上げ加工を行 う。 このように、電極工具２に１対の凸状電極２２、２３を設け、一方の凸状電極 ２２の外周に粗仕上げ用研磨材３を、他方の凸状電極２３には超仕上げ用研磨材 ４を湾曲させて取りつけてあるので、粗仕上げ用研磨材３により粗仕上げ加工が 終わったら、工具位置決め装置６により電極工具２を移動させるだけで超仕上げ 用研磨材４により超仕上げ加工を行うことができ、従来のように、粗仕上げ加工 から超仕上げ加工に移行する時、電極工具を取り替えてその都度位置決めする必 要がなくなる。 また、加工時に凸状電極２２、２３の外周の曲率半径の中心が円筒工作物１の 内周半径の曲率中心と等しくなるように加工してあるので、粗仕上げ用研磨材３ および超仕上げ用研磨材４が円筒工作物１の内周に均等に接触し、仕上げ精度を 高くすることができる。

【０００７】 図３は、段付工作物や異種内径の工作物用として、電極工具２に３種類の内径 Ｒ_a ，Ｒ_b ，Ｒ_c を持つ円筒工作物１ａ，１ｂ，１ｃを加工する凸状電極２２ａ ，２２ｂ，２２ｃ，２３ａ，２３ｂ，２３ｃを設けたものである。凸状電極２２ ａ，２３ａの曲率半径ｒ_a 、ｒ_a ’は、円筒工作物１ａの内径Ｒ_a からそれぞれ 粗仕上げ用研磨材３および超仕上げ用研磨材４の厚みｔ₁ ，ｔ₂ を引いた長さに し、同様に凸状電極２２ｂ，２３ｂの曲率半径ｒ_b ，ｒ_b ’は円筒工作物１ｂの 内径Ｒ_b から厚みｔ₁ ，ｔ₂ を引いた長さに、また、凸状電極２２ｃ，２３ｃの 曲率半径ｒ_c ，ｒ_c ’は円筒工作物１ｃの内径Ｒ_c から厚みｔ₁ ，ｔ₂ を引いた 長さにして、それぞれの凸状電極の曲率半径の中心が加工する時の円筒工作物の 内径の中心と一致するようにしてある。 図３（ａ）は内径Ｒ_a の大径管、（ｂ）は内径Ｒ_b の中径管、（ｃ）は内径Ｒ _c の小径管の円筒工作物の粗仕上げ加工状態を示している。 各凸状電極にはそれぞれ粗仕上げ用研磨材３および超仕上げ用研磨材４を取り 付けるようにしてあり、加工時には電極工具２を工具台５５に取り付けた後、加 工する種類の円筒工作物１の内径に一致する凸状電極２２、２３にそれぞれ粗仕 上げ用研磨材３および超仕上げ用研磨材４を取り付けて、工具位置決め装置６に より電極工具２を位置決めし、移動台５４によって電極工具２を軸方向に移動さ せて仕上げ加工を行う。 したがって、従来のように異なる径の円筒工作物の加工に移行する時、電極工 具を取り替えることなく、凸状電極２２、２３にそれぞれ粗仕上げ用研磨材３お よび超仕上げ用研磨材４を取り付けて、工具位置決め装置６により電極工具２を 位置決めするだけで３種類の円筒工作物の粗仕上げおよび超仕上げを行うことが できる。

【考案の効果】

以上述べたように、本考案によれば、電極工具に複数の円筒工作物の内周半径 と一致する曲率半径の外周面を持った凸状電極を備えて、それぞれの凸状電極に 粗仕上げ用研磨材および超仕上げ用研磨材を取り付けるようにしてあるので、仕 上げ精度を高くすることができる。また、粗仕上げから超仕上げに移行する時、 および異なる径の円筒工作物の加工に移行する時に、電極工具を取り替えること なく、工具位置決め装置により電極工具を位置決めするだけで複数種類の円筒工 作物の粗仕上げおよび超仕上げを行うことができ、段取り時間の少ない円筒工作 物の電解複合研磨装置を提供できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す側断面図である。

【図２】本考案の要部拡大正断面図である。

【図３】本考案の実施例の３種類の円筒工作物の加工状
態を示すを正断面図である。

【図４】従来例の（ａ）要部側断面図および（ｂ）要部
正断面図である。

【符号の説明】

１ 円筒工作物 ２ 電極工具 ２１ 取り付け部 ２２、２２ａ、２２ｂ、２２ｃ、２３ａ、２３ｂ、２３
ｃ 凸状電極 ２４ 供給路 ２４ａ 供給口 ３ 粗仕上げ用研磨材 ４ 超仕上げ用研磨
材 ５ 電解加工装置 ５４ 移動台 ５５ 工具台 ６ 工具位置決め装
置

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転する円筒工作物の内側に設けた軸方
   向に往復移動し得る陰極性の電極工具と、前記電極工具
   の外周に取り付けた弾力性、通水性のある粗仕上げ用研
   磨材および超仕上げ用研磨材と、前記電極工具に設けた
   電解液を研磨材に供給する供給路と、前記円筒工作物を
   陽極とし、前記電極工具を陰極として電圧を印加する電
   源とを備えた円筒工作物の電解複合研磨装置において、 前記電極工具に複数の凸極を設け、前記各凸極の表面に
   前記粗仕上げ用研磨材および前記超仕上げ用研磨材をそ
   れぞれ取り付けるようにした１対以上の凸状電極と、前
   記電極工具のＸ，Ｙ，Ｚ方向の位置決めをする工具位置
   決め装置とを備えたことを特徴とする円筒工作物の電解
   複合研磨装置。
2. 【請求項２】 加工時の前記凸状電極の外周面の曲率半
   径の中心が、加工する円筒工作物の内周半径の中心と一
   致するようにした請求項１記載の円筒工作物の電解複合
   研磨装置。