JPH0650546A - 高周波加熱装置 - Google Patents

高周波加熱装置

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JPH0650546A
JPH0650546A JP20246592A JP20246592A JPH0650546A JP H0650546 A JPH0650546 A JP H0650546A JP 20246592 A JP20246592 A JP 20246592A JP 20246592 A JP20246592 A JP 20246592A JP H0650546 A JPH0650546 A JP H0650546A
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健史 柿木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マイクロ波のエネルギーをマイクロ波吸収材
の温度により検出し、その温度上昇値を検出することに
より、解凍検出を簡単にしコストダウンにする。 【構成】 マイクロ波吸収材4の温度をマイクロ波吸収
材温度測定手段5により測定し、加熱室1内の電界強度
を検出することができる。マイクロ波吸収材4の温度を
制御手段8に送り、解凍される冷凍食品の変曲点を検出
するか、無負荷時の温度変化の積分値と食品の温度変化
の積分値との差をとることにより、解凍の終了を検出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱中に加熱室に供給
されるマイクロ波の内、被加熱物に吸収されない電界の
エネルギーの強さ(以下電界強度という)を検出する手
段を設けた解凍検出手段を有する高周波加熱装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高周波加熱装置においてその加熱
室内の冷凍食品の解凍を検出する手段として、重量セン
サを用いその重量値から解凍終了時間を予測するもの
と、加熱室内の電界強度をアンテナにより検出し解凍時
間を決定するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】重量センサを用いてそ
の重量値から加熱室内の冷凍食品の解凍終了時間を予測
する方式では、冷凍食品の解凍開始温度によりその終了
時間の予測に誤差が生じ、解凍開始時の温度が高い場合
は解凍し過ぎ、また低い場合は解凍不足となる欠点があ
る。
【0004】また、一般的にこの重量値による予測解凍
制御方式では、その解凍終了時間の設定は各食品の解凍
実験によりその値を求めており、その実験データの取得
に多大な労力と時間を要していた。
【0005】加熱室内の電界強度をアンテナにより検出
する方式では、センサに検波回路を必要としコスト的に
不利であるばかりでなく、その電界強度の測定に複雑な
手法を要し、また、その構造上加熱室壁面に電界強度検
出用の穴を要し、電磁波漏れを起こすおそれがある。
【0006】さらに、食品の重量により解凍時間を決定
する手法では、食品の形状や含水率のような因子を考慮
していないので、同一重量においても解凍の進行度合が
異なった場合に対応できないといった問題点も有してい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波加熱装置
においては、高周波熱源の制御手段に、被加熱物に吸収
されない電気エネルギーを他のエネルギーとして検出し
電界強度を検出する手段と、そのデータにより冷凍食品
の解凍進行状態を検出する解凍検出手段を設けた。
【0008】
【作用】冷凍食品の解凍状態は、加熱室内で被加熱物に
吸収されるマイクロ波のエネルギーに依存する。したが
って、被加熱物に吸収ない電気エネルギーを他のエネル
ギーに変換することにより、重量センサを用いる方式、
または電界強度をアンテナにより検出する方式の欠点を
除くことができる。マイクロ波の電気エネルギーを他の
エネルギーに変換する手段としては、現在のところ熱エ
ネルギーに変換することが最も便利であり、このために
はマイクロ波吸収材がある。マイクロ波吸収材により間
接的に検出された加熱室内の電界強度を検出することに
より、食品の解凍時0℃付近における温度上昇値の変
化、または食品の吸収エネルギーを演算して、解凍の終
了を検出することができる。したがってその冷凍食品の
解凍開始温度、重量に影響されない、安全,安価,高性
能な冷凍食品の解凍検出手段を得ることができる。
【0009】
【実施例】まず、本発明の原理について説明する。
【0010】食品に吸収されるエネルギーP0 は、被加
熱室に供給される高周波熱源のエネルギーをPi 、その
周波数をf、食品の比誘電率をεγ、食品の誘電体力率
をtan δとすると、
【0011】
【数1】 P0 =k1 ・Pi ・f・εγtan δ…(1) k1 :定数 となる。
【0012】(1)式において、食品のεγtan δは
その温度によって変化し、その関係は図3のように、0
℃以下では温度とともに増加し、0℃付近に変曲点があ
り、0℃以上では逆に温度とともに減少する。
【0013】一方、加熱室の電界強度Pは、上記の高周
波熱源Pi から食品に吸収されるエネルギーP0 を差引
いた残りのエネルギーに比例し、
【0014】
【数2】P=k2 ・(Pi −P0 )…(2) k2 :定数 となる。
【0015】ここで、高周波熱源のエネルギーPi とそ
の周波数fを一定にする条件で冷凍食品を解凍すると、
食品が−0℃付近すなわち解凍点になれば、食品に吸収
されるエネルギーP0 が変化するので、(2)式より明
らかなように、加熱室の電界強度Pも変化することにな
る。
【0016】この関係を図4に示す。したがって、この
変曲点をマイクロ波吸収材を用いた電界強度検出手段に
より検出し、解凍を検出することができる。
【0017】一方、マイクロ波吸収材4による電界強度
検出手段は、図5のような構成をなしており、加熱室の
電界強度Pに対し、一定の相関をもって温度が上昇す
る。このときの温度上昇速度は次のように表わされる。
【0018】
【数3】
【0019】加熱室内の電界強度Pは、0℃近辺で変曲
点を持っているが、マイクロ波吸収材の温度変化は、
(3)式から明らかなように自己発熱量と放熱量の均衡
が変曲点の有無を決定する。
【0020】すなわち、
【0021】
【数4】ξP=k(T−Troom)…(4) のとき、(3)式の右辺=0となって、変曲点が表われ
る。
【0022】したがって、マイクロ波吸収材の放熱率k
が自己発熱量に対して十分に大きくなければならないこ
とがわかる。
【0023】図6は、kの大きさによって変化するマイ
クロ波吸収材の温度上昇曲線を示したもので、マイクロ
波吸収材の発熱効率ξと放熱効率kの関係に最適値が存
在することを示している。
【0024】図6の曲線Cのように、ξ≪kにおいて
は、解凍の終了点は変曲点を目安に決定することができ
る。図6の曲線Aのように変曲点が全くない場合には、
被加熱物に与えられたエネルギーの積分値により解凍の
終局点を決定することができる。
【0025】図6の曲線Bの場合は、曲線がなだらかで
あるが変曲点も存在しているので、どちらの方法でも解
凍の終局点を決定できる。
【0026】図1は本発明の一実施例のブロック図であ
る。同図において、1は被加熱物を収容する加熱室、2
は高周波熱源、3はマイクロ波を高周波熱源から加熱室
に送る導波管、4は電界強度検出センサとしてのマイク
ロ波吸収材、5はマイクロ波吸収材の温度測定手段、6
は被加熱物である食品、7はターンテーブル、8は制御
手段である。高周波熱源2の駆動手段は制御手段8の中
に設けられている。
【0027】図2は図1の制御手段8のブロック図であ
る。制御手段8は、高周波熱源2に接続される高周波熱
源の駆動および制御手段8a、マイクロ波吸収材温度測
定手段5に接続されるその温度を電気信号に変換する手
段8b、マイクロ波吸収材の温度を電気信号に変換する
手段8bからの信号の記憶手段8cおよびそれらに接続
される解凍検出手段8d等によって構成されている。
【0028】まず、図6の曲線Cのような変曲点を有す
る場合について解凍検出動作を説明する。
【0029】使用者が、被加熱物である食品6を加熱室
1のターンテーブル7に乗せ、加熱スイッチ(図示せ
ず)を押すと、高周波加熱装置は図1のマイクロ波吸収
材4の温度をマイクロ波吸収材温度検出手段5により検
出する。その後、高周波加熱装置は高周波熱源2からマ
イクロ波を発生し、そのマイクロ波は導波管を通じて加
熱室1に送られ、食品に吸収され加熱を開始するととも
に、加熱室1内に設置されたマイクロ波吸収材4も残り
のマイクロ波により加熱される。
【0030】この加熱中に、高周波加熱装置は常時マイ
クロ波吸収材4の温度を、たとえばサーミスタ等により
検出し、温度を電気信号に変換する手段8bによりデジ
タル信号に変換し、その記憶手段8cにデジタル信号と
して記憶する。これらのデジタル信号は、次の解凍検出
手段8dに送信され、これにより温度を電気信号に変換
する手段8bの現在の温度と、記憶手段8cに記憶され
ている前回の温度を比較する。
【0031】ここで、このマイクロ波吸収材4を加熱す
る電磁波のエネルギーは、前述のように、加熱される食
品の温度が0℃以下ではその温度とともにエネルギーが
大きく、また0℃以上では小さくなるので、このエネル
ギーにより加熱されるマイクロ波吸収材4の温度は、そ
の熱放散を考慮すると図7のようになる。
【0032】この図7より明らかなように、マイクロ波
吸収材の温度は、食品の解凍、すなわち0℃付近で単位
時間あたりの温度上昇値が変化している。曲線Aは温度
上昇値の変化が一旦マイナスとなるものであり、曲線B
は温度上昇値の変化率が小さくなっている。解凍検出手
段8dは、現在の温度>前回の温度になる条件を常時検
出し、その結果から経時変化の形態を認識し、冷凍食品
の解凍を検出する。
【0033】次は、変曲点にならない解凍終了の検知に
ついて説明する。図8は、同一重量で形の異なるたとえ
ば冷凍鮪の解凍過程における本発明のセンサの出力の代
表的な傾向を示したものである。
【0034】図8の冷凍鮪Aの肉厚は、冷凍鮪Bの肉厚
のたとえば2倍を有している。両者の重さは、ほぼ同一
であるにもかかわらず、冷凍鮪Aでの温度上昇はBに対
するそれよりもなだらかになっているのがわかる。これ
は、冷凍鮪Aの方は冷凍鮪Bよりもマイクロ波エネルギ
ーを吸収しやすいため、加熱室内に残留する電界強度P
が冷凍鮪Aのときの方が少なくなるためと考えられる。
さらに、このセンサはξ≫kの関係にあるため、変曲点
が表われておらず、変曲点によっては解凍の終了を検知
することができなくなっている。
【0035】そこで、図8の無負荷時の温度上昇曲線と
各冷凍鮪の温度上昇曲線とで囲まれる面積を各時間毎に
計算したものが図9である。
【0036】これは温度上昇値の時間による積分値であ
るため、次元的にエネルギーに等しく、間接的に各冷凍
鮪に吸収されたエネルギーを測定していることと等価で
ある。
【0037】冷凍鮪Aと冷凍鮪Bは同一の重量を有して
いるので、解凍に必要なエネルギーは両者とも同じと考
えて良い。しかし、両者は形状の違いからエネルギーの
吸収効率が異なり、現実には冷凍鮪Bの方が冷凍鮪Aよ
りも長時間解凍してやる必要がある。
【0038】図9を見ても明らかなように、本発明のセ
ンサの出力の無負荷時のときと、それぞれの鮪が負荷と
して与えられているときの出力の差を積分した結果は、
間接的に各鮪に吸収されたエネルギーを示しているた
め、解凍の終了を所定のエネルギーで規定すると、両者
の終了時間がエネルギーの吸収効率に応じて変化し、吸
収効率のより良い冷凍鮪Aは、吸収効率の悪い冷凍鮪B
よりも短時間で終わっていることがわかる。したがっ
て、冷凍鮪Bに対してはT分加熱を延長することによ
り、より最適な解凍を実現できる。
【0039】変曲点がない被加熱物に対する場合は、制
御手段8の内部の解凍検出手段8dの動作が、前述の変
曲点がある場合とは異なっている。
【0040】この場合の解凍検出動作について説明す
る。まず、使用者が被加熱物である食品6を加熱室1の
ターンテーブル7に乗せ加熱スイッチ(図示せず)を押
すと、高周波加熱装置はマイクロ波吸収材4の温度を、
マイクロ波吸収材温度検出手段5により検出する。その
後高周波加熱装置は高周波熱源2からマイクロ波を発生
し、そのマイクロ波は導波管3を通じて加熱室1に送ら
れ、食品に吸収され加熱を開始するとともに、加熱室1
の壁面に設置されたマイクロ波吸収材4も、残りのマイ
クロ波により加熱される。
【0041】この加熱中に高周波加熱装置は、常時マイ
クロ波吸収材4の温度をたとえばサーミスタ等により検
出し、温度を電気信号に変換する手段8bによりデジタ
ル信号に変換し、その記憶手段8cにデジタル信号とし
て記憶する。これらのデジタル信号は、次の解凍検出手
段8dに送信され、ここで積分されたデジタル信号によ
る吸収エネルギーは、予め設定された解凍終了に要する
エネルギーのテーブルと比較して、解凍の終了を検知す
ることができる。吸収効率の良い食品と悪い食品では操
作キーにより区別することができる。
【0042】解凍の終了を知るために比較するテーブル
は、予め実験で得る必要があるが、これまで重量値で決
定していた終了時間から換算して得ることも可能であ
る。
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、解凍される食品に変
曲点があるときはその0℃付近での状態変化を直接検出
することができ、また、変曲点がない食品に対しては、
無負荷時の温度変化の積分値と食品の温度変化の積分値
との差をとることにより、結果としてこれは食品に吸収
されたエネルギー量を示しているため、解凍の終了を所
定のエネルギーで規定させることにより、より最適な解
凍の実現が可能である。
【0044】以上のように、本発明によれば、マイクロ
波のエネルギーをマイクロ波吸収材の温度により検出し
ているので、従来のような複雑な手法を用いなくても簡
単に解凍検出が可能であり、コストダウンにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】図1の制御手段のブロック図である。
【図3】εγtan δの食品温度による変化のグラフで
ある。
【図4】加熱室の電界強度Pの変化を示すグラフであ
る。
【図5】マイクロ波吸収材による電界強度センサと食品
の関係を示す斜視図である。
【図6】発熱量と放熱量の関係による温度上昇の変化を
示すグラフである。
【図7】温度上昇値と時間との関係を示すグラフであ
る。
【図8】同一重量で吸収効率の異なる食品に対する解凍
時間とセンサ温度のグラフである。
【図9】解凍時間と積分値との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 1 加熱室 2 高周波熱源 3 導波管 4 マイクロ波吸収材 5 マイクロ波吸収材温度測定手段 6 食品 7 ターンテーブル 8 制御手段 8a 高周波熱源の駆動および制御手段 8b 温度を電気信号に変換する手段 8c 記憶手段 8d 解凍検出手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加熱物を収容する加熱室と、加熱室に
    給電するマイクロ波エネルギーを発生させる高周波熱源
    と、高周波熱源を駆動する駆動手段と、駆動手段を制御
    する制御手段等により構成され、制御手段は、被加熱物
    に吸収されない電気エネルギーを他のエネルギーとして
    検出し電界強度を検出する手段と、電界強度を検出する
    手段からのデータにより冷凍食品の解凍進行状態を検出
    する解凍検出手段を有することを特徴とする高周波加熱
    装置。
  2. 【請求項2】 被加熱物に吸収されない電気エネルギー
    を他のエネルギーとして検出する電界強度検出手段とし
    てマイクロ波吸収材を用いることを特徴とする請求項1
    記載の高周波加熱装置。
  3. 【請求項3】 解凍検出手段の入力情報としてマイクロ
    波吸収材の単位時間当りの温度上昇値の変化を用い、解
    凍検出手段は被加熱物の吸収エネルギーの経時変化の状
    態により解凍を検出することを特徴とする請求項1記載
    の高周波加熱装置。
  4. 【請求項4】 解凍検出手段は、マイクロ波吸収材の温
    度上昇値の時間積分により、被加熱物に吸収されるエネ
    ルギーを演算する手段を有することを特徴とする請求項
    1記載の高周波加熱装置。
  5. 【請求項5】 解凍検出手段は、被加熱物に吸収される
    エネルギーの演算手段と、被加熱物の吸収エネルギーの
    経時変化の形態を認知する手段とを有することを特徴と
    する請求項1記載の高周波加熱装置。
  6. 【請求項6】 解凍検出手段は、被加熱物の重量検出手
    段により得られた被加熱物の重量に基づいて規定された
    被加熱物の吸収エネルギー量により、被加熱物の解凍の
    終了を検出することを特徴とする請求項1記載の高周波
    加熱装置。
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