JPH0655676B2 - 脂質小胞体中に含有された抗菌物質の混合物による抗菌活性の増高 - Google Patents

脂質小胞体中に含有された抗菌物質の混合物による抗菌活性の増高

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JPH0655676B2
JPH0655676B2 JP60073655A JP7365585A JPH0655676B2 JP H0655676 B2 JPH0655676 B2 JP H0655676B2 JP 60073655 A JP60073655 A JP 60073655A JP 7365585 A JP7365585 A JP 7365585A JP H0655676 B2 JPH0655676 B2 JP H0655676B2
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【発明の詳細な説明】 (1)緒 言 本発明は、高められた治療上の効果を及ぼす抗菌物質の
2ないしそれ以上の或る混合物を合体している脂質小胞
体に関するものである。本発明は、生物体中における感
染(例えば、細菌性、真菌性、ウィルス性、マイコプラ
ズマ性等)の治療において、ひとつのリポソーム製剤中
に共に内包された数種の抗菌物質の組合せの治療上の効
果が、同じ組合せの抗菌物質が溶液中におけるものとし
て、あるいはそれぞれ該抗菌物質の一種を含有するリポ
ソーム製剤の混合物として投与された場合に得られる効
果よりもより大きいものであるという発見に基づくもの
である。例えばゲンタマイシン(アミノグリコシド抗生
物質)とナフシリン(β−ラクタム抗生物質)、あるい
はゲンタマイシンとクリンダマイシン(オクトースのイ
オウ含有誘導体に付着した、アミノ酸であるトランス−
L−4−n−プロピルハイグリン酸の誘導体)などの数
種の組合せの1つのリポソーム製剤への共内包[coenca
puselation](該製剤は、その後生物体中における感染
の治療に用いられる。)が以下に実施例によって論証さ
れる。
(2)発明の背景 (2.1)混合抗菌物質を用いての療法 抗菌物質の組合せは、細菌性感染の治療に関して、広く
評されている。1種より多い抗菌物質の同時投与は、
(1)抵抗性変異株の出現を防止ないしは最小限化するた
め、(2)特定の感染の治療における薬理学的活性の増長
のため(例えば、ペニシリンや数種のアミノグリコシド
はグラム陰性菌での数種の感染の治療に推奨され
る。)、(3)原因因子が明らかに確定されていない重度
の感染における最適療法を与えるため(例えば、混合細
菌性感染の治療において)、(4)組合せにおけるそれぞ
れの投与量の減少による個々の薬物の毒性の軽減のため
などの数種の目的のために提唱されている。
抗菌物質の数種の組合わせが、ある感染の治療における
増長された微生物活性および臨床効果について証明され
ている。(第1表参照)。
組合せにおいて用いられる抗生物質の抗菌活性は加算を
超えたもの、すなわち相乗効果をもたらす。例えば細菌
感染の治療において、例えばペニシリンもしくはアンピ
シリンとストレプトマイシンもしくはゲンタマイシン等
の組合せは、腸球菌感染に対して相乗効果を有すること
が示されている。同様に、ゲンタマイシンもしくはトブ
ラマイシンのようなアミノグリコシドと組合されたカル
ベニシリンもしくはチカルシリンはシュードモナス・ア
エルギノーザ[Pseudomonas aeruginosa]感染の治療に
おいて相乗効果を示す。テトラサイクリンと組合わされ
たストレプトマイシンを用いる組合せ療法は、いずれの
薬剤も単独で用いるものよりもブルセラ症の療法におい
てより効果的であるし、またクロルアンフェニコールに
スルフォンアミドを加えた混合物はヘモフィルス・イン
フルエンゼ[Hemophilus influenzae]に起因する髄膜
炎に対してより効果的である。
真菌性感染の抗生物質療法における薬剤の組合せの利用
もまた認識されている。6週間にわたるアンフォテリシ
ンB(1日当り20mg)とフルシトシン(1日当り150mg
/kg)の低投与量の同時投与は、脳脊髄液の減菌のより
迅速な速度、減少された毒性および増加された治癒の全
体的速度により測定したときクリプトコッカス症の治療
において、いずれの薬剤も単独で用いた場合よりもより
優れたものとなる。さらに、一次アメーバー髄膜脳炎
[Primary amebic meningoencephalitis]はミコナゾー
ル、リファンピンおよび莢膜内アンフォテリシンBの組
合せに対して応答する。アンフォテリシンと、フルシト
シン、リファンピンもしくはテトラサイクリンを含むそ
の他の薬剤との組合せは、抗真菌性活性を高めるものと
して認識されている。
同様に抗ウィルス性薬剤の組合せの使用は、現在探査中
である。最近、アサイクロヴィアとヴィダラビンの組合
せが、無手マウスでのヘルペス シンプレックス ウィ
ルス タイプ1[herpes simplex virus type 1]感染
の病理学的徴候の発展の減衰において、個々の薬剤より
もより効果的であると報告されている(パークら、1984
年、ザジャーナル オブ インフェクシャス ディジィ
ーズィズ 149(5):757-762[Park,et al.,1984,The Jour
nal of Infectious Diseases 149(5):757-762])。しか
しながら薬剤の組合せは、この相乗的なものよりむしろ
拮抗的なものである。例えば、静菌性薬剤(テトラサイ
クリン)の殺菌性薬剤(ペニシリン)への添加は、ペニ
シリンが繁殖している微生物に対してのみしか使用する
ことができないので、活性における減少をもたらす。そ
れゆえ、数種の試験管内検定法が抗生物質の組合せの潜
存的な治療上の効能を予測するために用いられる。これ
らの検定法は試験管内での細菌の生長における抗生物質
の効果を定量する。
抗菌物質の効能を予測するために用いられる1つの方法
がクリブナーら[Scribner et al.](1982,アンチミ
クロビアル エージェント アンド ケモセラピー[An
timicrobial Agent and Chemotherapy],21(6):919-94
3)により、またグッドマンとジルマン(1980,ザ フ
ァラマコロジカル ベイシス オブ セラペラティック
ス[The Pharamacological Basis of Therapeutics]、
第6版、pp.1097-1098)により述べられており、そして
チェッカーボード アッセイ[Checkerboard assay]と
呼ばれている。この検定法はブロス中における個別的な
および組合わせにおける抗生物質の継続的な2倍希釈
(該肉汁はその後テストされるために微生物の接種をさ
れる。)を含むものである。培養の後、個別的におよび
組合せて用いられたそれぞれの薬剤の最小阻止濃度(MI
C)が測定された(注:MICは媒体における生長を阻止す
る薬剤の最低濃度である。)。相乗作用は組合されて使
用された場合のそれぞれの薬剤のMICにおける減少によ
って示される。拮抗作用は組合されて使用された場合の
いずれかのあるいは両方の薬剤のMICにおける増加によ
って示される。この検定法は以下により詳細に述べら
れ、また本発明において、抗菌物質(例えば抗細菌性ま
たは抗真菌性)の数種の組合せが非拮抗性であるかどう
かを測定するために用いられる。
薬剤の組合せの評価のための他の方法は、殺菌性作用の
速度を定量することを含むものである。同一の培地が単
一であるいは組合せて添加された抗生物質で培養され
る。相乗作用は、抗生物質の組合せが、いずれの薬剤も
単独で用いた場合よりより迅速な殺菌性を有した場合に
示される。
同様に、抗ウィルス性剤の組合せが試験管内において検
定され得また、相乗的、追加的、拮抗的等として分類さ
れ得る。このような検定法なパークら、1984年、ザ ジ
ャーナル オブ インフェクシャス ディジィーズィズ
149(5):757-762[Park,et al.,1984,The Journal of I
nfectious Diseases 149(5):757-762]により述べられて
いる。要約すると、この検定法は融合性宿主細胞の試験
管内におけるウィルスによる感染およびこの感染した細
胞に対する個別的なおよび組合せでの抗ウィルス性剤の
種々の濃度での治療を含むものである。培養の後、治療
された細胞から回収されたウィルス力価がそれぞれの薬
剤が単独で用いられた場合において得られた力価減少の
度合を薬剤が組合されて用いられた場合において得られ
た力価の減少の度合と比較することによって測定され
た。この検定法もまた以下により詳細に述べられ、そし
て本発明において抗ウィルス性薬剤の数種の組合せが非
拮抗的であるかどうかを測定するために用いられる。
多くの例において、数種の抗菌物質での共働療法は、試
験管内においては相乗効果を及ぼす物質が、生体内にお
ける使用について単一混合物へと形成することができな
いためにさらに複雑なものとなる。ゲンタマイシンとナ
フシリンの治療学的に有効な濃度での混合物は、溶液に
より沈澱した複合体の形成という結果に終わり、それゆ
え、生物体中においては投与することができない。実
際、数種の薬剤組合わせは、薬剤不適合性(すなわち、
薬剤の不活化あるいは沈澱物の形成)により生物体内に
おける使用は推奨されないものである。例えば、次の薬
剤、すなわちゲンタマイシン、カナマイシン、リンコマ
イシン、セファローチンおよびアンピシリンは他の薬剤
と混合することなく用いることが推奨されている(ディ
ビスとアビット[Davis and Abbitt]、1977,JAVMA 170
(2):204-207)。最後に、数種の物質は、化学的抑制に
より同一媒体中に可溶化することができない(例えば脂
溶性化合物と水溶性化合物)。これらの制限は、組合せ
療法において微生物活性の増長を得るために使用され得
る物質の可能な組合せを減少させる。この見解の概観は
グッドマンとギルマン、1980年、ザ ファラマコロジカ
ル ベイシス オブ セラピウティクス 第6版1080〜
1106頁および1239〜1240頁[Goodman and Gilman,1980,P
haramacological Basis of Therapeutics Sixth Editi
o,pp.1080-1106 and 1239-1240]およびディビスら、198
0年,ミクロバイオロジィ、574-583頁[Davis et al.,19
80,Microbiology,pp.574-583]を参照のこと。
(2.2)リポソームおよびリポソームの使用 リポソームは、捕捉水塊を含有している閉塞された二層
膜である。リポソームはユニラメラベシクル(単一の膜
状二層体を有する)またはマルチラメラベシクル(水層
によりたがいに次の二層体から離された複数の同心状脂
質二層体により特徴ずけられる玉ねぎ状構造)のいかな
る種類のものであってもよい。
バンガムら[Bangam et al.](1965,J.Mol Biol.13:238-2
52)の最初のリポソームの調製は、有機溶媒中にリン脂
質を懸濁させ、該リン脂質をついで蒸発により乾燥して
反応容器内にリン脂質のワックス状堆積物を残すことを
含む。ついで適当量の水層が添加され、混合物は「膨
潤」され、そしてマルチラメラベシクル(以下MLVと称
呼する。)類よりなる生成リポソームを機械的手段によ
り分散させる。生成膜状二層体の構造は、脂質の疎水性
(非極性)「テール」が二層体の中心に向かって配向す
るのに対し、脂質の親水性(極性)「ヘッド」が水相に
向かって配向する。この技術は、パパハジャプロースと
ミラー[Papahadjapoulos and Miller](1967,Biochim,Bi
ophrs,Acta.135:624-628)により述べられている小さな
音波処理されたユニラメラベシクル(以下、SUVと呼称
する。)類の開発の基礎となっている。しかしながらこ
れらの「古典的リポソーム」の調製は、サイズの分配に
おける高い不均質性、ラメラの数、および多量の分子を
内包する能力を制限する水性空間の低被包能力などを含
むいくつかの欠点を有していた。
捕捉された容積を増加させるための努力は、第1に逆ミ
セルまたはリポソーム前駆体を形成すること、すなわ
ち、脂質分子の単一層体によって囲繞されている水性相
を含有する小胞体(ベシクル)を、極性ヘッド基が水性
相を向くように配向することを含むものである。リポソ
ーム前駆体は内包されるべき水性溶液を極性脂質の有機
溶媒溶液に添加しそして音波処理することにより生成さ
れる。該溶媒は過剰の脂質の存在下において蒸発され
る。脂質二層体によって捕捉された水性相よりなる生成
リポソームは水性相に分散される(エム.シュネイダー
[M.Schneider]に対して1980年9月23日に発行された米
国特許第4,224,179号参照。)。
捕捉能を最大化するための他の試みにおいて、パパハジ
ョプーロス(1980年11月25日発行の米国特許第4,235,87
1号)は、オリゴラメラ脂質ベシクルの調製のための
「逆相蒸発法[reversephase evaporation process]も逆
相蒸発ベシクル(以下、REVと呼称する。)類として知
られていると述べている。この手法によると、捕捉され
るべき水性物質は、有機溶媒中への極性脂質の混合物に
添加される。次に均質な油中水[water-in-oil]型のエマ
ルジョンが形成され、そしてゲルが生成するまで有機溶
媒が蒸発される。このゲルは次に、水性媒体中にこのゲ
ル様混合物を分散させることで懸濁物に変換される。生
成したREVは主となるユニラメラベシクルおよび大きな
内部水性空間を有するほんのわずかの同心状二層体によ
り特徴ずけられる少数のオリゴラメラベシクルよりなる
ものある。REV類のいくつかの透過特性はMLV類およびSU
V類のそれと同様であると報告されている(ソズカとパ
パハジョプーロス[Szoka and Papahadjopoulos],1978,P
roc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:4194-4198参照。)。
種々の物質を捕捉するリポソームは調製され得るが、リ
ポソームの保存時における安定性は限定されるものであ
る。この安定性における損失は、リポソームから周囲の
媒体中への捕捉された化合物の漏洩に終わり、さらにま
た周囲の媒体からリポソーム自体への物質の透過による
リポソーム内容物の汚濁ともなりうる。結果として、従
来のリポソームの保存寿命は非常に限られたものとな
る。安定性の改良のための試みは、脂質二層体の物性に
影響を与えるある物質(以下「安定剤」という。)(例
えば、ステロール)を脂質膜中へ含有させることを含む
ものであった。薬剤配給系としてのリポソームの使用可
能性に関して、該系において数々の問題(例えば、生物
体内におけるリポソームの迅速な解除、リポソームの不
安定性等)が存在するにもかかわらず数多く書かれてい
る。リポソーム薬剤配給系において、薬剤はリポソーム
形成の間に捕捉され、そして次に治療すべき患者へと投
与される。このような記述書の代表的なものは、ラフマ
ンとセルニー[Rahman and Cerny]に対して1976年11月23
日に発行された米国特許第3,993,754号、ステアーズ[St
ears]に対して1979年3月20日に発行された米国特許第
4,145,410号、パパハジョプーロスとソズカに対して198
0年11月25日に発行された米国特許第4,235,871 号に、
シュナイダー[Schneider]に対して1980年9月23日に発
行された米国特許第4,224,179号、エル ケリー[L.Kell
y]に対して1982年10月26日に発行された米国特許第4,35
6,167 号およびゲホ[Geho]に対して1979年9月13日に発
行された米国特許第4,377,567 号である。
リポソームに内包された抗リューシュマニア性薬剤を用
いるリューシュマニア[leishmania]性感染の化学療法
が、ステックとアルビング[Steck and Alving]によって
1980年1月29日発行の米国特許第4,186,183 号中に報告
されている。
(3)発明の概要 本発明は、1つのリポソーム製剤中に2ないしそれ以上
の非拮抗性抗菌性物質が共に内包されているリポソーム
製剤に関するものである。このリポソーム製剤は、非常
に高められた治療的効果を得るべく、生物体内に一回の
服用量で投与できるものである。リポソーム中に共内包
された抗菌物質群の治療的効果は、同じ抗菌物質の組合
せを溶液中においてあるいはそれぞれ一つの抗菌物質を
含むリポソーム製剤の混合物として使用した場合におけ
るものよりもより高いものである。共内包されることの
できる抗菌物質の組合せは、組合せ効果試験[the Combi
nation Effect Test]と呼ぶ以下に述べる検定法におい
て内包されていない組合せを試験することにより決定さ
れる。このリポソームは、リポソームの形成前あるいは
形成時におのおのの抗菌物質をリポソーム成分へと添加
することで調製される。本発明の実践は、1つの安定な
リポソーム中に共に内包された、例えばゲンタマイシン
とナフシリン、トブラマイシンとチカルシリン、または
シリンダマイシンとゲンタマイシンなどの組合せを、例
えばサルモレラ症、コリネバクテリウム腎盂腎炎、シュ
ードモナス腎盂腎炎およびクロストリジウム創傷感染な
どの生物体内の種々の感染を治療するために用いること
で本明細書中に例示される。
(4)発明の詳述 本発明は、抗菌物質の組合せを含有するリポソーム製剤
およびこれらの使用法を包含するものである。複数の非
拮抗性抗菌物質は1つのリポソーム製剤中に共に内包さ
れる、すなわち水性隔室内へ捕捉されるおよび/または
膜状二層体中に挿入される。このリポソーム製剤が生物
体内に投与された場合、非常に高められた治療的効果が
得られる。本発明は生物体内におけるいくつかの薬剤の
組合せの同時投与を可能とするものである。
(4.1)抗菌物質の選択 本発明の一実施態様によると、超加算的すなわち相乗的
効果をもたらす抗菌物質の組合せは、1つのリポソーム
中に内包(第4.2節でさらに定義するように、以下この
ことを共内包[coencopsulation]と呼ぶ。)される。相
乗的であるとして知られる抗菌物質の組合せの数種が一
つのリポソーム製剤中に内包され得る。このような組合
せとしては、例えば上述の第1および第2.1節に掲げた
ようなものがあるが、何らこれらに限定されるものでは
ない。
さらにその他の抗菌物質の組合せは、抗菌物質の組合せ
の効果を測定する、第2.1節においてすでに述べた試
験管内の検定法[the in vitro assay]に基づき選択され
得る。これらの検定法は、(1)細菌類または真菌類に対
する組合せの効果を評価し得る、本明細書において定義
されるチェッカーボード検定法[he Checkerboard Assa
y]および(2)ウィルス力価減少検定法[the virus titer
reduction assay]を含むものである。これらの試験管内
の検定法は、以下に詳述されるが、またこれらはひとま
とめにして組合せ効果試験[the Combination Effect As
say]と呼ばれる。
(A)チェッカーボード検定法:抗菌物質の連続的希釈物
(通常、2倍希釈)が、多くの異なる割合の抗菌物質濃
度が同時に試験され得るようにチェッカーボード様式で
作られる。このチェッカーボードは、X軸に沿って希釈
された同量の薬剤Aを含む水平列と、Y軸に沿って希釈
された同量の薬剤Bを含む垂直列よりなる。それゆえ、
与えられた希釈の範囲に関して、両方の薬剤のすべての
可能な組合せが達成される。この技法は、試験微生物
(例えば細菌、真菌等)の生長を支えるのに必要である
栄養源を含有するブロス[broth]もしくは寒天[agar]中
で行なうことができる。次に試験微生物の標準接種物が
それぞれのの希釈物に添加され、そして培地は適当な条
件下で培養され、成長が観察される。最小阻止濃度(MI
C)、すなわち、微生物の成長が阻止されたそれぞれの試
験溶液の最大希釈が、それぞれの抗菌物質および組合せ
について測定された。組合せ効果はスクリブナー(上
述)によって以下のように定義されている;(1)相乗性
はそれぞれの抗生物質のMICにおいて少なくとも4倍の
減少によって示される、(2)加算性は、いずれかのある
いは両方の抗生物質のMICにおいて2倍の減少によって
示される、(3)非変化性は、抗生物質のMICにおいて何の
変化もなかったことによって示される、そして(4)拮抗
性はいずれかのあるいは両方の抗生物質のMICにおいて
4倍の増加によって示される。
(B)ウィルス力価減少検定法:試験管内の融合性宿主細
胞が利害関係のウィルスで感染される。細胞を洗浄の
後、個別的におよび組合せて種々の濃度の抗ウィルス性
物質を含む媒体が、適当な細胞培地に二通りに添加され
た。適当な条件下で培養の後、ウィルスは細胞培地より
回収され、ウィルス力価が、例えば通常のプラーク検定
法などを用いて検定された。培地における抗ウィルス性
物質の組合せたことによる効果は、以下の基準(パーク
らにより1984年に報告される(上述)。)より測定され
た;(1)E(薬剤Aの効果)=(薬剤Aの存在下にお
いて生じたウィルスの力価)/(薬剤不在下において生
じたウィルスの力価)、(2)E(薬剤Bの効果)=
(薬剤Bの存在下において生じたウィルスの力価)/
(薬剤不在下において生じたウィルスの力価)、(3)E
AB(薬剤Aおよび薬剤Bの組合せの効果)=(薬剤Aお
よびBの存在下において生じたウィルスの力価)/(薬
剤不在下において生じたウィルスの力価)、(4)E
(薬剤Aおよび薬剤Bの組合せの算定効果、すなわち
薬剤Aと薬剤Bの加算性効果)=E×E。薬剤の相
乗作用はEAB<Eとして定義され、また加算性効果は
AB=Eとして定義される。さらに、薬剤Aが薬剤B
よりもより効果的であると仮定されるとすると、加算性
にみたない加算(亜加算性)作用は、E<EAB<E
として定義され、また拮抗作用はE<EABとして定義
され、さらに干渉はE<EAB<Eとして定義され
る。
従って、この組合せ効果試験に基づいて非拮抗性である
(すなわち、相乗性、加算性、亜加算性あるいは非変化
性(indifference)である)とみなされた非内包の組合せ
が、本発明に基づき、1つのリポソーム製剤中に共内包
され得る。
上述の組合せ効果試験で試験管内において測定された基
準とは別に、1つのリポソーム製剤中に共内包された場
合に、共内包の抗菌物質の治療指数と比べて増大した治
療指数を示す抗菌物質の組合せのいずれもまた、本発明
の範疇に入るものとして期待される。治療指数は、毒性
効果と治療効果との服用量比に関するものである。動物
における治療指数は、比率LD50/ED50(式中LD50は、総
数の50%における致死服用量であり、ED50は匹敵する総
数の50%における治療効果服用量である。)として表わ
すことができる。それゆえ治療指数が大きくなればなる
ほど、好ましい薬剤としての安全な余白部分が広くな
る。
第1表および第2.1節において掲げた抗菌物質の組合
せ、エリトロマイシン+アミノグリコシド、アンピリシ
ン+ストレプトマイシン、ゲンタマイシン+カルベニシ
リン、ゲンタマイシン+ナフシリン、クロルアンフェニ
コール+ストレプトマイシン、イソニアジド+エタンブ
トール、イソニアジド+エタンブトール+ストレプトマ
イシン、スルフォンアミド+テトラサイクリン、アンフ
ォタリシンB+フルシトシン、スルフォアミド+ストレ
プトマイシン、スルフォアミド+アンピシリン、テトラ
サイクリン+シクロセリン、ペニシリンもしくはアンピ
シリンとゲンタマイシンもしくはトブラマイシン、水溶
性あるいは脂溶性抗生物質を有するステロイド類、およ
びアシクロバイヤとビダラビンなどの組合せが、もちろ
んこれらに限定されるわけではないが、1つのリポソー
ム製剤中に共内包され得る。
(4.2)リポソーム製剤 本発明によると、抗菌物質の1つの組合わせが、それぞ
れの抗菌物質を脂質小胞体(脂質ベシクル)の形成前に
あるいは形成時にリポソーム成分中へ添加することによ
りリポソーム製剤中に内包される。それゆえ、2ないし
それ以上の抗菌物質がリポソームの形成時に水性相か有
機相かに添加され、それぞれその溶解性により、リポソ
ームの二層体中か生成リポソームの水性相へと含有(す
なわち共内包)される。
リポソームを調製するのに用いられる方法は、用いられ
るリポソームの種類と内包される抗菌物質の性質の両方
に依存する。薬剤の高い割合を捕捉するリポソームであ
るゆえ、安定なリポソームが好まれる。
本発明の実践において用いられ得る特に安定なリポソー
ムとしてSPLV(安定なプルリラメラベシル[Stable plur
ilamellar vesicle])類がある。SPLV類は、本明細書中
に参考のために編込まれる、1983年3月24日出願の米国
特許出願シリーズ第476,496 号に述べられている。
SPLV類は以下のようにして調製される。すなわち、両親
媒性脂質または脂質混合物が有機溶媒中に溶解される。
多くの有機溶媒が適当なものであるが、特にジエチルエ
ーテル、フッ化炭化水素類およびフッ化炭化水素類とエ
ーテルの混合物が好ましい。この溶液に水性相と捕捉さ
れるべき活性成分が添加される。この二相混合物は、溶
媒中において水性物質を乳化させ、そして溶媒を蒸発さ
せることで、SPLVに転化される。蒸発は音波処理中ある
いは処理後に、いかなる蒸発技術、例えば混合物に不活
性ガス流を通過させることによる蒸発、加熱による蒸
発、あるいは真空蒸発などによって達成される。用いら
れる溶媒の容量は、水性物質が混合物中で完全に乳化さ
れ得るに十分な量だけ、水性相容量を超えるべきであ
る。実際には、1容量の水性相に対して最低約3容量の
溶媒が用いられる。事実、溶媒の水性相に対する比率
は、1容量の水性相に対して、最高100容量あるいはそ
れ以上まで変更することができる。脂質の量はエマルジ
ョン液滴(水性相1ml当り約40mgの脂質)を被覆するの
に必要とされる量を十分に超える量でなければならな
い。上限値は、コスト的効果の実用性にのみ限定される
が、SPLV類は、水性相1ml当り15gの脂質で形成し得る
ものである。これゆえ、脂溶性抗菌物質は、リポソーム
の二層体を最終的に形成するものであるリポソーム成分
の有機相へ直接添加することができる。水溶性抗菌物質
は、二層体の形成前に水性相へ添加され、そして捕捉さ
れ得る。実際水性相と共に添加された脂溶性物質は、生
成小胞体の脂質成分中に分割される。
溶液中における抗菌物質の組合せが、沈澱性複合体を形
成する場合、いいかえればこれらの物質が非相容性であ
る場合には、沈澱ができないようにそれぞれの物質の溶
液を同時であるが別個のものとしてリポソーム成分中へ
添加する。
本発明の実施において用いることのできるこの他のリポ
ソーム製剤としては、単相溶媒系において調製される脂
質小胞体(以下単相性ベシクル[monophasic vesicle]も
しくはMPVと呼ぶ)類がある。MPV類は、本明細書中の参
照のために編込まれる、1983年8月8日出願の米国特許
シリーズ第521,176 号に述べられている。MPV類は非常
に安定しており、また高い捕捉能を有する。MPV類は以
下のようにして調製される。すなわち、両親媒性脂質ま
たは脂質混合物が、アルコール(例えばエタノール)な
どのような水に対しても混和性を有する有機溶媒(以下
単相性溶媒と呼ぶ。)中に溶解される。捕捉されるべき
抗菌物質が脂溶性であると、この物質は直接脂質単相溶
液に添加され、一方、捕捉されるべき抗菌物質が水溶性
であると、この物質は、少量の水性溶液(例えば、100m
gの脂質を含有する10mlのエタノールに対して0.1〜0.3m
lの水性溶液)に添加される。上記に説明したように、
抗菌物質の組合せが沈澱性複合体を形成する場合、いい
かえれば抗菌物質が非相溶性である場合には、沈澱が生
じないように、それぞれの物質の溶液が同時ではあるが
別個のものとして単相性溶媒−脂質溶液へ添加される。
生成混合物は、全くの分散状物である(二相には別れな
い。)この溶液は次に、単相性溶媒の沸点に依存した温
度(例えば40゜〜100℃の範囲)で、数分間、透明フィ
ルム(脂質と抗菌物質より構成される。)が容器の側壁
に形成されるまで、蒸発される。次に少量の水性溶液が
添加され、混合物が再懸濁され、そして捕捉された抗菌
物質を含有するMPVを形成するために、撹拌される。
増大した安定性および高い捕捉能以外にも、本発明の実
施において用いられた場合に、SPLV類およびMPV類は、
従来MLV類をこえるその他の利点を提供する。一例をあ
げると、例えばゲンタマイシンとナフシリンのような化
学的非相容性物質は、SPLV類およびMPV類中に有効に包
含され得るが、一方MLV類中には最初に薬剤を希釈する
ことなしには包含され得ない。このような希釈は、捕捉
される薬剤の量を減少させ、そしてそれゆえに有効な服
用量を与えるために必要とされる容量を増加させること
になるものである。
(4.3)リポソーム製剤の治療的使用 特定の感染の治療においての抗菌活性の増高は、1つの
リポソームに共内包された非拮抗性抗菌物質の組合せの
生物体内的な投与により達成され得る。動物に対して投
与された場合、本明細書に述べられる該リポソーム製剤
は、高められた生物活性および病理学的効果をもたら
す。
本明細書に述べられるリポソーム製剤は、従来の組合せ
製剤療法が不成功であった、もしくは限界的な使用であ
ったような方面において特に有利なものとなる。例え
ば、イソニアジン、リファンピン、エタンブトールおよ
びストレプトマイシンなどの薬剤が結核の治療において
種々の組合せで、有効に使用されてきた。しかしなが
ら、同時に、おそらくは体内における薬剤の不整な配給
に起因して、療法の間に多重性結核菌[multiply resist
aut tubercle bacillus]が出現する。薬剤の組合せを共
内包したリポソームは、体内において薬剤の有効的濃度
を維持する手段を同時に提供するものである。
本明細書中において述べられるリポソーム製剤はまた、
通常相乗効果すなわち超加算効果(上述)をもたらす2
つの化学治療性物質を用いた組合せ療法において、さら
に利点を提供する。この2つの物質が、1つのリポソー
ム中に存在すると、別々に存在する場合よりも組合せ療
法において抗菌性物質としてより効果的なものとなる。
この増高された効果はおそらく両方の物質が、感染部位
に同時に利用され得るためである。実際、リポソーム製
剤に共内包された複数の相乗性薬剤を用いての感染の治
療は、生物体内への投与前に混ぜ合されるものである別
々のリポソーム製剤中に内包された同じ薬剤を用いての
治療よりも、治療学的により効果的である。
本明細書中において述べられるリポソーム製剤は、細胞
内感染の治療における利点を提供し、かつ細胞外感染の
治療における利点を提供する。生物体内に投与された1
つのリポソーム製剤中における複数の薬剤における共内
包は、特定の薬剤が特定部位(細胞内あるいは細胞外)
に導入される可能性を増加するものであり、これゆえこ
れらの生物学的作用および/または治療的効果が高めら
れる。
細胞内感染の治療の場合、本明細書において述べられる
薬剤組合せを含有するリポソーム製剤は、非経口的に投
与され得る。リポソームに内包された薬剤は、感染細胞
が該リポソームを細胞内に取り込んだ際に、感染部位に
配給される。細胞内に取込まれたリポソームは、細胞性
細化器官すなわちファーゴリソソーム[phagolysosome]
中に出現する。細胞内取込みの度合は、リポソームの種
類およびターゲット細胞の種類に依存する。リポソーム
が内在化されるとたちどころに、共内包されていた薬剤
の組合せはおそらく細胞中における感染を戦うことので
きるものとなる。
本明細書において述べられるリポソーム製剤は、生物体
内の細胞外感染の治療に用いることができる。従って、
共内包された複数の薬剤を含有するリポソームの非経口
投与は、この治療性物質を網内系の高食作用性マクロフ
ァージへ配給する。このマクロファージは該リポソーム
と合体しそして、リポソームに内包された物質を「充填
した」ものとなる。この「充填した」マクロファージが
感染(例えば全身性細胞外感染)部位に達するとたちど
ころに、このマクロファージは病原体を飲み込む。その
結果、病原体はマクロファージ中の薬剤の組合せと接触
し、死滅されるであろう。
次に本発明をより具体的に説明するために、実施例を示
すが、本発明の範囲はもちろんこれに限定されるもので
はない。
(5)実施例:ゲンタマイシンとナフシリンを含有するSPL
Vを用いてのサルモネラ・チフィムリウム[Salmonella t
yphimurium]感染の治療における抗菌活性の増高 以下の実施例において、アミノグルコシドである、ゲン
タマイシンとペニシリナーゼ−耐性ペニシリンである、
ナフシリンの種々の製剤の抗菌活性が比較される。結果
はこの製剤の試験結果により示されるが、マウスにおけ
るサルモネラ・チフィムリウム[Salmonella typhimuriu
m]の致死性感染(細胞内感染)の治療は、ゲンタマイシ
ンとナフシリンの双方が1つのSPLV製剤中に含まれたSP
LV製剤を用いたときにもっとも効果的である。
(5.1)ゲンタマイシンまたはナフシリン含有SPLVの調製 卵ホスファチジルコリン(EPCもしくは卵レシチン)100
mgのジエチルエーテル5ml溶液が調製された。この混合
物は丸底フラスコ中に移された。次にリン酸緩衝食塩水
(PBS、pH7.2)中にゲンタマイシンもしくはナフシリン
200mgを含有する溶液(0.3ml)がこの脂質のジエチルエー
テル溶液の入ったフラスコにピペットを用いて入れられ
た。該混合物は、浴槽状音波処理器(ラボラトリー サ
プライズ カンパニー,インコーポレーテッド,タイプ
10536[Laboratory Supplies Co.,Inc.,type 10536]に数
分間(周波数80kHz、出力80ワット)入れられ、また同
時に混合物に窒素の微流を通して粘稠なペーストに乾燥
させた。残存する粘稠な成分に、PBS 10mlが添加され
た。得られるナフシリンを含有するSPLV(安定なプルリ
ラメラベシクル)製剤(以下、SPLV/Nafと表す。)ある
いはゲンタマイシンを含有するSPLV製剤(以下、SPLV/G
entと表す。)はPBSに懸濁され、振盪されそして20℃で
10分間、12,000×gで遠心分離することで内包されなか
った抗菌物質を取除いた。得られたペレットは再度洗浄
されそしてPBS 0.5mlに再懸濁された。
(5.2)ゲンタマイシンおよびびナフシリン含有SPLVの調
製 ゲンタマイシンとナフシリンの双方を含有するSPLVを調
製するために、上記の手順が以下の変更をもって行なわ
れた。EPCがジエチルエーテル中に分散された後、PBS
0.15mlに溶解された抗菌物質(ナフシリンまたはゲンタ
マイシン)100mgよりなる、それぞれ1つの抗菌物質を
含む2つの溶液が迅速にかつ同時に添加される。2つの
溶液の添加の後、調製物は上述したごとく、音波処理さ
れ、蒸発され、そして2度洗浄された。得られたSPLVは
ゲンタマイシンとナフシリンの双方を捕捉していた(以
下SPLV/Gent-Naf)で表わす。
(5.3)感染マウスの治療 125匹のマウスが、敗血症を起こすためにサルモネラ・
チフィムリウムの致死量(すなわち、3×106集落形成
単位(CFU))の腹腔内(I.P.)接種により感染された。接
種から24時間後、マウスは8つのグループに分けられ、
それぞれ以下に示す処理を受けた。グループ1(比較対
照)は何の治療も受けず、グループ2は水性ナフシリン
を与えられ(100mg/kg(体重)、I.P)、グループ3は
水性ゲンタマイシンを与えられ(100mg/kg(体重)、
I.P.)、グループ4は水性ゲンタマイシン(50mg/kg
(体重)、I.P.)と水性ナフシリン(50mg/kg(体
重)、I.P.)の両方を含有する単一製剤を与えられ、グ
ループ5はナフシリン(100mg(抗菌物質/kg(体
重)、I.P.)を含有するSPLVを与えられ、グループ6は
ゲンタマイシン(100mg(抗菌物質)/kg(体重)、I.
P.)を含有するSPLVを与えられ、グループ7は一方がゲ
ンタマイシン(50mg/kg(体重)、I.P.)を含有し、他
方がナフシリン(50mg/kg(体重))を含有する第5.1
節で述べた2種のSPLV製剤を与えられ、そしてグループ
8はゲンタマイシン(50mg/kg(体重)、I.P.)および
ナフシリン(50mg/kg(体重)、I.P.)を共に含有する
第5.2節で述べた1つのリポソームを与えられた。結果
を第2表に示す。
第2表に示される結果は、感染に起因する死亡数の阻止
において、ゲンタマイシンとナフシリンの双方を含有す
るSPLVが最も効果的であることを明白に示すものであ
る。実際ゲンタマイシンとナフシリンの双方を含有する
SPLV製剤の投与は、水性溶液による双方の薬剤の投与に
よるものよりも死亡数の阻止においてより効果的である
ばかりでなく、驚くべきことに、ゲンタマイシンとナフ
シリンの双方を含有するSPLV製剤による治療は、一方が
ゲンタマイシンを含有し、他方がナフシリンを含有する
2種のSPLVを用いての同時的治療によるものよりも死亡
数の阻止においてより効果的であった。
(6)実施例:ゲンタマイシンとナフシリンを含有するSPL
Vを用いてのサルモネラ症の治療における抗菌活性の増
高 この実施例において、ゲンタマイシンとナフシリンを共
に含有するSPLVの抗菌活性および病理学的効果が、数種
の他の製剤と比較された。結果はこれらの製剤を試験し
た結果で示されるが、サルモネラ・チフィムリウムの治
療は、ゲンタマイシンとナフシリンの双方が1つのリポ
ソーム製剤中に含有されたSPLV製剤を用いた場合に最も
効果的である。
(6.1)SPLVの調製 薬剤を含まないSPLVおよびゲンタマイシンもしくはナフ
シリンを含有するSPLVがEPC200mgおよび薬剤200mgを用
いて、第5.1節に述べたものと同様にして調製された。
ゲンタマイシンとナフシリンの双方を含有するSPLVは、
EPC200mgおよびそれぞれの薬剤200mgを用いて、第5.2節
に述べたものと同様にして調製された。
それぞれのSPLV製剤は4度洗浄され、そして以下の溶液
に再懸濁された。(a)薬剤を含まないSPLVは生理食塩水
を用いて総量2mlに懸濁された。(b)1つのリポソーム
中にナフシリンとゲンタマイシンを含有するSPLV(SPLV/
NAF-GENT)は、生理食塩水を用いて総量2mlに懸濁され
た。(c)ナフシリンを含有するSPLVは生理食塩水を用い
て総量1mlに懸濁された。この懸濁物の0.5mlアリコッ
ト(分割物)は20mgのゲンタマイシンが添加された生理
食塩水を用いて総量1mlに再懸濁された(ゲンタマイシ
ン中のSPLV/NAF)。(d)ゲンタマイシンを含有するSPLV
は生理食塩水を用いて総量1mlに懸濁された。この懸濁
物の0.5mlアリコットは、20mlのナフシリンが添加され
た生理食塩水を用いて総量1mlに再懸濁された(ナフシ
リン中のSPLV/GENT)。(e)生理食塩水中のナフシリン含
有SPLV(上記(c)を見よ。)の残りの0.5mlアリコット
が、生理食塩水中のゲンタマイシン含有SPLVの0.5mlア
リコットに加えられた(SPLV/NAF & SPLV/GENT)。再懸
濁されたSPLV製剤は0.1mlアリコット当り以下の組成を
有していた。(a)SPLVは、EPC 20mgを、(b)SPLV/NAF-GEN
TはEPC 20mg、ナフシリン2mg、ゲンタマイシン2mg
を、(c)ゲンタマイシン(水性)中のSPLV/NAFはEPC 20m
g、ナフシリン2mg、ゲンタマイシン2mgを、(d)ナフシ
リン(水性)中のSPLV/GENTはEPC 20mg、ゲンタマイシ
ン2mg、ナフシリン2mgを、そして(e)SPLV/NAF & SPLV
/GENTは、EPC 40mg、ナフシリン2mg、ゲンタマイシン
2mgである。
(6.2)サルモネラ・チフィムリウムを用いてのマウスの
感染 ヒルトップ(Hilltop)種マウス(それぞれ20〜30mg)
が、BHIブロス(ブレイン ハート インフュージョン
メディア,ビービーエル ミクロバイオロジカルシス
テムス,コックエイスヴィール、メリーランド[Brain H
eart Infusion Media,BBL Microbiological Systems,Co
ckeysville,Md.])中でO.D.約0.18に成長させたサルモ
ネラ・チフィムリウムの培地0.3mlの腹腔内投与により
サルモネラ・チフィムリウムに感染された。
(6.3)感染マウスの治療 サルモネラ・チフィムリウムでの感染の27時間後に、マ
ウスは7つのグループに分けられ、それぞれのグループ
は以下に示すような0.1ml接種(I.P.またはI.V.(静脈
内))により治療された。グループ1(比較対照)は何
も処理を受けず、グループ2は薬剤を含まないSPLVを与
えられ(I.P.)、グループ3はナフシリン(水性)中の
SPLV/GENTを与えられ(kg(体重)当りそれぞれの抗菌
物質100mg、I.V.)、グループ4はゲンタマイシン(水
性)中のSPLV/NAFを与えられ(kg(体重)当りそれぞれ
の抗菌物質100mg、I.V.)、グループ5は2種のリポソ
ームの混合物である、SPLV/NAF &SPLV/GENTを与えられ
(kg(体重)当りそれぞれの抗菌物質100mg、I.V.)、
グループ6はSPLV/NAF-GENTを与えられ(kg(体重)当
りそれぞれの抗菌物質100mg、I.V.)、またグループ6
はSPLV/NAF-GENTを与えられた(kg(体重)当りそれぞ
れの抗菌物質100mg、I.P.)。結果を第3表に示す。
これらの結果は、腹腔内投与あるいは静脈内投与のいず
れであっても、生物体内のサルモネラ・チフィムリウム
感染の治療における1つのリポソーム製剤中に捕捉され
たナフシリンとゲンタマイシンの組合せの増加した効果
を示すものである。
(7)実施例:ゲンタマイシンおよびナフシリンを含有す
るMPVを用いたサルモネラ・チフィムリウム感染の治療
における抗菌活性の増高 本実施例において、抗菌性ゲンタマイシンおよびペニシ
リンの種々の製剤の抗菌活性および病理学的効果が比較
された。結果はこれらの製剤の試験結果として示される
が、サルモネラ・チフィムリウムの治療は、ゲンタマイ
シンとナフシリンが1つのリポソーム製剤中に含まれる
MPV製剤を用いた場合に最も効果的である。
(7.1)ゲンタマイシンおよびナフシリン含有MPVの調製 EPC 100mgの10mlエタノール溶液が、丸底フラスコ中で
調製された。以下に示す2つの溶液が同時にこの脂質溶
液へと添加された。2つの溶液は、PBS1.5ml中に溶解さ
れたゲンタマイシン100mgの溶液とPBS1.5ml中に溶解さ
れたナフシリン100mgの溶液である。得られた混合物
(分散物)は、透明なフィルムが容器の側壁に形成され
るまで54℃で3分間蒸発された。次にPBS 10mlが加えら
れ、そして該混合物はMPVを形成しかつ再懸濁するため
に撹拌された。
(7.2)感染マウスの治療 65匹のマウスが、敗血症を起こすためにサルモネラ・チ
フィムリウムの致死量(すなわち、5×106CFU)の腹腔
内接種により感染された。接種の24時間後、マウスは3
つのグループに分けられ、そして以下に示すような治療
をうけた。グループ1(比較対照)は何の処置も受け
ず、グループ2は水性ゲンタマイシン(100mg/kg(体
重))と水性ナフシリン(100mg/kg(体重))を含有
する単一の製剤を与えられ(I.P.)、グループ3は第6.2
節で述べるように調製されたゲンタマイシン(100mg/k
g(体重))とナフシリン(50mg/kg(体重))の双方
を含有する1つのMPVを与えられた(I.P.)。結果は第4
表に示される。
第4表に示される結果は、共内包されたゲンタマイシン
とナフシリンを含有するMPVが感染に起因する死亡数の
阻止に最も効果的であったことを明白にしている。
(8)実施例:ゲンタマイシンとナフシリンを含有するSPL
Vを用いたコリネバクテリウム・レナーレ(Corynebacter
ium renale)腎盂腎炎の治療における抗菌活性の増高 本実施例において、ゲンタマイシンとナフシリンの種々
の製剤の抗菌活性および病理学的効果が比較される。結
果は、これらの製剤の試験結果により表わされるが、コ
リネバクテリウム・レナーレ(Corynebacterium renale)
腎盂腎炎の治療は、ゲンタマイシンとナフシリンの双方
が1つのリポソーム製剤中に含有されたSPLVを用いた場
合に最も効果的である。
(8.1)SPLVの調製 ゲンタマイシンあるいはナフシリンのいずれかを含有す
るSPLVは、第5.1に述べるようにして調製された。ゲ
ンタマイシンとナフシリンの双方を含有するSPLVは、第
5.2節に述べるようにして調製された。
(8.2)コリネバクテリウム・レナーレを用いてのマウス
の感染 コリネバクテリウム・レナーレ腎盂腎炎は、本質的に以
下に述べるようなスモノとヤナガワ[Shumono and Yanag
awa]の方法(インフェクション アンド イムニティ,
1977年4月,263-267頁[Infection and Immunity,April
1977,pp.263-267])によって、成体ヒルトップ種マウ
ス(それぞれ20〜30g)に発現させた。それぞれのマウ
スはエーテルを用いて麻酔をかけられ、腹部壁を切開し
て、膀胱を隔離した。膣胱内容物は微圧をかけることで
排出された。濃度107CFU(集落形成単位)/mlのBHI
(ビービーエル ミクロバイオロジカル システム、コ
ックエイスヴィール、メリーランド)中のコリネバクテ
リウム・レナーレの懸濁液が、膀胱に膀胱を満たすまで
(注入当り約0.1〜0.2mlあるいはマウス膀胱あたり微生
物106CFU)接種された。その後腹部壁は閉じられた。こ
のコリネバクテリウム・レナーレは、BHIブロス中でコ
リネバクテリウムレナーレATCC菌種第10848[C.renale A
TCC strain No.10848]を一晩培養して調製された。菌体
は次にO.D.420約0.78に食塩水中に懸濁された。一連の
希釈物が、それぞれの希釈についての1ml当りのCFUを
測定するために寒天上に標本された。
(8.3)感染マウスの治療 コリネバクテリウム・レナーレでの接種の24時間後に、
マウスは7つのグループに別けられ、そしてそれぞれの
グループは次のような治療を受けた。グループ1(比較
対照)は何の治療も受けず、グループ2は水性ゲンタマ
イシン(100mg/kg(体重)、I.P.)を与えられ、グル
ープ3はゲンタマイシンを含有するSPLV(100mg/kg
(体重)、I.P.)を与えられ、グループ4は、水性ナフ
シリン(100mg/kg(体重)、I.P.)を与えられ、グル
ープ5はナフシリンを含有するSPLV(100mg/kg(体
重)、I.P.)を与えられ、グループ6は、ゲンタマイシ
ン(100mg/kg(体重)、I.P.)とナフシリン(100mg/
kg(体重)、I.P.)の双方を含有する単一の水性製剤を
与えられ、そしてグループ7はゲンタマイシン(100mg
/kg(体重))とナフシリン(100mg/kg(体重))の
双方を含有する1つのSPLV製剤を与えられた(I.P.)。結
果は第5表に示される。
第5表に示される結果は、ゲンタマイシンとナフシリン
の双方を含有するSPLVが、コリネバクテリウム・レナー
レ腎盂腎炎に起因する死亡数の阻止において最も効果的
であることを明白に示している。
他の実験において、1つのSPLV製剤に捕捉されたゲンタ
マイシンとナフシリンの効果が、それぞれ別々のSPLV中
に含まれたこれら2つの薬剤の投与の効果とさらに比較
された。このため、マウスが第8.2節で述べるようにし
てコリネバクテリウム・レナーレで感染された。コリネ
バクテリウム・レナーでの接種の24時間後に、マウスは
4つのグループに別けられ、そしてそれぞれのグループ
は以下に示す治療を受けた。グループ1(比較対照)は
何の治療も受けず、グループ2は水性ナフシリン(100m
g/kg(体重)、I.P.)を与えられ、そしてさらに水性
ナフシリン投与の1時間後水性ゲンタマイシン(100mg
/kg(体重)、I.P.)を与えられ(NAF-GENT(水性)、
注:ナフシリンとゲンタマイシンの水性製剤は、もとの
場所において[in situ]薬剤の不活化をさけるために1
時間置いて投与された。)、グループ3は一つがゲンタ
マイシンを含有するSPLV(SPLV/GENT、100mg/kg(体
重))でもう一つがナフシリンを含有するSPLV製剤(SP
LV/NAF、100mg/kg(体重))である.2種のSPLVの混
合物を与えられ(I.P.)、そしてグループ4はゲンタマイ
シン(100mg/kg(体重))とナフシリン(100mg/kg
(体重))の双方を含有する一つのSPLV製剤(SPLV/GEN
T-NAF)を与えられた(I.P.)。第6表に示される結果はS
PLV/GENT-NAF製剤が、感染の治療に最も効果的であった
ことを示している。
ゲンタマイシンおよびナフシリンの双方を含有するSPLV
製剤を用いて治療を受けた生存しているマウスは、14日
目に犠牲に供され、そして右の腎臓がコリネバクテリウ
ム・レナーレの存在に関して試験され、一方左の腎臓が
組織学的に分析された。
右の腎臓はBHI媒体中で均質化された。この均質化物は
連続的に希釈され、そして寒天上に標本された。8匹の
生存マウスの右の腎臓の培地においては、微生物の生長
は何ら認められなかった。左の腎臓の組織学的実験は、
試料とされた腎臓8コのうちの5コについては何の障害
も認められないこと、2匹のマウスの腎盂の内層におい
て中程度の慢性炎症へと最小化されていること、そして
わずか1匹のマウスの左の腎臓の中央部における病巣壊
死を伴なう化膿性腎盂腎炎および急性化膿性炎症反応を
示した。このように組織学的および微生物学的治瘉が、
生存動物において示された。
(9)実施例:トブラマイシンおよびチカルシリンを含有
するMPVを用いてのシュードモナス・アエルギノーサ[Ps
eudomonas aeruginosa]腎盂腎炎の治療における抗菌活
性の増高 本実施例において、トブラマイシン(アミノグリコシド
抗生物質の1つ)とチカルシリン(β−ラクタム抗生物
質の1つ)の種々の製剤の抗菌活性および病理学的効果
が比較される。結果は、これらの製剤の試験結果として
示されるが、シュードモナス・アエルギノーザ[Pseudom
onas aeruginosa]腎盂腎炎の治療は、トブラマイシンと
チカルシリンの双方が1つのリポソーム製剤中に含有さ
れたMPV製剤を用いた場合に最も効果的である。
(9.1)MPVの調製 トブラマイシンとチカルシリンの双方を含有するMPVは
以下のようにして調製された。まずEPC100mgの10mlエタ
ノール溶液が丸底フラスコ中で調製された。次にこのEP
Cエタノール溶液にPBS1.5ml中のチカルシリン100mgが添
加され、これに2価のカチオン(PBS-)を有しないPBS1.5
ml中のドブラマイシンが添加された。得られた混合物
(分散体)は、容器の側壁にフィルムが形成されるま
で、54℃で3分間蒸発させられた。次にPBS 10mlが加え
られ、混合物はMPVを形成しかつ再懸濁するために撹拌
された。
トブラマイシンかチカルシリンのいずれかを含有するMP
Vは、PBS中のトブラマイシン100mgまたはPBS中のチカル
シリン100mgがEPCエタノール溶液へ添加されることとな
る以外は上記と同様にして調製された。
(9.2)シュードモナス・アエルギノーザを用いてのラッ
トの感染 スプラーグ ドーリー種(Sprague Dawley)ラット(それ
ぞれ約0.2kg)が以下の方法によってシャードモナス・
アエルギノーザで感染された。メスのラットが皮下投与
されたブレビタール[Brevital](10.64mg/200g(ラッ
ト))を用いて麻酔された。腹部除毛後の正中切開によ
って膀胱があらわにされた。膀胱におけるわずかな切開
が行なわれた、すべての尿素が排除され、そしてその後
亜鉛ペレット(直径3mm)が膀胱内へ挿入された。膀胱
の切開口が絹糸を用いて縫合され、そして1晩TSB(ト
リプチカーゼ ソイ ブロス [Trypticase Soy Brot
h]、ビービーエルミクロバイオロジカル システム、コ
ックエイスヴィール、メリーランド)中で培養されたシ
ュードモナス・アエルギノーザ培地の0.1ml接種物が膀
胱中に注入された。そして腹部切開口が閉じられた。
(9.3)感染ラットの治療 感染ラットは、シュードモナス・アエルギノーザでの接
種の4時間および28時間後に腹腔内投与された以下に示
す製剤の服用量の2回分により治療されるところの5つ
のグループに別けられた。グループ1(比較対照)は何
の治療も受けず、グループ2は水性トブラマイシン(4
mg)kg(体重))を与えられ、グループ3はトブラマイ
シンを含有するMPV(4mg/kg(体重))を与えられ、
グループ4は水性トブラマイシン(400mg/kg(体
重))および水性チカルシリン(4mg/kg(体重))を
与えられ、そしてグループ5はトブラマイシン(400
mg/kg(体重))およびチカルシリン(4mg/kg(体
重))の双方を含有する一つのMPV製剤(MPV/TIC-TBR
A)を与えられた。
生き残ったラットは6日目に犠牲に供され、それぞれの
1対の腎臓が次のようにしてシュードモナス・アエルギ
ノーザの存在に関して試験された。それぞれの腎臓を取
出したのち、それぞれエタノールの入ったペトリ皿に移
し、炎にあてたのち、TSB 2mlで均質化された。この均
質化物はTSBを用いて最終容量10mlへ調整された。該均
質化物の一連の10倍希釈物が、寒天上に二重に標本さ
れ、そしてCFU/mlがそれぞれの1対の腎臓に関して測
定された。結果を第7表に示す。
これらの結果は、1つのMPV製剤中に含有されたトブラ
マイシンとチカルボシリンの組合せが、シュードモナス
腎盂腎炎の治療において最も効果的であることを示すも
のである。
(10)実施例:ゲンタマイシンとシリンダマイシンを含有
するSPLVを用いてのクロストリジウム・ノビイ(Clostri
dium novyi)に対する抗菌作用の増高 本実施例においては、ゲンタマイシン(アミノグリコシ
ド抗生物質の1つ)とシリンダマイシン(オクトースの
イオウ含有誘導体に付着した、アミノ酸であるトランス
L−4−n−プロピルハイグリン酸の誘導体)の種々の
製剤の、クロストリジウム・ノビイ(Clostridium novy
i)の嫌気性創傷感染の治療における、抗菌活性および病
理学的効果が比較される。
(10.1)SPLVsの調製 ゲンタマイシンを含有するSPLV(SPLV/GENT)は、ゲンタ
マイシン100mgを用いて第5.1節で述べるようにして調製
された。シリンダマイシンを含有するSPLV(SPLV/CLIN)
はゲンタマイシンの代わりにシリンダマイシン100mgを
用いて同様にして調製された。1つのリポソーム製剤中
にゲンタマイシンとシリンダマイシンの双方を含有する
SPLV(SPLV/GENT-CLIN)は、それぞれの抗生物質、ゲンタ
マイシンとシリンダマイシンを100mgずつ用いて第5.2節
に述べる方法により調製された。これらすべてのSPLV製
剤は、生理食塩水中で3度洗浄された。
(10.2)クロストリジウム・ノビイを用いてのマウスの感
染 雌の成体のスイスウェブスター種[Swiss Webster]マウ
ス20匹が、以下のごとく調製されたクロストリジウム・
ノビイの懸濁液の0.05mlを右後脚肉趾中に注入された。
クロストリジウム・ノビイは、嫌気性血液容器に入った
BHI媒体中で定常期(108〜109CFU/ml)となるように1
日間培養された。接種物は、新鮮な脱気されたBHI媒体
を用いて、この培地を1:100に希釈することで調製さ
れた。なおこの接種物は約107CFU/mlを含むものであっ
た。
(10.3)感染マウスの治療 感染の24時間後、マウスはそれぞれ5匹の4つのグルー
プに分けられ、それぞれ以下のような治療をされた。グ
ループ1(比較対照)は何の治療も受けず、グループ2
はゲンタマイシンを含有するSPLVを与えられた(100mg
(ゲンタマイシン)/kg(体重)、I.P.)、グループ3
はシリンダマイシンを含有するSPLVを与えられた(100m
g(シリンダマイシン)/kg(体重)、I.P.)、そして
グループ4は、1つのリポソーム製剤中にゲンタマイシ
ンとシリンダマイシンの双方を含有するSPLVを与えられ
た(1kg(体重)当りそれぞれの抗生物質100mg、I.
P.)。感染脚の直径がカリパスを用いて測定され、新鮮
な媒体のみを注入された比較対照のマウスとの比較が行
なわれた。結果を第8表に示す。
これらの結果は、ゲンタマイシンとシリンダマイシンの
双方を1つのリポソーム製剤中に含有するSPLVが、創傷
の嫌気性感染の治療にもっても効果的であったことを示
すものである。
以上について数多くの加減および変化が本発明の精神お
よび範囲を逸脱することなく可能なことは、当業者にと
っては明らかであろう。以上述べた特定の実施態様は実
施例を示すのみであり、本発明は特許請求の範囲のみに
限定されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ワイス、ステイーブン ジエイ アメリカ合衆国、ニユージヤージー州 08520 ハイツタウン ガーデンビユー テラス 56―18 (72)発明者 レンク、ロバート パーカー アメリカ合衆国、ニユージヤージー州 08530 ランバートビル ロード ナンバ ー 2 ボツクス 118エイ (72)発明者 ポペスク、マーシー コンスタンテイン アメリカ合衆国、ニユージヤージー州 08536 プレインスボーロ パークウエイ アベニユー 5 (72)発明者 ジンスベルグ、リチヤード エス アメリカ合衆国、ニユージヤージー州 ジ エームスバーグ ロード ナンバー1 ボ ツクス 330 (56)参考文献 特開 昭59−130217(JP,A) 特表 昭59−500952(JP,A) 西独国特許公開2756079(DE,A)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂質小胞体中に共内包された少なくとも2
    つの抗菌物質からなるリポソーム−薬剤調製物であり、
    かつこのリポソーム−薬剤調製物の治療指数が、この組
    合わされた抗菌物質の非リポソーム形態における治療指
    数あるいは個々に内包された形態における治療指数より
    も大きいものであるリポソーム−薬剤調製物を主成分と
    する、微生物により引き起こされる感染症治療剤又は予
    防剤。
  2. 【請求項2】脂質小胞体が、安定なプルリラメラベシク
    ルである特許請求の範囲第1項に記載の感染症治療剤又
    は予防剤。
  3. 【請求項3】脂質小胞体が、単相性ベシクルである特許
    請求の範囲第1項に記載の感染症治療剤又は予防剤。
  4. 【請求項4】微生物がサルモネラ種(Salmonella sp
    p.)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp
    p.)、シュードモナス種(Pseudemonas spp.)およびク
    ロストリジウム種(Clostridium spp.)からなる群から
    選ばれたものである、特許請求の範囲第1項記載の感染
    症治療剤又は予防剤。
  5. 【請求項5】非経口剤である特許請求の範囲第1項、第
    2項、第3項又は第4項記載の感染症治療剤又は予防
    剤。
  6. 【請求項6】局所剤である特許請求の範囲第1項、第2
    項、第3項又は第4項記載の感染症治療剤又は予防剤。
  7. 【請求項7】眼内投与剤である特許請求の範囲第1項、
    第2項、第3項又は第4項記載の感染症治療剤又は予防
    剤。
  8. 【請求項8】少なくとも1つの抗菌物質が抗細菌性であ
    る、特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載の感
    染症治療剤又は予防剤。
  9. 【請求項9】少なくとも1つの抗菌物質が抗真菌性であ
    る、特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載の感
    染症治療剤又は予防剤。
  10. 【請求項10】少なくとも1つの抗菌物質が抗ウィルス
    性である、特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記
    載の感染症治療剤又は予防剤。
  11. 【請求項11】少なくとも2つの抗菌物質がアミノグリ
    コシド抗生物質およびβ−ラクタム抗生物質である、特
    許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載の感染症治
    療剤又は予防剤。
  12. 【請求項12】アミノグリコシド抗生物質がゲンタマイ
    シンである、特許請求の範囲第11項記載の感染症治療
    剤又は予防剤。
  13. 【請求項13】アミノグリコシド抗生物質がトブラマイ
    シンである、特許請求の範囲第11項記載の感染症治療
    剤又は予防剤。
  14. 【請求項14】β−ラクタム抗生物質がナフシリンであ
    る、特許請求の範囲第11項記載の感染症治療剤又は予
    防剤。
  15. 【請求項15】β−ラクタム抗生物質がチカルシリンで
    ある、特許請求の範囲第11項記載の感染症治療剤又は
    予防剤。
  16. 【請求項16】アミノグリコシド抗生物質がゲンタマイ
    シンであり、β−ラクタム抗生物質がナフシリンであ
    る、特許請求の範囲第11項記載の感染症治療剤又は予
    防剤。
  17. 【請求項17】アミノグリコシド抗生物質がトブラマイ
    シンであり、β−ラクタム抗生物質がチカルシリンであ
    る、特許請求の範囲第11項記載の感染症治療剤又は予
    防剤。
  18. 【請求項18】少なくとも2つの抗菌物質がゲンタマイ
    シンおよびクリンダマイシンである、特許請求の範囲第
    8項記載の感染症治療剤又は予防剤。
  19. 【請求項19】(a)有機溶媒中に少なくとも1つの両親
    媒性脂質の分散体を形成し、 (b)水性相が完全に乳化され得るものである二相性混合
    物を形成するために十分な量の水性相とこの分散体を組
    合わせ、そして (c)水性相を乳化し、さらに二相性混合物の有機溶媒を
    蒸発させることからなり、 その際抗菌物質は水性相と共に添加されそして調製され
    た安定なプルリラメラ小胞体は実質的にマルチラメラベ
    シクル(MLVs)、ユニラメベシクル(SUVc)お
    よび逆相蒸発ベシクル(REVs)を含まないものであ
    る、脂質小胞体中に共内包された少なくとも2つの抗菌
    物質からなるリポソーム−薬剤調製物であり、かつこの
    リポソーム−薬剤調製物の治療指数が、この組合わされ
    た抗菌物質の非リポソーム形態における治療指数あるい
    は個々に内包された形態における治療指数よりも大きい
    ものであるリポソーム−薬剤調製物を主成分とする、微
    生物により引き起こされる感染症治療又は予防剤の製造
    方法。
  20. 【請求項20】(a)単相性溶媒中に少なくとも1つの両
    親媒性脂質と抗菌物質の分散体を形成し、 (b)乾燥された製剤が形成するまで単相を維持しかつ蒸
    発を容易とする温度で単相性溶媒を蒸発させ、 (c)この乾燥された製剤に水性相を添加し、さらに単相
    性ベシクルを形成するために混合物を攪拌することより
    なる、 脂質小胞体中に共内包された少なくとも2つの抗菌物質
    からなるリポソーム−薬剤調製物であり、かつこのリポ
    ソーム−薬剤調製物の治療指数が、この組合された抗菌
    物質の非リポソーム形態における治療指数あるいは個々
    に内包された形態における治療指数よりも大きいもので
    あるリポソーム−薬剤調製物を主成分とする、微生物に
    より引き起こされる感染症治療又は予防剤の製造方法。
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