JPH0666184B2 - 超電導マグネツトの製造方法 - Google Patents

超電導マグネツトの製造方法

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JPH0666184B2
JPH0666184B2 JP60299412A JP29941285A JPH0666184B2 JP H0666184 B2 JPH0666184 B2 JP H0666184B2 JP 60299412 A JP60299412 A JP 60299412A JP 29941285 A JP29941285 A JP 29941285A JP H0666184 B2 JPH0666184 B2 JP H0666184B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、核融合研究炉や高エネルギー物理学研究施設
等において利用される高性能の超電導マグネットを製造
する方法に関するものである。
「従来の技術」 従来、Nb3SnやV3Ga等の化合物超電導体を用いた超電導
線を巻き枠に巻回して構成される超電導マグネットを製
造する場合には、JIS規定SUS304等の高強度の
非磁性材料から形成された巻き枠に、無機物質(石英や
マイカテープ、あるいはガラステープ等)を用いて絶縁
処理を施した超電導素線を巻回し、その後に、化合物超
電導体を生成させるための拡散熱処理(例えば750℃
に100時間加熱する処理)を施して超電導マグネット
を完成させていた。なお、超電導マグネットの製造に当
たり、巻き枠径が大きく、巻線時に巻線に生じる歪を0.
5%程度以下に抑えることができる場合には、超電導素
線に拡散熱処理を施して超電導線を形成した後に、この
超電導線を巻き枠に巻回して超電導マグネットを製造す
ることもある。
ところで従来、前述のように製造された超電導マグネッ
トは、超電導線単体の試料で得られる臨界電流値よりも
低い電流値で常電導転位(以下、クエンチと称す)する
ことが知られている。そして更に、このクエンチを何回
か繰り返すことにより、徐々にクエンチする際の電流値
が上昇し、超電導線単体の試料で得られる臨界電流値に
接近することも知られている。
これらの原因は、巻き枠に巻回された超電導線が、巻回
後に若干移動できる状態にあり、この状態で超電導マグ
ネットを極低温に冷却して通電した場合、超電導マグネ
ットが発生させる強大な電磁力によって超電導線自体が
わずかに移動し、この移動によって生じる磁束の乱れが
超電導体内でのフラックスジャンプ現象を引き起こすた
めであり、前記クエンチを何回か繰り返すことによっ
て、巻き枠に巻回された超電導線が電磁力によって不安
定な位置から安定な位置に移動してそれ以上移動しなく
なり、磁束の乱れが減少して臨界電流値が上昇するもの
と推定されている。なお、この臨界電流値の上昇現象は
NbTi系等の合金系超電導線を用いた超電導マグネットに
おいても同様に生じるものである。
このため従来、巻き枠に巻回された超電導線の移動を阻
止する目的で、プレス等により巻き枠の径方向および軸
方向に外力を加えることによって超電導線を安定な位置
に移動させる方法や最終的にエポキシ樹脂で固化させる
方法が実施されている。
「発明が解決しようとする問題点」 ところが、巻き枠外方の全ての超電導線に均一にプレス
力を作用させることは困難であり、前記超電導線の移動
による臨界電流値の低下現象を十分には解消できない問
題がある。
このため、従来、超電導マグネットの使用前には、完成
した超電導マグネットに通電操作を繰り返し施して繰り
返しクエンチさせ、電磁力によって超電導線を安定な位
置に移動させる処理を行っていた。ところが、極低温に
おいて繰り返しクエンチを行うと、クエンチを生じさせ
る度に冷却用の液体ヘリウムを大量に蒸発させてしまう
ことになり、高価な浪費となっていた。
一方、本願発明者らは、拡散熱処理以前の超電導線に、
引張り力を付加した場合、超電導線の臨界電流値を向上
できることを既に知見し、第31回低温工学研究発表会
(東京都港区芝公園の機械振興会館において、1984
年、5月7,8,9日にわたり開催された発表会)において
発表している。
ここで第1図に、前記発表会において公表した臨界電流
と引張り力の関係を示すとともに、第2図に、室温にお
けるNb3Sn超電導線の応力−歪関係を、また、第1表にN
b3Sn超電導線のヤング率を示す。
更に、本願発明者らは、拡散熱処理後に超電導線に引張
り力を付加した場合、超電導線の臨界電流値を向上でき
ることを既に知見し、前述の第31回低温工学発表会に
おいて発表し、その方法を特願昭59−186892号
明細書において提案している。ここで第3図に、前記特
願昭59−186892号明細書に記載した引張り力と
臨界電流値の関係を示す。更に、第4図に、室温と液体
窒素温度におけるNb3Sn超電導線の応力−歪関係を示
す。
また、本願発明者らは、特願昭58−208731号明
細書において、超電導線を繰り返し引っ張ることにより
臨界電流値を向上させる方法について提案している。こ
こで第5図に、前記特願昭58−208731号明細書
に示した関係であって、超電導線の破断強度の95%に
相当する引張り力で引張り応力を加えた場合の引張り回
数(疲労回数)と臨界電流値との関係を示す。第5図よ
り明らかなように、引張り回数103回までは臨界電流
値は向上し、その後下降するが3×104回程度まで臨
界電流値が向上している。
そして、本願発明者らはこれらの研究により判明した現
象を実際の超電導マグネットの製造に応用すべく鋭意研
究を重ねるとともに、前述した液体ヘリウムの浪費によ
る従来の問題を解消すべく研究を重ねた結果本願発明に
至った。
「発明の目的」 本発明は、前記背景に基いてなされたもので、通電時の
電磁力の影響による特性劣化を来すことがないととも
に、超電導線または超電導素線に対する効果的な歪の付
加と、超電導線または超電導素線の安定化により臨界電
流特性を向上させた高性能の超電導マグネットを製造で
きる方法を提供することを目的とする。
「問題点を解決するための手段」 本発明は、前記問題点を解決するために、超電導線ある
いは超電導素線を巻き枠に巻回した後に液体窒素温度以
下の低温に冷却して室温に戻す処理を1回以上施すもの
である。
本発明を更に詳細に説明するならば、超電導線を巻き枠
に巻回した後であって超電導マグネットの完成前に、巻
き枠とともに超電導線を液体窒素または液体ヘリウム等
の冷却後に浸漬してこれを液体窒素温度以下の低温に冷
却し、この後に冷却液から取り出して室温に戻す処理を
1回以上(好ましくは多数回)行うものである。また、
本発明の他の1つを詳細に説明するならば、化合物系超
電導体を構成する元素を複合状態で含有し、化合物系超
電導体を生成させていない状態の超電導素線を巻き枠に
巻回した後に、超電導素線を巻き枠とともに液体窒素温
度よりも低い低温に冷却して室温に戻す操作を1回以上
施し、その後に拡散熱処理を施して超電導素線内に化合
物系超電導体を生成させ、化合物系超電導線を形成させ
るものである。この冷却処理によって超電導線はその全
長に亙って巻き締まり、結果的に超電導線に引張り力が
作用して前述した発表内容に示すように超電導線に歪が
付加される結果超電導特性が向上するとともに、超電導
線全体が巻き枠上で安定な位置に納まる。また、巻き枠
に超電導素線を巻回した場合、前記冷却処理により化合
物系超電導素線がその全長に亙って巻き締まり、結果的
に化合物系超電導素線に引張り力が作用して化合物系超
電導素線に歪が付加される結果、拡散熱処理後に得られ
る化合物系超電導線の超電導特性が向上するとともに、
化合物系超電導線全体が巻き枠上で安定な位置に納ま
る。従って、前記冷却処理を施して完成した超電導マグ
ネットに通電し、電磁力を作用させた場合には、超電導
線に歪が付加されるとともに超電導線の移動が抑制され
るようになって、安定した超電導特性を得ることができ
る。このため、前記手順によって完成した超電導マグネ
ットは、その運転電流を高く設定でき、クエンチ電流ま
でのマージンを大きくとれる特長がある。なお、超電導
線は冷却処理によってその全長に亙って均一に収縮して
巻き締まるため、プレスを用いて行っていた従来の方法
よりもはるかに均一に超電導線を安定な位置に納めるこ
とができる。また、繰り返しクエンチさせて超電導線を
安定化していた従来方法に比較した場合、本発明方法に
あっては冷却液を蒸発させることも無く、安価に実施で
きる効果がある。
なお、巻き枠に巻回する超電導線は、具体的には、安定
化銅の内部に超電導体を埋設して構成した従来公知のも
の、あるいは、外被内部の冷却媒体通路内に安定化母材
に囲まれた超電導線を設けてなる従来公知の強制冷却型
超電導線等である。また、前記巻き枠は、極低温域にお
いて前記超電導線の膨張率よりも小さい膨張率を有する
金属材から構成されるもので、具体的には、SUS304,SUS
304L,SUS304LN,SUS316,SUS316L,SUS316LN等のオーステ
ナイト系ステンレス鋼、あるいは、高Mn鋼、インバーや
エリンバー等の低膨張率鋼、更には、Ti材、Ti合金材等
から構成するのが好ましい。また、化合物超電導体を構
成する元素を複合状態で含有した超電導素線を巻き枠に
巻回し、この後に、拡散熱処理を施して製造する超電導
マグネットの製造においては、前記極低温に冷却して室
温に戻す操作を拡散熱処理以前に行っても良いし、拡散
熱処理以後に行っても良い。
ところで、前記巻き締まりが生じるのは、後に示す第2
表の熱膨張割合から明らかなように、超電導線の大部分
を占める安定化銅の膨張率が、巻き枠を形成するステン
レス材やTi材の膨張率よりも大きいことに起因してい
る。即ち、極低温に冷却することによって巻き枠よりも
超電導線がより大きく収縮するためである。
(Handbook on Materials for Superconductivery Mach
inery by Natinal Bureau of Standardより)(第2表
においては、4K,10K,50K,100Kの各温度における各材料
の長さと273Kにおける各材料の長さを比較して求め
た各材料の各温度における膨張割合を示してある。) ところで、各種超電導マグネットの中でもパルス出力用
の超電導マグネットの場合は、全体の膨張率が超電導線
用高抵抗材として用いるキュプロニッケルの膨張率に近
似することになる。ここで、第3表に70Cu-30Ni合金の
膨張率を示す。
第2表と第3表を比較して明らかなように、パルス出力
用の超電導線においては、その膨張率がTiの膨張率より
も上回っているために、Ti材からなる巻き枠を用いる場
合に本発明方法を適用するならば、引張り力により歪を
付加することによる臨界電流値の向上効果と、巻き締ま
りの効果を得られることが明らかである。
「作用」 極低温に冷却することによって、巻き枠より膨張率の大
きい超電導素線あるいは超電導線が巻き枠より大きく収
縮して巻き締まり、超電導線あるいは超電導素線に引張
り力が作用してこれらに歪が付加されて臨界電流値が向
上するとともに、超電導素線あるいは超電導線が巻き枠
上で安定した位置に納まる。この作用は、低温に冷却し
てから室温に戻す操作を1回行うことで有効に発揮さ
れ、複数回行う方がより好ましい。前記の引張り力によ
る歪の付加と安定位置への納まり効果による臨界電流値
の向上効果は、拡散熱処理前の化合物系超電導素線に対
しても有効であり、この化合物系超電導素線に対して拡
散熱処理を施して得られた化合物系超電導線の臨界電流
値も向上する。
「実施例1」 Sガラステープを外周に巻回して絶縁被覆した直径1.4m
mのNb3Sn系超電導素線をSUS304からなる巻き枠に
巻回して外径150mm、内径50mm、高さ150mmのコ
イルを有する超電導マグネットを構成した。次に、液体
窒素を用いて超電導マグネットを室温から液体窒素温度
(77K)に冷却し、その後に液体窒素から取り出し、室温
に戻す操作を繰り返し10回行った。この冷却処理と室
温に戻す処理によって、超電導線には引張り力が作用し
て繰り返し巻き締まる。そして、この後に750℃に1
00時間加熱する拡散熱処理を施してNb3Sn系超電導素
線中にNb3Sn超電導化合物を生成させて超電導素線を超
電導線とする。この後に、巻き枠の最外周にSUS30
4からなるテープを巻き付けて補強し、最終完成品の超
電導マグネットを得た。また比較のために、前記手順の
内、液体窒素で冷却し室温に戻す処理のみを省略し、他
は前記手順に基いて製造した超電導マグネットを用意し
た。
前記両方の超電導マグネットを液体ヘリウムに浸漬し、
通電して励磁する実験を行った。ここで、前記液体窒素
による冷却処理を施して製造した超電導マグネットにあ
っては、直径1.4mmのNb3Sn超電導線の臨界電流値800
Aの約87%に相当する700Aにおいてもクエンチす
ることなく通電可能であり、バックアップ磁界4Tを得
て最大磁場10Tを得ることができた。一方、液体窒素
による冷却処理を施していない超電導マグネットにあっ
ては、1回目は450Aでクエンチし、このクエンチの
後に通電を停止して再び通電する操作を行ったところ2
回目は520A、3回目は580Aでクエンチした。次
に、この実施例で採用した方法および構造と同等の方法
および構造を採用し、その方法のうち、液体窒素により
冷却し室温に戻す処理の回数のみを変えて得られた超電
導マグネットの臨界電流特性を測定した結果を示す。
液体窒素により冷却し室温に戻す処理を1回行って得ら
れた超電導マグネットに通電したところ、1回目は68
0Aでクエンチしたが、このクエンチの後に通電を停止
して再び通電する操作を行ったところ、2回目は700
Aにおいてもクエンチすることなく通電可能であった。
更に、液体窒素により冷却し室温に戻す処理を100回
行って得られた超電導マグネットに通電した場合、70
0Aにおいてもクエンチすることなく通電可能であっ
た。
以上の結果から、超電導マグネットをその完成前に極低
温に冷却する操作は、超電導特性の向上に大きな効果を
奏することを実証できた。なお、超電導マグネットの製
造時の冷却処理には、液体窒素の代わりに液体ヘリウム
を用いても良い。
ところで、本実施例においては、拡散熱処理前に、冷却
操作と室温に戻す操作を施して超電導線を巻き締め、結
果的に超電導線に引張り力を付加している。このように
拡散熱処理前に超電導線に引張り力を付加した場合に、
どの程度の臨界電流値の向上を得られるかについては、
前述した低温工学研究発表会における発表内容から推定
することができる。
即ち、本実施例において、Nb3Sn超電導線の膨張率を安
定化銅に近似するものとし、安定化銅の膨張率と巻き枠
の膨張率の差異を第2表に示す如く約0.03%生じるもの
とするとともに、この膨張率の差異と第2図に示す応力
−歪関係と第1表に示すヤング率とを比較して超電導線
に生じる応力を換算すると10〜15kgf/mm2と略同値
になり、(引張り応力/破断応力)の値は0.3〜0.5に相
当することになる。したがってこの数値を第1図に当て
はめた場合に数%程度の臨界電流値が向上することが明
らかになり、臨界電流値を向上できる効果が得られるの
である。
「実施例2」 直径1.4mmのNb3Sn系超電導素線を9本成形撚線化した撚
線の外周にSガラステープを巻回して絶縁処理を施し、
Ti製の巻き枠に巻回して外径300mm、内径80mm、高
さ250mmのコイルとして超電導マグネットを形成し
た。この後に、800℃に50時間加熱する拡散熱処理
を施して超電導素線を超電導線とした。更に、この超電
導マグネットを液体窒素に浸漬するとともに取り出して
室温に戻す処理を100回繰り返し行い、最外周にSU
S304からなるテープを巻き付けて補強し、最終完成
品の超電導マグネットを得た。また比較のために、前記
手順の内、液体窒素で冷却し室温に戻す処理のみを省略
し、他は前記手順に基いて製造した超電導マグネットを
用意した。前記両方の超電導マグネットを液体ヘリウム
に浸漬し、通電して励磁した。
ここで、前記液体窒素による冷却処理を施して製造した
超電導マグネットにあっては、前記直径1.4mmの超電導
線の臨界電流値800Aから算出される撚線の臨界電流
値の83%に相当する6KAの電流を流したが、クエン
チすることなく外部のバックアップ磁場4Tを得、最大
磁場11Tを得ることができた。また、液体窒素による
冷却処理を施していない超電導マグネットにあっては、
1回目は4KAでクエンチし、この後に通電を停止して
再びクエンチするまで通電する操作を繰り返し行ってみ
たところ、クエンチ電流を5KAまで引き上げるために
合計5回のクエンチを行う必要があった。次に、この実
施例で採用した方法および構造と同等の方法および構造
を採用し、その方法のうち、液体窒素により冷却し室温
に戻す処理の回数のみを変えて得られた超電導マグネッ
トの臨界電流特性を測定した結果を示す。
液体窒素により冷却し室温に戻す処理を1回行って得ら
れた超電導マグネットに通電したところ、5.5KAでク
エンチした。
更に、液体窒素により冷却し室温に戻す処理を10回行
って得られた超電導マグネットに通電した場合、6KA
においてもクエンチすることなく通電可能であった。
ところで、本実施例においては、拡散熱処理後に、冷却
操作と室温に戻す操作を施して超電導線を巻き締め、結
果的に超電導線に引張り力を付加している。このように
拡散熱処理後に超電導線に引張り力を付加した場合に、
どの程度の臨界電流値の向上を得られるかについては、
前述した低温工学研究発表会における発表内容から推定
することができる。
本実施例において、安定化銅の膨張率とTi製の巻き枠の
膨張率の差異は、第2表と第3表から明らかなように約
0.15%生じるとするとともに、この膨張率の差異と第4
図に示す関係と第1表に示すヤング率とを比較して超電
導線に生じる応力を換算すると10kgf/mm2と略同値に
なり、(引張り応力/破断応力)の値は0.3に相当す
る。したがってこの数値を第3図に当てはめた場合に臨
界電流値が10%程度向上することが明らかになり、臨
界電流値が向上する効果が得られるのである。
なお、第5図に示す関係から、超電導線に付加する引張
り回数は、104回程度までその効果を示すことが明ら
かであるために、本実施例における冷却処理と室温に戻
す処理は実用に見合う範囲で多数回繰り返し行う方が好
ましい。
「発明の効果」 以上説明したように本発明は、巻き枠に巻回された超電
導線あるいは超電導素線を極低温に冷却して室温に戻す
操作を1回以上行うものであり、極低温に冷却すること
によって超電導線あるいは超電導素線を巻き枠よりも大
きく収縮させ、超電導線あるいは超電導素線を巻き締
め、この巻き締めによって超電導線に引張り力を作用さ
せて歪を生じさせるとともに、超電導線あるいは超電導
素線を安定な位置に移動させるものであるため、引張り
力に伴う歪の作用によって臨界電流値を向上させるとと
もに、超電導線への通電時に電磁力が作用した場合に、
超電導線の移動を抑制することができ、通電時に従来生
じていた超電導線の移動に伴う磁束の乱れを防止できる
超電導マグネットを得ることができる。したがって、従
来、通電時に生じていた超電導特性の低下現象は、本発
明方法によって製造された超電導マグネットにおいては
生じることがなく、優秀な超電導特性を発揮する超電導
マグネットを製造できるようになる。即ち本発明によれ
ば、運転電流の高い、クエンチ電流までのマージンを大
きく取りうる超電導マグネットを製造することができる
効果がある。また、化合物系超電導素線を巻き枠に巻回
してから低温に冷却し、室温に戻す処理を行ってから、
拡散熱処理を行い、化合物系超電導線を形成する方法に
おいても同様に臨界電流値を向上させることができ、優
秀な特性を発揮する超電導マグネットを製造できるよう
になる。なお、この方法によれば、脆い化合物系超電導
体を用いて超電導マグネットを製造する場合に、前記引
張り力と歪の関係を効果的に利用して超電導素線の状態
で歪を与えることができ、これにより拡散熱処理後の超
電導線を備えた超電導マグネットの臨界電流特性の向上
効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は拡散熱処理前のNb3Sn系超電導素線に引張り応
力を負荷した場合の臨界電流値を示す線図、第2図は拡
散熱処理前のNb3Sn超電導素線における応力と歪の関係
を示す線図、第3図は拡散熱処理後のNb3Sn超電導線に
引張り応力を負荷した場合の臨界電流値を示す線図、第
4図は拡散熱処理後のNb3Sn超電導線における応力と歪
の関係を示す線図、第5図はNb3Sn超電導線に繰り返し
引張り力を負荷した場合の臨界電流値を示す線図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定方 伸行 東京都江東区木場6−4―27 (72)発明者 杉本 優 東京都江東区木場6−4―27 審査官 下野 和行 (56)参考文献 特開 昭60−101811(JP,A) 特開 昭50−125698(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体窒素温度以下の低温域において超電導
    線よりも熱膨張率の小さな材料からなる巻き枠が用いら
    れてなる超電導マグネットの製造にあたり、前記巻き枠
    に超電導線あるいは超電導素線を巻回した後であって超
    電導マグネットの完成前に、巻き枠に巻回された超電導
    線あるいは超電導素線を巻き枠とともに液体窒素温度以
    下の低温に冷却して室温に戻す操作を1回以上施すこと
    を特徴とする超電導マグネットの製造方法。
  2. 【請求項2】液体窒素温度以下の低温域において化合物
    系超電導線よりも熱膨張率の小さな材料からなる巻き枠
    が用いられてなる超電導マグネットの製造にあたり、前
    記巻き枠に、化合物系超電導体を構成する元素を複合状
    態で含有し、化合物系超電導体を生成させていない状態
    の超電導素線を巻回した後に、超電導素線を巻き枠とと
    もに液体窒素温度以下の低温に冷却して室温に戻す操作
    を1回以上施し、その後に拡散熱処理を施して超電導素
    線内に化合物系超電導体を生成させ、化合物系超電導線
    を形成させることを特徴とする超電導マグネットの製造
    方法。
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JPS62158302A (ja) 1987-07-14

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