JPH0653035B2

JPH0653035B2 - 養殖生簀の赤潮防禦装置

Info

Publication number: JPH0653035B2
Application number: JP61305882A
Authority: JP
Inventors: 辰夫河原; 市太郎坂本
Original assignee: 辰夫河原; 市太郎坂本
Priority date: 1986-12-22
Filing date: 1986-12-22
Publication date: 1994-07-20
Anticipated expiration: 2009-07-20
Also published as: JPS63157927A

Description

【発明の詳細な説明】（イ）産業上の利用分野この発明は、養殖場における赤潮の被害を防除する装置
に関する。

（ロ）従来の技術従来、赤潮の被害対策としては、物理的・化学的な処理
による赤潮生物の除去、養殖生簀の移動や沈下による避
難、および防護壁を張って行う養殖生簀の隔離等の方法
が行われている。

中でも効果の確実なものは、早く赤潮の発生を察知して
養殖生簀を避難させることであるが、しばしば予測を誤
って避難が遅れ、養魚の全滅を招く欠点があった。

これに対して、養殖生簀の周囲に防護膜（実開昭５８−
４１７０号公報）や筒状壁（実公昭５７−４９６６２号
公報）を設けて防禦し、それに各種の補助装置を併設し
て効果の向上を計る試みが行われている。しかし、施設
が大がかりで、しかも赤潮の規模や天候によっては、内
部へ赤潮が侵入して、完全を期し得ない難点があった。

（ハ）発明が解決しようとする問題点この発明は、赤潮が襲来して、養殖生簀の避難が遅れて
も、赤潮発生域で養魚の生残を確保できる装置を提供す
ることを目的としている。

（ニ）問題を解決するための手段この発明を図面について説明すれば、まず第１図におい
て、養殖生簀１の内部に、ビニールシートや帆布等でつ
くった筒２を設置する。次いでこの筒内に、養殖水域の
下層等から導いた清浄海水５を、水流ポンプ３を用いて
注入する。この清浄海水５はやや高所より落下させ、筒
２内に十分な酸素を供給する。このように設備し、養殖
生簀１内の一部を囲って養魚に好適な逃避場所４を形成
させる。

次に第２図において、筒２の内部にビニールや帆布等で
つくった湧昇管１１を設置し、その下方に配設した通気
装置７から、エアコンプレッサー１０より送られた圧縮
空気を放出する。養殖生簀の下方にある清浄海水５は、
通気装置７から出る気泡に伴って湧昇管１１の中を上昇
し、筒の内側に沿って下降した後、下方から外部へ流出
する。従って、筒２の内部は十分な酸素を含んだ清浄海
水で満たされ、養魚に好適な逃避場所４が形成される。

（ホ）作用この発明は以上の構成よりなるため、養殖生簀１内に設
置した筒２の内部が、養魚にとって好適な環境の逃避場
所４となる。

この逃避場所４の下方は開放されているゆえ、養殖生簀
内で赤潮に襲われた養魚は、競ってこの逃避場所４に集
まる。運動空間が十分でないとはいえ、養魚は致命的な
打撃を受けることなく生残する。

他方、供給された清浄海水５はこの逃避場所４に充満し
て、さらにその外側の赤潮発生域６へと流出していく。
従って、この水流に逆らって赤潮が侵入して来ることは
できない。ゆえに、逃避場所４はその機能を完全に維持
する。

（ヘ）実施例清浄海水５を上方から筒２へ注入する場合は、やや高所
から行うため十分な酸素が供給される。しかし要すれ
ば、通気装置７を用いて更に酸素を補給する。

赤潮の発生が大規模で長期にわたるような場合には、内
燃機関を動力とする水流ポンプ３またはエアコンプレッ
サー１０等を個々のまたは一群の養殖生簀に設置して、
それを稼働させながら、養殖生簀を清浄な海域へ移動さ
せる。

この装置の筒２の下方は、自由に開放されているが、そ
の開放部を絞れば、赤潮侵入防止の効果を上げ、逆に広
げれば、逃避場所４への養魚の逃避が容易になる。ゆえ
に要すれば、側面にひだのある筒や伸縮自在の弾性膜で
つくった筒等を使用して、それぞれの事態に対応させ
る。

また、場合によっては、複数個の筒を使用することによ
って、逃避場所４の容量を増加させる。

標準的な一例では、１０ｍ×１０ｍ×７ｍの養殖生簀
に、直径３ｍで深さ５〜６ｍの円筒形の筒を２個使用す
る。

清浄海水を下方より供給する場合の一実施例では、（３
〜４ｍ）×（３〜４ｍ）×（５〜６ｍ）の角形の筒を使
用し、その四壁をそれぞれ別個の帆布でつくる。この筒
の下端には四辺形の枠を取付け、その各辺に重りを兼ね
たローラーを設置して、それに各帆布の末端を巻着す
る。平素はこの帆布をローラーに巻いて上方へ巻上げて
おき、緊急時にそれを展開して筒を形成させ、給水装置
を稼働させる。なお、前記のローラーは、四辺形の枠が
重量物であれば、必ずしも重りを兼ねる必要はない。

これらの筒の容量が更に不足する場合は、逃避場所４に
集まった養魚の一部を、他の安全な生簀へ移して、全体
の養魚の生残率を高める。

（ト）発明の効果この発明では、赤潮発生域の中において、養魚のために
小空間を囲って、その中に清浄海水を常に充満させる。
従って、そのために使用する筒２は、下方の開口部の直
上を絞り込むことができるよう、深さのやや深いものが
よい。

このような筒２は、収容容積が不足する場合はその個数
を増加して対応でき、悪天候で動揺しても、特に絞り込
まれたものは、筒内に清浄海水を貯留しやすく、小型で
簡単な施設であるが、よく養魚に好適な環境の逃避場所
を形成する。

このような施設は、特に筒を絞り込んだ場合には、逃避
場所４から赤潮発生域６へ流出する清浄海水の流速を、
容易に増加させることが可能で、逃避場所４への赤潮の
侵入は完全に遮断される。

この清浄海水は、養殖生簀の外から取水するので、網の
深さの浅い中・小型の養殖生簀でも、大形生簀と同等以
上の赤潮被害防除の性能を発揮できる。

他方、単位施設が小型であるから、操作が甚だ容易で、
側面にひだをもった筒８や湧昇管１１なども手軽に使用
できて、瞬時に展開して稼働させることができる。

また、避難し遅れた養殖生簀では、網底に追詰められた
ひん死の養魚を、この装置を用いて完全に救出すること
ができる。

さらに、この施設を稼働させたまま、広い赤潮発生海域
の中を突破して、養殖生簀を自由に移動させることがで
きる。

従って、赤潮の襲来に際しても、避難遅れによる養魚の
へい死を招くことはなく、十分に状況を見定めた上で適
切に対処できるので、そのための時間的余裕が得られる
等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は清浄海水を上方より筒に供給する実施例の側面
図で、第２図は下方からエアリフト装置により供給する
実施例の側面図である。図中の矢印は清浄海水の流れの
方向を表し、点線は施設を増加した場合の状態を示して
いる。１……養殖生簀、２……筒、３……水流ポンプ、４……
逃避場所、５……清浄海水、６……赤潮発生域、７……
通気装置、８……横ひだの筒、９……重り、１０……エ
アコンプレッサー、１１……湧昇管、１２……湧昇管拡
張部、１３……気泡、１４……海面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】養殖生簀内に、ビニールシートや帆布等で
つくったやや大形の筒を垂直に設置して養魚の逃避場所
とし、その上方は水面上に少し出し、下方は水中に開口
するように位置させ、それに清浄な海水供給する装置を
付設して成ることを特徴とする養殖生簀の赤潮防禦装
置。
【請求項２】水流ポンプを用いて、清浄な海水を上方よ
り筒に供給する特許請求の範囲第１項記載の養殖生簀の
赤潮防禦装置。
【請求項３】筒の内部に湧昇管を設け、エアリフト装置
を用いて、清浄な海水を養殖生簀の下方より湧昇管を経
て筒に供給する特許請求の範囲第１項記載の養殖生簀の
赤潮防禦装置。
【請求項４】側面にひだのある筒を用いた特許請求の範
囲第１項記載の養殖生簀の赤潮防禦装置。
【請求項５】下端にローラーを配設した角形の筒を用い
る特許請求の範囲第１項記載の養殖生簀の赤潮防禦装
置。