JPH0656066B2 - 錠 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は、外側ハウジング、その外側ハウジングの中に
回転自在に支えられ、同軸の円形横断面を有する鍵挿入
孔と、反転ピンおよびそれに付属するばねを収容するた
め複数の列をなして設けられた半径方向の孔とを備えた
ロツク・シリンダー、ならびに、それぞれの反転ピンと
かみ合うためのノツチを有する鍵を備えた錠に関するも
のである。

（ロ）従来技術 周知のようにロツク・シリンダーは、１本または複数本
の反転ピンで構成されるピン列の構成の仕方に応じて、
その数だけロツクの種類を許容する。鍵には、錠の反転
ピンの各列に対応するノツチの列が、反転ピンの尖端を
受け入れるために設けられている。鍵を鍵挿入孔に挿入
する際には、錠の内部で最も手前にある反転ピンは、錠
の各列のノツチの数から１を減じた数に相当する回数だ
け、半径方向の往復運動をする。すなわち最も手前の反
転ピンは、次々とすべてのノツチに嵌入して行き、最後
にその反転ピンに本来割り当てられているノツチに到達
するまでの間に嵌入したすべてのノツチから、離脱させ
られなければならない。それと同様のことが、各列で最
も手前の反転ピンのすぐ次に位置している反転ピンにも
当てはまる。しかし半径方向の往復運動の回数は１回だ
け少ない。

（ハ）発明が解決しようとする問題点 このように嵌入と離脱を繰り返すことから、反転ピンの
摩滅が甚だしいという結果が生ずる。

錠の内部で手前にある反転ピンほど摩滅はひどい。その
結果、このような錠では往々にして反転ピンがぐらつ
き、従つて錠の内部で鍵を操作した時、騒音と振動を生
ずる。

本発明の課題は、上述のような公知の錠の欠点を除き、
それによつて摩耗錠を減らしてこのような錠の信頼性を
高め、操作が特に簡単で、震動がなく、しかもなお、ロ
ツクの種類の豊富さがそこなわれないような錠の構造を
達成することである。

（ニ）問題点を解決するための手段 この課題の解決のため、本発明は始めに述べたような種
類の錠におて、鍵の胴が等辺多角形の横断面を有するよ
うにする。しかも、ハウジングの前面の壁に設けられて
いる鍵穴の横断面と、ロツク・シリンダーの底に鍵穴と
同軸に設けられている凹部の横断面とが、上記の鍵の胴
の横断面と一致する。しかも鍵穴の横断面と、ロツク・
シリンダーの底の凹部の横断面とは、角度がずれてい
る。鍵の胴の頭部（ないし先端部「以下同じ」）には、
反転ピンを半径方向の孔へ押し込むため、反転ピンの列
に対応する位置に、鍵の取手の方に向かつて登り勾配を
持つて、結局は多角柱のそれぞれの側面と交わる傾斜面
が設けられ、また多角柱の隣り合う２側面間にはノツチ
の列が設けられている。しかも鍵の横断面が多角形にな
つている部分の軸方向の長さは、ロツク・シリンダーの
底の凹部の部分を除いた鍵挿入孔の長さよりも長くはな
く、また、鍵の横断面が多角形になつている部分に続く
胴の後方部分は、鍵孔の中で回転し得る。

（ホ）作用 本発明による錠は、公知の鍵とは対照的に胴が多角形の
横断面を有する堅牢な鍵を用いる構造となつている。こ
の場合、多角形という言葉で、三角形と、頂点の数がそ
れより多いものとの両方を理解すべきである。ハウジン
グの前面の壁に設けられている鍵穴の横断面が、上述の
鍵の胴の横断面と一致する。本発明による錠の場合、ハ
ウジングの前面はロツク・シリンダーの前面を覆つてい
る。ロツク・シリンダーの底に鍵穴と同軸に設けられて
いる凹部の横断面も、上述の鍵の胴の横断面と一致す
る。しかし、ロツク・シリンダーの底の凹部の横断面
と、鍵穴の横断面とは、同軸に配置されてはいるけれど
も合同ではなく、しかも一定の角度だけ互にずれてい
る。そこから当然の結果として、鍵をロツク・シリンダ
ーの底の凹部にはめ込むためには、まず少なくともこの
ずれに相当する角度だけ鍵を回さなければならない、と
いうことになる。鍵の胴の頭部には、反転ピンを持ち上
げるため、反転ピンの列に対応す位置に、鍵の取手の方
に向かつて登り勾配を持つて、結局は多角柱のそれぞれ
の側面と交わる傾斜面が設けられ、また多角柱の隣り合
う２側面間の稜には、反転ピンの尖端を受け入れるため
のノツチの列が設けられている。円形横断面を有する鍵
挿入孔に鍵を挿入する際には、鍵の頭部のそれぞれの傾
斜面が、それぞれの列の反転ピンを、鍵の軸に平行な多
角柱の側面のレベルにまで持ち上げる。この時にはまだ
反転ピンはノツチに嵌入しない。なぜならノツチは鍵の
胴の多角柱の側面に設けられているのではなくて、隣接
する２側面間の稜に設けられているからである。多角柱
状の鍵は、同じ多角形の横断面を有する鍵穴の内部で回
転不可能な状態で案内されるので、鍵を錠の中へ挿入し
ても、鍵の頭部は精々、ロツク・シリンダーの底のスト
ツパーに達することができるだけで、ロツク・シリンダ
ーの底の凹部には、はまり込まない。なぜなら鍵の横断
面に対応するロツク・シリンダーの底の凹部の横断面
が、一定の角度だけずれているからである。そこで鍵を
その軸のまわりに上記の一定の角度だけ旋回させると、
すべての反転ピンが同時に持ち上げられる。持ち上げら
れた反転ピンは、鍵の胴の多角柱の隣接する２側面の交
線上で、個々の反転ピンに本来割り当てられているノツ
チに、軸方向に非常に近い位置にある。この場合、鍵
は、鍵穴とロツク・シリンダーの底の凹部との間のずれ
に相当する角度だけ回される。反転ピンは公知の方法で
錠の軸に向かつて作用するばねの力の作用を受けている
ので、ノツチの縁に載つた反転ピンの尖端は、鍵を前方
へ、すなわちロツク・シリンダーの底の凹部へ押し込
む。従つて反転ピンは、それぞれに本来割り当てられて
いるノツチに独力で嵌入する。その結果、本発明による
錠では、それぞれの反転ピンはただ１度だけ、しかし２
段階で、半径方向の最大の高さにまで持ち上げられるに
過ぎない。反転ピンは最大の高さに持ち上げられた後、
それぞれに本来割り当てられているノツチに嵌入する。
だから反転ピンの往復運動の回数は最小限度にまで減少
し、それによつて摩耗量も大幅に減少する。それは錠の
寿命延ばし、その機能と寿命を保証するのに役立つ。錠
の内部での鍵の回転は、鍵の胴のうち、多角形の横断面
を有する部分の長さが限られていることと、それに続く
部分が鍵穴の中で回転し得ることによつて、可能にされ
る。

鍵を鍵穴から抜き取る時には、上記の過程とは逆の過程
が進行する。この時にも、鍵を軸方向に移動させて反転
ピンをノツチからはずす第１段階では、それぞれの反転
ピンはただ１度だけ持ち上げられる。その際、同時に鍵
の頭部が、ロツク・シリンダーの底の凹部から離脱す
る。次に鍵を鍵挿入孔内で再びその軸のまわりに上記の
一定角度だけ回すと、それぞれの列の反転ピンは鍵の胴
の多角柱の側面上に載せられる。そこで鍵を更に引き出
すと、反転ピンは次々に鍵の頭部の傾斜面を通過させた
後、半径方向の内側の終点に達するまで、半径方向に内
側へ動く。鍵が錠の内部で軸方向の終点に達し、鍵の頭
部がロツク・シリンダーの底の凹部に致達すると、鍵の
横断面がロツク・シリンダーの底の凹部の横断面と一致
しているため、ロツク・シリンダーは鍵の回転に随伴し
て回転し得る状態になる。

以上において説明したように、このような錠は摩耗量が
きわめて少ないばかりでなく、その上、信頼性に対する
きわめて高い要求を満足させる。

本発明の更に別の特徴として、一般的には反転ピンの列
の数は鍵の多角柱の側面の数と一致しているが、多角柱
の側面の数の方が反転ピンの列の数より多くてもよい。
反転ピンの列が２列またはそれ以上あり、横断面が不等
辺多角形になつているものも、本発明の範囲にはいる。
このようにすれば錠の構造を非対称にすることができ、
それが信頼性を高めるのに役立つ。

鍵穴の多角柱の横断面と、ロツク・シリンダーの底の凹
部の多角形の横断面との間の角度のずれは３６０゜／２
ｘであること、ここにｘは横断面の頂点の数であること
が、本発明の範囲内で特に好ましいことが証明された。
五角形の横断面を有する鍵の場合これは３６０：１０＝
３６゜に相当する。一般的には反転ピンに加わるばね圧
力は、ロツク・シリンダーの底にまで挿入された鍵が、
鍵挿入孔の内部での軸方向の移動の最終部分を経過する
ためには、僅かな角運動量しか必要としないようにす
る。

ハウジングがその前面の壁でロツク・シリンダーを覆つ
ているという特徴によつて、錠をこじあけようとする操
作は確実にはばまれる。本発明はこのような錠の信頼性
を高めるための更に別の処置として、ハウジングの前面
とロツク・シリンダーとの間に、つまりハウジングの前
面の内側に、コバルト合金製の回転自在な環状円盤を配
置する。このような処置は、錠に穴をあけようとする試
みに対する効果的な保護を提供する。このコバルト合金
のリングは、ロツク・シリンダーを保護するのみなら
ず、その前面を完全におおう。他方において、錠の内部
の構成部材に穴をあけようとする試みも事実上不可能に
するため、ロツク・シリンダーの底の背後にも、コバル
ト合金製の円盤を回転自在に配置することが可能であ
る。その上、この円盤は錠のキーボルトに対する効果的
な保護物となる。この環状円盤が回転自在であるため、
穿孔器をあてがうことは事実上不可能となる。一般的に
はこのコバルト合金製の円盤は、ロツク・カツプリング
用の中心孔を有する。

その上、ロツク・シリンダーに支えられた反転ピンのう
ち、少なくとも若干のものをコバルト合金製とすること
も、本発明の上記のような一般的着想の範囲内にはい
る。誰かがこのような錠に穴をあけようと試みた場合、
コバルト合金で構成された反転ピンは穿孔器に対する最
大限の抵抗となる。これに代わる配慮として、本発明は
ロツク・シリンダーの半径方向の孔のうち若干のもの
に、コバルト合金製の反転ピンを、軸方向に動かし得な
いように挿入する。

錠の外面に保護板を、内側からの固定手段を用いて取り
付けること、その保護板に、鍵穴と心合わせされた開口
部を設けること、またその保護板の内面に、錠の前面を
収容する凹部を設けることも、本発明の範囲内にはい
る。このような保護板を錠を完全に多い、それによつ
て、この錠は信頼性に対する最大限の要求に応ずる力が
あるのだという保証を与える。場合によつては、この保
護板そのものをコバルト合金製とすることができる。保
護板の内面に設けた凹部のうち、ロツク・シリンダーを
覆つている部分に、コバルト合金製の円盤を回転自在に
支持することも、本発明の上記のような着想の範囲内に
はいる。この円盤は、ハウジングの前面の壁とロツク・
シリンダーとの間に配置される環状円盤に対する補足物
として備えてもよいし、または場合によつてはそれに代
るものとして備えてもよい。いずれの場合にも、この特
徴は、錠の信頼性についての最大限の要求を充足させる
のに役立つ。

（ヘ）実施例 次に、本発明の１つの好ましい実施態様を図面に基づい
て説明するが、この説明から、本発明の上記以外の特
徴、細目および長所が明らかになる。

図示の錠は、ハウジング１、および、それと同心にその
中に支えられ、円形横断面を有する鍵挿入用中心孔３を
備えたロツク・シリンダー２で構成されている。ハウジ
ング１はその外側に前面壁４を備えている。前面壁４に
は、鍵挿入孔３と同軸の鍵穴５が設けられており、また
前面壁４は、ロツク・シリンダー２の環状前面壁６を完
全に覆う。図示の錠には、円筒状のハウジング１とロツ
ク・シリンダー２とを貫通して鍵挿入孔３にまで達する
半径方向の孔７が、５列設けられている。例えば第３図
の縦断面図に示した列は、５個の孔７で構成されてい
る。反転ピンの列の数（例えば第１図および第２図では
５列）もそれぞれの列の反転ピンの数も、任意に変えて
個々の場合の事情に合わせることができる。そのこと自
体は公知のことである。それぞれの孔７は１本の反転ピ
ン８を案内する。１本の反転ピンは、内側の案内部材９
と外側の鎖錠部材１０とで構成されている。案内部材９
は、肩状の段形部１１を備えている。段形部１１は孔７
の段形部１２に当接し、反転ピン８の半径方向の内向き
移動を制限する。鎖錠部材１０に接している案内部材９
の頭部１３は、僅かに隆起している。鎖錠部材１０の、
半径方向に外側に位置している面１４に対して、渦巻き
ばね１５が作用する。渦巻きばね１５の外側の端は、円
筒状のハウジング１にかぶせて固定した筒１６に当接し
ている。筒１６は、半径方向の孔７の外側をふさいでい
る。

ハウジング１と筒１６は不動に結ばれた一体ものとして
完備されている。

ロツク・シリンダー２は底２０を備えており、底２０に
は凹部２１が設けられている。凹部２１は、鍵挿入孔３
とも、またハウジング１の前面壁４の鍵穴５とも、同軸
となるように形成されている。この凹部２１と鍵穴５と
は、横断面が等辺五角形になつているが、等辺五角形以
外に、三角形、または頂点の数がそれより多いものであ
つてもよい。しかし鍵穴５と凹部２１の五角形の横断面
は、３６゜だけ互に角度がずれている。

本発明による錠に付属している鍵２２は、同様に五角形
の横断面を有する前方胴部２３（第８図）を備えてい
る。しかもこの横断面の等辺五角形は、鍵穴５とロツク
・シリンダー２の底の凹部２１の横断面の等辺五角形と
およそ一致する。鍵２２の五角柱の胴部２３の軸方向の
長さ２４は、ロツク・シリンダー２の鍵挿入孔３の底２
０までの長さ２５と、およそ一致する。鍵２２の後方胴
部２６は、図示の実施例の場合には円形横断面を有し、
鍵穴５の中で回転し得る。鍵の胴部２３はその頭部ない
し先端部２７の領域に、五角柱のそれぞれの側面２８の
ための傾斜面２９を備えている。傾斜面２９は鍵の取手
３０の方に向かつて登り勾配を持つて、結局は多角柱の
それぞれの側面２８と交わる。従つて鍵の胴部２３の前
面３１は、第５図および第９図に示すように星形になつ
ている。この五角柱の胴部２３のそれぞれの稜３２に
は、ノツチ３３の列が設けられている。それらのノツチ
は１個ずつ、複数の反転ピン８の１本ずつに割り当てら
れている。

ハウジングの前面壁４の内側には、その前面壁４とロツ
ク・シリンダー２の前面壁６との間に、コバルト合金製
の環状円盤３４が、スリーブ・ベアリングまたはボール
・ベアリングによつて回転自在に支えられている。それ
に対応するコバルト合金製の円盤３５が、ロツク・シリ
ンダーの底２０の背面に取り付けられている。円盤３５
は、ロツク・カツプリング用の中心孔３６を有する。場
合によつては個々の反転ピン８の鎖錠部材１０もコバル
ト合金製とし、また、例えば第１図の案内部材９′の場
合がそうであるように、鎖錠部材１０を半径方向の孔７
の内部で軸方向に動かし得ないように配置することもで
きる。案内部材９′は、鍵の側面２８と同高になる程度
に鍵挿入孔３内に突入しているので、鍵の稜３２に設け
られた凹部を経て鍵を回転方向に案内することは、鍵が
鉛直状態にある場合にのみ可能である。

本発明による錠の操作法は、次の通りである。

鍵２２はその頭部ないし先端部２７をあらかじめ決めら
れている角度だけずらした上で、鍵穴５に挿入する。こ
の時、鍵の取手３０はハウジングの突起３８に対して傾
斜した状態になる。鍵の頭部２７を鍵挿入孔３に挿入す
ると、反転ピン８のすべての列で最も手前にある反転ピ
ンの尖端１７が鍵の頭部２７の傾斜面２９に乗り上げ、
鍵の胴部２３の五角柱の側面２８の高さにまで持ち上げ
られる。この過程は、すべての列のすべての反転ピン８
が五角柱のそれぞれの側面２８に支持された状態になる
まで、各列で最も手前の反転ピンの次に続いている反転
ピン８のそれぞれについて繰り返される。すべての反転
ピンが上記の状態になると、鍵の胴部２３の前面３１は
ロツク・シリンダー２の底２０に突き当る。しかし鍵の
頭部２７は、ロツク・シリンダーの底の凹部２１にはま
り込むことができない。なぜなら鍵の頭部は、そこに達
する前に鍵穴５を通過する時、この凹部２１に対して３
６゜だけ角度がずれており、しかも反転ピン８の尖端１
７を介して鍵の胴部２３の五角柱の側面２８に作用する
ばねの力が、鍵の回転を阻んでいるからである。他方に
おいてこの状態の時、五角柱の前方胴部２３の全長２４
が鍵挿入孔３の内部にあり、後方胴部２６はハウジング
の前面壁４の五角形の鍵穴５の中にある。次の段階で
は、鍵２２をその軸のまわりに強制的に旋回させること
によつて、今やすべての反転ピン８が同時に、しかも五
角柱の胴部２３の稜３２の高さにまで、持ち上げられ
る。ロツク・シリンダーの底２０の凹部２１の手前に達
している鍵の頭部２７は、上記の強制旋回によつて、凹
部２１と嵌合し得る位置関係にまで回転させられる。こ
の時、反転ピン８に対するばね圧力は最大になり、反転
ピンの尖端１７を鍵の前方胴部２３のノツチ３３へ押し
込むので、鍵は短距離の軸方向移動を行い、その結果、
鍵の頭部２７がロツク・シリンダーの底の凹部２１には
まり込む。それによつて鍵２２はロツク・シリンダー２
と鎖錠状態になり、すべての可動反転ピン８は鍵の前方
胴部２３のノツチ３３にはまり込む。この状態は第２図
に示してある。この場合にはすべての反転ピン８の案内
部材９はロツク・シリンダー２の内部にあるので、鍵を
更に回転させた時、ロツク・シリンダー２は鍵と共に回
転することができる。

錠を開けるには、上記の手順を逆に行う。ロツク・シリ
ンダー２の半径方向の孔と、ハウジング１の半径方向の
孔とが、心合わせされた状態にある時、ロツク・シリン
ダーを、あらかじめ決められている角度だけ回転させた
上で、取手３０をつかんで、鍵の五角柱の頭部２７がロ
ツク・シリンダー２の底の凹部２１から離脱するまで、
鍵２２を軸方向に手前に引く。すると、それまでノツチ
３３に嵌入していた反転ピン８が、鍵を手前に引く操作
によつてすべて同時に、ばねの力に逆らつて持ち上げら
れる。この時、反転ピン８は鍵の胴部２３の稜３２の上
にとどまつている。ストツパーとしての段形部３９が、
鍵穴５の内側に当接して、鍵を更に手前に引こうとする
試みをはばむ。そこで鍵２２を３６゜だけ逆に旋回させ
ると、鍵の五角柱の胴部２３が鍵穴５の五角形の横断面
とずれのない位置関係になり、鍵を鍵挿入孔３から完全
に引き出し得る状態になる。鍵をこのように旋回させる
と、反転ピン８は半径方向に内側へ動いて、鍵の胴部２
３の五角柱のそれぞれの側面２８に支持される。鍵が鍵
穴５から抜き取られる際には、各列の反転ピン８は、第
１図に示す半径方向の内側の終点に達するまで、更に半
径方向に内側へ次々に動く。反転ピン８がこの終点に達
すると、反転ピンの鎖錠部材１０が、ロツク・シリンダ
ー２のハウジング１に対する相対運動を阻止する。

第１０図は、外側ロツク・プレート４０を示す。場合に
よつては、外側ロツク・プレート４０もコバルト合金製
としてもよい。外側ロツク・プレート４０は、錠を取り
付けるドア等の内側からねじ等４１を用いて固定する。
この外側ロツク・プレート４０は穴４２を有する。穴４
２は、錠の鍵穴５と心合わせされた状態にあり、しかも
図示の実施態様の場合には鍵穴５の輪郭と一致してい
る。この外側ロツク・プレート４０の内側４３は凹部４
４を有する。凹部４４は、錠の前面に形状を合わせてあ
り、第１１図に示す取りつけ状態においてこの前面を受
け入れる。

第１１図に示す通り、この凹部４４の中で、軸方向に見
てロツク・シリンダー２の手前にある領域４５に、コバ
ルト合金製の円盤４６を、スリーブ・ベアリングまたは
ボール・ベアリングによつて回転自在に支えてある。円
盤４６は、錠に穴をあけようとする試みに対する効果的
な抵抗となる。

（ト）効果 本発明による錠では、それぞれの反転ピンはただ１度だ
け、しかし２段階で半径方向の最大の高さにまで持ち上
げられるに過ぎない。反転ピンは最大の高さに持ち上げ
られた後、それぞれに本来割り当てられているノツチに
嵌入する。だから反転ピンの往復運動の回数は最小限に
まで減少し、それによつて摩耗量も大幅に減少する。そ
れは錠の寿命を延ばし、その機能と寿命を保証するのに
役立つ。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による錠のロツク・シリンダーを、ハ
ウジングに対して鎖錠状態にしたところを示す横断面
図、第２図はその解錠状態を示す横断面図、第３図は、
第１図および第２図に示した錠の、第１図の線III−III
についての縦断面図、第４図は、第１図ないし第３図に
示した錠を、第３図の矢印IVの方向から見た前面図、第
５図は、第３図に示した錠のロツク・シリンダーの底
を、矢印Ｖの方向から見た図、第６図は、第３図の線VI
−VIについての断面図、第７は、第１図ないし第６図に
示した錠に用いる鍵を示す図、第８図は、第７図の線VI
II−VIIIについての断面図、第９図は鍵の頭部の斜視
図、第１０図はロツク・プレートの斜視図、第１１図は
ロツク・プレートを錠に取りつけた状態を示す図であ
る。 ２……ロツク・シリンダー ３……鍵挿入孔 ４……前面壁 ５……鍵穴 ７……半径方向の孔 ８……反転ピン ９……案内部材 ２０……底 ２１……凹部 ２２……鍵 ２３……前方胴部 ２４……長さ ２５……長さ ２６……後方胴部 ２７……頭部 ２８……側面 ２９……傾斜面 ３０……取手 ３２……稜 ３３……ノツチ ３４……環状円盤 ３５……円盤 ４０……ロツク・プレート ４２……穴 ４３……内側 ４４……凹部 ４５……領域 ４６……円盤

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外側ハウジング、その外側ハウジングの中
   に回転自在に支えられ、同軸の円形横断面を有する鍵挿
   入孔と、反転ピンおよびそれに付属するばねを収容する
   ため複数の列をなして設けられた半径方向の孔とを備え
   たロック・シリンダー、ならびに、それぞれの反転ピン
   とかみ合うためのノッチを有する鍵を備えた錠におい
   て、 鍵（２２）の前方胴部（２３）が等辺多角形の横断面を
   有し、ハウジングの前面壁（４）に設けられている鍵穴
   （５）の横断面と、ロック・シリンダーの底（２０）に
   鍵穴と同軸に設けられている凹部（２１）の横断面と
   が、上記の鍵の前方胴部の横断面と一致し、しかも鍵穴
   （５）の横断面とロック・シリンダーの底の凹部（２
   １）の横断面とは、角度がずれていること、 および、鍵の前方胴部（２３）の先端部（２７）には、
   反転ピン（８）を半径方向の孔へ押し込むため、反転ピ
   ン（８）の列に対応する位置に、鍵の取手（３０）の方
   に向かって登り勾配を持って、結局は多角柱のそれぞれ
   の側面（２８）と交わる傾斜面（２９）が設けられ、ま
   た鍵の前方胴部（２３）の多角柱の隣り合う２側面（２
   ８）間にはノッチ（３３）の列が設けられており、しか
   も鍵（２２）の多角柱状の前方胴部（２３）の軸方向の
   長さ（２４）が、ロック・シリンダー（２）の鍵挿入孔
   （３）の長さ（２５）よりも長くはなく、また前方胴部
   （２３）に続く後方胴部（２６）が鍵穴（５）の中で回
   転し得ることを特徴とする錠。
2. 【請求項２】反転ピン（８）の列の数が鍵（２２）の多
   角柱の側面（２８）の数と一致していることを特徴とす
   る、特許請求の範囲第１項記載の鍵。
3. 【請求項３】反転ピン（８）の列が２列またはそれ以上
   あり、横断面が等辺多角形になっていることを特徴とす
   る、特許請求の範囲第１項または第２項記載の錠。
4. 【請求項４】鍵穴（５）の多角形の横断面と、ロック・
   シリンダーの底の凹部（２１）の多角形の横断面との間
   の角度のずれが３６０°／２ｘであること、ここにｘは
   横断面の頂点（３２）の数であることを特徴とする、特
   許請求範囲第１項ないし第３項のうちいずれか１つに記
   載の錠。
5. 【請求項５】ノッチ（３３）の列が、鍵の多角柱状の前
   方胴部（２３）の稜（３２）に設けられていることを特
   徴とする、特許請求の範囲第１項ないし第４項のうちい
   ずれか１つに記載の錠。
6. 【請求項６】ハウジングの前面壁（４）とロック・シリ
   ンダー（２）との間に、後者の前面を覆うコバルト合金
   製の環状円盤（３４）が、スリーブ・ベアリングまたは
   ボール・ベアリングによって支えられていることを特徴
   とする、特許請求の範囲第１項ないし第５項のうちいず
   れか１つに記載の錠。
7. 【請求項７】ロック・シリンダーの底（２０）の軸方向
   の背後に、コバルト合金製の円盤（３５）が回転自在に
   配置されていることを特徴とする、特許請求の範囲第１
   項ないし第６項のうちいずれか１つに記載の錠。
8. 【請求項８】ロック・シリンダー（２）に支えられた反
   転ピン（８）のうち、少なくとも若干のものがコバルト
   合金製であることを特徴とする、特許請求の範囲第１項
   ないし第７項のうちいずれか１つに記載の錠。
9. 【請求項９】コバルト合金製反転ピン（９′）が、ロッ
   ク・シリンダー（２）の若干の半径方向の孔（７）の内
   部で軸方向に動かし得ないように固定されていること、
   おおよび、その中の一本または複数本が、鍵の側面（２
   ８）と同高なる程度に鍵挿入孔（３）内に突出している
   ことを特徴とする、特許請求の範囲第１項ないし第８項
   のうちいずれか１つに記載の錠。
10. 【請求項１０】錠の外面にプレート（４０）を、内側か
    らの固定手段を用いて取り付けること、そのプレート
    に、鍵穴（５）と心合わせされた穴（４２）を設けるこ
    と、またそのプレートの内側（４３）に、錠の前面を収
    容する凹部（４４）を設けることを特徴とする、特許請
    求の範囲第１項ないし第９項のうちいずれか１つに記載
    の錠。
11. 【請求項１１】凹部（４４）のうちロック・シリンダー
    （２）を覆っている部分（４５）に、コバルト合金製の
    円盤（４６）を、スリーブ・ベアリングまたはボール・
    ベアリングによって回転自在に支えることを特徴とす
    る、特許請求の範囲第１０項記載の錠。
12. 【請求項１２】円筒状のハウジング（１）に筒（１６）
    が固定され、そのハウジング（１）は鍵穴（５）を有す
    るその前面壁（４）により前面（６）を含んだロック・
    シリンダー（２）を包囲していることを特徴とする、特
    許請求の範囲第１項から第１１項のうち少なくとも１つ
    に記載の錠。