JPH0666252A - 可変容量式斜板型圧縮機 - Google Patents

可変容量式斜板型圧縮機

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JPH0666252A
JPH0666252A JP4222897A JP22289792A JPH0666252A JP H0666252 A JPH0666252 A JP H0666252A JP 4222897 A JP4222897 A JP 4222897A JP 22289792 A JP22289792 A JP 22289792A JP H0666252 A JPH0666252 A JP H0666252A
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JP
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chamber
housing
spool
rear side
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JP4222897A
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Masami Sanuki
政美 佐貫
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Denso Corp
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NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シール装置52の潤滑不良による摩耗や焼き
付きを防止する。 【構成】 可変容量式斜板型圧縮機においては、最大吐
出容量(図の位置)から吐出容量が減少すると、フロン
ト側がデコンプ状態になってシール室76には圧縮すべ
き流体及びミスト状で混合している潤滑油が供給されな
くなり、シール装置52が潤滑不良となるので、スプー
ル68が嵌合している開口14aにリヤ側の吸入通路4
4の開口部44a及び44bを軸方向にずらして設ける
と共に、シール室76を介して圧縮すべき流体をリヤ側
の吸入室34に導くバイパス通路100bを設けること
により、吐出容量が最大の位置から減少に向かうときに
は、直ちに開口部44bがスプール68によって塞がれ
始めてリヤ側の全吸入通路面積が徐々に減少するので、
リヤ側の吸入室34へはバイパス通路100bを通過す
る分の供給量が増加して、潤滑油をシール装置52に与
える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば車両空調用の冷
媒圧縮機として使用するのに適した可変容量式の斜板型
圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば特開昭64−77770号公報に
記載されているような可変容量式斜板型圧縮機において
は、フロント側とリヤ側の対応位置にそれぞれ数個のシ
リンダを設け、それらの対向するシリンダの対にそれぞ
れ双頭のピストンを挿入し、これら数個の双頭のピスト
ンを、外部から傾斜角度を変更調整することができる単
一の斜板の回転による揺動運動によって軸方向に一斉に
往復運動させて、各シリンダ内の双頭のピストンの先端
にそれぞれ形成される作動室において流体を圧縮する構
成となっている。
【0003】このような圧縮機においては、吐出容量を
減少させる際に、単に斜板の傾斜角度を減少させて双頭
のピストンの往復動のストロークを減少させただけで
は、フロント側とリヤ側のシリンダ内の双方の作動室で
いずれも有効な圧縮作用が得られなくなるため、斜板の
傾斜角度を減少させると同時に、斜板の中心の位置を軸
方向にリヤ側へ移動させて、フロント側ではデコンプ状
態になっても、リヤ側では有効な圧縮作用が確保される
ようになっている。図3は、このような可変容量式斜板
型圧縮機における斜板の傾斜角度に対する吐出容量の変
化の特性を例示したものである。この図から、斜板角度
がα以下になると、フロント側のシリンダ内の作動室で
は有効な圧縮仕事が行われなくなることが判る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の可変容量式斜
板型圧縮機では、フロント側のハウジングの一部を駆動
軸が貫通しており、貫通部分にはハウジングと駆動軸と
の間にリップシールのようなシール装置が設けられる
が、このようなシール装置は摺動部分を有するため潤滑
油による潤滑を必要とするのが普通である。この可変容
量式斜板型圧縮機が自動車用の空調装置に使用された場
合、圧縮すべき流体は冷凍サイクルの冷媒ということに
なるが、普通このような冷媒圧縮機では、冷媒に冷凍機
油と呼ばれる潤滑油を混合して循環させることによっ
て、圧縮機の摺動部分その他を潤滑しているから、この
場合も同じような潤滑方式をとるとすれば、吐出容量を
絞ることによってフロント側がデコンプ状態になったと
きは、フロント側の吸入室へ冷媒が供給されなくなる結
果、フロント側に設けられているシール装置に潤滑油が
供給されなくなり、シールリップ等が摩耗したり摺動部
分が焼きついたりする恐れがある。本発明は、可変容量
式斜板型圧縮機におけるこのような問題を、可及的に簡
単な手段によって解決することを、発明の解決課題とす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するための手段として、傾斜角度を連続的に変更す
ることができる斜板と、前記斜板の周縁部に係合して駆
動され、吐出容量制御のために変化するストロークの範
囲内で往復動する双頭のピストンと、ハウジング内のフ
ロント側及びリヤ側の対応位置に設けられ、前記双頭の
ピストンを摺動可能に嵌合させて流体を圧縮する作動室
を形成するシリンダと、前記ハウジングのフロント側の
部分を貫通して延びる駆動軸と、前記駆動軸が前記ハウ
ジングを貫通する部分に設けられたシール装置と、前記
斜板の傾斜角度を変更可能に支持すると共に、軸方向に
移動可能に前記駆動軸上に緩挿されている筒軸状のスラ
イダーと、前記スライダーを支持すると共に制御流体圧
によって軸方向に移動調整されるスプールと、前記スプ
ールを軸方向に摺動させるために前記ハウジング内に軸
方向に形成されたシリンダ状の開口と、前記シリンダ状
の開口内の前記スプールの摺動面に開口し、前記スプー
ルの軸方向移動によってリヤ側の吸入室に通じる通路面
積が調整され、それによってリヤ側への全吸入通路面積
を吐出容量の減少に見合うように減少させることができ
るリヤ側の吸入通路と、前記シール装置を収容している
シール室を介して潤滑油を含む圧縮すべき流体をリヤ側
の吸入室に導くことができるバイパス通路とを、それぞ
れ備えていることを特徴とする可変容量式斜板型圧縮機
を提供する。
【0006】
【作用】可変容量式斜板型圧縮機においては、最大吐出
容量から吐出容量が減少する方向に制御されると、フロ
ント側の作動室がデコンプ状態になってフロント側の吸
入室には圧縮すべき流体が出入りしなくなるので、通常
フロント側の吸入室に接続して設けられているシール室
には、圧縮すべき流体に含まれているミスト状の潤滑油
が供給されなくなってシール装置の摺動部分が潤滑不良
となる恐れがあるが、本発明においては、スプールを軸
方向に摺動させるためにハウジング内に軸方向に形成さ
れているシリンダ状の開口に、スプールの軸方向移動に
よってリヤ側の吸入室に通じる面積が変化する開口部を
設け、その開口部をリヤ側への全吸入通路面積が吐出容
量の減少に見合って減少するように構成すると共に、シ
ール装置を収容しているシール室を介して潤滑油を含む
圧縮すべき流体をリヤ側の吸入室に導くバイパス通路を
設けているので、吐出容量が最大の位置から減少に向か
うときには、直ちに開口部がスプールによって塞がれ始
め、それによってリヤ側の全吸入通路面積が徐々に減少
することから、リヤ側の吸入室に供給される潤滑油を含
む圧縮すべき流体のうちでシール室とバイパス通路を通
過する分が増加し、その中に含まれていたミスト状の潤
滑油がシール装置に供給されるようになって、シール装
置の潤滑が支障なく維持され、潤滑不良によるシール装
置の摺動部分の摩耗や焼き付きが防止される。
【0007】
【実施例】図2は、本発明に到達する途中の段階の解決
手段、つまり、本発明によって更に改良を加える対象と
なった未だ不完全な解決手段を備えている可変容量式斜
板型圧縮機100の全体構成を、参考例として例示した
ものである。可変容量式斜板型圧縮機100はアルミニ
ウム合金製のハウジング100aを有するが、このハウ
ジング100aは、例えば5本の通しボルト10によっ
て一体的に締結された4つの部分、即ち、フロントハウ
ジング12とリヤハウジング14、及びそれらの前後に
あるフロントヘッド16とリヤヘッド18の各部分から
なっている。隣接する各部分の突き合わせ面には、それ
ぞれOリング等が設けられることによってシールが施さ
れている。なお、フロントハウジング12とフロントヘ
ッド16との間にはフロントサイドプレート20が挟着
されると共に、リヤハウジング14とリヤヘッド18と
の間にもリヤサイドプレート22が挟着されている。
【0008】フロントハウジング12とリヤハウジング
14の対応位置には、軸方向にそれぞれ例えば5個ずつ
のフロントシリンダ24及びリヤシリンダ26が開口す
るように設けられており、それらの各対毎に、それぞれ
1個づつ双頭のピストン28が挿入されて、それらが前
後に駆動された時に拡縮して容積が変化する作動室30
(図はフロント側だけを示す)を形成している。フロン
トヘッド16とリヤヘッド18の内部中心寄りの部分に
は、それぞれ略環状にフロント側の吸入室32とリヤ側
の吸入室34が形成されており、また、外周寄りの部分
には、それぞれ略環状にフロント側の吐出室36とリヤ
側の吐出室38が形成されている。それらの吸入室及び
吐出室は、フロントサイドプレート20或いはリヤサイ
ドプレート22の開口に設けられた弾性材料からなるリ
ード状の吸入弁及び吐出弁を介して、各シリンダ24,
26内の作動室30に通じるようになっている。
【0009】可変容量式斜板型圧縮機100の一体化さ
れたハウジング100aの中心を通る駆動軸46が、ラ
ジアルベアリング48及びスラストベアリング50を介
してフロントハウジング12の中心開口部分に軸承され
ており、駆動軸46がフロントヘッド12を貫通する部
分はシール装置52によって軸封されている。シール装
置52は、例えばそれ自体は公知のリップシールからな
り、フロントヘッド16の中心の拡径された開口16a
内に取り付けられていて、回転する駆動軸46に対して
摺動接触しているので、シール装置52の摺動面の摩耗
を避けるためには適度の潤滑を必要とする。
【0010】可変容量式斜板型圧縮機100が空調装置
の冷媒圧縮機として使用される場合には、被圧縮流体で
ある冷媒に冷凍機油と呼ばれる潤滑油を混合して冷凍サ
イクル内を冷媒と共に循環させ、圧縮機のシリンダ2
4,24とピストン28の摺動部分や、軸受、斜板支持
機構等を潤滑するのが普通であるが、可変容量式斜板型
圧縮機100の吐出容量を減少させることによって、フ
ロント側の作動室30において冷媒の圧縮作用がなくな
ったデコンプ状態においては、潤滑油を含んだ冷媒がシ
ール装置52に到達せず、シールリップ等が摩耗すると
いう問題を解決するのが本発明の実施例と図2の参考例
の共通の課題である。
【0011】フロントハウジング12とリヤハウジング
14の中間には、圧縮すべき流体、この場合には空調装
置の戻り冷媒が供給される共通の入口空間が、斜板室5
4を兼ねて形成されている。外部の動力によって回転す
る駆動軸46上には、軸方向に摺動可能に筒軸状のスラ
イダー56が緩挿されていて、その球状頭部56aには
傾斜角度可変に斜板58が支持されており、斜板58と
一体の腕60に設けられたピン62は、駆動軸46と一
体に形成された膨大部分46aに開口している斜めのカ
ム溝46bに挿入され、それによって案内されるように
なっている。
【0012】斜板58の周縁部は、全てのピストン28
に形成された溝28aの中に挿入され、各溝28aの両
側面に向き合って設けられた半球形の窪みの中で回動可
能に支持されている半球形のシュー64によって、摺動
可能に挟持されている。従って、スライダー56が軸方
向に移動すると、斜板58の中心も軸方向に移動する結
果、腕60のピン62は斜めのカム溝46b内を移動
し、それによって斜板58の姿勢(傾斜角度)が変化す
るので、全てのピストン28のストロークが同時に変化
して圧縮機100の吐出容量が変化することになる。図
から明らかなように、スライダー56が右へ移動する
と、図2のように斜板58の傾斜角度が小さくなり、そ
れと反対にスライダー56が左へ移動すると傾斜角度が
大きくなる。この傾斜角度の大きさは双頭のピストン2
8のストロークの大きさと対応している。
【0013】スライダー56には球状頭部56aの他に
フランジ56bとスリーブ56cが形成されており、ス
リーブ56cの内筒面が駆動軸46の端部に緩挿される
と共に、スリーブ56cの外筒面はラジアルベアリング
66を介してスプール68の拡径部68aの中心開口内
に支持されている。スプール68自体は、その拡径部6
8aがリヤハウジング14内にシリンダ状に形成された
軸方向の中心開口14a内に、軸方向摺動可能に嵌合し
て支持されている。また、スプール68の左端面とスラ
イダー56のフランジ56bとの間にはスラストベアリ
ング70が介装されており、斜板58等を介して伝えら
れるピストン28の圧縮反力等による軸方向の推力を、
フロント側のスラストベアリング50と共に支持してい
る。
【0014】スプール68の軸方向右端面は、リアヘッ
ド18に形成された大径のシリンダ18a内に軸方向摺
動可能に嵌合してシリンダ18a内をリヤ側の吸入室3
4と制御圧室72とに区画する制御ピストン40に当接
している。従って、制御ピストン40は、制御圧室72
内に供給される制御流体圧と、吸入室34との差圧によ
る軸方向の力と、スラストベアリング70を介して伝え
られる圧縮反力その他による軸方向の推力とが釣り合う
位置まで移動し、それによってスプール68とスライダ
ー56をも軸方向に移動させるので、球状頭部56aが
移動した位置に応じて、斜板58の中心の軸方向位置と
傾斜角度が変化することになる。なお、制御圧室72に
作用する制御流体圧は制御弁74によって調整される。
【0015】斜板室54に供給されるミスト状の潤滑油
を含んだガス状冷媒のような圧縮すべき流体をフロント
側の吸入室32へ受け入れるために、吸入室32はフロ
ントハウジング12に形成された吸入通路42を介して
斜板室54に連通している。同様にリヤ側の吸入室34
に対しても、リヤハウジング14に吸入通路44が形成
されているが、この参考例における吸入通路44は常時
リヤ側の吸入室34に連通している訳ではなく、リヤハ
ウジング14の中心のシリンダ状開口14aに向かって
開く吸入通路44の開口部44aは、スプール68が斜
板58の中心と共に図2のように右端位置に来る最小吐
出容量のときに、拡径部68aによって完全に閉塞され
るようになっている。そして、吐出容量の増大と共にス
プール68が左へ移動すると次第に開口部44aが開
き、斜板室54とリヤ側の吸入室34とを吸入通路44
を介して連通するように構成されている。
【0016】図2に示す参考例においては、シール装置
52へ空調装置用の冷媒のような被圧縮流体に含まれて
いる潤滑油を供給するために、斜板室54とリヤ側の吸
入室34との間には吸入通路44とは別の吸入通路(こ
れをバイパス通路という)100bが、ハウジング10
0a内に形成されている。即ち、フロントヘッド16の
中央部には、シール装置(例.リップシール)52を装
着している開口16aを含むシール室76が形成されて
おり、シール室76は、吸入通路42によって斜板室5
4と連通しているフロント側の吸入室32と常時連通し
ている。
【0017】前述のバイパス通路100bは、シール室
76に面してフロントサイドプレート20に穿孔された
孔20aと、フロントハウジング12内に形成された通
路12aと、4つの部分からなるハウジング100aを
一体的に締結する必要上、駆動軸46の周りに略均等配
置で例えば5本使用されている通しボルト10のため
に、フロントハウジング12及びリヤハウジング14に
若干大きめに穿孔された軸方向の孔12b及び14b
と、更に、リヤハウジング14内に形成された通路14
cと、リヤ側の吸入室34に面してリヤサイドプレート
22に穿孔された孔22aとからなる一連の通路であっ
て、最終的にシール室76とリヤ側の吸入室34とを常
時連通している。
【0018】可変容量式斜板型圧縮機100が自動車の
空調装置における冷媒圧縮機として使用される場合に
は、フロント側の吸入室32は吸入通路42を通じて斜
板室54に連通し、また、リヤ側の吸入室34は、吸入
通路44の開口部44aがスプール68の拡径部68a
によって閉塞されていないときに吸入通路44を介して
斜板室54に連通することによって、図示しない空調装
置のエバポレータから戻って来る低圧、低温の戻り冷媒
の供給を受ける。リヤ側の吸入室34は、バイパス通路
100bとシール室76及びフロント側の吸入室32
と、更に吸入通路42を介して斜板室54に通じている
から、この経路を通じてリヤ側の吸入室34へ導入され
る戻り冷媒に含まれていた潤滑油は、シール室76を通
過する際にシール装置52のリップ等に与えられて、シ
ールの摺動部分を潤滑し、それらの摩耗や焼き付きを防
止する。
【0019】ところで、可変容量式斜板型圧縮機100
の基本的な作動は、従来のこの種の圧縮機と同じであっ
て、駆動軸46が自動車の走行用内燃機関によって回転
駆動され、斜板58が回転しながら揺動運動をすると、
各ピストン28はシリンダ24,26の中で往復運動を
するので、作動室30が拡大するときに、吸入弁が開い
て吸入室32,34の冷媒が作動室30内に吸入され、
次いで作動室30が縮小するときに、吸入弁が閉じると
共に吐出弁が開いて、作動室30内で圧縮された高圧、
高温の冷媒を吐出室36及び38へ送り出す。吐出室3
6,38は図示しない吐出側通路を介して図示しない空
調装置のコンデンサに接続される。
【0020】可変容量式斜板型圧縮機100による冷媒
の吐出容量は、スライダー56の軸方向位置によって決
まる斜板58の傾斜角度により、ピストン28のストロ
ークを無段階に変化させることによって自由に変化させ
ることができるので、前述のように、制御弁74によっ
て制御圧室72に供給される制御流体圧を変更すること
により、スプール68とスライダー56を軸方向に移動
させて、斜板58の傾斜角度とピストン28のストロー
クを無段階に変化させ、それによって吐出容量を変更す
ることができる。
【0021】この場合、吐出容量を減少させるために、
図2に示した状態のように、斜板58の中心位置を右へ
寄せて斜板58の傾斜角度を小さくし、それによって双
頭のピストン28のストロークを小さくすると、リヤシ
リンダ26と双頭のピストン28の右端面とによって形
成されるリヤ側の例えば5個の作動室では、冷媒に対す
る有効な圧縮作用が行われるが、フロント側の5個の作
動室30ではデッドボリュームの増大によって有効な圧
縮作用をしない所謂デコンプ状態となる。
【0022】フロント側の5個の作動室30がデコンプ
状態になると、前述のように、双頭のピストン28が往
復運動をしていても、作動室30への冷媒の出入りがな
くなるので、吸入通路42によるフロント側の吸入室3
2に対する新しい冷媒の流入もなくなり、その結果、シ
ール室76には冷媒に含まれているミスト状の潤滑油
(冷凍機油)が供給されなくなって、シール装置52が
潤滑不良となり、シールリップが摩耗したり、焼きつい
たりするトラブルを発生する。
【0023】そこで、図2の参考例では、可変容量式斜
板型圧縮機100が最小の吐出容量をとったとき、例え
ば5個設けられるリヤ側の吸入通路44の開口部44a
を、スプール68の拡径部68aによって一斉に閉塞す
ることができるように構成すると共に、フロント側の吸
入室32とリヤ側の吸入室34との間にシール室76を
通るバイパス通路100bを設けて、斜板室54の冷媒
が吸入通路42、フロント側の吸入室32、シール室7
6、バイパス通路100bの順に流してリヤ側の吸入室
34に流入させる。図2の参考例は、上記のような作用
によって、フロント側の作動室30がデコンプ状態にな
っても、リヤ側の作動室へ吸入される潤滑油を含んだ冷
媒がフロント側の吸入室32とシール室76を通って流
れるようにし、シール装置52に対する潤滑油の供給を
継続させようとするものである。
【0024】しかしながら、図3の特性図に示すよう
に、フロントシリンダ24における作動室30は、斜板
角度がαとして示す値になったときにデコンプ状態にな
るというように、フロント側の作動室30のデコンプ領
域は相当広いので、その間はシール装置52が潤滑不良
になる危険性があるにもかかわらず、図2に示す参考例
では、リヤ側の吸入通路44の開口部44aは吐出容量
が最小になるまで閉塞されないため、シール室76とバ
イパス通路100bを通る冷媒の流れは吐出容量が最小
になる付近で発生するだけで、広いデコンプ領域の大部
分においては、バイパス通路100bを通る有効な程度
の冷媒の流れが発生せず、シール装置52に十分な量の
潤滑油を供給することができず、シール装置52が潤滑
不良になる恐れがあるという問題が見出された。
【0025】そこで、この問題を解決した本発明の実施
例としての可変容量式斜板型圧縮機100’の構成を図
1に示す。図1は図2の参考例に合わせて作成されてお
り、同じ構成部分については同じ参照符号を付して示す
こととし、それらについての重複する説明は省略する。
【0026】図1は、斜板58の傾斜角度が最大になっ
た状態、即ち、本発明による可変容量式斜板型圧縮機1
00’が最大の吐出容量をもたらす状態を示している
が、構成上、図1の実施例の特徴、即ち図2の参考例と
異なる点は、リヤハウジング14の中心のシリンダ状開
口14aに対する吸入通路44の開口部の位置の設定の
仕方にある。即ち、図1において44a及び44bとし
て例示しているように、この場合は5個ある開口部の位
置を、図2の参考例のように全て同じ軸方向位置に開口
させるのではなく、それらを軸方向にずらすことにより
比較的広い範囲にわたって分布するように設置した点に
図1の実施例の特徴がある。
【0027】具体的な例としては、5個の開口部のうち
半数程度(例.2個)を、図2の参考例と同じく吐出容
量が最小となる位置に設けてそれらを開口部44aと
し、他の半数程度(例.3個)の開口部を、可変容量式
斜板型圧縮機100’の吐出容量が中間容量付近にある
ときにスプール68の拡径部68aによって閉塞される
が、それよりも吐出容量が増大するときには拡径部68
aによって開放されるような軸方向位置、即ち、少しフ
ロント側に寄せた位置に設けて、これらを開口部44b
とする。(なお、後述の図5においては、開口部44b
を第1吸入通路とし、開口部44aを第2吸入通路と呼
んでいる。) もっとも、5個の開口部を軸方向に等間隔に配置すると
か、それらを軸方向のスリットに置き換えてもよいが、
製造の際に多少の困難や工数の増加を伴う。
【0028】次に、図1に示す本発明の実施例と、図2
に示す参考例との作用、効果を比較しながら説明する。
図4は、図2に示す参考例において、制御ピストン40
の変位に対する吐出容量の変化と、同じくリヤ側の吸入
室34に通じる吸入通路の有効な面積の変化を示したも
のである。この場合、制御ピストン40の変位は、吐出
容量が最大の状態を基準として、この状態を変位0とし
ており、従って吐出容量が最小となるときの変位をMa
xとしている。
【0029】まず、図4の下段に示すフロント側の吐出
容量(1点鎖線)とリヤ側の吐出容量(2点鎖線)は、
図3に示した2本の直線と同じような意味をもってい
る。そして、フロント側とリヤ側の合計の、即ち可変容
量式斜板型圧縮機100の全体の吐出容量は、2本の鎖
線の図上における和を示す実線のような折れ線として示
される。図5の下段は、同様に図1の実施例における吐
出容量の変化を示しているが、圧縮機としての基本的構
造は図1の実施例も図2の参考例と同じであるから、図
5の下段の形は図4の下段のそれと同じになる。
【0030】図2の参考例である可変容量式斜板型圧縮
機100においては、制御ピストン40の変位に応じ
て、リヤ側の吸入室34に通じる吸入通路の有効な面積
の合計の値は、図4の上段に示した太い実線のように変
化する。吐出容量の減少に対応して、シール室76とバ
イパス通路100b(通路面積が一定)を通る冷媒の流
量を徐々に増やすためには、破線によって示した直線の
ように少しずつ全吸入通路面積が減少するのが望ましい
のであるが、図2の参考例では、吐出容量最大の状態か
ら減少に向かっても暫くの間は全吸入通路面積が全く減
少せず、吸入通路44の開口部44aがスプール68の
拡径部68aによって部分的に閉じられるようになっ
て、始めて全吸入通路面積が減少に転じる。従って、こ
の間にフロント側の作動室30がデコンプ状態になって
も、シール室76とバイパス通路100bを通る冷媒の
量は微小であり、シール装置52に十分な潤滑油を供給
することができない。しかも太い実線の右端は、開口部
44bが全閉となることによって急激に落ち込んでい
る。
【0031】これに対して、図1の実施例の場合は、リ
ヤ側の吸入通路44の開口部44aを半数程度に減ら
し、他の半数程度を開口部44bとしてフロント側に寄
せて設けているので、制御ピストン40が左端の最大吐
出容量の位置から右の方向に向かって吐出容量が減少す
るように移動を開始すると、すぐに開口部44bが閉じ
始めるので、全吸入通路面積は図5の上段における太い
実線のように変化し、容量減少に見合った理想的な吸入
通路面積の変化を示す破線に近くなる。従って、シール
室76とバイパス通路100bを通る冷媒の量は、吐出
容量が減少し始めるとすぐに増加し始め、フロント側の
作動室30がデコンプ状態になっても、リヤ側の吸入室
34へ供給される冷媒の一部がリヤ側の吸入室34とシ
ール室76を通過するようになり、それに含まれていた
潤滑油をシール装置52に与えるので、全運転域にわた
ってシール装置52が潤滑不良になることが防止され、
シールリップの摩耗等を避けることができる。
【0032】また、図2の参考例の場合には、吐出容量
が最小になった位置において全ての開口部44aが同時
に全閉となるため、有効な圧縮仕事を行っているリヤ側
の吸入室34への冷媒供給は、その瞬間にバイパス通路
100bを通るものだけになる結果、急激な吸入通路面
積の減少によって吸入圧損が急増すると共に、実質吐出
容量が大きく変動し、それによって制御不安定に陥る恐
れがあるが、図1の実施例では、制御ピストン40が最
小吐出容量位置へ到達するときには既に略半数の開口部
44bが閉塞されているため、実質吐出容量の変化は緩
やかなものとなり、制御安定性が向上するというような
付随的効果もある。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、圧縮すべき流体に潤滑
油を混入して供給する型の可変容量式斜板型圧縮機にお
いて、きわめて簡単な手段によって、吐出容量が減少す
るときに懸念されるシール装置の潤滑不良を防止し、全
運転域においてシール装置に確実に潤滑油を供給して、
シール装置の摺動部分の摩耗や焼き付きを避けることが
できる。またそれと共に急激な吐出容量変化を抑えて、
制御安定性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である可変容量式斜板型圧縮機
の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明による改良の基礎となった参考例である
可変容量式斜板型圧縮機の全体構成を示す縦断面図であ
る。
【図3】この種の可変容量式斜板型圧縮機の基本的な吐
出容量の特性図である。
【図4】図2に示す参考例の問題点を詳細に説明するた
めの線図である。
【図5】本発明の実施例の作用効果を詳細に説明するた
めの線図である。
【符号の説明】
10…通しボルト 14a…シリンダ状の中心開口 24,26…シリンダ 30…作動室 28…双頭のピストン 32…フロント側の吸入室 34…リヤ側の吸入室 36,38…吐出室 40…制御ピストン 42,44…吸入通路 44a,44b…開口部 46…駆動軸 46b…カム溝 52…シール装置 54…斜板室 56…スライダー 56a…球状頭部 58…斜板 68…スプール 68a…拡径部 72…制御圧室 74…制御弁 76…シール室 100…可変容量式斜板型圧縮機(参考例) 100’…可変容量式斜板型圧縮機(実施例) 100a…ハウジング 100b…バイパス通路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 傾斜角度を連続的に変更することができ
    る斜板と、前記斜板の周縁部に係合して駆動され、吐出
    容量制御のために変化するストロークの範囲内で往復動
    する双頭のピストンと、ハウジング内のフロント側及び
    リヤ側の対応位置に設けられ、前記双頭のピストンを摺
    動可能に嵌合させて流体を圧縮する作動室を形成するシ
    リンダと、前記ハウジングのフロント側の部分を貫通し
    て延びる駆動軸と、前記駆動軸が前記ハウジングを貫通
    する部分に設けられたシール装置と、前記斜板の傾斜角
    度を変更可能に支持すると共に、軸方向に移動可能に前
    記駆動軸上に緩挿されている筒軸状のスライダーと、前
    記スライダーを支持すると共に制御流体圧によって軸方
    向に移動調整されるスプールと、前記スプールを軸方向
    に摺動させるために前記ハウジング内に軸方向に形成さ
    れたシリンダ状の開口と、前記シリンダ状の開口内の前
    記スプールの摺動面に開口し、前記スプールの軸方向移
    動によってリヤ側の吸入室に通じる通路面積が調整さ
    れ、それによってリヤ側への全吸入通路面積を吐出容量
    の減少に見合うように減少させることができるリヤ側の
    吸入通路と、前記シール装置を収容しているシール室を
    介して潤滑油を含む圧縮すべき流体をリヤ側の吸入室に
    導くことができるバイパス通路とを、それぞれ備えてい
    ることを特徴とする可変容量式斜板型圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記ハウジング内に形成された前記スプ
    ールの摺動面に開口するリヤ側の前記吸入通路が、軸方
    向に位置をずらせて複数個設けられていることを特徴と
    する、請求項1の可変容量式斜板型圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記バイパス通路が、前記ハウジングを
    一体に締結する通しボルトの孔を利用して形成されてい
    ることを特徴とする、請求項1又は請求項2の可変容量
    式斜板型圧縮機。
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