JPH0653963B2 - 使い捨て吸収性パンツおよびその製法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、乳幼児用のおむつ・いわゆるトレーニングパ
ンツ、失禁者用おむつ等として供するための、予め完全
なパンツ型に形成された使い捨て吸収性パンツ関する。

（従来の技術） 従来、予め完全なパンツ型に形成され、ウエストバンド
と一対のレッグホールとにそれぞれ伸縮部材を有する使
い捨て吸収性パンツが特開昭58−115107において開示さ
れている。

（発明が解決しようとする問題点） 前記公知技術のパンツによれば、前身頃と後身頃とを形
成する大きさの横長方形の透水性トップシートと同形の
不透水性バックシートとの間に、これらの横方向対向端
間の中央領域にスペースをおいて前身頃と後身頃用のそ
れぞれの吸収性コアを介在し、該バックシートの上端に
ウエストバンド用伸縮部材、その下端にレッグホール用
伸縮部材をそれぞれ接着して積層体を形成し、該スペー
ス部を中心として該積層体を折曲し、該スペース部と反
対端との間の下端において前身頃と後身頃とを接合する
ことにより、パンツ型に形成される。

しかし、このように形成されたパンツは、製法が簡単で
あるという利点を有するが、クロッチにおける前身頃と
後身頃の各吸収性コアが断続していて吸収機能に問題が
あるばかりでなく、前身頃と後身頃との中央接合部がク
ロッチに位置することになる。ところが、クロッチの接
合部は着用者の脚の運動によって最も強い引張力を受け
るので、該接合部が分離または破損してパンツ機能を喪
失して排泄物が漏れ、また、該接合部が着用者に不快な
違和感を与えるといった問題がある。さらにまた、パン
ツの構成部材、とくに、吸収体が剛性を有するので、パ
ンツの対向側が身体から遊離する傾向があるといった問
題もある。

本発明の目的は、前記問題点をきわめて簡単な手段によ
って解決しうる使い捨て吸収性パンツを提供することに
ある。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、パンツ本体が、着用者の肌に接する透水性ト
ップシートと、該トップシートと反対側に位置する不透
水性バックシートと、該両シートの間に介在する吸収性
コアと、ウエストバンドと一対のレッグホールとにそれ
ぞれ有する伸縮部材とを含む使い捨て吸収性パンツを前
提とする。

本発明は、前記前提において、前記パンツ本体がクロッ
チを中心として折り返されて対向側縁が接合されている
こと、前記対向側縁に沿う縦方向にサイド用伸縮部材が
配置されていること、前記吸収性コアが前記パンツ本体
の前後側領域にわたって連続するとともに前記クロッチ
領域が狭く形成されていること、および、前記ウエスト
バンドの前記伸縮部材と、前記一対のレッグホールの前
記伸縮部材と、前記パンツ本体の対向側縁の伸縮部材と
が前記トップシートと前記バックシートとの間に伸長下
に接着されているとともに、前記対向側縁の前記伸縮部
材が前記ウエストバンドおよび前記レッグホールの前記
各伸縮部材と交差していることことを特徴とする前記パ
ンツおよびその製法にある。

前記パンツの構成部材としては、従来の使い捨ておむつ
に使用されているようなもの、たとえば、前記トップシ
ートとしては繊維不織布・多孔性プラスチックフィル
ム、前記バックシートとしてはプラスチックフィルム・
防水加工繊維不織布、前記吸収性コアとしてはフラック
パルプ・吸水性紙、前記伸縮部材としては糸状またはリ
ボン状のゴム・比較的広幅の発泡体・熱可塑性にして熱
処理によって伸縮性を示すプラスチックフィルムをそれ
ぞれ利用しうる。また、これら各部材の接合手段として
はホットメルト型接着剤が使用されるが、前記パンツの
部位によっては熱溶着されることもある。

（作 用） 本発明に係るパンツは、通常のパンツと同様の方法で着
用するもので、その着用状態においては、ウエストバン
ド・レッグホール・サイドがそれぞれの伸縮部材によっ
てギャザーを作り、着用者の当該部材を弾性的に圧迫し
てシールすることになる。

（実施例） さらに、本発明に係るパンツを図示の実施例に基づいて
説明すると、以下のとおりである。

第１図において、パンツ本体１はその全体を符号１で示
してある。パンツ本体１は、一方の被覆シートである縦
長方形の透水性トップシート２と、他方の被覆シートで
ある同型の不透水性バックシート３と、吸収性コア４
と、ウエストバンド用伸縮部材5a，5bと、一対のレッグ
ホール用伸縮部材6a，6b，6c，6d、サイド用伸縮部材15
a,15b とを含む。トップシート２には不織布、バックシ
ート３にはプラスチックフィルム、吸収性コア４にはフ
ラッフパルプのマット状体とその上下面に配置した吸水
紙、伸縮部材5a,5b,6a,6b,6c,6d,15a,15bには比較的広
幅(10 〜30mm) のウレタンホームを、それぞれ使用して
ある。

バックシート３の上面の縦方向対向端には、伸縮部材5
a，5bを伸長下にホットメルト型接着剤によってそれぞ
れ接着してある。また、バックシート３の上面の横方向
の仮想折り返し線Ｘを境として縦方向に若干の間隔をお
いて対向し、かつ、横方向対向側縁間の中央領域を残す
対向領域には、伸縮部材6a，6b，6c，6dを伸長下にホッ
トメルト型接着剤によってそれぞれ接着してある。さら
にまた、バックシート３の上面の対向側縁に沿う縦方向
には、伸縮部材15a ，15b を伸長下に伸縮部材 5a,5b,6
a,6b,6c,6dの外端部を交差された状態でホットメルト型
接着剤によってそれぞれ接着してある。これら伸縮部材
を接着いたバックシート３の上面には、伸縮部材5a，5b
よりも若干内方に位置する長さと、伸縮部材15a ，15b
の対向内側縁よりも若干内方に位置し、かつ、横方向に
対向する伸縮部材6a，6bと6c，6dとの間に位置する横方
向の仮想折り返し線Ｘと縦方向の仮想中心線Ｙを中心と
して対称形の砂時計型に形成した吸収性コア４をホット
メット型接着剤によって接着してある。さらに、これら
伸縮部材と吸収性コアとを接着したバックシート３の上
面には、これと同形同大のトップシート２をホルメット
型接着剤によって接着してあり、この場合、トップシー
ト２は、その周縁と、伸縮部材6a，6cと6b，6dとの間の
領域とにおけるバックシート３との間をシールし、か
つ、吸収性コア４とも接合するように接着してある。

このようにして積層して形成したパンツ本体１は、トッ
プシート２とバックシート３と伸縮部材15a,15b とを、
仮想折り返し線Ｘ上において、吸収性コア４の中央領域
の対向側縁から若干外向へ間隔をおいた位置からトップ
シート２とバックシート３の対向外側縁までの間を直線
７に切断してある。この切断は、第１図中鎖線で示すよ
うに、横方向に長い楕円形８になされてもよい。そし
て、パンツ本体１を、トップシート２が内側になるよう
に、仮想折り返し線Ｘを中心として、折曲してパンツ本
体１の対向側縁をホットメルト型接着剤によって接合し
てある。この接合は、引裂強度等の理由から熱溶着によ
ってなされてもよい。

このようにして、本発明に係るパンツは、第２図に示す
ように、前後側ウエストパンツ９が輪状に結合し、下端
に開口する一対のレッグホール10a ，10b を有し、か
つ、ウエストバンド９と一対のレッグホール10a ，10b
と対向側に前記各伸縮部材を有する、完全なパンツ型に
形成されている。

第３図には他の実施例を示してあり、この実施例におい
ては、第１図に示す実施例の伸縮部材6aと6c，6bと6dを
それぞれ連続した状態に相当する長い伸縮部材11a ，11
b を使用し、これらを鎖線で方形に囲んで示す領域12に
おいてだけ接着してあり、その他の構成は第１図に示す
実施例と実質的に同じである。

第４図にはさらに他の実施例を示してあり、この実施例
においては、前記伸縮部材6a，6b，6c，6dまたは前記伸
縮部材11a ，11b を一つに連続した状態に相当する長く
て広幅の伸縮部材13を使用し、第１図に示す実施例の前
記切断７を伸縮部材13とともになし、これを鎖線で方形
に囲んで示す領域14においてだけ接着してあり、その他
の構成は第１図に示す実施例と実質的に同じである。

なお、第１図に示す実施例において、前記伸縮部材5a，
5b，6a，6b，6c，6dは、前記バックシート３に接着され
ることを述べたが、そして、そのようにすることがパン
ツの機能のうえで好ましいが、これらは、パンツの製造
工程において、場合によっては、前記トップシート２に
接着されていてもよい。また、第３図・第４図に示す実
施例において、前記伸縮部材11a ，11b，13は鎖線で囲
んで示す領域12，14においてだけ接着されていることを
それぞれ述べたが、そして、そのようにすることがパン
ツを着用した着用者の股間にギャザーを作らないように
するうえで好ましいが、それらの接着は横方向に連続し
てもよい。

なおまた、図示例の切り込み線７は、仮想折り返し線
Ｘ、すなわち、パンツ本体１の縦方向長さの中心(1/2)
の位置にあるが、着用者の臀部が位置する領域（後身
頃）をその腹部が位置する領域（前身頃）よりも広く形
成するなどの理由から、仮想折り返し線Ｘよりもその腹
部側に偏倚して位置するように設けてもよく、この場合
には、当然のことながら、伸縮部材6a,6b,6c,6d,11a,11
b,13も、そのように位置することは、いうまでもない
し、また、図示例のように、吸収性コア４が仮想折り返
し線Ｘを中心として非対称形になることも、いうまでも
ない。また、必要に応じて、臀部領域、腹部領域のいず
れかや、それらの一部において、吸収性コア４を厚くし
てもよい。

（発明の効果） 本発明に係るパンツによれば、既述の公知技術によるパ
ンツのように、前記一対のレッグホール間、すなわち、
クロッチに構成部材の接合部が全くなく、しかも、該パ
ンツとは異なり吸収性コアが前身頃と後身頃とにわたっ
て連続している。したがって、着用者が両脚を自由に運
動させても、前記クロッチが分離または破損してパンツ
機能を喪失して排泄物が漏れたり、着用者に不快な違和
感を与えたりすることが全くない。とくに、サイド用伸
縮部材をも有するから、パンツの構成部材が剛性を有し
ていても、パンツの対向側が身体に密接して着用状態が
きわめて良好になり、着用者が運動し易い。

さらに、このような優れた効果を有するパンツでありな
がら、その製法も簡単である。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明にかかるパンツの実施例を示す。第１図
は、一部を切欠した展開平面図。第２図は、組み立て
図。第３図は、他の実施例を示す一例を切欠した展開平
面図。第４図は、さらに他の実施例を示す一部を切欠し
た展開平面図である。 １……パンツ本体 ２……トップシート ３……バックシート ４……吸収性コア 5a，5b……ウエストバンド用伸縮部材 6a，6b，6c，6d，11a，11b，13……レッグホール用伸縮
部材 ７，８……切断線 ９……ウエストバンド 10a ，10b ……レッグホール 15a ，15b ……サイド用伸縮部材

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−115106（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−77304（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−117602（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パンツ本体が、着用者の肌に接する透水性
   トップシートと、該トップシートと反対側に位置する不
   透水性バックシートと、該両シートの間に介在する吸収
   性コアと、ウエストバンドと一対のレッグホールとにそ
   れぞれ有する伸縮部材とを含み、次の事項を備えること
   を特徴とする使い捨て吸収性パンツ。 ａ．前記パンツ本体がクロッチを中心として折り返され
   て対向側縁が接合されていること。 ｂ．前記対向側縁に沿う縦方向にサイド用伸縮部材が配
   置されていること。 ｃ．前記吸収性コアが前記パンツ本体の前後側領域にわ
   たって連続するとともに前記クロッチ領域が狭く形成さ
   れていること。 ｄ．前記ウエストバンドの前記伸縮部材と、前記一対の
   レッグホールの前記伸縮部材と、前記パンツ本体の対向
   側縁の伸縮部材とが前記トップシートと前記バックシー
   トとの間に伸長下に接着されているとともに、前記対向
   側縁の前記伸縮部材が前記ウエストバンドおよび前記レ
   ッグホールの前記各伸縮部材と交差していること。
2. 【請求項２】次の事項を含むことを特徴とする使い捨て
   吸収性パンツの製法。 ａ．縦長方形の一方の被覆シートの縦方向対向端に横方
   向へ長いウエストバンド用伸縮部材を伸長下にそれぞれ
   接着すること。 ｂ．前記一方の被覆シートの縦方向対向端間のほぼ中央
   領域またはその近傍に、かつ、その横方向対向側縁間に
   同方向へ長いレッグホール用伸縮部材を伸長下に接着す
   ること。 ｃ．前記一方の被覆シートの対向側縁に沿う縦方向に同
   方向へ長いサイド用伸縮部材を伸長下に前記ウエストバ
   ンド用および前記レッグホール用の前記各伸縮部材と交
   差させてそれぞれ接着すること。 ｄ．前記各伸縮部材を接着した前記一方の被覆シートに
   中央領域を狭く形成した吸収性コアを接着すること。 ｅ．前記各伸縮部材と前記吸収性コアとを挟む状態で、
   前記各伸縮部材を接着した前記一方の被覆シートに縦長
   方形の他方の被覆シートを接着するとともに、少なくと
   も前記レッグホール用伸縮部材の長さに沿う所要幅の領
   域をシールすること。 ｆ．前記両被覆シートを、前記吸収性コアの中央領域の
   対向側縁から若干外方へ間隔をおいた位置から前記両被
   覆シートの対向外側縁までの間において、前記レッグホ
   ール用伸縮部材と前記サイド用伸縮部材とがそれぞれ前
   記両被覆シートの縦方向に二分されるように切断するこ
   と。 ｇ．前記両被覆シートと前記吸収性コアとの積層パンツ
   本体を、前記両被覆シートのうち透水性を有するシート
   が内側に位置するように折り返して前記パンツ本体の対
   向側縁を接合してシールすること。